(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5752950
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】アンチ・スプレイ装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/58 20060101AFI20150702BHJP
【FI】
A61B17/58
【請求項の数】25
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-31227(P2011-31227)
(22)【出願日】2011年2月16日
(65)【公開番号】特開2011-167515(P2011-167515A)
(43)【公開日】2011年9月1日
【審査請求日】2014年1月27日
(31)【優先権主張番号】12/707,382
(32)【優先日】2010年2月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510082204
【氏名又は名称】ブラックストーン メディカル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(72)【発明者】
【氏名】マーク イー セムラー
(72)【発明者】
【氏名】ブルース フランケル
【審査官】
森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2008/0119849(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0261687(US,A1)
【文献】
国際公開第2009/132110(WO,A1)
【文献】
特表2011−518030(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0087293(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0174325(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00 − 18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンチ・スプレイ装置であって、
頭部、
機械的締結組立体の受容部材の複数の対向するアームであって、前記複数の対向するアームは前記頭部から延在する、複数の対向するアーム、及び
前記複数の対向するアームを接合するブリッジ部、を有し、
前記ブリッジ部は、複数の脆弱性の接続箇所によって前記アームに対して接合され、
前記ブリッジ部及び前記複数の脆弱性の接続箇所の両方は、前記頭部の遠位の前記複数の対向するアームの端部の近位に位置する、
アンチ・スプレイ装置。
【請求項2】
前記脆弱性の接続箇所間の或る位置において前記ブリッジ部に対して接合される1つ又はそれより多くのタブを更に有する、
請求項1記載のアンチ・スプレイ装置。
【請求項3】
前記ブリッジ部は、リング、チューブ、2つ又はそれより多くの弧、ノッチを有する弧、ノッチを有するリング、又はノッチを有するチューブを有する、
請求項1記載のアンチ・スプレイ装置。
【請求項4】
前記1つ又はそれより多くのタブは、開口又はくぼみ部を更に有する、
請求項2記載のアンチ・スプレイ装置。
【請求項5】
前記1つ又はそれより多くのタブは、長方形、四角形、六角形、又は楕円形である、
請求項2記載のアンチ・スプレイ装置。
【請求項6】
前記受容部材は2つの対向するアームを有する、
請求項1記載のアンチ・スプレイ装置。
【請求項7】
複数のタブを更に有し、
前記ブリッジ部はリング形状であり、
前記タブは、該ブリッジ部から上方向に延在しかつ4つの脆弱性の接続箇所によって該ブリッジ部に対して接続される、
請求項1記載のアンチ・スプレイ装置。
【請求項8】
前記複数の対向するアームの1つ又はそれより多くの上方部分において凹部を更に有する、
請求項1記載のアンチ・スプレイ装置。
【請求項9】
