特許第5752790号(P5752790)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5752790
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】フェノール誘導体のヨウ素化方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 231/12 20060101AFI20150702BHJP
   C07C 235/48 20060101ALI20150702BHJP
   C07C 237/42 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
   C07C231/12
   C07C235/48
   C07C237/42
【請求項の数】15
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-513700(P2013-513700)
(86)(22)【出願日】2011年6月9日
(65)【公表番号】特表2013-528199(P2013-528199A)
(43)【公表日】2013年7月8日
(86)【国際出願番号】EP2011059594
(87)【国際公開番号】WO2011154500
(87)【国際公開日】20111215
【審査請求日】2013年3月28日
(31)【優先権主張番号】10165485.3
(32)【優先日】2010年6月10日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504448162
【氏名又は名称】ブラッコ・イメージング・ソシエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】BRACCO IMAGING S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100068526
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 恭生
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100138900
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】アッティリオ・シッテリオ
(72)【発明者】
【氏名】エリーザ・バッティスティーニ
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィデ・ベルノーメ
(72)【発明者】
【氏名】フェデリカ・ブオンサンティ
(72)【発明者】
【氏名】ルチアノ・ラットゥアーダ
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエラ・レオナルディ
(72)【発明者】
【氏名】フルヴィオ・ウッジェ−リ
(72)【発明者】
【氏名】エヴェリン・ヴィニャーレ
(72)【発明者】
【氏名】マッシモ・ヴィシガッリ
【審査官】 井上 典之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/103666(WO,A1)
【文献】 特表2002−531432(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/028608(WO,A1)
【文献】 特開2005−139079(JP,A)
【文献】 再公表特許第2006/016510(JP,A1)
【文献】 特開平07−233106(JP,A)
【文献】 特開昭61−260041(JP,A)
【文献】 特許第5469240(JP,B2)
【文献】 特表平10−506653(JP,A)
【文献】 KRETZER,H.,"Zur Kenntniss der Jodosobenzoesauren",CHEMISCHE BERICHTE,1897,VOL.30,NO.2,PP.1943-1948,347
【文献】 LUTJENS,J.,"Ueber das chemische Verhalten und die Oxydation der Tetrajodterephtalsaure, und uber Trijoddiamidob,CHEMISCHE BERICHTE,1896,VOL.29,NO.3,PP.2833-2839,533
【文献】 PATIL,B. R.,ET AL.,Iodine and iodic acid: an efficient reagent combination for iodination of aryl hydroxy ketones",TETRAHEDRON LETTERS,2005年,VOL.46,NO.42,PP.7179-7181
【文献】 FURUICHI, R.,ET AL.,"Radioactive Iodine Exchange and the Dushman Reaction",BULLETIN OF THE CHEMICAL SOCIETY OF JAPAN,1973年,VOL.46,NO.7,PP.2008-2010
【文献】 FURUICHI, R.,ET AL.,"Rate of the Dushman Reaction in Iodic Acid at Low Iodide Concentration. Complexity of Iodic Acid",BULLETIN OF THE CHEMICAL SOCIETY OF JAPAN,1975年,VOL.48,NO.3,PP.745-750
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 231/
C07C 235/
C07C 237/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式2:
【化1】
[式中、R及びR’は、同一又は互いに異なり、式-NHR1又は-NR2R3基であり、ここで、R1、R2およびR3はそれぞれ互に独立して、水酸基(OH)、C1-C5アルコキシ又はヒドロキシアルコキシ基から選択された1個以上の基によって随意に置換された直鎖又は分岐したC1-C6アルキル基を表す。]
のトリヨードフェノール化合物の製造方法であって、
ヨウ素酸の存在下、分子状ヨウ素による水性媒体中での式1:
【化2】
[式中、R及びR’は前記に同義である。]の3,5-ジ置換フェノール又はその塩のヨウ素化を含んでなる、トリヨードフェノール化合物の製造方法。
【請求項2】
式1および2の化合物において、R及びR’は、同一又は互いに異なり、-NHR1又は-NR2R3から選択された基を表し、ここでR1、R2およびR3はそれぞれ相互に独立して、1〜3個の水酸基によって随意に置換された直鎖又は分岐したC1-C4アルキル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式1および2の化合物において、R及びR’は、同一又は互いに異なる型であって、
-NHCH3
-NHCH2-CH(OH)-CH2OH
-NHCH(CH2OH)2、および、
-N(CH3)-CH2-CH(OH)-CH2OH
から選択された基を表す、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
