(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記燃料ガス導入部において、前記燃料ガスが導入される複数の前記伝熱管の伝熱管端部開口が、前記整流部材を通過した前記燃料ガスの流れ方向に直交する方向に均等に分散配置して設けられるとともに、前記整流部材から複数の前記伝熱管の伝熱管端部開口までの距離を同一に形成した請求項1または2に記載の燃料ガス精製システム。
前記不純物回収機構が、前記伝熱管の内部に付着させた前記不純物を気化する温度の再生ガスを前記伝熱管に供給する再生ガス供給流路と、前記伝熱管を通過した再生ガスを再度前記伝熱管に供給する再生ガス循環流路と、前記不純物が気化して前記再生ガスと混合した不純物混合ガスを前記燃料ガス精製部から外部に排出する不純物混合ガス排出流路とを有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料ガス精製システム。
前記精製ガスの温度を測定する精製ガス温度測定部を備え、前記精製ガス温度測定部で測定された前記精製ガスの温度が、予め設定された一定の温度以下になるように、前記燃料ガス精製部に導入される前記燃料ガスの流量を調整する燃料ガス流量調整部、または、前記液化天然ガスの流量を調整する天燃ガス流量調整部、の少なくともいずれか一方を備える請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃料ガス精製システム。
請求項1〜5のいずれか一項記載の燃料ガス精製システムから得られる、前記燃料ガスから前記不純物が分離された前記精製ガスと、前記燃料ガスとの熱交換が行われた前記熱交換後の天然ガスとを混合して製品ガスを得るガス混合調整システムを、前記燃料ガス精製システムの下流側に備えた製品ガス製造システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、有機物を嫌気性発酵または熱分解することにより得られたバイオガスのような燃料ガス中には不純物である二酸化炭素が10%〜45%と大量に含有されており、これを液化天然ガスの冷熱で固体状物として除去する場合、熱交換器内において燃料ガスに流量分布があると、燃料ガスの流量が多い部分において固体状物が局所的に大量に堆積し、熱交換器が閉塞された状態となる。
【0007】
特許文献1に開示の燃料ガス精製部では、熱交換器内における多数の伝熱管の外側の一体的な空間が燃料ガス流路とされており、多数の伝熱管に沿う燃料ガス流路方向に直交する方向から燃料ガスが導入されている。そのため、燃料ガス流路において多数の伝熱管の外周部に沿って均等に燃料ガスが接触する燃料ガスの流れが形成されず、燃料ガスの流量が多い部分において固体状物が局所的に大量に堆積して熱交換器が閉塞されるという問題があった。
【0008】
また、特許文献1に開示の伝熱管はフィンを有するため、不純物の除去性能を一定のレベルに維持しようとすると、フィンの面積が広く形成されて外径寸法や長さが大きくなった多数の伝熱管を燃料ガス精製部に収容する必要があるため、周方向および長さ方向において大きな燃料ガス精製部が必要になるため、装置が大型化するという問題があった。
【0009】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置をコンパクトにするとともに、不純物の部分的な凝縮を防止して不純物を分離する性能を維持することができる燃料ガス精製システム及び製品ガス製造システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る燃料ガス精製装置は、
有機物を嫌気性発酵または熱分解することにより得られた不純物を含む燃料ガスを精製する燃料ガス精製部を備えた燃料ガス精製システムであって、その特徴構成は、
前記燃料ガス精製部には、伝熱管の内側を前記燃料ガスが流れる燃料ガス流路とするとともに、前記伝熱管の外側を液化天然ガスが流れる天然ガス流路とする複数の前記伝熱管が備えられ、前記燃料ガスと前記液化天然ガスとの間で熱交換する熱交換部と、
前記燃料ガス流路に前記燃料ガスを導入する燃料ガス導入部と、前記燃料ガスから前記不純物が除去された精製ガスが前記燃料ガス流路から導出される精製ガス導出部と、
前記天然ガス流路に前記液化天然ガスを導入する天然ガス導入管と、前記熱交換後の天然ガスが前記天然ガス流路から導出される天然ガス導出管とを備え、
前記燃料ガス導入部と前記熱交換部とが、前記天然ガス導出管と複数の前記伝熱管とを貫通支持する支持板によって仕切られて、前記燃料ガス導入部には、前記熱交換部を通過するとともに前記支持板を貫通した複数の前記伝熱管の伝熱管端部開口が配設されるとともに、前記熱交換部には前記燃料ガス導入部を通過するとともに前記支持板を貫通した前記天然ガス導出管の導出管端部開口が配設され、
前記燃料ガス導入部において、前記燃料ガスが通過することで前記燃料ガスの流量を当該燃料ガスの流れ方向に直交する方向において均一に調整する整流部材が、前記天然ガス導出管と非接触状態とされるとともに、複数の前記伝熱管の伝熱管端部開口の上流側に設けられ、
前記燃料ガスに含まれる前記不純物を、前記熱交換部において前記液化天然ガスの冷熱により液体状物または固体状物として前記伝熱管の内側に付着させる状態で分離して、
前記付着させた前記不純物を、前記精製ガスとは別に回収する不純物回収機構を備える点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、熱交換部内に設けられた伝熱管の内側を燃料ガスが流れる燃料ガス流路とするとともに、熱交換部内で伝熱管の外側を液化天然ガスが流れる天然ガス流路として構成し、燃料ガス導入部から燃料ガス流路に燃料ガスを導入するとともに、天然ガス導入管によって天然ガス流路に液化天然ガスを導入して、熱交換部内において伝熱管を介して燃料ガスと液化天然ガスとの間で熱交換させることができる。この構成は、特許文献1に開示の技術と比較すると、伝熱管の内外を流れる流体種が逆転している。
そして、熱交換により加熱されて気化した天然ガスを天然ガス流路から天然ガス導出管に導出させることができるとともに、熱交換により冷却されて燃料ガス中の不純物が凝縮されて分離された精製ガスを燃料ガス流路から精製ガス導出部に導出させることができる。
【0012】
また、燃料ガス導入部には、熱交換部を通過するとともに支持板を貫通した複数の伝熱管の伝熱管端部開口が配設されているので、燃料ガス導入部に供給された燃料ガスを伝熱管の伝熱管端部開口から伝熱管の内側である燃料ガス流路に導入して熱交換部を通過させることができる。従って、熱交換部において伝熱管の外側である天然ガス流路を流れる液化天然ガスと混合されることがない。そして、燃料ガス導入部と熱交換部とが伝熱管を支持する支持板によって仕切られているので、支持板によって伝熱管を固定支持するとともに、ガス導入部を流れる燃料ガスと熱交換部を流れる液化天然ガスとが混合されない状態を維持することが可能となる。さらに、熱交換部には燃料ガス導入部を通過するとともに支持板を貫通した天然ガス導出管の導出管端部開口が配設されているので、熱交換部において熱交換した天然ガスを、燃料ガスと液化天然ガスとが混合されない状態を維持して、熱交換部から燃料ガス導入部を通過させて燃料ガス精製部の外部へ導くことができる。
【0013】