前記脆弱性の接続箇所のうち1つ又はそれより多くにおいて分割セクションを更に有する、
請求項1記載のアンチ・スプレイ装置。
【請求項10】
アンチ・スプレイ装置であって、
頭部、
機械的締結組立体の受容部材の2つのアームであって、前記2つのアームは前記頭部から延在する、2つのアーム、及び
前記頭部の遠位の前記アームの端部の近位に位置する複数のブリッジとタブとの組合せを有し、
該ブリッジとタブとの組合せの各々は、一組の脆弱性の接続箇所によって前記2つのアーム間において取り付けられ、
各組の前記脆弱性の接続箇所は横方向に離間される、
アンチ・スプレイ装置。
【請求項11】
前記ブリッジとタブとの組合せは、長方形、四角形、楕円形、又は六角形である、
請求項10記載のアンチ・スプレイ装置。
【請求項12】
前記複数のブリッジとタブとの組合せのうち1つ又はそれより多くは、開口又はくぼみ部を更に有する、
請求項10記載のアンチ・スプレイ装置。
【請求項13】
前記脆弱性の接続箇所のうち1つ又はそれより多くにおいて分割セクションを更に有する、
請求項10記載のアンチ・スプレイ装置。
【請求項14】
アンチ・スプレイ装置であって、
頭部、
受容部材における複数の対向するアームであって、前記複数の対向するアームは前記頭部から延在する、複数の対向するアーム、及び
前記頭部の遠位の前記複数の対向するアームの端部の近位に位置するリング形状のブリッジ部、を有し、
前記ブリッジ部は、複数の下方向に延在するタブを有し、
前記ブリッジ部は、複数の脆弱性の接続箇所によって前記複数の対向するアームに対して取り付けられる、
アンチ・スプレイ装置。
【請求項15】
前記脆弱性の接続箇所の1つ又はそれより多くにおいて分割セクションを更に有する、
請求項14記載のアンチ・スプレイ装置。
【請求項16】
椎弓根ねじ組立体であって、
軸部と、
該軸部が通過する開口を備えるU字型頭部を有する、受容部材と、
前記U字型頭部から上方向に延在する複数のアームと、
前記U字型頭部の遠位の前記複数のアームの端部の近位に位置するブリッジ部と、を有し、
前記ブリッジ部は、前記複数のアームを接合し、
前記ブリッジ部は、複数の脆弱性の接続箇所によって前記アームに対して接合される、
椎弓根ねじ組立体。
【請求項17】
前記複数の脆弱性の接続箇所間の或る位置において前記ブリッジ部に対して接合される1つ又はそれより多くのタブを更に有する、
請求項16記載の椎弓根ねじ組立体。
【請求項18】
前記ブリッジ部は、リング、チューブ、2つ又はそれより多くの弧、ノッチを有する弧、ノッチを有するリング、又はノッチを有するチューブを有する、
請求項16記載の椎弓根ねじ組立体。
【請求項19】
前記1つ又はそれより多くのタブは、開口又はくぼみ部を更に有する、
請求項17記載の椎弓根ねじ組立体。
【請求項20】
前記1つ又はそれより多くのタブは、長方形、四角形、六角形、又は楕円形である、
請求項17記載の椎弓根ねじ組立体。
【請求項21】
2つのタブは、4つの脆弱性の接続箇所によって前記ブリッジ部に対して接合される、
請求項17記載の椎弓根ねじ組立体。
【請求項22】
前記タブは長方形であり、
前記ブリッジ部はリング形状であり、
前記タブは前記ブリッジ部から上方向に延在する、
請求項17記載の椎弓根ねじ組立体。
【請求項23】
前記タブは長方形であり、
前記ブリッジ部はリング形状であり、
前記タブは前記ブリッジ部から下方向に延在する、
請求項17記載の椎弓根ねじ組立体。
【請求項24】
2つのタブは、2つの脆弱性の接続箇所によって前記ブリッジ部に対して接合される、
請求項17記載の椎弓根ねじ組立体。
【請求項25】
前記複数の脆弱性の接続箇所のうち1つ又はそれより多くにおいて分割セクションを更に有する、
請求項16記載の椎弓根ねじ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願において開示される装置及びシステムの実施例は、全般的に対向するアームを備える機械的締結具(ファスナ)受容部材と共に使用される脆弱性の(frangible)タブ部分を備えるアンチ・スプレイ装置(分離防止装置、anti-splay apparatus)に係る。より特には、本願において開示されるのは、2つ又はそれより多くの脆弱性のタブを介して受容部材の対向するアームに対して着脱可能に取り付けられるブリッジ部を有するアンチ・スプレイ装置である。
