【文献】
Junho Kim et al.,New Constellation-Rotation Diversity Scheme for DVB-NGH,Vehicular Technology Conference Fall (VTC 2010-Fall), 2010 IEEE 72nd,2010年 9月 9日
【文献】
Junko Kim et al.,New 4-dimensional constellation-rotation modulation method for DVB-NGH,Consumer Electronics (ICCE), 2011 IEEE International Conference on,2011年 1月12日,pp.395,396
【文献】
David Vargas et al.,Combined Time, Frequency and Space Diversity in DVB-NGH,Broadcasting, IEEE Transactions on,2013年12月,Vol.59, No.4,pp.674-684
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
≪発明者による検討およびそれから得た知見≫
最初に、一般的な複数のRFチャネルを切り換えながら使用する送信技術について図面を参照しつつ説明する。
図1は、一般的な複数のRFチャネルを切り換えながら使用する送信機100の構成を示すブロック図である。送信機100は、前方誤り訂正(forward-error-correction:FEC)エンコーダ110と、QAM(quadrature amplitude modulation)マッパ120
と、コンステレーション回転ユニット130と、コンポーネントインターリーバ140と、時間インターリーバ150と、スケジューラ160と、OFDM変調器170−1、…、170−nと、送信アンテナ180−1、…、180−nとを備える。
【0010】
送信機100は、入力として、送信される情報を含む、所定長のバイナリーブロックを受け取る。
FECエンコーダ110は、前方誤り訂正(forward-error-correction:FEC)符号を用いて各情報ブロックを符号化する。これによって、FEC符号語が作られる。この符号化処理は、受信機における情報ブロックの復号をエラーに対してよりロバスト(robust)にするための、冗長ビットの計算と当該冗長ビットの情報ブロックへの付加を含む。FEC符号のファミリーの2つの重要な例として、低密度パリティ検査(low-density parity-check:LDPC)符号とターボ符号がある。しかしながら、本発明は、FECエンコーダ110が使用するFEC符号の類型を特に限定するものではない。
【0011】
符号化処理により得られたFEC符号語は、QAMマッパ120に供給される。ここで、FEC符号語をFECブロックと表記する。QAMマッパ120は、FECブロックの複数ビットを2×B個のビットずつ複素QAMシンボルにマッピングしていく。
詳細に記載すると、QAMマッパ120は、まず、FECブロックの複数ビットをB個のビットずつ実数値(real-valued)のPAM(pulse amplitude modulation)シンボルにマッピングしていく。続いて、QAMマッパ120は、2つの実数値のPAMシンボルのペアを複素QAMシンボルとして出力する(ペアの一方の実数値のPAMシンボルを複素QAMシンボルの実数成分とし、他方を虚数成分とする)。
【0012】
各PAMシンボルは、2
B個の値を含むディスクリートセットから1つの値をとる。B
個のビットがどのようにPAMシンボルにマッピングされるかはよく理解されており、本発明には直接関連しない。本発明に関連する側面は、各FECブロックがPAMシンボルのブロックに変換されることである。
なお、FECブロックは、
図1では直接QAMマッパ120に供給されているが、不図示のビットインターリーバを経由してQAMマッパ120に供給されてもよい。
【0013】
コンステレーション回転ユニット130は、QAMマッパ120によって作られた複数の実数値のPAMシンボルを、各々がD個の実数値のPAMシンボルを要素とするD次元
ベクトルに分離する。D次元ベクトルは、D次元空間における固有のポイントを示すものとして扱われる。結果として得られた(2
B)
D個の組み合わせがD次元コンステレーションを形成する。
【0014】
そして、コンステレーション回転ユニット130は、各D次元ベクトルにD行D列の直交行列を乗算する(コンステレーション回転ユニット130に供給されるD次元ベクトルをV、行列乗算に用いられる直交行列をR、行列乗算結果のD次元回転ベクトルをV’とした場合、V’=RV)。この直交行列の乗算処理は、一般的なD次元空間におけるベクトルの回転とみなされ、用語「回転コンステレーション(rotated constellations)」が用いられる。本発明は、コンステレーション回転ユニット130が用いる直交行列を特定の構造の直交行列に限定するものではなく、任意の直交行列を用いることができる。回転コンステレーションの使用は、当該技術分野において既知技術であるので詳細説明は省略するが、特許文献1(欧州特許出願2288048)に非常に詳細に開示されており、その開示内容を完全に援用する。
【0015】
回転コンステレーションは、深いフェージングや消失を伴う伝送路において、通信システムのロバスト性向上のための効果的なツールである。
Dは2の累乗であることが好ましく、例えば、2、4、8である。好ましくは、各FECブロックのPAMシンボルの数はDの倍数である。
以下では、D個の実数値のPAMシンボルを要素とするベクトルを回転させた結果得られたD次元回転ベクトルをD次元回転コンステレーションブロック又はCBと表記する。また、D次元回転コンステレーションブロックを構成する実数シンボルを成分又は次元と表記する。
【0016】
なお、2次元回転コンステレーションブロックを2D回転コンステレーションブロック又は2D−RCと表記する。また、4次元回転コンステレーションブロックを4D回転コンステレーションブロック又は4D−RCと表記する。さらに、8次元回転コンステレーションブロックを8D回転コンステレーションブロック又は8D−RCと表記する。
D次元回転処理に続いて、コンステレーション回転ユニット130は、各D次元回転コンステレーションブロックのD個の実数シンボル(成分)を、隣接する(連続する)D/2個の複素シンボルの実数成分と虚数成分とにマッピングする(初期マッピング)。複素シンボルは、複素セル又は単にセルと表記されることもある。
【0017】
この具体例として、多次元回転コンステレーションが2次元、4次元及び8次元回転コンステレーションの夫々の場合を、
図2(a)、(b)及び(c)に示す。但し、この具体例では、FECブロックの実数シンボルの数は48である。
なお、
図2(a)、(b)、(c)において、最も小さい正方形の1つは1つの実数シンボル(成分)に相当し、上下に並ぶ最も小さい正方形のペアの1つは1つの複素シンボル(複素セル)に相当し、太線で囲まれた最も小さい1つの四角は1つの多次元回転コンステレーションブロック(CB)に相当する。また、
図2(a)、(b)、(c)において、最も小さい正方形内の値(1、2、・・・)は実数シンボル(成分)を示すインデックスである。
【0018】
ここで、システムのロバスト性を高めるために回転コンステレーションが効果的に機能するためには、各D次元回転コンステレーションブロックのD個の成分に及ぼすフェージングができるだけ無相関であることが必要であり、これはD個の成分を時間と周波数でできるだけ均等に分散することによって実現される。通常、(1)各D次元回転コンステレーションブロックのD個の成分が異なる複素セルにマッピングされるようにD個の成分をFECブロックで分散させる処理が実行され、次に、(2)各FECブロックの複数の複素セルを時間と有効なRFチャネルで均等に分散させる処理が実行される。
【0019】
上記の前者の処理(1)は、回転コンステレーションに対してのみ利用され、コンポーネントインターリーバ140によって実行される。一方、後者の処理(2)は、回転及び非回転コンステレーションの双方に利用され、時間インターリーバ150とスケジューラ160の組み合わせによって実行される。以下に、この詳細を記載する。
D次元回転コンステレーションのD個の成分を時間と有効なRFチャネルで均等に分散するために、上記の2つの処理(1)、(2)が相互に関連しなければならない。時間インターリーバ150とスケジューラ160は非回転コンステレーションに対しても利用されるため、コンポーネントインターリーバ140によって実行される分散は時間インターリーバ150及びスケジューラ160の機能に応じて調整されなければならない。
