特許第5752777号(P5752777)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5752777
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】ボールチェーン及びブラインド
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/326 20060101AFI20150702BHJP
【FI】
   E06B9/326
【請求項の数】4
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-260179(P2013-260179)
(22)【出願日】2013年12月17日
(62)【分割の表示】特願2009-151567(P2009-151567)の分割
【原出願日】2009年6月25日
(65)【公開番号】特開2014-58867(P2014-58867A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2014年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】河合 英治
(72)【発明者】
【氏名】中村 元
【審査官】 川島 陵司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−184456(JP,A)
【文献】 特公平3−47346(JP,B2)
【文献】 特公平3−47345(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/326
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コード上に合成樹脂のボールを等間隔に成形して固着してボールチェーンを形成し、前記ボールチェーンの両端部を連結部で連結して無端状としたボールチェーンにおいて、
前記連結部は、前記ボールと同一形状となる嵌合部を備え、
前記嵌合部は、
充実体の嵌合突部を備えた第一の嵌合部と、
前記嵌合突部を嵌合可能とするとともに、ボールチェーンの通常操作時に該ボールチェーンに作用する引張り力を超える引張り力が作用したとき該嵌合突部を分離可能とした嵌合孔を備えた第二の嵌合部とで構成し、
前記嵌合突部を前記嵌合孔に対し弾性的に嵌脱可能としたことを特徴とするボールチェーン。
【請求項2】
前記第二の嵌合部は、前記コードの端部に連結される連結コードの端部にアウトサート成型されて前記連結コードに固着され、
前記嵌合孔の長さは、前記第二の嵌合部と前記連結コードとの固着長さより短い請求項1記載のボールチェーン。
【請求項3】
コード上に合成樹脂のボールを等間隔に成形して固着してボールチェーンを形成し、前記ボールチェーンの両端部を連結部で連結して無端状としたボールチェーンにおいて、
前記連結部は、前記ボールと同一形状となる嵌合部を備え、
前記嵌合部は、
充実体の嵌合突部を備えた一対の第一の嵌合部と、
両側の開口部に前記嵌合突部のそれぞれを嵌合可能とするとともに、ボールチェーンの通常操作時に該ボールチェーンに作用する引張り力を超える引張り力が作用したとき該嵌合突部を分離可能とした円筒部材とで構成し、
前記嵌合突部を前記円筒部材に対し弾性的に嵌脱可能とし、
前記円筒部材が前記一対の嵌合突部の全周を覆っていることを特徴とするボールチェーン。
【請求項4】
請求項1乃至3記載のボールチェーンを備えたブラインドであって、
前記ボールチェーンは、ヘッドボックスの一端に回転可能に支持されたプーリーに掛装され、
前記プーリーの正逆回転による巻取軸の回転により、昇降コードが巻き取られあるいは巻戻されて昇降されるブラインド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、横型ブラインド、縦型ブラインド、ロールスクリーン、網戸、上下スライド窓、オーニング、天窓、物干し竿の昇降装置等の操作コードとして使用するボールチェーン、及びボールチェーンを備えたブラインドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
横型ブラインドの一種類として、ヘッドボックスの一端に回動可能に支持されたプーリーに無端状のボールチェーンを掛装し、そのボールチェーンを操作してプーリーを回転させることにより、スラットを昇降操作及び角度調節可能としたものがある。
【0003】
