(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基端側が開口され、該開口から気体の供給を受け、先端側に気体を噴出する外筒と、該外筒内に該外筒と同軸方向でかつ外筒内壁と空間を介して配置されると共に内部が中空であり、かつ内面の基端側が先端に向かって縮径するように傾斜するテーパ部となっており、それに連続する下流側は先端まで平行部になっている内筒と、液体供給管から液体の供給を受けると共に前記内筒の前記テーパ部に該内筒と同軸上に配置され前記液体の出口となる液体ノズル部とを備え、前記内筒の基端側は前記外筒の基端よりも下流側に配置され、該内筒の先端は前記外筒の先端と同じ位置又は前記外筒の先端よりも上流側に配置されてなり、前記液体ノズル部の先端の前記内筒に対する相対位置は、前記液体ノズル部の外周と前記内筒の前記テーパ部とで挟まれた流路断面積が、前記内筒における前記平行部の流路断面と同程度になるように設定されており、前記液体供給管から液体ノズル部に供給された液体が前記外筒及び前記内筒に供給された気体によって微粒化されて該気体に混合されることを特徴とする流体微粒化ノズル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたプレフィルマー式エアブラスト微粒化ノズル(以下、単に「従来例1」という)では、流路の中央に円筒状の中心体を配設し、該中心体の外側に複数の微粒化気流旋回羽根を周方向に配設している。そして、該微粒化気流旋回羽根により気流に旋回を与え、この旋回流れにより液膜形成体の液膜形成面上に形成された液膜を微粒化するというものである。
【0006】
従来例1では、気体流路の中心に中心体を配設し、さらに流路に旋回羽根を設置していることから、中心体や旋回羽根の表面には、高速で流れる気体が接することになり、流れに対して抵抗となる、すなわち圧力損失が大きくなる。圧力損失の大きな微粒化ノズルを機能させるためには、ノズルに供給する気体の圧力を高圧にし、ノズル入口側と出口側の間の差圧を大きくする必要がある。気体の圧力を高圧にするためには、そのための昇圧装置(圧縮機)が必要であり、その所要動力も大きい。そのため、コスト、スペース、動力面の制約から、従来例の微粒化ノズルの適用が困難となる場合があった。
例えば、液化天然ガスを気化して都市ガスとして供給する際に液化石油ガスで増熱する増熱装置がある。この増熱装置として、液体状態の液化石油ガスを気化した液化天然ガスに供給する方式がよく用いられる。この場合、液体として供給する液化石油ガスをできるだけ細かく微粒化することが望まれるが、他方、微粒化に要する圧力損失が大きいと、増熱装置出口での圧力が低下してしまい、都市ガスとして送り出す圧力が不足して送ガスに支障を来たす恐れがある。
【0007】
また、従来例1では、気体流路に配設した中心体内に液体流路を形成し、該流路から流路断面が小さい分岐流路を介して液膜形成体に液体を供給して液膜を形成する構造になっている。流路断面を小さくしているため、流路が異物によって閉塞する可能性がある。また、液膜を適正に形成可能な液体の流量範囲が狭い。つまり、液体の流量を多くしていくと液相側の圧力損失が非常に大きくなる。逆に液相流量が小さくなったときには液膜の形成が不十分となる。
【0008】
また、特許文献2に開示された二流体微粒化ノズル(以下、「従来例2」という)の場合には、気相側流路の流路断面積が小さく、また気相側流路が曲がっており、さらに旋回成分を与えるスリットを設けているため、気相側圧力損失が大きいという問題がある。
【0009】
本発明はかかる従来例の有する課題を解決するためになされたものであり、気相側の圧力損失が小さく、かつ液相の流量範囲を大きくとれる流体微粒化ノズル及び流体微粒化ノズル装置、これら流体微粒化ノズル又は流体微粒化ノズル装置を用いた流体微粒化装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明の流体微粒化ノズルは、基端側
が開口され、該開口から気体の供給を受け、先端側に気体を噴出する外筒と、該外筒内に該外筒と同軸方向でかつ外筒内壁と空間を介して配置されると共に内部が中空
であり、かつ内面の基端側が先端に向かって縮径するように傾斜するテーパ部となっており、それに連続する下流側は先端まで平行部になっている内筒と、液体供給管から液体の供給を受けると共に前記内筒の
