(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5753411
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】ヒューズユニット
(51)【国際特許分類】
H01H 85/15 20060101AFI20150702BHJP
【FI】
H01H85/15
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-52767(P2011-52767)
(22)【出願日】2011年3月10日
(65)【公開番号】特開2012-190643(P2012-190643A)
(43)【公開日】2012年10月4日
【審査請求日】2014年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】松村 記夫
(72)【発明者】
【氏名】木伏 秀典
【審査官】
岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−297683(JP,A)
【文献】
特開2005−190735(JP,A)
【文献】
特開2002−270082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 37/76
H01H 69/02
H01H 85/00−87/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電用接続部と出力用接続部と可溶部が設けられたバスバーと、前記給電用接続部と前記出力用接続部の前記バスバーの面を露出するように前記バスバーの外面に配置された絶縁保護部とを備え、
前記給電用接続部には、前記絶縁保護部が配置されずに前記バスバーの面が露出されて端子設置用凹部が設けられていることを特徴とするヒューズユニット。
【請求項2】
請求項1記載のヒューズユニットであって、
前記端子設置用凹部は、前記給電用接続部より前記バスバーの露出幅が小さいことを特徴とするヒューズユニット。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のヒューズユニットであって、
前記給電用接続部は、折曲部で折曲された前記バスバーの一方側に配置され、前記端子設置用凹部は、前記バスバーの折曲部に達する位置まで設けられていることを特徴とするヒューズユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒューズユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、いわゆるバッテリに直付けされるタイプのヒューズユニットが種々提案されている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。この種のヒューズユニットの一従来例が
図6に示されている。
【0003】
図6において、ヒューズユニット100は、バッテリ(図示せず)のバッテリポスト(図示せず)にバッテリ端子130を介して固定されている。ヒューズユニット100は、導電性金属板であるバスバー110と、このバスバー110の外面にインサート樹脂成形によって設けられた絶縁保護部120とを備えている。
【0004】
バスバー110は、バッテリ端子130が接続され、バッテリポスト(図示せず)側から給電を受ける給電用接続部111と、負荷側端子が接続される複数の出力用接続部112,(図示せず)と、給電用接続部111と出力用接続部112,(図示せず)との間に介在される可溶部(図示せず)とを有する。
【0005】
絶縁保護部120は、これら給電用接続部111及び出力用接続部112,(図示せず)や可溶部(図示せず)の箇所を除いてバスバー110の外周に配置されている。これによりヒューズユニット100の強度アップ等が図られている。又、絶縁保護部120によって出力用接続部(図示せず)のコネクタハウジング121が形成されている。
【0006】
給電用接続部111では、バスバー110の表裏の両面が絶縁保護部120で被われず、バスバー110の一端面110aを含めて露出している。給電用接続部111にはボルト挿通孔111aが形成されている。
【0007】
給電用接続部111では、露出されたバスバー110の一端面110aより突出させるようにバッテリ端子130をセットし、このようにセットしたバッテリ端子130と給電用接続部111をボルト挿通孔111aに挿通したボルト130aとナット(図示せず)で締結する。バッテリ端子130はバスバー110の露出面に密着状態で接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−73516号公報
