特許第5753119号(P5753119)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5753119満腹感、摂食量の低減、および体重管理のための押出しデンプン系複合体の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5753119
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】満腹感、摂食量の低減、および体重管理のための押出しデンプン系複合体の使用
(51)【国際特許分類】
   A23L 1/0522 20060101AFI20150702BHJP
   A23L 1/05 20060101ALI20150702BHJP
   A23L 1/30 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
   A23L1/195
   A23L1/04
   A23L1/30 B
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2012-78721(P2012-78721)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2012-213394(P2012-213394A)
(43)【公開日】2012年11月8日
【審査請求日】2015年2月5日
(31)【優先権主張番号】13/077,320
(32)【優先日】2011年3月31日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512035620
【氏名又は名称】コーンプロダクツ ディベロップメント インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100111903
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 友康
(74)【代理人】
【識別番号】100102990
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良博
(74)【代理人】
【識別番号】100098486
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 憲一
(72)【発明者】
【氏名】ユージン テリー フィノキアーロ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー アール.パーク
(72)【発明者】
【氏名】トゥシャー シャー
【審査官】 松浦 安紀子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05755890(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 1/0522
A23L 1/05
A23L 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
難消化性デンプン含有量が少なくとも70%(重量/重量)であるデンプンを含有するデンプン、およびハイドロコロイドを含む複合体であって、
前記デンプンが、水熱処理されたデンプンであり;
前記複合体が、熱及び/又は圧力を用いる押出しにより調製され;
前記デンプンが、高アミローストウモロコシデンプンであり;
前記ハイドロコロイドが、グアーガムであり;そして
前記デンプン及びハイドロコロイドが、少なくとも70:30のデンプン:ハイドロコロイドの比(重量/重量)を有する;
ことを特徴とする複合体。
【請求項2】
さらにオイルを含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項3】
前記オイルが、前記複合体に対して10〜25%(重量/重量)の量で存在する、請求項2に記載の複合体。
【請求項4】
請求項1に記載の複合体、および追加の食用成分を含む食品。
【請求項5】
前記複合体が、5〜75%(重量/重量)の量である、請求項4に記載の食品。
【請求項6】
前記デンプンが、2型消化性デンプンとしても知られている粒状難消化性デンプンである、請求項1に記載の複合体。
【請求項7】
前記複合体が、少なくとも80:20のデンプン:ハイドロコロイドの比(重量/重量)を有する請求項1に記載の複合体。
【請求項8】
前記複合体が、85℃〜95℃の間の温度にいて押出される、請求項1に記載の複合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デンプン‐ハイドロコロイド複合体、その作製、および食品におけるその使用に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明は、デンプン‐ハイドロコロイド複合体、その作製、および食品におけるその使用に関する。この複合体は、それらが組み込まれた食品に対して、好ましくは特定の食物製品の加工または食感に悪影響を与えることなく、より長時間持続しおよび/またはより高い満腹感をもたらすという有用な影響を与え、それによって、エネルギー管理を補助する。本発明は、さらに、そのような満腹感の増加による、摂食量の低減および/または体重の管理にも関する。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、満腹感を得るための現行技術の成分に伴う主たる限界、即ち、食用に適し、食品としてプロセス適合性を有する形態での強い臨床効果、に取り組むものである。難消化性デンプンとハイドロコロイドという独特の組み合わせは、2つの生理学的な満腹感のメカニズムを組み合わせることによって、より効力の高い、またはより強力である満腹感効果を可能とするものである。さらに、これらの2つの成分の独特な複合体化は、ハイドロコロイドの水和を制御することにより、特に食物製品において、難消化性デンプン含有量の増加および食感の改善を、臨床効果に悪影響を及ぼすことなく可能とするものである。通常、高レベルの市販の難消化性デンプンおよびハイドロコロイドを食物に組み込む場合、加工性および/または食味が低下してしまう。本発明では、食品におけるそのようなデンプンおよび/またはハイドロコロイドの有害な影響を最小限に抑えると同時に、難消化性デンプンをより高レベルとすることが可能であり、従って、未複合体化ハイドロコロイドによるより高い水の結合(water binding)および粘着性(gumminess)を有し得る、同等の「乾燥ブレンド」コントロールと比較して、優れた食味および良好な食感が可能となる。
【0004】
「複合体」の用語は、共加工された2つ以上の成分を含み、該成分が物理的に分離できない物質を形成することを意図している。
【0005】
「乾燥ブレンド」の用語は、組み合わされた2つ以上の成分を含み、該成分が物理的に分離され得る物質を形成することを意図している。
【0006】
「ハイドロコロイド」の用語は、中性の電荷を有する(非イオン性の)粘性化ガム(viscosifying gum)を含むことを意図している。
【0007】
「難消化性デンプン(RS)」の用語は、健康な個体の小腸で吸収されないデンプンおよびデンプン分解産物の総量として定義され、実施例のセクションで述べるように、改変したイングリスト法(Englyst method)を用い、膵αアミラーゼおよびアミログルコシダーゼ(AMG)による処理によって測定される。これには、本技術分野で知られたすべての難消化性デンプンが含まれる。難消化性デンプン産物とは、難消化性デンプンを含有する産物を意味することを意図している。
【0008】
「高難消化性デンプン含有量」とは、デンプンの重量に対する難消化性デンプン含有量が少なくとも70重量%であることを意味することを意図している。
【0009】