分子状ヨウ素および3,5-ジ置換フェノール基質の間のモル比[I2/1]が1.1から1.3まで含まれ、ヨウ素酸および3,5-ジ置換フェノール基質1の間のモル比が0.4から0.8まで含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ヨウ素及びヨウ素酸による3,5-ジ置換フェノール基質1のトリヨウ素化が、3,5-ジ置換フェノール基質:ヨウ素:ヨウ素酸が1:1.2:0.6のモル比の使用により実施される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記水性媒体は水または水性溶液である、請求項1から5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
式1の3,5-ジ置換フェノール基質又はその塩の水性溶液を得る工程、及び前記水性溶液へI2およびHIO3を添加する工程を含んでなる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
3,5-ジ置換フェノール基質の前記水性溶液は、工業的プロセスから誘導されて、塩として3,5-ジ置換フェノール基質を含む粗製溶液である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
20から70 ℃まで含む温度に加熱した3,5-ジ置換フェノール基質の前記水性溶液に固体I2を添加する工程、及び、次にヨウ素酸を添加する工程を含んでなる、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
反応液が5から6までのpHを含むときにヨウ素酸が添加される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
反応時間が5から9時間まで含まれる、請求項1から10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
式5:
【化3】
[式中、R及びR’は請求項1で規定したものと同義であり、R4及びR5は同一又は互いに異なって、水素、又は1個以上の水酸基もしくはC1-C6アルコキシ基によって随意に置換された直鎖もしくは分岐したC1-C6アルキル基である。]
の化合物の製造方法であって、
a) 請求項1-11のいずれか1つに記載の方法による式2のトリヨードフェノール化合物を製造する工程;前記方法はさらに、
b) 式2の前記化合物を、そのまま又はアルカリ金属の塩の形をしているフェノール性OH基を含むいずれかを、式3:
【化4】
[式中、R4及びR5は、同一又は互いに異なり、上記で定義された通りであり、Zは、Cl又はBrから選択されたハロゲン原子、又は、メタンスルホニルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシ、ニトロベンゼンスルホニルオキシ、トルエンスルホニルオキシから選択された脱離基である。]の化合物と反応させて、式4:
【化5】
[式中、R、R’、R4およびR5は上記と同義である。]の化合物を得る工程;及び
c) 塩基の存在下、式4の化合物をスマイルス転位にかけて、式5の化合物を得る工程をさらに含んでなる、式5の化合物を製造する方法。
【請求項13】
R及びR’の両方とも-NHCH(CH2OH)2基であり、R4は水素であり、R5はメチル基である、 請求項12に記載の方法。
【請求項14】
R及びR’の両方共-NH-CH2-CH(OH)CH2OHであり、R4はメチルであり、R5は水素である式5の化合物の製造に対する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
スキーム3:
スキーム3
【化6】
に示された工程を含んでなる、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトリヨウ素化された芳香族化合物の製造方法に関する。特に、本発明はトリヨウ素化方法に関し、活性化された分子状ヨウ素による、3,5-ジ置換フェノールの対応する3,5-ジ置換-2,4,6-トリヨードフェノール(それはX線造影剤の合成のための有用な中間体である)へのトリヨウ素化方法、および造影剤自体の製造の一般的方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヨウ素化された造影剤は、X線画像診断技術で広く使用される周知の化合物である。前記化合物の好適例は、例えば、WO2009/103666(Bracco)および引用された文献で提供される。
【0003】
通常の特徴として、広く大多数の造影剤の化学構造は、増強されたコントラスト効果を提供するトリヨウ素化された芳香核を含有する。したがって、様々なルートで実施されたが、これらの造影剤の製造は、必要な工程として、例えば米国特許5,075,502号に開示された様に、芳香族基質、主として5-アミノフタール基のヨウ素化を含み、5-アミノフタール基は、利用可能な2、4および6位上のトリヨウ素化を受けて、対応する3,5-ジ置換-2,4,6-トリヨードアニリン誘導体に導かれ、それは次に、最終目的剤に変換され処理される。
【0004】
それに代えて、適切な3, 5-ジ置換フェノールのポリヨウ素化は次に、いわゆるスマイルス転位を通して予期された最終剤に変換され処理されて、対応する3,5-ジ置換-2,4,6-トリヨードフェノールに導いて、開発されてもよい。
上記の合成ルートおよびスマイルス転位への一般的な参考文献については、例えば、WO 88/09328、WO 97/05097およびWO 00/32561(Bracco)を参照せよ。
【0005】
ヨウ素化反応は当分野において知られている異なる手順により行なわれてもよい。この点で、放射性造影剤の製造については、現在使用されている工業的プロセスにおいて、芳香族基質のヨウ素化が濃塩酸(HCl)中で塩化ヨウ素(ICl)溶液を使用することにより高温で、又はそれに代えて、類似したヨウ素化剤(例えば水性溶液中の、KICl2又はNaICl2)によって典型的には実施されている;一般的な参考文献については、米国特許3,914,294号(Squibb)、WO 92/14695(Guerbet)、米国特許5,013,865号(Mallinckrodt)、WO 96/37458およびWO 96/37459(Fructamine)を参照せよ。
【0006】
上記の方法は、非常に酸性の稼働条件(酸性は、反応の間に生成したHClにより一層より強くなる)によるヨウ素化剤の腐食特性、およびそれらの制限のある貯蔵寿命という主な欠点に苦しむ。
【0007】
例として、イオメプロール(日々の診断のプラクティス中で広く使用される周知の放射性造影剤)は、式:
【化1】
の鍵中間体のヨウ素化により製造することができ、
式:
【化2】
の対応するヨウ素化された誘導体を与える。
【0008】
ヨウ素化は通常、例えばEP 185130に開示されたように、ヨウ素化剤としてKICl2又はNaICl2の水性溶液(aqueous solution)を使用し、適切なベース、典型的にはNaOHで約pH9.5に反応媒体を維持することにより実施される。
【0009】
それに代えて、フェノール基質のヨウ素化は、例えばWO00/32561中で開示された様に、ヨウ素化剤としてのICl溶液(組成: H2O中、44.5%のI及び14%のHCl w/w)の使用により、塩基、好ましくはNaOHの添加で6から7までのpH値及び25℃の温度に維持された水性媒体中で実施される。
【0010】
