【実施例】
【0012】
図1は、本実施例に係る携帯電話機の表示側筐体をスライドさせずに閉じた状態の外観を示す斜視図である。
図2は、本実施例に係る携帯電話機の表示側筐体をスライドさせて開いた状態の外観を示す斜視図である。
図3は、本実施例に係る携帯電話機の表示側筐体の分解斜視図である。
【0013】
図1および
図2に示すように、本実施例の携帯電話機100は、表示側筐体110と操作側筐体190とを備える。表示側筐体110と操作側筐体190は、図示しないスライド機構を介して相対的にスライド移動可能に連結されている。
図1は、表示側筐体110がスライドされておらず、表示側筐体110と操作側筐体190とが全面的に重なり合っている閉状態を示している。また、
図2は、表示側筐体110がスライドされて、表示側筐体110と操作側筐体190とが最小の重なり範囲で重なった開状態を示している。このようなスライド型の携帯電話機100は、一般に、非使用時には表示側筐体110と操作側筐体190とが重ねられて閉状態となる。
【0014】
図3に示すように、表示側筐体110は一面が開口されている。表示側筐体110内の空間は、表示側筐体110の底面から立設する隔壁112によって仕切られており、部品を収容する第1の空間114と第2の空間116とが形成される。第1の空間114には、表示部120が収容される。また、第2の空間116には、表示側筐体110の底面に両面テープ128を介して貼り付けられるプリント基板モジュール130と、プリント基板モジュール130上に配置されるフロントキーモジュール170とが収容される。フロントキーモジュール170は、携帯電話機100の各種操作を行うための操作モジュールである。
【0015】
表示部120は、表示モジュール122と、パッキン124と、液晶パネルなどの表示パネル126とを有して構成される。表示側筐体110の底面側に表示モジュール122が収容され、パッキン124を介して表示パネル126が表示側筐体110の開口側に収容される。パッキン124は、表示パネル126と表示モジュール122の間に介挿され、表示モジュール122の表示面の周囲を封止する。これにより、表示パネル126と表示モジュール122の表示面との間への異物の進入を防止することができる。また、パッキン124は、表示パネル126を表示モジュール122の表示面から離間させて、表示面に表示パネル126が接触することによる表示のにじみなどを防止する。
【0016】
プリント基板モジュール130は、フロントキーモジュール170側の表面に複数のメタルドーム132などの接点スイッチが設けられるとともに、複数のLED134(Light Emitting Diode)などの各種部品が実装される。複数のLED134のうちの一部は、フロントキーモジュール170の複数のキートップ174のうち後述する中央キートップ174aに対応する位置に実装され、プリント基板モジュール130からの給電を受けて中央キートップ174aに向けて光を発する。
【0017】
フロントキーモジュール170は、プリント基板モジュール130上に載置される矩形のベースラバー172と、ベースラバー172上に貼り付けられた複数のキートップ174とを備える。また、フロントキーモジュール170は、ベースラバー172上に貼り付けられる多方向入力ユニット176と、ベースラバー172上に設けられるカバー178とを備える。ベースラバー172は、透光性を有する材料により形成されており、プリント基板モジュール130に実装されたLED134が発する光を中央キートップ174aへ導光する。ベースラバー172のプリント基板モジュール130側の面には、メタルドーム132の位置に対応する位置に、メタルドーム132を押下する突起状の押し子が形成されており、ユーザのキートップ174の押下操作によって、メタルドーム132を押下する。
【0018】
複数のキートップ174は、ベースラバー172の3辺に沿うように貼り付けられる。また、複数のキートップ174には、それぞれ、ベースラバー172の中央方向を臨む側面からベースラバー172の中央方向に突出するフランジ部180が形成される。また、複数のキートップ174のうちベースラバー172の中央位置に設けられた中央キートップ174aは、ユーザの決定操作を受付けるいわゆる決定キーである。中央キートップ174aは、透光性を有する材料により形成されている。中央キートップ174aは、プリント基板モジュール130に実装されたLED134が発する光を導光して外部へ放射する。これにより、LED134が発する光が中央キートップ174aを介してユーザに照明として伝達され、イルミネーション効果が得られる。