本明細書で用いる「高アミロース」の用語は、コムギまたはコメに対しては、デンプンに基づいて、少なくとも27重量%のアミロースを含有するものとして、その他の供給源に対しては少なくとも約50重量%のアミロース、具体的には少なくとも約70重量%、より具体的には少なくとも約80重量%のアミロースを含有するものとして定義される。アミロースのパーセントは、実施例セクションに記載の電位差試験を用いることで測定される。
【0010】
本明細書で用いる「満腹感の増加」の用語は、本複合体の摂食後少なくとも2時間以内のカロリー摂取量が、同一のカロリー量である容易に消化可能な10DE(デキストロース当量)のマルトデキストリン(例えば、米国イリノイ州のテイト アンド ライル ディケーター(Tate & Lyle, Decatur)より市販のSTAR‐DRI 100)の摂食時と比較して、少なくとも10%低減されるという意味であることを意図している。
【0011】
本明細書で用いる「オイル」の用語は、いかなる原料からのいかなるオイル、脂肪またはトリグリセリドをも意味することを意図している。
本明細書で用いる哺乳類は、ヒトを含むことを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】胃/腸内粘度サンプル調製実験設計を示す。
図1B】胃/腸内粘度サンプル調製実験設計を示す。
図1C】胃/腸内粘度サンプル調製実験設計を示す。
図2】実施例1および3で用いられるスクリュー配置を示す。
図3】実施例1の複合体の処理に用いられる加熱ゾーンダイアグラム(デンプン‐グアー複合体)である。
図4】実施例3の複合体の処理に用いられる加熱ゾーンダイアグラム(デンプン‐グアー‐オイル複合体)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、デンプン‐ハイドロコロイド複合体、その作製、および哺乳類の満腹感を増加させるための食品におけるその使用に関する。必要に応じて、これらの複合体は、第三成分としてオイルを含んでも良い。本発明はまた、満腹感を誘発する結果としてのカロリー摂取量の低減にも関し、これは、体重管理の補助となり得る。
【0014】
複合体のデンプン成分(以降、フラワー(flour)、粗挽き粒(grits)、および全穀粒(whole grains)などのデンプン含有物質を含む)は、難消化性デンプン品であり、アミロースを多く含むいずれの天然源由来のものであってもよい。本明細書で用いる天然デンプンとは、自然に見出される状態のものである。また、交雑育種、転座、逆位、形質転換、またはそれらの変形を含むその他の遺伝子もしくは染色体工学の方法を含めた標準的な育種技術によって得られた植物に由来するデンプンも適する。加えて、突然変異育種の公知の標準的な方法によって作出することができる上記属構成(above generic composition)の誘導突然変異(mutations)および変種(variations)から成長させた植物由来のデンプンも、本発明に適する。
【0015】
典型的なデンプン源は、穀物、塊茎、根、マメ類、および果実である。天然源としては、これらに限定されないが、トウモロコシ(メイズ)、エンドウ、ジャガイモ、サツマイモ、バナナ、オオムギ、コムギ、コメ、サゴ、アマランス、タピオカ、クズウコン、カンナ、またはモロコシの、高アミロース品種が挙げられる。1つの態様では、デンプンは、高アミローストウモロコシデンプンである。
【0016】
別の態様では、植物源は、アミロース増量遺伝子型(amylose extender genotype)を有する植物であり、成分デンプンのアミロペクチン含有量が10重量%未満である。この穀粒は、遺伝資源の選択の遺伝子複合体(genetic composite of germplasm selections)である植物育種群、特にトウモロコシから得られるものあり、そのデンプンは、ブタノール分画/排除クロマトグラフィ技術によって測定して、少なくとも75重量%のアミロースを含み、所望に応じて少なくとも85重量%のアミロース(すなわち、通常のアミロース)を含む。そのデンプンはさらに、10重量%未満、所望に応じて5重量%未満のアミロペクチンを含み、さらに、約8〜25%の低分子量アミロースを含む。穀粒は、好ましくは、数多くのアミロース増量変更遺伝子と合わせた劣勢アミロース増量遺伝子型を有する植物から得られる。この穀粒およびその作製方法は、その明細書が参照することで本明細書に組み入れられる、米国特許第5,300,145号に記載されている。
【0017】
複合体の難消化性デンプン品は、天然源から直接得られるものであってよく、および/または物理的、化学的、もしくは酵素的に修飾されてもよい。1つの態様では、難消化性デンプン品は、トウモロコシを原料とする高アミロース品である。さらなる態様では、難消化性デンプン品は、2型難消化性デンプン(type-2 resistant starch)としても知られる、粒状難消化性デンプンである。さらに別の態様では、難消化性デンプン品は、高アミロース粒状トウモロコシデンプンである。なおさらに別の態様では、難消化性デンプン品は、その明細書が参照することで本明細書に組み入れられる米国特許第5,593,503号および同第5,902,410号、ならびに米国特許出願公開第2002‐0197373号および同第2006‐0263503号に記載の水熱処理によって作製されるものである。1つの態様では、デンプンの主たる粒状構造は、部分的に膨潤される場合はあるが、その結晶性が完全に破壊されない限りにおいて、完全に破壊されない。従って、本明細書で用いる「粒状デンプン」の用語は、その粒状構造を少なくとも部分的に維持することである程度の結晶性を示し、それによって粒が複屈折性であり、偏光下にてマルタクロスが明らかであるデンプンを意味する。
【0018】
水熱処理における水分‐温度‐時間の組み合わせは、用いるデンプンの種類に応じて様々であってよい。一般的には、総水(水分)含有量は、乾燥デンプン重量に対して約10〜50重量%の範囲であり、1つの態様では、約20〜30重量%の範囲である。デンプンは、約60〜160℃の目標温度で加熱され、1つの態様では、約100〜120℃の温度である。目標温度での加熱時間は、用いるデンプン、そのアミロース含有量および粒子サイズ、所望される総食物繊維含有量のレベル、さらには水分の量、ならびに加熱温度に応じて様々であってよい。1つの態様では、そのような加熱時間は、約1分〜24時間であり、1つの態様では、1〜3時間である。
【0019】
本発明の1つの態様では、デンプンは、デンプンの重量に対して少なくとも70%の難消化性デンプン含有量を有し、別の態様では、少なくとも75%であり、さらに別の態様では、少なくとも80%である。
【0020】
複合体のハイドロコロイド成分は、中性電荷(非イオン性)を有する増粘剤ガムのいずれであってもよく、これらに限定されないが、グアーガム、コンニャク、イナゴマメガム、タラガム(tara gum)、およびその他のこのような細胞外ポリサッカリド(exocellular polysaccharides)を含むことが意図される。1つの態様では、ハイドロコロイド成分は、グアーガムである。さらに別の態様では、かかるガムは、4000〜5500cps(25℃の1%水溶液、ブルックフィールド(Brookfield) RVT、スピンドル番号4を20RPMで使用)の粘度仕様を有する高粘度ガムである。
【0021】
複合体のデンプン:ハイドロコロイドの比率(重量/重量)は、少なくとも70:30である。1つの態様では、デンプン:ハイドロコロイドの比率(重量/重量)は、少なくとも80:20である。さらに別の態様では、複合体のデンプン:ハイドロコロイドの比率(重量/重量)は、95:5以下である。
【0022】
1つの態様では、デンプンが高アミローストウモロコシ難消化性デンプンであり、ハイドロコロイドがグアーガムである。さらに別の態様では、デンプンが水熱処理された高アミローストウモロコシ難消化性デンプンであり、ハイドロコロイドがグアーガムである。
【0023】
