(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
吸水性の蒸発板に差込板を差し込んで補強できるように構成し、前記蒸発板を複数枚、所定間隔で隔てて立設状態に保持するとともに、前記蒸発板の下部を水受け部材内の水に浸漬させ、その水を前記蒸発板から蒸発させる構成の水蒸発装置において、
前記差込板を前記蒸発板の水平軸に対して+30゜〜+60゜又は−30゜〜−60゜の傾斜角度となる状態で前記蒸発板に差し込んで補強し、
前記蒸発板に差込溝を設け、前記差込溝が前記傾斜角度に対応した傾斜溝と、前記傾斜溝に前記差込板を導く連通溝とを備えており、前記傾斜溝内に前記差込板を差し込むことで前記差込板を前記蒸発板に固定し、
前記蒸発板を可撓性のある素材で構成し、前記傾斜溝の一部に抜け抵抗片を形成し、前記抜け抵抗片を前記可撓性を利用して変形させながら前記差込板を前記傾斜溝に差し込むとともに、前記傾斜溝に前記差込板を差し込んだ後は変形された前記抜け抵抗片を元の形に戻すようにして製造する水蒸発装置。
請求項1に記載の水蒸発装置において、前記傾斜溝と前記連通溝とを交差するように設け、前記連通溝から導かれた前記差込板を前記抜け抵抗片を変形させて前記傾斜溝に差し込むときに前記差込板を所定角度、回転させながら差し込む水蒸発装置。
吸水性の蒸発板に差込板を差し込んで補強できるように構成し、前記蒸発板を複数枚、所定間隔で隔てて立設状態に保持するとともに、前記蒸発板の下部を水受け部材内の水に浸漬させ、その水を前記蒸発板から蒸発させる構成の水蒸発装置において、
前記差込板を前記蒸発板の水平軸に対して+30゜〜+60゜又は−30゜〜−60゜の傾斜角度となる状態で前記蒸発板に差し込んで補強し、
前記蒸発板に差込溝を設け、前記差込溝が前記傾斜角度に対応した傾斜溝と、前記傾斜溝に前記差込板を導く連通溝とを備えており、前記傾斜溝内に前記差込板を差し込むことで前記差込板を前記蒸発板に固定し、
前記蒸発板の一対の横壁近くであって、少なくとも各上下2カ所に前記蒸発板の中心部領域から放射状に延びるような前記傾斜溝を形成し、前記傾斜溝に前記差込板を差し込むことによって、前記蒸発板の中心部領域から前記差込板が放射状に延びるように設けられた水蒸発装置。
吸水性の蒸発板に差込板を差し込んで補強できるように構成し、前記蒸発板を複数枚、所定間隔で隔てて立設状態に保持するとともに、前記蒸発板の下部を水受け部材内の水に浸漬させ、その水を前記蒸発板から蒸発させる構成の水蒸発装置において、
前記差込板を前記蒸発板の水平軸に対して+30゜〜+60゜又は−30゜〜−60゜の傾斜角度となる状態で前記蒸発板に差し込んで補強し、
前記蒸発板に差込溝を設け、前記差込溝が前記傾斜角度に対応した傾斜溝と、前記傾斜溝に前記差込板を導く連通溝とを備えており、前記傾斜溝内に前記差込板を差し込むことで前記差込板を前記蒸発板に固定し、
前記蒸発板の一対の横壁近くであって、少なくとも各上下2カ所に前記傾斜溝を形成し、上側差込板と下側差込板はそれぞれ谷型に傾斜した水蒸発装置。
吸水性の蒸発板に差込板を差し込んで補強できるように構成し、前記蒸発板を複数枚、所定間隔で隔てて立設状態に保持するとともに、前記蒸発板の下部を水受け部材内の水に浸漬させ、その水を前記蒸発板から蒸発させる構成の水蒸発装置において、
前記差込板を前記蒸発板の水平軸に対して+30゜〜+60゜又は−30゜〜−60゜の傾斜角度となる状態で前記蒸発板に差し込んで補強し、
前記蒸発板に差込溝を設け、前記差込溝が前記傾斜角度に対応した傾斜溝と、前記傾斜溝に前記差込板を導く連通溝とを備えており、前記傾斜溝内に前記差込板を差し込むことで前記差込板を前記蒸発板に固定し、
前記蒸発板の一対の横壁近くであって、少なくとも各上下2カ所に前記傾斜溝を形成し、上側差込板と下側差込板はそれぞれ山型に傾斜した水蒸発装置。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術はドレン水蒸発装置の強度補強という点に重点をおいた構成であり、十分な強度が要求される用途に好適に使用できる。しかし、廃棄時に金属枠と紙材の分解作業が必要になるとともに、金属枠を別に加工製造する手間がかかり、製造コストが上昇する課題もあった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は上記課題を解決できる水蒸発装置を提供することにある。