また、燃料ガス導入部において、複数の伝熱管の伝熱管端部開口の上流側に設けられた整流部材によって燃料ガスの流量が流れ方向に直交する方向において均一に調整されるので、燃料ガス導入部に設けられた複数の伝熱管の伝熱管端部開口に流入する燃料ガスの流量を均一にすることができる。これにより、伝熱管の内側に付着する固体状物または液体状物の厚みが各伝熱管の内側において均一に形成されるため、不純物の部分的な凝縮を防止して長時間効率よく不純物を除去することができる。また、不純物が伝熱管の内側において均一に形成されることから、伝熱管の径を小さく構成することも可能となる。この場合、不純物を分離する性能を維持しつつ熱交換部をコンパクトにすることが可能である。
そして、整流部材は天然ガス導出管と非接触状態とされているので、天然ガス導出管の内部を流通する低温の天然ガスの冷熱が整流部材に伝わりにくく、燃料ガスの不純物が分離して付着することなく、整流部材において不純物が凝縮してガス透過性が失われるのを防止することができる。
【0014】
また、燃料ガスに含まれる不純物を、熱交換部において液化天然ガスの冷熱により液体状物または固体状物として伝熱管の内側に付着させる状態で分離するので、一般に、−140℃〜−160℃の極低温とされる液化天然ガスによって、その温度域に液化点または凝固点を有する、例えば、二酸化炭素、シロキサン、水分、油分およびメタン以外の炭化水素類などの不純物を固体状物または液体状物として分離して燃料ガスを精製することができる。一方、液化天然ガスについても、燃料ガスと熱交換する時に燃料ガスの顕熱および不純物の凝縮時の潜熱を、液化天然ガスを気化させるための加熱源として利用することができ、その気化した天然ガスを気体燃料として有効に利用できる。
【0015】
そして、付着させた不純物を、精製ガスとは別に回収する不純物回収機構を備えるので、伝熱管の内側に付着する不純物が堆積して、燃料ガス流路が閉塞される状態となる前に、伝熱管の内側に付着した不純物を回収することで、不純物の堆積層による熱伝達率の低下および燃料ガス流路断面積の縮小による熱交換効率の低下を防止することができ、不純物の除去率が高く維持された状態で燃料ガスの精製を続けて行なうことができる。
【0016】
本発明に係る燃料ガス精製装置の更なる特徴構成は、前記整流部材は、断熱性およびガス透過性を有する材質で形成された多孔質板、不織布または網状織物の積層体で構成された点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、整流部材を多孔質板、不織布または網状織物の積層体として、容易な構成で燃料ガス導入部における燃料ガスの流れを、その流れ方向に直交する方向において均一に調整することができ、複数の伝熱管に流入するガス燃料の流量を均一にすることができる。そして、その材質が断熱性を有する材質とされるので、燃料ガスが通過する整流部材に液化天然ガスの冷熱が伝わりにくく、整流部材において不純物が凝縮して、整流部材のガス透過性が失われるのを防止することができる。
【0018】
本発明に係る燃料ガス精製装置の更なる特徴構成は、前記燃料ガス導入部において、前記燃料ガスが導入される複数の前記伝熱管の伝熱管端部開口が、前記整流部材を通過した前記燃料ガスの流れ方向に直交する方向に均等に分散配置して設けられるとともに、前記整流部材から複数の前記伝熱管の伝熱管端部開口までの距離を同一に形成した点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、複数の伝熱管の伝熱管端部開口が、燃料ガスの流れ方向に直交する方向に均等に分散配置して設けられるので、上流側に設けられた整流部材によって燃料ガスの流量が流れ方向に直交する方向において同一に調整されているところ、複数の伝熱管の伝熱管端部開口に燃料ガスを均等に流入させることができる。また、整流部材から複数の伝熱管の伝熱管端部開口までの距離が一定の距離となるように形成されているので、複数の伝熱管の伝熱管端部開口に流入する燃料ガスの流量をより均一にすることができる。
【0020】
本発明に係る燃料ガス精製装置の更なる特徴構成は、前記不純物回収機構が、前記伝熱管の内部に付着させた前記不純物を気化する温度の再生ガスを前記伝熱管に供給する再生ガス供給流路と、前記伝熱管を通過した再生ガスを再度前記伝熱管に供給する再生ガス循環流路と、前記不純物が気化して前記再生ガスと混合した不純物混合ガスを前記燃料ガス精製部から外部に排出する不純物混合ガス排出流路とを有する点にある。
【0021】
上記の特徴構成によれば、伝熱管内に付着した固体状物または液体状物の状態にある不純物を気化する温度の再生ガスを伝熱管に供給し、さらに循環させることで、伝熱管内に堆積した不純物である固体状物または液体状物を気化させて除去することができる。これにより熱交換器の精製機能を回復できる。また、不純物が気化して再生ガスと混合した不純物混合ガスを燃料ガス精製部から外部に排出することができる。
【0022】
本発明に係る燃料ガス精製装置の更なる特徴構成は、前記精製ガスの温度を測定する精製ガス温度測定部を備え、前記精製ガス温度測定部で測定された前記精製ガスの温度が、予め設定された一定の温度以下になるように、前記燃料ガス精製部に導入される前記燃料ガスの流量を調整する燃料ガス流量調整部、または、前記液化天然ガスの流量を調整する天燃ガス流量調整部、の少なくともいずれか一方を備える点にある。
【0023】
上記の特徴構成によれば、熱交換により不純物を凝縮させて除去する場合、熱交換部で伝熱される熱量が増大すると精製ガスの温度が上昇する。ここで、このような温度の上昇は、燃料ガスの組成、液化天然ガスの組成が安定していることを考えると、予め、予定している燃料ガスの精製量と冷熱源としての液化天然ガスの量とのバランスがくずれ、回収される精製ガスの精製度合い(組成)が変化していることを意味する。そこで、燃料ガス精製部で処理された燃料ガスの温度を測定し、その温度が一定以下になるように燃料ガス精製部で処理する燃料ガスの流量及び液化天然ガスの流量の少なくともいずれか一方を調整することにより、燃料ガス中の特定の不純物の濃度が所定以上に上昇しないように管理することができる。そのためには、燃料ガスの温度と燃料ガス中の特定の不純物の濃度の関係を事前に把握しておくことが好ましい。好ましい温度の条件として、例えば大気圧レベルの燃料ガスを処理する場合で、かつ二酸化炭素の濃度を例に挙げると、二酸化炭素の濃度を1%以下にするには−125℃以下に維持し、0.5%以下にするには−130℃以下に維持する。
【0024】
本発明に係る製品ガス製造システムの特徴構成は、上記記載の燃料ガス精製システムから得られる、前記燃料ガスから前記不純物が分離された前記精製ガスと、前記燃料ガスとの熱交換が行われた前記熱交換後の天然ガスとを混合して製品ガスを得るガス混合調整システムを、前記燃料ガス精製システムの下流側に備えた点にある。
【0025】
上記の特徴構成によれば、有機物由来の燃料ガスから不純物成分が除かれた精製ガスと気化した天然ガスとを同一の工程で得て、さらにこれらのガスを混合するとともに、熱量調整することで、所望の性状の製品ガスを容易に得ることができる。
また、精製ガスの熱量を天然ガスの熱量に近づけることができるので、天然ガス用の消費機器をそのまま使用できるようになるか、あるいはそのまま使用できるようにするための熱量調整に添加する他の燃料(例えばプロパン、ブタン)の使用量を低減できる、さらに、天然ガス中の不純物の濃度は低いので、製品ガスの不純物濃度が精製ガスのそれよりも小さくなるという効果を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本願において紹介する製品ガス製造システムは、