複合体は、所望に応じて少なくとも1つのオイルを含有してよい。本明細書全体を通して、オイルおよび脂肪の用語は、交換可能に用いられる。これらの用語は、植物および/または動物源由来のトリグリセリドを含むことを意図している。そのような植物性トリグリセリドとしては、大豆油、ヒマワリ油、パーム油、パーム核油、高および低エルカ酸の両ナタネ油、ココナッツ油、オリーブ油、ゴマ油、ピーナッツ油、トウモロコシ油、ならびにこれらの混合物が挙げられる。動物源由来トリグリセリドとしては、魚油、獣油、イワシ油、乳脂肪、およびこれらの混合物が挙げられる。1つの態様では、オイルは、カノーラ油およびヒマワリ油から成る群より選択される。
【0024】
オイルは、水素化、分画、および/またはエステル交換されたトリグリセリド混合物、ならびにこれらの2もしくは3つ以上の混合物などの化学的、物理的、および/または遺伝的に修飾された生成物であってよく、さらには、トリグリセリドの代替物として、もしくはそれとの混合物として用いてよい、ホホバ油を例とするワックスおよびポリ脂肪酸エステルモノ‐もしくはジサッカリドなど、トリグリセリドに物理的に類似する食用物質であってもよい。
【0025】
用いられる場合、オイルは、複合体の重量に対して10%〜25%の量で存在する。
【0026】
本発明の1つの局面では、複合体は、デンプンおよびハイドロコロイド成分以外のカロリー成分を含有せず、別の局面では、デンプン、ハイドロコロイド、およびオイル以外のカロリー成分を含有しない。
【0027】
複合体は、デンプンおよびハイドロコロイドの混合物を、物理的に分離することができなくなるように熱および/または圧力下で組み合わせることができるいかなる物理的プロセスによって作製してもよい。本発明の1つの局面では、複合体は、熱および/または圧力を用いた押出しによって作製される。
【0028】
押出し装置は、本技術分野で公知のいずいれのスクリュー型押出し機であってもよく、1つの態様では、二軸押出し機である。本発明の1つの局面では、温度は、押出し機の長さ方向の少なくとも一部分に沿って制御される。別の局面では、成分は、80℃〜100℃の間の温度で押出される。さらに別の局面では、成分は、85℃〜95℃の間の温度で押出される。
【0029】
本発明の1つの局面では、デンプンおよびハイドロコロイドは、リボンブレンダーまたはV‐ブレンダーで混合され、乾燥ブレンドを形成する。次に水が、単独または水溶液もしくは分散液の一部として添加され、押出し機中の乾燥ブレンドが水和されて複合体を形成する。オイルが添加される場合、オイルは水和後に添加される。1つの態様では、オイルは、水の下流側であるが、デンプン‐ハイドロコロイド混合物へ均一に組み込まれて複合体を形成するのに十分な上流側にて添加される。
【0030】
デンプンおよびハイドロコロイドの複合体は、作製後、さらに処理されてもよい。そのようなさらなる処理としては、これらに限定されないが、乾燥、粉砕、追加の成分有りもしくは無しによる凝集、およびpH調節などの本技術分野で公知の方法が挙げられる。
【0031】
乾燥は、本技術分野で公知のいずれの方法も含み、これらに限定されないが、スプレー乾燥、フラッシュ乾燥、空気乾燥、凍結乾燥、真空乾燥、ベルト乾燥、およびドラム乾燥が挙げられる。1つの態様では、複合体のpHは、5.5〜8.0の間に調節される。
【0032】
得られた複合体は、高い難消化性デンプン含有量を有する。本発明の1つの態様では、複合体の難消化性デンプン含有量は、デンプンの少なくとも約70重量%である。別の態様では、複合体の難消化性デンプン含有量は、デンプンの少なくとも約75重量%である。さらに別の態様では、複合体の難消化性デンプン含有量は、デンプンの少なくとも80重量%である。この難消化性デンプン含有量は、実施例セクションで示される方法を用いて測定される。
【0033】
得られた複合体は、高い増粘能力を有し、インビトロ胃内粘度アッセイ(in vitro stomach viscosity assay)で定量される。本発明の1つの態様では、複合体は、グアーガムに対する曲線下面積(AUC)の少なくとも75%のインビトロ胃内粘度量(in vitro stomach viscosity content)を有する。本発明の別の態様では、複合体は、グアーガムに対するAUCの少なくとも80%のインビトロ胃内粘度量を有する。本発明のさらに別の態様では、複合体は、グアーガムに対するAUCの少なくとも85%のインビトロ胃内粘度量を有する。本発明のなおさらに別の態様では、複合体は、グアーガムに対するAUCの少なくとも90%のインビトロ胃内粘度量を有する。このインビトロ胃内粘度量は、実施例セクションで示される方法を用いて測定される。
【0034】
本発明の1つの局面では、得られた複合体は、ヘビークリームに対して少なくとも57%遅延された脂肪分解プロファイルを有してよい。別の局面では、複合体は、ヘビークリームに対して少なくとも62%遅延された脂肪分解プロファイルを有する。さらに別の局面では、複合体は、Slimthru(英国DSMより市販、パーム油およびオート油のエマルジョンであるFabulessを含有)に対して少なくとも8%遅延された脂肪分解プロファイルを有してよい。さらなる局面では、複合体は、Slimthruに対して少なくとも19%遅延された脂肪分解プロファイルを有してよい。
【0035】
複合体は、哺乳類に食餌として与えられる。1つの態様では、哺乳類は、これらに限定されないが、イヌおよびネコを含むコンパニオン動物である。別の態様では、哺乳類は、ヒトである。
【0036】
本複合体が効果的であるのは、同一のカロリー量である容易に消化可能である10DE(デキストロース当量)のマルトデキストリンの摂食と比較して、摂食後少なくとも2時間以内のカロリー摂取量が少なくとも10%で低減されることによって満腹感を増加させることにその摂食が効果的であるという点である。別の態様では、複合体は、少なくとも7.5グラムの量で効果的であり、別の態様では少なくとも10グラムで、さらに別の態様では少なくとも15グラムで、なおさらなる別の態様では少なくとも20グラムで、効果的である。1つの局面では、カロリー摂取量は、上記条件のいずれかを用いて、少なくとも15%低減される。さらなる局面では、カロリー摂取量は、上記条件のいずれかを用いて、少なくとも20%低減される。別の局面では、同じ条件を用いての摂食後24時間以内のカロリー増加が低減される。そのようなカロリー摂取量の低減は、さらに体重減少の増進をもたらし得る。
【0037】
得られた本発明の複合体は、そのまま摂食されてもよく、または、非加熱形態(cold form)のスナックバー(snack bar)、マフィンおよびクッキーなどの焼き製品、すぐに食べられるシリアル、パスタ、並びにその他の低水分量食品系を含むがこれらに限定されない様々な食品に組み込まれてもよい。食品はまた、プレバイオティクス(prebiotic)およびシンバイオティクス(synbiotic)組成物、糖尿病用食品および補助食品、ダイエット用食品、血糖反応を制御するための食品、並びに錠剤およびその他の医薬剤形を含むがこれらに限定されない栄養品を含むことも意図される。食品は、複合体、および少なくとも1つの追加の食用成分を含む。
【0038】
食品に添加される場合、得られた複合体は、所望されるいずれの量でも添加される。1つの局面では、複合体は、食品の5〜75%(重量/重量)の量で添加され、別の局面では、食品の10〜65%(重量/重量)の量である。1つの態様では、複合体は、食品に対して少なくとも10%(重量/重量)の量で添加される。別の態様では、複合体は、食品に対して少なくとも15%(重量/重量)の量で添加される。さらに別の態様では、複合体は、食品に対して少なくとも20%(重量/重量)の量で添加される。なおさらに別の態様では、複合体は、食品に対して少なくとも25%(重量/重量)の量で添加される。さらなる態様では、複合体は、食品に対して少なくとも30%(重量/重量)の量で添加される。なおさらなる態様では、複合体は、食品に対して少なくとも35%(重量/重量)の量で添加される。本発明のさらなる態様では、複合体は、フラワーまたは食品に従来から添加されるその他の炭水化物系産物の少なくとも一部と置換されるものであり、例えば、従来のデンプン、フラワー、粗挽き粒、または穀粒と置換される。
【0039】