この点で、工業規模で稼働する場合、ヨウ素化試薬を取り扱う必要、及び、より重要なことには、使用したヨウ素化試薬の極端な酸性度を中和する必要から大きな問題が生じることは明らかである。この目的のために、実際、非常に大量のNaOHがヨウ素化溶液中にあるHCl又は反応の間に生じたHClを中和するために必要となる。
さらに、そのような強酸の中和は非常に発熱性であるので、ヨウ素化反応が殆ど瞬間的であるにも拘わらず、突然の制御しがたい温度増加を防ぐ必要性から、25℃付近に反応温度を維持する必要性は長い添加時間の使用を強制する。
【0011】
従って、塩化ヨウ素又はその誘導体の使用に代替するヨウ素化方法への試みが為されきた。この文脈において、例えば、WO 96/37461、米国3,833,490およびWO2009/103666に開示されているように、適切な芳香族基質の電気化学的ヨウ素化方法が認識されなければならない。
【0012】
それに代えて、ヨウ素酸を含む強い酸化剤の使用で適切に活性化された分子状ヨウ素による、オルト-ヒドロキシ置換芳香薬カルボニル化合物のモノヨウ素化が、Patilらにより Tetrahedron Letters 2005, 46, 7179-7181中で提案された。さらにオルト/パラ-ジヨウ素化オルトヒドロキシ芳香薬カルボニル誘導体を提供するために、同一のヨウ素化システムを使用する可能性が、ARKIVOC 2006, 104-108中で同一の著者によって示唆されている。両方の論文において、市販の95%水性エタノールが反応溶媒として使用された。
【0013】
更に、ES 528109は、メタノール中で、H2SOで酸性化され60℃まで加熱され44%の言及された(referred)収率での、H2O2(30%)によって活性化されたヨウ素による2,4,6-トリヨードフェノールの製造を開示する。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、酸化剤、典型的にはヨウ素酸の存在によって適切に活性化された分子状ヨウ素と水性媒体中で実施される3,5-ジ置換フェノール又はその塩のトリヨウ素化方法、および上記のヨウ素化工程を含むX線造影剤の製造に対する改良法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は実施例 1: 6時間の反応後の粗製溶液(最終溶液)のHPLCである。
図2図2は実施例 6:6時間の反応後の粗製溶液(最終溶液)のHPLCである。
図3図3は比較例 1:38-40℃で1.5時間後の粗製溶液のクロマトグラム(HPLC)である。
図4図4は比較例 1:38-40℃で3.5時間後の粗製溶液のHPLCである。
図5図5は比較例 1:トリヨウ素化生成物を析出した後の母液のHPLCである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1の目的は、式2:
【化3】
のトリヨードフェノール化合物の製造方法であって、
前記方法は、ヨウ素酸の存在下、分子状ヨウ素により、式1:
【化4】
[式中、R及びR’は、同一又は互いに異なり、式-NHR1、又は式の-NR2R3基を表し、ここで、R1、R2およびR3はそれぞれ相互に独立して、水酸基(OH)、C1-C5アルコキシ又はヒドロキシアルコキシ群から選択された1つ以上の基によって随意に置換される直鎖又は分岐したC1-C6アルキル基である。]の3、5-ジ置換フェノール又はその塩をヨウ素化することからなる。
【0017】
本発明のヨウ素化方法は、水性媒体中で好都合に行なわれる。
【0018】
他に説明が無い場合は、本明細書中において、用語、直鎖又は分岐したC1-C6アルキル基は、1〜6の炭素原子を有する直鎖状又は分岐したアルキル鎖を意図する。アルキル基としての好適例はメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシルおよびその他同種のものを含有する。
【0019】
上に述べたように、上記のアルキル基は1以上の水酸基、アルコキシ又はヒドロキシアルコキシ基によってさらに置換されてもよい。
【0020】
用語C1-C5アルコキシは、いかなるアルキルオキシ基も意図し、アルキル部分は、上記の直鎖又は分岐アルキル基のうちのいずれかを表わす。
【0021】
ヒドロキシアルコキシ基は、上記C1-C5アルコキシ基のうちのいずれかを表し、アルキル部分は、1つ以上の水酸基によってさらに置換される。
【0022】
本発明のアルコキシ基又はヒドロキシアルコキシ基の好適例は、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ基、n-ペンタオキシ、2-ヒドロキシエトキシ、2,3-ジヒドロキシプロポキシ、1,3-ジヒドロキシイソプロポキシなどを含有する。
【0023】
本発明の方法の好ましい実施態様によれば、式1および2の化合物内では、R及びR'は同一又は互いに異なり、-NHR1又は-NR2R3から選択された基を表わし、R1、R2およびR3はそれぞれ互いに独立して、1〜3個の水酸基によって随意に置換された直鎖又は分岐したC1-C4アルキル基、例えば1,3-ジヒドロキシイソプロプロピル、2,3-ジヒドロキシプロピル、1,3-ジヒドロキシ-2-メチル-イソプロピル又は2,3,4-トリヒドロキシブチルである。
【0024】
更により好ましくは、式1および2の化合物内では、R及びR'は、同一又は互いに異なり、
- NHCH3
- NHCH2 - CH(OH)、CH2OH
- NHCH(CH2OH)2、および、
-N(CH3) - CH2 - CH(OH) - CH2OH。
から選択された基を表わす。
【0025】
詳細に以下記載されているように、上記のすべてから、RおよびR’基の両方が反応工程に直接的役割を持たないので、R及びR’の意義の内に含有されていて望まれない副作用を受けるかも知れない随意の置換基を、反応が起こる前に適切に保護する必要があることは当業者に明らかである。
【0026】
前記基の保護および引き続く脱保護は、広く当分野において知られ有機合成技術に通常採用されている様々な方法によって遂行することができる。有機化学中の保護基への一般的な参考文献については、例えば、T. W. Green, “有機合成における保護基”(Wiley, N.Y. 1981)を見よ。
【0027】
本発明の方法は、式1のフェノール誘導体又は対応する塩のほとんど徹底的なトリヨウ素化を可能にし、及び、芳香環の部分的なヨウ素化又は他の不純物のいずれかから誘導される副生物の存在によって少なくとも重要な程度までは影響されない式2のトリヨウ素化誘導体に導くので、特に有利である。
【0028】
したがって本発明の方法で、有利には、トリヨウ素化された化合物の精製が回避され得る。実際、それは、既に粗製溶液中の工業上製造された中間体のための分析規格を満たし、したがって、単離および精製なしで、関心の対象である最終ヨウ素化試剤への次の反応工程に於いて、そのまま使用されてもよい。
【0029】
周知の求電子置換メカニズムによれば、上記で報告したように、本発明方法において、式2のトリヨードフェノール化合物の生成に導くヨウ素化反応が、HIO3の存在下、分子状ヨウ素(I2)を使用することにより生じる。
【0030】
上記の条件下では、有効なヨウ素化種は、恐らくヨウ素陽イオン(I+)によって表わされ、その一部は添加する分子状ヨウ素(I2)によって発生する。一方、得られる非反応性のヨウ化物(I-)対イオンが、HIO3によって分子状ヨウ素に、又はより高い酸化状態でヨウ素陽イオンにさえ都合よく酸化されており、それにより、それらを芳香環のヨウ素化にさらに利用可能にする。