具体的な目的の一例を示すと、以下の通りである。
(a)製造コストを大幅に上昇させず、変形させるような力や押しつぶすような方向の力に対して実用上、十分な強度を有する水蒸発装置を提供する。
なお、上記に記載した以外の発明の課題、その解決手段及びその効果は、後述する明細書内の記載において詳しく説明する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は多面的に表現できるが、例えば、代表的なものを挙げると、次のように構成したものである。なお、下記各発明において、各符号は後述する実施形態との対応関係を分かりやすくするために一例として示したものであり、本発明の各構成要素は、実施形態に記載した符号に係る構成に限定されないことは言うまでもない。
本発明は、吸水性の蒸発板2に差込板3を差し込んで補強できるように構成し、前記蒸発板2を複数枚、所定間隔で隔てて立設状態に保持するとともに、前記蒸発板2の下部を水受け部材13内の水に浸漬させ、その水を前記蒸発板2から蒸発させる構成の水蒸発装置1において、
前記差込板3を前記蒸発板2の水平軸10に対して+30゜〜+60゜又は−30゜〜−60゜の傾斜角度θ,φとなる状態で前記蒸発板2に差し込んで補強し
、
前記蒸発板2に差込溝5を設け、前記差込溝5が前記傾斜角度θ,φに対応した傾斜溝8と、前記傾斜溝8に前記差込板3を導く連通溝12とを備えており、前記傾斜溝8内に前記差込板3を差し込むことで前記差込板3を前記蒸発板2に固定し
、
前記蒸発板2を可撓性のある素材で構成し、前記傾斜溝8の一部に抜け抵抗片31を形成し、前記抜け抵抗片31を前記可撓性を利用して変形させながら前記差込板3を前記傾斜溝8に差し込むとともに、前記傾斜溝8に前記差込板3を差し込んだ後は変形された前記抜け抵抗片31を元の形に戻すようにして製造することを特徴とする。
【0006】
この構成であれば、水平軸に対して前記角度範囲において傾斜した差込板を設けることで、水平方向に設けられた差込板に比べて変形させるような力や押しつぶすような方向の力に対する強度を高めることができるとともに製造コストも抑えることができる。さらに、本発明であれば、金属枠等を用いないので可燃物と不燃物の分解が必要でなく廃棄時においても低コストで処理できる。
この構成であれば、連通溝を備えることによって、蒸発板の外壁から差込板を傾斜溝に導くことができ、水蒸発装置の製造を簡単に行えるようになる。
この構成であれば、傾斜溝内において差込板は抜け抵抗片によって抜け出ることを妨げられるので、外部から力がかかった時でも傾斜溝内の差込板の位置を安定させることができ、水蒸発装置の形状安定性を向上できる。
上記本発明において、できれば、前記傾斜角度θ,φは前記水平軸10に対して+40゜〜+50゜又は−40゜〜−50゜の範囲に設定することが好ましい。
【0007】
上記本発明において、前記傾斜溝8と前記連通溝12とを交差するように設け、前記連通溝12から導かれた前記差込板3を前記抜け抵抗片31を変形させて前記傾斜溝8に差し込むときに前記差込板3を所定角度、回転させながら差し込むようにすることもできる。
この構成であれば、傾斜溝と連通溝とを交差するように設けることで、連通溝に導入される方向と逆方向に差込板が移動して抜け出ることを抑制することができる。また、差込板を所定角度回転させながら差し込むようにすることで、外部から力がかかったときに抜け抵抗片が変形して差込板が抜け出ることを抑制することができる。
なお、傾斜溝と連通溝の交差角度と回転させる所定角度は共に略90゜にすることが好ましい。
【0008】
本発明は、吸水性の蒸発板2に差込板3を差し込んで補強できるように構成し、前記蒸発板2を複数枚、所定間隔で隔てて立設状態に保持するとともに、前記蒸発板2の下部を水受け部材13内の水に浸漬させ、その水を前記蒸発板2から蒸発させる構成の水蒸発装置1において、
前記差込板3を前記蒸発板2の水平軸10に対して+30゜〜+60゜又は−30゜〜−60゜の傾斜角度θ,φとなる状態で前記蒸発板2に差し込んで補強し
、
