特許第5753012号(P5753012)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5753012
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/10 20060101AFI20150702BHJP
   F21S 2/00 20060101ALI20150702BHJP
   F21Y 101/02 20060101ALN20150702BHJP
【FI】
   F21S8/10 371
   F21S2/00 432
   F21S2/00 435
   F21S8/10 330
   F21S8/10 351
   F21S8/10 352
   F21Y101:02
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-149152(P2011-149152)
(22)【出願日】2011年7月5日
(65)【公開番号】特開2013-16386(P2013-16386A)
(43)【公開日】2013年1月24日
【審査請求日】2014年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099999
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 隆
(72)【発明者】
【氏名】夏目 和典
(72)【発明者】
【氏名】小泉 浩哉
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−267928(JP,A)
【文献】 特開2008−186786(JP,A)
【文献】 特開2010−282880(JP,A)
【文献】 特開2008−226739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/10
F21S 2/00
F21Y 101/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源と、これら各光源からの出射光を入射させた後、前方へ向けて導光し、第1表面に形成された複数の反射素子で内面反射させて、この第1表面と対向する第2表面から灯具前方へ向けて出射させるように構成された導光板と、を備えてなる車両用灯具において、
上記導光板が、前方へ向けて上記第1表面側へ湾曲するとともに徐々に肉厚が薄くなるように形成されており、
上記複数の反射素子が、前後方向に所定間隔をおいて前後方向と交差する方向に延びるように形成されており、
上記複数の反射素子が、上記各光源に対応する位置毎に、前後方向に延びる帯状領域として形成されている、ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
上記各反射素子の前後幅が、前方側に位置する反射素子ほど大きい値に設定されている、ことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
上記導光板が、前後方向と直交する方向に関して該方向の端部へ向けて上記第2表面側へ湾曲するように形成されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用灯具。
【請求項4】
上記複数の反射素子が、上記帯状領域毎に階段状に形成されている、ことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、導光板を備えた車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、発光ダイオード等の複数の光源からの出射光を、導光板に対して、その側端面から入射させた後、その後面に形成された複数の反射素子で内面反射させて、その前面から灯具前方へ向けて出射させるように構成された車両用灯具が知られている。
【0003】
「特許文献1」には、このような車両用灯具において、各光源からの出射光を入射させる導光板の側端面が、後端面としての向きに近い向きで配置された構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−122946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
導光板の構成として、各光源からの出射光を入射させた後、前方へ向けて導光する構成とすれば、各光源の配置スペースを容易に確保可能とした上で、導光板を車体形状等に沿って湾曲させた状態で配置することが容易に可能となる。
【0006】
しかしながら、このように各光源からの出射光を導光板に入射させた後、前方へ向けて導光するようにした場合において、導光板に入射した光を灯具前方へ向けて出射させることは、導光板の出射面に対して臨界角未満の入射角度で光を到達させることが必要となるので必ずしも容易でない。このため、灯具正面視において導光板が均一に発光して見えるようにすることも容易でない、という問題がある。
【0007】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、導光板を備えた車両用灯具において、その導光板が各光源からの出射光を入射させた後、前方へ向けて導光する構成となっている場合であっても、灯具正面視において導光板が均一に発光して見えるようにすることができる車両用灯具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、導光板の形状に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0009】
