【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、本発明は、カプセル識別部材を有する飲料原料含有カプセルと、飲料原料含有カプセルを受容する飲料生成装置とを備える飲料生成システムであって、飲料生成装置が、
カプセル識別部材の情報を読み取るようにカプセル識別部材に物理的に接触する接触手段と、
接触手段に接続されるとともに、読み取り情報に応じて飲料生成装置の動作を制御するように設計されている制御手段とを備え、接触手段は、
カプセル識別部材に機械的に接触する少なくとも1つの変位可能な検出子と、
一方の側で検出子に接触しているとともに他方の側で回路に関連付けられており、検出子に接触している部分が変形可能な形状をしている弾性支持部材と、
弾性支持部材と回路の間の不連続導電部とを備え、
接触手段が、弾性支持部材と不連続導電部の間に防水材層を備える、飲料生成システムに関する。
【0006】
本発明のシステムでは、外側から物理的に接触されるように設計された識別部材がカプセルに設けられる。識別部材は、(視覚的なバーコードとは対照的に)構造的な方法で情報を符号化する。より正確には、識別部材は、所定の局部的な複数の接触面受け部を備えることができ、同受け部それぞれは、外部の検出部材との接触が形成されるか否かに対応する2つの異なる表面高さ、つまりバイナリコード状態(0又は1)から選択される。表面高さには、例えば、局部的な複数の窪み/孔の深さ又は突出部材の高さの差を対応させることができる。一実施形態では、第1及び第2の接触受け部が設けられる。第1接触受け部を同一深さの孔又は窪みとすることができ、第2接触受け部をより浅い孔又は窪みとすることができ、充填し又はわずかに浮き彫りにしてもよい。可能な変形例では、第1接触受け部は、同一高さの突出要素とされ、第2接触受け部は、より高い突出要素とされる。識別部材を外側から視認できないようにし、かつ飲料生成装置の関連する検出手段により物理的に接触される前に外部に露出しないようにすることが好ましい。この点に関して、識別部材をカバー部材により外側に対して覆うことができ、カバー手段及び/又は識別部材は、例えば、関連する飲料生成装置から検出手段により貫通され、変形され、変位されることにより、被覆状態から識別読み取り状態へ移行できるように設計される。例えばカプセルの識別面に孔又は窪みを設けて、カプセル面の表面構造を変調することにより識別部材を符号化することが好ましい。カプセルの識別面をプラスチック層、アルミニウム層、又はプラスチック−アルミニウム積層等の変位可能、変形可能又は穿孔可能なフィルムにより覆うことができる。カバーは、外側から選択的に穿孔されるように、あるいは孔又は窪みに重なる部分で選択的に変形されるように設計される。他方、カバーは、孔又は窪みに重ならない領域で支持されることにより、少なくともある程度の穿孔又は変形に抵抗できる。あるいは、カバー部材を変化させないままでも、識別被覆状態から識別読み取り状態へカプセルを移行させるように識別部材を操作(変位等)できる。好適な実施形態では、カプセルの蓋の正面に識別部材を形成できる。蓋は、カプセルのカップ状本体に関連付けられ、飲料形成原料を収容する空洞を画定する。蓋の一体部として識別部材を形成できる。例えば、蓋を成形プラスチックで作ることができ、その上に識別部材が成形される。検出システムに必要となる空間を制限するために、蓋の正面に非線形パターンで所定の局部的な複数の接触受け部を配することができる。例えば、蓋の面を覆う実質的に多角形状、星状又は湾曲パターン、あるいは実質的に閉鎖された不規則なパターンで受け部をグループ化することができる。
【0007】
本発明によれば、飲料生成装置は、前述した飲料原料含有カプセルと共に使用するために設計される。飲料生成装置は、カプセルの情報を読み取るためにカプセルに物理的に接触する手段を備える。さらに、飲料生成装置には、接触手段に接続され、読み取り情報に応じて飲料生成装置の動作パラメータを制御するように設計された制御手段が設けられる。
【0008】
接触手段は、カプセル識別部材に機械的に接触する少なくとも1つの変位可能な検出子を備える。制御手段は、カプセル識別部材との接触に応じた検出子の変位の程度に関連して識別情報を検出する少なくとも1つの検出子を伴って構成される。より具体的に、少なくとも1つの変位可能な検出子は、制御手段の回路から少し離れて弾性的に配され、カプセルとの接触に応じて回路と選択的に接触する。検出子と回路の接触は、所定のバイナリコード状態(0又は1)を形成し、検出子と回路の非接触は、他のバイナリコード状態を形成する。