前記蒸発板2に差込溝5を設け、前記差込溝5が前記傾斜角度θ,φに対応した傾斜溝8と、前記傾斜溝8に前記差込板3を導く連通溝12とを備えており、前記傾斜溝8内に前記差込板3を差し込むことで前記差込板3を前記蒸発板2に固定し
、
前記蒸発板2の一対の横壁4,4近くであって、少なくとも各上下2カ所に前記蒸発板2の中心部領域9から放射状に延びるような前記傾斜溝8を形成し、前記傾斜溝8に前記差込板3を差し込むことによって、前記蒸発板2の中心部領域9から前記差込板3が放射状に延びるように設けられたことを特徴とする。
この構成であれば、低い製造コストで水蒸発装置の形態安定性を向上できる。また、蒸発板の中心部領域から差込板が放射状に延びるように設けられることで、補強強度を高めることができる。
【0009】
本発明は、吸水性の蒸発板2に差込板3を差し込んで補強できるように構成し、前記蒸発板2を複数枚、所定間隔で隔てて立設状態に保持するとともに、前記蒸発板2の下部を水受け部材13内の水に浸漬させ、その水を前記蒸発板2から蒸発させる構成の水蒸発装置1において、
前記差込板3を前記蒸発板2の水平軸10に対して+30゜〜+60゜又は−30゜〜−60゜の傾斜角度θ,φとなる状態で前記蒸発板2に差し込んで補強し
、
前記蒸発板2に差込溝5を設け、前記差込溝5が前記傾斜角度θ,φに対応した傾斜溝8と、前記傾斜溝8に前記差込板3を導く連通溝12とを備えており、前記傾斜溝8内に前記差込板3を差し込むことで前記差込板3を前記蒸発板2に固定し
、
前記蒸発板2の一対の横壁4,4近くであって、少なくとも各上下2カ所に前記傾斜溝8を形成し、上側差込板3a,3cと下側差込板3b,3dはそれぞれ谷型に傾斜したことを特徴とする。
この構成であれば、低い製造コストで水蒸発装置の形態安定性を向上できる。また、それぞれ谷型に傾斜した構造とすることで、補強強度を高めることができる。
【0010】
本発明は、吸水性の蒸発板2に差込板3を差し込んで補強できるように構成し、前記蒸発板2を複数枚、所定間隔で隔てて立設状態に保持するとともに、前記蒸発板2の下部を水受け部材13内の水に浸漬させ、その水を前記蒸発板2から蒸発させる構成の水蒸発装置1において、
前記差込板3を前記蒸発板2の水平軸10に対して+30゜〜+60゜又は−30゜〜−60゜の傾斜角度θ,φとなる状態で前記蒸発板2に差し込んで補強し
、
前記蒸発板2に差込溝5を設け、前記差込溝5が前記傾斜角度θ,φに対応した傾斜溝8と、前記傾斜溝8に前記差込板3を導く連通溝12とを備えており、前記傾斜溝8内に前記差込板3を差し込むことで前記差込板3を前記蒸発板2に固定し
、
前記蒸発板2の一対の横壁4,4近くであって、少なくとも各上下2カ所に前記傾斜溝8を形成し、上側差込板3a,3cと下側差込板3b,3dはそれぞれ
山型に傾斜したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明であれば、製造コストを大幅に上昇させず、変形させるような力や押しつぶすような方向の力に対して実用上、十分な強度を有する水蒸発装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態をドレン水蒸発装置を例にとり、図面に基づき説明する。
図1は本発明の第1実施形態を示すドレン水蒸発装置の斜視図、
図2はその正面図、
図3はその平面図、
図4は
図2のA−A線縦断面図、
図5は
図3のB−B線縦断面図である。また、
図6は蒸発板の正面図であり、
図7はドレン水蒸発装置の使用状態の一例を示す斜視図である。
図1に示すように、このドレン水蒸発装置1は、紙材などの吸水性材料によって構成された蒸発板2と、差込板3とを備えている。蒸発板2は立設状態で多数枚(
図1に示す構成では36枚)、所定間隔で隔てて立設してある。蒸発板2は通常、四角形状を含む矩形状に形成される。但し、蒸発板2の形状は矩形のみならず、例えば山状、扇子状などの各種形状であってもよく、立設状態でドレン水を蒸発できる形状であれば形状は特に限定されない。
【0013】
図7に示すように、ドレン水蒸発装置1は水受け部材13の上に載置され、水受け部材13に溜まった凝縮水、除霜水などのドレン水を蒸発板2から蒸発させるものである。水受け部材13はドレン水受け皿や、大型冷蔵庫の下部位置に設けられたドレン水受け部などで構成される。