【0020】
時間インターリーバ150は、システムの時間ダイバーシティを増大するために、各FECブロックの複素セルを、通常、1又は複数の他のFECブロックの複数の複素セルと一緒にインターリービングする(時間インターリービング)。これによって、各FECブロックの複素セルは時間で分散される。
時間インターリーバ150は、ブロックインターリーバ、畳み込みインターリーバ、又は、両者を組み合わせたものであってもよい。例えば、DVB−T2規格(Digital Video Broadcasting - Second Generation Terrestrial)においては、時間インターリーバ150としてブロックインターリーバが用いられている。詳細は、非特許文献2(DVB−T2規格の規格書(ETSI EN 302.755))に開示されており、その開示内容を完全に援用
する。
【0021】
時間インターリーバ150による単純な時間インターリービング処理の具体例を
図3に示す。但し、この具体例では、FECブロックの数が3、各FECブロックの複素セルの数が8である。なお、
図3において、最も小さい1つの四角は1つの複素セルに相当し、その上段の値はFECブロックを示すインデックスであり、下段の値はFECブロック内での複素セルを示すインデックスである。
図3では、時間インターリービング処理結果を分かりやすくするために、インデックスが1であるFECブロックの8個の複素セルに斜線を付している。
【0022】
図3の具体例では、時間インターリーバ150は、入力を、FECブロック1の複素セル1、FECブロック2の複素セル1、FECブロック3の複素セル1、FECブロック1の複素セル2、・・・の順に並び替える。
図3から、時間インターリービング後の同じFECブロックの8個の複素セルが送信される時間間隔は3FECブロックであり、時間インターリービングによって時間ダイバーシティが増大していることが分かる。時間間隔はインターリービング期間とも表記される。
【0023】
スケジューラ160は、FECブロックの時間インターリービングされた複数の複素セルを有効な送信資源へ配置する。送信資源の例として、シングルキャリア変調の場合の時間サンプル、直交周波数分割多重(orthogonal frequency-division multiplexing:OFDM)変調などのマルチキャリア変調の場合のマルチキャリアシンボルなどが挙げられる。OFDMでは、シンボル自身が複数の複素セルから構成される。いずれの場合でも、スケジューラ160による配置は、単調、すなわち、時間軸での複素セルの順番は変化しない、ように行われる。複素セルのスケジューリング情報(配置情報)は、通常、専用のシグナリング情報によって受信機に通知される。時間‐周波数スライシング(time-frequency slicing:TFS)を用いる場合、後に詳述するように、スケジューラ160はTFSグループにおいて複素セルを有効なRFチャネルに配置する。
【0024】
各RFチャネルにおいて、スケジューラ160の出力は、少なくともOFDM変調器1
70−1,・・・,170−nと、複数のOFDM変調器に対応するアップコンバータ(不図示)と、複数のアップコンバータに対応するRF(radio-frequency)電力増幅器(不
図示)とを含む処理ブロックによって、さらに処理される。OFDM変調器170−1,・・・,170−nは、周波数ダイバーシティを増大するために周波数インターリービングを含んでもよい。各アップコンバータは、対応するOFDM変調器からのデジタルベースバンド信号をアナログRF(radio-frequency)信号に変換する。各RF電力増幅器は
、対応するアップコンバータからのアナログRF信号の電力増幅を行う。各RF電力増幅器によって電力増幅されたアナログRF信号が対応する送信アンテナ180−1,・・・,180−nから送出される。
【0025】
コンステレーションを構成する複数成分の時間分離に関して、回転コンステレーションを用いるシステムでは、D次元回転コンステレーションブロックのD個の成分が時間インターリービング期間の全体に均等に分散される場合に最も良い性能が得られる。具体的なFECブロックのスケジューリングとスライシングにもよるが、この条件を正確に満足することは必ずしも可能ではない。多くの場合において良い解決方法は、D次元回転コンステレーションブロックのD個の成分をFECブロックで均等に分散することである。FECブロックの複素セルは、それから、時間インターリーバ期間で規定された順番に送信される。
【0026】
通信システムの信頼性を向上するための1つの手法に、複数のRFチャネルで有効にダイバーシティを活用する手法がある。ここで、当該ダイバーシティをチャネルダイバーシティと表記する。チャネルダイバーシティの主要な類型として、周波数ダイバーシティがある。周波数ダイバーティは、無線伝送路でのフェージングが周波数選択性を有する傾向にあり、従って任意の2つのRFチャネル間のフェージングの相関は相対的に低い、という事実に起因する。さらに、異なるRFチャネルに対する送信機が異なる地理上の位置に配置されている場合、いわゆる空間ダイバーシティが活用される。従って、チャネルダイバーシティは周波数ダイバーシティと空間ダイバーシティの双方に起因する。
【0027】
複数のRFチャネルを用いる通信システムにおいて、受信機において1つのチューナで受信を可能にするために、連続的に受信される情報、例えば、ある放送番組が、複数のRFチャネルで送信されてはならない。このため、TFSスケジューリングを使用することが必要であり、受信機はTFSスケジューリング情報(各スライスの時間及び周波数の配置を示す情報)に基づいて、複数のRFチャネル間でRFチャネルを切り換えながら、適切なスライスの期間で各RFチャネルから所望のデータを抽出する。TFSスケジューリング情報は通常専用のシグナリング情報を用いて受信機に通知される。
【0028】
図4にTFSスケジューリングの具体例を示す。但し、
図4の具体例では、RFチャネルの数が3、TFSサイクルの数が3である。スケジューラ160は、RFチャネル1,2,3の順番を繰り返しながら、9個のスライスを順番にRFチャネルに配置していく(OFDM変調器に出力していく)。なお、受信機のチューナはRFチャネル間を切り替えながら受信するため、2つの連続するスライス間にガードインターバルを挿入することが必要である。
【0029】
以下では、TFSグループにおけるRFチャネルの数をN
RFと表記し、1つのFECブロックが分散されるTFSサイクルの数をN
Cと表記する。従って、1つのFECブロッ
クのスライスの数はN
S=N
RF×N
Cとなる。
最適なダイバーシティは、全スライスが同じ長さで、各FECブロックが全スライスで同数の複素セルを有する場合に、達成される。
図5にFECブロックをTFSスライスに分割する具体例を示す。但し、
図5の具体例では、RFチャネルの数が3、TFSサイクルの数が3であり、
図4のTFSスケジューリングの具体例に対応する。スライシング処
理は単純である。
【0030】
回転コンステレーションが使用される場合、D次元回転コンステレーションブロックのD個の成分はRFチャネルに均等にマッピングされる必要がある。例えば、2次元回転コンステレーションの場合、その2個の成分が可能なRFチャネルの全ペアにマッピングされる必要がある。RFチャネルの数が3の場合、RFチャネルのインデックスのペアは(1,2)、(1,3)、(2,3)である。2次元回転コンステレーションブロックの2つの成分を同じRFチャネルにマッピングすることは避けなければならない。
【0031】
要するに、コンポーネントインターリーバ140によるコンポーネントインターリービングは、
(1)コンステレーションブロックの複数成分が、時間インターリービング期間でできるだけ均等に分散され、
(2)TFSの場合には、コンステレーションブロックの複数成分が、取り得るRFチャネルの組み合わせにマッピングされる、
ことを保証するものでなければならない。
【0032】
両方の条件(1)、(2)を満足することができない場合には前者の条件(1)を犠牲にして後者の条件(2)を保証することが好ましい。
コンポーネントインターリービングに関する従来の解決手法が、非特許文献1(DVB組織によって内部的に発行されたDVB−NGH標準化文書TM−NGH1172)に開示されている。この文書は、ドイツのエルランゲンにあるフラウンホーファーの集積回路研究部門に所属するマルコブレイリ(Marco Breiling)が表題"Details of the Cell + Time Interleaving"として執筆したものである。
【0033】