デンプン‐ハイドロコロイド複合体の食品への添加は、食感(粘着性)または風味を含む食品の官能品質特性(organoleptic quality attributes)を悪化させる何らかの形での大きな影響を及ぼすことはないであろうし、場合によっては、好ましい官能品質の変化を提供し得る。食品への複合体の添加は、難消化性デンプンおよび/または食物繊維含有量など、食品の栄養価を高め得るものである。
【実施例】
【0040】
実施例および方法
以下の実施例は、本発明をさらに例証し、説明するために提供されるものであり、いかなる点でも限定するものと見なしてはならない。特に断りのない限り、部、比率およびパーセントはすべて重量基準で与えられ、温度はすべて摂氏(℃)で与えられる。
【0041】
実施例全体を通して以下の成分を用いた。
HYLON(登録商標)VII;およそ80%の難消化性デンプンと16%のTDFを含み、ナショナルスターチLLC(National Starch LLC)より市販の、高アミロース(少なくとも70%のアミロース含有)トウモロコシデンプン。
Hi‐maize(登録商標)260;ナショナルスターチLLCより市販の、水熱処理された高アミロースデンプン。
Coyote Brand(商標)Guar Gum HV;ガムテクノロジーコーポレーション(Gum Technology Corporation)より市販の、主として高分子量ガラクトマンナンから成るもの。
ブンゲオイルス(Bunge Oils)より市販の、セントラベストカノーラ油(Centrabest Canola oil)
【0042】
実施例全体を通して以下の試験手順を用いた。
A.難消化性デンプン(「RS」)の測定(改変イングリスト法)
難消化性デンプン含有量は、イングリスト消化法(Englyst et. al., European Journal of Clinical Nutrition, vol. 46 (Suppl. 2), pp S33-S50, 1992)の改変バージョンを用いて測定した。この手順および改変を以下に詳述する。易消化性デンプン(rapidly digestible starch)(RDS)は20分で放出されたグルコースの量として定められ、遅消化性デンプン(slowly digestible starch)(SDS)は20分〜120分の間で放出されたグルコースの量として定められ、難消化性デンプン(RS)は120分間のインキュベーション(incubation)後に加水分解されないデンプンである。RS含有量は、120分間のインキュベーション後に消化された炭水化物の量(即ち、遊離グルコース)を測定し、次に炭水化物から遊離グルコース量を差し引いてRSを算出し、炭水化物含有量に対するRSの%を得ることで間接的に決定される。
【0043】
インビトロでのグルコース放出の結果は、物質の全炭水化物含有量ではなく全デンプン部分のみが考慮されるように調節した。複合体中のそれらのパーセントとして分析されたハイドロコロイド、脂質およびタンパク質の量を、サンプル重量から差し引いた。これは、複合体の全デンプン部分に対するRS含有量を決定するために行った。非デンプン物質の重量を含めると、複合体のRS含有量が人為的に高められる結果となる。
【0044】
標準溶液、酵素溶液、ブランクおよびグルコースコントロールの調製:
a.反応「ブランク」を、20mlの0.25M酢酸ナトリウムから構成した。
b.グルコース標準を、20mlの0.25M酢酸ナトリウムバッファーおよび500mgのグルコースから構成した。
c.ストック溶液Aは、0.5%(重量/体積)のペプシン(シグマ(Sigma)社製のブタ胃粘膜(P7000))および0.5%(重量/体積)のグアーガム(シグマ社製のG‐4129グアーガム)を0.05M HClに溶解することで調製した。
d.精製酵素溶液の調製:12gのブタパンクレアチン(シグマ社)を85mlの室温の脱イオン水に溶解した。この溶液を続いて遠心分離し(3000rpm、10分間、50mlチューブ)、上清をデカントして保存した。
e.ストック溶液Bは、40mgの乾燥インベルターゼ(シグマ社)および1.0mlのアミログルコシダーゼ(AMG)(ノボザイム(Novozymes)社製の300L AMG)を前述の上清に添加することによって調製した。
【0045】
RS含有量の決定(改変イングリストプロトコル):
各試験サンプルを秤量し(0.1mgの単位に近似させる)、各試験チューブに550〜600mgの炭水化物を投入した。次に、10mlの溶液Aを各チューブに添加した。サンプルのフタをしっかり閉め、混合し、次に静止状態のウォーターバス中で37℃にて30分間インキュベートした。10mlの0.25M酢酸ナトリウムバッファーを添加してこの溶液を中和した。次に、5mlの酵素混合物(溶液B)をサンプル、ブランクおよびグルコースのチューブへ20〜30秒の間隔で添加し、37℃のウォーターバス中へ配置して消化を行った。消化中、チューブを水平方向に振とうした。120分間の消化時間で、0.5mlのアリコートを取り出し、19mlの66%エタノールが入った別のチューブへ移し、反応を停止した(酵素が沈殿する;次の工程の前に再分散させる)。続いて、このエタノール性溶液の1.0mlのアリコートを、ピペットで1mlの遠心分離用マイクロチューブへ移し、3000gにて5分間遠心分離した。続いて、グルコースオキシダーゼ/ペルオキシダーゼ(GOPOD)法(Megazyme Kit K-Gluc)を用いてグルコース濃度を測定した。3mlのGOPODを各培養チューブに入れ、0.1mlの各サンプルを添加し、よく混合し、50℃にて20分間インキュベートした。遊離グルコースを、波長510nmでの吸収により分光光度測定した。各サンプルのグルコース(消化)パーセントを、標準と比較したUV吸収に基づいて算出する。通常のデントコーンの参照サンプルを含むコントロールを定期的に実行した。分析はすべて少なくとも2つの反復サンプルで行った。
【0046】
B. 水分含有量(「%M」)測定:
押出し複合体の水分含有量を、サートリウスAG(Sartorius AG)から入手可能であるサートリウス電子モイスチャーアナライザー(モデルMA30)を用いて測定した。水分バランスは、「自動」モードにて105℃に設定した。このモードでは、MA30は、大きな重量変化が予想されない時点(単位時間あたりの水分減少がゼロに到達する、または僅かな重量の低下の後に読み取り値が短時間一定に維持される時点)を認識し、自動的に水分測定ルーチンを停止する。
【0047】
C.電位差滴定によるアミロース含有量:
0.5gのデンプン(1.0gの粉砕穀粒)サンプルを、10mlの濃塩化カルシウム(約30重量%)中で、95℃まで30分間加熱した。サンプルを室温まで冷却し、5mlの2.5%酢酸ウラニル溶液で希釈し、よく混合し、2000rpmにて5分間遠心分離した。次に、このサンプルをろ過して透明溶液を得た。デンプン濃度を、1cmの旋光計セルを用いた旋光分析で測定した。続いて、サンプルのアリコート(通常は5ml)を標準化0.01Nヨウ素溶液で直接滴定し、同時にKCl参照電極と共に白金電極を用いて電位を記録した。変曲点へ到達するまでに要するヨウ素の量を、結合ヨウ素として直接測定した。アミロースの量は、1.0グラムのアミロースが200ミリグラムのヨウ素と結合すると仮定して算出した。
【0048】
D.グアーガム粘度の測定:
グアー(guar)のブルックフィールド粘度は、以下に挙げた手順(冷ブルックフィールド粘度分析法(Cold Brookfield Viscosity Analysis Methods):B‐V‐1.03B、ポリプロインターナショナル社(Polypro International, Inc.))を用いて測定される。サンプルを水に分散して水和させ、指定された時間でのブルックフィールド粘度を読み取る。
【0049】
装置:
1. ワーリング(Waring)ブレンダー、一般消費者用モデル(最低360ワットのモーター)
2. クォート(Quart)ブレンダーカップ(ステンレスまたはガラス)
3. スライダック(Variac)、0〜140ボルト
4. バランス、精度+/−0.01グラム
5. メスシリンダー、500ml
6. ビーカー、グリフィンローフォーム(Griffin Low Form)、600ml
