特許第5753337号(P5753337)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5753337細粒化フェリシアン化カリウムの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5753337
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】細粒化フェリシアン化カリウムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01C 3/12 20060101AFI20150702BHJP
【FI】
   C01C3/12
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2008-253072(P2008-253072)
(22)【出願日】2008年9月30日
(65)【公開番号】特開2010-83696(P2010-83696A)
(43)【公開日】2010年4月15日
【審査請求日】2011年7月8日
【審判番号】不服2014-9606(P2014-9606/J1)
【審判請求日】2014年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094248
【弁理士】
【氏名又は名称】楠本 高義
(72)【発明者】
【氏名】田中 貴文
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀樹
【合議体】
【審判長】 大橋 賢一
【審判官】 中澤 登
【審判官】 河原 英雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−269547(JP,A)
【文献】 特開2004−122107(JP,A)
【文献】 特開2005−199238(JP,A)
【文献】 特許第5406423(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01C 1/00- 3/20
B01J10/00-12/02,14/00-19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性有機溶媒を密閉経路内において一定流量で流すとともに、フェリシアン化カリウム水溶液を該密閉経路内へ一定流量で、該密閉経路を流れる該親水性有機溶媒の中心付近において流して、該親水性有機溶媒及び該フェリシアン化カリウム水溶液を空気と非接触状態で混合させて懸濁液を作製するステップ、を含む細粒化フェリシアン化カリウムの製造方法。
【請求項2】
前記フェリシアン化カリウム水溶液を、前記密閉経路内へ一定流量で、該密閉経路を流れる前記親水性有機溶媒の中心付近において、該親水性有機溶媒の流れ方向に流す請求項1に記載する細粒化フェリシアン化カリウムの製造方法。
【請求項3】
前記親水性有機溶媒の一定流量は、前記フェリシアン化カリウム水溶液の一定流量よりも大きい請求項2に記載する細粒化フェリシアン化カリウムの製造方法。
【請求項4】
前記密閉経路が親水性有機溶媒を供給する第一の経路及び該第一の経路に連続する第二の経路から構成され、フェリシアン化カリウム水溶液を該第二の経路内へ一定流量で流して、該親水性有機溶媒及び該フェリシアン化カリウム水溶液を空気と非接触状態で混合させる請求項1〜3のいずれかに記載する細粒化フェリシアン化カリウムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオセンサの反応部に含まれる電子受容体等として使用される細粒化フェリシアン化カリウム、及びその製造方法に関する。
【0002】
従来から、検体の血糖値等を測定するバイオセンサ及びその製造方法が案出されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載された製造方法の場合、バイオセンサの反応部は、作用電極及び対向電極上に酸化還元酵素及び電子受容体等を含む反応部用塗布液を塗布し乾燥して形成される。この電子受容体として、細粒化フェリシアン化カリウムが使用されている。
【0003】
従来、この細粒化フェリシアン化カリウムは、フェリシアン化カリウムを蒸留水に溶解させてフェリシアン化カリウム水溶液を作製し、この水溶液をエタノール中に滴下してフェリシアン化カリウムを沈殿させ、その後、遠心分離とエタノールによる洗浄とを行い、凍結乾燥することにより製造されていた。しかし、この製造方法によれば、作業が煩雑であり、効率的ではなかった。また、細粒化フェリシアン化カリウムの粒子径をより小さくする必要もある。そこで、細粒化フェリシアン化カリウムを効率良く製造できるとともに、反応が安定するように粒子径をより小さくできる細粒化フェリシアン化カリウムの製造方法が案出されている(例えば、特許文献2参照。)。ところが、さらに細粒化フェリシアン化カリウムの粒子径を小さくすることが望まれている。
