(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ランセット係合部材が、対のキャップ押圧部を有して成り、その対のキャップ押圧部がランセットキャップの後端部分に対して当接可能な状態となっていることを特徴とする、請求項1または2に記載のランセットアッセンブリ。
ランセットケースから露出することなくランセットおよびランセット係合部材がランセットケース内に収容されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のランセットアッセンブリ。
分離したランセットキャップを穿刺軌道から逸れる位置に案内するスロープ部がランセットケース内に設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のランセットアッセンブリ。
ランセットキャップが分離される前においては、ランセットケース内部に設けられた係止部Aとランセットボディの被係止部Bとの係合に起因して、ランセットボディの前方への移動が制限されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のランセットアッセンブリ。
エジェクターの全体形状が長尺状になっていると共に、エジェクターの前方への移動のために力を加える力起点部が長尺状のエジェクター後端部に設けられ、その力起点部がインジェクターのハウジングから露出可能に設けられていること
を特徴とする、請求項14に記載のインジェクター。
ランセット係合部材がエジェクターによって押圧されてランセットケース内で前方へと移動するに際しては、ランセット係合部材の可撓性ロック部材がランセットケースの内壁隆起部に押し当り、それによって、可撓性ロック部材が内向きに変位してランセットボディの凹部に可撓性ロック部材の少なくとも一部が位置付けられることを特徴とする、請求項11に記載のランセットアッセンブリと組み合わせて用いられる請求項14または15に記載のインジェクター。
穿刺部材が発射された後においてランセット係合部材がエジェクターによって押圧されてランセットケース内で前方へと移動すると、ランセット係合部材のインジケータ部がランセットケースの一部切欠き部分から更に多く露出することを特徴とする、請求項8に記載のランセットアッセンブリと組み合わせて用いられる請求項14〜16のいずれか1項に記載のインジェクター。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みて為されたものである。つまり、本発明の課題は、ランセットで採血する際により少ないステップで簡易に穿刺できると共に、穿刺後に使用済みランセットをより安全に処理できる穿刺デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明では、ランセットおよびランセット係合部材ならびにそれらを収容するランセットケースから成るランセットアッセンブリであって、
ランセットは、ランセットボディ、ランセットキャップおよび穿刺部材を有して成り、金属製の穿刺部材が樹脂製のランセットボディおよびランセットキャップにまたがってこれらの中に存在し、ランセットキャップによって穿刺部材の先端部がカバーされていると共に、ランセットキャップとランセットボディとが連結部材を介して一体的に結合しており、
ランセット係合部材とランセットキャップとは相互に当接可能状態で設けられており、
ランセット係合部材がランセット又はランセットケースに対して相対的に前方の穿刺方向へと移動すると、ランセット係合部材によってランセットキャップが押圧され、それによって、連結部材が破壊されてランセットキャップがランセットボディから分離し、穿刺部材の先端部が露出したランセットボディが得られることになり、
引き続いてランセット係合部材が前方に移動すると、分離したランセットキャップは、ランセットケース内において穿刺部材の穿刺軌道から逸れる位置にまで移動すること
を特徴とするランセットアッセンブリが提供される。
【0011】
本発明に係るランセットアッセンブリの特徴の1つは、かかるアッセンブリが、「ランセット」、「ランセット係合部材」および「ランセットケース」と3点の部品から構成されていることである。また後述するように、そのようなアッセンブリに含まれる「ランセット係合部材」が少なくとも“ランセットキャップの取外し”および“ランセットの再使用防止”に供する部材であることも特徴である。
【0012】
本発明のランセットアッセンブリの好ましい態様では、
ランセット係合部材が、インジェクター(穿刺部材を発射させるデバイス)の内部に設けられた「前方突出し部」に当接できるようになっている。従って、インジェクターの前端開口部からランセットケースを挿入してランセットアッセンブリをインジェクターに装填する際、ランセット係合部材の後端部がインジェクター内の前方突出し部に対して当接することになる。そして、更にランセットケースが挿入されると、その前方突出し部との当接に起因してランセット係合部材にはランセットケースに対して相対的に前方へと移動する力が働くことになり、それによって、ランセットキャップが押圧されてランセットボディから分離する。つまり、ランセットボディはランセットケース内に保持されているところ、その状態でランセット係合部材によってランセットキャップが前方へと押圧されると、ランセットキャップとランセットボディとの間に相対的に遠ざかる力が作用することになり、その結果、ランセットキャップとランセットボディとを繋いでいる連結部材が破壊される。より具体的に説明すると、ランセットボディはランセットケースに一時的に保持固定されているのでランセットケースと共に挿入方向に移動しようとするのに対し、ランセットケースに保持固定されていないランセットキャップは、前方へと移動するランセット係合部材に押される形態となり、両者にそれぞれ逆向きの力が働くことになる。従って、最終的には、その力が或る閾値を超えると、ランセットキャップとランセットボディとを繋いでいる連結部材が破壊されることになる。連結部材が破壊されると、ランセットキャップがランセットボディから分離することになるので穿刺部材の先端部が露出した状態が得られる。そして、引き続きランセットケースの挿入を継続すると、分離したランセットキャップは、ランセット係合部材に引き続き押される形態で、ランセットケース内にて穿刺軌道から逸れる位置にまで移動することになる。
【0013】
上記事項に鑑みれば、本発明のランセットアッセンブリは、それをインジェクターに装填すると、ランセットキャップをランセットボディから分離できるだけでなく、分離したランセットキャップを穿刺軌道から逸れた位置にまで移動できる特徴を有しているといえる。尚、本明細書において「前方」とは、穿刺に際して穿刺部材(又は穿刺部材の先端部が露出したランセットボディ)が発射される方向である穿刺方向を実質的に意味しており、「後方」とは、かかる前方と逆の方向を実質的に意味している。つまり、「前方」と「穿刺方向」とは実質的に同義である。また、本明細書において「穿刺軌道から逸れる(または外れる)」とは、ランセットボディ(より具体的には「穿刺部材の先端部が露出したランセットボディ」)が前方(即ち、穿刺方向)に発射されて穿刺部材が所定箇所を穿刺するに際して、ランセットキャップがそのような発射および穿刺を阻害しないことを実質的に意味しており、好ましくは、ランセットボディが、分離したランセットキャップに全く接しないことを意味している。
【0014】
ある好適な態様では、ランセット係合部材は中空構造を有している。具体的には、ランセット係合部材は、穿刺方向に沿った中央軸の周りに中空部分を備えた構造を有している。かかるランセット係合部材の中空部分にランセットが収まるように、ランセット係合部材とランセットとが相互に組み合わされていることが好ましい。
【0015】
ランセット係合部材は、対のキャップ押圧部を備えていることが好ましく、かかる対のキャップ押圧部がランセットキャップの後端部分に対して当接可能な状態になっていることが好ましい。尚、ここでいう「当接可能な状態」とは、ランセット係合部材のキャップ押圧部とランセットキャップの後端部分とが相互に近接しており、それらが予め接しているか、あるいはキャップ押圧部が僅かに移動することで相互に接触できる状態のことを意味している。
【0016】
本発明のランセットアッセンブリではランセットキャップがランセットボディから分離することによって、穿刺部材の先端部が露出したランセットボディが得られる。ここで、分離後にランセットケースが更にインジェクター内へと挿入されると、上述したようにランセットキャップがランセット係合部材に押される形態となり、ランセットキャップおよびランセットケースにはそれぞれ相対的に遠ざかる力が作用する。これにより、ランセットキャップはランセットケース内において穿刺軌道から逸れる位置にまで移動することになる。分離したランセットキャップが穿刺軌道から逸れる位置に好適に案内されるように、ランセットケースの内部にスロープ部が設けられていることが好ましい。また必要に応じて、ランセットキャップがスロープ部に対応する形状の被スロープ部を有していてもよい。
【0017】