7. ストップウォッチ
8. スピンドル付きブルックフィールドRV粘度計
9. 恒温ウォーターバス
10. 撹拌棒
11. 秤量ボート(boat)
12. 温度計
【0050】
化学薬品および試薬:
蒸留水または脱イオン水(pHを5.5〜6.0に調節)
手順:
A.水の調製
1. pHを5.5〜6.0に調節する(希窒素ガスまたはHClを用いる)。
2. 温度を25℃に調節する。
B.校正
1. ブルックフィールドのポインターがスムーズに動き、製造元の説明書に従って適切に校正が行われていることを確認する。
2. 7.00のバッファーに対して7.00+/−0.01の読み取りとなるようにpHメーターを設定する。
【0051】
C.分析手順
1. 秤量ボート上にて5.00+/−0.01グラムの試験すべきガムを秤量する。
2. ブレンダーの基部にセットしたワーリングブレンダーカップに、495+/−2mlの蒸留水または脱イオン水を計り入れる。
3. ブレンダーブレード(blade)と水面との中間に渦が形成されるようにブレンダーのスピードを調節する(およそ1500〜1800rpm)。
4. 塊状のグアーが溶液中に入って粘度の読み取りが不正確とならないようにする。粉末がブレンダーカップの壁面または攪拌ブレードのハブ部に接触しないようにする。塊のない溶液を形成するために、ガムを渦のスロープの上部に向ける。ストップウォッチのスタートと同時に、攪拌水中へグアーを素早く投入する。
5. 2分間攪拌を続ける。溶液が粘性となるに従って、僅かな渦を維持するために、ブレードのスピードを僅かに上昇させる。空気の噛み込みを最小限に抑える。2分の時点で、溶液を600mlのグリフィンローフォームビーカーに移す。塊が視認される場合は、試験は行わない。
6. 恒温ウォーターバス中で溶液温度を25℃に維持する。
7. 粘度計速度は20rpmを用いる。通常は3番スピンドルを用いる。初期粘度が1300cpsよりも低い場合、2番スピンドルが必要であり得る。
8. 粘度の読み取りは、混合後、15分、30分、1時間、2時間、4時間、および24時間で行う。必要である読み取りの1分前に、溶液を入れたビーカーをバスから取り出し、ガラス棒で溶液を攪拌し、粘度計の下に配置してスピンドルを設置する。読み取りの20秒前に、粘度計のスイッチを入れ、指定の時間に読み取りを行う。
9. 2時間の時点でpHを読み取り、記録する。溶液の粘性のために、安定な読み取りまでにある程度の時間を要する場合がある。
【0052】
E.胃/腸内粘度の測定:
ベンチトップ胃モデルを作製した。これは、文献に記載の他の胃モデル(Kimura et al., 2000, National Enzyme Co./TNO Nutrition and Food Research, 2004)に由来する特徴を有する。この消化モデルはまた、「給餌」状態における胃成分の緩衝能も模倣しており、「空腹」または胃が空の状態で用いられる他の胃モデルとは区別される。消化プロセスを標準化し、実験室での手順の再現性を高める目的で、いくつかの単純化するための仮定を用いた:
・ 胃のサイズ、1.25リットル。
・ ストマッカー(stomacher)の前処理で咀嚼を模倣し、唾液アミラーゼは用いない。
・ 攪拌:往復振とう器プラットフォーム、120rmp、実験を通して一定。
・ 温度:実験を通して37℃で固定(温度制御ウォーターバス中に容器を浸漬);正常なヒトの体温。
・ 胃媒体成分:
・ペプシン(ブタ胃粘膜由来−例:Sigma P7000);低pH条件によりペプシノーゲンから活性化、タンパク質成分をペプチドに分解するものであり、pH2〜4の間で最も活性である。
・ムチン(Mucin)(保護タンパク質;例:II型、Sigma M2378);ペプシンが胃壁の細胞由来であるため、やはり胃壁由来である保護タンパク質ムチンをシステムに含めることとした。
・pH5.0バッファー系:フタル酸水素カリウム(例:Sigma 179922)/NaOH(例:1.0N溶液、Sigma S2567)。何らかの食物の存在を模倣するものであり、酢酸ほど強いバッファーではない。
【0053】
・胃ステージ:HCl添加により2時間。胃ステージにおける酸HClの添加速度は、1時間あたり36ミリ当量(mEq)で一定であると仮定した(1.25リットルの胃体積に対して1.5NのHClを0.50ml/分)。酸は、定量ぜん動ポンプを通して、液面上に滴下した。2時間の胃ステージの間に、pHは約5.0〜約2.0にシフトした。
・中和:15mlの6NのNaOH(ペレットからの溶液、例:Sigma S8045)および15gのNaHCO3(例:Sigma S6014)を添加することで行った:NaOHとNaHCO3との組み合わせを用いることにより、過剰な泡形成(NaHCO3単独の場合のように)がなく、および目標pHである7.0よりも高すぎるpH(NaOH単独の場合のように)とすることもなく、pHシフトを迅速に達成することができる。
・腸ステージ 2時間:腸に存在する酵素:パンクレアチン(ブタ由来、例:Sigma P8096)、ブレンドとしてアミラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、およびリボヌクレアーゼ。胆汁酸(胆汁酸塩とも称される)はこのモデルに含まれない。
・グルコース放出(GR)、ならびに難消化性デンプンのレベルが、別の分析試験(Englyst et al., 1992)で測定されることにも留意されたい。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
F.タンパク質分解/脂肪分解の測定:
脂肪およびタンパク質がヒト消化系を通過する際の消化速度の測定および模擬のための単純なベンチトップ法を開発し、実証した。この方法は、模擬ヒト消化媒体中での食品サンプルの脂肪消化相対速度について、比較インビトロデータを得ることを目的とした。この方法は、脂質/タンパク質消化が早いもの(ヘビークリーム)および遅いもの(Slimthru(登録商標))の両方の市販成分を用いて実証された。
【0057】
試験品を最も良好に区別する方法は、空の胃の模擬より開始するプロセスから成り、そこでは、ペプシンを含む溶液サンプルの消化をpH5.5で開始し;続いて、pHを調節し、2時間のインキュベーション期間にわたって15分間隔で0.5ずつ2.0まで低下させる。溶液のpHは、次のpHへ調節され低下される前、各15分間隔の終わりに、0.2NのHClを用いた滴定によって設定pHへ戻される。消化全体を通して溶液に添加されたHClの体積を、タンパク質消化速度の尺度として記録する。2時間の胃模擬実験の終わりに、pHを7.5に調節し、パンクレアチンおよび胆汁酸塩を添加することにより、小腸消化の模擬実験を行う。pHを、次の2時間にわたって15分間隔でチェックし、必要に応じて、0.1NのNaOHを用いて、7.5に再調節する。pHを7.5に維持するために消化溶液に添加されたNaOHの体積を、脂肪消化速度の尺度として記録する。
【0058】
サンプル中のタンパク質が十分に加水分解されて、希塩酸で滴定することができるpHのシフトをもたらした場合に、タンパク質分解が生じたと見なされる。タンパク質分解速度は、測定時間にわたって初期pHへ戻すために要する塩酸溶液の量に比例する。
【0059】
十分な量の遊離脂肪酸が消化媒体中のトリグリセリド分子から放出されて、測定可能な量の希水酸化ナトリウム溶液で滴定可能となった場合に、脂肪分解が生じたと見なされる。脂肪分解速度は、測定時間にわたって一定pHを維持するために要する水酸化ナトリウム溶液の量に比例する。
【0060】
実施例1−押出しデンプン‐グアー複合体:
代表的な押出しを以下の条件下で行った。Hi‐maize(登録商標)260デンプンを、Patterson‐Kelley(PK)液体/固体V‐ブレンダー(モデル0204920)中で、グアーガムと表1に示す比率で5分間予備ブレンドした。
【0061】
各押出しデンプン‐グアー乾燥ブレンドの組成を、以下の表1に示す。
【表3】
【0062】