前記テーパ部に該内筒と同軸上に配置され前記液体の出口となる液体ノズル部とを備え、前記内筒の基端側は前記外筒の基端よりも下流側に配置され、該内筒の先端は前記外筒の先端と同じ位置又は前記外筒の先端よりも上流側に配置されてなり、前記液体供給管から液体ノズル部に供給された液体が前記外筒及び前記内筒に供給された気体によって微粒化されて該気体に混合されることを特徴とするものである。
【0011】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、
前記液体ノズル部の先端の前記内筒に対する相対位置は、前記液体ノズル部の外周と前記内筒の前記テーパ部とで挟まれた流路断面積が、前記内筒における前記平行部の流路断面と同程度になるように設定されていることを特徴とするものである。
【0012】
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記液体ノズル部の前記内筒の上流端に対する相対位置が可変になっていることを特徴とするものである。
【0013】
(4)本発明に係る流体微粒化ノズル装置は、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の流体微粒化ノズルを備えた流体微粒化ノズル装置であって、気体が通流する気体供給管部と液体が通流する液体供給管部とが一体化されてなる流体供給管部を備え、該流体供給管部の先端に外筒、もしくは外筒と液体ノズル部が着脱可能に取り付けられてなることを特徴とするものである。
【0014】
(5)本発明に係る流体微粒化装置は、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の流体微粒化ノズル、または上記(4)記載の流体微粒化ノズル装置を用いた流体微粒化装置であって、前記流体微粒化ノズル又は前記流体微粒化ノズル装置に供給される気体の流量を検出する流量検出装置と、該流量検出装置の検出値に基づいて前記流体微粒化ノズル内又は前記流体微粒化ノズル装置内を流れる気体の流速を調整する流量調整弁とを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の流体微粒化ノズルは、基端側から気体の供給を受け、先端側に気体を噴出する外筒と、該外筒内に該外筒と同軸方向でかつ外筒内壁と空間を介して配置されると共に内部が中空の内筒と、液体供給管から液体の供給を受けると共に前記内筒の上流端側に該内筒と同軸上に配置され前記液体の出口となる液体ノズル部とを備え、前記内筒の基端側は前記外筒の基端よりも下流側に配置され、該内筒の先端は前記外筒の先端と同じ位置又は前記外筒の先端よりも上流側に配置されてなり、前記液体供給管から液体ノズル部に供給された液体が前記外筒及び前記内筒に供給された気体によって微粒化されて該気体に混合されるようにしたので、広い液相流量範囲において、低い気相圧力で、液相・気相両方の圧力損失の増大を抑制しつつ良好な微粒化・混合性能を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施の形態1]
本実施の形態に係る流体微粒化ノズル1は、基端側から気体の供給を受け、先端側に気体を噴出する外筒3と、外筒3内に外筒3と同軸方向でかつ外筒3内壁と空間を介して配置されると共に内部が中空の内筒5と、液体供給管6から液体の供給を受けると共に前記内筒5の上流端側に該内筒5と同軸上に配置された液体ノズル部7とを備え、液体ノズル部7に供給された液体が外筒3及び内筒5に供給された気体によって微粒化されて該気体に混合されることを特徴とするものである。
以下、各構成を詳細に説明する。
【0018】
<外筒>
外筒3は基端側から気体の供給を受けて先端側で気体を噴出する。外筒3の先端側は外筒中心に向けて徐々に縮径しており、略円錐台のような形状になっている。
【0019】
<内筒>
内筒5は外筒3内に外筒3と同軸方向でかつ外筒3の内壁と空間を介して配置されている。外筒3内壁と内筒5の外壁との間に形成される空間は、リング状流路9を形成している。
また、内筒5の内部は中空になっており、中央流路11を形成している。中央流路11には流路を遮るものは何らも配置されていない。