ランセットボディはランセットケース内にて一時的に保持されている。特にランセットボディの前方への移動が阻止されるように保持されていることが好ましい。例えば、ランセットキャップが分離される前においては、ランセットケース内部に設けられた係止部Aとランセットボディの被係止部Bとが相互に係合することによって、ランセットボディの前方への移動が制限されていることが好ましい(換言すれば、ランセットボディの一部がランセットケースの内部構造に係止することでランセットボディの前方への移動が制限されていることが好ましい)。かかる場合、ランセットキャップの分離後においては、係止部Aと被係止部Bとの係合状態が解除されることになる(つまり、ランセットボディのランセットケース内での固定保持状態が最終的に解除される)。例えば、ランセット係合部材が、係止部Aと被係止部Bとの係合状態を解くための係合解除部を有して成る。ランセットキャップがランセットボディから分離した後では、前方へと移動するランセット係合部材の係合解除部が、係止部Aに押し当って係止部Aを外向きに押し広げ、その結果、ランセットケースの被止部Aとランセットボディの被係止部Bとの係合状態が解除されることが好ましい。このような解除が行われることによって、穿刺に際して「穿刺部材の先端部が露出したランセットボディ」を穿刺方向へと確実に発射させることが可能となる。
【0018】
本発明のランセットアッセンブリの好ましい態様では、ランセットケースから露出することなくランセットおよびランセット係合部材がランセットケース内に収容されている。つまり、ランセットおよびランセット係合部材がランセットケースから“はみ出す”ことなくそれら全体がランセットケースに収まっている。
【0019】
ある好適な態様では、ランセットケースの胴部において一部切欠き部分が設けられていると共に、ランセット係合部材にはインジケータ部が設けられている。かかる場合、分離したランセットキャップが穿刺軌道から逸れる状態が得られるまでランセット係合部材が前方に移動すると、ランセット係合部材のインジケータ部がランセットケースの一部切欠き部分から露出することが好ましい。これによって、ランセットキャップがランセットボディから分離したか否か、ひいては、穿刺部材の発射準備が完了したか否かを外部から目視で確認することができる。
【0020】
別のある好適な態様では、ランセットボディの後端部が、インジェクターのプランジャーと係合するための係合部を有している。例えば、2つ割り部材として構成したプランジャーの先端部に設けた凹部にランセットボディの後端部の係合部が嵌り込むような形態となっている。この場合、ランセットボディの後端の係合部が、プランジャーの先端部を押し広げて、その間に嵌り込む。別の形態では、プランジャーの先端部にランセットボディの後端の係合部がプレスフィットの関係で嵌り込む形態でもよい。このような形態となっているので、インジェクターの前端開口部からランセットケースを挿入してランセットアッセンブリをインジェクターに装填する際、ランセットボディの後端部とインジェクターのプランジャーの前端部とが相互に係合することになる。従って、ランセットケースの挿入に伴って、そのランセットケース内にて保持固定されているランセットボディがインジェクター内に挿入されると、プランジャーがランセットボディによって押し込まれて後退することになり、穿刺部材の発射に必要な力がプランジャーに蓄えられる。尚、上述のランセットケースの被止部Aとランセットボディの被係止部Bとの係合解除は、ランセットボディの後端部とインジェクターのプランジャーとが相互に係合した後に為されることが好ましい。
【0021】
本発明は、上述のランセットアッセンブリと組み合わせて用いて、穿刺部材の先端が露出した状態のランセットボディを発射することができるインジェクターも提供する。かかるインジェクターは、
ランセットボディの後端部と係合でき、ランセットボディを穿刺方向に発射させるプランジャー、
インジェクターの前端開口部に設けられ、前方突出し部を内部に備えた筒形状のランセットアッセンブリ受容部材、および
穿刺に際して外部から押圧されると、穿刺部材の発射を引き起こすトリガーレバーを有して成る。
かかるインジェクターは、ランセットアッセンブリ受容部材にランセットケースの一部を収めることができるようになっており、それによって、ランセットアッセンブリをインジェクターに装填することができる。かかるインジェクターに対して、「ランセットボディの前方への移動が制限された状態のランセットアッセンブリ」を装填すると、ランセット係合部材がランセットアッセンブリ受容部材の前方突出し部に当接し、ランセットケースが引き続いて挿入されると、その前方突出し部の当接に起因してランセット係合部材ではランセットケースに対して相対的に前方に移動する力が働くことになる。これにより、最終的にはランセットキャップがランセットボディから分離して穿刺軌道から逸れる位置にまで移動できる。
【0022】
本発明のインジェクターの好ましい態様では、インジェクターの前方側のハウジング内壁にて、ケースロック部材を更に有して成る。ケースロック部材は、その表面にインジェクター内部方向へと突出するストッパー部を有していると共に、ケースロック部材とインジェクターのハウジング側壁面との間にバネが設けられ、それによって、ケースロック部材においてはインジェクター内部方向に向かって力が作用している。それゆえ、ランセットアッセンブリをインジェクターに装填するに際しては、ランセットケースの外壁面に設けられたロック用突起部がケースロック部材上を摺動することになり、ロック用突起部がストッパー部を乗り越えると、装填されたランセットケースがインジェクターから抜け落ちないようにロック用突起部とストッパー部とが当接可能な状態となる。
【0023】
本発明のインジェクターは、装填されたランセットアッセンブリを排出するためのエジェクターを更に有して成る。かかる場合、穿刺後においてエジェクターを前方へと移動させると、エジェクターがランセット係合部材の後端部に当接して押圧作用を及ぼすことによってランセット係合部材をランセットケース内で前方へと移動させることができ、それによって、ランセット係合部材の前端部が最終的にランセットケース内壁部と当接する結果となる(つまり、ランセット係合部材の前端部がランセットケース内壁部分に押し当てられる結果となる)。それゆえ、引き続いてエジェクターを前方へと移動させると、ランセットアッセンブリには全体として前方へと押圧される力が働いて最終的にはランセットアッセンブリがインジェクターから排出されることになる。尚、エジェクターは、前方へと長尺状に突出した形態のロック解除部を有して成ることが好ましい。かかる場合、穿刺後にてエジェクターを前方へと移動させると、エジェクターのロック解除部がケースロック部材に押し当ることになり、それによって、ケースロック部材が外向きに動かされてロック用突起部とストッパー部との当接可能状態が解除される。また、エジェクター駆動時においてはランセット係合部材の可撓性ロック部材が機能することが好ましい。具体的には、穿刺後のランセット係合部材がエジェクターによって押圧されてランセットケース内において前方へと移動すると、ランセット係合部材の可撓性ロック部材がランセットケースの内壁隆起部に押し当り、それによって、可撓性ロック部材が内向きに変位してランセットボディの凹部にて可撓性ロック部材の少なくとも一部が位置付けられる。更に、穿刺後のエジェクター駆動時においてはインジケータ機能も駆動することも好ましい。具体的には、ランセット係合部材がエジェクターによって押圧されてランセットケース内で前方へと移動すると、ランセット係合部材のインジケータ部がランセットケースの一部切欠き部分から更に多く露出する。これによって、ランセットアッセンブリが使用済みのものであるか否かを目視により外部から確認することができる。
【0024】
特に本発明のインジェクターに設けられるエジェクターは、その全体形状が長尺状になっていることが好ましい。かかる場合、エジェクターの前方への移動のための力を加えることができる力起点部が長尺状のエジェクター後端部に設けられ、その力起点部がインジェクターのハウジングから露出可能に設けられていることが好ましい。また、エジェクターの力起点部に相当する後端部には一部切欠部分が設けられており、穿刺部材の発射に必要な力がプランジャーに蓄えられるまでプランジャーが後退すると、プランジャーの後端部がエジェクターの一部切欠部分から露出することが好ましい。
【0025】
尚、インジェクターから排出された使用済みランセットアッセンブリにおいては、使用前と比べてランセットボディがランセットケース内にて最も前方側に位置しており、その結果、使用済みランセットアッセンブリをインジェクターに装填したとしてもランセットボディの後端部とインジェクターのプランジャーとが相互に係合できない位置関係となっている。つまり、使用済みランセットアッセンブリをインジェクターに仮に装填したとしても、プランジャーが後退し得ないので、“穿刺可能な状態”を再び得ることはできない。
【0026】
本発明では、上記のようなランセットアッセンブリを構成するランセットおよびランセットケースも提供される。また、そのようなランセットアッセンブリおよびインジェクターを組み合わせて構成される穿刺デバイスも提供される。また、併せて、穿刺デバイスを構成する、本発明のランセットアッセンブリおよび本発明のインジェクターから構成される穿刺デバイス用キットも提供されることになる。