【背景技術】
【0002】
複数の機械的ねじ(mechanical screw)及び締結具は、骨に対して融合(癒合、fuse)、固定、又は締結するよう使用される。かかる締結具は、脊椎(spinal)の問題を修正する際に特に頻繁に使用される。よく知られている機械的締結具の一式は、椎体間における所望される空間的関係を固定するよう並びに/あるいは位置合わせするよう使用される椎弓根ねじ(pedicle screw)組立体を有する。椎弓根ねじは、椎弓根骨(有茎骨pedicle bone)に対して取り付けるよう構成される形状及び寸法を備える。椎弓根ねじ組立体は典型的には、椎骨(vertebra)へとねじ込まれるよう適合されるねじ込み軸部、及び通常はU字型頭部の形状である受容部材を有する。
【0003】
図1は、知られているリダクションねじ型(reduction screw style)椎弓根ねじ組立体1を図示する。脊椎手術に対して使用される椎弓根ねじは一般的に、軸部3及び受容部材5を有する。受容部材5は典型的にはU字型頭部7を有し、該頭部から2つの対向するアーム9が延在する。複数の先行技術による椎弓骨ねじ組立体において延在部分11は、(脆弱性の接続を有して)恒久的にあるいは脱着可能に対向するアーム9に対して取り付けられ、該アーム9から上方向に延在する。
図1は、延在部分11を対向するアーム9に対して取り付ける遠位の脆弱性の接続箇所(distal frangible connection points)10を図示する。かかる遠位の脆弱性の接続箇所10は、対向するアーム9、U字型頭部7、及び軸部3を残してリダクションねじから延在部分11を折り取るよう使用され得る。遠位の脆弱性の接続箇所は、いかなる型のリダクションねじ組立体においても、あるいは一般的な形状の軸部及び受容部材を備える機械的締結システムにおいても利用され得る、ことが当業者には理解される。
【0004】
位置決めねじ、プラグ、又は類似する型の締結機構は、脊椎ロッド等である脊椎コネクタを椎弓根ねじの受容頭部へと係止(ロック)するよう使用される。使用時には、各ねじの軸部は椎骨へとねじ込まれ、適切に位置付けられると、ロッドが各ねじの受容部材を通って据えられ、該ロッドは、各ねじ及び脊椎ロッドをしっかりと相互接続させるようカップ又は他の締結機構をきつく締めることによって係止される。
【0005】
一般的には、椎弓根ねじ組立体は、椎骨に対して締め付けられる2つ又はそれより多くの椎弓根ねじを使用する。ねじは、椎骨に対して固定された後に、安定化された椎骨の運動を制限する脊椎安定化ロッドに対して結合される。ねじは、設置後におけるねじに対するロッドの運動を防止するよう脊椎安全ロッドとのしっかりとした結合を備える、ことが重要である。椎弓根ねじは、受容部材の対向するアームを回してロッドに対して結合される。
【0006】
受容部材の対向するアームに関する問題の1つは、一般的にロッドの最終トルクがけ又は締め付け及びリダクションとして知られていることが行なわれる間にロッドに対する位置決めねじにトルク負荷を与える一方で、該アームは、斜角を成して分離(splay)し得ること又は広がり得ること、である。かかる分離は、軸部に対して適所において残るロッドの不具合をもたらし得る。
【0007】
複数の方法及び構造は、受容部材の対向するアームの分離を防止するために用いられてきている。そのような構造は、対向するアーム(又は延在部)の上方端部に対して恒久的に付けられる非分離リングの使用を有する。かかる構造が使用されるとき、執刀医は、手術の完了時に該リングを取り外すために別個のカッターを使用しなければならないため、アーム(又は延在部)は、取外しに対して解放され得る。切断部は、小さく、また鋭利であり得、切断行為の力をうけて発射体(projectiles)になり得る。
【0008】