【0004】
【特許文献1】国際公開第2004/017057号パンフレット
【特許文献2】特開2007−269547号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明者は、このような課題の原因を究明してこのような課題を解決するべく、鋭意研究を重ねた結果、本発明に至ったのである。
【0006】
すなわち、本発明は、粒子径をより小さくできる細粒化フェリシアン化カリウムの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の細粒化フェリシアン化カリウムの製造方法は、親水性有機溶媒を密閉経路内において一定流量で流すとともに、フェリシアン化カリウム水溶液を該密閉経路内へ一定流量で、該密閉経路を流れる該親水性有機溶媒の中心付近において流して、該親水性有機溶媒及び該フェリシアン化カリウム水溶液を空気と非接触状態で混合させて懸濁液を作製するステップ、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の細粒化フェリシアン化カリウムの製造方法は、前記細粒化フェリシアン化カリウムの製造方法において、前記フェリシアン化カリウム水溶液を、前記密閉経路内へ一定流量で、該密閉経路を流れる前記親水性有機溶媒の中心付近において、該親水性有機溶媒の流れ方向に流すことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の細粒化フェリシアン化カリウムの製造方法は、前記細粒化フェリシアン化カリウムの製造方法において、前記親水性有機溶媒の一定流量は、前記フェリシアン化カリウム水溶液の一定流量よりも大きいことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の細粒化フェリシアン化カリウムの製造方法は、前記細粒化フェリシアン化カリウムの製造方法において、前記密閉経路が親水性有機溶媒を供給する第一の経路及び該第一の経路に連続する第二の経路から構成され、フェリシアン化カリウム水溶液を該第二の経路内へ一定流量で流して、該親水性有機溶媒及び該フェリシアン化カリウム水溶液を空気と非接触状態で混合させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の細粒化フェリシアン化カリウムの製造方法によれば、フェリシアン化カリウム水溶液及び親水性有機溶媒を空気と非接触状態で混合させて懸濁液を作製することにより、実際に粒子のメディアン径(50%径)が、従来よりも小さい細粒化フェリシアン化カリウムを製造することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明に係る細粒化フェリシアン化カリウムの製造方法、及びその製造方法により製造した細粒化フェリシアン化カリウムについて、図面に基づいて詳しく説明する。
【0013】
本発明の細粒化フェリシアン化カリウムの製造方法は、フェリシアン化カリウム溶液を作製するステップと、懸濁液を作製するステップと、懸濁液を遠心分離して濃縮するステップと、濃縮された懸濁液を乾燥するステップとを含む製造方法である。なお、この懸濁液を乾燥させずに親水性有機溶媒で洗浄置換してペーストやスラリー化して使用してもよい。
【0014】
フェリシアン化カリウム水溶液を作製するステップは、フェリシアン化カリウムを水に溶解させフェリシアン化カリウム水溶液10を作製するステップである。フェリシアン化カリウム水溶液10のフェリシアン化カリウムの濃度は、製造効率を高めるためには、高い方が望ましい。
【0015】
懸濁液を作製するステップは、図1に示すように、親水性有機溶媒AをL字形状の密閉経路10内において一定流量で流すとともに、L字形状の曲角近辺においてフェリシアン化カリウム水溶液Bをニードル12から密閉経路10内へ一定流量で流して、親水性有機溶媒A及びフェリシアン化カリウム水溶液Bを空気と非接触状態で混合させて懸濁液Cを作製するステップである。密閉経路10は、親水性有機溶媒Aを供給する第一の経路14及び第一の経路14に対して直角方向に連続する第二の経路16から構成され、フェリシアン化カリウム水溶液Bをニードル12から第二の経路16内へ一定流量で流して、親水性有機溶媒A及びフェリシアン化カリウム水溶液Bを空気と非接触状態で混合させることができる。フェリシアン化カリウム水溶液Bは、密閉経路10を流れるエタノールAの中心付近においてニードル12からエタノールの流れ方向に流出させられるため、万遍なく混合される。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、親水性有機溶媒とは、フェリシアン化カリウムに対し非溶媒もしくは貧溶媒であってかつ水と混和性を持つ溶媒のことである。例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトンなどが挙げられるが特にはエタノールが好ましい。