図2及び
図6に示すように、本実施形態では蒸発板2は四角形で形成してあり、蒸発板2の一対の横壁4,4(左右両辺)にそれぞれ内側に切り込まれた上側差込溝5a,5c、下側差込溝5b,5dが形成してある。下側差込溝5b,5dはドレン水蒸発装置がドレン水に浸漬された場合にその全体形状を保持できる所定の高さ領域に設定される。
【0014】
差込板3は補強部材として機能させるために耐水性のある材料で構成してある。そのような耐水性のある材料としては、一般的な合成樹脂素材を使用することができ、例えばポリプロピレンなどが例示できる。
図8に示すように差込板3には蒸発板2の並べる方向(長手方向)と直交する方向に多数の切込み14が形成されており、各蒸発板をその切込み14によって挟み込むように固定する。切込み14を保持する支持部28の幅L2は切込み14の幅L1と略同じ長さに設定されることが多い。
【0015】
図9に示すように、右側の上側差込溝5aは、水平方向に沿って形成された水平溝6と、水平溝6の端部から内側斜め上方に延びる接続溝7aと、接続溝7aの端部においてT字形に形成された傾斜溝8aとを備えている。傾斜溝8aは蒸発板2の中心部領域9に向かって延びるように水平軸10に対して角度θ(略+45゜)傾斜して内側斜め下がりに形成してある。この傾斜溝8aに差し込まれた上側差込板3a(
図2参照)は内側斜め下がりに傾斜した状態で蒸発板2を補強する。
傾斜溝8の放射方向の長さは差込板3の支持部28の長さL2と略同じ長さに形成されており、傾斜溝8内に支持部28を嵌入させるように保持する。
なお、前記水平軸6と接続溝7はそれぞれ前記連通溝12を構成する。
【0016】
また、同様に
図9に示すように、右側の下側差込溝5bは、水平方向に沿って形成された水平溝6と、水平溝6の端部から内側斜め下方に延びる接続溝7bと、接続溝7bの端部においてT字形に形成された傾斜溝8bとを備えている。傾斜溝8bは蒸発板2の中心部9に向かって延びるように水平軸10に対して角度φ(略−45゜)傾斜して内側斜め上がりに形成してある。この傾斜溝7bに差し込まれた下側差込板3b(
図2参照)は内側斜め上がりに傾斜した状態で蒸発板2を補強する。
【0017】
図9において左側の上側差込溝5c、左側の下側差込溝5dは蒸発板2の左右方向の中心線11に対して左右対称形に形成されているので、結果として各傾斜溝8a,8b,8c,8dと各差込板3a,3b,3c,3d(
図2参照)はそれぞれ中心部領域9から放射状に延びる方向に配設される。この場合、傾斜溝8c、傾斜溝8dの水平軸10に対する角度θ、φはそれぞれ略+45゜、略−45゜に設定される。なお、これらの傾斜角度θ、φの範囲は前記したようにθ=+30゜〜+60゜又はφ=−30゜〜−60゜の範囲としても補強効果を果たすことができる。但し、上記範囲においてθ=+40゜〜+50゜又はφ=−40゜〜−50゜に設定することが好ましい。また、
図9に示す実施形態のように略+45゜及び略−45゜に設定することが最も好ましい。
なお、水平軸10の方向は中心線11から両外側方向へ延びるように取る。また、水平軸10に対する傾斜角度の取り方は、中心部領域9を通る水平軸10の上側をプラス、下側をマイナスと規定する。上記角度範囲で言えば、+30゜〜+60゜の範囲はθで示し、−30゜〜−60゜の範囲をφで示している。
【0018】
また、本実施形態に係るドレン水蒸発装置であれば、水平軸10に対する傾斜を上記角度範囲にして差込板3を蒸発板2に差し込んで固定する方法を採用しているので、単に水平方向に差込板3を差し込んで固定した場合に比べて、蒸発板2に対して押潰す方向の力やねじるような力に対して簡単かつ安価に強度を向上できる。
【0019】
さらに、放射状に差込板3a,3b,3c,3dを設けることで、水平方向に向かう力や垂直方向に押し潰すように係る力に対しても強い耐性を備えることができる。なお、本実施形態では、傾斜溝8aと傾斜溝8d、傾斜溝8bと傾斜溝8cをそれぞれ延長した線が平行線となり、一点に集まらないように各傾斜溝8a,8b,8c,8dの配設位置が設定してある。
なお、本明細書において略中心部領域9とは、