【発明の効果】
【0027】
本発明のランセットアッセンブリを本発明のインジェクターと組み合わせて穿刺デバイスとして用いる場合、ランセットケース自体をインジェクターに挿入する操作だけで、穿刺準備が完了する。従って、ランセットキャップを手(または指)で外す必要がなく、ランセットのコッキングが可能となる。更に、本発明の穿刺デバイスを用いると、穿刺後、エジェクターを操作する(即ち、エジェクターを単にスライドさせる)だけで、「使用済みの穿刺部材を収容したランセットケース」をより安全にインジェクターから排出できる。従って、ランセットアッセンブリのインジェクターへの装填ステップ、穿刺ステップ、その後のエジェクターによるランセットアッセンブリの排出ステップの3つのステップで実質的に穿刺作業を終了することができる。
【0028】
また、本発明のランセットアッセンブリでは、使用前または使用後のいずれの時点においてもランセットンセットケースから露出することなくランセットがランセットンセットケース内に収容されている。つまり、ランセットが周囲の環境と比較的隔離された状態に保持できている点で、より衛生的なランセットが供されている。特に穿刺後においては、ランセット係合部材のロック部材が機能することによってランセットボディの動きが制限されるので、使用済みのランセット(穿刺部材)がケースから抜け落ちることが無く、その点で安全なランセット製品となっている。
【0029】
更に、本発明のランセットアッセンブリでは、ランセット係合部材に起因したインジケータ機能が備えられており、ランセットアッセンブリが穿刺可能な状態にあるか否かや、そのランセットアッセンブリが使用済みであるか否かなどを目視により簡単に判別することができる。つまり、本発明ではより利便性に優れたランセットが供されている。
【発明を実施するための形態】
【0031】
添付図面を参照して本発明のランセットアッセンブリならびにそれを構成するランセット、ランセット穿刺部材およびランセットケースを詳細に説明すると共に、ランセットアッセンブリと組み合わせて使用するインジェクターを詳細に説明する。尚、それらの説明に付随して、ランセットアッセンブリおよびインジェクターから構成される穿刺デバイスなども併せて説明する。
【0032】
本明細書で用いる方向についての用語は、上述したように、穿刺に際してランセットボディが移動する「穿刺方向」(即ち、穿刺時にて穿刺部位に向かって穿刺部材が移動する方向)を「前」方向とし、その反対の方向を「後」方向としている。これらの方向は図面に示している。尚、「穿孔方向」は、ランセットケースの開口端から穿刺開口部へと向かう方向に相当し、“前方”に相当する。
【0033】
《ランセットアッセンブリの基本構成》
【0034】
図1〜
図4は、ランセットアッセンブリ100を示している。
図1は、ランセットアッセンブリ100の外観図を示し、
図2は、ランセットアッセンブリ100の側面図・断面図を示している。
図3は、ランセットアッセンブリ100の内部構造が容易に理解できるように、ランセットケースを、その長手方向に沿って半分切除した形態で示している。そして、
図4は、ランセットアッセンブリ100の構成要素が容易に理解できるように、アッセンブリの分解図・展開図も併せて示している。
【0035】
図3および4に示すように、ランセットアッセンブリ100は、ランセットケース102内にランセット150およびランセット係合部材190が収容された構造を有している。つまり、本発明のランセットアッセンブリ100は、「ランセット150」、「ランセット係合部材190」および「ランセットケース102」と3点の部品から実質的に構成されている。
【0036】
具体的には、
図3および
図4に示すように、ランセット150がランセット係合部材190の内側の中空部分に位置するように相互に組み合わされており、そのような組合せがランセットケース102内に収められている。別の表現を用いれば、ランセット150の周囲にランセット係合部材190が配置されると共に、それらランセット150とランセット係合部材190とを全体的に包み込むようにランセットケース102が設けられている。特に、ランセット150とランセット係合部材190とは、ランセット係合部材の“対を成すキャップ押圧部192”がランセットキャップ152の後端部分152aに対して当接可能な状態で設けられている(
図4参照)。
【0037】
以下では、ランセットアッセンブリ100の各構成部材について説明していく。
【0038】
(ランセットケース)
ランセットケース102は、
図5に示すように、例えば全体として円筒の形態である。かかるランセットケース102のサイズは小さく、例えば
図5に示される長さ(L、D
1、D
2)は、L=28〜52mm(例えば約40mm)、D
1=0.7〜1.3mm(例えば約10mm)、D
2=3.5〜6.5mm(例えば約5mm)とすることができる。ランセットケース102の形状は必ずしも円筒の形態に限定されるものではなく、例えば角筒の形態であってもよい。
【0039】
ランセットケース102は、一般的なランセットに用いられる樹脂材料であれば、いずれの種類の樹脂材料から形成してもよい。ランセットケース102は開口後端103を有すると共にそれに対向する位置に穿刺開口部105を有している。かかる穿刺開口部105は、穿刺すべき所定の部位(例えば指先)にあてがわれる部分に相当する。
【0040】
図5(b)に示すように、ランセットケースの外面(特にケース外面の後端側領域)においては突起部104が設けられている。好ましくは、複数の突起部104がランセットケース胴部の周方向に沿って環状に設けられている。かかる複数の突起部104は、ランセットケースがインジェクターに挿入された際に、インジェクターの複数のガイド突起(
図14Aおよび14Cの参照番号217)と係わり合うことになり、それによって、スムーズな挿入が実現される。また、突起部104自体は、一旦挿入されたランセットケースをインジェクターに保持固定しておくための“ロック用突起部”としても機能し得る。それゆえ、ランセットアッセンブリのインジェクターへの装填に際しては、ランセットケースの突起部104がインジェクターのケースロック部材(
図14Cの参照番号240)と係合(特にケースロック部材のストッパー部240aと係合)することになる。
【0041】
また、
図5(a)に示すように、ランセットケースの外面(特にケース外面の前側領域)においては一部切欠き部分106が設けられていることが好ましい。かかる一部切欠き部分106はインジケータ機能に資するものである。一部切欠き部分106が存在することによってランセットケース内のインジケータ部(
図3の参照番号195)がランセット係合部材の移動に伴って露出できるようになる。
【0042】
ランセットケース102の内部には、ランセットのボディ部分の前方移動を阻止しておくための係止部A(110)が設けられている(特に
図5(d)参照)。図示するように係止部A(110)は、インジェクターの内部中央に向かって突出する形態(即ち、突起部111)を有すると共に、外側へと撓むことが可能な自由端を備えた長尺部分114を有している。
【0043】
また、
図5(c)および(d)に示すように、ランセットケース102の内部には“分離したランセットキャップ”のスライド移動に供するスロープ部170が設けられている。ランセットキャップが穿刺軌道から逸れる位置まで前方へと好適に移動できるように、スロープ部170は、穿刺方向に対して角度を成すスロープ面170aを備えていることが好ましい。
【0044】
ランセットケースの内部には、使用済みランセットの可動防止・再使用防止に寄与する要素が設けられていることが好ましい。具体的には、
図5(c)に示すような内部隆起部180が設けられていることが好ましい。かかる内部隆起部180は、使用時にランセット係合部材190の可撓性ロック部材196(
図3参照)と協働する。図示されるように、内部隆起部180はケース内壁からケース中央側に向かって部分的に突出した形態を有している。かかる内部隆起部180に可撓性ロック部材196が押し当たると、内向きに変位した状態の可撓性ロック部材196が得られる(内部隆起部180の形態および可撓性ロック部材196の変位については
図8B・
図8Cも併せて参照されたい)。
【0045】
更には、
図5(c)に示されるように、ランセットケース102の内壁には、ランセット係合部材190の保持に寄与する一対の突起部107も設けられている。
【0046】
(ランセット)
ランセット150は
図6にて斜視図・断面図で示されている。かかるランセット150も、ランセットケース102と同様に小さく、そのランセットケース102内に収まることができるサイズとなっている。図示されるように、ランセット150は、ランセットボディ151、ランセットキャップ152および穿刺部材153を有して成る。穿刺部材153は、例えば金属製の針またはブレードである。穿刺部材153は、特に
図6(c)に示すように、樹脂製のランセットボディ151およびランセットキャップ152にまたがってこれらの中に存在しており、穿刺部材153の先端部153aがランセットキャップ152によってカバーされている。このため、