ボールチェーンは、例えば合成樹脂で紐状に形成されたコードに対し、同じく合成樹脂のボールを等間隔に成形して固定したものである。そして、プーリーの周面に形成された凹部に各ボールを順次係合させてプーリーを回転駆動可能となっている。
【0004】
このようなボールチェーンは、多数のボールを成形して取着したコードの両端をコネクタで連結して無端状とする構成が一般的である。また、プーリーに対しボールチェーンを1回転以上周回させてスラットの昇降操作を行う横型ブラインドの場合には、ボールチェーンの結合部のボール形状及びボール間隔は他の部分のボール形状及びボール間隔と同一とする必要がある。
【0005】
このような場合には、結合部のボールを2分割し、その分割部を互いに嵌合してボールを構成するものが提案されている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−184456号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように無端状のボールチェーンがプーリーから垂下されていると、そのボールチェーンの無端縁が室内を移動する居住者やその他の移動物体に引っ掛かることがある。
従って、ボールチェーンには、ボールチェーンに通常の操作時に作用する引張り力を超えるような過大な引張り力が作用するときには、その引張り力によりボールチェーンを切断して居住者の安全を確保し、かつボールチェーンが掛装されるプーリー等の損傷を未然に防止するフェイルセーフ機能を備えることが必要となっている。
【0008】
この発明の目的は、フェイルセーフ機能を備えたボールチェーン及びブラインドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1では、コード上に合成樹脂のボールを等間隔に成形して固着してボールチェーンを形成し、前記ボールチェーンの両端部を連結部で連結して無端状としたボールチェーンにおいて、前記連結部は、前記ボールと同一形状となる嵌合部を備え、前記嵌合部は、充実体の嵌合突部を備えた第一の嵌合部と、前記嵌合突部を嵌合可能とするとともに、ボールチェーンの通常操作時に該ボールチェーンに作用する引張り力を超える引張り力が作用したとき該嵌合突部を分離可能とした嵌合孔を備えた第二の嵌合部とで構成し、前記嵌合突部を前記嵌合孔に対し弾性的に嵌脱可能とした。
請求項2では、前記第二の嵌合部は、前記コードの端部に連結される連結コードの端部にアウトサート成型されて前記連結コードに固着され、前記嵌合孔の長さは、前記第二の嵌合部と前記連結コードとの固着長さより短い。
請求項3では、コード上に合成樹脂のボールを等間隔に成形して固着してボールチェーンを形成し、前記ボールチェーンの両端部を連結部で連結して無端状としたボールチェーンにおいて、前記連結部は、前記ボールと同一形状となる嵌合部を備え、前記嵌合部は、充実体の嵌合突部を備えた一対の第一の嵌合部と、両側の開口部に前記嵌合突部のそれぞれを嵌合可能とするとともに、ボールチェーンの通常操作時に該ボールチェーンに作用する引張り力を超える引張り力が作用したとき該嵌合突部を分離可能とした円筒部材とで構成し、前記嵌合突部を前記円筒部材に対し弾性的に嵌脱可能とし、前記円筒部材が前記一対の嵌合突部の全周を覆っている。
請求項4では、請求項1乃至3記載のボールチェーンを備えたブラインドであって、前記ボールチェーンは、ヘッドボックスの一端に回転可能に支持されたプーリーに掛装され、前記プーリーの正逆回転による巻取軸の回転により、昇降コードが巻き取られあるいは巻戻されて昇降される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フェイルセーフ機能を備えたボールチェーン及びブラインドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態の横型ブラインドを示す正面図である。
図2】ボールチェーン示す正面図である。
図3】第一の実施形態の連結部を示す分解斜視図である。
図4】第一の実施形態の第一の連結部材を示す正面図である。
図5】第一の実施形態の第二の連結部材を示す断面図である。
図6】連結部材の嵌合状態を示す断面図である。
図7】第二の実施形態を示す分解斜視図である。
図8】第二の実施形態の第一の連結部材を示す正面図である。
図9】第二の実施形態の第一の連結部材を示す底面図である。
図10図8におけるA−A線断面図である。
図11】第二の実施形態の第二の連結部材を示す断面図である。