従来のコンポーネントインターリーバ140は、FECブロックに作用し、FECブロックの複素セルの実数成分と虚数成分に異なるパーミュテーションを適用する。このコンポーネントインターリーバ140は、2次元回転コンステレーションブロックの2つの成分が
図2(a)に示すようにそれぞれ複素セルの実数成分と虚数成分とに初期マッピングされた、2次元回転コンステレーションブロックに対して最適化されている。
【0034】
ここで、コンポーネントインターリーバ140の処理内容について詳細に説明する。
コンポーネントインターリーバ140は、FECブロックの複数の複素セル(初期マッピングの結果得られた複素セル)を入力とする。コンポーネントインターリーバ140は、複数の複素セルをN
R行のインターリーバ行列に列方向に(列に沿って)書き込む。詳
細に記載すると、コンポーネントインターリーバ140は、複数の複素セルの実数成分及び虚数成分を夫々同一構造のN
R行の実数用インターリーバ行列及び虚数用インターリー
バ行列に列方向に書き込む。但し、N
Rはインターリーバ行列のパラメータである。
【0035】
続いて、コンポーネントインターリーバ140は、入力された各複素セルの実数成分と虚数成分とを分離するために、虚数用インターリーバ行列の各列に所定のシフトパターンに基づく巡回シフトを適用する。そのシフト量は全列で同じでない。この所定のシフトパターンは最初のN
R−1個の各列に対するシフト量(1,2,・・・,N
R−1)と、残りの列に対して(1,2,・・・,N
R−1)を繰り返したものである。言い換えると、所
定の列に対して適用されるシフト量は並べられた整数の集合であるシフトパターンの対応するエントリによって決定される。“対応する”エントリは、周期的に続くシフトパターンを用いて、1番目の列に対しては1番目のエントリ、2番目の列に対しては2番目のエントリ、などである。周期的に続くシフトパターンの代わりに、エントリはシフトパターンから巡回的に選択される、すなわちシフトパターン長で割った剰余値から選択されてもよい。
【0036】
さらに続いて、コンポーネントインターバ140は、実数用インターリーバ行列と虚数用インターリーバ行列から夫々実数成分及び虚数成分を行方向に(行に沿って)読み出し、読み出した実数成分と虚数成分とから複素セルを順次形成して下流の処理ブロックへ出力する。なお、複素セルを形成する実数成分と虚数成分は巡回シフト適用後における同じ行、同じ列の実数成分と虚数成分である。結果として、FECブロックは同サイズのN
R
個のスライスに分割される。コンステレーション回転ユニット130から出力される複素セルの実数成分と虚数成分間の距離は少なくともFECブロックにおいて複素セルの数の1/N
Rである。
【0038】
まず、コンポーネントインターリーバ140は、
図6の矢印で示される順序で、48個の複素セルの実数成分及び虚数成分を夫々N
R=4行の実数用インターリーバ行列及び虚
数用インターリーバ行列に列方向に書き込む。
続いて、コンポーネントインターリーバ140は、
図6の虚数用インターリーバ行列の第1列、第2列、第3列、第4列、・・・に対して1、2、3、1、・・・の巡回シフトを適用する。
図6に対する巡回シフトの適用結果は
図7に示すものとなる。
【0039】
さらに、コンポーネントインターバ140は、
図8の矢印で示される順序で、実数用インターリーバ行列及び虚数用インターリーバ行列から夫々実数成分及び虚数成分を行方向に読み出し、
図9に示すように読み出した実数成分と虚数成分とから複素セルを形成して出力する。結果として、FECブロックは同サイズのN
R=4個のスライスに分割され、
2次元回転コンステレーションの場合、2次元回転コンステレーションブロックの2つの成分は異なる複素セルにマッピングされる。当該2つの成分間の距離は少なくともFECブロックにおいて複素セルの数の1/N
Rである。
【0040】
N
R=4に対する
図10に示されるように、2つの異なるスライスの全組み合わせが可
能であり、同じ頻度で起こる。
図10の各正方形の値(1,2,3)は、コンポーネントインターリーバ140によるコンポーネントインターリービング後の2次元回転コンステレーションブロックの2つの成分間のスライス距離である。
より正確には、2次元回転コンステレーションの2つの成分間のスライス距離はディスクリートセット(1,2,・・・,N
R−1)に属する。スライス間のスライス距離と違
って、全距離が同じ頻度で起こるとは限らない。最大距離は最小距離より頻繁に起こらない。その結果、ヒストグラムはトライアングルに似た形状になる。
【0041】
コンポーネントインターリーバ140は、行数N
RがRFチャネル数N
RFと等しくなる
ように選択される場合にTFSに対して理想的になる。2次元回転コンステレーションの場合、2次元回転コンステレーションブロックの2個の成分が取り得るRFチャネルのペアにマッピングされる。例えば、4個のRFチャネルを用いたTFSの場合、RFチャネルのインデックスのペアは(1,2)、(1,3)、(1,4)、(2,3)、(2,4
)、(3,4)である。
【0042】
FECブロックが複数のTFSサイクルにインターリービングされる場合、行数N
Rは
FECブロック毎のTFSスライスの数N
S=N
RF×N
Cに等しくなるように選択される。但し、上述したように、N
RFはTFSグループにおけるRFチャネルの数であり、N
Cは
TFSサイクルの数である。周期的なシフトパターンは、(1,2,・・・,N
R−1)
のままである。
【0043】
コンポーネントインターリーバ140には、FECブロックが複数のTFSサイクルにインターリービングされる場合に、いくつかの2次元回転コンステレーションブロックの2個の成分が同じRFチャネルにマッピングされる、という問題がある。
より詳細には、複数の2次元回転コンステレーションブロックのうち、巡回シフトがN
RFの倍数である虚数インターリーバ行列の列に書き込まれた虚数成分を含む2次元回転コンステレーションブロックでは、当該2次元回転コンステレーションブロックの2個の成分は同じRFチャネルにマッピングされる。
【0044】
この具体例を
図11に示す。但し、
図11の具体例では、RFチャネルの数N
RFが3、TFSサイクルの数N
Cが2である。また、
図11には、初期マッピングの結果得られた
複素セルの実数成分と虚数成分がどのTFSサイクルとどのRFチャネルに割り当てられるかを示す情報も記している。
図11において、N
RFの倍数である3の巡回シフトを適用する虚数用インターリーバ行列の第3列及び第8列を、実数用インターリーバ行列の第3列及び第8列と比べて見ると、コンステレーションブロックの2つの成分(複素セルの実数成分と虚数成分)が同じRFチャネルにマッピングされていることが分かる。故に、コンポーネントインターリーバ140の性能は最適でない。
【0045】
上記の内容から、発明者は、従来のコンポーネントインターリーバ140が用いるシフトパターンのようにシフト量1,2,・・・,N
R−1の全てを含む場合に、いくつかの
コンフィギュレーションではコンステレーションブロックの成分のインターリービングが最適にならないことを理解した。
そこで、発明者はシフト量1,2,・・・,N
R−1の全てを含むシフトパターンを用
いたコンポーネントインターリービングがどのようなコンフィギュレーションで最適にならないかを検討した。
【0046】
その検討の結果、2つの顕著なコンフィギュレーションとして、(1)TFSを使用しない場合、(2)時間インターリービング期間で複数のTFSサイクルを含むTFSを使用する場合、であることを理解した。
本発明の一の観点によれば、シフトパターンにおいてとり得るシフト量の数を減ずることによって、コンポーネントインターリービングの性能をより良くすることができる。シフトパターンにおける異なるシフト量の数はN
R−1未満である。
【0047】
以下、TFSを使用しない場合のコンポーネントインターリーバを実施の形態1で、時間インターリービング期間で複数のTFSサイクルを含むTFSを使用する場合のコンポーネントインターリーバを実施の形態2で説明する。
≪実施の形態1≫
TFSを使用しない場合、D次元回転コンステレーションのD個の成分はFECブロックで均等に分散されるべきである。
【0048】
フレームを基にした通信システムでは、FECブロックが数フレーム(N
F>1)に分
散する場合、各コンステレーションブロックのD個の成分はN
F個のフレームにできるだ
け均等に分散される必要がある。DがN
Fより大きい場合、いくつかのフレームはいくつ
かのコンステレーションブロックの2以上の成分を送信する。この場合、この2以上の成分はフレームにできるだけ均等に分散される必要がある。
【0049】
図12(a)から(d)に、2次元回転コンステレーションブロック(2D−RC)と4次元回転コンステレーションブロック(4D−RC)の複数成分の分散の例を示す。