【0031】
従って、生成したヨウ化物(I-)イオンを分子状ヨウ素に酸化することができる次の酸化剤、例えば、硝酸、硫酸、三酸化硫黄、過酸化水素、オゾンなどを含む酸化剤は、本発明方法でヨウ素酸の代替物として提案される。しかしながら本発明で特に好ましいのはヨウ素酸である。
【0032】
実際、分子状ヨウ素がヨウ素酸の存在下で使用される場合、ヨウ素化反応で形成された非反応性のヨウ化物イオンは、次の反応スキーム1:
【化5】
によるいわゆるダッシマン反応を通じて分子状のヨウ素に変換される。それは、さらに同時に、ヨウ素酸塩(IO3-)イオンを、便利な分子状ヨウ素への還元に導く(芳香環のヨウ素化にさらに利用可能) (例えば、Furuichi, R. 及び Liebhafsky, H.A. “放射性ヨウ素交換およびダッシマン反応”、Bull. Chem. Soc. Japan 1973, 46, 2008-2010 及び Bull. Chem. Soc. Japan 1975, 48, 745-750)を参照せよ。
【0033】
その結果、式1の3,5-ジ置換フェノール基質の、式2の所望のトリヨウ素化化合物への完全なトリヨウ素化は、次の一般反応スキーム2:
【化6】
でのように、添加するI2およびHIO3両方の合計として計算されて、及び唯一の反応副生物として水を生成することにより、ヨウ素化種の化学量論量を完全に消費することで得られる。このことは、有利にも、本発明のヨウ素化方法の様に、ヨウ素及びヨウ素酸の組み合わせた使用が、一方ではヨウ素化剤、特に分子状ヨウ素のいかなる余分な必要性をも回避することにより、及び、他方では副生物、特に非反応性のポリヨウ化物イオン、例えばヨウ化物イオンとI2の組み合わせから主として誘導されるI3-イオンの生成を回避することにより、式1の芳香族基質を包括的にトリヨウ素化することを可能にすることを意味する。
【0034】
特に、本発明のヨウ素化混合物に含まれる唯一の酸は、HIO3(すなわち固体酸)であって、すぐに使用できる濃縮水性溶液として市場で入手可能であり、現在の工業的ヨウ素化法で用いられるHClよりかなり弱く取り扱い容易な酸である。
【0035】
この点で、本発明のヨウ素化方法に関連するすべての酸性度(すなわち添加するHIO3に由来するか、又はヨウ素化反応の間に生成されるプロトン)は、上記の反応スキーム1の様に、前記ダッシマンのレドックス反応中で有利に消費されると云うことに注目する価値がある。その結果、非常に有利には、ヨウ素化工程の間、中和用塩基性溶液のいかなる発熱性の添加も必要とせず、及びさらに望ましくない如何なる溶液希釈をも防ぐことによって、反応pHは目標値で自己維持している。
【0036】
言いかえれば、本発明のヨウ素化方法は、一方では、非常に酸性のヨウ素化混合物の使用を回避し、および他方では、添加したヨウ素化剤から誘導されたか、又はヨウ素化反応によって発生したかいずれかの、ヨウ素化方法自体に関連した酸性すべてを消費して進行する。したがって、それは、現在使用されており、且つ、反応媒体のpHを所望の中性値に維持するために、酸性のヨウ素化混合物と一緒に添加されて、先に述べたように塩基性溶液での中和反応で発生した大量の熱をコントロールし抑制する必要に由来するヨウ素化方法に関連した主な欠点を克服することを可能にする。
【0037】
上記の結果として、本発明方法はさらに、産業上の観点から、かなりの程度まで、ヨウ素化方法の所要時間を合計10時間および好ましくは5〜9時間未満に削減することを可能にする。
【0038】
更に、大量の塩基性溶液の必要性の回避によって、本発明方法は、より高濃度(粗な反応の)の利用を通して、生成する塩(すなわちNaCl)の量を著しく減らすことを了解する。この側面は、工業的プロセスに関連した廃水の処理及び処分の問題でさらに重要になる。
【0039】
前の一般スキーム2から、本発明のヨウ素化方法は、前記の様に、芳香族基質1の各モルに対するI2およびHIO3の両方の合計として意図されて、少なくとも3モルのヨウ素化剤の使用を必要とすることになる。
【0040】
この点の安全を確保するため、本発明方法におけるフェノール基質のヨウ素化は、式1の3,5-ジ置換フェノールの各モルに対して少なくとも1モルの分子状ヨウ素を用いて実施される。好ましくは、ヨウ素および3,5-ジ置換フェノール基質1の間のモル比[I2/1]は、1.1〜1.3まで含まれる;さらにより好ましくは、ヨウ素及びヨウ素酸と3,5-ジ置換フェノール基質のトリヨウ素化は、基質1の1mol当たり1.2molのヨウ素の使用により実施される。
【0041】
他方では、複雑な反応の化学量論のために、I2及びヨウ素酸間のモル比は、少なくとも1 : 0.5に等しいものとする一方、ヨウ素酸および3,5-ジ置換フェノール基質1の間のモル比[HIO3/1]は、0.4〜0.8まで含まれる。
【0042】
従って、本発明の特に好ましい実施態様において、3,5-ジ置換フェノール基質1のヨウ素及びヨウ素酸によるトリヨウ素化は、3,5-ジ置換フェノール基質:ヨウ素:ヨウ素酸のモル比が 1:1.2:0.6のモル比の使用により実施される。
【0043】
しかしながら、実験の部で報告するように、ヨウ素又はヨウ素酸として意図したヨウ素化剤の最小の化学量論量を超えて少しの過剰、例えば1%(molで)過剰が、随意に、等しく好結果で使用されてもよい。
【0044】
この点で、亜硫酸水素ナトリウムの最少量は、例えば、随意のいかなる残余のヨウ素化種をも破壊するために、最終反応媒体に添加されてよい。この場合、最適な(重亜硫酸塩の)量は、例えば、電位差計的に決定されてよい。
【0045】
上述のように、ヨウ素化系I2/HIO3の使用を含有する本発明のヨウ素化方法は、水性媒体(aqueous medium)、例えば水、又は、生理食塩水を含む水性溶媒(aqueous solvents)、又は、それらと有機溶媒(例えばメタノールまたはエタノールを含む低級アルコール、ジオキサン又はグリコール(例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、そのメチルエーテル)との混合物中で有利に実施される。この後者の場合において、水性混合物内の有機溶媒の量は、トリヨウ素化された生成物と同様に両方のフェノール性基質又はその塩の合計の溶解度を変更しないように粗製溶液内で、適切に選ばれる。
【0046】
好ましい溶媒は水および水性溶液(aqueous solutions)(水性の食塩水など)である。
【0047】
この点で、水又は水性溶媒の使用は、特に、コスト及び環境影響の見地から、ヨウ素化系として、代わりに、活性化されたヨウ素を使用する上記の技術によって教示される有機溶媒の使用と比べて好都合である。
【0048】
さらに、有利には、水性溶媒(aqueous solvent)の使用は、通常、例えばEP 185130又はWO 00/32561の手順に従って基質化合物1が工業的に得られる水性媒体から、その引用文献で使用されている有機媒体中でのヨウ素化に合わせて、基質化合物1を抽出する必要を妨げる。
【0049】
同様に、水性溶媒の使用は、ヨウ素化された生成物2が一旦得られたならば、それを有機粗反応液から単離する必要を妨げ、次に該生成物を、今日、工業的プロセスで一般に使用される水性媒体中での所望のX線造影剤に変換してもよい。
【0050】