図9において想像線で示すように蒸発板2の重心を含み、所定の広がりを有する中心の領域を言う。
【0020】
図10〜
図13は傾斜溝への差込板の挿入手順の一例を示した図である。
まず、
図10において矢印16,16に示すように、水平溝6に沿って差込板3aを内側へ水平に移動させて、水平溝6と接続溝7aの接続位置に差込板3aの切込み14のほぼ全てが入り込むように挿入する。その状態から、
図10に示す矢印17,17に示すように接続溝7aの斜め上方への傾きに沿って差込板3aを上方へ45゜回転させつつ、スライドさせながら
図11に示すように傾斜溝8aの上側辺30に切込み14を差し込んだ状態にする。
【0021】
図11に示す状態から、
図12の符号18に示すように水平溝6の上部領域である抜け抵抗片31をひしゃげるように変形させながら差込板3aを回転させることによって、
図13に示すように傾斜溝8a内に差込板3aの支持部28が嵌入される。
この嵌入された状態では、傾斜溝8aの長手方向の長さは前記支持部28の幅L2にほぼ等しいので、切込み14が蒸発板2に差し込まれていることと相俟って、その差込み位置を強力に保持することができる。
【0022】
また、
図13に示すように傾斜溝8aに差込板3aの支持部28が嵌入された状態において、抜け抵抗片31は元の形状に戻るので、差込板3aの支持部28に当接した抜け防止用の支持片とすることができ、差込板3aが抜け出ることを強力に防止することができる。
また、差込板3aの支持部28が連通溝12から傾斜溝8aに嵌入されるとときに、
図12から
図13に示すように差込板3aが回転されるので、差込板3aの支持部28の傾斜方向と連通溝12の延びる方向とを略90゜交差した方向にでき、連通溝12を逆に辿って差込板3aが抜け落ちる可能性はなくなる。
しかも、この構成では、差込板3aの支持部28にほぼ直交して延びる接続溝7aの上辺33及び下辺34が存在するので、傾斜溝8aから差込板3aが飛び出るような移動を抑制する一対の支えとして機能させることができ、ドレン水蒸発装置に力がかかったときに差込板3aの安定性を高めることができる。
【0023】
また、この構成では接続溝7aの上辺33に対応する抜け抵抗片31の領域が下辺34に対応する領域よりも大きく形成されているので、差込板3aが抜け出るためには、抜け抵抗辺31をひしゃげるように変形させるには大きい力が必要になり、差込板3aが抜け出ることを抑制できる。
また、差込板3aが蒸発板2から脱落する場合を予想すると、差込板3aを挿入した傾斜溝8に沿って差込板3aが逆方向に移動して抜け落ちる場合が最も可能性が高いと予想されるが、予め傾斜溝8と連通溝12は略90゜で交差するように連通されているので、蒸発板2から脱落する可能性を著しく低減することができる。
【0024】
この差込板の挿入処理は、差込板、蒸発板の一方に対して他方を相対的に回転させて行うことが可能である。また、挿入処理を手作業で行うことも機械化することも可能である。
また、この実施形態では、抜け抵抗辺31を変形させ、元の形に戻ることが必要であるから、蒸発板2の材質はある程度の柔軟性があり、折り曲げてもポキンと折れない性質(可撓性)を有することが必要になる。
【0025】
図14は本発明の第2実施形態を示すドレン水蒸発装置の部分拡大斜視図である。
この実施形態は最前端及び最後端の蒸発板2とそれらの一つ手前の蒸発板2とを斜めに繋ぐことによって補強する連結部材21を設けたことを特徴としている。
図14に示す構成では、この連結部材21は最前端の蒸発板2における水平溝6の下側辺とその一つ後側の蒸発板2の水平溝6の上側辺を接続するように構成してある。また、これらの連結部材21は蒸発板2の4つの差込溝5の全てに設けるようにする。
【0026】
連結部材21は蒸発板2の材質と同じ紙材で構成してもよく、また、他の可燃性の部材を用いてもよい。連結部材21と蒸発板2の固着は超音波溶着方式を採用することが好ましい。ホットメルトを使用しないことで耐熱性の心配がなくなる。
この構成であれば、形状が崩れやすい最前端及び最後端の4つの差込溝5を守るように連結部材21が設けられているので、ドレン水蒸発装置の全体としての形状の安定性向上させることができる。また、蒸発板2の廃棄に際しても超音波溶着方式を採用することで有利になる。