すなわち、本願発明に係る車両用灯具は、
複数の光源と、これら各光源からの出射光を入射させた後、前方へ向けて導光し、第1表面に形成された複数の反射素子で内面反射させて、この第1表面と対向する第2表面から灯具前方へ向けて出射させるように構成された導光板と、を備えてなる車両用灯具において、
上記導光板が、前方へ向けて上記第1表面側へ湾曲するとともに徐々に肉厚が薄くなるように形成されており、
上記複数の反射素子が、前後方向に所定間隔をおいて前後方向と交差する方向に延びるように形成されており、
上記複数の反射素子が、上記各光源に対応する位置毎に、前後方向に延びる帯状領域として形成されている、ことを特徴とするものである。
【0010】
上記「光源」の種類は特に限定されるものではなく、例えば発光ダイオード等が採用可能である。
【0011】
上記「導光板」は、前方へ向けて第1表面側へ湾曲するとともに徐々に肉厚が薄くなるように形成されていれば、その具体的な形状は特に限定されるものではない。この場合において「前方へ向けて第1表面側へ湾曲する」とは、前後方向に関して、第1表面側が凹になるとともに第2表面側が凸になるように湾曲することを意味するものである。
【0012】
上記「第1表面側」は、上方向、下方向、左方向、右方向、あるいはその中間の斜め方向のいずれであってもよい。
【0013】
上記各「反射素子」による「内面反射」は、全反射により行われるものであってもよいし、該反射素子の表面に鏡面処理を施すことにより通常の鏡面反射として行われるものであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
上記構成に示すように、本願発明に係る車両用灯具は、複数の光源の各々からの出射光を、導光板に入射させた後、前方へ向けて導光し、その第1表面に形成された複数の反射素子で内面反射させて、この第1表面と対向する第2表面から灯具前方へ向けて出射させる構成となっているが、導光板は前方へ向けて第1表面側へ湾曲するとともに徐々に肉厚が薄くなるように形成されており、複数の反射素子は前後方向に所定間隔をおいて前後方向と交差する方向に延びるように形成されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0015】
すなわち、導光板に入射した光は、第1表面および第2表面で順次全反射を繰り返しながら前方へ向けて導光されるが、導光板は前方へ向けて第1表面側へ湾曲しているので、その入射位置からある程度前方に離れた位置においては、第1表面の反射素子で内面反射した光の一部が、第2表面に対して臨界角未満の入射角度で到達し、この第2表面から灯具前方へ向けて出射することとなる。そして、さらに導光を続けた光の一部が、さらに前方の位置において、第1表面の反射素子で内面反射して、第2表面に対して臨界角未満の入射角度で到達し、この第2表面から灯具前方へ向けて出射することとなる。
【0016】
その際、導光板は前方へ向けて徐々に肉厚が薄くなるように形成されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0017】
すなわち、前方へ向けて第1表面側へ湾曲する導光板において、その肉厚が仮に一定であったとすると、第1表面の反射素子で内面反射した光を第2表面に対して臨界角未満の入射角度で到達させるためには、各反射素子における前端縁または後端縁の段差を前方側に位置する反射素子ほど高くする必要があるが、このようにすると導光板の前端部まで導光される光が少なくなってしまう。その点、導光板を前方へ向けて徐々に肉厚が薄くなるように形成すれば、各反射素子の段差が極端に高くならないようにすることができ、導光板の前端部までの導光を容易に可能とすることができる。そしてこれにより、灯具正面視において導光板が均一に発光して見えるようにすることができる。
【0018】
このように本願発明によれば、導光板を備えた車両用灯具において、その導光板が各光源からの出射光を入射させた後、前方へ向けて導光する構成となっている場合であっても、灯具正面視において導光板が均一に発光して見えるようにすることができる。
【0019】
上記構成において、各反射素子の前後幅が、前方側に位置する反射素子ほど大きい値に設定された構成とすれば、次のような作用効果を得ることができる。
【0020】
すなわち、導光板の内部において導光される光は、前方へ進むに従って徐々に減少するので、前方側に位置する反射素子ほどその前後幅を大きい値に設定することにより、各反射素子で内面反射して第2表面から灯具前方へ向けて出射する光の強度を各反射素子相互間で均一化することができる。そしてこれにより、灯具正面視において導光板がより均一に発光して見えるようにすることができる。
【0021】
なお、このようにした場合、前方側に位置する反射素子は、その前端縁または後端縁の段差が高くなるが、導光板は前方へ向けて徐々に肉厚が薄くなるように形成されているので、各反射素子の段差が極端に高くならないようにすることが可能である。
【0022】