【0016】
なお、ニードル12及び第一の経路14は、それぞれ、送液ポンプに接続されており、送液ポンプを駆動させることにより、流体を一定流量で流すことができる。エタノールAの一定流量(ml/S)は、フェリシアン化カリウム水溶液Bの一定流量(ml/S)の3〜20倍であり、特に好ましくは5〜16倍である。この倍率は、フェリシアン化カリウム水溶液Bに対するエタノールAの混合比を表わし、大きすぎると製造効率が悪くなる。
【0017】
懸濁液を遠心分離して濃縮するステップは、懸濁液Cを密閉経路10から取り出して遠心分離とエタノールによる洗浄を数回行うステップである。具体的には、遠心分離機により細粒化フェリシアン化カリウムを分離させた状態で不要なエタノールを除去した後エタノールを加え、混合する。これは、水分を除去するためである。また、濃縮された懸濁液を乾燥するステップは、この細粒化フェリシアン化カリウムを凍結乾燥して粉末状の細粒化フェリシアン化カリウムを得るステップである。常温や加熱による乾燥であってもよい。
【0018】
このような細粒化フェリシアン化カリウムの製造方法は、エタノールAを第一の経路14において一定流量で流すとともに、フェリシアン化カリウム水溶液Bをニードル12から第一の経路14において一定流量で流すから、一定の混合比で効率良く混合することができる。また、エタノール及びフェリシアン化カリウム水溶液の流量は送液ポンプによって制御できるため、その流量比を混合比として客観的に把握できる。
【0019】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はその他の態様でも実施できる。例えば、密閉経路10はL字形状に限定されず、図2に示すようなヘの字形状であってもよい。また、図3に示すような直線形状であってもよい。これらの場合、エタノールAをより円滑に流すことができると考えられる。
【0020】
その他、本発明の技術的範囲には、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変形を加えた態様も含まれる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、いずれかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
【実施例】
【0021】
以下のように、実際に本発明の製造方法によって細粒化フェリシアン化カリウムを製造して粒子径を測定した。
【0022】
(実施例1)
フェリシアン化カリウムを蒸留水に溶解させ25wt%-フェリシアン化カリウム水溶液を作製した。このフェリシアン化カリウム水溶液を0.41φmmニードルから0.83ml/s、95.4vol%エタノール溶液を5.0ml/s の流速で送液ポンプにてそれぞれ供給し、これらを接触方法Bにて合流混合させ、再沈殿させたフェリシアン化カリウムのエタノール懸濁液を得た。混合前の両溶液の温度は40℃に保った。その後、4℃、5分間の遠心分離(最大10,000G)と99.94vol%エタノールによる洗浄を3回行い、真空乾燥して細粒化フェリシアン化カリウムの粉末品を得た。
【0023】
(実施例2)
フェリシアン化カリウムを蒸留水に溶解させ25wt%-フェリシアン化カリウム水溶液を作製した。このフェリシアン化カリウム水溶液を0.41φmmニードルから0.83ml/s、95.4vol%エタノール溶液を8.3ml/s の流速で送液ポンプにてそれぞれ供給し、これらを接触方法Bにて合流混合させ、再沈殿させたフェリシアン化カリウムのエタノール懸濁液を得た。混合前の両溶液の温度は40℃に保った。その後、4℃、5分間の遠心分離(最大10,000G)と99.94vol%エタノールによる洗浄を3回行い、真空乾燥して細粒化フェリシアン化カリウムの粉末品を得た。
【0024】
(実施例3)