図6(a)および(b)では、穿刺部材153が表れていない。
図6(a)および(b)に示すように、ランセットキャップ152とランセットボディ151とは連結部材154を介して一体に結合している。このようなランセット150は、穿刺部分153を金型にインサートして樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン等)を成型するいわゆるインサート成形によって製造することができ、連結部材154は、このインサート成形の際に併せて製造することができる。従って、連結部材154は、ランセットキャップ152およびランセットボディ151と同じ樹脂材料から形成され得る。
図6(a)および(b)に示すように、連結部材154は、小径の棒状部材であってよく、この棒状部材がランセットキャップ152とランセットボディ151とを橋渡しするような形態で設けられることが好ましい。図示されるように、穿刺部材153を中心にして対称に連結部材154が2つ設けられることが特に好ましい。尚、連結部材154がより容易に破壊されるように、連結部材154にノッチ(例えば、V字形の刻み目)を設けてもよい。
【0047】
ランセットキャップ152は、
図6(a)および(b)に示すように、横断方向に張り出した形態を有しており、その張出し部分155の後端側が他の部材によって押圧できるようになっている。このようなランセットキャップの形態に起因して、ランセット係合部材190をランセットキャップの後端部分152aに当接可能な状態で設けることができると共に、使用時にはランセット係合部材190によってランセットキャップの後端部分152aを押圧することが可能となる。
【0048】
ランセットのボディ130はランセットケース102に対して一時的に保持された状態で設けられるが、そのための要素をランセットボディ130は備えている。具体的には、ランセットボディ130は、ランセットケースの係止部Aと係わり合うことが可能な被係止部B(135)を有している(
図6(b)参照)。例えば、ランセットケースの係止部A(110)がインジェクターの内部中央に向かって突出する形態を有する場合(
図5(d)参照)、ランセットボディの被係止部B(135)は、
図6(b)に示されるように、段差形態または凹部形態を有することが好ましい。「突出形態の係止部A(110)」と「段差形態・凹部形態の被係止部B(135)」とが相互に係わり合うことによって、ランセットボディ130の前方への移動が制限される(例えば
図8A参照)。
【0049】
ランセットボディ130では穿刺部材150の胴部が固定化されている。従って、穿刺に際しては、ランセットボディ130が穿刺部材150と一体となって前方へと発射される。また、ランセットボディ130には、その後端部に、インジェクターのプランジャー(例えば
図14Cの参照番号204)と係合するための係合部165を有している。つまり、ランセットアッセンブリをインジェクターに装填する際、ランセットボディの後端部165がプランジャー204の前端部204aと係合できるようになっており、それによって、ランセットケースの挿入に伴ってプランジャーが後退して穿刺部材の発射に必要な力がプランジャーに蓄えられることになる。尚、プランジャーとの係合安定化のために、ランセットボディの後端部分165’が図示するように横断方向に張り出した形態となっていてもよい。
【0050】
ランセットボディ151は、ランセット係合部材190のガイド部191(
図7A参照)と係わり合うように構成された一対の被ガイド部157を有し得る。
図6(a)および(b)に示すように、一対の被ガイド部157は、穿刺部材153を中心にして対称に外側へと連続的に出張った形態を有する一対の連続出張部であることが好ましい。
【0051】
更に、ランセットボディ151には、使用済みランセットの可動防止・再使用防止に寄与する要素が設けられている。具体的には、ランセット係合部材190の可撓性ロック部材196(
図3,8Bおよび8C参照)と協働する凹部158(
図6(a)参照)が設けられている。
図6(a)に示すように、ランセットボディ151が部分的に肉薄となることによって凹部158が形成されており、そのような凹部158が例えばボディの前方側に設けられていてよい。使用済みのランセットアッセンブリにおいては、かかる凹部158にランセット係合部材190の可撓性ロック部材196が位置付けられることによって、“再使用防止”が機能し得る。
【0052】
(ランセット係合部材)
ランセット係合部材190は
図7Aおよび
図7Bに示されている。図示されるように、ランセット係合部材190は、穿刺方向に沿った中央軸周りに中空部分197を備えた中空構造を有している。かかる中空部分197はランセット150が収まる空間に相当する。つまり、ランセットアッセンブリ100においては、ランセットがランセット係合部材の中空部分197に収まるように、ランセット係合部材190とランセット150とが相互に組み合わされている。
【0053】
特に
図7A(a)および(b)に示すように、ランセット係合部材190は、ランセットキャップ152の分離に資する一対のキャップ押圧部192を有して成る。ランセットアッセンブリ100においては、この一対のキャップ押圧部192がランセットキャップの後端部分152aに対して当接可能な状態となっている。
【0054】
ランセット係合部材190は、ランセットボディとランセットケースとの一時的に保持状態を解除する機能を有している。つまり、ランセットケース内部に設けられた係止部A(110)とランセットボディの被係止部B(135)との係合状態・係止状態を解除できる係合解除部194が設けられている(
図7B(c)および(d)参照)。特に
図7B(c)に示されるように、係合解除部194は、いわゆる“ピンセット”のような形態を有していることが好ましい。より具体的には、ランセット係合部材190の係合解除部194は、先端が斜め前方へと湾曲した形態を有する一対の長尺部から成ることが好ましい。
【0055】
ランセット係合部材190は、穿刺に際してランセットボディ(より具体的には“穿刺部材の先端部が露出した状態のランセットボディ”)を穿刺方向へとガイドするためのガイド部191を有して成る(
図7A参照)。ガイド部191は、図示されるように、ランセット係合部材の内側面にて“連続的な隆起部”として形成されていることが好ましく、また、対を成すように形成されていることが好ましい。かかるガイド部191は、ランセットボディ151の被ガイド部157(
図6(a)および(b)参照)と係わり合うことによって、ランセットボディの穿刺方向に沿った移動に資することになる(このような機能ゆえに、ランセット係合部材190は“インナーガイド”とも称される)。
【0056】
また、特に
図7A(c)および7B(b)に示すように、ランセット係合部材190にはインジケータ部195が備えられていることが好ましい。図示するように、インジケータ部195はランセットの前方側に設けられていてよく、前方へと延在する長尺形態を有することが好ましい。かかるインジケータ部195はランセットケースの一部切欠き部分106(
図5(a))と関連して機能するものであり、穿刺操作に際して一部切欠き部分106からインジケータ部195が部分的に露出することになる。
【0057】
ランセット係合部材190は、使用済みランセットの可動防止・再使用防止のための機能も有している。具体的には可撓性ロック部材196がランセット係合部材190に設けられていることが好ましい(
図7A(c)および7B(c)参照)。可撓性ロック部材196は、特に
図7B(c)に示されるように、その根元部分196aが肉薄な形態となっており、その肉薄部分を軸にして可撓性ロック部材が内側方向へと撓むことができるようになっている。それゆえ、使用後の操作に起因してランセット係合部材の可撓性ロック部材196がランセットケースの内壁隆起部180に押し当ると、可撓性ロック部材が内向きに変位した状態となる。
【0058】
更に、ランセット係合部材190がランセットケース102内で好適に保持されるように、ランセットケース内壁の突起部107と協働する4つの対の突起部198a〜198dを備えている(
図7B(a)参照)。この4つの対の突起部198a〜198dは、ランセットケースの突起部107(
図5(c)参照)と係合することで、ランセット係合部材がランセットケースに好適に保持され、ひいては、ランセット係合部材と組み合わされるランセットも同様に好適に保持されることになる。使用前の状態においては、ランセット係合部材の2つの突起部198aと198bとの間に挟まれるような形態でランセットケースの突起部107とランセット係合部材の突起部(198a,198b)とが係合している(
図8A参照)。その一方、ランセットキャップ分離後〜穿刺完了においては、ランセットケースの突起部107がランセット係合部材の2つの突起部198cと198dとの間に挟まれるような形態でランセットケースの突起部107とランセット係合部材の突起部(198c,198d)とが係合している(
図8B参照)。更には、ランセットアッセンブリがインジェクターから排出された使用済み後においては、ランセットケースの突起部107はランセット係合部材の突起部198dの後方側かつ後端部199’の前方側に位置付けられることになる(