【0019】
多方向入力ユニット176は、ベースラバー172の略中央部上に貼り付けられる。多方向入力ユニット176は、回転・押し下げ・傾倒操作が可能な構成とされた回転操作型エンコーダを備えた入力ユニットである。多方向入力ユニット176の詳細は後述する。
【0020】
カバー178は、矩形の板状に形成されるとともに、中央部に多方向入力ユニット176の一部を貫通させる貫通穴186が形成される。また、カバー178の表示側筐体110側の面の4隅にはネジ穴188が形成されており、表示側筐体110の背面に形成されたネジ貫通穴118から挿入されるネジ119と、ネジ穴188によってカバー178は表示側筐体110に固定される。カバー178を表示側筐体110へ固定することによって、カバー178は、キートップ174のフランジ部180と多方向入力ユニット176の後述のフランジ部150とに当接し、キートップ174と多方向入力ユニット176の離脱を防止する。カバー178を表示側筐体110へ固定した状態では、カバー178は、表示側筐体110の一部となる。
【0021】
操作側筐体190には、携帯電話機100の各種操作を行うためのキーモジュール192が収容される。また、操作側筐体190には、携帯電話機100の通信に関する信号処理、および表示パネルに文字や画像を表示させるための信号処理などの各種処理を行う部品が搭載された本体プリント基板モジュールが収容される。また、操作側筐体190の側面には、例えば通話音量の調整用の操作キー194が設けられる。
【0022】
次に、多方向入力ユニット176の詳細を説明する。
図4は、多方向入力ユニット176の拡大斜視図である。
図5は、多方向入力ユニット176の平面図である。
図6は、多方向入力ユニット176の側面図である。
図7は、多方向入力ユニット176の設置状態を示す表示側筐体110の断面図である。
【0023】
図4〜
図6に示すように、多方向入力ユニット176は、回転操作型エンコーダを内部に搭載した入力ユニットであり、環状に形成された基部140と、環状の基部140の外周面から突出して形成されたフランジ部150とを有する。
【0024】
環状の基部140は、ベースラバー172の中央キートップ174a(
図3参照)を囲繞するように環状に形成されている。また、環状の基部140のベースラバー172と反対側の面には、基部140の中央方向に向かって厚みが小さくなるように傾斜する傾斜部142が形成される。傾斜部142には、基部140の中央に対して放射状に配置される複数の突起144が設けられる。傾斜部142および複数の突起144は、多方向入力ユニット176に対するユーザの回転・押し下げ・傾倒操作を受け付けて回転操作型エンコーダに伝達する。これにより、回転操作型エンコーダによる種々の機能が実現される。
【0025】
また、環状の基部140は、カバー178の貫通孔186を貫通し、貫通孔186と基部140との間に、後述のフランジ部150から放射される光を導光する隙間を形成する。
【0026】
フランジ部150は、表示側筐体110に固定された状態のカバー178に係合する。すなわち、フランジ部150は、カバー178が表示側筐体110に固定された状態でカバー178と重合する。これにより、ユーザの操作を受付けた多方向入力ユニット176がベースラバー172と離れる方向に姿勢を崩した場合でも、フランジ部150がカバー178と当接するため、表示側筐体110からの多方向入力ユニット176の離脱を防止することができる。
【0027】
また、フランジ部150は、透光性を有する材料により形成されている。フランジ部150は、プリント基板モジュール130に実装されたLED134が発する光を導光して外部へ放射する。これにより、LED134が発する光がフランジ部150を介してユーザに照明として伝達され、中央キートップ174aからの照明と協働した独特のイルミネーション効果が得られる。
【0028】
また、フランジ部150は、LED134が発する光を拡散させる光拡散材を含んでいる。光拡散材は、例えば、透光性を有する球状の微小粒子である。フランジ部150は、LED134が発する光をかかる光拡散材に当てることにより、光を周囲に均一に分散させることができ、フランジ部150の外観を光で強調した幻想的な雰囲気を醸し出すことができる。
