【実施例】
【0038】
実施例
本発明の方法を記載する前に、本発明は、記載する特定の方法および実験条件に限定されるものではなく、方法および実験は変更できることが理解されるべきである。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲にのみ限定されることから、本明細書で使用される専門用語は、単に特定の態様を説明することを目的としており、限定することを意図しないこともまた理解されるべきである。
【0039】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」には、明確に特記しない限り複数形も含まれる。したがって、例えば「1つの方法」への言及は、1つもしくは複数の方法、ならびに/または本明細書に記載される種類の段階、および/もしくは本開示を読むことで当業者に明白となる段階を含む。
【0040】
特に定義していない限り、本明細書で用いた全ての技術用語および科学用語は本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本発明の実施または検証においては、本明細書に記載のものと類似または同等のあらゆる方法および物質が使用可能であるが、以下に好ましい方法および物質を説明する。
【0041】
実施例1.VEGFトラップの液体製剤50 mg/mlの安定性
10 mM リン酸塩、50 mM NaCl、0.1%ポリソルベート20、20%スクロース、および50 mg/ml VEGFトラップ(SEQ ID NO:4)を含む、pH 6.25の液体製剤を5℃で保管し、試料は3、6、9、12、18、および24ヶ月で試験した。安定性をSE-HPLCによって測定した。表1に示した結果は、12および24ヶ月で、それぞれ98.6%および98.3%のVEGFトラップタンパク質が無傷で(分解されずに)残っていることを示す。濁度はOD
405 nmで測定し;サイズ排除HPLCにより、回収したタンパク質の割合を測定した。
【0042】
(表1)5℃で保管した場合の50 mg/ml VEGFトラップタンパク質の安定性(VGFT-SS065)
【0043】
10 mM リン酸塩、50 mM NaCl、3%PEG 3350、20%スクロース、および50 mg/ml VEGFトラップ(SEQ ID NO:4)を含む、pH 6.25の液体製剤を5℃で保管し、試料は3、6、9、12、18、および24ヶ月で試験した。安定性の結果を表2に示す。
【0044】
(表2)5℃で保管した場合の50 mg/ml VEGFトラップタンパク質の安定性(VGFT-SS065)
【0045】
実施例2.VEGFトラップの液体製剤75 mg/mlの安定性
10 mM リン酸塩、50 mM NaCl、0.1%ポリソルベート20、20%スクロース、および75 mg/ml VEGFトラップ(SEQ ID NO:4)を含む、pH 6.25の液体製剤を5℃で保管し、試料は0、1、2.3、3、9、12、および15ヶ月で試験した。安定性の結果を表3に示す。
【0046】
(表3)5℃で保管した場合の75 mg/ml VEGFトラップタンパク質の安定性(VGFT-SS101)
【0047】
10 mM リン酸塩、50 mM NaCl、3%PEG 3350、20%スクロース、および75 mg/ml VEGFトラップ(SEQ ID NO:4)を含む、pH 6.25の液体製剤を5℃で保管し、試料は0、1、2.3、3、9、12、および15ヶ月で試験した。安定性の結果を表4に示す。
【0048】
(表4)5℃で保管した場合の75 mg/ml VEGFトラップタンパク質の安定性(VGFT-SS101)
【0049】
実施例3.VEGFトラップの液体製剤100 mg/mlの安定性
10 mM リン酸塩、50 mM NaCl、0.1%ポリソルベート20、20%スクロース、および100 mg/ml VEGFトラップ(SEQ ID NO:4)を含む、pH 6.25の液体製剤を5℃で保管し、試料は0、1、2.3、3、9、12、および15ヶ月で試験した。安定性の結果を表5に示す。
【0050】
(表5)5℃で保管した100 mg/ml VEGFトラップタンパク質の安定性(VGFT-SS101)
【0051】
10 mM リン酸塩、50 mM NaCl、3%PEG 3350、20%スクロース、および100 mg/ml VEGFトラップ(SEQ ID NO:4)を含む、pH 6.25の液体製剤を5℃で保管し、試料は0、1、2.3、3、9、12、および15ヶ月で試験した。安定性の結果を表6に示す。
【0052】
(表6)5℃で保管した100 mg/ml VEGFトラップタンパク質の安定性(VGFT-SS101)
【0053】