【特許文献2】特開2010−277985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、
図6に示すように、電線Wに接続された接続端子131をバッテリ端子130に共締めする場合がある。前記従来例では、給電用接続部111の前方にはバッテリ端子113が配置され、給電用接続部111の後方には、絶縁保護部120(図面では符号120aを付した箇所)が配置されている。従って、接続端子131の設置位置及び電線Wの引出スペースとしては、給電用接続部111の下方スペースと上方スペースしかない。そのため、接続端子131としてL字状のものを使用し、電線Wを給電用接続部111の下方(
図6にて実線で示す)に引き出すか、電線Wを給電用接続部111の上方(
図6にて仮想線で示す)に引き出すかするしかなかった。以上のことより、接続端子131の設置パターン及び電線Wの引出方向に自由度が少ないという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、給電用接続部に接続端子をバッテリ端子と共に共締めするものにあって、接続端子の設置パターンとその電線の引出方向の自由度が高いヒューズユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、給電用接続部と出力用接続部と可溶部が設けられたバスバーと、前記給電用接続部及び前記出力用接続部の前記バスバーの面を露出するように前記バスバーの外面に配置された絶縁保護部とを備え、前記給電用接続
部には、前記絶縁保護部が配置されずに前記バスバーの面が露出されて端子設置用凹部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
前記端子設置用凹部は、前記給電用接続部より前記バスバーの露出幅が小さいことが好ましい。
【0013】
前記給電用接続部は、折曲部で折曲された前記バスバーの一方側に配置され、前記端子設置用凹部は、前記バスバーの折曲部の位置まで設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、接続端子を給電用接続部の上方スペース及び下方スペースのみならず端子設置用凹部を利用して設置できるため、接続端子の設置パターンとその電線の引出方向の自由度が高い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態を示し、ヒューズユニットの斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態を示し、下方に向かって電線を引き出す場合のバッテリ端子及び接続端子の配置状態を示すヒューズユニットの斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態を示し、上方又は後方(バッテリと反対側)に向かって電線を引き出す場合のバッテリ端子の配置状態を示すヒューズユニットの斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態を示し、上方に向かって電線を引き出す場合のバッテリ端子及び接続端子の配置状態を示すヒューズユニットの斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態を示し、後方(バッテリと反対側)に向かって電線を引き出す場合のバッテリ端子の配置状態を示すヒューズユニットの斜視図である。
【
図6】従来例を示し、ヒューズユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1〜
図5は本発明の一実施形態を示す。
図1に示すように、ヒューズユニット1は、所定形状の導電性金属板から形成されたバスバー2と、このバスバーの外面に配置された絶縁保護部20とを備えている。
【0018】
バスバー2には、バッテリポスト(図示せず)にバッテリ端子30を介して固定される給電用接続部3と、第1出力用接続部4と、4つの第2出力用接続部5(
図3〜
図5に示す)と、給電用接続部3と第1及び第2出力用接続部4,5の間にそれぞれ配置される可溶部(図示せず)とが形成されている。バスバー2は、折曲部2bで直角に折れ曲げられてL字状に形成されている。折れ曲がった一方側に給電用接続部3と第1出力用接続部4が、折れ曲がった他方側に可溶部(図示せず)と各第2出力用接続部4が配置されている。
【0019】
給電用接続部3には、ボルト挿通孔3aが形成されている。このボルト挿通孔3aを利用してバッテリ端子30が接続される。
【0020】
第1出力用接続部4には、ボルト圧入溝10が形成されている。各第2出力用接続部にはボルト螺入孔11がそれぞれ形成されている。ボルト圧入溝10及び各ボルト螺入孔11にはボルト12が挿入されている。各ボルト12は、その頭部が絶縁保護部20によって固定されている。第1出力用接続部4及び各第2出力用接続部5では、ボルト12を利用して相手端子(図示せず)が締結接続される。