図12(a)、(b)、(c)、及び(d)は、夫々、FECブロックが1フレーム、2フレーム、3フレーム、及び4フレームにマッピングされる場合の、2D−RCの2個の成分のマッピングの例と、4D−RCの4個の成分のマッピングの例を示している。
【0050】
図12(a)から(d)の各図において、最も小さい正方形の1つは、1つの成分に相当する。また、各図の斜線付きの正方形のグループは、同じ2D−RCの2個の成分、又は、同じ4D−RCの4個の成分を表している。
2D−RCが4フレームに分散される場合、2D−RCの2つの成分をフレーム1とフレーム3に1つずつ、または、フレーム2とフレーム4に1つずつマッピングすると、全ての2D−RCの2つの成分の時間間隔が2フレームになることが保証されるため、
図12(d)に一例を示すマッピングが最善の手法であることが容易に分かる。
【0051】
2D−RCの2つの成分をフレーム1とフレーム2に1つずつ、または、フレーム3とフレーム4に1つずつマッピングした場合、2D−RCの2つの成分の時間間隔は全ての2D−RCにおいて同じになっているが、時間間隔は1フレームのみである。また、2D−RCの2つの成分をフレーム1とフレーム4に1つずつ、または、フレーム2とフレーム3に1つずつマッピングした場合、2D−RCの2つの成分の時間間隔の全ての2D−RCについての平均が2フレームであるが、2D−RCの2つの成分の時間間隔が全ての2D−RCにおいて同じではない(1フレームであったり、3フレームであったりする)。従って、これらのマッピングは、
図12(d)に一例を示すマッピングに比べて、よいマッピングにはなっていない。
【0052】
実施の形態1では、D次元回転コンステレーションブロックのD個の成分をFECブロックで均等に分散するために、(A1)実数用インターリーバ行列及び虚数用インターリーバ行列の行数N
Rを正確にDに選び、(A2)虚数用インターリーバ行列の全列におい
てD/2の巡回シフトを適用する。
以下、上記(A1)及び(A2)を満たすコンポーネントインターリービングを実行する送信機及び送信方法について図面を用いて説明する。
【0053】
<送信機及び送信方法>
図13は、本発明の実施の形態1の送信機100Aの構成を示すブロック図である。但し、実施の形態1では、≪発明者による検討及びそれから発明者が得た知見≫において記載した
図1の送信機100の各構成要素の説明を適用できる構成要素にはそれと同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0054】
図13の送信機100Aは、
図1の送信機100のコンポーネントインターリーバ140をコンポーネントインターリーバ140Aに置き換え、OFDM変調器170−1以外のOFDM変調器及び送信アンテナ180−1以外の送信アンテナを取り除いた構成である。なお、実施の形態1ではTFSを使用しないので、実施の形態1のスケジューラ160はスライスをRFチャネルに配置する機能は不要である。
【0055】
コンポーネントインターリーバ140Aは、FECブロックの複数の複素セル(初期マッピングの結果得られた複素セル)を入力とする。
コンポーネントインターリーバ140Aは、複数の複素セルの実数成分及び虚数成分を
夫々同一構造のD行の実数用インターリーバ行列及びD行の虚数用インターリーバ行列に列方向に書き込む。続いて、コンポーネントインターリーバ140Aは、虚数用インターリーバ行列の各列にシフト量D/2の巡回シフトを適用する。さらに続いて、コンポーネントインターリーバ140Aは、実数用インターリーバ行列及び虚数用インターリーバ行列から夫々実数成分及び虚数成分を行方向に読み出し、読み出した実数成分と虚数成分とから複素セルを形成し、形成した複素セルを下流の処理ブロックへ出力する。なお、複素セルを形成する実数成分と虚数成分は巡回シフト適用後における同じ行、同じ列の実数成分と虚数成分である。
【0056】
コンポーネントインターリーバ140Aから出力されるFECブロックは同サイズの連続するD個のセクションから構成される。各D次元回転コンステレーションブロックのD個の成分は、各セクションに1つずつ含まれ、FECブロックで均等に分散される。
コンポーネントインターリーバ140Aによるコンポーネントインターリービング処理の一の具体例を
図14から
図17を用いて説明する。但し、一の具体例では、コンステレーションが2次元回転コンステレーションであり、FECブロックの複素セルの数は24である。
【0057】
まず、コンポーネントインターリーバ140Aは、
図14の矢印で示される順序で、24個の複素セルの実数成分及び虚数成分を夫々D=2行の実数用インターリーバ行列及び虚数用インターリーバ行列に列方向に書き込む。
続いて、コンポーネントインターリーバ140Aは、
図14の虚数用インターリーバ行列の各列にシフト量D/2=1の巡回シフトを適用する。
図14に対する巡回シフトの適用結果は
図15に示すものとなる。
【0058】
さらに、コンポーネントインターリーバ140Aは、
図16の矢印で示される順序で、実数用インターリーバ行列及び虚数用インターリーバ行列から夫々実数成分及び虚数成分を行方向に読み出し、
図17に示すように読み出した実数成分と虚数成分とから複素セルを形成して出力する。
コンポーネントインターリーバ140Aによるコンポーネントインターリービング処理の他の具体例を
図18を用いて説明する。但し、他の具体例では、コンステレーションが4次元回転コンステレーションであり、FECブロックの複素セルの数は24である。
【0059】
まず、コンポーネントインターリーバ140Aは、24個の複素セルの実数成分及び虚数成分を夫々D=4行の実数用インターリーバ行列及び虚数用インターリーバ行列に列方向に書き込む。
続いて、コンポーネントインターリーバ140Aは、虚数用インターリーバ行列の各列にシフト量D/2=2の巡回シフトを適用する。
図18に巡回シフトの適用結果を示す。
【0060】
さらに、コンポーネントインターリーバ140Aは、実数用インターリーバ行列及び虚数用インターリーバ行列から夫々実数成分及び虚数成分を行方向に読み出し、読み出した実数成分と虚数成分とから複素セルを形成して出力する。
<受信機及び受信方法>
図19は、本発明の実施の形態1の受信機200Aの構成を示すブロック図である。
図19の受信機200Aは、
図13の送信機100Aに対応し、送信機100Aの機能を反映するものである。
【0061】
受信機200Aは、受信アンテナ210と、RF(radio-frequency)フロントエンド
220と、OFDM復調器230と、セル抽出部240と、時間デインターリーバ250と、コンポーネントデインターリーバ260と、コンステレーションデマッパ270と、前方誤り訂正(forward error correction:FEC)デコーダ280とを備える。
RFフロントエンド220は、受信アンテナ210の受信信号を入力とし、受信信号から所望のチャネルを選局するチューナ(不図示)、及びアナログRF信号をデジタルベースバンドへ変換するダウンコンバータ(不図示)を備える。なお、TFSを使用しない場合、RFフロントエンド220は常に同じRFチャネルを受信し、RFチャネルを切り換えるためのTFSスケジュール情報は必要でない。
【0062】
OFDM復調器230は、RFフロントエンド220からベースバンド信号を受け取り、受け取ったデジタルベースバンド信号をOFDM復調する。つまり、OFDM復調器230は、デジタルベースバンド信号を利用して伝送路フェージング係数を計算し、デジタルベースバンド信号から計算した伝送路フェージング係数を利用して複素シンボル(複素セル)を求める。そして、OFDM復調器230は、複素セルのストリームをセル抽出部240へ出力する。
【0063】
セル抽出部240は、所望のサービスやプログラムに属する複素セルを送信機によって通知された配置情報を基にセルストリームから抽出する。そして、時間デインターリーバ250は、抽出した複素セルを送信機100Aの時間インターリーバ150によるインターリービング前の並びにするために、デインターリービングする(時間デインターリービング)。時間デインターリービングにより、抽出された複素セルはFECブロックにまとめられ、各FECブロックは所定数の複素セルから構成される。
【0064】
コンポーネントデインターリーバ260は、各FECブロックの複素セルの実数成分及び虚数成分を夫々送信機のコンポーネントインターリーバ140によるインターリービング前の並びにするために、コンポーネントインターリーバ140が実数成分と虚数成分の夫々に適用したパーミュテーションと逆のパーミュテーションを適用することによって、デインターリービングする(コンポーネントデインターリービング)。
【0065】