K‐Tronロス-イン-ウエイトフイーダー(loss-in-weight feeder)を用いて、得られた乾燥ブレンドを押出し機へフィードした。デンプン‐グアー押出し複合体を、長さの直径に対する比(L/D)が21であり、送りスクリューと4つのニーディングブロックの組合せを有するスクリュー配置であるWerner Pfleiderer二軸押出し機(モデルZSK‐30)を用いて作製した。7つのバレルを用い、スクリュー径は30mmであり、ダイ開口は5mmであった(X2)。
【0063】
用いたスクリュー配置を図面の図2として示す。
図面の図3に示されるように、加熱ゾーンダイアグラム1を用いて複合体の処理を行った。
【0064】
フィード速度を、10kg/時間で一定に維持した。フィードの直後に、2.9〜4.3kg/時間の速度で水を押出し機に添加した。スクリューを250rpmのスピードで作動させ、バレル温度プロファイルを、ゾーン3では60℃、ゾーン4では90℃、およびゾーン5では110℃に設定した。押出し中、押出し機のゾーンは、オイルを用いて加熱してバレル温度の設定値を得た。
【0065】
デンプン‐グアー押出し条件を、以下の表2に示す。
【表4】
【0066】
押出し中、ダイでの圧力は552〜690kPa(ゲージ圧)または653〜791kPa(絶対圧)の範囲であり、トルク読み取り値はおよそ38%であり、製造物温度は97℃〜99℃の範囲であり、比機械エネルギー(SME)値は、133〜139Wh/kgの間と算出された。
【0067】
ダイカッターを用いずに、押出されたロープ状物を手でちぎり、75℃で一晩オーブン乾燥して、最終水分含有量3重量%〜8重量%を得た。押出し物を、スクリーン250(開口部サイズ0.25インチまたは0.60cm)を用いたMikro‐Bantam(商標)ミル(モデルCF)を用いて粉砕した。粉砕物を、US#10メッシュの篩いを通して分級した。US#10メッシュの篩いを通過した物質を、インビトロおよび応用でのスクリーニングに用いた。
【0068】
改変イングリストアッセイを用いたインビトロでのグルコース放出(GR)
表3は、同等の乾燥ブレンドと比較して、80:20および70:30のHi‐maize(登録商標)260デンプン:グアーガム押出し複合体では、RS含有量がそれぞれ約31%および23%増加したことを示している。80:20および70:30のHi‐maize(登録商標)260デンプン:グアーガム押出し複合体は、未処理Hi‐maize(登録商標)260デンプンと比較して、約38%および43%のRS増加を示した。
【0069】
【表5】
【0070】
RS含有量は重要な性能基準であるが、胃腸内(GI)増粘能力(gastrointestinal (GI) viscosifying ability)および感覚刺激性(organoleptics)も重要である。これらの測定のために、試験複合体および種々のコントロールを非加熱処理バー(cold processed bars)に製剤し、次に、インビトロでのGI粘度および感覚属性(sensory attributes)についての試験を行った。
【0071】
バーの配合および作製
試験成分およびコントロールによって製剤された非加熱形態のスナックバー(cold form snack bar)を用いて、食感属性(textural attributes)の評価、およびインビトロでの胃内粘度の測定を行った。トウモロコシシロップ(63DE)、イチジクペースト(水分23%)、およびオレンジ香料(加熱後に添加)から成るウェット(成分)フェーズを、60℃(140°F)まで加熱し、軟化してブレンドの均一性を促進することで作製した。次に、加熱したウェットフェーズを、押しオートムギ、グラニュー糖、コメフラワー、および塩から成る予備ブレンドしたドライフェーズに添加した。次に、このブレンド物を40g片に分け、バー金型へ移した。バーは、水分含有量約18%および水分活性0.60未満で、柔らかい食感が出るように製剤した。スナックバー配合物にさらなる仕上げ作業を行って、胃モデルおよび感覚評価のためのコントロールを作製した。コントロールバーは、複合体を含有するバーの栄養プロファイル、固形分、および食感/堅さに合うように製剤し、基準点として評価した。これを達成するために、コメフラワーを減らし、砂糖および押しオートムギのレベルを増やして固形分を上げ、炭水化物レベルを合わせた(目標80%炭水化物)。ホエイプロテイン(ダビスコフーズインターナショナル社(Davisco Foods International, Inc.)製インスタントBiPRO(登録商標))を0.09%添加してタンパク質レベルを合わせ(目標5%タンパク質)、カノーラ油を1.10%添加して脂肪レベルを合わせた(目標2.5%脂肪)。
【0072】
バーの配合を以下の表4に示す。
【表6】
【0073】
感覚評価、試験成分によるバー:
スナックバーの感覚評価を、同じ5人の個人から成る感覚評価グループによって実施した。ベースライン感覚スコアをコントロールバーで設定した。押出し複合体および乾燥ブレンドコントロールをコントロールバーベース中で評価した。物質の組成の違いを適合させるためにバーの1人分のサイズ(serving size)を調節し、用いたコントロールバーベースの総量を1人分あたり33.3gに標準化した。これにより、80:20複合体については、1人分のサイズが43.3gとなり(全配合に対するガムレベル4.6%)、70:30複合体については、40.0gとなった(全配合に対するガムレベル5.0%)。この調節を行うことで、各複合体の実験において胃/腸内粘度モデル(Stomach/Intestine Viscosity Model)に添加されるコントロールバーベースを同量に維持した。
【0074】
堅さ、咀嚼性、粘着性、および異臭の4つの属性を、9段階の嗜好尺度で評価した。粘着性および異臭については、スコア4を許容される限界として、5もしくはそれ以上を許容されないとして分類した。咀嚼性および堅さについては、バーに対する個人的な感覚に基づいて順位付けを行い、例えば、グラノーラバーが9、フルーツバーが1である。スナックバーサンプルは、評価の前日にベンチトップで作製し(密封容器中室温にて保存)、バーを平衡状態とした。感覚スコアは、比較可能なように5人のメンバーの平均を取った。主たる不合格モードとして認識された重要属性は、粘着性と異臭であった。
【0075】
表5の感覚についての結果は、粘着性に関して、デンプン‐グアーガム複合体で作製したバーが、未処理乾燥ブレンドで作製したバーよりも低いスコアであることを示している。
【0076】
【表7】
【0077】
インビトロでの胃/腸内粘度
試験成分を含有するバーを、上記で詳述した胃モデルアッセイにて実験した。完全水和グアーガムゴールドスタンダードレファレンスを含むすべてのサンプルを、同等のグアーガムレベルで分析した。腸内フェーズ粘度データは、完全水和グアーガムレファレンスに対する曲線下面積(AUC)%として表す。表6のデータから、複合体からのガムが、完全水和ガムレファレンスと比較して76%以上の増粘力を示すことが分かる。グアーガムの完全水和は、本技術分野で公知の標準的なプロセスを用いて行う。
【0078】
【表8】
【0079】
実施例2−押出しデンプン‐グアー複合体:
代表的な押出しを以下の条件下で行った。Hi‐maize(登録商標)260デンプンを、ビーペックス社(Bepex Corporation)のリボンブレンダー(モデルIMS‐1)中で、グアーガムと表7に示す比率で予備ブレンドした。
【0080】
各押出しデンプン‐グアー乾燥ブレンドの組成を、以下の表7に示す。
【表9】
【0081】
K‐Tronロス-イン-ウエイトフイーダーを用いて、得られた乾燥ブレンドを押出し機へフィードした。デンプン‐グアー押出し複合体を、長さの直径に対する比(L/D)が28であり、送りスクリューと2つの小型15mm逆エレメントの組合せを有するスクリュー配置であるBuhler二軸押出し機(モデル44D)を用いて作製した。6つのバレルを用い、そのスクリュー径は44mmであり、ダイ開口は7mmであった(X2)。
【0082】
用いたスクリュー配置を以下に挙げる。