図1に示す燃料ガス精製システム1の下流側に、
図5に示すガス混合調整システム2を備えて構成されている。
図1に示した燃料ガス精製システム1は、液化天然ガスNG1が有する冷熱を利用して有機物由来の燃料ガスBG1(燃料ガスに相当)の精製を行うシステムであり、この燃料ガス精製システム1を運転することで、不純物が除去された精製ガスBG2を得ることができるとともに、不純物除去のための冷熱供与により暖められて気化した気化天然ガスNG2を得ることができる。
図5に示したガス混合調整システム2では、燃料ガス精製システム1から、精製ガスBG2と気化された気化天然ガスNG2とを受入れて、両ガスを混合し、LPG熱量調整装置710でLPGの添加量を制御することにより、熱量が所定の熱量範囲内の製品ガスGSを得ることができる。
【0028】
以下、燃料ガス精製システム1、ガス混合調整システム2の順に説明する。
〔燃料ガス精製システムの構成〕
図1は、本発明に係る燃料ガス精製システム1の構成図であり、
図2は、燃料ガス精製システム1において、燃料ガスBG1の精製を行うガス精製部10(燃料ガス精製部に相当)の構成図である。
図1および
図2に示すように、本発明に係る燃料ガス精製システム1は、有機物を嫌気性発酵または熱分解することにより得られた不純物を含む燃料ガスBG1を精製するガス精製部10を備えており、ガス精製部10には、伝熱管11の内側を燃料ガスBG1が流れる燃料ガス流路130とするとともに、伝熱管11の外側を液化天然ガスNG1が流れる天然ガス流路230とする複数の伝熱管11を備えられ、燃料ガスBG1と液化天然ガスNG1との間で熱交換する熱交換部12が設けられている。
ここで、熱交換部12は、燃料ガスBG1中の不純物を、液化天然ガスNG1の冷熱により凝縮または凝固させて、液体状物または固体状物として燃料ガス流路130である伝熱管11の内側に付着させる状態で分離することが可能な構成を有している。さらに、本願に係る本発明に係る燃料ガス精製システム1は、その付着した不純物を、精製ガスBG2とは別に回収する不純物回収機構30が備えられている(
図1)。
【0029】
〔不純物処理に関係する機能構成〕
図1に示すように、ガス精製部10にはそれぞれ、燃料ガス系統及び天然ガス系統が接続される。
燃料ガス系統には、ガス精製部10の上流側に燃料ガス供給管120が接続されており、燃料ガス供給管120には、図示しない燃料ガスタンクから燃料ガスBG1を燃料ガス供給管120に受け入れる燃料ガス供給路開閉弁VBと、燃料ガスBG1を水にバブリングさせて加湿する加湿装置100、加湿装置100への燃料ガスBG1の流量を調整する流量調整弁V100、燃料ガスBG1の流量を測定する流量計FM110、燃料ガスBG1の流量を調整する燃料ガス流量制御弁V110、及び燃料ガスBG1中の水分を除去する除湿装置105が備えられている。
一方、ガス精製部10の下流側には、精製ガス排出管170が接続されており、その精製ガス排出管170には、加温器160が備えられている。ガス精製部10より上流側には、精製前の燃料ガスBG1が流れ、下流側には精製済の燃料ガスである精製ガスBG2が流れることとなる。
【0030】
一方、天然ガス系統には、ガス精製部10の上流側に天然ガス供給管220が接続されており、天然ガス供給管220には、液化天然ガスタンク201が備えられ、この液化天然ガスタンク201から天然ガス導入バルブV210を介して液化天然ガスNG1をガス精製部10に導入可能に構成されている。一方、ガス精製部10の下流側には天然ガス排出管270が接続されており、この天然ガス排出管270には、温水式気化器260、流量計FM260及び当該流量計FM260により計測される流量に従って、流路を開閉して流量を調整する気化天然ガス流量制御弁V270が備えられている。また、液化天然ガスタンク201から流出する液化天然ガスNG1は、その一部がガス精製部10で気化されて気化天然ガスNG2となり、温水式気化器260で完全に気体の気化天然ガスNG2となる。ガス精製部10から温水式気化器260までの天然ガス排出管270には、気液混合状態の天然ガスNG1、NG2が流通する。
【0031】
ガス精製部10には、
図1および
図2に示すように、伝熱管11の内側流路である燃料ガス流路130に精製前の燃料ガスBG1を導入する燃料ガス導入部110と、燃料ガスBG1から不純物が除去された精製ガスBG2が燃料ガス流路130から導出される精製ガス導出部150と、天然ガス流路230に液化天然ガスNG1を導入する天然ガス導入管240と、熱交換部12における熱交換後の気液混合状態の天然ガスNG1、NG2を天然ガス流路230から導出する天然ガス導出管250とを備えて構成している。従って、燃料ガスBG1と液化天然ガスNG1は伝熱管11を介して間接形態で熱交換を行う。また、
図1に示すように、燃料ガス導入部110と燃料ガス供給管120、および、精製ガス導出部150と精製ガス排出管170が接続されており、天然ガス導入管240と天然ガス供給管220、および、天然ガス導出管250と天然ガス排出管270が接続されている。
【0032】
〔不純物回収に関係する構成〕
図1に示すように、ガス精製部10には、不純物回収機構30として、燃料ガス流路130としての伝熱管11の内部に付着させた不純物を気化する温度の燃料ガスBG1(再生ガスに相当)を伝熱管11に供給する燃料ガス供給管120(再生ガス供給流路に相当)と、伝熱管11を通過した燃料ガスBG1を再度伝熱管11に供給する燃料ガス循環流路320(再生ガス循環流路に相当)と、不純物が気化して燃料ガスBG1と混合した不純物混合ガスをガス精製部10から外部に排出する不純物混合ガス排出流路350とが備えられている。ここで、燃料ガス循環流路320は、ガス精製部10内の伝熱管11から導出された不純物回収用の燃料ガスBG1を、精製ガス導出部150から導出させるとともに加熱して、再度燃料ガス導入部110に導入するように設けられている。
【0033】
そして、不純物の回収のために使用する燃料ガスBG1の加熱は、
図1に示すように、精製ガスBG2を燃料として働く温水ボイラー303により発生される温水を利用して、燃料ガス循環流路320に設けられた燃料ガス加熱用熱交換器304によって行われる。また、温水ボイラー303により発生される温水は、天然ガス排出管270に備えられる温水式気化器260での気化の用、及び精製ガス排出管170の加温器160での加温の用に供することができるように構成されている。また、燃料ガス循環流路320には、燃料ガス加熱用熱交換器304と熱交換部12とに不純物の回収用の燃料ガスBG1を循環させるための循環ポンプ302が設けられている。また、不純物が気化して混入した燃料ガスBG1を、ガス精製部10内から外部に放出する不純物混合ガス排出流路350は精製ガス導出部150において、精製ガス排出管170および燃料ガス循環流路320とは別に備えられている。
【0034】
以上が、本願に係る燃料ガス精製システム1の概略構成の説明であるが、以下、燃料ガスの流れ、および、天然ガスの流れに沿って詳細に説明する。まず、燃料ガスの流れに沿ってその構成と運転形態に関して説明する。