分離を防止するための更に他の知られている方法において、リングは、対向するアーム(又は延在部)上へと着脱可能にねじ込まれるかあるいは取り付けられ得る。かかる方法は、リング及びアーム(又は延在部)の操作に対して複雑なツールを必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
必要となるのは、対向するアーム(又は延在部)に対して着脱可能に結合されるアンチ・スプレイブリッジ部であり、該アンチ・スプレイブリッジ部は、複雑なツール又は操作を有さず且つ制御された方途において容易に取り外され得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施例は、機械的締結組立体の受容部材の複数の対向するアームを接合するブリッジ部を有するアンチ・スプレイ(分離防止)装置を与える。該ブリッジ部は、複数の脆弱性の接続箇所によってアームに対して接合される。特定の態様において、アンチ・スプレイ装置は更に、脆弱性の接続箇所間の或る位置(ロケーション)においてブリッジ部に対して接合される1つ又はそれより多くのタブを有する。更なる複数の具体的な態様において、1つ又はそれより多くのタブは開口又はくぼみ(湾入)部を更に有する。タブは、装置の異なる実施例において多種の形状を備え得、かかる形状は、長方形、四角形、六角形、又は楕円形等を限定的ではなく有し得る。
【0011】
更に他の実施例において、アンチ・スプレイのブリッジ部は、リング、チューブ、2つ又はそれより多くの弧(アーク)、ノッチを有する弧(notched arc)、ノッチを有するリング、又はそれらの組合せを有する。
【0012】
アンチ・スプレイの複数の態様において、受容部材は2つの対向するアームを有する。一方、他の態様においては受容部材が3つ又はそれより多くの対向するアームを有してもよい。当該装置の特定の態様において、受容部材は、アームから上方向に延在してアームを効果的に延伸させる延在部を更に有する。
【0013】
特定の実施例において、アンチ・スプレイ装置は複数のタブを有し、ブリッジ部はリング形状であり、タブは、該ブリッジ部から上方向に延在し、4つの脆弱性の接続箇所によってブリッジ部に対して接続される。更に他の特定の実施例において、複数の対向するアームのうち1つ又はそれより多くの上方部分は凹部を有し得る。
【0014】
他の特定の実施例において、アンチ・スプレイ装置は複数のブリッジ部とタブとの組合せを有する。各ブリッジ部とタブとの組合せは、一組の脆弱性の接続箇所によって機械的締結組立体の受容部材の2つのアーム間において取り付けられ、各組の接続箇所は側方方向において離間される。特定の態様において、ブリッジ部とタブとの組合せは、長方形、四角形、楕円形、又は六角形であり得る。複数の実施例において、複数のブリッジ部とタブとの組合せの1つ又はそれより多くは、開口又はくぼみ部を更に有する。
【0015】
他の特定の実施例において、アンチ・スプレイ装置は、複数の下方向に延在するタブを有するリング形状のブリッジ部を有する。該ブリッジ部は、複数の脆弱性の接続箇所によって受容部材上で複数の対向するアームに対して取り付けられる。
【0016】
更に他の実施例は、椎弓根ねじ組立体に対する改善を与え、当該椎弓根ねじ組立体は、軸部と、該軸部が通過する開口を備えるU字型頭部を有する受容部材とを有する。複数のアームは、U字型頭部から上方向に延在する。当該装置は、改善として複数のアームを接合するブリッジ部を有し、該ブリッジ部は複数の脆弱性の接続箇所によってアームに対して接合される。改善点は更に、脆弱性の接続箇所間における或る位置においてブリッジ部に対して接合される1つ又はそれより多くのタブを有する。改善におけるブリッジ部は、リング、チューブ、2つ又はそれより多くの弧、ノッチを有する弧、ノッチを有するリング、ノッチを有するチューブ、又はそれらの組合せを有し得る。改善における1つ又はそれより多くのタブは開口又はくぼみ部を更に有し得、また長方形、四角形、六角形、又は楕円形であり得る。
【0017】
特定の実施例において、改善には、4つの脆弱性の接続箇所によってブリッジ部に対して接合される2つのタブが有される。改善に関する特定の実施例において、タブは長方形であり、ブリッジ部はリング形状であり、タブは該ブリッジ部から上方向に延在する。一方、他の実施例においては、タブは長方形であり、ブリッジ部はリング形状であり、タブは該ブリッジ部から下方向に延在する。