1(sd5),2(66),1(15)r,2(66),1(44),1(66),2(44),1(66),2(44),1(33),1(44),1(33),1(44),2(33),1(44),1(33),1(44),2(33),1(44),1(15)r,3(33),1(44)
【0083】
フィード速度を、30kg/時間で一定に維持した。フィードの直後に、10.0kg/時間の速度で水を押出し機に添加した。スクリューを200rpmのスピードで作動させ、バレル温度プロファイルを、ゾーン1では30℃、ゾーン2では30℃、ゾーン3では50℃、およびゾーン4では50℃に設定した。オイル含有Mokon加熱ユニット2つを用いて、バレル温度を一定に維持した。4つのフレックスブレードを有するダイカッターを用いて、流動床乾燥機での乾燥効率を高めた。
【0084】
デンプン‐グアー押出し条件を、以下の表8に示す。
【表10】
【0085】
押出し中、ダイでの圧力は2100kPa(ゲージ圧)または2201kPa(絶対圧)であり、トルク読み取り値はおよそ38%であり、製造物温度は95℃であり、比機械エネルギー(SME)は、83Wh/kgと算出された。
【0086】
押出し物を、押出し機からバスケットに回収し、45℃に設定したBuhler流動床乾燥機に配置した。押出し物の水分含有量が10重量%より低くなるまで、バスケットを流動床乾燥機内に置いた。乾燥押出し物を、スクリーン250(開口部サイズ0.25インチまたは0.60cm)を用いたMikro‐Bantam(商標)ミル(モデルCF)を用いて粉砕した。粉砕物を、US#40メッシュの篩いを通して分級した。US#40メッシュの篩いを通過した物質を、インビトロおよび応用でのスクリーニングに用いた。
【0087】
改変イングリストアッセイを用いたインビトロでのグルコース放出(GR)
表9は、乾燥ブレンドに対して、Hi‐maize(登録商標)260デンプン:グアーガム押出し複合体のRS含有量が約23%増加したことを示している。Hi‐maize(登録商標)260デンプン:グアーガム押出し複合体は、未処理Hi‐maize(登録商標)260デンプンと比較して、約38%のRS増加を示した。
【0088】
【表11】
【0089】
RS含有量は重要な性能基準であるが、胃腸内(GI)増粘能力および感覚刺激性も重要である。これらの測定のために、試験複合体および種々のコントロールを非加熱処理バーに製剤し、次に、インビトロでのGI粘度および感覚属性についての試験を行った。
【0090】
バーの配合および作製
試験成分およびコントロールによって製剤された非加熱形態のスナックバーを用いて、食感属性の評価、およびインビトロでの胃内粘度の測定を行った。トウモロコシシロップ(63DE)、イチジクペースト(水分23%)、およびオレンジ香料(加熱後に添加)から成るウェット(成分)フェーズを、60℃(140°F)まで加熱し、軟化させてブレンドの均一性を促進することで作製した。次に、加熱したウェットフェーズを、押しオートムギ、グラニュー糖、コメフラワー、および塩から成る予備ブレンドしたドライフェーズに添加した。次に、このブレンド物を40g片に分け、バー金型へ移した。バーは、水分含有量約18%および水分活性0.60未満で、柔らかい食感が出るように配合された。スナックバー配合物にさらなる仕上げ作業を行って、胃モデルおよび感覚評価のためのコントロールを作製した。コントロールバーは、複合体を含有するバーの栄養プロファイル、固形分、および食感/堅さに合うように配合され、基準点として評価された。これを達成するために、コメフラワーを減らし、砂糖および押しオートムギのレベルを増やして固形分を上げ、炭水化物レベルを合わせた(目標80%炭水化物)。ホエイプロテイン(ダビスコフーズインターナショナル社製インスタントBiPRO(登録商標))を0.09%添加してタンパク質レベルを合わせ(目標5%タンパク質)、カノーラ油を1.10%添加して脂肪レベルを合わせた(目標2.5%脂肪)。
【0091】
バーの配合を以下の表10に示す。
【表12】
【0092】
感覚評価、試験成分によるバー:
スナックバーの感覚評価を、実施例1と同様に行った。ベースライン感覚スコアはコントロールバーで設定した。押出し複合体および乾燥ブレンドコントロールをコントロールバーベース中で評価した。物質の組成の違いを適合させるためにバーの1人分のサイズを調節し、用いたコントロールバーベースの総量を1人分あたり33.3gに標準化した。これにより、80:20複合体についての1人分のサイズが43.3gとなった(全配合に対するガムレベル4.6%)。この調節を行うことで、各複合体の実験において胃/腸内粘度モデルに添加されるコントロールバーベースを同量に維持した。
【0093】
堅さ、咀嚼性、粘着性、および異臭の4つの属性を、9段階の嗜好尺度で評価した。粘着性および異臭については、スコア4を許容される限界として、5もしくはそれ以上を許容されないとして分類した。咀嚼性および堅さについては、バーに対する個人的な感覚に基づいて順位付けを行い、例えば、グラノーラバーが9、フルーツバーが1である。スナックバーサンプルは、評価の前日にベンチトップで作製し(密封容器中室温にて保存)、バーを平衡状態とした。感覚スコアは、比較可能なように5人のメンバーの平均を取った。主たる不合格モードとして認識された重要属性は、粘着性と異臭であった。
【0094】
表11の感覚試験結果は、押出しデンプン‐グアーガム複合体で作製されたバーの粘着性および異臭に関するスコアが、未処理乾燥ブレンドで作製されたバーと比較して、より低かったことを示している。
【0095】
【表13】
【0096】
インビトロでの胃/腸内粘度
試験成分を含有するバーを、上記で詳述した胃モデルアッセイにて実験した。完全水和グアーガムゴールドスタンダードレファレンスを含むすべてのサンプルを、同等のグアーガムレベルで分析した。腸内フェーズ粘度データは、完全水和グアーガムレファレンスに対する曲線下面積(AUC)%として表す。表12のデータから、複合体からのガムが、完全水和ガムレファレンスと比較して91%の増粘力を示すことが分かる。グアーガムの完全水和は、本技術分野で公知の標準的なプロセスを用いて行う。
【0097】
【表14】
【0098】
実施例3−押出しデンプン‐グアー‐オイル複合体:
代表的な押出しを以下の条件下で行った。高アミローストウモロコシベース難消化性デンプン(HYLON(登録商標)VIIデンプンまたはHi‐maize(登録商標)260デンプン)を、Patterson‐Kelley(PK)液体/固体V‐ブレンダー(モデル0204920)中で、グアーガムと表13に示す比率で5分間予備ブレンドした。デンプン‐グアーガム乾燥ブレンド比は、20gの用量あたり3gのグアーおよび3gのカノーラ油、ならびに20gの用量あたり5gのグアーおよび4gのカノーラ油が提供されることに基づくものとした。
【0099】
【表15】
【0100】
K‐Tronロス-イン-ウエイトフイーダーを用いて、得られた乾燥ブレンドを押出し機へフィードした。デンプン‐グアー‐オイル押出し複合体を、長さの直径に対する比(L/D)が21であり、送りスクリューと4つのニーディングブロックの組合せを有するスクリュー配置であるWerner PfleidererモデルZSK‐30二軸スクリュー押出し機を用いて作製した。
用いたスクリュー配置を図面の図2として示す。
【0101】
図面中図4の加熱ゾーンダイアグラム1を用いて複合体の処理を行った。カノーラ油(Bunge Oils CENTRABESTカノーラ油 ロット F609L)を、ポンプを用いてバレル4中に計り入れ、最終複合体中の目標オイルレベル15%および20%を得た。7つのバレルを用い、スクリュー径は30mmであり、ダイ開口は5mmであった(X2)。
【0102】
フィード速度を、10kg/時間で一定に維持した。フィードの直後に、3.5〜4.0kg/時間の速度で水を押出し機に添加した。スクリューを250rpmのスピードで作動させ、バレル加熱ゾーンを、ゾーン1では0℃、ゾーン2では0℃、ゾーン3では60℃、ゾーン4では90℃、ゾーン5では110℃に設定した。押出し中、押出し機のゾーンは、オイルを用いて加熱してバレル温度の設定値を得た。