【0029】
さらに、本実施例の基部140とフランジ部150とは、透光性を有する材料により一体形成されるとともに、基部140のみに遮光処理140aが施されている。このように、基部140とフランジ部150とを同一の材料により一体形成することにより、多方向入力ユニット176の製造コストを削減することができる。さらに、基部140のみに遮光処理140aを施すことにより、LED134が発する光を基部140により遮光するとともにフランジ部150へ容易に導光させることができる。その結果、フランジ部150からの照明と中央キートップ174aからの照明とを協働させた独特のイルミネーション効果を効率的に実現することができる。
【0030】
次に、多方向入力ユニット176と中央キートップ174aとによる照明作用について説明する。プリント基板モジュール130に実装されたLED134から発せられた光の一部は、ベースラバー172の中央キートップ174aに向かって進み、中央キートップ174aを透過することにより中央キートップ174aから外部へ放射される。これにより、LED134から発せられた光の一部が、
図7に示すように、中央キートップ174aを介してユーザに照明Pとして伝達される。
【0031】
一方、LED134から発せられた光の他の一部は、多方向入力ユニット176に向かって進み、基部140により遮光される一方でフランジ部150を透過することにより、基部140とカバー178との隙間から外部へ放射される。これにより、LED134から発せられた光の他の一部が多方向入力ユニット176のフランジ部150を介してユーザに照明Qとして伝達される。
【0032】
このように、中央キートップ174aからの照明Pと多方向入力ユニット176のフランジ部150からの照明Qとを協働させることにより、ユーザに対して新鮮な見栄えの照明を伝達することができる。その結果、イルミネーション効果を効率的に向上させることができる。
【0033】
上述してきたように、本実施例では、中央キートップ174aの外周面を囲繞する環状の基部140の外周面からフランジ部150を突出形成し、フランジ部150を表示側筐体110の一部となるカバー178に係合する。これとともに、フランジ部150によりLED134が発する光を導光して放射する。このため、本実施例によれば、イルミネーション効果を向上させるとともに表示側筐体110からの多方向入力ユニット176の離脱を防止することができる。
【0034】
また、本実施例では、フランジ部150は、LED134が発する光を発散させる光拡散材を含んでいる。このため、本実施例によれば、フランジ部150がLED134からの光を光拡散材に当てることにより、光を周囲に均一に分散させることができ、フランジ部150の外観を光で強調した幻想的な雰囲気を醸し出すことができる。
【0035】
また、本実施例では、基部140とフランジ部150とは、透光性を有する材料により一体形成されるとともに、基部140には遮光処理が施されている。このため、本実施例によれば、多方向入力ユニット176の製造コストを可及的に削減するとともに、フランジ部150からの照明と中央キートップ174aからの照明とを協働させた独特のイルミネーション効果を容易に実現することができる。
【0036】
(他の実施例)
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において、種々の異なる実施例にて実施することもできる。
【0037】
すなわち、本実施例では、表示側筐体110と操作側筐体190とをスライド移動可能に連結するスライド機構を用いたスライド方式の携帯電話機を例に挙げて説明したが、本願の開示する電子機器は、スライド方式以外の携帯電話機にも適用することができる。例えば、本願の開示する電子機器は、折り畳み方式や平面回転方式の連結機構により一方の筐体に対して他方の筐体を可動自在とした携帯電話機にも同様に適用することができる。
【0038】
また、本実施例では、電子機器を携帯電話機へ適用する例を説明したが、本願の開示する電子機器は、これに限定されるものではない。例えば、本願の開示する電子機器は、PDAのような小型情報処理端末、小型音楽再生装置、携帯テレビ、携帯型ゲーム機等の他の各種の電子機器にも適用することができる。