フェリシアン化カリウムを蒸留水に溶解させ25wt%-フェリシアン化カリウム水溶液を作製した。このフェリシアン化カリウム水溶液を0.19φmmニードルから0.26ml/s、95.4vol%エタノール溶液を2.6ml/s の流速で送液ポンプにてそれぞれ供給し、これらを接触方法Bにて合流混合させ、再沈殿させたフェリシアン化カリウムのエタノール懸濁液を得た。混合前の両溶液の温度は40℃に保った。その後、4℃、5分間の遠心分離(最大10,000G)と99.94vol%エタノールによる洗浄を3回行い、真空乾燥して細粒化フェリシアン化カリウムの粉末品を得た。
【0025】
(実施例4)
フェリシアン化カリウムを蒸留水に溶解させ25wt%-フェリシアン化カリウム水溶液を作製した。このフェリシアン化カリウム水溶液を0.41φmmニードルから0.83ml/s、99.94vol%エタノール溶液を5.0ml/s の流速で送液ポンプにてそれぞれ供給し、これらを接触方法Bにて合流混合させ、再沈殿させたフェリシアン化カリウムのエタノール懸濁液を得た。混合前の両溶液の温度は40℃に保った。その後、4℃、5分間の遠心分離(最大10,000G)と99.94vol%エタノールによる洗浄を3回行い、真空乾燥して細粒化フェリシアン化カリウムの粉末品を得た。
【0026】
(実施例5)
フェリシアン化カリウムを蒸留水に溶解させ25wt%-フェリシアン化カリウム水溶液を作製した。このフェリシアン化カリウム水溶液を0.41φmmニードルから0.83ml/s、95.4vol%エタノール溶液を5.0ml/s の流速で送液ポンプにてそれぞれ供給し、これらを接触方法Bにて合流混合させ、再沈殿させたフェリシアン化カリウムのエタノール懸濁液を得た。混合前の両溶液の温度は0℃に保った。その後、4℃、5分間の遠心分離(最大10,000G)と99.94vol%エタノールによる洗浄を3回行い、真空乾燥して細粒化フェリシアン化カリウムの粉末品を得た。
【0027】
(比較例1)
フェリシアン化カリウムを蒸留水に溶解させ25wt%-フェリシアン化カリウム水溶液を作製した。このフェリシアン化カリウム水溶液を0.41φmmニードルから0.83ml/s、95.4vol%エタノール溶液を5.0ml/s の流速で送液ポンプにてそれぞれ供給し、これらを接触方法Aにて合流混合させ、再沈殿させたフェリシアン化カリウムのエタノール懸濁液を得た。混合前の両溶液の温度は40℃に保った。その後、4℃、5分間の遠心分離(最大10,000G)と99.94vol%エタノールによる洗浄を3回行い、真空乾燥して細粒化フェリシアン化カリウムの粉末品を得た。
【0028】
(比較例2)
フェリシアン化カリウムを蒸留水に溶解させ25wt%-フェリシアン化カリウム水溶液を作製した。このフェリシアン化カリウム水溶液を0.41φmmニードルから0.83ml/s、95.4vol%エタノール溶液を8.3ml/s の流速で送液ポンプにてそれぞれ供給し、これらを接触方法Aにて合流混合させ、再沈殿させたフェリシアン化カリウムのエタノール懸濁液を得た。混合前の両溶液の温度は40℃に保った。その後、4℃、5分間の遠心分離(最大10,000G)と99.94vol%エタノールによる洗浄を3回行い、真空乾燥して細粒化フェリシアン化カリウムの粉末品を得た。
【0029】
(比較例3)
フェリシアン化カリウムを蒸留水に溶解させ25wt%-フェリシアン化カリウム水溶液を作製した。このフェリシアン化カリウム水溶液を0.19φmmニードルから0.26ml/s、95.4vol%エタノール溶液を2.6ml/s の流速で送液ポンプにてそれぞれ供給し、これらを接触方法Aにて合流混合させ、再沈殿させたフェリシアン化カリウムのエタノール懸濁液を得た。混合前の両溶液の温度は40℃に保った。その後、4℃、5分間の遠心分離(最大10,000G)と99.94vol%エタノールによる洗浄を3回行い、真空乾燥して細粒化フェリシアン化カリウムの粉末品を得た。
【0030】
(比較例4)
フェリシアン化カリウムを蒸留水に溶解させ25wt%-フェリシアン化カリウム水溶液を作製した。このフェリシアン化カリウム水溶液を0.41φmmニードルから0.83ml/s、99.94vol%エタノール溶液を5.0ml/s の流速で送液ポンプにてそれぞれ供給し、これらを接触方法Aにて合流混合させ、再沈殿させたフェリシアン化カリウムのエタノール懸濁液を得た。混合前の両溶液の温度は40℃に保った。その後、4℃、5分間の遠心分離(最大10,000G)と99.94vol%エタノールによる洗浄を3回行い、真空乾燥して細粒化フェリシアン化カリウムの粉末品を得た。
【0031】
(比較例5)