上述の如く、図示しない燃料ガスボンベから燃料ガス供給管120に供給された燃料ガスBG1は、燃料ガス供給路開閉弁VB、加湿装置100、燃料ガス流量制御弁V110、除湿装置105を経て、開閉制御が可能なバルブV120を介して、ガス精製部10の燃料ガス導入部110に送られる。
【0035】
加湿装置100は、燃料ガスBG1に水分を付加するための水の入った容器(例えば、水温25℃)とされ、燃料ガスBG1の一部をバブリングさせるように構成されている。加湿は必要に応じて行なうこととされ、加湿装置100に流入させる燃料ガスBG1の流量は、流量調整弁V100によって、調整することができる。
除湿装置105は、燃料ガスBG1中の水分除去を行うものである。このように、加湿装置100と除湿装置105を組み合わせることで、燃料ガスBG1の湿度を所望の湿度に設定することができる。そして、ガス精製部10への導入前に燃料ガスBG1中の水分を除去することにより、熱交換部12の伝熱管11に付着する水の量を低減することができる。これにより、(i)燃料ガスの流れの上流側での燃料ガスの閉塞の危険性を低減することができ、また、(ii)伝熱管11の伝熱特性の低下を抑制し、かつ、(iii)不純物回収工程で水分が液体状になり、熱交換部12の底部に蓄積した場合の蓄積量を低減することができる。
加湿装置100と除湿装置105の使い分けは、後述するように、処理対象である燃料ガスBG1の状態(水分量、乾燥度合)によって、使い分ける。
【0036】
また、燃料ガス流量制御弁V110(燃料ガス温度測定部に相当)は、
図1および
図2に示すように、ガス精製部10の精製ガス導出部150において、精製済の燃料ガスである精製ガスBG2の温度を測定する温度センサT150(燃料ガス温度測定部に相当)を備え、かつ、温度センサT150で測定された精製ガスBG2の温度が、予め設定された一定の温度以下になるように、ガス精製部10に流入する燃料ガスBG1の流量を調整する。ここで、燃料ガス流量制御弁V110の開度は燃料ガス流量制御器CTR110によって制御されている。そして、この燃料ガス流量制御器CTR110によって、伝熱管11から導出された精製ガスBG2の温度が−130℃〜−138℃以下になるように、燃料ガス流量制御弁V110を用いて燃料ガスBG1の流量を制御されている。
【0037】
続いて、ガス精製部10の構成について詳細に説明する。
図2に示すように、ガス精製部10は、燃料ガスBG1の流れの上流側から順に、ガス精製部10への導入部である燃料ガス導入部110、この燃料ガス導入部110から導入された燃料ガスのガス精製部10内での流路である熱交換部12、熱交換部12において熱交換されて不純物が分離した精製ガスBG2が燃料ガス流路130である伝熱管11の内側から導出される精製ガス導出部150で構成されている。
そして、熱交換部12は、ガス精製部10に覆われるように構成されている。つまり、熱交換部12の熱交換部外周部12aは、例えば、ステンレス製とされ、外径は165.2mm(150A)程度の大きさとされる。そして、熱交換部外周部12aの外面には断熱材13として厚み25mmのグラスウールが巻かれており、その断熱材13が巻かれた熱交換部12が外径216.3mm(200A)のガス精製部10の精製部外周部10aに収納されている。これにより、熱交換部12において外部との断熱性が確保されている。
なお、ガス精製部10の精製部外周部10aおよび外周部10aの上下開口部を塞ぐ上部フランジ10b、下部フランジ10cは、例えばステンレス製とされ、上部フランジ10bには観察用のガラス窓14が備えられている。精製ガス導出部150に設けられた温度センサT150は熱電対であり、例えば、低温測定用に適したTタイプ(銅―コンスタンタン)とされている。
【0038】
ここで、燃料ガス導入部110と熱交換部12とは、天然ガス導出管250と複数の伝熱管11とを貫通支持するガス導入部支持板15によって仕切られて、燃料ガス導入部110には、熱交換部12を通過するとともにガス導入部支持板15を貫通して設けられた複数の伝熱管11の伝熱管導入部側開口11a(伝熱管端部開口に相当)が配設さるとともに、熱交換部12には燃料ガス導入部110を通過するとともにガス導入部支持板15を貫通して設けられた天然ガス導出管250の天然ガス導出管開口250a(導出管端部開口に相当)が配設されている。ここで、貫通支持するとは、伝熱管11がガス導入部支持板15を貫通した状態で設けられ、伝熱管11内を流れる流体は、ガス導入部支持板15を超えてガス導入部支持板15の反対側に流出されるとともに、伝熱管11は、当該ガス導入部支持板15により支持されていることを意味する。
また、燃料ガス導入部110において、燃料ガスBG1が通過することで燃料ガスBG1の流量を燃料ガスBG1の流れ方向に直交する方向において均一に調整する整流部材17が、天然ガス導出管250と非接触状態とされるとともに、複数の伝熱管11の伝熱管導入部側開口11aの上流側に設けられて構成されている。
【0039】
一方、精製ガス導出部150と熱交換部12とは、天然ガス導入管240と複数の伝熱管11とを貫通支持するガス導出部支持板16によって仕切られて、精製ガス導出部150には、熱交換部12を通過するとともにガス導出部支持板16を貫通して設けられた複数の伝熱管11の伝熱管導出部側開口11bが配設さるとともに、熱交換部12には精製ガス導出部150を通過するとともにガス導出部支持板16を貫通して設けられた天然ガス導入管240のガス導入管開口240aが配設されている。これにより、熱交換部12は、ガス導入部支持板15、ガス導出部支持板16および熱交換部外周部12aによって仕切られた密閉空間として形成されている。
【0040】
そして、
図3に示すように、燃料ガス導入部110において、燃料ガスBG1が導入される複数の伝熱管11の伝熱管導入部側開口11aが、整流部材17を通過した燃料ガスBG1の流れ方向に直交する方向に均一に分散配置して設けられている。つまり、複数の伝熱管11は、その伝熱管導入部側開口11aが、燃料ガスBG1の流れ方向に直交する方向における左右および前後方向(
図3中左右、上下方向)に、配列間隔(中心間距離)D2とした等間隔で配列されるように、ガス導入部支持板15(支持板に相当)およびガス導出部支持板16に支持されて設けられている。
【0041】
ここで、伝熱管11の外径D1は10mm以上、16mm以下、管壁11cの厚さは1.2mm以下0.4mm以上として設計される。伝熱管11の外径が10mm未満の場合、付着した固体状物による閉塞が起こりやすく、それを回避しようとすると燃料ガスBG1の処理量に応じて伝熱管11の本数を増加させる必要があるので、熱交換部12をコンパクトに形成できない。一方、伝熱管11の外径が16mmを超えた場合では、熱交換部12内において一定容積あたりの不純物の付着する伝熱管11の管内の表面積が小さくなるため、燃料ガスBG1の処理量が減少する。
【0042】
また、伝熱管11の燃料ガスBG1の流れ方向に直交する方向における左右および前後方向(