図8C参照)。
【0059】
《ランセットアッセンブリの機能》
以下では、本発明のランセットアッセンブリの特徴的な種々の機能について説明する。尚、必要に応じて
図8A〜8Cのランセットアッセンブリ100の経時変化図および
図9A〜9Dの穿刺デバイス1000の経時変化図を参照しながら説明する。
【0060】
(ランセットキャップ取外し機構)
図10には、ランセットケース102内にランセット150が収納された状態が示されている。特に図(a−1)に示すように、ランセットキャップ152がランセットケース102の穿刺開口部105側に位置する一方、ランセットボディ151がランセットケース102の後端開口端103側に位置している。ここで、上記で触れたように、ランセットケースの係止部A(110)とランセットボディの被係止部B(135)とが相互に当接した状態となっており、ランセットボディ151はランセットケース102に対して一時的に保持されている(ランセットボディ151の前方への移動は阻止されている)。つまり、ランセットボディ151はランセットケース102に固定されている一方、ランセットキャップ152自体はランセットケース102に固定されていない。従って、穿刺方向の前方へとランセットキャップ152のみを押圧すると、ランセットキャップ152とランセットボディ151とが相対的に遠ざかる力が作用し、連結部材154が破壊されることになり、結果的に、ランセットキャップ152とランセットボディ151とが分離し、穿刺部材153の先端部が露出した状態が得られることになる。
【0061】
分離したランセットキャップ152は、引き続いて穿刺方向に押圧されると、前方へと移動する(
図10(a−2)および(b−2)参照)。ここで、ランセットケース102内の穿刺開口部105付近には、分離したランセットキャップ152を穿刺軌道から逸れる位置にまで案内するスロープ部170が設けられていると共に、ランセットキャップ152にはスロープ部170に対応する形状の被スロープ面152b(
図6(b)参照)が設けられている。より具体的には、スロープ部170および被スロープ面152bは、それぞれ互いに相補的な形状を有していることが好ましい。このようなスロープ部170および被スロープ面152bが設けられているので、分離したランセットキャップ152が前方へと引き続いて移動する際、ランセットキャップ152の被スロープ面152bが、ランセットケース102内のスロープ部170に当接した状態でスライドすることになり、結果的に、穿刺軌道から逸れる位置までランセットキャップ152が好適に移動することができる。
図10(a−1)〜(a−3)および(b−1)〜(b−3)には、それぞれ、ランセットキャップ152が分離され、分離したランセットキャップ152が穿刺軌道から逸れる位置にまで移動する態様が示されている。
【0062】
ランセットキャップ152の移動について詳述する。ランセットケース102内のスロープ部170は、穿刺方向に対して角度を成すスロープ面170aを有している(特に
図10(b−1)参照)。一方、ランセットキャップ152の被スロープ面152bは、スロープ面170aと相補的に当接できるような形態を有している(特に
図6(b)参照)。従って、ランセットキャップ152が穿刺方向に押圧されると、それらの面が相互に当接した状態でランセットキャップ152が前方へとスライドすることになり、結果的に斜め前方へと移動することになる。例えば
図10(a−1)/(b−1)はランセットキャップ152が移動する前の態様を示している一方、
図10(a−3)/(b−3)はランセットキャップ152が移動した後の態様を示しており、
図10(a−1)/(b−1)に示す位置から
図10(a−3)/(b−3)に示す位置までランセットキャップ152が移動する態様から、ランセットキャップ152が穿刺軌道から逸れる位置まで移動することが理解できよう。尚、
図10(a−3)にはランセットキャップ152の移動軌道を示している。ランセットキャップ152は、最終的には穿刺部材153の穿刺軌道から逸れた位置まで移動するがその移動軌跡が表されている。スロープ面170aが穿刺方向と成す角度(即ち移動軌跡の角度α)は、好ましくは120°〜150°であり、より好ましくは130°〜140°である。
【0063】
上述のようにランセットキャップ152が斜め前方へと穿刺軌道から逸れる位置にまで移動する結果、穿刺部材153(具体的には穿刺部材153が露出したランセットボディ151)が、穿刺に際して、ランセットキャップ152に邪魔されずに前方へと発射される。尚、
図9B(d)には、穿刺時(即ち、穿刺部材が発射された時)のランセットアッセンブリ100の状態を模式的に示しており、穿刺部材の先端153aがランセットキャップ152に邪魔されずに穿刺開口部105から露出している状態が示されている。
【0064】
ここで、使用時にランセットアッセンブリ100をインジェクター200に装填する際には、アッセンブリ100を、
図9A(a)に示すように、インジェクター200の前端開口部202から後方に向かって(矢印Aで示す方向に)挿入する。かかる装填は、ランセットケース102を一方の手の指先でつまみ、インジェクター200を他方の手で保持した状態で、ランセットケース102をインジェクター200の前端開口部202へと挿入する。そして、通常の人が加えることができる力で更に挿入できない状態となった時点をもって装填が完了する。装填が完了した態様を
図9B(c)に示す。このような装填操作に際しては、インジェクター200内のプランジャー204が後退して穿刺部材の発射に必要な力が徐々にプランジャーに蓄えられることになるが、そのプランジャーの後退と並行して、
(1)連結部材が破壊されてランセットキャップ152がランセットボディ151から分離し、
(2)分離したランセットキャップ152が穿刺軌道から逸れるように移動する、
ことになる。
【0065】
(ランセットボディ係合解除の機構)
ランセットキャップ152が分離される前においては、ランセットボディ151の前方への移動が制限されるようにランセットボディがランセットケース102に保持されている一方、ランセットキャップ152の分離後においてはその保持状態が解除されることが好ましい。なぜなら、穿刺に際してランセットボディ(特に「穿刺部材の先端部が露出したランセットボディ」)を穿刺方向へと発射させることが可能となるからである。具体的には、ランセットキャップが分離される前においては、ランセットケース内部に設けられた係止部A(110)とランセットボディの被係止部B(135)とが相互に係合することによってランセットボディ151の前方への移動が制限される一方、ランセットキャップ152の分離後においてはそれらの係合状態が解除されることが好ましい(「係止部A(110)」および「被係止部B(135)」については例えば
図5(d)および
図6(b)を参照されたい)。
【0066】
かかる係合解除について詳述する。
図8Aは「使用前(キャップ分離前)のランセットアッセンブリ100」を示している。図示されるように、キャップ分離前では、前方側に位置するランセットケースの係止部A(110)と後方側に位置するランセットボディの被係止部B(135)とが相互に係合しており、それによって、ランセットボディ151の前方への移動が制限されている。つまり、キャップ分離に際してランセットキャップ152が前方へと押圧されたとしても、ランセットボディ151は、それに抗する力が働くことになり、結果として、ランセットキャップ152およびランセットボディ151には相対的に遠ざかる力が作用する。このような作用に起因して、ランセットキャップがランセットボディから分離されることになる。
【0067】
図8Bは「キャップ分離後のランセットアッセンブリ100」を示している。図示されるように、キャップ分離後において、ランセット係合部材の係合解除部194が機能すると、ランセットケースの被止部A(110)とランセットボディの被係止部B(135)との係合状態が解除される。
図11に示されるように、前方へと移動する係合解除部194が、ランセットケースの被止部A(110)を外側へと変位させ、それによって、ランセットケースの被止部A(110)とランセットボディの被係止部B(135)との係合状態が解除される。より具体的には、係合解除部194における斜め前方に湾曲した一対の長尺部194aが、被止部A(110)の長尺部分114の自由端に押し当たることによって、その長尺部分114が外側へと撓むように押し広げられることになり、結果的に、ランセットケースの被止部Aの突起部111とランセットボディの被係止部B(135)との係合が解かれる。このような解除が行われると、穿刺に際して「穿刺部材の先端部が露出したランセットボディ」を穿刺方向へと確実に発射させることが可能となる。
【0068】
(インジケータ機能)
ランセットアッセンブリの好ましい態様では、インジェクター内に設けられたランセットアッセンブリが所定の穿刺可能になったことを示すインジケータ機構が備わっている。ランセットアッセンブリのインジケータ機能に寄与する部材・部分は、主として、ランセット係合部材190に設けられた「前方に向かって延在する長尺形態のインジケータ部195(
図7B(b)参照)」、および、ランセットケース102に設けられた「一部欠き部106(