【0018】
当該装置及び/又は改善点に関する特定の実施例は、1つ又はそれより多くの脆弱性の接続箇所における分割セクション(scored section)を有し得る。複数の実施例においてかかる分割セクションは、脆弱性の接続箇所内における破断の位置を制御するか、並びに/あるいは接続箇所の寸法及び形状、もしくはアーム又は破断のあとに続く延在部において残るブリッジ部材料の寸法及び形状を制御する。
【0019】
本発明は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明からより完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】技術的に知られている型の椎弓根ねじ組立体の立面図である。
【
図2】受容部材の対向するアームに対して着脱可能に結合されるリング形状ブリッジ部を備えるアンチ・スプレイ装置の第1の実施例の斜視図である。
【
図3】受容部材の対向するアームにわたって着脱可能に結合される2つの半円形ブリッジ部を備えるアンチ・スプレイ装置の第2の実施例の斜視図である。
【
図4】非対称の脆弱性のタブを介して受容部材の対向するアームに対して着脱可能に結合される折り取られた管状ブリッジ部を備えるアンチ・スプレイ装置の第3の実施例の斜視図である。
【
図5】受容部材の対向するアームにわたって着脱可能に結合されるノッチを有するブリッジ部を備えるアンチ・スプレイ装置の第4の実施例の斜視図である。
【
図6】受容部材の対向するアームに対して着脱可能に結合されるノッチを有する管状ブリッジ部を備えるアンチ・スプレイ装置の第5の実施例の斜視図である。
【
図7】延在部及び遠位接続箇所を有する、
図3中に示されるアンチ・スプレイ装置の第2の実施例の斜視図である。
【
図8】分割セクションの使用を更に図示する
図3中の実施例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
特定の典型的な実施例は、本願に開示される装置の構造、機能、及び使用の原理について総合的な理解を与えるよう以下において説明される。かかる実施例の1つ又はそれより多くの例は、添付の図面において示される。当業者は、本願において具体的に説明及び図示される装置が非限定的である典型的な実施例であること、及び本発明の範囲は請求項によってのみ定義付けられることを理解するものである。典型的な一実施例に関連して図示又は説明される特徴は、他の実施例の特徴と組み合わされてもよい。かかる修正及び変形は、本願発明の装置の範囲内に含まれるものとして意図される。
【0022】
本発明の実施例は、機械的締結組立体において使用される受容部材の2つの対向するアームの分離を防止するための装置を与える。かかる機械的締結組立体は、一般的には低侵襲手術技術において有用である。限定的ではなく典型的である目的として、機械的締結組立体は椎弓根ねじとして説明される。
【0023】
図2は、アンチ・スプレイ装置13の第1の実施例を図示する。2つの対向するアーム(又は延在部)15は頭部(図示せず)から上方向に延在し、それを通って軸部(図示せず)が接続され得る。アンチ・スプレイ装置13は、アームの上部表面においてリング接合アーム15の形状におけるブリッジ部17を有する。2つのタブ19は、ブリッジ部17から上方向に延在し、脆弱性の接続箇所21によってアーム15から離間される。
図2に示される通り、タブ19は、長方形形状であり、複数の実施例においてアーム(又は延在部)15の湾曲及び形状に類似するように長手方向軸の周りに湾曲され得る。タブ19は、例えば四角形、楕円形、又は半円形を含む複数の形状を取り得る。脆弱性の接続箇所21は、ブリッジ部17と一体的に形成されるが、十分に狭い幅及び高さを備えるため、容易に破断され(broken)得るかあるいは折られ(snapped)得る。複数の実施例において、脆弱性の接続箇所21は、1mmと同等の幅及び/又は高さを備える。更に他の実施例において、脆弱性の接続箇所21は、破断を更に制御又は促進するための溝又は刻みを入れられた範囲(carved areas)更に有し得る。