図12】第二の実施形態の第二の連結部材を示す平面図である。
図13図11におけるB−B線断面図である。
図14】連結部材の嵌合状態を示す断面図である。
図15】第三の実施形態の連結部を示す断面図である。
図16】第三の実施形態の連結部を示す分解斜視図である。
図17】第三の実施形態の第一の連結部材を示す正面図である。
図18】第三の実施形態の第一の連結部材を示す平面図である。
図19】第三の実施形態の第一の連結部材を示す側面図である。
図20図17におけるC−C線断面図である。
図21】第三の実施形態の第二の連結部材を示す正面図である。
図22】第三の実施形態の第二の連結部材を示す背面図である。
図23図21におけるD−D線断面図である。
図24図21におけるE−E線断面図である。
図25図23におけるF−F線断面図である。
図26】連結部材の嵌合状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第一の実施形態)
以下、この発明を具体化した第一の実施形態を図面に従って説明する。図1に示す横型ブラインドは、ヘッドボックス1から吊下支持されるラダーテープ2に多数段のスラット3が支持され、そのラダーテープ2の下端にボトムレール4が取着されている。
【0013】
前記スラット3には前記ラダーテープ2の支持位置近傍で昇降コード5が挿通され、その昇降コード5の下端に前記ボトムレール4が吊下支持されている。前記昇降コード5の上端は前記ヘッドボックス1内に配設される支持部材6に回転可能に支持された巻取軸7に巻着されている。
【0014】
前記ヘッドボックス1の一端にはプーリー8が回転可能に支持され、そのプーリー8に無端状のボールチェーン9が掛装されている。そして、ボールチェーン9を操作してプーリー8を正逆方向に回転させると、ギヤボックス10及び昇降軸12a等を介して前記巻取軸7が回転され、昇降コード5が巻取軸7に巻き取られあるいは巻戻されて、スラット3及びボトムレール4が昇降される。
【0015】
また、プーリー8を回転させると、ギヤボックス10、チルトユニット11、チルト軸12b等を介してチルトドラム13が回動され、前記ラダーテープ2を介して各スラット3が回動されるようになっている。
【0016】
次に、前記ボールチェーン9の具体的構成を図2図6に従って説明する。図2に示すように、前記ボールチェーン9はポリエステルのコード14上に等間隔に合成樹脂のボール15が成形されている。各ボール15はコード14の表面上に成形機で長球状の充実体を成形したものであり、各ボール15がコード14に対し移動不能に固着されている。
【0017】
前記コード14の両端部は、連結部16で連結されて無端状のボールチェーン9が構成される。図3に示すように、前記連結部16は第一の連結部材17と第二の連結部材18とで構成されている。
【0018】
前記第一の連結部材17は、図4に示すように、前記コード14と同一材質の連結コード19の一端に前記ボール15の半分よりやや大きい形状の半球部(半部)20がアウトサート成型され、他端には第一の嵌合部21がその先端まで充実体となるようにアウトサート成型されている。半球部20と第一の嵌合部21の間隔は、前記ボール15の間隔と同一である。
【0019】
また、図3に示すように、第一の嵌合部21はその先端から基端まで前記連結コード19が埋め込まれるように充実体でアウトサート成型されているため、第一の嵌合部21と連結コード19との接合強度が十分に確保される。図4は、前記連結コード19が第一の嵌合部21の先端近傍まで埋め込まれている場合を示す。このような場合には、嵌合突部22の圧縮方向の強度を確保することが容易となる。
【0020】
前記半球部20及び第一の嵌合部21は、前記ボール15と同一材質で前記連結コード19の両端部に形成される。
前記第一の嵌合部21の基端部は、前記ボール15の端部と同様な半球状に形成され、第一の嵌合部21の先端部には、丸軸状の嵌合突部22が形成されている。前記嵌合突部22は、先端部にフランジ状の膨径部22aが形成され、その膨径部22aの外形は半球状の基端部の最大径より小さい径となっている。また、膨径部22aの先端側角部には面取り22bが形成されて、膨径部22aを嵌合孔26に容易に嵌合可能となっている。
【0021】
そして、前記第一の嵌合部21は、前記連結コード19の他端に一体に成形される。また、前記半球部20と同様に成形した後、嵌合突部22を切削により形成してもよい。