内筒5の内面基端側は、下流側に向かって縮径するように傾斜するテーパ部13となっている。内筒5の内面は上流部がテーパ部13になっているが、その下流側は平行部14になっている。
内筒5の外面形状は、
図1に平行部と縮径テーパ部で構成されるものが示されているが、特にこれに限定されるものではない。
内筒5におけるテーパ部13には液体ノズル部7が配置されている。内筒5と同軸に配置することにより内筒5の中央流路内の流動状態が軸対称となり、均一な微粒化を行う上で望ましい。内筒5内へ導入される気体とリング状流路9へ導入される気体の流量比率は、中央流路11側の流路断面積と、リング状流路9側の流路断面積の比率によって規定される。したがって、この比率を微粒化に適したものに予め設定しておくことが望ましい。
【0020】
前述したように、外筒3の先端側は外筒中心に向けて徐々に縮径して略円錐台のような形状になっており、このためリング状流路9の断面積が下流側に向かって徐々に小さくなっている。このような形状にすることで、リング状流路9を通過する気体の流速が増すようになっており、これによって液体の微粒化をさらに促進している。
【0021】
内筒5は外筒3内に固定されているが、その固定方法は特に問わず、例えばステー(図示なし)によって固定するようにすればよい。
【0022】
<液体ノズル部>
液体ノズル部7は、
図1に示されるように、液体供給管6から液体の供給を受けて液体の出口となると共に内筒5の上流端側に内筒5と同軸上に配置されている。
液体ノズル部7は、
図2に示すように、液体供給管6の先端を開口しただけのものでもよいし、あるいは
図3に示すように、液体供給管6の先端に多孔質体15を設置したものでもよいし、またあるいは
図4に示すように、液体供給管6の先端にメッシュリング16を設置したようなものでもよいし、またあるいは
図5に示すように、液体供給管6の先端部の内部に旋回を与える構造、例えば旋回羽根18を有するものでもよい。
なお、液体ノズル部7として液体供給管6の先端に別の部品等を取り付けて構成する場合には、液体ノズル部7を着脱可能にしてもよい。
【0023】
従来例1では、供給した液体を液膜状にするために液体流路断面を小さくしているため、流路が異物によって閉塞する可能性があり、また、液膜を適正に形成可能な液体の流量範囲が狭いという問題があった。本実施の形態の液体ノズル部7は、後述するように気体の流速により液膜を形成させるようにしているため、ことさらに流路断面を小さくする必要がなく、流路の閉塞の問題や流量範囲が狭いという問題もない。
【0024】
また、液体ノズル部7の先端の内筒5に対する相対位置は、
図6に示すように、液体ノズル部7の外周と内筒5のテーパ部13とで挟まれた流路断面積が、内筒5における平行部14の流路断面と同程度になるように設定するのが望ましい。このように設定することで、液体ノズル部7から供給された液体と接する気体の流速が平行部11内流速と同程度に保たれ、気体による液体の同伴が確実になるからである。
なお、液体ノズル部7のテーパ部13に対する相対位置を可変にすることで位置決めを容易にすることができる。可変にする方法としては、例えば液体ノズル部7が取り付けられる液体供給管6の先端部を例えばテレスコピック構造にして軸方向に可変になるようにして所定位置で固定できるようにしてもよいし、あるいは液体ノズル部7を液体供給管6に挿入する形式にして、その挿入長さによって可変になるようにしてもよい。
【0025】
上記のように構成された本実施の形態に係る流体微粒化ノズル1の作用について説明する。
気体は流体微粒化ノズル1の基端側から供給され、液体が液体供給管6を介して液体ノズル部7から供給される。
基端側から供給された気体は、内筒5と外筒3で形成される二重管構造の中央流路11とリング状流路9を所定の分配比率で流れる。この分配比率は、中央流路11側の流路断面積と、リング状流路9側の流路断面積の比率によって規定される。
【0026】
液体供給管6を介して液体ノズル部7から供給された液体は、中心流路11を流れる気体と混相状態で流れる。このとき、気体流れの流速によって様々な流動形態をとる。内筒5の中央流路11を流れる混合流動状態が環状流もしくは環状噴霧流となっている状態が最も微粒化が良好、すなわち微粒液滴径が小さくなる。