フェリシアン化カリウムを蒸留水に溶解させ25wt%-フェリシアン化カリウム水溶液を作製した。このフェリシアン化カリウム水溶液を0.41φmmニードルから0.83ml/s、95.4vol%エタノール溶液を5.0ml/s の流速で送液ポンプにてそれぞれ供給し、これらを接触方法Aにて合流混合させ、再沈殿させたフェリシアン化カリウムのエタノール懸濁液を得た。混合前の両溶液の温度は0℃に保った。
【0032】
(評価方法)
得られた細粒化フェリシアン化カリウムの粒子径を株式会社島津製作所製レーザ回折式粒度分布測定装置SALD−200VERにて測定した結果を表1及び表2に示す。なお、表1及び表2において、接触方法「B」とは、空気と非接触状態の図1に示す方法であり、接触方法「A」とは、空気と接触状態の図4に示す方法である。また、「フェリ」とは、フェリシアン化カリウムである。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
実施例1〜5について、表1に示すように、メディアン径(50%径)の平均値は1.7μmであった。これに対して、比較例1〜5については、表2に示すように、メディアン径の平均値は2.7μmであった。これにより、本発明の製造方法により製造した細粒化フェリシアン化カリウムの方が、比較例の製造方法により製造した細粒化フェリシアン化カリウムよりも、メディアン径が小さいことが判明した。
【0036】
また、図5(a)に示すように、エタノール純度を変えても,本発明の製造方法により製造した細粒化フェリシアン化カリウムの方が、比較例の製造方法により製造した細粒化フェリシアン化カリウムよりも、メディアン径が小さく、図5(b)に示すように、ニードル径を変えても,本発明の製造方法により製造した細粒化フェリシアン化カリウムの方が、比較例の製造方法により製造した細粒化フェリシアン化カリウムよりも、メディアン径が小さく、図5(c)に示すように、微粒子化温度を変えても,本発明の製造方法により製造した細粒化フェリシアン化カリウムの方が、比較例の製造方法により製造した細粒化フェリシアン化カリウムよりも、メディアン径が小さく、図5(d)に示すように、微粒子化温度を変えても,本発明の製造方法により製造した細粒化フェリシアン化カリウムの方が、比較例の製造方法により製造した細粒化フェリシアン化カリウムよりも、メディアン径が小さいことが判明した。さらに、図6において同一倍率の写真によって本発明の製造方法により製造した細粒化フェリシアン化カリウムと比較例の製造方法により製造した細粒化フェリシアン化カリウムとを視覚的に比較しても、本発明の製造方法により製造した細粒化フェリシアン化カリウムの方が、比較例の製造方法により製造した細粒化フェリシアン化カリウムよりも、メディアン径が小さいことが明らかである。なお、図5及び図6において、「close」は本発明の場合を、「open」は比較例の場合を示している。
【0037】
細かいメディアン径の粒子から成る細粒化フェリシアン化カリウムを得ることができれば、例えば、細粒化フェリシアン化カリウムをバイオセンサを製造するための電子受容体として塗布液に混入させて用いる場合に、塗布液中での沈降が生じ難くなる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の細粒化フェリシアン化カリウムの製造方法によれば、より粒子の小さい細粒化フェリシアン化カリウムを製造できる。このため、各種製品の原材料となる細粒化フェリシアン化カリウムの製造のために広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の細粒化フェリシアン化カリウムの製造方法における混合ステップを説明するための平面図である。
図2】本発明の細粒化フェリシアン化カリウムの製造方法における混合ステップの他の実施形態を説明するための平面図である。
図3】本発明の細粒化フェリシアン化カリウムの製造方法における混合ステップの更に他の実施形態を説明するための平面図である。
図4】従来の細粒化フェリシアン化カリウムの製造方法における混合ステップを説明するための平面図である。
図5】本発明の細粒化フェリシアン化カリウムの製造方法の効果を示すグラフであり、同図(a)はエタノール純度毎にメディアン径を比較したグラフであり、同図(b)はニードル径毎にメディアン径を比較したグラフであり、同図(c)は微粒子化温度毎にメディアン径を比較したグラフであり、同図(d)は流量比毎にメディアン径を比較したグラフである。
図6】本発明の細粒化フェリシアン化カリウムの製造方法の効果を示す写真である。
【符号の説明】
【0040】
A:エタノール
B:フェリシアン化カリウム水溶液
C:懸濁液
10:密閉経路
12:ニードル
14:第一の経路
16:第二の経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6