図3中左右、上下方向)の配列間隔D2は、伝熱管11の外径D1の1.1倍以上で、1.5倍以下として設計される。伝熱管11の配列間隔D2が伝熱管11の外径の1.1倍以上することにより、互いに近接する各伝熱管11の伝熱管導入部側開口11aをガス導入部支持板15およびガス導出部支持板16に漏れなく、強固に溶接する作業が可能になり、また伝熱管11の配列間隔D2を伝熱管11の外径D1の1.5倍以下にすることにより、熱交換部12をコンパクトに形成することができる。そして、コンパクトな熱交換部12の実現により、熱交換部12に充填される液化天然ガスNG1の量が少なくて済み、また熱交換部12の外部からの入熱で発生する液化天然ガスNG1の蒸発による冷却損失を低減でき、さらに、熱交換部12の重量も小さくできる。なお、ガス導入部支持板15、ガス導出部支持板16および伝熱管11の材質は相互に溶接性に優れるステンレス(たとえばSUS304)が好ましい。
【0043】
以上を考慮して、本実施形態では、伝熱管11の外径D1は13.8mm、管壁11cの厚さは0.5mmとされている。また、伝熱管導入部側開口11aから伝熱管導出部側開口11bまでの長さは1.0mとされている。そして、熱交換部12内に52本が収容されている(
図2では4本のみ示されている)。さらに、伝熱管11の断面における中心間の距離である配列間隔D2は17mmとされている。
【0044】
次に整流部材17について説明する。
図2に示すように、燃料ガス導入部110において、燃料ガスBG1が通過することで燃料ガスBG1の流量を燃料ガスBG1の流れ方向に直交する方向において均一に調整する整流部材17が、天然ガス導出管250の外周部との間に間隔17aが設けられて、非接触状態とされるとともに、複数の伝熱管11の伝熱管導入部側開口11aの上流側に設けられて構成されている。整流部材17は、断熱性およびガス透過性を有する多孔質板で構成されている。
そして、
図4に示すように、整流部材17は、例えば、厚み3mmの樹脂製の板に直径D3が2mmとされた貫通穴17cを、貫通穴17cの中心間の配列間隔(中心間距離)D4が6mmとなるように、上面視で前後および左右方向(
図4中上下および左右方向)に均一に貫通穴17cが設けられた多孔質板で形成されている。
また、多孔質板の材質は具体的には、ポリカーボネート、ポリエチレン、塩化ビニル、テフロン(登録商標)、ポリプロピレンなどで形成される。このように整流部材17が樹脂製の多孔質板で構成されているので、断熱性を有して天然ガスNG1の冷熱で冷却されにくい材質で形成されているので多孔質板が液化天然ガスNG1の冷熱で冷却されることを防止できるので燃料ガスBG1中の不純物が多孔質板で凝縮することを防止できる。また、多孔質状に形成されることで適度の圧力損失を有しているので、整流部材17を通過した燃料ガスBG1の流速が流れ方向に直交する方向において均一に調整されて、各伝熱管11に流入する燃料ガスBG1の流量を等しくすることができる。
そして、
図2に示すように、整流部材17下面側の周囲の6箇所において、例えば、厚み2mm、幅10mm、長さLが30mmの支持部材17bが取り付けられて、その支持部材17bがガス導入部支持板15の上に載置されている。これにより、整流部材17から複数の伝熱管11の導入部側開口11aまでの距離が一定の距離となるように形成されている。ここで、支持部材17bの長さLは、整流部材17により整流された燃料ガスBG1の流れにおいて、良好な整流状態が維持される整流部材17の厚みの10〜20倍の長さとされている。なお、
図2に示す例では、理解を容易にするため、模式的に図示している。
【0045】
ガス精製部10は、このような構成とされて、熱交換部12において伝熱管11の外側を冷熱媒体である液化天然ガスNG1が流れ、伝熱管11の内側を精製対象である燃料ガスBG1が流れている。液化天然ガスNG1が流れるのは伝熱管11の外側であるが、液化天然ガスNG1の冷熱は伝熱管に伝熱し、伝熱管11内を流れる燃料ガスBG1中の不純物は、伝熱管11の外側を流れる液化天然ガスNG1の冷熱により凝縮または凝固して、液体化および固体化して、伝熱管11の内側に付着する。これにより伝熱管11内を流れる燃料ガスBG1中の不純物は除去され、精製ガスBG2が伝熱管11から導出される。
【0046】
図1に戻り、ガス精製部10の下流側の構成を説明する。
精製ガス導出部150は、開閉制御が可能なバルブV310を介して、下流で加温器160に接続されている。また、加温器160の下流側のサンプリング弁V280が設けられた分岐流路には、図示しない不純物濃度測定のための装置、検知管を接続可能な構成とされている。
【0047】
加温器160は、ガス精製部10における不純物除去のための熱交換により、低温となっている精製ガスBG2を、需要箇所への供給に先立ち、常温に近づけるものであり、また、加温器160の下流に接続される不純物濃度測定のための装置、検知管は、需要箇所へ供給する精製ガスBG2の品質の確認、及び、品質に基づいた制御を可能とするために、品質の測定及び検知を行うものである。
【0048】
すなわち、本実施例は、精製ガス導出部150から導出される精製ガスBG2について、加温器160で常温に近づけ、その後、品質の確認を行った上で、需要者に提供することが可能な構成となっている。
【0049】
次に、冷熱媒体である天然ガスの流れに沿って、上流側から本発明に係る燃料ガス精製システム1の構成を説明する。
冷熱媒体として使用される極低温の液化天然ガスNG1は、液化天然ガスタンク201から受け入れられる。そして、液化天然ガスNG1は、天然ガス供給管220により、ガス精製部10に設けられた天然ガス導入管240を経て、天然ガス流路230に導入される。なお、天然ガス供給管220は外径21.7mm(15A)の配管とされる。そして、天然ガス導入管240においては、1本の外径21.7mm(15A)の配管から、外径13.9mm(8A)の配管4本(前後・左右に各2本であり、左右方向に位置される
図2では2本のみ示されている)に分岐させて熱交換部12の天然ガス流路230に液化天然ガスNG1が導入されるように構成されている。これらの配管の材質はステンレス製(SUS304)とされている。
【0050】
また、
図1に示すように、ガス精製部10から外部へは、天然ガス導出管250を経て導出可能とされている。この天然ガス導出管250にはフレキシブル管250b(
図2参照)が組込み込まれており、温度変化で生じる熱収縮・熱膨張による応力の発生を防ぐ構成となっている。そして、天然ガス導出管250の下流に接続された天然ガス排出管270に設けられた温水式気化器260、及び、温水式気化器260の下流に接続された気化天然ガス用の流量計FM260及び気化天然ガス流量制御弁V270を経て、本発明に係る燃料ガス精製システム1の外部へと接続される。なお、天然ガス導出管250および天然ガス排出管270は外径21.7mm(15A)の配管とされる。これらの配管の材質はステンレス製(SUS304)とされている。
【0051】
本実施例では、ガス精製部10における天然ガス流路230とは、熱交換部12内で、伝熱管11の外側の部分に該当する。つまり、天然ガス導入管240から熱交換部12内に導入された液化天然ガスNG1は、天然ガス流路230において、伝熱管11と接触することにより伝熱管11の内側を通る燃料ガスBG1とステンレス製の伝熱管11を介して熱交換を行い加熱されて気化する。そして、熱交換部12から気化した天然ガスNG2および気化しなかった液化天然ガスNG1の混合ガスが天然ガス導出管250に導出される。
【0052】
すなわち、本発明に係る燃料ガス精製システム1では、精製対象である燃料ガスBG1と冷却媒体である液化天然ガスNG1は熱交換過程において、各々、物理的に分離された燃料ガス流路130および天然ガス流路230を通る構成となっている。このように分離された構成で間接的に熱交換を行うため、液化天然ガスNG1または気化された天然ガスNG2中に燃料ガスBG1を流す直接熱交換の場合に生じる、不純物の液化天然ガスNG1または気化天然ガスNG2中への混入というような問題を生じることがない。