なお、ドレン水蒸発装置の形態安定性を向上させる手段は上記構成の連結部材を設ける構成のみならず、各種の構成を採用することが可能である。その場合、従来、ドレン水蒸発装置において採用されてきた公知の補強方法が採用できる。
【0027】
図15は本発明の第3実施形態を示す蒸発板の正面図である。
この実施形態に係る蒸発板は、傾斜溝8の傾斜角度を延長したような連通溝35を形成したもので、傾斜溝8と連通溝35が同じ直線上にある構成になっている。
また、上側差込溝の形状を下側差込溝にも採用した構成となっている。つまり、左右の上側差込板3a,3cと下側差込板3b,3dはそれぞれ谷型(V字形とも言える)に傾斜した構造になっている。この構成であっても傾斜した差込板3を蒸発板2に固定することができる。この構成であると、谷型に傾斜した構造になっているので重力の作用によって連通溝35から差込板3が抜け出ることを抑制することができる。また、必要により、
図14に示す連結部材21を用いて差込板3を蒸発板2に接続するなどの抜け防止用の固定手段を設けることで、挿入された差込板3が抜け落ちることを確実に防止することもできる。
本実施形態の構成においても同様に変形に強いドレン水蒸発装置を提供できる。なお、この実施形態においても差込板3の傾斜角度は水平軸に対して略+45゜に設定することが好ましい。
【0028】
図16(A)(B)はそれぞれ上記第3実施形態に関係した構成を実現できる差込溝の構成を説明するための図である。
図16(A)は
図15に示す差込板に対応する連通溝35を拡大したものであり、この構成では傾斜溝8に相当する部分の溝幅L3をそのまま外側斜め上方に延設して連通溝35を形成したものとなっている。
図16(B)は傾斜溝8aに相当する部分の溝幅L3に対して、連通溝35の溝幅L4を小さくして、傾斜溝8a内に嵌入された差込板が連通溝35を逆行することを抑制するようにしている。この構成では上記溝幅L3と溝幅L4の差によって差込板の上側端部を抑える一対の抜け抵抗片36,36が形成されることになって抜け防止の効果を高めることができる。なお、溝幅L4を極めて小さいものにして、蒸発板の可撓性による変形によって差込板を差し込むようにしてもよい。
【0029】
図17,
図18はそれぞれ本発明の第4実施形態を示す蒸発板の正面図である。
図17に示す実施形態は、前記した傾斜溝、接続溝、水平溝を用いた差込溝の構成において、上側差込溝と下側差込溝をともに前記谷型に傾斜した差込溝で構成したことを特徴としている。この構成であれば水平方向に差込板を固定する場合に比べて、変形に対する耐性を向上させることができる。
同様に
図18に示すように、
図17に示す構成の上下を逆にした構成も採用することができる。この場合は、第1実施形態における上側差込溝と下側差込溝を山型(Λ型とも言える)の差込溝とした構成となる。
【0030】
本発明は上記実施形態以外にも本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形を行うことが可能である。
(1)例えば、本発明として適用できる装置として、前記実施形態ではドレン水蒸発装置を例に挙げて説明したが、加湿器などの水蒸発装置としても使用可能である。
(2)差込板の枚数も左右に3個設けて合計6個、左右に4個設けて合計8枚というように差込板の枚数も増やすことが可能である。また、1つの水蒸発装置内で複数種類の傾斜角度を採用することも可能である。
(3)水蒸発装置の水平軸及び垂直軸の方向に差し込まれた差込板と共に本発明に係る傾斜した差込板を有する水蒸発装置も採用することができる。
(4)前記実施形態では
図9に一例として示すように傾斜溝8に外壁から差込板3を導く連通溝12を水平溝6と傾斜溝7とから構成した例を示したが、連通溝12を円弧又は楕円弧などの各種の曲線溝で構成することも可能である。また、蒸発板2を可撓性のある素材で変形できるもので構成すれば、連通溝12の幅は必ずしも必要でなく、連通溝12を単なる切断直線又は切断曲線で構成することも可能である。但し、この場合は差込板を多数枚の蒸発板に差し込む時に抵抗が大きくなり、水蒸発装置の製造に際してある程度の熟練が必要になる。