ここで、中央流路11で発生する環状噴霧流について説明する。
【0027】
図7には、管内を流れる液相及び気送の流速と、流動様式との関係を示した線図(
図7(a))と、該線図内に示された流動様式を模式的に示す図(
図7(b))が示されている。ここに示された図は、書籍「気液二相流」(著者:植田辰洋、出版社:養賢堂)に記載のものである。
図7(a)に示されるように、管内を流れる液相及び気相はそれぞれの流速によってその流動様式が異なるが、気相の流速が約20m/s以上になることで、液相が管壁を環状に流れる環状流となり、さらに、環状になった液相の環内の液を巻き込んで噴霧状になった気相が流れる環状噴霧流(
図7(b)右下の図参照)となる。
本実施の形態では、液体ノズル部7から供給される液体が流体微粒化ノズル1を流れる気体と共に内筒5の中央流路11を高速で流れることで、内筒5内の流動様式が環状噴霧流となり、液体が微粒化されて気体に効果的に混合される。なお、環状流の状態でも液体の微粒化効果は得られるが、環状噴霧流とすることでその効果をより高めることができる。
【0028】
液体ノズル部7から供給された液体は、環状噴霧流となって内筒5の内壁面上に液膜を形成しながら流れる。内筒5の外周側にもリング状流路9が形成されており、このリング状流路9にも気体が流れている。内筒5の出口部分において、内筒5内壁面上に形成されている液膜は、内筒5の管軸方向に液膜状態を保ったまま噴出する。その液膜の内側には内筒5内を流れてきた気体流れが存在し、液膜の外側にはリング状流路9を流れてきた気体流れが存在する。すなわち、液膜は内外両面で気相と接し、液膜と気相の流速差に起因するせん断力によって液膜が引きちぎられ微粒化される。
【0029】
このように流体微粒化ノズル1を二重管構造にしたことにより、上述したように、液膜状となった液体を気体の流れで挟み込むことによって液体の微粒化をより促進することができる。
内筒5内の気体流速が小さくなると、環状流や環状噴霧流状態を保てなくなり、波状流、スラグ流、気泡流などの流動状態に遷移する。その場合、内筒5内での微粒化特性が劣化するのみならず、内筒5出口で液膜を気体の流れで挟み込む状態が形成できないため、微粒化性能は急激に低下することになる。
【0030】
なお、環状流もしくは環状噴霧流となる範囲内であれば気相速度を小さくできる(気相側圧力が小さくてよい)。概略、気相見かけ流速が20m/s以上となるように維持すればよい。例えば、気相見かけ流速が30m/sの時の理論気相差圧は元圧の約0.5%であり、例えば元圧が大気圧(100kPa(abs))の空気の場合、ノズルにおける気相側の必要差圧は0.5kPaと非常に小さい値となる。
【0031】
液膜は気相流れで形成するので、従来例1のように液膜形成のために液相流路の断面積を絞る必要がないため、液相の流路は単純かつ断面積も大きくでき、液相側の圧力損失を小さく保てる。
【0032】
気相側流路となる中央流路11は概直管状であり、なんらの障害物もないので圧力損失が小さい。
図8はこの点を従来例と比較して示したものである。ノズル圧力損失と微粒化性能(微粒化径)の関係を示したものであり、横軸がノズル圧力損失、縦軸が微粒化径を示している。縦軸、横軸ともに無次元化している。
同じ径100の液滴を生成するのに、従来技術では圧力損失100超であるのに対して、本実施の形態のノズルでは、圧力損失10未満でよいことを示している。
このように圧力損失が極めて少ないことから、気相供給圧力が低いために従来の微粒化ノズルの適用が困難であるような場合でも、本ノズルでは適用が可能となる
例えば、気化した液化天然ガスに液化石油ガスを液体の状態で供給して増熱し、都市ガスとして送り出すシステムに適用した場合に、圧力損失を抑制しつつ微粒化を行うことができるため、送ガス圧力を損なうことなく確実な増熱効果を得ることが可能となる。
【0033】
また、液相流量が増加して中央流路11に占める液断面積が増大した場合でも、気相はリング状流路9へより多く流れるように自律的に分流し、圧力損失の過度の増大を防止できる。
【0034】
以上のように、本実施の形態によれば、広い液相流量範囲において、低い気相圧力で、液相・気相両方の圧力損失の増大を抑制しつつ良好な微粒化・混合性能を得ることができる。