上記構成において、導光板を、前後方向と直交する方向に関して該方向の端部へ向けて第2表面側へ湾曲するように形成された構成とすれば、導光板の湾曲する方向が前後方向とその直交方向とで逆になるので、灯具意匠に斬新さを持たせたり、灯具レイアウトの自由度を高めることができる。例えば、この導光板を、その後端領域において他の灯具ユニットを囲むようにして配置した場合には、この灯具ユニットの周囲から前方へ向けて導光板が外周側へ湾曲して拡がる意匠を演出することができる。この場合において「前後方向と直交する方向」は、左右方向であってもよいし、上下方向であってもよいし、斜め方向であってもよい。また、この場合において「前後方向と直交する方向に関して該方向の端部へ向けて第2表面側へ湾曲する」とは、前後方向と直交する方向に関して、第1表面側が凸になるとともに第2表面側が凹になるように湾曲することを意味するものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本願発明の一実施形態に係る車両用灯具を示す側断面図
図2図1のII方向矢視図
図3図1のIII 方向矢視図
図4図1に示す車両用灯具から導光体を取り出して、光源からの出射光の光路を詳細に示す図
図5図4のV部詳細図
図6】上記実施形態の変形例に係る車両用灯具を示す、図3と同様の図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0025】
図1は、本実施形態に係る車両用灯具10を示す側断面図である。また、図2は、図1のII方向矢視図であり、図3は、図1のIII 方向矢視図である。
【0026】
これらの図に示すように、この車両用灯具10は、車両の左前端部に設けられるデイタイムランニングランプであって、ランプボディ12とこのランプボディ12の前端開口部に取り付けられた素通し状の透光カバー14とで形成される灯室内に、ヘッドランプユニット50と共に組み込まれた構成となっている。
【0027】
この車両用灯具10は、複数の発光ダイオード22と導光板24とを備えた構成となっている。
【0028】
図1に示すように、導光板24は、各発光ダイオード22からの出射光を、その後端面24aから入射させた後、その下面24bに形成された複数の反射素子24sで内面反射させて、その上面24cから灯具前方へ向けて出射させるように構成されている。
【0029】
この導光板24は、その後端面24aから前方側所定範囲までの後部領域24Aは、水平面に沿って平板状に延びるように形成されているが、それよりも前方側の主要領域24Bは、前方へ向けて下面24b側へ湾曲するとともに徐々に肉厚が薄くなるように形成されている。そして、この導光板24の前端領域24Cは、前方へ向けてさらに大きく下面24b側へ湾曲するように形成されており、その肉厚は主要領域24Bの前端部よりもやや厚くなっている。
【0030】
図3に示すように、この導光板24は、左右方向に関して、その左端部(同図においては右端部、以下同様)へ向けて後方側へ回り込むように形成されている。これに伴い、この導光板24の後端面24aは、各発光ダイオード22に対応する位置毎に階段状に変位するように形成されている。また、図2に示すように、この導光板24は、その左端部へ向けて上面24c側へ湾曲するように形成されている。そして、この導光板24は、その前端領域24Cの下端位置および左右両端位置においてランプボディ12に固定されている。
【0031】
複数の発光ダイオード22は、導光板24の後端面24aの後方近傍において前方へ向けて配置されている。また、これら複数の発光ダイオード22は、左右方向に略等間隔をおいて配置されている。その際、これら複数の発光ダイオード22は、導光板24の後端面24aが階段状に形成されているのに対応して、左側に位置する発光ダイオード22ほど後方側へ変位した状態で配置されている。
【0032】
これら各発光ダイオード22は、縦長の基板26の前面上端部にそれぞれ固定されている。また、これら各基板26は、略π形断面で上下方向に延びるヒートシンク28の前面にそれぞれ固定されている。さらに、これら各ヒートシンク28は、共通の光源支持部材30に固定されている。そして、この光源支持部材30は、ランプボディ12に固定されている。
【0033】
導光板24の下方近傍には、この導光板24の形状に略沿って延びるように形成された反射パネル32が配置されている。この反射パネル32は、その上面32aに鏡面処理が施されており、これにより、導光板24から下方へ僅かに漏れ出た光を反射させるようになっている。
【0034】
この反射パネル32は、その後部領域においては導光板24の後部領域24Aと密着しており、それ以外の領域においては導光板24から離れている。その際、この反射パネル32は、導光板24の主要領域24Bの後端位置から前端位置へ向けて導光板24との隙間が徐々に大きくなるように形成されている。そして、この反射パネル32は、その後端面において基板26に当接しており、その前端部の下面においてランプボディ12に当接している。
【0035】
ヘッドランプユニット50は、導光板24の後部領域24Aの上方近傍に位置するように配置されている。
【0036】
このヘッドランプユニット50は、光源バルブ52と、この光源バルブ52からの光を前方へ向けて反射させるリフレクタ54とを備えた構成となっている。そして、このヘッドランプユニット50は、図示しないエイミング機構を介してランプボディ12に支持されている。
【0037】
導光板24は、このヘッドランプユニット50を、その下側からその左側にかけて迂回するようにして配置されている。
【0038】