【0053】
また、天然ガス排出管270に接続された温水式気化器260は、ガス精製部10から導出された液化天然ガスNG1及び気化天然ガスNG2のうち、気化しなかった液化天然ガスNG1を全て気化させるためのものである。
すなわち、天然ガス流路230に導入された液化天然ガスNG1のうち、一部は天然ガス流路230での燃料ガスBG1との熱交換により気化され、気化天然ガスNG2となるが、一部は気化せず、液化天然ガスNG1のまま、天然ガス導出管250から天然ガス排出管270へ流出する。そこで、ガス精製部10の下流の天然ガス排出管270に温水式気化器260を接続することにより、ガス精製部10から導出された液化天然ガスNG1を全て気化し、全て気化天然ガスNG2としている。なお、温水式気化器260の熱源は温水ボイラー303とし、80℃の温水を温水式気化器260に供給する。
【0054】
そして、温水式気化器260を経て、気化された気化天然ガスNG2は、気化天然ガス用の流量計FM260及び気化天然ガス流量制御弁V270を経て流量を制御され、本発明に係る燃料ガス精製システム1の外部へ提供される構成となっている。
【0055】
なお、本発明に係る燃料ガス精製システム1では、伝熱管11の内側に付着した燃料ガスBG1の不純物の量が多くなると、例えば、不純物である二酸化炭素の熱伝導性能は伝熱管11よりも大幅に悪いため、熱交換部12の伝熱特性が低下し、不純物を固体状物として除去する性能が徐々に低下する。この場合に、本願システムは、不純物回収機構30により、伝熱管11に付着した固体状又は液体状の不純物を気化天然ガスNG2とは別に回収することで、本来の熱交換部12の伝熱特性が取り戻されて、ガス精製部10の不純物除去性能を再生する。
【0056】
〔燃料ガスの精製運転〕
続いて、
図6に基づいて、本実施例における燃料ガスBG1の精製運転について説明する。
前提となるガスの流路状況について、燃料ガスBG1の精製の様子を示す概念図である
図6では、ガス精製部10に接続される、燃料ガス供給管120、天然ガス排出管270、及び天然ガス供給管220、天然ガス排出管270、に関連するバルブVB、V100、V110、V120、V310、V210、V260、V270を開放する(中抜き白符号で示す)一方、不純物回収機構30の燃料ガス循環流路320、不純物混合ガス排出流路350、に関連するバルブV320、V360は閉止している(黒塗り符号で示す)。
【0057】
本実施例で精製する燃料ガスBG1は、下水汚泥を嫌気性発酵して得られた消化ガスを模擬して製造したガスであり、例えば、メタン60%、二酸化炭素40%、デカメチルシクロペンタシロキサン80mg/m
3N、酸素0.06%、窒素1.4%から構成されており、本発明に係る燃料ガス精製システム1に接続された燃料ガスボンベ(図外)から供給される。ここで、例えば、燃料ガスボンベは、容量47lで、燃料供給圧力が12MPaとされるものである。
【0058】
本実施例では、ガス精製部10の上流で、燃料ガス流量制御弁V110により、燃料ガスBG1の流量を制御している。具体的には、温度25℃として、燃料ガスBG1の流量が平均0.6m
3N/hとなるように制御している。
この流量制御は、精製ガスBG2中の特定の不純物の濃度が所定値以上に上昇しないようにするために、精製対象とする燃料ガスBG1の流量を、ガス精製部10の上流で制御するものである。好ましい温度の条件として、例えば大気圧レベルの燃料ガスを処理する場合で、かつ、二酸化炭素の濃度を例に挙げれば、二酸化炭素の濃度を1%以下にするには、ガス精製部10内の温度センサT150で測定される精製ガスBG2の温度を−125℃以下に維持し、0.5%以下にするには−130℃以下に維持する必要がある。本実施例では、ガス精製部10の温度センサT150で検出された温度に基づいて、流量制御器CTR110によって燃料ガス流量制御弁V110の開度を制御して燃料ガスBG1の流量を調整し、精製ガスBG2の温度が所望の温度に維持されている。
【0059】
また、本実施例では、ガス精製部10への導入前に、除湿装置105により、燃料ガスBG1の水分除去を行っている。具体的には、除湿装置105の入口では燃料ガスBG1の温度は室温と同じ25℃、湿度は67%程度であるが、除湿装置105で燃料ガスBG1を冷却し、燃料ガスBG1中の水分を8℃の飽和状態まで除湿している。これにより、燃料ガスBG1中の水分量が約半分に低減されて、ガス精製部10に導入される。
なお、燃料ガスBG1の湿度が非常に低い場合は、加湿装置100により、燃料ガスBG1の一部をバイパスして水でバブリングさせて加湿させる。これにより、ガス精製部10に導入される燃料ガスBG1の湿度を、常に安定した湿度に維持することができる。
【0060】
一方、本実施例において冷却媒体としてガス精製部10に供給される液化天然ガスNG1(熱量は45MJ/m
3N)は温度が約−145℃のガスであり、液化天然ガスタンク201から供給されている。液化天然ガスタンク201は、一般的に使用されている容積175LのLNG可搬式容器を使用する(2機接続されてもよい)。液化天然ガスNG1の送出は、液化天然ガスタンク201の内圧を用いる方法で0.25MPa程度に昇圧して液化天然ガスNG1を押し出すことにより行う。流量は、例えば、液化天然ガスNG1の状態で28×10
-3m
3/h(気化後の天然ガス換算で約16m
3N/h)とされて、ガス精製部10に導入される(本実施例は小型の装置を用いているため熱ロスが大きくなるため燃料ガスBG1の流量に対する気化後の天然ガス換算流量の比率26.7(=16/0.6)は大きくなるが、規模の大きい装置の場合、この比率は大幅に小さくなる)。
【0061】
ガス精製部10への導入後の、熱交換部12における燃料ガスBG1と液化天然ガスNG1の熱交換による燃料ガスBG1の精製の仕組みについては、先に
図2を用いて説明した通りである。
【0062】
ガス精製部10で精製された精製ガスBG2は、精製ガス導出部150からガス精製部10外へ導出され、精製ガス導出部150の下流に設置された加温器160により、室温と同じ25℃程度に昇温される。本実施例では、加温器160は、温水ボイラー303によって供給される温水を熱源としている。
加温器160により昇温された精製ガスBG2は、加温器160の下流に設置された不純物濃度測定のための装置により、不純物濃度を測定される。
本実施例では、不純物濃度は、(i)二酸化炭素、酸素、窒素について、TCD検出器を用いたガスクロマトグラフ、(ii)デカメチルシクロペンタシロキサンについて、サンプリングガスをヘキサンに吸収し、この液をガスクロマトグラフ質量分析計で分析、(iii)水分について、露点計による測定、という一般的に用いられる測定方法で測定した。ここで、精製ガスBG2の不純物濃度検出のためのサンプリングは、サンプリング弁V280より行なう。
【0063】
その結果、本実施例における昇温後の精製ガスBG2の不純物濃度は、二酸化炭素濃度が0.5%以下、デカメチルシクロペンタシロキサンが0.1mg/m
3N以下、水分の露点が−30℃以下、平均酸素0.1%、窒素平均2.3%であり、当該不純物濃度は、ガスエンジン、ガスタービン、温水ボイラー、蒸気ボイラー、等の主要なガス消費機器で使用しても問題がない十分に低いレベルであった。