図2に見られる通り、複数の実施例において、ブリッジ部の一部はアーム(又は延在部)15の上方部分又は表面であり得る。
【0024】
アンチ・スプレイ装置13の第2の実施例は
図3に示される。第2の図示された実施例においてブリッジ部は、2つの対向するアーム(又は延在部)25を橋渡し及び接続する2つの半円形部分23から形成される。
図3に示される通り、2つの対向するアーム(又は延在部)25の最上部は凹部27を有し得る。下方向に突出するタブ29は、脆弱性の接続箇所21間において延在する。タブ29は、長方形であり、アーム(又は延在部)25の湾曲及び形状に類似するようも長手方向軸の周囲に湾曲され得る。タブ29は、タブがツールによって引っ掛けられ得るかあるいは掴まれ得るよう開口又はくぼみ部31を有し得る。凹部27は、実施例によっては、タブ25の屈曲及び除去時にアーム(又は延在部)25に対してトルクが加えられ得るようにし得る。
【0025】
図8は、接続箇所21の各々において分割セクション22を更に有する
図3中の実施例を示す。当業者は、
図3中に示される装置の実施例以外の装置の実施例を含んで、かかる分割セクションがアンチ・スプレイ装置の1つ又はそれより多くの接続箇所にあり得ることを理解する。特定の理論によって制約されることなく、分割セクション22は、タブ又はブリッジ部とタブとの組合せの屈曲時に脆弱性の接続箇所21の破断の位置をよりよく制御するよう使用され得る。複数の例において、分割セクション22はまた、接続箇所における破断の後に残る材料の量及び形状を制御するよう使用され得る。しかしながら更に他の実施例においては、分割セクション22が使用され得ず、破断位置及び破断のあとに残る材料は、脆弱性の接続箇所の寸法、及び/又は脆弱性の接続箇所に対して加えられるねじれの方向又は角度の寸法によってのみ制御され得る。
【0026】
図4を参照すると、アンチ・スプレイ装置13の第3の実施例はブリッジ部とタブとの組合せ33を有する。ブリッジ部とタブとの組合せ33は、長方形であり、横方向に離間される一組の脆弱性の接続箇所を介して2つの対向するアーム(又は延在部)15に対して取り付けられる。複数の実施例において脆弱性の接続箇所は、アーム(又は延在部)15の上部表面から不均等に更に離間される。即ち、アーム(又は延在部)15に対してブリッジ部とタブとの組合せを接合する一組の脆弱性の接続箇所のうち一方は深い陥凹部(recess)又は凹部16を構成し得る一方、かかる一組のうち他方は浅い陥凹部又は凹部18を構成し得る。複数の実施例において、ブリッジ部とタブとの組合せ33は、四角形、楕円形、又は六角形等である種々の形状を備え得る。特定の実施例において、ブリッジ部とタブとの組合せ33は、脆弱性の接続箇所21を破断させるようブリッジ部とタブとの組合せを引っ掛けて屈曲させることを容易にするよう開口又はくぼみ部(図示せず)を更に有し得る。
【0027】
アンチ・スプレイ装置13の第4の実施例は
図5に示される。アーム(又は延在部)25は、実質的にV字型又はU字型部材である他のブリッジ部とタブとの組合せ53によって接合される。ブリッジ部とタブとの組合せ53は、脆弱性の接続箇所21に類似するかあるいはそれより大きい寸法を備え得る。
【0028】
図6は、アンチ・スプレイ装置13の第5の実施例を示す。リング形状ブリッジ部35は、アーム(又は延在部)39の上部表面に対して取り付けられる。対向するタブ37は、ブリッジ部35から下方向に延在する。タブ37は、アーム(又は延在部)39間における引き離しを部分的に広げ、2つの脆弱性の接続箇所21においてブリッジ部35を接合する。
図6に示される通り、ブリッジ部35及びタブ37は、アーム(又は延在部)39を超えて軸方向に延在する。他の実施例において、ブリッジ部35及びタブ37はアーム(又は延在部)39と同軸であり得る。タブ37の一方又は両方は、開口又はくぼみ部41を更に有し得、脆弱性の接続箇所21の屈曲及び破断を引き起すようツールに容易に引っ掛けられ得るか、あるいは掴まれ得る。