更に予期せずして、本発明方法のように水性溶媒の使用は、有機溶媒中で活性化されたヨウ素を使用する引用技術によって得られ次の実験のセクションの比較例1によって確認された低い反応収率の問題を解決することを可能にした。そのことは、最も蓋然性が高いのは、芳香族基質の不完全な転化およびトリヨウ素化生成物の選ばれたアルコール性媒体中への良好な溶解度の両方に帰せられそうであり、図3-5に示されるように、アルコール性媒体は、粗製溶液からトリヨウ素化生成物の徹底的な析出又は結晶化を防ぐ。
【0051】
実際、本発明方法による水性溶媒の使用は、芳香族基質のほとんど徹底的なトリヨウ素化を可能にし、図1および2から見られるように、粗製溶液において実質的に純粋なトリヨウ素化された生成物に導く。その結果、本発明方法は、ヨウ素化化合物の単離および精製工程を何ら必要としない。粗製溶液中に、まさに好収率および高純度で得られるヨウ素化化合物は、最終ヨウ素化された剤への次の反応工程中でそのまま使用されてもよい。したがって、その単離および(または)精製に起因するヨウ素化生成物の可能性あるいかなる損失も、有利に回避され得る。
【0052】
上記のすべてから、および本発明の特に好ましい実施態様によれば、ヨウ素及びヨウ素酸と3,5-ジ置換フェノール基質のトリヨウ素化は、所望の造影剤の製造に対する工業的プロセスから誘導される粗な水性溶液上で直接実施され、そこにはフェノール基質は一般にナトリウム塩として含まれる。
【0053】
本発明のヨウ素化方法は本質的に以下の工程を含む:出発物質として使用される式1の3,5-ジ置換フェノール基質又はその塩の水性溶液を得る工程、及び前記溶液へ固体I2およびHIO3を加える工程。工程の間、温度は70℃より低く保たれ、好ましくは20から70℃、より好ましくは40〜60℃を含む。
【0054】
より詳しくは、本発明方法の主要工程は、
I) 出発物質として使用される式1の3,5-ジ置換フェノール基質又はその塩の水性溶液を得る工程、
II) 次に20から70 ℃まで含む温度に熱した前記水性溶液へ固体I2を添加する工程、次いで
III) ヨウ素酸を添加する工程
を含む。
【0055】
本発明の一つの実施態様において、上記の方法の工程I)は、純粋な化合物として使用された式1の3,5-ジ置換フェノール基質又はその塩の溶液を、水性溶媒中で、典型的には水中で得る工程、及び出発物質としてこの溶液を使用する工程を含む。好ましくは、前記出発溶液は、24から10%(w/w)までの濃度、および9〜10までのpHを含む。この点で、もし本明細書中で他に示されないならば、式1のフェノール基質の適切な塩は、好ましくは、基質のアルカリまたはアルカリ土類金属の塩(例えばナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム又はマグネシウム塩)から選択される。
【0056】
特にそれらの中で好ましいのは、3,5-ジ置換フェノール基質のナトリウム塩であり、それはそのまま、すなわち、純粋な化合物として、又は、それに代えて、典型的にはトリヨウ素化された造影剤(例えば、WO00/32561中で開示されたように実施されたイオメプロール)の製造のための工業的プロセスから直接誘導された粗製溶液内に含まれるものとして、使用することができる。本発明の特に好ましい実施態様によれば、出発物質として使用される水性溶液は、一般に20から25%(w/w)にわたる濃度でナトリウム塩として出発3,5-ジ置換フェノール基質を含んでなる、所望の造影剤製造のための工業的プロセスから直接得られた、粗な水性溶液である。
【0057】
この場合、前記粗製溶液(一般に9〜10までのpHを含む)は、そのまま、又は随意に、初めの濃度の半分まで典型的には水で希釈の後に、使用されてもよい、
【0058】
次に、固体I2は、あらかじめ70℃より低い温度、好ましくは20から70℃、より好ましくは30から60℃までの温度に加熱されたフェノール基質溶液に添加される。この点で、ヨウ素がフェノール基質の加熱された溶液に添加されるとすぐに、ヨウ素化反応が、例えば添加するヨウ素、したがって生成するH+イオンによって発生したI+イオンによって開始され、周知の求電子置換機構を通して生じることは当業者に明らかであるに違いない。その結果、反応液のpHは最初の塩基性値から中性未満の値にまでも低下する。
【0059】
次に、適切な量のヨウ素酸が反応液に添加される。
この点では、反応媒体のpHが4.5〜7および好ましくは5〜6まで含む値に達したときに、好ましくはHIO3が粗製溶液に添加される。
【0060】
本発明の特に好ましい実施態様において、反応媒体が5〜5.5まで含むpH値に達したときに、適切な量のヨウ素酸が反応媒体に添加される。
【0061】
興味深いことには、実際、求電子置換反応が脱プロトン(フェノール塩)型であるフェノール上で著しく活性化されること、及びこの後者の(フェノール基質上の)モル比が溶液pHの増加と共に増加することは、当分野においてよく知られているにもかかわらず、我々は、確認されたpH条件(見かけ上は、不利)の下では、式2の3,5-ジ置換-2,4,6-トリヨードフェノール誘導体が、むしろ、予期せずして、より高い収率および純度で得られることを見いだした。
【0062】
この点で、適切な量のヨウ素酸は、反応液に直ちに、又は、それに代えて徐々に4時間以内に、通常のやり方でその時間にわたって連続的に又は部分的に添加されてもよく、かくして、基質化合物の、対応するトリヨウ素化された誘導体への累進的な転化を引き起こす。
【0063】
より詳しくは次の実験のに従って、ヨウ素酸は、2、3時間までの時間で、例えば55から65℃まで含む温度に、好ましくは約60℃の温度に加熱された出発溶液へ、迅速に添加されてもよい。むしろ、出発する溶液がより低い温度に、例えば20から50℃まで含む温度に加熱されるとき、及び、ヨウ素酸のより遅い添加が望ましいとき、それは4時間以内の時間に達成されてもよい。
【0064】
この点で、酸化剤の水性溶液が、例えば30〜55%(w/w)を含む濃度で有利に使用することができる。
【0065】
興味深いことには、上記の条件の下で作動するとき、すべてのHIO3の添加時間および引き続く完了時間の間、酸または塩基性溶液でのいかなる補正も必要とすること無く、反応液のpHは目標値、すなわち、5〜5.5まで含む値で自己維持している。
【0066】
このことは、興味深いことには、すべての部分的にヨウ素化された副生物を減らすことを可能にし、同様に、すべての不純物、例えば、可能性のあるヨウ素不均化による(アルカリ性環境中で生じ易い)不純物、又はHIO3の随意の過剰濃度および/又はその過度に増加した酸化力による(むしろ、より低いpHで生じ易い)不純物も減少させる。その結果、式2のトリヨウ素化生成物は、好ましくは、98%に等しいかより高い好収率及び高純度で粗製溶液中で得られ、したがって、所望のX線写真のコントラスト剤への次のステップでそのままで使用され、いかなる単離および更なる精製の必要もない。
【0067】
この点で、最終粗製溶液内のトリヨウ素化化合物の純度は、面積%として、又は標準(それは一般に、純粋な分離された3,5-ジ置換-2,4,6-トリヨードフェノールから成る)に対して、例えば、HPLC技術によってクロマトグラフィー的に決定され得る。
【0068】
例えば、式2のトリヨウ素化生成物の単離は、所望の場合、イオン交換樹脂または電気透析の使用、又は、粗製溶液の膜ベースの濾過および濃縮からなる、有機化学中で既知の方法を通して実施可能ではあるが、本発明の特に好ましい実施態様によれば、本発明のヨウ素化方法の使用により得られた式2のトリヨウ素化生成物の粗製溶液は、所望のX線写真用剤への次の反応工程において、該溶液が含有するヨウ素化された化合物のいかなる予めの単離又は更なる精製も受けずに、そのままで使用される。