【0035】
[実施の形態2]
本実施の形態に係る流体微粒化ノズル装置19は、実施の形態1の流体微粒化ノズル1にさらに取り付け構造を含んで構成されるものである。
流体微粒化ノズル装置19は、
図9に示すように、流体供給管部20を備え、該流体供給管部20の先端に実施の形態1の流体微粒化ノズル1の外筒3が着脱自在に取り付けられる構造になっている。流体供給管部20は、気体の供給を受ける気体供給管部21と、該気体供給管内に設けられて液体の供給を受ける液体供給管部23とを備えている。
以下、詳細に説明する。
【0036】
<気体供給管部>
気体供給管部21は、主流管17に挿入可能な長さを有し、本実施の形態では先端側が直角に屈曲している。気体供給管部21の先端部は開口しており、該開口部には
図10に示すように雄ねじ25が形成されている。そして、雄ねじ25に雌ねじ27が形成された外筒3をねじ込むことで外筒3を取り付けられるようになっている。
【0037】
<液体供給管部>
液体供給管部23は、気体供給管部21の内部に気体供給管部21との相対位置関係が予め決められて配置されている。液体供給管部23の先端は、
図10に示されるように、気体供給管部21の先端に対して所定の位置関係となるように固定されており、その先端に液体ノズル部7が設けられている。
【0038】
<外筒>
外筒3の基端側の内面には雌ねじ27が形成されており、気体供給管部21の先端にねじ込んで取り付けられるようになっている。外筒3の内部には内筒5が設けられており、外筒3を気体供給管部21にねじ込んで取り付けることで、液体ノズル部7が内筒5におけるテーパ部13の所定位置に配置されるようになっている。
【0039】
上記のように構成された本実施の形態の流体微粒化ノズル装置19においては、流体供給管を主流管17内に挿入して固定し、外筒3を気体供給管部21の先端に取り付ける。そして、主流管17の外部において、気体供給管部21に外部からの気体配管29を接続し、また液体供給管部23にも外部からの液体配管31を接続すればよい。
【0040】
本実施の形態の流体微粒化ノズル装置19においては、気体供給管部21の内部に先端に液体ノズル部7を有する液体供給管部23を有する流体供給管部20を備え、気体供給管部21の先端に外筒3を連結することによって流体微粒化ノズル1が構成されるようにしたので、流体供給管部20を主流管17に挿入して外筒3を取り付ければ、あとは主流管17の外部にて気体供給管部21への気体配管29の接続や液体供給管部23への液体配管31の接続を行えばよく、取り付けがきわめて容易になるという効果が得られる。
なお、気体供給管部21先端への外筒3の接続方法はネジに限定するものではなく、フランジやクランプカップリングなどでも構わない。
【0041】
[実施の形態3]
本実施の形態は本発明の流体微粒化ノズル1を用いた微粒化装置の例を示したものであり、LNGを気化した天然ガスにLPGを添加することにより増熱して都市ガスを製造する際に用いられるものである。また、本実施の形態3においては、天然ガスが流れる主流管17にベンチュリ管37を設置してベンチュリ型微粒化装置33として構成したものである。
【0042】
本実施の形態に係るベンチュリ型微粒化装置33の基本構成は、
図11に示すように、天然ガスが通流する主流管17に設けられたベンチュリ管37と、主流管17から分岐した分岐管39と、ベンチュリ管37内に流体微粒化ノズル1が配置されるように設置された流体微粒化ノズル装置19とを備え、流体微粒化ノズル装置19の気体供給管部21には分岐管39の先端が接続され、液体供給管部23にはLPGを供給するLPG供給管41が接続されている。
【0043】
本実施の形態のベンチュリ型微粒化装置33においては、分岐管39に、分岐管39を流れる天然ガスの流量を検知する流量検出器43を設けると共に主流管17におけるベンチュリ管37と分岐管39が分岐する分岐部の間に流量調整弁45を設け、流量検出器43の検知信号に基づいて流量調整弁45の開度を調整するようにしている。
以下、各構成を詳細に説明する。
【0044】
分岐管39は、主流管17におけるベンチュリ管37の上流側から分岐して、その出口側が流体微粒化ノズル装置19の気体供給管部21に接続されている。