図5(a)参照)」である。
【0069】
「使用前(キャップ分離前)のランセットアッセンブリ100」では、
図8Aに示すように、ランセット係合部材のインジケータ部195がランセットケース102の一部欠き部106からは見えない場所に位置付けられている。具体的には、図示されるように、インジケータ部195が一部欠き部106よりも後退した場所に位置付けられており、その結果、使用前のインジケータ部195は一部欠き部106からは露出していない(
図12も併せて参照)。
【0070】
これに対して、キャップ分離後においては、
図8Bに示すように、ランセット係合部材のインジケータ部195がランセットケース102の一部欠き部106から一部露出するように位置付けられる(
図12も併せて参照のこと)。これは、ランセット係合部材190が、キャップ分離に際してランセットケース内で前方移動することに起因している。ランセット係合部材190の移動は、ランセットキャップ152の分離・移動を伴うものである。つまり、かかるランセット係合部材190のインジケータ部195の露出状態からランセットキャップの分離を把握することができ、ひいては、穿刺部材の発射に必要な力がプランジャーに蓄えられた穿刺可能状態にあるか否かを間接的に把握することができる。換言すれば、インジケータ部195の露出状態が
図12に示す「B状態」にある場合だと、それは、インジェクターに装填されたランセットアッセンブリの穿刺準備が整った状態にあることを示している。このように本発明のランセットアッセンブリでは、ケース内の状態を外部から間接的に把握できるので、実際の使用に際して使用者が操作段階を確実に把握することができ、スムーズな使用が助力される。
【0071】
また、穿刺が行われてインジェクターから排出された使用後においては、
図8Cに示すように、ランセット係合部材のインジケータ部195がランセットケース102の一部欠き部106から更に露出するように位置付けられることになる(
図12も併せて参照のこと)。これは、ランセット係合部材190が、インジェクター排出に際してケース内で更に前方移動したことに起因している。つまり、このようなインジケータ部195の露出状態から穿刺後の使用済み状態であるか否かを間接的に把握することができる。換言すれば、インジケータ部195の露出状態が
図12に示す「C状態」にある場合だと、それは、使用後にインジェクターから排出されたランセットアッセンブリであって、穿刺には供されない状態にあることを示している。このようなインジケータ機能により、使用済みランセットアッセンブリを誤って使用する危険性が低減される。
【0072】
(セイフティー機能・再使用防止機能)
ランセットアッセンブリの好ましい態様では、「使用済み穿刺部材のケースからの抜け落ちを防止する機能」ないしは「一旦使用に供したランセットが再度使用されることを防止する再使用防止機能」が備わっている。このような機能に寄与する部材・部分は、主として、ランセット係合部材190に設けられた「内側方向へと撓むことができる可撓性ロック部材196(
図7A(c)参照)」と、ランセットケース102に設けられた「ケース中央側に向かって突出した形態を有する内部隆起部180(
図5(c)参照)」と、ランセットボディ151に設けられた「部分的に肉薄となった形態を有する凹部158(
図6(a)参照)」である。
【0073】
「穿刺後のランセットアッセンブリ」においては、
図13(a)および
図8Bに示すように、可撓性ロック部材196とランセットケース102の内部隆起部180とが相互に隣接しているものの、可撓性ロック部材196が内部隆起部180に押し付けられた状態にはなっていない。つまり、かかる状態では、可撓性ロック部材196の変位は引き起こされておらず、ランセットボディ151との係合は為されていない。このような状態からランセット係合部材が前方移動すると(ケース排出に伴ってランセット係合部材は前方へと移動する)、内部隆起部180によって可撓性ロック部材196の変位が引き起こされ、結果として可撓性ロック部材196とランセットボディ151との係合が為されることになる(
図13(b)および
図8C参照)。
【0074】
具体的には、穿刺後にてランセットアッセンブリがインジェクターから排出されるに際しては、ランセット係合部材190がエジェクターによって押圧されることによってランセットケース102内で前方移動することになる(
図8Bおよび8Cならびに
図9C(e)および(f)参照)。ランセット係合部材190が前方へ移動するということは、その部材に備えられている可撓性ロック部材196も同様に前方に移動することを意味している。可撓性ロック部材196がランセットケース102に対して相対的に前方に移動すると、ランセット係合部材の可撓性ロック部材196がランセットケースの内壁隆起部180に押し当り、それによって、可撓性ロック部材196が内向きに変位する。そして、変位した可撓性ロック部材196は、結果的にランセットボディ151の凹部158に位置付けられることになる(
図13(b)、
図8Cおよび
図9C(f)参照)。このような状態が得られると、ランセットボディ151自体は、ランセット係合部材190のロック部材196によって、その移動・動きが制限されることになる。このように移動・動きが制限されると、穿刺後のランセットがケースから抜け落ちることがないので使用済みランセットアッセンブリの安全性・衛生面が向上することになる。また、ランセットボディが可動し得ない状態にあるということは、再度の穿刺に供し得ないことを意味している。つまり、インジェクターから排出されたランセットアッセンブリは再度使用できないようになる。
【0075】
《インジェクターの全体構成・機能》
図14A〜
図14Cに、本発明に係るインジェクター200を示す。
図14Aは、インジェクター200の外観を示し、
図14Bおよび14Cは、インジェクター200の側面および内部構造を示している。特に
図14Cに示すように、インジェクター200は、ハウジング201、プランジャー204およびランセットアッセンブリ受容部材210を有して成り、その他、トリガーレバー230、エジェクター270、ファイヤー・スプリング(射出用スプリング)205a、リターン・スプリング205b、ケースロック部材240、フック250、アジャスター(穿刺深さ調節部材)300、アジャスター・リング310、などを有して成る。それらの部品については、それぞれ
図15(a)〜(c)および
図16(a)〜(d)および
図17(a)〜(d)において示す。
【0076】
インジェクター200のハウジング201は、二分割した部材から構成されることが好ましく、例えば
図15(a)に示される部材201aと部材201bとを一体に組み合わせて構成される。
【0077】
プランジャー204は、インジェクター200の長手方向軸に沿うように配置されているものであって、ランセットボディ151を穿刺方向に発射させる機能を有している。
図9Aまたは
図15(b)に示されるように、プランジャー204の先端部204aは、ランセットボディ151の後端部165(
図6(b)参照)と係合できるようになっている。インジェクター200へのランセットアッセンブリ100の装填に際してランセットボディ151がインジェクター200内に挿入されることによって、プランジャー204の先端部204aとランセットボディ151の後端部165とが係合する。その後、後方に向かって更にランセットボディ151が挿入されると、プランジャー204が後方へと押し込まれることになる。その結果、プランジャー204に設けられたファイヤー・スプリング205aが圧縮される。ファイヤー・スプリング205aが圧縮されるということは、穿刺部材153の発射に必要な力がプランジャー204に蓄えられることを意味している(スプリング205aに関しては
図14Cも併せて参照のこと)。
【0078】
(ランセットアッセンブリ受容部材)
本発明のインジェクター200は「ランセットアッセンブリ受容部材210」を有して成る。かかるランセットアッセンブリ受容部材210は、使用に際してランセットアッセンブリを収納する機能を有すると共に、装填時にキャップ取外しにも寄与する。特に
図18に示すように、ランセットアッセンブリ受容部材210は、全体として筒形状ないしはリング形状を有しており、その内部には前方突出し部212を備えている。図示されるように、前方突出し部212は受容部材210の底部分を基点として前方側へと延在した形態を有しており、また好ましくは“対を成す”ように形成されている。
【0079】
受容部材210自体は、
図18に示すように、インジェクターの前端開口部に設けられ、使用時に挿入されるランセットアッセンブリを受けるようになっている。つまり、受容部材210にランセットケースの一部が収まることになるようにランセットアッセンブリをインジェクターに装填できるように構成されている。インジェクター200への装填操作においてランセットアッセンブリが受容部材210に挿入される際には、前方突出し部212の存在に起因して、ランセット係合部材190には前方に移動する力(特にランセットケースに対して相対的に前方に移動する力)が働くことになる。具体的には、「ランセットボディの前方移動が制限された状態のランセットアッセンブリ」を受容部材210に挿入すると、ランセット係合部材の後端部199がランセットアッセンブリ受容部材210の前方突出し部212と当接することになり(例えば