【0069】
上記で言及された温度で操作することによって、本方法は水性溶媒の蒸発によって著しいロスに導くべきでない。より高温度での粗反応液の加熱は、むしろ、随意に分子状ヨウ素の部分的な昇華に導くかもしれない。しかしながら、以前に言及された値の範囲内で反応温度を維持することによって、ヨウ素化方法は、通常この反応物の著しい損失なしで進む。しかしながら、従来の冷却装置又は凝縮装置も、昇華したヨウ素の凝縮に使用されてもよく、次に、それは随意に少量の溶媒を通して反応に添加される。
【0070】
本発明の方法についての詳細は、例えば、本発明による3,5-ジ置換フェノールのヨウ素化に関する実施例1-7を通して次の実験の部で報告される。
しかしながら、操作性の観点から見て、請求された方法の主要な工程および好ましい条件を概括的に以下に報告する。
【0071】
例えば、1つのオプションとして、固体I2を3,5-ジ置換フェノール基質又はその塩の溶液に添加し、又は、所望のX線写真用剤の製造に対する工業的プロセスから直接得られ、予め55から65℃まで含む温度、好ましくは、約60℃の温度に加熱された後者(フェノール塩)の塩基性粗製溶液に添加する。
【0072】
次に、水性のHIO3を得られた混合物中に、反応液のpHが約5であるときからスタートして約2時間で充填する。次に、反応液をさらに4時間(完結時間)、攪拌下におよび上記の温度で維持し、次に、25℃まで冷却する。全反応時間: 約6時間。それに代えて、最初のI2及び次にHIO3を(反応液の上記pH値で)、約40℃まで加熱された出発溶液中に充填してもよい。この場合、HIO3の添加は、好ましくは、約3時間行う。次に、反応温度を50℃まで上げ、1時間この値に維持し、次に、追加的な1時間約60℃に維持し、その後、25℃まで冷却する(反応時間の合計 7時間)。再び、ヨウ素化剤(I2及びHIO3)を共に約30℃まで熱した反応液に添加する(HIO3添加時間:約4時間)。次いで、反応温度を55〜65℃に上げて、追加的に4時間維持し、その後室温に冷却する(反応時間の合計:8時間)、又は、そうでなければ、さらにI2を室温(約20C)で出発溶液に添加し、次に、その混合物を40℃まで加熱し、約4時間でHIO3を添加する;次に、粗反応液を2時間で60℃に上げ、この値に追加的に4時間維持し、次いで室温へ冷却する(反応時間の合計 9時間)。
【0073】
次に、いかなる随意の残留ヨウ素化種をも潰すために、亜硫酸水素ナトリウムの18%(w/w)の水性溶液の最少量を冷却混合物に随意に添加してよい。この点で、最終混合物(pH 5で維持された)の酸化還元電位が(例えば)0から-20mVまで含む安定した負の値に導く様な重亜硫酸塩の最少量として、最適な重亜硫酸塩量を電位差計的に決定することができる。
【0074】
それに代えて、酸化還元電位変化の読み取りを促進するために、30%(w/w)の水性NaOHで粗製溶液をpH 7に最初に調節し、維持し、次に、この場合-20〜-50mVまで含む酸化還元電位まで亜硫酸水素ナトリウム水性溶液でクエンチしてよい。
【0075】
本発明方法の出発物質として使用される式1の化合物は既知であり、もし、それ自身市場で入手可能でなければ、すべて既知の方法により製造されてよい。この点で、一般的な出典として、例えば前述のEP 185130およびWO 00/32561を参照せよ。同様に、本発明方法に採用されている他の反応物および(または)溶媒は、既知であり、容易に入手可能である。
【0076】
式2の3,5-ジ置換-2,4,6-トリヨードフェノール誘導体は、一旦得られたならば、関心の対象である対応する放射性造影剤に容易に変換され得る。
従って、本発明の更なる目的は、式5:
【化7】
[式中、RおよびR’は、同一又は互いに異なり、前記と同義であり、R4及びR5は、同一又は互いに異なり、水素又は1つ以上の水酸基又はC1-C6アルコキシ基によって随意に置換された直鎖又は分岐したC1-C6アルキル基である。]のトリヨードフェノール化合物の製造方法であって、
前記方法は、実質的に上述したように、式1の3,5-ジ置換フェノール基質又はその塩を本発明方法によるHIO3の存在下に分子状ヨウ素でヨウ素化して、式2の3,5-ジ置換-2,4,6-トリヨードフェノール誘導体を製造する工程を含んでなる。
【0077】
より好ましくは、前記方法は、
a) HIO3の存在下、分子状ヨウ素により水性媒体中で、式1の3,5-ジ置換フェノール基質又はその塩をヨウ素化して、対応する式2の2,4,6-トリヨードフェノール誘導体を得る工程を含んでなり;さらに前記方法は、
b) 得られた式2の化合物(ここで、フェノール性OH基は随意に、アルカリ金属で塩の形をしていてもよい。)を、式3:
【化8】
[式中、R4及びR5は、同一又は互いに異なり、上記で定義された通りであり、Zは、ハロゲン原子、例えばCl、Br、I、好ましくはCl又はBrであり、又は任意の適切な脱離基、例えばスルホン酸残基(例えばメタンスルホニルオキシ(MeSO2O-)、ベンゼンスルホニルオキシ(PhSO2O-)、ニトロベンゼンスルホニルオキシ(p-NO2PhSO2O-)、(トルエンスルホニルオキシ(TsO-)、など)であり、好ましくは、トルエンスルホニルオキシである。]の化合物と反応させて、式4:
【化9】

[式中、R、R’、R4およびR5は上記と同義である。]の化合物を得る工程;及び
c) 塩基の存在下、式4の化合物をスマイルス転位にかけて、式5:
【化10】
の所望の最終化合物を得るように工程をさらに含んでなる。
【0078】
X線造影剤を製造する前記方法によれば、ヨウ素化工程a)は、広範囲に上で報告したように本発明方法によって実施される。一方、引き続く工程b)およびc)については、実験条件及び随意の変更の全体が当分野で知られており、並びに、例えば特許出願WO97/05097、WO 88/09328、EP 185130およびWO 00/32561に記載されている。
【0079】
好ましくは、本発明の方法は、式5の化合物の内、R及びR’が、同一又は互いに異なる型であって、
-NHCH3
-NHCH2-CH(OH)-CH2OH
-NHCH(CH2OH)2、および、
-N(CH3)-CH2-CH(OH)-CH2OH
から選択された基を表し、R4及びR5が、同一又は互いに異なって、水素又はメチル基であるX線造影剤の製造に適用されてもよい。
【0080】
さらにより好ましくは、本発明の方法は、イオパミドール(ここで、それぞれに、RおよびR’は両方とも-NH-CH(CH2OH)2基を表わし、R4は水素であり、R5はメチルである;The Merck Index, XIII Ed., 2001, No. 5073を参照せよ)又はイオメプロール(ここで、それぞれに、RおよびR’は両方とも-NH-(CH2)CH(OH)CH2OH基を表わし、R4はメチルであり、R5は水素である;The Merck Index, XIII Ed., 2001, No. 5071を参照せよ。)のような広く知られているX線造影剤の製造に適用されてもよい。
【0081】
したがって、本発明の更なる実施態様は、イオパミドール又はイオメプロールの製造方法であって、本発明の方法により、ヨウ素酸の存在下、分子状ヨウ素により式1aおよび1bに対応する基質化合物のヨウ素化によってそれぞれ得られる式2a又は2bの化合物から出発することからなる、という点で特徴付けされる。