図6は、内側方向に傾斜するアーム(又は延在部)39の上部セクションを示す。他の実施例において、アーム(又は延在部)39の上方部分は段階的にテイパされ得る。
【0029】
図3及び5の各々において、凹部27は各アーム25において示される。かかる実施例において、タブ29又はブリッジ部とタブとの組合せ53が遠位ねじ体のU字型受容部材のすぐ上方においてアーム25を取り付ける接続を破断するよう屈曲されるとき、凹部27はアーム25に対してトルクを加える支援をし得る。
【0030】
図7は、本願発明によるアンチ・スプレイ装置13の第2の実施例(任意の分割セクション22を有さない)を示し、該アンチ・スプレイ装置13は、椎弓根ねじ組立体の受容部材43に関連付けられて使用され且つ該受容部材43と一体的に形成される。椎弓根ねじ組立体は、U字型頭部47と延在部51を有する対向するアーム49とを有する受容部材43を有する。
図7に示される組立体は、遠位接続箇所10を更に示す。使用時にブリッジ部17は、椎弓根ねじ組立体が適所におかれるときにアーム49及び延在部51が分離することを防止する。椎弓根ねじ組立体の設置が完了すると、タブ19は、単純なツール又は手を使って掴まれ得、脆弱性の接続箇所21を破断するよう屈曲され得る。
図7に示される通り、U字型頭部47は、1つ又はそれより多くの開口又は技術的に知られている特徴を備え得る。
【0031】
かかる組立体が2つ又はそれより多くのアーム(又は延在部)を備える受容部材を有すると仮定すると、
図2乃至6に示されるものを限定的ではなく有するアンチ・スプレイ装置の多種の実施例は、複数の機械的締結組立体のいずれかとともに使用され得る、ことが当業者には理解される。即ち、アンチ・スプレイ装置は、かかる知られているあるいはのちに開発される受容部材に対して取り付けられ得るか、あるいはそれと一体的に成形され得る。
【0032】
開示された原理に関連付けられる多種の実施例が上述されてきたが、かかる実施例は単なる例として提示されたものでありかつ限定的なものではない、ことが理解されるべきである。故に、本発明の広がり及び範囲は、上述された典型的な実施例によって限定されるべきではなく、本願から与えられる請求項及びそれと同等のものとのみ一致して定義付けられるべきである。更に、上述された利点及び特徴は、説明された実施例において与えられるが、添付の請求項の適用を上述された利点のいずれかあるいは全てを達成する工程及び構造に制限すべきではない。
【0033】
更に、本願の冒頭は、37C.F.R.1.77における示唆に整合するよう、あるいは構成の手がかり(organizational cues)を提供するよう、与えられるものである。該冒頭の記載は、本開示から与えられ得る請求項において定められる本発明を限定又は特徴付けするものではない。具体的には、「背景」における技術の説明は、該技術が本開示における発明に対する先行技術であることを認めているものとして解釈されるべきではない。また、「課題を解決するための手段」は、添付の請求項において記載される発明の特徴付けとして解釈されるべきではない。更に、本願において単数形で示される「発明」の記載は、本願には1点の新規性しかないことを議論するために使用されるべきではない。複数の発明は、本開示によって与えられる複数の請求項の限定に従って示され得、したがってかかる請求項が保護される発明及びそれと同等のものを定義付ける。全ての例において、かかる請求項の範囲は、本開示を踏まえてその進化によって考慮されるべきであり、本願の冒頭によって制約されるべきではない。
【符号の説明】
【0034】
1 椎弓根ねじ
3 軸部
5 受容部材
7 U字型頭部
9 アーム
10 脆弱性の接続箇所
11 延在部
13 アンチ・スプレイ装置
15 アーム(又は延在部)
17 ブリッジ部
19 タブ
21 脆弱性の接続箇所
22 分割セクション
23 半円形部分
25 アーム
27 凹部
29 タブ
31 開口又はくぼみ部
33 ブリッジ部とタブとの組合せ
35 ブリッジ部
37 タブ
39 アーム(又は延在部)
41 開口又はくぼみ部
43 受容部材
47 U字型頭部
49 アーム
51 延在部
53 ブリッジ部とタブとの組合せ