例えば、コンポーネントデインターリーバ260は、複数の複素セルの実数成分及び虚数成分を夫々同一構造のD行の実数用インターリーバ行列及びD行の虚数用インターリーバ行列に行方向に書き込む。なお、コンポーネントデインターリーバ260が用いる実数用インターリーバ行列及び虚数用インターリーバ行列は送信機100Aのコンポーネントインターリーバ140Aが用いる実数用インターリーバ行列及び虚数用インターリーバ行列と同一構造である。
【0066】
続いて、コンポーネントデインターリーバ260は、虚数用インターリーバ行列の各列にシフト量D/2の巡回シフトを適用する。なお、インターリーバ行列の行数がDであるので、シフト量D/2の巡回シフトはシフト量(−D/2)の巡回シフトと等価である。
さらに続いて、コンポーネントデインターリーバ260は、実数用インターリーバ行列及び虚数用インターリーバ行列から夫々実数成分及び虚数成分を列方向に読み出し、読み出した実数成分と虚数成分とから複素セルを形成し、形成した複素セルを下流の処理ブロックへ出力する。なお、複素セルを形成する実数成分と虚数成分は巡回シフト適用後における同じ行、同じ列の実数成分と虚数成分である。
【0067】
コンステレーションデマッパ270は、コンポーネントデインターリーバ260から出力される複数の複素セルから、各D次元コンステレーションブロックのD個の実数シンボルに対応するD/2個の複素セルを抽出する。そして、コンステレーションデマッパ270は、抽出したD/2個の複素セルをグループとして復調することによって、グループ毎にD×B個の“ソフト”ビットを作り出す。なお、コンステレーションデマッパ270は、1処理ステップで、送信機100Aのコンステレーション回転ユニット130によるローテーションに対応するデローテーションと送信機100AのQAMマッパ120によるマッピングに対応するデマッピングを実行する。
【0068】
FECデコーダ280は、送信機100AのFECエンコーダ110が用いるFEC符号に基づいて、各FECブロックのソフトビットを復号し、更なる処理のために復号結果を下流の処理ブロックへ供給する。
≪実施の形態2≫
時間インターリービング期間で複数のTFSサイクルを含むTFSを使用する場合、上述したように、従来のコンポーネントインターリーバ140が巡回シフトに用いるシフトパターンは最適でない。
【0069】
以下、従来のコンポーネントインターリーバ140が巡回シフトに用いるシフトパターンを改良したシフトパターンを用いる送信機及び送信方法について図面を用いて説明する。
<送信機及び送信方法>
図20は、本発明の実施の形態2の送信機100Bの構成を示すブロック図である。なお、実施の形態2は、RFチャネル数が2以上、TFSサイクルの数が2以上の場合を対象としている。但し、実施の形態2では、≪発明者による検討及びそれから発明者が得た知見≫において記載した送信機100の各構成要素の説明を適用できる構成要素についてはそれと同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0070】
図20の送信機100Bは、
図1の送信機100のコンポーネントインターリーバ140をコンポーネントインターリーバ140Bに置き換えた構成である。コンポーネントインターリーバ140Bは、虚数用インターリーバ行列の列に適用する巡回シフトに、従来技術で説明した虚数用インターリーバ行列の列に適用するシフトパターンと異なるシフトパターンを用いる。
【0071】
コンポーネントインターリーバ140Bは、FECブロックの複数の複素セル(初期マッピングの結果得られた複素セル)を入力とする。コンポーネントインターリーバ140Bは、複数の複素セルの実数成分及び虚数成分を夫々同一構造のN
R行の実数用インター
リーバ行列及びN
R行の虚数用インターリーバ行列に列方向に書き込む。但し、N
RはN
RFより大きいN
RFの倍数であり、特に、N
R=N
RF×N
Cである。
【0072】
続いて、コンポーネントインターリーバ140Bは、所定のシフトパターンを構成する整数を順番に使用し、且つ、所定のシフトパターンを繰り返し使用し、虚数用インターリーバ行列の各列に使用する整数分の巡回シフトを適用する。
さらに続いて、コンポーネントインターリーバ140Bは、実数用インターリーバ行列と虚数用インターリーバ行列から夫々実数成分及び虚数成分を行方向に読み出し、読み出した実数成分と虚数成分とから複素セルを形成して下流の処理ブロックへ出力する。なお、複素セルを形成する実数成分と虚数成分は巡回シフト適用後における同じ行、同じ列の実数成分と虚数成分である。結果として、FECブロックは同サイズのN
R(=N
RF×N
C)個のスライスに分割される。
【0073】
コンポーネントインターリーバ140Bが虚数用インターリーバ行列の各列の巡回シフトに用いるシフトパターンはN
RFの倍数以外の整数によって構成される(N
RFの倍数を含まない)。なお、シフトパターンを構成する整数の数は1であってもよいし、複数であってもよい。
このようなシフトパターンを以下に例示する。
【0074】
<フルシフトパターン>
コンポーネントインターリーバ140Bは、巡回シフトに用いるシフトパターンとして、コンポーネントインターリーバ140が用いるシフトパターン(1,2,・・・,N
R
−1)から、N
RFの倍数となるシフト量を取り除いたフルシフトパターンを用いる。言い換えると、N
RFの倍数であるシフト量をスキップする。
【0075】
コンポーネントインターリーバ140Bが用いるフルシフトパターンの具体例として、RFチャネルの数N
RFが3、TFSサイクルの数N
Cが2の場合を記述する。
コンポーネントインターリーバ140Bが巡回シフトに用いるフルシフトパターンは、従来のシフトパターン(1,2,3,4,5)から、N
RF=3の倍数である“3”を取り除いた(1,2,4,5)である。
【0076】
フルシフトパターン(1,2,4,5)を用いて巡回シフトを適用した結果を
図21に示す。但し、
図21、並びに、後述する
図22には、初期マッピングの結果得られた複素セルの実数成分と虚数成分がどのTFSサイクルとどのRFチャネルに割り当てられるかを示す情報も記している。
各コンステレーションブロックの実数成分と虚数成分は2つの異なるRFチャネルにマッピングされているという意味において、コンステレーションブロックの成分のRFチャネルへのマッピングは最適なものとなっている。
【0077】
<ショートシフトパターンA>
フルシフトパターンは、コンステレーションの成分間の時間分離の観点において、改良可能である。FECブロックの複素セルが時間で単調に送信されるため、コンステレーションブロックの成分間の距離がFECブロック内で最大化される場合に、時間分離は最大化される。これが意味するところは、2次元回転コンステレーションブロックの場合、各2次元回転コンステレーションブロックの2つの成分間の距離がFECブロックの複素セルの数の半分である。
【0078】
TFSサイクルが1つのみである場合、時間分離向上のために、従来のコンポーネントインターリーバ140を改良することはできない。なぜなら、最大の時間分離の実現よりも重要である、コンステレーションブロックの成分のRFチャネルへの最適なマッピングを損なってしまうからである。
複数のTFSサイクルの場合、発明者は、コンステレーションブロックの成分のRFチャネルへの最適なマッピングに影響を及ぼすことなく、時間分離を改良可能であることを悟った。
【0079】
時間分離の改良は、上記のフルシフトパターンの要素数を減らすことによって実現される。一方、フルシフトパターンの要素数を減らしてもコンステレーションブロックの成分のRFチャネルへの最適なマッピングを保証することは可能である。後者は、シフトパターンが(N
RF−1)個の整数を含み、(N
RF−1)個の整数の夫々をN
RFで割った場合に余りの集合が1,2,・・・,N
RF−1の全ての整数を含むような、ショートシフトパターンAによって保証される。
【0080】
コンポーネントインターリーバ140Bは、巡回シフトに用いるシフトパターンとして、上記のショートシフトパターンAを用いる。
コンポーネントインターリーバ140Bが用いるショートシフトパターンAの具体例として、RFチャネルの数N
RFが3、TFSサイクルの数N
Cが2の場合を記述する。
フルシフトパターンは(1,2,4,5)を含み、ショートシフトパターンAは、そのうちのN
RF−1=2個のシフトのみを含む。RFチャネルへの最適なマッピングを保証するショートシフトパターンAは、(N
RF−1)=2個の整数の夫々をN
RF=3で割った場合に余りの集合が1,2になる、シフトパターン(1,2)、(2,4)、(4,5)、(1,5)である。確かに、これらのシフトパターンの2個の整数値の夫々をN