前記第二の連結部材18は、図5に示すように、前記コード14と同一材質の連結コード23の一端に前記ボール15の半分の形状の半球部24が形成され、他端には第二の嵌合部25が形成されている。半球部24と第二の嵌合部25の間隔は、前記ボール15の間隔と同一である。
【0022】
前記半球部24及び第二の嵌合部25は、前記ボール15と同一材質で前記連結コード23の両端部にアウトサート成型される。
前記第二の嵌合部25の基端部は、前記ボール15の端部と同様な半球状に形成され、第二の嵌合部25の先端部には、嵌合孔26が形成されている。そして、嵌合孔26の奥部の径が開口部の径より大きく形成されて、図6に示すように、前記嵌合突部22の膨径部22aを弾性的に嵌合し、かつ保持可能となっている。
【0023】
また、嵌合孔26の深さは第二の嵌合部25の長さの半分以下で形成され、前記嵌合突部22は嵌合孔26の深さに等しい長さで突出されている。
嵌合突部22を保持する嵌合孔26の保持力は、通常のスラット昇降操作及びスラット角度調節操作時にボールチェーン9に作用する通常の引張り力では嵌合突部22と嵌合孔26の嵌合が外れることがないように設定されている。また、ボールチェーン9に通常の引張り力を超える大きな引張り力が作用したときに限り、合成樹脂の弾性により嵌合突部22と嵌合孔26の嵌合が外れるようになっている。
【0024】
この嵌合孔26は、前記連結コード23の他端に半球部24と同様な半球部を形成し、その半球部の先端中央部を切削によりくり貫いて形成される。そして、嵌合突部22を嵌合孔26に嵌合した状態では、図2及び図6に示すように、前記第一及び第二の嵌合部の外形が前記ボール15と同一形状となるように形成される。
【0025】
前記嵌合孔26の深さは、前記第二の嵌合部25の長さの半分より浅く形成され、前記第二の嵌合部25の基端部は充実体となる。従って、第二の嵌合部25内に埋め込まれる連結コード23の長さを十分確保できるようになっている。
【0026】
前記第一及び第二の連結部材17,18の半球部20,24は、前記コード14の両端に形成された半球部15aに溶着固定されて、前記ボール15と同一形状のボールが形成される。そして、前記嵌合突部22を嵌合孔26に嵌合すると、無端状のボールチェーン9が形成される。
【0027】
このように構成されたボールチェーン9では、前記ボールチェーン9のコード14及び前記連結部16の連結コード19,23の全長に亘って同一形状のボールが同一間隔で形成される。従って、ボールチェーン9はプーリー8に対し制限なく周回可能である。
【0028】
上記のように構成されたボールチェーンでは、次に示す作用効果を得ることができる。(1)ボールチェーン9のコード14及び前記連結部16の連結コード19,23の全長に亘って同一形状のボールが同一間隔で形成される。従って、ボールチェーン9をプーリー8に対し制限なく周回させて、スラットの昇降操作を行うことができる。
(2)ボールチェーン9に通常の引張り力を超える大きな引張り力が作用したとき、連結部16の嵌合突部22と嵌合孔26の嵌合が外れる。従って、ボールチェーン9の無端縁が室内を移動する居住者やその他の移動物体に引っ掛かったとき、ボールチェーン9を切断して居住者の安全を確保し、かつボールチェーン9が掛装されるプーリー8等の損傷を未然に防止するフェイルセーフ機能を備えることができる。
(3)連結部16の嵌合突部22と嵌合孔26の嵌合が外れた後は、嵌合突部22を嵌合孔26に再度嵌合すれば、無端状のボールチェーン9として容易に再生することができる。
(4)半球状の第一の嵌合部21に形成した丸軸状の嵌合突部22を、その先端まで充実体とし、半球状の第二の嵌合部25に穿設した嵌合孔26に嵌合する構成としたので、嵌合突部22を嵌合孔26に保持する保持力を確保することができる。
(5)膨径部22aの先端部に設けた面取り22bにより、膨径部22aを嵌合孔26に容易に嵌合することができるとともに、嵌合孔26への膨径部22aの嵌合時における嵌合孔26の開口部の破損を防止することができる。
(6)第二の嵌合部25内に埋め込まれる連結コード23の長さを十分確保することができるので、第二の嵌合部25と連結コード23の接合力を十分に確保することができる。(7)図3に示すように、第一の嵌合部21はその先端から基端まで前記連結コード19が埋め込まれるように充実体でアウトサート成型されているため、第一の嵌合部21と連結コード19との接合強度を十分に確保することができる。
(8)第二の嵌合部25と連結コード23との接合距離は、第二の嵌合部25の長さの半分以上を確保しているので、連結コード23にアウトサート成型される第二の嵌合部25と連結コード23との接合強度を確保することができる。