流体微粒化ノズル装置19の流体微粒化ノズル1の先端部は、ベンチュリ管のど部47もしくはベンチュリ管のど部47よりも上流側に配置されている。
【0045】
LPGの微粒化・混合性能に大きく影響するのは流体微粒化ノズル1における内筒5での流速である。なぜなら、内筒5に供給される天然ガスの流速が所定の流速になることで、内筒5内にLPGを巻き込んだ環状噴霧流が発生してLPGの微粒化・混合が行われるからである。
そのため、流体微粒化ノズル1における流路断面積は、都市ガスの最低流量運転のときにも、平行部14を流れる天然ガスの流速が、環状噴霧流発生に必要な流速を保つことができるような径にしておく。
例えば、都市ガス流量の変動範囲が30万Nm
3/h〜6千Nm
3/hの場合を想定すると、都市ガス流量が最低流量である6千Nm
3/hのときには、天然ガスを分岐管39から概略全量流し、このときの平行部14の天然ガス流速が環状噴霧流発生に必要な流速を保つような管径とする。(このとき分岐管39を流れる天然ガス流量は、天然ガス流量として想定される最低流量となる。)
その上で、想定される最低流量分を常に分岐管39に流すようにすれば、制御が簡単で安定したLPGの微粒化・混合が実現できる。以下の説明において、分岐管39におけるLPGの微粒化・混合に必要な流速を与える最小流量を所定値Aという場合がある。
【0046】
環状噴霧流発生に必要とされる流速は、実施ケースにより異なるが、
図7(a)にも示されるように概ね20m/s以上である。したがって、想定される都市ガスの最低流量の場合に流体微粒化ノズル1の内筒5の平行部14で前記流速が確保でき、かつ圧力損失が高くなり過ぎないような管路となるように流体微粒化ノズル1を設定すればよい。
なおベンチュリ管のど部47の径は、設計最大流量時の圧力損失が、その適用システムにとって過大とならないように設計しておく。
【0047】
<流量検知器>
流量検出器43は、分岐管39に設けられて分岐管39を流れる天然ガスの流量を検知するものである。
なお、流量検出器43に代えて差圧検知器を設け、分岐管39における圧力損失を検知することで、あらかじめ把握しておいた分岐管39における流量と圧力損失の関係から、分岐管39内を流れる天然ガスの流量を検知するようにしてもよい。
【0048】
<流量調整弁>
流量調整弁45は、主流管17におけるベンチュリ管37と分岐管39の分岐部との間に設けられて、流量検出器43の検知信号に基づいて主流管17を流れる天然ガス流量を調整し、これによって分岐管39を流れる天然ガス流量が予め定めた所定流量になるようにする。
なお、
図7(a)に示されるように、環状噴霧流とするための気相流速は液相流速の影響を受ける。このため、LPG供給管41を流れるLPG量を検知する第2の流量検知器を設け、供給LPG量も加味して分岐管39を流れる天然ガスの所定量を算出・設定することも可能である。ただし、第2の流量検知器を必要とし、制御も複雑となるため、実用上はLPG供給量によらず、一定の天然ガス流量(平行部14で例えば20m/sとなる流量)を所定量とすることが簡便である。
【0049】
<動作説明>
次に上記のように構成された本実施の形態に係るベンチュリ型流体微粒化装置33の動作を説明する。
上流側から供給される天然ガスは、分岐部を通過する際に分岐管39にも流れ、分岐管39の出口側において流体微粒化ノズル装置19の気体供給管部21に流入する。気体供給管部21に流入した天然ガスは液体ノズル部7に供給されるLPGを巻き込んで内筒5の平行部14で環状噴霧流を発生し、LPGの微粒化・混合が行われ、ベンチュリ管のど部47に流入する。
他方、主流管17を流れる天然ガスもベンチュリ管のど部47に流入する。したがって、ベンチュリ管のど部47には、分岐管39を経由してLPGが添加された天然ガスと、主流管17からの天然ガスが流入し、ベンチュリ管のど部47を通過の際、さらにLPGの混合が促進される。
【0050】
都市ガスの流量はその需要量に応じて成り行きで増減する。例えば、都市ガス需要量が減少し、流路を流れる流体の流量が減少すると、分岐管39及び主流管17を流れるトータルの天然ガスの流量が減少する。分岐管39を流れる天然ガス流量が所定値Aよりも減少すると平行部14での流速が減少し、環状噴霧流が形成されなくなり、LPGの微粒化・混合が不十分になることが懸念される。