RF=3で割った余りの値は(1,2)、(2,1)、(1,2)、(1,2)になっている。
【0081】
<ショートシフトパターンB>
理想的なFECブロックの半分の値に可能な限り近くなるようなコンステレーションブロックの成分分離を保証するためには、フルシフトパターンから(N
RF−1)個の整数を注意深く選択する必要がある。例えば、選択された(N
RF−1)個の整数は、好ましくはN
R/2にできるだけ近い平均値を持つ。但し、N
Rは上述したように実数用インターリーバ行列及び虚数用インターリーバ行列の行数である。なお、N
Rが奇数の場合にはN
R/2が分数である(整数でない)。選択されるシフトパターンは平均値N
R/2の周りに集中
する、即ち少なくとも可能な標準偏差を持つ。
【0082】
コンポーネントインターリーバ140Bは、巡回シフトに用いるシフトパターンとして、ショートシフトパターンAのうち、それに含まれる(N
RF−1)個の整数値の平均がN
R/2である、ショートシフトパターンBを用いる。
コンポーネントインターリーバ140Bが用いるショートシフトパターンBの具体例として、RFチャネルの数N
RFが3、TFSサイクルの数N
Cが2の場合、つまり、N
R=6の場合を記述する。
【0083】
ショートシフトパターンBは(2,4)、(1,5)である。平均値は正確にN
R/2
=3となっている。(2,4)のショートシフトパターンBを用いて巡回シフトを適用した結果を
図22に示す。
平均値が正確にN
R/2のショートシフトパターンBが得られない場合がある。この場
合には、コンポーネントインターリーバ140Bが用いるショートシフトパターンとして、平均値がN
R/2未満でN
R/2に最も近い値、或いは、N
R/2を超えN
R/2に最も近い値になるようなシフトパターンを選択するようにしてもよい。これは、RFチャネル数とTFSサイクル数の双方が偶数の場合に起こる。
【0084】
<ショートシフトパターンC>
シフトパターンの平均値が正確にN
R/2でない場合、成分分離の平均値もまた正確に
FECブロックの半分にならない。必要であれば、シフトパターンの平均値を正確にN
R
/2にすることによって成分分離の平均値も正確にFECブロックの半分にすることができる。
【0085】
これは、次のような2つのショートシフトパターンを組み合わせたショートシフトパターンCを用いることによって実現できる。
1つ目のショートシフトパターンを、シフトパターン長が(N
RF−1)であり、(N
RF−1)個の整数の夫々をN
RFで割った場合に余りの集合が1,2,・・・,N
RF−1の全ての整数を含み、(N
RF−1)個の整数の平均値がN
R/2未満でN
R/2に最も近くなるように、或いは、N
R/2を超えN
R/2に最も近くなるような、シフトパターンとする。
【0086】
2つ目のショートシフトパターンを、N
Rから1つ目のショートシフトパターンの(N
RF−1)個の整数の夫々を減算して得られる(N
RF−1)個の整数を含む、シフトパター
ンとする。
1つ目のショートシフトパターンに2つ目のショートシフトパターンを付加したものをショートシフトパターンCとする。
【0087】
コンポーネントインターリーバ140Bは、巡回シフトに用いるシフトパターンとして、上記のショートシフトパターンCを用いる。
コンポーネントインターリーバ140Bが用いるショートシフトパターンCの具体例として、RFチャネルの数N
RFが4、TFSサイクルの数N
Cが2の場合を記述する。この
場合、フルシフトパターンAは(1,2,3,5,6,7)であり、N
R/2=4である
。
【0088】
(N
RF−1)=3個の整数の平均値がN
R/2=4未満で4に最も近い値になるような
、1つ目のショートシフトパターンは(2,3,5)であり、平均値は3.333である。2つ目のショートシフトパターンは(8−5,8−3,8−2)=(3,5,6)であり、平均値は4.666である。1つ目のショートシフトパターンに2つ目のショートシフトパターンを付加して得られるショートシフトパターンCは(2,3,5,3,5,6)であり、平均値は正確にN
R/2=4である。
【0089】
ショートシフトパターンC(2,3,5,3,5,6)を用いて巡回シフトを適用した結果を
図23に示す。但し、
図23では、虚数用インターリーバ行列のみ示している。
シフトパターン内の整数の順番は重要ではなく、上記の結合したシフトパターンは例えば(2,3,3,5,5,6)であってもよい。
フルシフトパターンとショートシフトパターンB,Cの内容を明確にする目的で、RFチャネルの数N
RFが2,3,4,5の場合におけるフルシフトパターンとショートシフトパターンB,Cを表1、表2、表3、表4に示す。但し、表1、表2、表3、及び表4の夫々には、TFSサイクルの数N
Cは2から5に関するフルシフトパターンとショートシ
フトパターンB,Cが示されている。ショートシフトパターンにおいて、シフトパターン長2×(N
RF−1)のショートシフトパターンCに「*」を付している。
【0093】
【表4】
<その他のシフトパターン>
コンポーネントインターリーバ140Bは、巡回シフトに用いるシフトパターンとして、複数の整数の夫々をN
RFで割った余りの集合が1,2,・・・、N
RF−1のうちの2以上の値を含むような、当該複数の整数を含むシフトパターン1を用いるようにしてもよい。
【0094】
また、コンポーネントインターリーバ140Bは、巡回シフトに用いるシフトパターンとして、1個又は複数の整数の夫々をN
RFで割った商が1で余りが0でないような、当該1個又は複数の整数を含むシフトパターン2を用いるようにしてもよい。なお、余りの値は全てにおいて同じであってもよい。また、余りの集合が1,2,・・・,N
RF−1の全てを含むようなものであってもよい。この場合には、初期マッピングの結果得られた複素セルの実数成分が最後のTFSサイクルにマッピングされる場合を除いて、複素セルの実数成分と虚数成分とは隣り合うTFSサイクルにマッピングされるようになる。
【0095】
コンポーネントインターリーバ140Bが用いるシフトパターン2の具体例として、RFチャネルの数N
RFが4、TFSサイクルの数N
Cが3の場合を記述する。
コンポーネントインターリーバ140Bは、巡回シフトに用いるシフトパターン2として、商が1で余りが1,2,3であるシフトパターン2(5,6,7)を用いる。シフトパターン2(5,6,7)を用いて巡回シフトを適用した結果を
図24に示す。但し、
図24では、虚数用インターリーバ行列のみ示している。
【0096】
なお、上記で説明したコンポーネントインターリーバ140Bが巡回シフトに用いるシフトパターン内の整数の順番は重要ではなく、どのような順番であってもよい。
<受信機及び受信方法>
図25は、本発明の実施の形態2の受信機200Bの構成を示すブロック図である。
図25の受信機200Bは、
図20の送信機100Bに対応し、送信機100Bの機能を反映するものである。但し、実施の形態2の受信技術の説明では、実施の形態1の受信機2
00Aの各構成要素の説明を適用できる構成要素にはそれと同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0097】
受信機200Bは、実施の形態1の受信機200Aにホッピングスケジューリングユニット225を追加し、RFフロントエンド220及びコンポーネントインターリーバ260AをRFフロントエンド220B及びコンポーネントインターリーバ260Bに置き換えた構成をしている。
ホッピングスケジューリングユニット225は送信機100Bから通知されるTFSスケジューリング情報に基づいて、RFフロントエンド220Bが受信するRFチャネルをスケジューリングする。RFフロントエンド220Bはホッピングスケジューリングユニット225による制御を受けて受信するRFチャネルをホッピングする。なお、RFフロントエンド220Bのこれ以外の機能はRFフロントエンド220と実質的に同じである。
【0098】
コンポーネントデインターリーバ260Bは、各FECブロックの複数の複素セルの実数成分及び虚数成分を夫々送信機のコンポーネントインターリーバ140Bによるインターリービング前の並びにするために、コンポーネントインターリーバ140Bが実数成分と虚数成分の夫々に適用したパーミュテーションと逆のパーミュテーションを適用することによって、デインターリービングする(コンポーネントデインターリービング)。
【0099】
具体的には、コンポーネントデインターリーバ260Bは、複数の複素セルの実数成分及び虚数成分を夫々同一構造のN
R行の実数用インターリーバ行列及びN
R行の虚数用インターリーバ行列に行方向に書き込む。なお、コンポーネントデインターリーバ260Bが用いる実数用インターリーバ行列及び虚数用インターリーバ行列は送信機100Bのコンポーネントインターリーバ140Bが用いる実数用インターリーバ行列及び虚数用インターリーバ行列と同一構造である。