【0021】
絶縁保護部20は、バスバー2とこれに仮固定されたボルト12とを共にインサート部品としてインサート成形によって形成されている。絶縁保護部20は、給電用接続部3、第1出力用接続部4、各第2出力用接続部5、各可溶部(図示せず)の各箇所を除くバスバー2の外周を基本的に被うように配置されている。給電用接続部3では、バスバー2の表裏の両面が絶縁保護部20で被われず、バスバー2の一端面2aを含めて露出している。又、給電用接続部
3には、絶縁保護部20が配置されずにバスバー2の面が露出されて端子設置用凹部13が設けられている。端子設置用凹部13は、給電用接続部3よりバスバー2の露出幅WDが小さく、接続端子31Cの幅より若干だけ大きい幅に設定されている。又、端子設置用凹部13は、バスバー2の折曲部2bの位置まで設けられている。これにより、バスバー2の折曲部2bは露出している。
【0022】
次に、給電用接続部3にバッテリ端子30と共締めする接続端子31A〜31Cの設置パターンを説明する。先ず、給電用接続部3の下方に向かって電線Wを引き出すように設置する場合には、
図2に示すように、接続端子31Aは、端子圧着部31aと電線加締部31bの間でほぼ直角に折れ曲がったL字状形態のもの(LA端子)を使用する。電線Wの引出方向を下方に向けて接続端子31Aをバッテリ端子30の固定ボルト30aに挿入する。そして、固定ボルト30aを給電用接続部3のボルト挿通孔3aに挿入する。その後、固定ボルト30aとナット32を締結する。接続端子31Aは、給電用接続部3の下方スペースを利用して設置される。
【0023】
次に、給電用接続部3の上方に向かって電線Wを引き出すように設置する場合には、
図3に示すように、給電用接続部3のボルト挿通孔3aにバッテリ端子30の固定ボルト30aを下から挿入する。そして、
図4に示すように、接続端子31Bは、端子圧着部31aと電線加締部31bの間でほぼ直角に折れ曲がったL字状形態のもの(LA端子)を使用する。電線Wの引出方向を上方に向けて接続端子31Bをバッテリ端子30の固定ボルト30aに挿入し、固定ボルト30aとナット32を締結する。接続端子31Bは、給電用接続部3の上方スペースを利用して設置される。また、接続端子31Bとして、端子圧着部31aと電線加締部31bの間でほぼ直角に折れ曲がったL字状形態で、且つ、端子圧着部31aの長寸法のものを使用する。そして、端子圧着部31aを給電用接続部3と端子設置用凹部13のバスバー2の露出面に沿って配置すると共に、電線加締部31bを下方に向けて配置することにより、給電用接続部3の後方(バッテリとは反対側)から電線Wを下方に引き出すことも出来る。
【0024】
次に、給電用接続部3の後方(バッテリとは反対側)に向かって水平に電線Wを引き出すように設置する場合には、
図3に示すように、給電用接続部3のボルト挿通孔3aにバッテリ端子30の固定ボルト30aを下から挿入する。そして、
図5に示すように、接続端子31Aは、端子圧着部31aと電線加締部31bが直線状であるストレート形態のもの(LA端子)を使用する。電線Wの引出方向をバッテリ側に向けて接続端子31Cをバッテリ端子30の固定ボルト30aに挿入する。その後、固定ボルト30aとナット32を締結する。接続端子31Cは、給電用接続部3と端子設置用凹部13のバスバー2の露出面に沿って設置される。
【0025】
以上説明したように、給電用接続部3の周囲には、絶縁保護部20が配置されずにバスバー2の面が露出されて端子設置用凹部13が設けられている。従って、給電用接続部3の上方スペース及び下方スペースのみならず端子設置用凹部13をも利用して接続端子31A〜31Cを設置できるため、接続端子31A〜31Cの設置パターン及び電線Wの引出方向の自由度が高くなる。
【0026】
端子設置用凹部13は、給電用接続部3よりバスバー2の露出幅WDが小さいため、ボルト30aとナット32の締結時における接続端子31Cの回り止めになる。又、バスバー2の露出面積を極力小さくできるため、強度低下を抑えることができる。
【0027】
給電用接続部3は、折曲部2bで折曲されたバスバー2の一方側に配置され、端子設置用凹部13は、バスバー2の折曲部2bの位置まで設けられている。従って、バスバー2の折曲部2bより外側に突出するように電線Wを引き出すことができるため、バスバー2の折曲部2bの外側スペースを有効利用できる。
【符号の説明】
【0028】
1 ヒューズユニット
2 バスバー
2b 折曲部
3 給電用接続部
4 第1出力用接続部(出力用接続部)
5 第2出力用接続部(出力用接続部)
13 端子設置用凹部
20 絶縁保護部