(第二の実施形態)
図7図14は、ボールチェーン9の連結部16の第二の実施形態を示す。前記第一の実施形態と同一構成部分は同一符号を付して説明する。
【0029】
図7に示すように、連結部16は第一の連結部材27と第二の連結部材28とで構成される。前記第一の連結部材27は、図8に示すように、前記コード14と同一材質の連結コード19の一端に前記ボール15の半分の形状の半球部20が形成され、他端には第一の嵌合部29が形成されている。半球部20と第一の嵌合部29の間隔は、前記ボール15の間隔と同一である。
【0030】
前記半球部20及び第一の嵌合部29は、前記ボール15と同一の合成樹脂で前記連結コード19の両端部に形成される。
前記第一の嵌合部29の基端部は、前記ボール15の端部と同様な半球状に形成され、第一の嵌合部29の先端部には、丸軸の両側部を平行に切除した断面俵形の嵌合突部30が形成されている。
【0031】
前記嵌合突部30の先端部には、図9及び図10に示すように、俵形の長軸方向に膨径された膨径部31が形成され、その膨径部31の長軸方向の両側部の外周面に凹条32が第一の嵌合部29の軸方向に設けられている。また、前記膨径部31の先端角部には面取り33が形成されている。
【0032】
前記第二の連結部材28は、図11に示すように、前記コード14と同一材質の連結コード23の一端に前記ボール15の半分の形状の半球部24が形成され、他端には第二の嵌合部34が形成されている。半球部24と第二の嵌合部34は前記ボール15と同一の合成樹脂で成形され、半球部24と第二の嵌合部34の間隔は、前記ボール15の間隔と同一である。
【0033】
前記半球部24及び第二の嵌合部34は、前記ボール15と同一材質で前記連結コード23の両端部に形成される。
前記第二の嵌合部34の基端部は、前記ボール15の端部と同様な半球状に形成され、第二の嵌合部34の先端面の中央部には、嵌合孔35が形成されている。前記嵌合孔35は、図12に示すように、前記嵌合突部30の膨径部31を挿入可能とする俵形に開口されている。
【0034】
前記嵌合孔35の奥部は、図11及び図13に示すように、同嵌合孔35内で前記嵌合突部30を回動可能とする径で円形に形成されている。従って、嵌合孔35の開口部には前記膨径部31に係合する係止部37が線対称状に形成されている。この係止部37の開口縁は、前記嵌合突部30の基端部を回動可能とするように、円弧状に抉られている。
【0035】
前記嵌合孔35の奥部内周面の一側には前記凹条32に係合可能とした突条36が形成されている。前記突条36は、前記嵌合孔35の開口部の長軸L1と直交する短軸L2上に形成される。
【0036】
上記のような第一の嵌合部29と第二の嵌合部34を連結するには、嵌合突部30の膨径部31を嵌合孔35に挿入し、この状態で第一の嵌合部29をいずれかの方向へ90度回動させる。すると、膨径部31の凹条32が嵌合孔35内の突条36に係合して位置決めされ、図14に示すように、膨径部31が係止部37に係合して嵌合孔35内に保持される。
【0037】
この保持力は、通常のスラット昇降操作及びスラット角度調節操作時にボールチェーン9に作用する通常の引張り力では嵌合突部30と嵌合孔35の嵌合が外れることがないように設定されている。また、ボールチェーン9に通常の引張り力を超える大きな引張り力が作用したときに限り、合成樹脂の弾性により嵌合孔35の開口部が広げられて膨径部31が嵌合孔35から引き抜かれ、嵌合突部30と嵌合孔35の嵌合が外れるようになっている。
【0038】
また、嵌合突部30を嵌合孔35に嵌合した状態では、前記第一及び第二の嵌合部29,34の外形が前記ボール15と同一形状となるように形成される。
前記第一及び第二の連結部材27,28の半球部20,24は、前記コード14の両端に形成された半球部15aに溶着固定されて、前記ボール15と同一形状のボールが形成される。そして、前記嵌合突部30を嵌合孔35に嵌合すると、無端状のボールチェーン9が形成される。
【0039】
このように構成されたボールチェーン9では、前記ボールチェーン9のコード14及び前記連結部16の連結コード19,23の全長に亘って同一形状のボールが同一間隔で形成される。従って、ボールチェーン9はプーリー8に対し制限なく周回可能である。
【0040】
上記のように構成されたボールチェーンでは、次に示す作用効果を得ることができる。(1)ボールチェーン9のコード14及び前記連結部16の連結コード19,23の全長に亘って同一形状のボールが同一間隔で形成される。従って、ボールチェーン9をプーリー8に対し制限なく周回させて、スラットの昇降操作を行うことができる。