【0009】
基部を有するピンとして検出子を形成できる。基部は、弾性支持部材に支えられていることが好ましい。検出子の先端は、識別部材を覆うカバーの穿孔を目的とすることができる。接触手段は、カプセルの所定の局部的な複数の接触受け部に接触する同一の変位可能な複数のピンを備える。
【0010】
接触手段は、一方の側で少なくとも1つの検出子に接触しており他方の側で回路に関連付けられる弾性支持部材を備える。弾性支持部材のうち検出子に接触している部分は、変形可能な形状をしている。この弾性支持部材は、非接触位置への復帰を可能にする弾性を検出子にもたらすとともに、カプセル由来の湿気の一部からの回路の絶縁をもたらす。弾性支持部材を、例えば、好適にはシリコーン又はEPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー)ゴムで作られたエラストマ部材とすることができる。弾性支持部材が他方の側で回路に関連付けられるので、制御手段の回路の関連する接触を選択的に開放するように検出子を変位させることができる。
【0011】
識別システムのサイズを著しく低減するために、識別回路を印刷回路とすることができる。印刷回路を数mmの幅とすることができ、飲料生成装置のうちカプセルの筐体に隣接する僅かな空間に挿入することができる。例えば、印刷回路の厚さは、0.5〜3mmである。印刷回路は、例えば、符号化された状態をもたらすように複数の検出子により選択的に開成又は閉成される複数の印刷回路を備える。
【0012】
本発明によれば、接触手段は、弾性支持部材と不連続導電部の間に防水材層を備える。この層は、弾性支持部材のうち検出子に接触している部分全体を被覆するのに十分なほど大きいことが好ましい。この層は、弾性支持部材のうち接触している部分の移動又は変形を、層を介して導電要素に伝達できるように変形可能であることが好ましい。この防水材層をシリコーン、プラスチック、アルミニウム又はプラスチック−アルミニウム積層から選択される材料で作ることができる。不連続導電部は、通常、回路のうち短絡可能な領域に対して押し付けられると、回路を閉成可能な形状をしている。
【0013】
第1の態様によれば、導電要素を防水材層に固定できる。この態様では、不連続導電部は、防水材層のうち回路に面する側に固定されている。この態様の好適な実施形態では、防水材層はエラストマ材、好ましくはシリコーン又はEPDMゴムで作られており、不連続導電部は黒鉛で作られている。これらの黒鉛部をエラストマ材の層に印刷できる。
【0014】
第2の態様によれば、不連続導電部がフィルムに付着されており、弾性支持部材とフィルムの間に防水材層が配されている。この第2の態様では、フィルムは、空気を通過させる小さな孔が形成されることになる単一のプラスチックフィルムとすることができる。この態様では、防水材層がPET/アルミニウム/PP、PE/EVOH/PP、PET/金属化(Metallised)/PP、アルミニウム/PPの積層から選択される。不連続導電部は、フィルムのうち回路に面する側に固定される。
【0015】
制御手段は、読み取り情報に応じて、例えばカプセルの内部へ供給される液体の温度等の飲料生成条件を制御するように設計される。接触手段は、所定パターンを形成してカプセルの所定の局部的な面受け部に選択的に機械的に接触する複数の変位可能なピンを備えることができる。制御手段は、カプセルに対するピンの変位の程度により識別情報を検出するように設計できる。制御手段は、読み取り情報に応じて飲料生成温度及び/又は淹出中断時間を制御するように設計されることが好ましい。特に、制御手段は、異なる特性及び/又は産地の茶葉原料を収容するカプセルに応じた異なる淹出茶飲料を淹出する際の水温パラメータ、流量及び/又は淹出中断時間を変化させるように設計される。
【0016】
飲料生成装置を茶、コーヒー及び/又は他の飲料を生成するように設計できる。
【0017】
本発明の実装は、カプセル側で生成された湿気からの回路の絶縁性を向上できる。本発明のシステムは、湿気の問題に直面せずに6000を超える飲料を生成するために使用される。
【0018】
本発明の特徴及び利点は、以下の図面に関連してより良く理解される。