図9A(a)および(b)参照のこと)、ランセットケース102を引き続いて挿入すると、その前方突出し部212に押されるような形態となってランセット係合部材190がランセットケース内で前方移動することになる(同じく例えば
図9B(c)参照)。つまり、インジェクターに挿入されるランセット係合部材の後端部199と受容部材210の前方突出し部212との当接に起因して、“ランセットケースに対して相対的に前方に移動する力”がランセット係合部材に働くことになる。これにより、ランセットキャップがランセット係合部材の押圧部192によって押されることになり、結果的にはランセットキャップがランセットボディから分離して穿刺軌道から逸れる位置にまで移動することになる(
図10参照)。
【0080】
尚、ランセットアッセンブリ受容部材210には、その内周面にガイド突起217(
図14Aおよび14C参照)を有している。具体的には、受容部材210の内周面には挿入方向に沿って連続的に隆起した突起部217が複数設けられている。かかるガイド突起217は、ランセットアッセンブリ100の装填時にランセットケース外面の複数の突起部104(
図5(b)参照)と係わり合うことによって、スムーズなケース挿入に資することになる。また、このような受容部材のガイド突起217とケースの突起部とのかみ合いさえ合えば、ランセットアッセンブリは、いずれの回転向きであっても(中央軸を中心とした回転方向の向きがいずれであっても)インジェクターに挿入することができ、使用時の操作性は優れている(ランセットアッセンブリの挿入方向についての制限は大きく減じられているといえる)。
【0081】
(ケースロック機能)
本発明のインジェクター200は、好ましくはケースロック機能を有して成る。かかる機能は、ランセットアッセンブリのインジェクターへの挿入後に、ランセットアッセンブリが挿入方向と逆の方向に力を受けたとしても、ランセットアッセンブリがインジェクターから抜け落ちることなく保持される機能である。かかるケースロック機能に寄与する部材・部分は、主として、インジェクターの「ケースロック部材240(
図14Cおよび
図17(a)参照)」と、ランセットケース外面に設けられた「突起部104(
図5(b)参照)」である。
【0082】
図19(a)に示すように、ケースロック部材240は、その表面にインジェクター内部方向へと突出するストッパー部240aを有している(
図17(a)も併せて参照のこと)。また、ケースロック部材とインジェクターのハウジング側壁面との間にバネ242が設けられ、それによって、ケースロック部材240においてはインジェクター内部方向に向かって力が作用している。このようなケースロック部材240を備えたインジェクター200に対して、ランセットアッセンブリ100を挿入すると、ランセットケース102の突起部104がケースロック部材240上を摺動することになる。そして、そのまま挿入が続けられると、ケースの突起部104がストッパー部240aを乗り越えることになる。ここで、ケースロック部材240には、バネ242により内向きに力が働いているので、ストッパー部の乗り越えに際しては、ケースの突起部104がロック部材240をそのバネ部分242を枢軸にして外側へと可動させるものの、一旦乗り越えてしまうと、ケースロック部材240は再度元の位置へと戻されることになる。従って、ケースの突起部104がストッパー部240aを乗り越えると、突起部104とストッパー部240aとが相互に当接できる状態が得られる(
図19(a−2)参照)。これによりランセットケースはもはやインジェクターから抜け落ちないことになる。
【0083】
(エジェクター機能)
インジェクター200は、穿刺後にランセットケース102をインジェクター200から取り外すエジェクター機能を有している。つまり、インジェクター200に設けられたエジェクター270が、装填されたランセットアッセンブリを排出するために使用される。
図16(b)に示されるように、エジェクター270は全体形状が長尺状になっていることが好ましい。つまり、全体として細長く延在したような形態を有していることが好ましい。かかるエジェクター270は、その前方移動のために力を加えることができる力起点部272が長尺状後端部に設けられ、その力起点部272がインジェクターのハウジングから露出可能に設けられていることが好ましい(例えば
図20および
図9C(f)・
図9D(g)参照)。
【0084】
エジェクター後端部の力起点部272に力を加えて前方へと押圧すると、エジェクター270は全体として前方移動することになる(
図20参照)。これにより、エジェクターの前端部274は、ランセット係合部材の後端部199’(前方突出し部212が当接する箇所199とは異なる箇所199’(
図8C参照))に当接することになり、エジェクターの前端部274がランセット係合部材を押圧できるようになる。それゆえ、当接後にエジェクターを更に前方へと移動させると、ランセット係合部材190をランセットケース内で前方移動させることができる。尚、エジェクターの前端部274は、押圧操作が安定化するようにウイング部274aを備えていてよい(
図20参照)。かかるウイング部274aがエジェクターの前方移動に際してインジェクター・ハウジング内壁部(またはハウジング内壁面からの隆起部分)に接することで、“係合部材190から受け得る反作用に抗する力”がエジェクター(特にその前端部274)に対してもたらされることになる。
【0085】
前方移動したランセット係合部材190は、最終的にはランセットケース内で最も前方側に位置する。つまり、ランセット係合部材の前端部193が最終的にはランセットケース内壁部と当接する結果となる(
図8C参照)。これにより、引き続いてエジェクターを押圧してランセット係合部材を前方へと移動させようとすると、ランセット係合部材に押される形態でランセットケースも前方に押されることになり、結果として、ランセットアッセンブリが全体として前方に押圧されることになる。従って、継続してエジェクターを移動させ続けると、最終的にはランセットアッセンブリがインジェクターから排出される。
【0086】
(ロック解除機能)
ランセットアッセンブリのインジェクターからの排出に際してはケースロックが解除され得る。この際、エジェクター270のロック解除部275(
図16(b)参照)が機能することになる。具体的には、
図19(b−1)〜(b−3)に示すように、穿刺後にてエジェクターを前方へと移動させると、エジェクター270のロック解除部275がケースロック部材の後端エッジ240bに押し当る。これにより、ケースロック部材240が外向きに動かされてケースロックが解除される。より具体的には、前方移動するロック解除部275の先端部275aがケースロック部材の後端エッジ240bを外側へと押圧するように機能するので、ケースロック部材240がそのバネ部分242を軸にして外側へと変位し、その結果、ケースの突起部104とロック部材のストッパー部240aとの当接可能状態が解除されることになる。
【0087】
(使用時の態様)
以下では、
図9A(a)〜
図9D(g)を参照しながら、ランセットアッセンブリ100の装填操作に始まり、装填の完了、穿刺、そして、穿刺後のランセットアッセンブリ100の排出までを経時的に説明していく。
図9A(a)〜
図9D(g)は、その番号順にランセットアッセンブリ100およびインジェクター200(即ち穿刺デバイス1000)の経時変化を示している。
【0088】
まず、
図9A(a)に示すように、ランセットアッセンブリ100およびインジェクター200を用意する。次に、インジェクター200の前端開口部202からランセットケース102をインジェクター200内へ挿入することによって、ランセットアッセンブリ100の装填を開始する。装填に際しては、
図9A(b)に示すように、ランセットケース102の穿刺開口部105が前方を向くような方向でランセットケース102を挿入する。換言すれば、ランセットケース102の開口端103の方から先にインジェクター200内の受容部材210へと挿入する。
【0089】
ランセットアッセンブリ100が挿入されると、
図9B(c)に示すように、ランセット係合部材の後端部199がランセットアッセンブリ受容部材210の前方突出し部212と当接することになるので、その前方突出し部212に押されるような形態でランセット係合部材190がランセットケース内で前方移動することになる。尚、ランセット係合部材と前方突出し部212との当接に先立っては、
図9B(b)に示すようにランセットボディ151とプランジャー204とが相互に係合する。それゆえ、その後ランセットケース102が更に挿入されると、ランセットケース102に保持固定されているランセットボディ151がプランジャー204を押圧することになり、プランジャー204が後退する。プランジャー204が後方へと押し込まれる間では、ランセットボディ151の後端部によって、プランジャー204がファイヤー・スプリング205aの力に抗するように押し下げられる。そのように押し下げられる結果、プランジャー204のスプリング205aが好適に圧縮され、穿刺部材153の発射に必要な力がプランジャー204に蓄えられることになる。最終的には、プランジャー204のトリガー用突起部204bが、トリガーレバー230の後方段差部230aと係止してコッキング状態が得られるまで、プランジャーを後退させる(