このヘッドランプユニット50の前方近傍には、そのリフレクタ54の前端開口部を覆うようにして環状に形成されたエクステンション部材60が配置されている。
【0039】
このエクステンション部材60は、その下部領域が、導光板24における後部領域24Aと主要領域24Bとの境界部分に位置するように配置されており、その下端外周縁60aは、導光板24における後部領域24Aの上面よりもやや低い位置に沿って延びている。
【0040】
図4は、図1に示す車両用灯具10から導光体24を取り出して、発光ダイオード22からの出射光の光路を詳細に示す図である。また、図5は、図4のV部詳細図である。
【0041】
その際、図4においては、発光ダイオード22の発光中心Oから出射して導光体24にその後端面24aから入射した光の光路を示している。
【0042】
図4に示すように、複数の反射素子24sは、導光体24の主要領域24Bおよび前端領域24Cに形成されている。
【0043】
これら複数の反射素子24sは、前後方向に略等間隔をおいて左右方向に延びるように形成されている。その際、各反射素子24sは、その前後幅が、前方側に位置する反射素子24sほど大きい値に設定されている。
【0044】
すなわち、図5に示すように、主要領域24Bに形成された各反射素子24sは、その前後方向のピッチPが略一定であるのに対し、その前後幅dが主要領域24Bの後端位置から前端位置へ向けて徐々に増大するように形成されている。
【0045】
これにより、導光板24の後端面24aから入射して、その下面24bおよび上面24cで順次全反射を繰り返しながら前方へ向けて導光される光に関して、主要領域24Bの後端位置寄りの位置では、反射素子24sに到達する確率を低くする一方、主要領域24Bの前端位置に近づくに従って、反射素子24sに到達する確率を高くし、これにより導光板24の前端部までの導光が円滑に行われるようにしている。
【0046】
図3に示すように、複数の反射素子24sは、各発光ダイオード22に対応する位置毎に、前後方向に延びる帯状領域24Zとして階段状に形成されている。
【0047】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0048】
本実施形態に係る車両用灯具10は、複数の発光ダイオード22(すなわち光源)の各々からの出射光を、導光板24に対して、その後端面24aから入射させた後、その下面24b(すなわち第1表面)に形成された複数の反射素子24sで内面反射させて、その上面24c(すなわち下面24bと対向する第2表面)から灯具前方へ向けて出射させる構成となっているが、導光板24は前方へ向けて下面24b側へ湾曲するとともに徐々に肉厚が薄くなるように形成されており、複数の反射素子24sは前後方向に所定間隔をおいて左右方向(すなわち前後方向と交差する方向)に延びるように形成されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0049】
すなわち、導光板24に対して、その後端面24aから入射した光は、下面24bおよび上面24cで順次全反射を繰り返しながら前方へ向けて導光されるが、導光板24は前方へ向けて下面24b側へ湾曲しているので、その後端面24aからある程度前方に離れた位置においては、下面24bの反射素子24sで内面反射した光の一部が、上面24cに対して臨界角未満の入射角度で到達し、この上面24cから灯具前方へ向けて出射することとなる。そして、さらに導光を続けた光の一部が、さらに前方の位置において、下面24bの反射素子24sで内面反射して、上面24cに対して臨界角未満の入射角度で到達し、この上面24cから灯具前方へ向けて出射することとなる。
【0050】
その際、導光板24は前方へ向けて徐々に肉厚が薄くなるように形成されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0051】
すなわち、前方へ向けて下面24b側へ湾曲する導光板24において、その肉厚が仮に一定であったとすると、下面24bの反射素子24sで内面反射した光を上面24cに対して臨界角未満の入射角度で到達させるためには、各反射素子24sにおける後端縁の段差を前方側に位置する反射素子24sほど高くする必要があるが、このようにすると導光板24の前端部まで導光される光が少なくなってしまう。その点、本実施形態の導光板24は、前方へ向けて徐々に肉厚が薄くなるように形成されているので、各反射素子24sの段差が極端に高くならないようにすることができ、導光板24の前端部までの導光を容易に可能とすることができる。そしてこれにより、灯具正面視において導光板24が均一に発光して見えるようにすることができる。
【0052】
このように本実施形態によれば、導光板24を備えた車両用灯具10において、その導光板24が各発光ダイオード22からの出射光を後端面24aから入射させる構成となっている場合であっても、灯具正面視において導光板24が均一に発光して見えるようにすることができる。
【0053】
その際、本実施形態においては、各反射素子24sの前後幅dが、前方側に位置する反射素子24sほど大きい値に設定されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0054】