【0064】
また、本実施例では、ガス精製部10から導出された液化天然ガスNG1と気化天然ガスNG2の混合ガスについて、ガス精製部10の下流に温水式気化器260を設置し、これを通過させることにより、完全に気化した気化天然ガスNG2とした後、流量を制御した上で本発明に係る燃料ガス精製システム1外に提供している。
本実施例において、温水式気化器260の熱源には温水ボイラー303を採用しており、80℃の温水を供給している。また、気化天然ガスNG2の流量は、温水式気化器260の下流に敷設した気化天然ガス用の流量計FM260で計測し、気化天然ガスNG2の流量が16m
3N/h程度となるように気化天然ガス流量制御弁V270で制御している。
【0065】
〔精製ガスと気化天然ガスの混合〕
図5は、本実施形態における製品ガス製造システムにおいて、燃料ガス精製システム1の下流側に備えられるガス混合調整システム2を示す構成図である。
ガス混合調整システム2は、燃料ガス精製システム1において、燃料ガスBG1から不純物が分離された精製ガスBG2、燃料ガスBG1との熱交換が行われた熱交換後の気化天然ガスNG2と、熱量調整用のガスであるプロパンガスとを混合して製品ガスGSを得るシステムであり、燃料ガス精製システム1の下流側に備えられている。これにより、製品ガスGSの熱量が所定の熱量範囲内の熱量に調整された製品ガスGSを得ることができる。
【0066】
以下、
図5に基づいて、ガス混合調整システム2の機器構成を説明する。
ガス混合調整システム2は、前記燃料ガス精製システム1により精製を行った後の精製ガスBG2と気化天然ガスNG2を混合する機構であり、精製ガスBG2の流路610に精製ガスBG2の流量を計測する流量計FM610を、気化天然ガスNG2の流路620に気化天然ガスNG2の流量を計測する流量計FM620を設置している。そして、流量計FM610および流量計FM620の下流で精製ガスBG2と気化天然ガスNG2とが混合されて混合燃料ガスが得られている。そして、流量計FM610および流量計FM620による流量計測結果は流量制御器CTR110(
図1参照)に入力されるように構成されて、精製ガスBG2と気化天然ガスNG2との流量比率が求められている。また、精製ガスBG2と気化天然ガスNG2の流量比率は、CTR110によって、燃料ガス精製システム1における燃料ガス流量制御弁V110および気化天然ガス流量制御弁V270(
図1参照)の開度制御による精製ガスBG2および気化天然ガスNG2の流量調整により変更することが可能である。
【0067】
精製ガスBG2と気化天然ガスNG2の混合箇所の下流には、混合状態の均一性を高めるべく、第1のスタティックミキサー630が設置され、その下流には、圧力変動と熱量変動幅を抑制する第1のクッションタンク640が設置されている。
第1のクッションタンク640の下流には、混合燃料ガスの流量を測定する流量計FM710が設定され、その下流にはLPG熱量調整装置710、さらにその下流には第2のスタティックミキサー730が設定されている。第2のスタティックミキサー730の下流には混合燃料ガスの熱量測定装置720、第2のクッションタンク740が設置され、第2のクッションタンク740の下流には、付臭装置810が設置され、汎用の付臭剤により、付臭を行っている。
付臭装置810により付臭された製品ガスGSは、需要箇所へ供給されるよう、都市ガス導管910や利用先に接続されている。
【0068】
図5に基づいて、本実施例における混合燃料ガスの熱量調整について説明する。
本実施例のガス混合調整システム2は、上述により得られた混合燃料ガスについて、第1のスタティックミキサー630により、混合状態の均―性を高めている。スタティックミキサーは一般的なものでよい。その後、第1のスタティックミキサー630を出た混合燃料ガスを第1のクッションタンク640に通すことにより、圧力変動と熱量変動幅を抑制する。本実施形態において、第1のクッションタンク640の容積は30Lとしている。
【0069】
第1のクッションタンク640を出た混合燃料ガスは、流量計FM710を経て、LPG熱量調整装置710によりプロパンガスが添加され、熱量が調整された熱量調整混合ガスとなる。熱量の調整は、混合燃料ガスの流量の流量計FM710による測定値と、熱量調整後、後述の第2のスタティックミキサー730を経て、混合状態の均一性を高めた後の熱量調整混合ガスの熱量の熱量測定装置720による測定値(すなわち、熱量測定装置720は、第2のスタティックミキサー730の下流で熱量調整混合ガスの熱量の測定を行う)に基づき、前記熱量が所定の範囲であるように行う。本実施形態では、所定の範囲として、都市ガスヘの注入を想定して44.5MJ/m
3N〜45.5MJ/m
3Nとする。LPG熱量調整装置710は一般的なものを使用する。
【0070】
また、熱量調整混合ガスは、第2のスタティックミキサー730により、混合状態の均一性を高められる(なお、第2のスタティックミキサー730を経て、混合状態の均一性を高めた後の熱量調整混合ガスについて、熱量測定装置720で熱量の測定を行うのは上述の通りである)。そして、本実施例におけるガス混合調整システム2は、第2のスタティックミキサー730を出た混合燃料ガスを第2のクッションタンク740に通すことにより、圧力変動と熱量変動幅を抑制する。
加えて、本実施例では、上述により得られた熱量調整混合ガスに対して、安全のため、付臭剤で付臭して製品ガスGSとされる。付臭剤は汎用のものが選択される。付臭剤は一般的な付臭装置810を使用する。
【0071】
さらに、第2のクッションタンク740を出た熱量調整混合ガスに付臭した製品ガスGSについて、酸素と窒素の濃度の測定を行う。測定方法は一般的に用いられているTCD検出器を用いたガスクロマトグラフの方法を用いる。製品ガスGSの酸素と窒素の濃度は、酸素が平均0.002%、窒素が平均0.05%である。また、製品ガスGSの露点は−50℃以下となる。これにより、上述の如く、ガスエンジン、ガスタービン、温水ボイラー、蒸気ボイラー、等での使用に加え、燃料電池および水素発生装置用の原料用として使用するのに適するものとなる。
【0072】
気化天然ガスNG2中の酸素および窒素の濃度は非常に低いものであるが、精製ガスBG2に対して気化天然ガスNG2を混合する前後で酸素と窒素の濃度は、本実施例では気化天然ガスNG2と精製ガスBG2の流量倍率を44.4倍であるため、45.4分の1の濃度レベルまで低減する。その結果、上記のように、酸素と窒素の温度は、都市ガス導管910に注入して使用する場合のガス事業者が決めている基準値の例である「酸素0.01%以下、窒素1%以下」を満たすことができ、当該製品ガスGSを都市ガス導管910に注入することが可能になる。
【0073】
このように、実際に都市ガス導管910に注入する前には、第2のクッションタンク740の下流において製品ガスGSのガス組成、付臭剤濃度の測定を行うことが好ましい。そして、例えば、酸素と窒素の濃度に対するガス消費機器や都市ガス導管910に注入などの利用先の基準値が厳しい場合において、その基準値を満足することをより確実にするには、これらの濃度の測定値が流量制御器CTR110(
図1参照)に入力されるように構成して、これらの測定値に基づき、気化天然ガスNG2と精製ガスBG2の流量比率を燃料ガス流量制御弁V110および気化天然ガス流量制御弁V270(
