特許第5752994号(P5752994)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5752994
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】トリミング回路及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20150702BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20150702BHJP
   H01L 21/82 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
   H01L27/04 V
   H01L21/82 F
   H01L27/04 E
   H01L21/82 P
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-116032(P2011-116032)
(22)【出願日】2011年5月24日
(65)【公開番号】特開2012-244117(P2012-244117A)
(43)【公開日】2012年12月10日
【審査請求日】2014年3月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154863
【弁理士】
【氏名又は名称】久原 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100123685
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 信行
(72)【発明者】
【氏名】桜井 敦司
(72)【発明者】
【氏名】佐野 和亮
(72)【発明者】
【氏名】前谷 文彦
(72)【発明者】
【氏名】阿部 諭
【審査官】 宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−212415(JP,A)
【文献】 特開平09−172145(JP,A)
【文献】 特開平05−267464(JP,A)
【文献】 特開2010−161122(JP,A)
【文献】 特開2000−340656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H01L 21/82
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一電源端子と第二電源端子の間に直列に接続された複数の抵抗を備えた抵抗回路をトリミングするトリミング回路であって、
内部回路の外部端子であるパッドに、共通に接続された入力端子と、
前記抵抗回路に接続された第一出力端子と、
前記第一電源端子と前記第一出力端子との間に設けられ、前記抵抗回路の抵抗と並列接続された第一ヒューズと、
前記入力端子と前記第一出力端子との間に設けられた第一ダイオードと、
前記入力端子と前記第一出力端子との間に、前記ダイオードと直列接続された電流制限抵抗と、を備え、
前記パッドに前記第一ダイオードが順方向バイアスになるように電圧を印加して、前記トリミング回路のトリミングを行うことを特徴とするトリミング回路。
【請求項2】
前記抵抗回路に接続された第二出力端子と、
前記第二電源端子と前記第二出力端子との間に設けられ、前記抵抗回路の他の抵抗と並列接続された第二ヒューズと、
前記入力端子と前記第二出力端子との間に設けられた第二ダイオードと、を備え、
前記パッドに前記第一ダイオードが順方向バイアスになるような電圧、または前記第二ダイオードが順方向バイアスになるような電圧、を印加して、前記トリミング回路のトリミングを行うことを特徴とする請求項1記載のトリミング回路。
【請求項3】
直列に接続された複数の抵抗を備えた抵抗回路と、
所定の機能を有する内部回路と、
前記内部回路に接続された、外部端子であるパッドと、
前記パッドに前記入力端子が接続された請求項1または2記載のトリミング回路と、
を備えた、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路において、回路の機能設定や特性調整に用いるトリミング回路に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の電圧検出回路や電圧設定回路といった回路において、電圧を設定する抵抗回路などは電圧を調整するために抵抗のトリミング回路が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
図5は、従来のトリミング回路の回路図である。
従来のトリミング回路1において、ヒューズF1を切断する場合について説明する。
【0003】
デコード回路2は、NMOSトランジスタN1のゲートにハイレベルの電圧を出力し、NMOSトランジスタN2〜N4のゲートにローレベルの電圧を出力する。NMOSトランジスタN1はオンし、NMOSトランジスタN2〜N4はオフする。このとき、ヒューズ切断用の電流供給端子であるパッドTRIMから、ダイオードD1とヒューズF1とNMOSトランジスタN1を介して接地端子に電流が流れる。ヒューズF1は、この電流によって切断され、抵抗回路に抵抗R1が直列に追加される。また、パッドTRIMからダイオードD2とヒューズF2と抵抗R5とNMOSトランジスタN1を介しても接地端子に電流が流れる。しかし、電流制限用の抵抗R5を介しているので、ヒューズF2はこの電流によって切断されない。
【0004】
このように、デコード回路2によってオンするトランジスタを選択することで、所望のヒューズを切断して、抵抗回路に所望の抵抗を追加することが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−212415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のトリミング回路では、ヒューズを切断するための電流を入力する端子(パッドTRIM)が必要になるので、チップサイズが大きくなる、という課題がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、専用の端子を必要としないトリミング回路及び半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のトリミング回路は、上記課題を解決するため、内部回路の外部端子であるパッドに共通に接続された入力端子と、抵抗回路に接続された第一出力端子と、第一電源端子と第一出力端子との間に設けられ、抵抗回路の抵抗と並列接続されたヒューズと、入力端子と第一出力端子との間に設けられたダイオードと、を備えたトリミング回路とした。
【0009】