図9B(c)参照)。尚、コッキング状態までプランジャーが後退すると、プランジャーの後端部204cがエジェクターの後端部(力起点部272)の一部切欠部分272aから露出することになるので(
図9B(c)、
図15(b)および
図16(b)参照)、それによって、穿刺可能な状態にあるか否かを目視により確認することができる。
【0090】
ここで、ランセットボディ151は前方移動が制限されているのに対して、ランセットキャップ152自体はそのような保持は為されていない。従って、前方突出し部212によって“突かれた”ランセット係合部材はランセットキャップ152を押圧するように機能する。これにより、ランセットキャップ152とランセットボディ151との間に相対的に遠ざかる力が作用し、最終的にはランセットキャップ152とランセットボディ151とを繋いでいる連結部材154が破壊される。連結部材154が破壊されると、ランセットキャップ152がランセットボディ151から分離することになり、分離したランセットキャップ152は最終的には穿刺軌道から逸れる位置まで移動することになる(
図9B(b)にはキャップ152が穿刺軌道まで逸れた状態が示されている)。尚、キャップ分離後において、ランセット係合部材に設けられた係合解除部194が機能することによって、ランセットケースの被止部A(110)とランセットボディの被係止部B(135)との係合は解除される(
図8B参照)。
【0091】
以上のようにランセットケース102をインジェクター200内に挿入することによって、
(i)ランセットキャップ152がランセットボディ151から分離して、穿刺部材153の先端部が露出したランセットボディ151が得られること、
(ii)分離したランセットボディ151が穿刺軌道から逸れた位置まで移動すること、
(iii)プランジャーが押し込まれること、
(iv)プランジャー204の突起部204bとトリガーレバー230の後方段差部230aとがコッキング状態となること
(v)ランセットボディ151とランセットケース102との係止状態が解除されること、が行われて装填が完了することになる。
【0092】
穿刺に際しては、穿刺すべき所定の部位(例えば指先)に穿刺開口部105をあてがった後、トリガーレバー230をインジェクターの内部に向かって押し込むと(
図21参照)、トリガーレバー230の後方段差部230aとプランジャー204の突起部204bとの当接状態(係止状態)が解除され、その結果、圧縮されていたスプリング205aが瞬間的に一気に伸びることになり、ランセットボディ151が前方の穿刺方向に向かって発射される。
図9B(d)は、トリガーレバー230をインジェクター200の内部に向かって押し込んで「穿刺部材の先端部が露出したランセットボディ151」が発射された時点の態様を示している。
【0093】
ランセットボディ151の発射に際しては、ランセットボディ151は、ランセット係合部材のインナーガイドに案内されることで穿刺方向に沿って前方移動する。具体的には、ランセット係合部材190のガイド部191(
図7A参照)とランセットボディ151の被ガイド部157(
図6(a)および(b)参照)とが相互に係わり合うことによって、ランセットボディが好適に穿刺方向に沿って発射される。かかる穿刺に際しては、ファイヤー・スプリング205aが最大限に伸びると共に、リターン・スプリング205bが圧縮される。従って、所定部位を穿刺した後では、ファイヤー・スプリング205aが元の形状に戻ろうとするのに加えて、圧縮されたリターン・スプリング205bも元の形状に戻ろうとするのでプランジャー204には後方向きの力が働く。その結果、ランセットボディ151、即ち、穿刺部材153は穿刺後において素速く後退することになる。穿刺後の状態は、
図9C(e)に示される。
【0094】
穿刺後にてインジェクター200からランセットケース102(より具体的には使用済みのランセットアッセンブリ100)を排出するには、インジェクター200に設けたエジェクター270を作用させる。具体的には、エジェクター270の後端部の力起点部272に対して外部から力を加える。これにより、エジェクター270のロック解除機能が働き、また、ランセット係合部材190が前方へと押圧される。
【0095】
エジェクター作用に起因して前方移動するランセット係合部材190は、最終的にはランセットケース内で最も前方側に位置することになる。つまり、ランセット係合部材の前端部193がランセットケース内壁部と当接する(
図8C参照)。かかる当接が得られた後では、引き続いてエジェクターを押圧してランセット係合部材を前方移動させようとすると、ランセット係合部材に押される形態でランセットケースも前方に押され、結果として、ランセットアッセンブリが全体として前方に向かって押圧される。従って、継続して前方へとエジェクターを移動させ続けると、最終的にはランセットアッセンブリが全体的に前方移動することになってインジェクターから排出される。かかる排出に際しては、可撓性ロック部材196が変位してランセットボディ151と係合するので(
図9C(f)参照)、ランセットボディ151自体はケース内で動きが制限されることになり、以降にて穿刺できないようになる。つまり、一旦排出された使用済みのランセットアッセンブリをインジェクターに仮に装填したとしても、ランセットボディが可動状態にないので穿刺に用いることはできない。
【0096】
排出されたランセットケース102内には、穿刺部材153の先端が露出したランセットボディ151が収納されている。ここで、インジェクターから排出された使用済みランセットアッセンブリにおいては、使用前と比べてランセットボディがランセットケース内にて最も前方側に位置しており、その結果、使用済みランセットアッセンブリをインジェクターに装填したとしてもランセットボディの後端部とインジェクターのプランジャーとが相互に係合できない位置関係となっている。具体的には、
図9D(g)示す距離L1がL2よりも大きくなっているので、使用済みランセットアッセンブリをインジェクターに装填したとしても、ランセットボディの後端部がプランジャーの先端部の係合部まで十分に届かないことになる。このような点においても再使用が防止されている。つまり、本発明の使用済みランセットアッセンブリをインジェクターに仮に装填したとしても、プランジャーが効果的に後退し得ないので、“穿刺可能な状態”を再び得ることはできない。
【0097】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、種々の改変がなされ得ることを当業者は容易に理解されよう。
【0098】
上述の態様で参照した図面では、穿刺部材153は、最先端が尖った“針形態”を有するものであったが、必ずしもかかる形態に限定されない。例えば、穿刺部材153は、先端部の一側面が鋭利になった“ブレード形態(blade)”であってもよい。
【0099】
また、ランセット150に関していえば、ランセット150の連結部材154が予め切断された状態にあるものでもよく、更には、ランセット150に連結部材154が設けられていないものでもよい。つまり、ランセットキャップ152とランセットボディ151とが連結部材154を介して一体に結合した態様でなく、ランセットキャップ152とランセットボディ151とが別々に個々に成形されたような態様(即ち、ランセットキャップ152とランセットボディ151とが相互に結合していない態様)のものでもよい。ランセット150に連結部材154が設けられていない場合、本発明に係るランセットアッセンブリ100は、次のような構成および機能を有している:
ランセット150およびランセット係合部材190ならびにそれらを収容するランセットケース102から成るランセットアッセンブリ100であって、
ランセット150は、ランセットボディ151、ランセットキャップ152および穿刺部材153を有して成り、金属製の穿刺部材153が樹脂製のランセットボディ151およびランセットキャップ152にまたがってこれらの中に存在し、ランセットキャップ152によって穿刺部材153の先端部がカバーされており、
ランセット係合部材190とランセットキャップとが相互に当接可能状態で設けられており、
ランセット係合部材190がランセット150に対して相対的に前方の穿刺方向へと移動してランセット係合部材190によってランセットキャップ170が押圧されると、ランセットキャップ152とランセットボディ151とが相対的に引き離され、その結果、ランセットキャップ152が穿刺部材153から分離して、穿刺部材153の先端部が露出したランセットボディ151が得られ、
引き続いてランセット係合部材190が前方に移動すると、分離したランセットキャップ152は、ランセットケース102内にて穿刺部材130の穿刺軌道から逸れる位置にまで移動することを特徴とするランセットアッセンブリが提供される。尚、このようなランセットアッセンブリでも、これまで説明してきたランセットアッセンブリと同様の種々の特徴・機能を有し得ることは当業者に容易に理解されよう。