【0100】
続いて、コンポーネントデインターリーバ260Bは、所定のシフトパターンを構成する整数を順番に使用し、且つ、所定のシフトパターンを繰り返し使用し、虚数用インターリーバ行列の各列に使用する整数に(−1)を乗算して得られた値分の巡回シフトを適用する。なお、コンポーネントデインターリーバ260Bが用いる所定のシフトパターンは、コンポーネントインターリーバ140Bが用いる所定のシフトパターンと同一である。
【0101】
さらに続いて、コンポーネントデインターリーバ260Bは、実数用インターリーバ行列及び虚数用インターリーバ行列から夫々実数成分及び虚数成分を列方向に読み出し、読み出した実数成分と虚数成分とから複素セルを形成し、形成した複素セルを下流の処理ブロックへ出力する。なお、複素セルを形成する実数成分と虚数成分は巡回シフト適用後における同じ行、同じ列の実数成分と虚数成分である。
【0102】
≪補足(その1)≫
本発明は上記の実施の形態で説明した内容に限定されず、本発明の目的とそれに関連又は付随する目的を達成するためのいかなる形態においても実施可能であり、例えば、以下であってもよい。
(1)上記の実施の形態1,2では、誤り訂正符号としてFEC符号を例に挙げて説明したが、上記の実施の形態1,2の送信技術及び受信技術はFEC符号以外の誤り訂正符号に対しても適用可能である。
【0103】
(2)上記の実施の形態1,2の送信機にQAMマッパの下流に複素QAMシンボルを並び替えるインターリーバを設け、またはQAMマッパの上流に2×B個のビットをグループにしてグループを並び替えるインターリーバを設けるようにしてもよい。また、この
場合、受信機にQAMデマッパの下流に2×B個のソフトビットをグループにしてグループを並び替えるデインターリーバを設けるようにする。
【0104】
(3)上記の実施の形態1,2では、OFDM変調を例に挙げて説明したが、上記の実施の形態1,2の送信技術及び受信技術はOFDM変調以外のマルチキャリア変調やシングルキャリア変調に適用することが可能である。
(4)上記の実施の形態1,2では、巡回シフトを虚数用インターリーバ行列に適用しているが、これに限定されるものではなく、巡回シフトを実数用インターリーバ行列に適用してもよい。
【0105】
(5)上記の実施の形態は、ハードウェアとソフトウェアを使った実装に関するものであってもよい。上記の実施の形態はコンピューティングデバイス(プロセッサ)を使って実装又は実行されてもよい。コンピューティングデバイスまたはプロセッサは、例えば、メインプロセッサ/汎用プロセッサ(general purpose processor)、デジタル信号プロ
セッサ(DSP)、ASIC(application specific integrated circuit)、FPGA
(field programmable gate array)、他のプロラマブル論理デバイスなどであってよい
。上記の実施の形態は、これらのデバイスの結合によって実行され、あるいは、実現されてもよい。
【0106】
(6)上記の実施の形態は、プロセッサによって、または、直接ハードウェアによって実行される、ソフトウェアモジュールの仕組みによって実現されてもよい。また、ソフトウェアモジュールとハードウェア実装の組み合わせも可能である。ソフトウェアモジュールは、様々な種類のコンピュータ読み取り可能なストレージメディア、例えば、RAM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、レジスタ、ハードディスク、CD−ROM、DVDなど、に保存されてもよい。
【0107】
≪補足(その2)≫
実施の形態等に係る送信処理方法、送信機、受信処理方法、および受信機とその効果についてまとめる。
第1の送信方法は、N
RF(N
RFは1より大きい整数)個の周波数チャネルでデジタルデータを送信する送信方法であって、所定長のデータブロック毎に、誤り訂正符号を用いてデータブロックを符号化する符号化ステップと、前記符号化により得られた符号化データブロックを実数成分と虚数成分とからなる複数の第1複素シンボルに変換する変換ステップと、実数成分及び虚数成分の一方を第1成分とし、他方を第2成分とした場合に、前記複数の第1複素シンボルの第1成分及び第2成分を夫々N
R行の第1インターリーバ行列
及びN
R行の第2インターリーバ行列に列方向に書き込む書き込みステップと、所定のシ
フトパターンに基づいて前記第2インターリーバ行列の各列に巡回シフトを適用する巡回シフトステップと、前記第1インターリーバ行列及び巡回シフト適用後の前記第2インターリーバ行列から、夫々、前記第1成分及び前記第2成分を行方向に読み出すことによって、複数の第2複素シンボルを生成する読み出しステップと、前記複数の第2複素シンボルを夫々対応する1つの周波数チャネルから送信する送信ステップとを有し、N
RはN
RF
より大きいN
RFの倍数であり、前記シフトパターンは前記巡回シフトに用いるシフト量としてN
RFの倍数以外の整数のみを含むことを特徴とする。
【0108】
第1の送信機は、N
RF(N
RFは1より大きい整数)個の周波数チャネルでデジタルデータを送信する送信機であって、所定長のデータブロック毎に、誤り訂正符号を用いてデータブロックを符号化する符号化部と、前記符号化により得られた符号化データブロックを実数成分と虚数成分とからなる複数の第1複素シンボルに変換する変換部と、実数成分及び虚数成分の一方を第1成分とし、他方を第2成分とした場合に、前記複数の第1複素シンボルの第1成分及び第2成分を夫々N
R行の第1インターリーバ行列及びN
R行の第2イ
ンターリーバ行列に列方向に書き込む書き込み部と、所定のシフトパターンに基づいて前記第2インターリーバ行列の各列に巡回シフトを適用する巡回シフト部と、前記第1インターリーバ行列及び巡回シフト適用後の前記第2インターリーバ行列から、夫々、前記第1成分及び前記第2成分を行方向に読み出すことによって、複数の第2複素シンボルを生成する読み出し部と、前記複数の第2複素シンボルを夫々対応する1つの周波数チャネルから送信する送信部とを有し、N
RはN
RFより大きいN
RFの倍数であり、前記シフトパタ
ーンは前記巡回シフトに用いるシフト量としてN
RFの倍数以外の整数のみを含むことを特徴とする。
【0109】
第1の送信方法又は第1の送信機によれば、第1複素シンボルの実数成分と虚数成分とが異なる周波数チャネルで送信可能になるため、周波数ダイバーシティの向上が図られる。
第2の送信方法は、第1の送信方法において、前記変換ステップは、前記符号化データブロックを所定数のビットずつ順次実数値シンボルにマッピングしていくことによって、複数の実数値シンボルを生成する実数値シンボル生成ステップと、前記複数の実数値シンボルにおいて、D個の前記実数値シンボルを要素とするD次元ベクトルの各々を、当該D次元ベクトルにD行D列の直交行列を乗算することによって、D個の実数シンボルを要素とするD次元回転ベクトルに変換することによって、複数のD次元回転ベクトルを生成し、前記複数のD次元回転ベクトルの夫々のD個の実数シンボルをD/2個の連続する前記第1複素シンボルにマッピングすることによって、前記複数の第1複素シンボルを生成する第1複素シンボル生成ステップとしてもよい。
【0110】
第2の送信方法によれば、回転コンステレーションの利用により、エラー耐性に対する更なる向上が図られる。
第3の送信方法は、第1の送信方法において、前記シフトパターンは、1以上(N
R−
1)以下の整数のうちN
RFの倍数を除く全ての整数を含むとしてもよい。
第3の送信方法によれば、様々なRFチャネルでの第1複素セルの実数成分と虚数成分との適した分散を得ることが可能になる。
【0111】
第4の送信方法は、第1の送信方法において、前記シフトパターンは(N
RF−1)個の整数を含み、前記(N
RF−1)個の整数は、当該(N
RF−1)個の整数の夫々をN
RFで割った余りの集合が1以上N
RF−1以下の全ての整数を含むような組み合わせであるとしてもよい。
第4の送信方法によれば、第1複素セルの実数成分と虚数成分との時間分離の向上が図られる。
【0112】
第5の送信方法は、第4の送信方法において、前記(N
RF−1)個の整数の平均値はN
R/2であるとしてもよい。
第5の送信方法によれば、第1複素セルの実数成分と虚数成分との適した時間分離を得ることが可能になる。
第6の送信方法は、第1の送信方法において、前記シフトパターンは2×(N
RF−1)個の整数を含み、前記2×(N
RF−1)個の整数のうちの(N
RF−1)個の整数は、当該(N
RF−1)個の整数の夫々をN
RFで割った余りの集合が1以上N