そこで、流量検出器43で検知される流量が所定値Aよりも減少したら、流量調整弁45の開度を小さくすることによって分岐管39を流れる天然ガス流量が所定値Aを維持するようにする。
分岐管39を流れる天然ガス流量を所定値A以上に維持することで、平行部14における流速が維持されLPGの微粒化・混合効果を確保することができる。
【0051】
逆に、都市ガス需要量が増加し、流路を流れる流体の流量が増加すると、分岐管39及び主流管17を流れる天然ガスの流量が増加する。分岐管39を流れる天然ガス流量が所定量よりも増加すると圧力損失が大きくなる。
そこで、流量検出器43で検知される流量が所定値Bよりも増加したら、流量調整弁45の開度を大きくして主流管17を流れる量を増やし、分岐管39を流れる天然ガス流量が所定値Bになるようにする。ここで、所定値B≧所定値Aの関係にある。
分岐管39を流れる天然ガス流量を所定値A以上B以下にすることで、分岐管39における流速が所定の範囲に維持されLPGの微粒化・混合を十分にすることができると共に圧力損失の過大な増大を防止することができる。
【0052】
例えば、最も単純な制御方法としては、所定値A=所定値B=[都市ガス最低流量時の天然ガス流量(天然ガス最低流量)]とする場合である。
前述した例と同様、都市ガス流量の変動範囲が30万Nm
3/h〜6千Nm
3/hの場合を想定すると、都市ガス流量が最低流量である6千Nm
3/hのときには、天然ガスを分岐管39から概略全量、すなわち所定値A(=所定値B)の流量を流す。
都市ガス流量が6千Nm
3/hより大きくなった場合には、分岐管39に設置された流量検出器43で計測される流量が所定値Aを保つように流量調整弁45の開度を大きくしていき、天然ガス流量増加分を主流管17から流入させるようにする。すなわち、都市ガス流量が変動しても、分岐管39には常に所定値Aの天然ガス流量が流通するようにする。こうすることにより、分岐管39へは常に微粒化・混合に必要な流量が供給されるようになる。また主流管17からの速度成分は、ベンチュリ管のど部47における流速をさらに増大させる方向に寄与する。
なお上記において、所定値Aは[都市ガス最低流量時の天然ガス流量(天然ガス最低流量)]であるが、簡易的には[都市ガス最低流量]としてもよい。
【0053】
以上のように、本実施の形態によれば、流路を流れる流量が大きく変化しても内筒5における平行部14の天然ガス流速を所定の流速に維持することができ、LPGの微粒化・混合効果が得られると共に過度に圧力損失が大きくなりすぎないようにすることができる。
【0054】
ここで、所定値Aの天然ガス流量を分岐管39側に流通させるためには、ノズルを含めた分岐管39側の圧力損失と同等以上の圧力損失となるように、流量調節弁45を絞り込む必要がある。そのため、分岐管39先端に配設された流体微粒化ノズル装置19の圧力損失が大きいと、ベンチュリ型微粒化装置33全体としての圧力損失が大きくなり、都市ガスとして送り出すためのガス圧力を維持できなくなる。
本発明のベンチュリ型微粒化装置33、本発明の流体微粒化ノズル装置19を用いることにより圧力損失を抑制しつつ微粒化を行うことができるため、送ガス圧力を損なうことなく確実な増熱効果を得ることが可能となる。
【0055】
[実施の形態4]
実施の形態3においては、本発明の流体微粒化ノズル装置19を用いた流体微粒化装置の例として、主流管17にベンチュリ管37を設置して、そのベンチュリ管37内に流体微粒化ノズル装置19を配置した例を示した。
しかし、本発明の流体微粒化ノズル装置19は、ベンチュリ管37内に流体微粒化ノズル1を配置するものに限られず、気体供給管51に直接流体微粒化ノズル装置19を取り付けるようにしてもよい。
【0056】
図12は本実施の形態の流体微粒化装置49の説明図であり、
図1と同一部分には同一の符号を付してある。本実施の形態の流体微粒化装置49は、気体が流れる気体供給管51の端部に設置した流体微粒化ノズル装置19と、流体微粒化ノズル装置19に供給される気体の流量を検出する流量検出装置53と、流量検出装置53の検出値に基づいて流体微粒化ノズル1内を流れる気体の流速を、気体が液体を巻き込んで環状噴霧流になるのに必要な流速になるように調整する流量調整弁55とを備えてなるものである。