【実施例】
【0022】
以下、本発明を実施例および比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
(実施例1)
以下の手順により、ゲルコートオキサミド(オキサミド:アルギン酸Na=8:2)を調製し、緩効性肥料としての性能を測定した。
(1)200mLのビーカーにアルギン酸ナトリウム(2g、Mw.:198、10.1mmol)とイオン交換水90gを加えて、24時間以上、攪拌下で完全に溶解させた。(2)オキサミド(8g)を(1)で調製したアルギン酸ナトリウム水溶液に入れ、約3
0分攪拌させながらオキサミドを均一に分散させた。
(3)500mLのビーカー(内径90mm)に塩化カルシウム2水和物(31.8g、Mw.:147、21.63mmol)とイオン交換水(448.2g)を加えて5wt%塩化カルシウム水溶液480gを調製した。
(4)(2)で調製したオキサミド分散液を5mLのシリンジ(先端径2.2mm)で吸取り、(3)で調整した塩化カルシウム水溶液(400rpm攪拌下)の液面から40cm上部より、渦中心に垂直に滴下してゲルを生成させた。
(5)生成したゲルは、塩化カルシウム水溶液に浸したまま24時間静置した後、粒子をろ過し、2日間乾燥させたところ、オキサミドが均一に分散したアルギン酸カルシウムのゲル粒子を得ることができた。このとき1個当りのゲル粒子の平均質量は13.0mg、平均feret径は2.9mmで、含有窒素は20.3wt%、水分含量は11.0%であった。
(6)(5)で得られたゲル粒子について、緩効性肥料としての性能を評価するため、下記緩効性評価法により無機化率の経時変化を測定した。結果を表1に示す。
【0024】
(実施例2)
以下の手順により、ゲルコートオキサミド(オキサミド:アルギン酸Na=16:2)を調製し、緩効性肥料としての性能を評価した。結果を表1に示す。
(1)200mLのビーカーにアルギン酸ナトリウム(2g、Mw.:198、10.1mmol)とイオン交換水82gを加えて、24時間以上、攪拌下で完全に溶解させた。(2)オキサミド(16g)を(1)で調製したアルギン酸ナトリウム水溶液に入れ、約30分攪拌させながらオキサミドを均一に分散させた。
その他の手順は実施例1と同様である。このとき1個当りのゲル粒子の平均質量は24.0mg、平均feret径は3.3mmで、含有窒素は23.7wt%、水分含量は8.1%であった。
得られた粒子の断面を走査型電子顕微鏡観察(500倍)したところ、オキサミド粒子が均一に分散していることが分かった(
図1)。
【0025】
(実施例3)
以下の手順により、ゲルコートオキサミド(オキサミド:アルギン酸Na=12:1)を調製し、緩効性肥料としての性能を評価した。結果を表1に示す。
(1)200mLのビーカーにアルギン酸ナトリウム(1g、Mw.:198、5.1mmol)とイオン交換水87gを加えて、24時間以上、攪拌下で完全に溶解させた。
(2)オキサミド(12g)を(1)で調製したアルギン酸ナトリウム水溶液に入れ、約30分攪拌させながらオキサミドを均一に分散させた。
その他の手順は実施例1と同様である。このとき1個当りのゲル粒子の平均質量は14.1mg、平均feret径は3.2mmで、含有窒素は21.8wt%、水分含量は14.6%であった。
【0026】
(実施例4)
以下の手順により、ゲルコートオキサミド(オキサミド:アルギン酸Na=16:1)を調製し、緩効性肥料としての性能を評価した。結果を表1に示す。
(1)200mLのビーカーにアルギン酸ナトリウム(1g、Mw.:198、5.1mmol)とイオン交換水83gを加えて、24時間以上、攪拌下で完全に溶解させた。
(2)オキサミド(16g)を(1)で調製したアルギン酸ナトリウム水溶液に入れ、約30分攪拌させながらオキサミドを均一に分散させた。
その他の手順は実施例1と同様である。このとき1個当りのゲル粒子の平均質量は22.3mg、平均feret径は4.0mmで、含有窒素は24.0wt%、水分含量は10.1%でであった。
【0027】
(実施例5)
以下の手順により、ゲルコートオキサミド(オキサミド:アルギン酸Na=18:1)を調製し、緩効性肥料としての性能を評価した。結果を表1に示す。
(1)200mLのビーカーにアルギン酸ナトリウム(1g、Mw.:198、5.1mmol)とイオン交換水81gを加えて、24時間以上、攪拌下で完全に溶解させた。
(2)オキサミド(18g)を(1)で調製したアルギン酸ナトリウム水溶液に入れ、約30分攪拌させながらオキサミドを均一に分散させた。
その他の手順は実施例1と同様である。このとき1個当りのゲル粒子の平均質量は23.3mg、平均feret径は3.9mmで、含有窒素は23.3wt%、水分含量は10.7%でであった。
【0028】
(比較例1)
粉末オキサミド88.5質量部に硫酸第一鉄2.0質量部、燐酸液15.5質量部を二軸ローター型混合機で5分間混合した後、水を添加して約5分間混練操作を継続した。上記操作にて得られた混合物を回転カッター及び高速転動造粒機を使用して造粒した。得られた粒状品の粒径2.85〜3.35mmを無機化試験に供した。
【0029】
(緩効性評価)
緩効性評価法は以下の通りである。
(1)供試土壌:
頓原土壌(火山灰土)、1mm通過土壌、pH(1:5H
2O)6.30、最大容水量(MWC)=103
(2)100mL三角フラスコに供試土壌(乾土40g)と調製したゲルコートオキサミド(窒素として15mg相当)を混合充填し、供試土壌の最大容水量(MWC)の55%(畑条件)となるようにイオン交換水を補水した。
(3)三角フラスコ上部をポリエチレンフィルムで蓋をして、25℃定温庫内で所定時間インキュベートした。
(4)所定の期日に残存したゲルコートオキサミド粒を回収して、(ケルダール法による)全窒素を分析した。
(5)ゲルコートオキサミド粒を回収した後の土壌については、70℃のイオン交換水で溶解物質を抽出してHPLCでオキサミド含量を測定し、含有窒素量を求めて(4)の残存粒の窒素量との合計から無機化率(%)を算出した。(無機化率=オキサミド転化率)
なお、これらの試験は2系列を平行で実施し、平均をとった。
【0030】
【表1】
【0031】
(硬度評価)
実施例1〜5のゲルコートオキサミドの硬度を測定した。測定は、木屋式硬度計((株)
藤原製作所製)により行った。
結果は以下のとおりである。
【0032】
【表2】
【0033】
実施例1〜5のゲルコートオキサミドに加圧した場合、ゲルは、1.5kgまでは弾性変形し、2kg付近で塑性変形を開始し、2kg付近で塑性変形を開始するが、10kgまで荷重をかけても円盤状に変形するだけで、割れたり粉化することはなかった。一方、比較例1の粒状品は、同様の測定において2.8kg〜4.0kgの加圧で破砕された。