また更に、抵抗回路に接続された第二出力端子と、第二電源端子と第二出力端子との間に設けられ、抵抗回路の他の抵抗と並列接続された第二ヒューズと、入力端子と第二出力端子との間に設けられた第二ダイオードと、を備えたトリミング回路とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明のトリミング回路によれば、ヒューズを切断するための電流を入力する端子は、内部回路の端子と兼用することが出来る。従って、トリミング専用の端子は不要になり、チップサイズを小さくすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第一実施形態のトリミング回路を示す回路図である。
図2】第一実施形態のトリミング回路の他の例を示す回路図である。
図3】第一実施形態のトリミング回路の他の例を示す回路図である。
図4】第二実施形態のトリミング回路を示す回路図である。
図5】従来のトリミング回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
<第一実施形態>
図1は、第一実施形態のトリミング回路を示す回路図である。
トリミング回路10は、ヒューズ11、ダイオード12、電流制限抵抗13、入力端子17、及び、出力端子18を備える。
【0013】
ヒューズ11とダイオード12と電流制限抵抗13は、電源端子と入力端子17の間に直列に接続される。出力端子18は、ヒューズ11とダイオード12の間に接続される。
入力端子17は、内部回路15の外部端子であるパッド16に接続される。出力端子18は、抵抗21、22、23、24を備えた抵抗回路20の抵抗21と22の間に接続される。従って、ヒューズ11は、抵抗21と並列に接続されている。
【0014】
次に、トリミング回路10の動作について説明する。
先ず、ヒューズ11を切断する場合について説明する。パッド16に、電源電圧にダイオード12の閾値電圧を加算した電圧以上の電圧を印加する。ダイオード12は順方向バイアスになって電流を流すので、パッド16からヒューズ11を介して電源端子に電流が流れる。この電流により、ヒューズ11が切断される。
【0015】
次に、通常時のトリミング回路10の動作について説明する。通常時は、パッド16には電源電圧以下の電圧が印加される。このとき、ダイオード12は逆方向バイアスになるので、ヒューズ11は電流が流れないので切断されない。そして、パッド16は内部回路15の端子としてのみ機能する。
【0016】
なお、トリミング回路10は、パッド16に電源電圧以上の電圧を印加して、ヒューズ11を切断する構成であったが、図2のトリミング回路30に示すように構成しても良い。
【0017】
トリミング回路30は、ヒューズ31とダイオード32と電流制限抵抗33が、入力端子37と接地端子の間に直列に接続されている。出力端子38は、ヒューズ31とダイオード32の間に接続される。
【0018】
入力端子37は、内部回路35の外部端子であるパッド36に接続される。出力端子38は、抵抗23と抵抗24の間に接続される。即ち、ヒューズ31は、抵抗24のトリミングのために、抵抗24と並列に接続されている。
【0019】
図2のトリミング回路30では、ヒューズ31を切断するのに、パッド36に接地電圧にダイオード32の閾値電圧を減算した電圧以下の電圧を印加すればよい。
更に、図3に示すように、トリミング回路10とトリミング回路30の両方を設けても良い。
【0020】
なお、電流制限抵抗13及び電流制限抵抗33は、それぞれパッド16及びパッド36の耐ノイズ性を向上するために設けられている。従って、パッドの耐ノイズ性に問題が無ければ、設けなくても良い。
【0021】
以上説明したように、本発明のトリミング回路によれば、ヒューズを切断するための電流を入力する端子は、内部回路の端子と兼用することが出来る。従って、トリミング専用の端子は不要になり、チップサイズを小さくすることが出来る。
【0022】
<第二実施形態>
図4は、第二実施形態のトリミング回路を示す回路図である。
トリミング回路40は、ヒューズ41、ダイオード43、ダイオード44、ヒューズ42、入力端子47、出力端子48、及び、出力端子49を備える。
【0023】
ヒューズ41とダイオード43とダイオード44とヒューズ42は、電源端子と接地端子の間に直列に接続される。入力端子47は、ダイオード43とダイオード44の間に接続され、かつ内部回路15の外部端子であるパッド16に接続される。出力端子48は、ヒューズ41とダイオード43の間に接続され、かつ抵抗回路20に接続される。出力端子49は、ダイオード44とヒューズ42の間に接続され、かつ抵抗回路20に接続される。
【0024】
ヒューズ41は、抵抗回路20の抵抗21のトリミングのために、抵抗21と並列に接続されている。ヒューズ42は、抵抗回路20の抵抗24のトリミングのために、抵抗24と並列に接続されている。
【0025】
次に、トリミング回路40の動作について説明する。
先ず、ヒューズ41を切断する場合について説明する。パッド16に、電源電圧にダイオード43の閾値電圧を加算した電圧以上の電圧を印加する。ダイオード43は順方向バイアスになって電流を流すので、パッド16からヒューズ41を介して電源端子に電流が流れる。この電流により、ヒューズ41が切断される。
【0026】
次に、ヒューズ42を切断する場合について説明する。パッド16に、接地電圧からダイオード44の閾値電圧を減算した電圧以下の電圧を印加する。ダイオード44は順方向バイアスになって電流を流すので、接地端子からヒューズ42を介してパッド16に電流が流れる。この電流により、ヒューズ42が切断される。
【0027】
次に、通常時のトリミング回路40の動作について説明する。通常時は、パッド16には電源電圧以下かつ接地電圧以上の電圧が印加される。このとき、ダイオード43及びダイオード44は逆方向バイアスになるので、ヒューズ41及びヒューズ42は電流が流れないので切断されない。そして、パッド16は内部回路15の端子としてのみ機能する。
【0028】
トリミング回路40では、抵抗回路20の抵抗値の調整のために、ヒューズ41かヒューズ42のどちらかが切断される。ここで、切断されずに残ったヒューズ側の回路は、パッド16のESD保護回路として働く。従って、トリミング回路40のダイオードはESD保護回路の機能も兼用するので、パッド16にESD保護回路を設けなくてもよい。即ち、回路が少なくなり、更にチップサイズを小さくすることが出来る。
【0029】
以上説明したように、本発明のトリミング回路によれば、ヒューズを切断するための電流を入力する端子は、内部回路の端子と兼用することが出来る。従って、トリミング専用の端子は不要になり、チップサイズを小さくすることが出来る。また、トリミング回路のダイオードはESD保護回路の機能も兼用するので、更にチップサイズを小さくすることが出来る。
【符号の説明】
【0030】
1、10、30、40 トリミング回路
11、31、41、42 ヒューズ
15 内部回路
16 パッド
20 抵抗回路
図1
図2
図3
図4
図5