【0103】
デンプン‐グアー‐オイル押出し条件を、以下の表14に示す。
【表16】
【0104】
押出し中、ダイでの圧力は0〜138kPa(ゲージ圧)または0〜239kPa(絶対圧)の範囲であり、トルク読み取り値は25%〜28%の範囲であり、製造物温度は81℃〜85℃の範囲であり、SME値は74Wh/kg〜85Wh/kgの間と算出された。
【0105】
ダイカッターは用いず、押出されたロープ状物を手でちぎり、65℃で一晩オーブン乾燥して、最終水分量7重量%〜10重量%を得た。押出し物は、スクリーン250(開口部サイズ0.25インチまたは0.60cm)を用いたMikro‐Bantam(商標)ミル(モデルCF)を用いて粉砕した。粉砕物を、US#10メッシュの篩いを通して分級した。US#10メッシュの篩いを通過した物質を、インビトロおよび応用でのスクリーニングに用いた。
【0106】
表15に示すインビトロGRの結果から、各々のデンプンベースにおいて、より高いレベルのグアーガムおよびカノーラ油を含有する押出し複合体で、RSが増加し、インビトロGRプロファイルが遅延したことが示される。同等量のグアーガムおよびカノーラ油を含有するHylON(登録商標)VIIデンプンおよびHi‐maize(登録商標)260デンプンの複合体では、いずれも類似したRS含有量およびインビトロGRプロファイルであった。
【0107】
【表17】
【0108】
脂肪分解プロファイル:
単純化した(Neat)試験成分を、インビトロ脂肪分解アッセイ(上述)で試験し、市販基準品(Slimthru(登録商標))および通常消化される脂質(低温殺菌ヘビークリーム)と比較した。表16は、Slimthru(登録商標)およびヘビークリームに対するHYLON(登録商標)VIIおよびHi‐maize(登録商標)260押出し複合体の相対脂肪分解速度を示す。複合体527:9‐6は、脂肪分解速度が最も遅く、ヘビークリームに対して62%、Slimthru(登録商標)と比較して19%遅かった。複合体527:9‐3は、遅延された脂肪分解速度を示し、ヘビークリームに対して60%、Slimthru(登録商標)と比較して15%遅かった。複合体527:9‐5は、遅くなった脂肪分解速度を示し、ヘビークリームに対して57%、Slimthru(登録商標)に対して9%遅かった。
【0109】
【表18】
【0110】
バーの配合および作製:
実施例1と同様の非加熱成形スナックバーを用いて、押出しデンプン‐グアー‐オイル複合体の評価を行った。表17は、押出し複合体の食感属性の評価に用いたバー配合を示す。
【0111】
カノーラ油をデンプン‐グアー乾燥ブレンド中に均一に組み込むことが困難であることから、乾燥ブレンドで作製したバーの評価では、カノーラ油を別個に添加した。乾燥ブレンドバーについては、バーベースを別々のKitchenAid(登録商標)ボウル中にて必要なバーベース重量に分割した。カノーラ油を、複合体のオイル含有量に基づいて各乾燥ブレンドバーに添加した。バーベースを速度1にて1分間ブレンドした。乾燥ブレンドを速度1にて1分間混ぜ込んだ(必要に応じてさらに1分間混合)。
【0112】
【表19】
【0113】
感覚評価、試験成分によるバー:
スナックバーの感覚評価を、実施例1と同様にして行った。ベースライン感覚スコアをコントロールバーで設定した。押出し複合体および乾燥ブレンドコントロールをコントロールバーベース中で評価した。物質のグアーガム組成の違いを適合させるためにバーの1人分のサイズを調節し、用いたコントロールバーベースの総量を1人分あたり33.3gに標準化した。これにより、低グアーガム(約15.8%)/カノーラ油(約16.0%)レベル複合体については、1人分のサイズが46.0g(全配合に対するグアーガムレベル5.0%)となり、並びに高グアーガム(約26.5%)/カノーラ油(約20.6%)レベル複合体については、40.9g(全配合に対するガムレベル5.0%)となった。この調節を行うことで、各複合体の実験において胃/腸内粘度モデルに添加されるコントロールバーベースを同量に維持した。デンプン‐グアー乾燥ブレンドによるバーの上に適切量のカノーラ油を添加して、模擬オイル含有複合体とした。
【0114】
堅さ、咀嚼性、粘着性、および異臭の4つの属性を、9段階の嗜好尺度で評価した。粘着性および異臭については、スコア4を許容される限界として、5もしくはそれ以上を許容されないとして分類した。咀嚼性および堅さについては、バーに対する個人的な感覚に基づいて順位付けを行い、例えば、グラノーラバーが9、フルーツバーが1である。スナックバーサンプルは、評価の前日にベンチトップで作製し(密封容器中室温にて保存)、バーを平衡状態とした。感覚スコアは、比較可能なように5人のメンバーの平均を取った。主たる不合格モードとして認識された重要属性は、粘着性と異臭であった。
【0115】
表18および19の感覚試験結果は、デンプン‐グアー‐オイル複合体で作製されたバーの粘着性および異臭に関するスコアが、乾燥ブレンドコントロールで作製されたバーと比較して、より低かったことを示している。
【0116】
【表20】
【0117】
【表21】
【0118】
インビトロでの胃/腸内粘度
試験成分を含有するバーを、上記で詳述した胃モデルアッセイにて実験した。完全水和グアーガムゴールドスタンダードレファレンスを含むすべてのサンプルを、同等のグアーガムレベルで分析した。腸内フェーズ粘度データは、完全水和グアーガムレファレンスに対する曲線下面積(AUC)%として表す。表20のデータから、複合体からのガムが、完全水和ガムレファレンスと比較して77%以上の増粘力を示すことが分かり、これは、オイルなしで作製された複合体と非常に類似している。
【0119】
【表22】
明細書開示を要約すれば、下記のとおりです。
〔項1〕
難消化性デンプン含有量が少なくとも70%(重量/重量)であるデンプンを含有するデンプン、およびハイドロコロイドを含む、複合体。
〔項2〕
前記デンプンが、高アミロースデンプンである、項1に記載の複合体。
〔項3〕
前記デンプンが、高アミローストウモロコシデンプンである、項1に記載の複合体。
〔項4〕
前記デンプンが、水熱処理されたデンプンである、項1〜3のいずれか一項に記載の複合体。
〔項5〕
前記ハイドロコロイドが、非イオン性ガムである、項1〜4のいずれか一項に記載の複合体。
〔項6〕
前記ガムが、グアーガム、コンニャク、イナゴマメガム、タラガムから成る群より選択される、項5に記載の複合体。
〔項7〕
前記ガムが、グアーガムである、項5に記載の複合体。
〔項8〕
前記複合体のデンプン:ハイドロコロイドの比(重量/重量)が、少なくとも70:30である、項1〜7のいずれか一項に記載の複合体。
〔項9〕
さらにオイルを含む、項1〜8のいずれか一項に記載の複合体。
〔項10〕
前記オイルが、前記複合体に対して10〜25%(重量/重量)の量で存在する、項9に記載の複合体。
〔項11〕
項1〜10のいずれか一項に記載の複合体を作製するプロセスであって、前記デンプンおよびハイドロコロイドを混合してブレンドを形成すること、前記乾燥ブレンドを押出し機内にて水で水和すること、並びに前記ブレンドを押出し処理して複合体を形成することを含む、プロセス。
〔項12〕
前記水和されたブレンドにオイルを添加することをさらに含む項11に記載のプロセス。
〔項13〕
項1〜10のいずれか一項に記載の複合体、および追加の食用成分を含む、食品。
〔項14〕
前記複合体が、5〜75%(重量/重量)の量である、項13に記載の食品。
〔項15〕
項1〜10のいずれか一項に記載の複合体を少なくとも7.5g摂食することを含む、満腹感を増加させる方法。
〔項16〕
同一のカロリー含有量である容易に消化可能である10DEのマルトデキストリンの摂食後のカロリー摂取量と比較して、摂食後少なくとも2時間にわたってカロリー摂取量が少なくとも10%低下する、項15に記載の方法。
〔項17〕
満腹感を増加させるための、請求項1〜10のいずれか一項に記載の複合体の使用。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4