すなわち、導光板24の内部において導光される光は、前方へ進むに従って徐々に減少するので、本実施形態のように、前方側に位置する反射素子24sほどその前後幅dが大きい値に設定された構成とすることにより、各反射素子24sで内面反射して上面24cから灯具前方へ向けて出射する光の強度を各反射素子24s相互間で均一化することができる。そしてこれにより、灯具正面視において導光板24がより均一に発光して見えるようにすることができる。
【0055】
なお、このようにした場合、前方側に位置する反射素子24sは、その後端縁の段差が高くなるが、導光板24は前方へ向けて徐々に肉厚が薄くなるように形成されているので、各反射素子24sの段差が極端に高くならないようにすることが可能である。
【0056】
しかも、本実施形態においては、主要領域24Bに形成された各反射素子24sの前後方向のピッチPが略一定の値に設定されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0057】
すなわち、導光板24の後端面24aから入射して、その下面24bおよび上面24cで順次全反射を繰り返しながら前方へ向けて導光される光に関して、主要領域24Bの後端位置寄りの位置では、t(=P−d)の値が大きいため反射素子24sに到達する確率が低くなり、主要領域24Bの前端位置に近づくに従って、tの値が徐々に小さくなるため反射素子24sに到達する確率が高くなる。したがってこれにより、導光板24の前端部までの導光がより円滑に行われるようにすることができる。
【0058】
また、本実施形態においては、導光板24が、左右方向に関して左側の端部へ向けて上面24c側へ湾曲するように形成されているので、導光板24の湾曲する方向が前後方向と左右方向とで逆になる。したがってこれにより、灯具意匠に斬新さを持たせたり、灯具レイアウトの自由度を高めることができる。すなわち、本実施形態においては、導光板24が、その後部領域24Aにおいてヘッドランプユニット50を囲むようにして配置された構成となっているが、その際、このヘッドランプユニット50の周囲から前方へ向けて導光板24が外周側へ湾曲して拡がる意匠を演出することができる。
【0059】
上記実施形態においては、主要領域24Bの後端位置から前端位置へ向けて、各反射素子24sの前後幅dが徐々に増大する構成とするために、各反射素子24sの前後方向のピッチPが略一定の値に設定されるようにした上で、t(=P−d)の値が前端位置へ向けて徐々に減少するように設定されているものとして説明したが、このようにする代わりに、t(=P−d)の値が略一定の値に設定されるようにした上で、各反射素子24sの前後方向のピッチPが前端位置へ向けて徐々に増大するように設定された構成とすることも可能である。
【0060】
また、上記実施形態においては、各反射素子24sが左右方向に延びるように形成されているものとして説明したが、左右方向に対して前後方向に傾斜した方向(例えば、導光板24の前端縁と平行な方向)に延びるように形成された構成とすることも可能である。
【0061】
なお、上記実施形態においては、車両用灯具10が、車両の左前端部に設けられるデイタイムランニングランプである場合について説明したが、車両の右前端部に設けられるデイタイムランニングランプである場合、あるいはデイタイムランニングランプ以外の灯具である場合、さらには車両の後端部に設けられる灯具である場合等においても、上記実施形態と同様の構成を採用することにより上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0062】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0063】
図6は、上記実施形態の変形例に係る車両用灯具110を示す、図3と同様の図である。
【0064】
同図に示すように、本変形例に係る車両用灯具110は、その基本的な構成については上記実施形態の場合と同様であるが、その導光板124における後端面124aの形状が、上記実施形態の導光板24の場合と一部異なっている。
【0065】
すなわち、本変形例の導光板124は、その後端面124aにおける各発光ダイオード22に対応する位置に、各発光ダイオード22からの出射光を鉛直面と略平行な光として導光板124に入射させるためのレンズ部124dが形成された構成となっている。
【0066】
本変形例の構成を採用することにより、各発光ダイオード22からの出射光を、その前方に位置する帯状領域124Zに効率良く入射させることができる。そしてこれにより、灯具正面視において導光板124の各反射素子124sがより明るく発光して見えるようにすることができる。
【0067】
なお、上記実施形態および変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【符号の説明】
【0068】
10、110 車両用灯具
12 ランプボディ
14 透光カバー
22 発光ダイオード(光源)
24、124 導光板
24A 後部領域
24B 主要領域
24C 前端領域
24Z、124Z 帯状領域
24a、124a 後端面
24b 下面(第1表面)
24c 上面(第2表面)
24s、124s 反射素子
26 基板
28 ヒートシンク
30 光源支持部材
32 反射パネル
32a 上面
50 ヘッドランプユニット
52 光源バルブ
54 リフレクタ
60 エクステンション部材
60a 下端外周縁
124d レンズ部
d 前後幅
O 発光中心
P ピッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6