(2)ボールチェーン9に通常の引張り力を超える大きな引張り力が作用したとき、連結部16の嵌合突部30と嵌合孔35の嵌合が外れる。従って、ボールチェーンの無端縁が室内を移動する居住者やその他の移動物体に引っ掛かったとき、ボールチェーン9を連結部16で切断して居住者の安全を確保し、かつボールチェーン9が掛装されるプーリー8等の損傷を未然に防止することができる。
(3)連結部16の嵌合突部30と嵌合孔35の嵌合が外れた後は、嵌合突部30を嵌合孔35に再度嵌合すれば、無端状のボールチェーン9として容易に再生することができる。
(4)嵌合突部30の膨径部31を嵌合孔35に挿入して90度回動させることにより、嵌合突部30を嵌合孔35に嵌合する構成としたので、嵌合突部30を嵌合孔35に嵌合するための操作力は、第一の実施形態に比して軽微としながら、嵌合突部30を嵌合孔35に保持する保持力を十分に確保することができる。
(第三の実施形態)
図15図26は、ボールチェーン9の連結部16の第三の実施形態を示す。前記第一の実施形態と同一構成部分は同一符号を付して説明する。
【0041】
図15及び図16に示すように、連結部16は同一構成の2つの第一の連結部材41を筒状の第二の連結部材42で連結した構成である。
前記第一の連結部材41は、図17に示すように、前記コード14と同一材質の連結コード19の一端に前記ボール15の半分の形状の半球部20が形成され、他端には第一の嵌合部43が形成されている。前記半球部20と第一の嵌合部43との間に前記ボール15と同形状のボール44が固着され、前記第一の嵌合部43とボール44との間隔及びボール44と半球部20との間隔は、前記ボール15の間隔と同一である。
【0042】
前記半球部20及び第一の嵌合部43は、前記ボール15,44と同一の合成樹脂で前記連結コード19の両端部に成形される。
前記第一の嵌合部43の基端部は、前記ボール15の端部と同様な半球状に形成され、第一の嵌合部43の先端部には、丸軸状の嵌合突部45が形成されている。
【0043】
前記嵌合突部45の先端部の外周面上には、図16図19に示すように、丸軸の中心に対し線対称状に膨径部46が形成され、その膨径部46の中間には断面半円状の係止凹部47がそれぞれ形成されている。また、前記膨径部46の先端側及び基端側には面取り54が形成されている。
【0044】
前記嵌合突部45の基端部には、図16及び図20に示すように、丸軸の径方向に突出する回動規制部48が中心に対し線対称状に形成されている。また、各回動規制部48は、前記丸軸の中心に対し前記係止凹部47から周方向に45度隔てた位置に形成される。
【0045】
前記第二の連結部材42は、前記第一の嵌合部43及びボール15,44と同一の合成樹脂で円筒状に成形され、図21及び図22に示すように、両側の開口部49a,49bは前記嵌合突部45の膨径部46を含む先端部を挿入可能とした俵形に形成されている。また、開口部49a,49bは、その俵形の方向が円筒の中心に対し互いに90度回転した形状となっている。
【0046】
前記第二の連結部材42の内部には、前記嵌合突部45の先端部を回動可能とする径を備えた円形孔(嵌合孔)50が形成されている。そして、開口部49aの俵形の短軸方向の開口縁には、前記膨径部46の円形孔50からの抜けを妨げる係止部51a,51bがそれぞれ形成され、開口部49bの俵形の短軸方向の開口縁には、前記膨径部46の円形孔50からの抜けを妨げる係止部51c,51dがそれぞれ形成されている。
【0047】
図23及び図24に示すように、前記係止部51a〜51dと前記円形孔50の境界部には面取り53が設けられ、前記嵌合突部45が円形孔50から引き抜かれるとき、前記面取り53,54の作用により、前記係止部51a〜51dの損傷を防止するようになっている。
【0048】
また、前記係止部51a,51cの内側において、前記円形孔50の内周面には前記係止凹部47に係合する係止突部52がそれぞれ形成されている。
前記第一の連結部材41と第二の連結部材42とを連結するには、第一の嵌合部43の嵌合突部45を第二の連結部材42の開口部49aに挿入し、第一の嵌合部43を第二の連結部材42に対し時計方向に90度回動する。すると、嵌合突部45の係止凹部47が円形孔50内の係止突部52に係合し、回動規制部48が開口部49aの俵形の角部から隣の角部まで移動して、図26に示すように位置決めされる。
【0049】