図1参照)を使用して調整すればよい。
さらに、他の特定の不純物についても、ガス消費機器や都市ガス導管910に注入などの利用先の基準値が厳しい場合については、同様にその不純物の濃度の測定値に基づき気化天然ガスNG2と精製ガスBG2の流量比率を燃料ガス流量制御弁V110および気化天然ガス流量制御弁V270を使用して調整することにより、基準値を満足させることができる。
【0074】
〔燃料ガス精製部の再生処理について〕
図7は、本発明に係る燃料ガス精製システム1における、不純物回収機構30によるガス精製部10の不純物回収処理(再生処理)の様子を示す概念図である。以下、
図7に基づいて、ガス精製部10の不純物回収方法について説明する。
【0075】
ガス精製部10の不純物回収処理は、伝熱管11に付着した不純物の量が増加し、不純物を除去する性能が低下したことを検知したときに開始される。それを検知する指標として、例えば、伝熱管11の燃料ガス流路130の閉塞による燃料ガスBG1の流量の低下や、燃料ガス流路130に付着した不純物により熱伝導性が阻害されることによる精製ガス導出部150の精製ガスBG2の温度の上昇によって判断される。
【0076】
燃料ガスBG1中の不純物の除去処理を継続すると、伝熱管11に付着した固体の二酸化炭素の量が多くなり、二酸化炭素やシロキサンなどの不純物を除去する性能が低下する。この時、燃料ガスBG1と液化天然ガスNG1の流れを停止しガス精製部10を再生処理する。再生方法は以下のようである。
【0077】
先ず、ガス精製部10の燃料ガスBG1の導入部側、導出部側および天然ガスの導出部側の各バルブV120、V310、V260を閉止する(黒塗り符号で示す)。次に、バルブV360を開放した後、温水ボイラー303を作動させて製造した温水(80℃程度)を燃料ガス加熱用熱交換器304に供給するとともに、循環流路用バルブV320を開放して循環ポンプ302により不純物回収のために燃料ガスBG1を循環加熱し、その加熱された燃料ガスBG1(再生ガスに相当)をガス精製部10に循環させて伝熱管11の内面および天然ガス導入管240と天然ガス導出管250の配管の外表面に付着した不純物を十分に気化させて脱着する。ここで、燃料ガスBG1は50℃程度に維持されている。そして、気化して脱着した不純物は燃料ガスBG1とともに不純物混合ガス排出流路350から大気に放散する。
【0078】
以上の工程を経て、ガス精製部10の再生処理は終了する。再生処理の終了後、再度、燃料ガスBG1と液化天然ガスNG1をガス精製部10に流し、燃料ガスの精製を行う。
【0079】
〔別実施形態〕
(A)上記実施形態においては、不純物除去において冷熱の供給源として使用する液化天然ガスNG1に関しては、通常の液化天然ガスNG1を想定し、その性状に関しては特に述べなかった。即ち、その出所、産地を問うことなく、任意の液化天然ガスNG1を使用するものとした。
これに対して、本発明では、燃料ガス精製システム1で得られる精製ガスBG2と、冷熱源として使用され、得られる気化天然ガスNG2を混合して、熱量調整後、製品ガスGSを得るため、気化天然ガスNG2の熱量を液化天然ガスNG1の状態で予め調整しておくと、熱量調整の負荷を低減したり、無くしたりすることができる。
この構成では、不純物除去への使用後に精製ガスBG2と混合し、製品ガスGSの製造に用いることを予定している液化天然ガスNG1について、予め原料である液化天然ガスNG1を加熱しメタンを気化させメタン濃度を低減させるか、あるいは、液化石油ガスを添加することにより、液化天然ガスNG1の熱量を高めておくこととなる。
このように液化天然ガスNG1を高熱量化しておくことにより、製品ガスGSの熱量を高めることができる。また、製品ガスGSを熱量調整して製造する場合であっても、現地で熱量調整に必要となる液化石油ガス(プロパン、ブタンなど)の使用量を大幅に低減することができる。
本発明の燃料ガス精製システム1或いは製品ガス製造システムは、海外等から液化天然ガスNG1を輸入して都市ガス等を製造する都市ガス製造工場で採用できるほか、一般に、小規模で、内陸にある燃料ガス(バイオガス)製造設備が設けられている燃料ガス製造設備(例えばガスステーション)においても採用することができる。後者の場合、液化天然ガスNG1及び液化石油ガスはガスステーションまで、タンクローリーにより輸送され、都市部にあるガスステーションのガス貯槽に供給されることとなる。しかしながら、液化ガスの輸送には輸送費用が掛かるため、両ガスを現地に輸送するとなると非常に高価になるが、上記のように高熱量化した液化天然ガスNG1のみをガスステーションまで輸送すれば、問題となる輸送費用等を圧縮することができ、製品ガスの製造費用を低減することが可能になる。
【0080】
(B)上記実施形態においては、整流部材17は多孔質板で構成したが、これに限らず整流部材17を不織布で構成してもよい。この場合、直径0.05mm〜0.5mmのステンレス長繊維または樹脂長繊維(ナイロン、ポリエステル、ポリエチレンなど)をタワシ状に堆積させたもので、厚み5mm〜50mm、密度0.1〜0.3g/cm
3として構成される。また、整流部材17を網状織物の積層体として構成してもよく、直径0.05mm〜0.5mmのステンレス長繊維または樹脂長繊維(ナイロン、ポリエステル、ポリエチレンなど)を目開き5mm〜3.0mmに織ったものを複数枚積層し、厚み1mm〜10mm、密度は0.2〜2.0g/cm
3(ステンレス長繊維の場合)、0.05〜0.5g/cm
3(樹脂長繊維の場合)として構成される。さらに、整流部材17を連続発泡体として構成してもよく、ポリウレタンまたはポリオレフィンを内部の空孔が連続するように発泡成形したもので、厚み5mm〜30mm、密度0.1〜0.3g/cm
3として構成される。
【0081】
(C)上記の実施の形態では、精製済の燃料ガスである精製ガスBG2の温度を測定する温度センサT150を備え、かつ、温度センサT150で測定された精製ガスBG2の温度が、予め設定された一定の温度以下になるように、ガス精製部10に流入する燃料ガスBG1の流量を調整する燃料ガス流量制御弁V110が備えられたが、これに限らず、気化天然ガス流量制御弁V270を用いて、温度センサT150で測定された精製ガスBG2の温度が、予め設定された一定の温度以下になるように、ガス精製部10に流入する液化天然ガスNG1の流量を調整してもよい。
【0082】
(D)上記実施形態においては、整流部材17は、厚み3mmの樹脂製の板に直径D3を2mmとした貫通穴17cが、多孔質板の上面視で前後および左右方向に等間隔に多数設けられて形成されたが、これに限らず材質を金属製(たとえばステンレス製)としてもよく、貫通穴17cの直径D3を1mm〜3mm、多孔質板の厚みを1mm〜3mmの範囲内で変更されて設けられてもよい。
【0083】
(E)上記実施形態においては、ガス精製部10には、再生ガス供給流路としての燃料ガス供給管120と再生ガス循環流路としての燃料ガス循環流路320とが別々に接続されて設けられているが、これに限らず、再生ガス循環流路としての燃料ガス循環流路320に再生ガス供給流路が接続されて設けられていてもよい。
【0084】
(F)上記実施形態においては、不純物回収処理の際に、再生ガスとして加熱された燃料ガスBG1を用いたが、これに限らず、再生ガスとして、加熱された空気または窒素を用いてもよい。