実施例4.安定なVEGFトラップ製剤のさらなる態様
一つの態様において、本発明は、5 mMリン酸塩、5 mMクエン酸塩、100 mM NaCl、0.1%ポリソルベート20、20%スクロース、25 mg/mlのVEGFトラップタンパク質を含む、pH6.0の安定な液体VEGF結合融合タンパク質(VEGFトラップ)製剤を提供する。製剤は、皮下に送達するか、または希釈して、静脈内注入により送達するかのいずれかが可能である。本製剤の高い重量オスモル濃度のため、製剤を3倍に希釈して、静脈内投与のための等浸透圧溶液を達成する。安定性の研究は、2〜8℃で3年間保管した後、約1%を下回る分解が検出されたことを示した。
【0054】
一つの態様において、本発明は、好ましくは凍結乾燥前の製剤から凍結乾燥後の製剤へと2倍濃縮した凍結乾燥製剤を特徴とし、例えば50〜100 mg/ml;75〜150 mg/ml、または100〜200 mg/ml VEGFトラップタンパク質である。一つの特定の態様において、凍結乾燥前の製剤は、pH 6.3で10 mMヒスチジン、1.5%PEG 3350、0.75%グリシン、2.5%スクロース、50 mg/mlのVEGFトラップタンパク質を含み、再組成されてpH 6.3で20 mM ヒスチジン、3%PEG 3350、1.5%グリシン、5%スクロース、100 mg/ml VEGFトラップタンパク質を含む製剤となる。安定性の研究は、2〜8℃で6ヶ月保管した後、VEGFトラップの分解が検出されなかったことを示した。
【0055】
液体製剤の一つの態様において、製剤は10 mM ヒスチジン、50 mM NaCl、5〜20%スクロース、50〜100 mg/ml VEGFトラップ、および0.1%ポリソルベート20または3%PEG 3350の一方を含む。本液体製剤の一つの利点は、凍結乾燥産物の製造を必要とせずにVEGFトラップの高い濃度を提供することである。したがって、例えばIV注入による送達よりも高い濃度で、予め液体で充填したシリンジを提供することを可能にすることによって、本製剤は、皮下送達を容易にする。また、本製剤を有利に用いて、より少ない注入容量およびより短い注入時間を提供することができる。SE-HPLC後に5℃で最大15または24ヶ月インキュベートすることにより測定される分解量は、表7に要約される。
【0056】
(表7)50〜100 mg/ml VEGFトラップを伴う液体製剤の安定性(VGFT-SS101)
【0057】
実施例5.凍結乾燥および液体の安定性ならびに活性
再組成した凍結乾燥製剤の安定性は、6ヵ月の期間にわたって測定された。凍結乾燥前の製剤は、10 mMヒスチジン、1.5%PEG 3350、2.5%スクロース、0.75%グリシン、および50 mg/mlVEGFトラップタンパク質を含んだ。凍結乾燥後、再組成した製剤は、20 mMヒスチジン、3%PEG 3350、5%スクロース、1.5%グリシン、および100 mg/ml VEGFトラップタンパク質(SEQ ID NO:4)を含んだ。結果を表8に示す。活性は、マウスBaf/3 VEGFR1/EpoR細胞株に対するヒトVEGFの生物学的効果を阻害するVEGFトラップの能力を直接測定する、細胞に基づくバイオアッセイにおいて測定した。したがって、本バイオアッセイは、タンパク質の生物活性を直接測定する。結果は、相対効力の割合として表す(試験試料IC
50/参照VEGF IC
50標準×100)。VEGFトラップへのVEGFの結合親和性は、VEGFおよび様々な濃度のVEGFトラップを含む平衡混合物中の遊離VEGFを特異的に測定する高感度ELISAを用いて測定する。結果は、相対結合の割合として表す(試験試料のIC
50/参照のIC
50×100)。測定したpHは、6.3〜6.5の範囲であった。全ての溶液は、視覚的に透明であった。回収したVEGFトラップの濃度は、紫外分光光度計によりmg/mlとしてA
280 nmで測定した。天然の立体構造における回収したVEGFトラップの割合(主要ピーク純度)を、SE-HPLCによって測定した。
【0058】
(表8)5℃で保管したVEGFトラップ凍結乾燥製剤の安定性(VGT-RS475)
【0059】
約5 mMリン酸塩、5 mMクエン酸塩、100mM NaCl、0.1%ポリソルベート20、20%スクロース、および25 mg/ml VEGFトラップタンパク質を含む製剤を、5℃で保管した場合、36ヶ月にわたって安定性および活性について試験した。結果を表9に示す。全ての試料は、目視検査によって判定されるように透明で無色であった。pHは、6.0〜6.1の範囲であった。
*2つの測定に対する結合アッセイ結果(1および2ヶ月)は、直接表され、標準の割合としてではない。
【0060】
(表9)液体製剤の安定性および活性(VGT-FS405)