【化11】
【0082】
特に、イオメプロールの製造方法は、本質的に、次のスキーム3:
スキーム3
【化12】
に表わされた工程を含んでなり、並びに、ヨウ素酸の存在下、分子状ヨウ素によるヨウ素化工程iii)、および連続的操作により、即ち、本方法の前の工程ii)から得られた式1bの化合物の粗製溶液上で直接的に実施され、その結果、式2bのヨウ素化化合物の粗製溶液を与え、複雑な中間体のうちのいずれの単離又は精製もなしで、中間体4bへの次のアルキル化工程iv)中でそのまま使用されるという点が特徴とされる。
【0083】
上記の方法において、広範囲に上に報告されたように、工程iii)は本発明のヨウ素化方法により実施され、一方、工程、i)、ii)、iv)およびv)は、それについての実験条件及び随意の変更の概要は、WO 00/32561および引用文献に従って実施される。
【0084】
この点で、水性NaOHなどの塩基の使用および最終剤の精製を含む本方法の工程v)中の好ましいスマイルス転位反応条件は、例えば、EP365,541で開示される。
【0085】
本発明のヨウ素化方法に関する更なる詳細は、いかなる限定も意味せずに、本発明をより良く示すという唯一の目的の下に、次の実験の部で報告される。
【0086】
<実験の部>
[得られた化合物のキャラクタリゼーション]
得られた3,5-ジ置換-2,4,6-トリヨードフェノールおよびそれらの誘導体の純度は、標準として純粋な化合物を使用して、HPLCによって決定した。
[基本手順]
[HPLCクロマトグラフ法]
固定相:Zorbax SB C18, 3,5 (m, 150 x 4.6 mm (Agilent Technologies)
移動相:A: 0.010 M KH2PO4+ 0.1%のH3PO4
B: MeOH
溶出: グラディエント溶出
グラディエント表:
【表1】
温度:45℃
検出:UV(240-300nm)
フロー:150ml/min
サンプル濃度:1mg/mL
注入:10μL
【0087】
実施例 1
[式2の化合物の製造:ここで、RおよびR’は両方とも-NH-CH2-CH(OH)CH2OH基であり、60℃で加熱された出発溶液を使用した。]
メカニカルスターラー、コンデンサーおよび一体化したpH/温度電極を装備した2Lの4つ口ジャケットリアクター中で、フェノールの22.8%(w/w)に対応する3,5-ジ置換フェノール1ナトリウム塩の水性溶液(1175gの溶液; 0.816mol; pH 9.6)を60℃に加熱し、次に固体I2(250.6g; 0.988mol)を1纏まりで添加した。pHが5まで自然に低下したとき、HIO3(173.6g; 0.494mol)の50%(w/w)水性溶液を、2時間、徐々に添加した。反応液をさらに4時間、60℃で維持した。その間に、pHは自然に5-5.5に維持された。赤色溶液を25℃まで冷却し、脱色するまで、及び適切な酸化還元電極で測定された酸化還元電位が0から-20mVにわたる安定した負の値に達するまで、亜硫酸水素ナトリウムの18%(w/w)水性溶液の添加によってクエンチした。
クエンチングの間に、反応液は、NaOHの30%(w/w)の水性溶液の最少量の添加によってpH 5に維持した。
HPLC解析(図1に報告した)は、3,5-ジ置換-2,4,6-トリヨードフェノール2bへの転化を>98%(HPLC面積%)示した。溶液はそれ以上の処理無しで、次の合成工程で使用した。
【0088】
実施例 2
[式2の化合物の製造:ここで、RおよびR’は両方とも-NH-CH2-CH(OH)CH2OH基であり、40℃で加熱した出発溶液を使用した。]
メカニカルスターラー、コンデンサーおよび一体化したpH/温度電極を装備した2Lの4つ口ジャケットリアクター中で、40℃に加熱したフェノールの22.8%(w/w)に対応する3,5-ジ置換フェノール1ナトリウム塩の水性溶液(1175gの溶液; 0.816mol; pH 9.6)へ、固体I2(250.6 g; 0.988 mol)を一纏まりで添加した。pHが5まで自然に低下したとき、HIO3(173.6g; 0.494mol)の50%(w/w)水性溶液を、3時間で徐々に添加した。次に、反応液を40℃で2時間、50℃で1時間及び60℃で1時間加熱した。その間、pHは自然に5-5.5に止まっていた。赤色溶液を25℃まで冷却し、亜硫酸水素ナトリウムの18%(w/w)水性溶液の添加によって、脱色するまで、及び適切な酸化還元電極で測定された酸化還元電位が-20から-50mVにわたる安定した負の値に達するまでクエンチした。その間、NaOHの30% (w/w)水性溶液でpH 7に調整し、維持した。
HPLC解析は、3,5-ジ置換-2,4,6-トリヨードフェノール2bへの転化を>98%(HPLC面積%)示した。溶液はそれ以上の処理無しで、次の合成工程に使用した。
【0089】
実施例 3
[式2の化合物の製造:ここで、RおよびR’は両方とも-NH-CH2-CH(OH)CH2OH基であり、30℃で加熱された出発溶液を使用し、最終クエンチングは亜硫酸水素塩によりpH 5で行った。]
メカニカルスターラー、コンデンサーおよび一体化したpH/温度電極を装備した4Lの4つ口ジャケットリアクター中で、フェノールの22.8%(w/w)に対応する3,5-ジ置換フェノール1ナトリウム塩の水性溶液(1175gの溶液; 0.816mol; pH 9.6)をH2O (1054 g)で希釈し、30℃に加熱し、次に固体I2(250.6g; 0.988mol)を1纏まりで添加した。pHが5まで自然に低下したとき、HIO(173.6g; 0.494mol)の50%(w/w)の水性溶液を、4時間で徐々に添加した。反応液を60℃に上げ、さらに4時間、この温度で維持した。その間に、pHは自然に5-5.5に維持された。赤色溶液を25℃まで冷却し、亜硫酸水素ナトリウムの18% (w/w)水性溶液の添加で、脱色するまで、及び適切な酸化還元電極で測定された酸化還元電位が0から-20mVにわたる安定した負の値に達するまでクエンチした。その間、NaOHの30%(w/w)水性溶液の添加によってpH 5に維持した。
HPLC解析は、3,5-ジ置換-2,4,6-トリヨードフェノール2bへの転化を>98%(HPLC面積%)示した。溶液はそれ以上の処理無しで、次の合成工程に使用した。
【0090】
実施例 4
[式2の化合物の製造:ここで、RおよびR’は両方とも-NH-CH2-CH(OH)CH2OH基であり、30℃で加熱された出発溶液を使用し、クエンチングは亜硫酸水素塩によりpH 7で行った。]
メカニカルスターラー、コンデンサーおよび一体化したpH/温度電極を装備した4Lの4つ口ジャケットリアクター中で、フェノールの22.8%(w/w)に対応する3,5-ジ置換フェノール1ナトリウム塩の水性溶液(1175gの溶液; 0.816mol; pH 9.6)をH2O (1054 g)で希釈し、30℃に加熱し、次に固体のI2(250.6g; 0.988mol)を1纏まりで添加した。pHが5まで自然に低下したとき、HIO(173.6g; 0.494mol)の50%(w/w)の水性溶液を、4時間で徐々に添加した。次に反応液を60℃に上げ、さらに4時間、この温度で維持した。その間に、pHは自然に5-5.5に維持された。赤色溶液を25℃まで冷却し、脱色するまで、及び適切な酸化還元電極で測定された酸化還元電位が-20から-50mVにわたる安定した負の値に達するまで、亜硫酸水素ナトリウムの18%(w/w)水性溶液の添加によってクエンチした。その間、NaOHの30% (w/w)水性溶液でpH 7に調整し、維持した。