RF−1以下の全ての整数を含み、且つ、当該(N
RF−1)個の整数の平均値がN
R/2未満であってN
R/2に最も近い、又は、N
R/2より大きくN
R/2に最も近くなるような第1の組み合わせであり、前記2×(N
RF−1)個の整数のうちの残りの(N
RF−1)個の整数は、N
Rから前記
第1の組み合わせの各整数を減算して得られる整数の第2の組み合わせであるとしてもよい。
【0113】
第6の送信方法によれば、第1複素セルの実数成分と虚数成分との適した時間分離を得
ることが可能になる。
第7の送信方法は、第1の送信方法において、前記シフトパターンは、N
RFで割った余りが異なる2以上の整数を含むとしてもよい。
第7の送信方法によれば、様々なRFチャネルでの第1複素セルの実数成分と虚数成分との分散の向上が図られる。
【0114】
第8の送信方法は、第1の送信方法において、前記シフトパターンは、N
RFで割った商が1である1以上の整数を含むとしてもよい。
第8の送信方法によれば、第1複素セルの実数成分と虚数成分との適した時間分離を得ることが可能になる。
第1の受信方法は、N
RF(N
RFは1より大きい整数)個の周波数チャネルを切り換えながらデジタルデータを受信する受信方法であって、実数成分と虚数成分とからなる複数の第1複素シンボルを受信する受信ステップと、実数成分及び虚数成分の一方を第1成分とし、他方を第2成分とした場合に、前記複数の第1複素シンボルの第1成分及び第2成分を夫々N
R行の第1インターリーバ行列及びN
R行の第2インターリーバ行列に行方向に書き込む書き込みステップと、所定のシフトパターンに基づいて前記第2インターリーバ行列の各列に巡回シフトを適用する巡回シフトステップと、前記第1インターリーバ行列及び巡回シフト適用後の前記第2インターリーバ行列から、夫々、前記第1成分及び前記第2成分を列方向に読み出すことによって、複数の第2複素シンボルを生成する読み出しステップと、前記複数の第2複素シンボルを符号化データブロックに変換する変換ステップと、前記符号化データブロックを誤り訂正符号を用いて復号する復号ステップとを有し、N
RはN
RFより大きいN
RFの倍数であり、前記シフトパターンは前記巡回シフトに用いる
シフト量としてN
RFの倍数以外の整数のみを含むことを特徴とする。
【0115】
第1の受信機は、N
RF(N
RFは1より大きい整数)個の周波数チャネルを切り換えながらデジタルデータを受信する受信機であって、実数成分と虚数成分とからなる複数の第1複素シンボルを受信する受信部と、実数成分及び虚数成分の一方を第1成分とし、他方を第2成分とした場合に、前記複数の第1複素シンボルの第1成分及び第2成分を夫々N
R
行の第1インターリーバ行列及びN
R行の第2インターリーバ行列に行方向に書き込む書
き込み部と、所定のシフトパターンに基づいて前記第2インターリーバ行列の各列に巡回シフトを適用する巡回シフト部と、前記第1インターリーバ行列及び巡回シフト適用後の前記第2インターリーバ行列から、夫々、前記第1成分及び前記第2成分を列方向に読み出すことによって、複数の第2複素シンボルを生成する読み出し部と、前記複数の第2複素シンボルを符号化データブロックに変換する変換部と、前記符号化データブロックを誤り訂正符号を用いて復号する復号部とを有し、N
RはN
RFより大きいN
RFの倍数であり、
前記シフトパターンは前記巡回シフトに用いるシフト量としてN
RFの倍数以外の整数のみを含むことを特徴とする。
【0116】
第1の受信方法又は第1の受信機によれば、優れた周波数ダイバーシティを持つことができる。
第9の送信方法は、デジタルデータの送信方法であって、所定長のデータブロック毎に、誤り訂正符号を用いてデータブロックを符号化する符号化ステップと、前記符号化により得られた符号化データブロックを所定数のビットずつ順次実数値シンボルにマッピングしていくことによって複数の実数値シンボルを生成する実数値シンボル生成ステップと、前記複数の実数値シンボルにおいて、D個の前記実数値シンボルを要素とするD次元ベクトルの各々を、当該D次元ベクトルにD行D列の直交行列を乗算することによって、D個の実数シンボルを要素とするD次元回転ベクトルに変換することによって、複数のD次元回転ベクトルを生成し、前記複数のD次元回転ベクトルの夫々のD個の実数シンボルをD/2個の連続する実数成分と虚数成分とからなる第1複素シンボルにマッピングすることによって、複数の第1複素シンボルを生成する第1複素シンボル生成ステップと、実数成
分及び虚数成分の一方を第1成分とし、他方を第2成分とした場合に、前記複数の第1複素シンボルの第1成分及び第2成分を夫々D行の第1インターリーバ行列及びD行の第2インターリーバ行列に列方向に書き込む書き込みステップと、前記第2インターリーバ行列の各列にD/2の巡回シフトを適用する巡回シフトステップと、前記第1インターリーバ行列及び巡回シフト適用後の前記第2インターリーバ行列から、夫々、前記第1成分及び前記第2成分を行方向に読み出すことによって、複数の第2複素シンボルを生成する読み出しステップと、前記複数の第2複素シンボルを送信する送信ステップとを有することを特徴とする。
【0117】
第2の送信機は、デジタルデータの送信機であって、所定長のデータブロック毎に、誤り訂正符号を用いてデータブロックを符号化する符号化部と、前記符号化により得られた符号化データブロックを所定数のビットずつ順次実数値シンボルにマッピングしていくことによって複数の実数値シンボルを生成する実数値シンボル生成部と、前記複数の実数値シンボルにおいて、D個の前記実数値シンボルを要素とするD次元ベクトルの各々を、当該D次元ベクトルにD行D列の直交行列を乗算することによって、D個の実数シンボルを要素とするD次元回転ベクトルに変換することによって、複数のD次元回転ベクトルを生成し、前記複数のD次元回転ベクトルの夫々のD個の実数シンボルをD/2個の連続する実数成分と虚数成分とからなる第1複素シンボルにマッピングすることによって、複数の第1複素シンボルを生成する第1複素シンボル生成部と、実数成分及び虚数成分の一方を第1成分とし、他方を第2成分とした場合に、前記複数の第1複素シンボルの第1成分及び第2成分を夫々D行の第1インターリーバ行列及びD行の第2インターリーバ行列に列方向に書き込む書き込み部と、前記第2インターリーバ行列の各列にD/2の巡回シフトを適用する巡回シフト部と、前記第1インターリーバ行列及び巡回シフト適用後の前記第2インターリーバ行列から、夫々、前記第1成分及び前記第2成分を行方向に読み出すことによって、複数の第2複素シンボルを生成する読み出し部と、前記複数の第2複素シンボルを送信する送信部とを有することを特徴とする。
【0118】
第9の送信方法又は第2の送信機によれば、D次元回転コンステレーションブロックのD個の実数シンボルを均等かつ最小距離が大きくなるように分散することができ、これにより優れた時間ダイバーシィが得られる。
第2の受信方法は、デジタルデータの受信方法であって、実数成分及び虚数成分を含む複数の複素シンボルを受信する受信ステップと、実数成分及び虚数成分の一方を第1成分とし、他方を第2成分とした場合に、前記複数の第1複素シンボルの第1成分及び第2成分を夫々D行の第1インターリーバ行列及びD行の第2インターリーバ行列に行方向に書き込む書き込みステップと、前記第2インターリーバ行列の各列にD/2の巡回シフトを適用する巡回シフトステップと、前記第1インターリーバ行列及び巡回シフト適用後の前記第2インターリーバ行列から、夫々、前記第1成分及び前記第2成分を列方向に読み出すことによって、複数の第2複素シンボルを生成する読み出しステップと、前記複数の第2複素シンボルを符号化データブロックに変換する変換ステップと、前記符号化データブロックを誤り訂正符号を用いて復号する復号ステップとを有することを特徴とする。
【0119】
第2の受信機は、デジタルデータの受信機であって、実数成分及び虚数成分を含む複数の複素シンボルを受信する受信部と、実数成分及び虚数成分の一方を第1成分とし、他方を第2成分とした場合に、前記複数の第1複素シンボルの第1成分及び第2成分を夫々D行の第1インターリーバ行列及びD行の第2インターリーバ行列に行方向に書き込む書き込み部と、前記第2インターリーバ行列の各列にD/2の巡回シフトを適用する巡回シフト部と、前記第1インターリーバ行列及び巡回シフト適用後の前記第2インターリーバ行列から、夫々、前記第1成分及び前記第2成分を列方向に読み出すことによって、複数の第2複素シンボルを生成する読み出し部と、前記複数の第2複素シンボルを符号化データブロックに変換する変換部と、前記符号化データブロックを誤り訂正符号を用いて復号す
る復号部とを有することを特徴とする。
【0120】
第2の受信方法又は第2の受信機によれば、優れた時間ダイバーシティを持つことができる。