また、第二の連結部材42の他方の開口部49bにも同様に第一の連結部材41を挿入して90度回動させて位置決めする。すると、図15に示すように、第二の連結部材42を介して第一の連結部材41が連結される。
【0050】
この状態では、各第一の連結部材の嵌合突部45の膨径部46が第二の連結部材42の係止部51a〜51dに係合して、第二の連結部材42の円形孔50内に保持される。
この保持力は、通常のスラット昇降操作及びスラット角度調節操作時にボールチェーン9に作用する通常の引張り力では、嵌合突部45が第二の連結部材42から外れることがないように設定されている。そして、ボールチェーン9に通常の引張り力を超える大きな引張り力が作用したときに限り、第二の連結部材42の合成樹脂の弾性により、嵌合突部45の膨径部46により第二の連結部材42の開口部49a,49bが押し広げられて、嵌合突部45が第二の連結部材42から外れるようになっている。
【0051】
また、第二の連結部材42の両側に第一の嵌合部43を嵌合した状態での外形形状は、前記ボール15と同一形状となるように形成されている。
前記第一の連結部材41の半球部20は、前記コード14の両端に形成された半球部15aに溶着固定されて、前記ボール15と同一形状のボールが形成される。そして、前記第一の連結部材41を第二の連結部材42で連結すると、無端状のボールチェーン9が形成される。
【0052】
このように構成されたボールチェーン9では、前記ボールチェーン9のコード14及び前記連結部16の連結コード19の全長に亘って同一形状のボールが同一間隔で形成される。従って、ボールチェーン9はプーリー8に対し制限なく周回可能である。
【0053】
上記のように構成されたボールチェーンでは、次に示す作用効果を得ることができる。(1)ボールチェーン9のコード14及び前記連結部16の連結コード19の全長に亘って同一形状のボールが同一間隔で形成される。従って、ボールチェーン9をプーリー8に対し制限なく周回させて、スラットの昇降操作を行うことができる。
(2)ボールチェーン9に通常の引張り力を超える大きな引張り力が作用したとき、連結部16の第一の連結部材41のいずれかと第二の連結部材42の嵌合が外れる。従って、ボールチェーンの無端縁が室内を移動する居住者やその他の移動物体に引っ掛かったとき、ボールチェーン9を連結部16で切断させて居住者の安全を確保し、かつボールチェーン9が掛装されるプーリー8等の損傷を未然に防止することができる。
(3)連結部16の嵌合が外れた後は、第一の連結部材41と第二の連結部材42を再度嵌合すれば、無端状のボールチェーン9として容易に再生することができる。
(4)嵌合突部45を第二の連結部材42の開口部49a,49bに挿入して90度回動させることにより、嵌合突部45を第二の連結部材42に嵌合する構成とした。従って、嵌合突部45を第二の連結部材42に嵌合するための操作力は、第一の実施形態に比して軽微としながら、嵌合突部45を第二の連結部材42に保持する保持力を十分に確保することができる。
(5)第二の連結部材42で連結される第一の連結部材41は、その嵌合突部45が互いに90度ずれた状態で保持されている。従って、各嵌合突部45に引張り力が作用するとき、各嵌合突部45の膨径部46が第二の連結部材42の開口部49a,49bを互いに90度ずれた方向に押し広げるように動作するため、保持力を確保することが容易である。
(6)面取り53により、前記嵌合突部45が円形孔50から引き抜かれるとき、前記係止部51a〜51dの損傷を防止することができる。
【0054】
上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・第一〜第三の実施形態において、半球部15aと半球部20,24の接合面を、半球部15aと半球部20,24の軸心に対し斜めとして、接合面の面積を増大させるようにしてもよい。
・第三の実施形態において、第二の連結部材42内の面取り53に代えて、断面直角状の段差としてもよい。
【符号の説明】
【0055】
9…ボールチェーン、14…コード、15,44…ボール、15a,20,24…半球部、16…連結部、17,27,41,61…第一の連結部材、18,28,42,62…第二の連結部材、19…連結コード、21,29,43…第一の嵌合部、22,30,45,65…嵌合突部、23…連結コード、25,34…第二の嵌合部、26,35,67…嵌合孔。
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