HPLC解析は、3,5-ジ置換-2,4,6-トリヨードフェノール2bへの転化を>98%(HPLC面積%)示した。溶液はそれ以上の処理無しで、次の合成工程に使用した。
【0091】
実施例 5
[式2の化合物の製造:ここで、RおよびR’は両方とも-NH-CH2-CH(OH)CH2OH基であり、室温(約60℃)に保たれた出発溶液を使用した。]
メカニカルスターラー、コンデンサーおよび一体化したpH/温度電極を装備した4Lの4つ口ジャケットリアクター中で、フェノールの22.8%(w/w)に対応する3,5-ジ置換フェノール1ナトリウム塩の20℃に保たれた水性溶液(1175gの溶液; 0.816mol; pH 9.6)を最初にH2O (1054 g)で希釈し、次に固体のI2(250.6g; 0.988mol)を1纏まりで添加した。得られた反応溶液を次に40℃に加熱し、pHが5まで自然に低下したとき、HIO(173.6g; 0.494mol)の50%(w/w)の水性溶液を、4時間で徐々に添加した。次に、粗製溶液を2時間にわたって60℃まで上げ、さらに3時間60℃で維持した;その間、pHは自然に5-5.5に止まっていた。 赤色の溶液をここで25℃まで冷却し、30%(w/w)水性NaOHでpH 7に調節し、維持し、脱色及び適切な酸化還元電極で測定された酸化還元電位の安定した負の値(-20から-50mVにわたって)になるまで亜硫酸水素ナトリウム(18%(w/w)の水性溶液)でクエンチした。
HPLC解析は、3,5-ジ置換-2,4,6-トリヨードフェノール2bへの転化を>98%(HPLC面積%)示した。溶液はそれ以上の処理無しで、次の合成工程に使用した。
【0092】
実施例 6
[式2の化合物の製造:ここで、Rは-NH-CH2CH(OH)CH2OHであり、R’は-NH-CH(CH2OH)2であり、60℃で加熱された出発溶液を使用した。]
メカニカルスターラー、コンデンサーおよび一体化したpH/温度電極を装備した1Lの4つ口ジャケットリアクター中で、N-(2,3-ジヒロドキシプロピル)-N-[2-ヒドロキシ-1-(ヒドロキシメチル)エチル]-5-ヒドロキシ-1,3-ベンゼンジカルボキサミド(100.3g; 0.305mol)をH2O(430g)中に溶解し、30%(w/w)のNaOH(40.6g; 0.305mol)(pH 9.5)の添加によって対応するナトリウム塩に変換した。その溶液を60℃で加熱し、固体I2(93.1g; 0.367mol)を一纏めで添加した;pHが5まで自然に低下したとき、HIO3(64.5g; 0.183mol)の50%(w/w)の水性溶液を、2時間、徐々に添加した。反応液をさらに4時間、60℃で維持した。その間に、pHは自然に5-5.5に維持された。赤色溶液を25℃まで冷却し、亜硫酸水素ナトリウムの18% (w/w)水性溶液の添加でクエンチし、脱色するまで、及び適切な酸化還元電極で測定された酸化還元電位が0から-20mVにわたる安定した負の値に達するまで、NaOHの30%(w/w)水性溶液の添加によってpH 5に維持した。
HPLC解析(図2に)は、N-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-N'-[2-ヒドロキシ-1-(ヒドロキシメチル)エチル]-5-ヒドロキシ-2,4,6-トリヨード-1,3-ベンゼンジカルボキサミドへの転化を>98%(HPLC面積%)示した。溶液はそれ以上の処理無しで、次の合成工程で使用した。
【0093】
実施例 7
[式2の化合物の製造、ここで、RおよびR’は両方ともNH-CH(CH2OH)2基であり、60℃で加熱した出発溶液を用いた。]
メカニカルスターラー、コンデンサーおよび一体化したpH/温度電極を装備した0.5Lの4つ口ジャケットリアクター中で、N,N-bis[2-ヒドロキシ-1-(ヒドロキシメチル)エチル]-5-ヒドロキシ-1,3-ベンゼンジカルボキサミド(50g; 0.152mol)をH2O(215g)中に溶解し、30%(w/w)のNaOH(20.3g; 0.152mol)(pH 9.5)の添加によって対応するナトリウム塩に変換した。その溶液を60℃で加熱し、固体I2(46.4g; 0.183mol)を一纏めで添加した;pHが5まで自然に減少した時、HIO3(32.2g; 0.091mol)の50%(w/w)の水性溶液を、2時間、徐々に添加した。反応液をさらに4時間、60℃で維持した。その間、pHは自然に5-5.5に維持された。赤色の溶液を25℃まで冷却し、18%(w/w)亜硫酸水素ナトリウ水性溶液を添加してクエンチし、脱色及び適切な酸化還元電極で測定された酸化還元電位の安定した負の値(-20から-50mVにわたって)になるまで, 30% (w/w) NaOH水でpH 5に維持した。
HPLC解析により、N,N'-ビス[2-ヒドロキシ-1-(ヒドロキシメチル)エチル]-5-ヒドロキシ-2,4,6-トリヨード-1,3-ベンゼンジカルボキサミドへの転化を>98%(HPLC面積%)示した。溶液はそれ以上の処理無しで、次の合成工程で使用した。
【0094】
比較例 1:
[この試験は、Patilらにより、RKIVOC, 2006, 104 及びTetrahedron Lett., 2005, 46, 7179によって開示された、ヨウ素化条件の開発可能性を評価するために行なった。]
温度計及びコンデンサーを装備した50mL 3つ口丸底フラスコ中で、固体3,5-ジ置換フェノール1(16.4g; 50mmol)をエタノール中に懸濁した(30mL)。38-40℃に熱した得られた懸濁液に、次に、固体I2(15.2g; 60mmol)を一纏めで、および、HIO3(5.3g; 30mmol)のH2O溶液(3mL)を5分に亘って、それぞれ添加した。得られた暗褐色混合物は、反応液の透明な暗褐色溶液への変化を記録する前に、1時間位の間、38-40℃で攪拌下に維持した。反応液は合計3.5h間上記の温度条件で維持し、次に、室温に冷却して、淡黄色固体生成物の結晶化を促進した。室温で15時間の後、固体をろ過し乾燥して、所望の3,5-ジ置換-2,4,6-トリヨードフェノール(12.1g; 17mmol)を得た。収率34.3%。
ヨウ素化反応をHPLCでフォローアップし分析した。特に、第1のチェックは、ヨウ素化の始め(引用された技術によって示唆された反応時間)の1.5時間後に行なった(図3に報告した)。さらに2時間(全反応時間3.5時間)の後の第2のチェックは図4に報告した。得られた結果は、3.5時間後でさえ転化が完了していなく、かなりの量の出発基質(13%、HPLC面積%)が、依然存在することを示す。他方では、より延長された反応時間は著しい量の分解不純物の生成に導き、3.5時間の反応後に既によく検知できる(図4)。これは疑いなく収率に悪影響を及ぼす因子である。しかしながら、不十分な反応収率は、図5に示される母液の分析によって確認さる様にアルコール性媒体中での3,5-ジ置換-2,4,6-トリヨードフェノール2bの溶解度にも帰することができて、それはヨウ素化生成物の定量的回収を妨げる。
この点で、本発明方法の使用により得られた粗製溶液(それぞれ、実施例1および6の)のクロマトグラム(HPLC)を報告している図1および2と図3-5とを比較するとき、前述の結果で解決された水性媒体及び操作条件の使用に起因する反応収率及び生成物純度の両方における改良が明白である。
図1
図2
図3
図4
図5