特許第5753428号(P5753428)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5753428
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】エンジン作業機
(51)【国際特許分類】
   F02B 63/00 20060101AFI20150702BHJP
   F02B 77/13 20060101ALI20150702BHJP
   F02B 67/00 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
   F02B63/00 C
   F02B63/00 B
   F02B77/13 M
   F02B77/13 N
   F02B77/13 R
   F02B67/00 D
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2011-85624(P2011-85624)
(22)【出願日】2011年4月7日
(65)【公開番号】特開2012-219704(P2012-219704A)
(43)【公開日】2012年11月12日
【審査請求日】2014年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】509264132
【氏名又は名称】株式会社やまびこ
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 徹
(72)【発明者】
【氏名】石川 智也
(72)【発明者】
【氏名】長尾 敏宏
【審査官】 佐藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭55−012040(JP,U)
【文献】 特開2010−249087(JP,A)
【文献】 特開2010−144679(JP,A)
【文献】 特開2009−299633(JP,A)
【文献】 特開平10−148135(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/032414(WO,A1)
【文献】 米国特許第06520124(US,B2)
【文献】 特開2005−042645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 63/00−06
F02B 67/00
F02B 77/00−14
F01M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンによって駆動される作業装置を含むエンジン作業機であって、
作業機本体と、前記作業機本体から漏れた漏洩液を受けるために前記作業機本体の下に配置されたオイルガードとを有し、
前記作業機本体は、エンジンと、作業装置と、前記エンジン及び前記作業装置を支持するベッドとを有し、前記ベッドは、漏洩液を前記オイルガードに通過させる孔と、前記オイルガードに取付けられる取付け底面を有し、
前記オイルガードは、前記作業機本体の取付け底面に取付けられる取付け上面と、前記取付け上面と平行な底壁とを有し、
前記作業機本体は、前記エンジン及び前記作業装置を覆うカバーを有し、
前記オイルガードは、漏洩液が貯められる容器部と、容器部の横に隣接して設けられたダクト部を有し、前記容器部は、長手方向に延びる側壁と、前記底壁とを含み、前記ダクト部は、前記側壁と、前記側壁の幅方向外側に設けられた外壁と、前記ベッドの取付け底面の間に形成され、前記ダクト部は、下向き又は横向きの開口を有し、前記エンジン及び前記作業装置を冷却するために、前記下向き又は横向きの開口、前記ダクト部、及び前記ベッドの取付け底面に設けられた下開口を通して、前記カバーの外部と内部とが通じる、ことを特徴とするエンジン作業機。
【請求項2】
前記ベッドは、前記ダクト部の上に位置し且つ長手方向に延びる管状のビームを有し、前記ビームは、前記取付け底面と、前記カバーの外部と通じる前記下開口と、内部の通気路と、前記カバーの内部に通じる開口を有することを特徴とする請求項1に記載のエンジン作業機。
【請求項3】
前記オイルガードは、更に、前記エンジン作業機を一定の移動方向に移動させることを可能にする少なくとも1対の車輪を有し、前記少なくとも1対の車輪全体の、前記移動方向に対して垂直である横方向の長さは、前記ベッドの前記横方向の長さよりも短く、前記車輪の上端は、前記オイルガードの底壁よりも上に位置し、
前記ダクト部の開口は、前記車輪の上端に隣接した位置に且つ前記車輪の軸の上方の位置に下向きに設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジン作業機。
【請求項4】
エンジンによって駆動される作業装置を含むエンジン作業機であって、
作業機本体と、前記作業機本体から漏れた漏洩液を受けるために前記作業機本体の下に配置されたオイルガードとを有し、
前記作業機本体は、エンジンと、作業装置と、前記エンジン及び前記作業装置を支持するベッドとを有し、前記ベッドは、漏洩液を前記オイルガードに通過させる孔と、前記オイルガードに取付けられる取付け底面を有し、
前記オイルガードは、前記作業機本体の取付け底面に取付けられる取付け上面と、前記取付け上面と平行な底壁とを有し、
前記作業機本体は、更に、前記エンジンの下に配置されたオイルパンを有し、前記オイルパンは、前記ベッドの孔を通って前記取付け底面から下方に突出し、
前記ベッドは、更に、前記取付け底面から下方に突出した矩形構造体を有し、
前記オイルパンの少なくとも一部は、前記ベッドの孔を通って取付け底面から下方に突出し、矩形構造体の内側に位置することを特徴とするエンジン作業機
【請求項5】
前記オイルガードは、更に、前記エンジン作業機を一定の移動方向に移動させることを可能にする少なくとも1対の車輪を有し、前記少なくとも1対の車輪全体の、前記移動方向に対して垂直である横方向の長さは、前記ベッドの前記横方向の長さよりも短く、前記車輪の上端は、前記オイルガードの底壁よりも上に位置する、ことを特徴とする請求項4に記載のエンジン作業機。
【請求項6】
エンジンによって駆動される作業装置を含むエンジン作業機であって、
作業機本体と、前記作業機本体から漏れた漏洩液を受けるために前記作業機本体の下に配置されたオイルガードとを有し、
前記作業機本体は、エンジンと、作業装置と、前記エンジン及び前記作業装置を支持するベッドと、前記作業装置の上方に配置された燃料タンクと、を有し、
前記作業機本体は、前記エンジン及び前記作業装置を覆うカバーを有し、
前記燃料タンクは、その上面に設けられた給油口を有し、
前記給油口の周りに内側環状壁が設けられ、前記内側環状壁の周りに外側環状壁が設けられ、前記給油口と前記内側環状壁の間に内側底壁が設けられ、前記給油口と前記内側環状壁の間の内側空間は、蓋によって塞がれ且つ前記オイルガードに通じ、前記内側環状壁と前記外側環状壁の間に外側底壁が設けられ、前記内側環状壁と前記外側環状壁の間の外側空間は、前記カバーの上面に設けられた溝に通じ、
前記内側底壁は、前記外側底壁よりも下に位置し、前記オイルガードに通じる排出管が、前記外側底壁よりも下で前記内側環状壁に接続され、
吊り金具が前記給油口の近傍に且つ前記外側底壁より上で前記溝内に配置され、
前記外側底壁は、前記溝に向かって下方に傾斜し、前記排出管は、前記溝から離れた位置で前記内側環状壁に接続されることを特徴とするエンジン作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン作業機に関し、更に詳細には、エンジン溶接機、エンジン発電機、エンジン圧縮機(コンプレッサー)等のエンジン作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン作業機は、河川や農地・下水工事などの土木工事、コンビナート施設内における設備補修などに用いられている。かかるエンジン作業機は、エンジン溶接機、エンジン発電機、エンジン圧縮機(コンプレッサー)等を含む。エンジン作業機は、ガソリンや軽油などの燃料、エンジンの冷却水(クーラント)、及びエンジン潤滑油などを用いるので、環境汚染防止のため、かかる油や水が漏れたときの対策を講じておく必要がある。そのため、作業の際、エンジン作業機の下に、漏れた油や水(漏洩液)を受ける別体のトレイを置いたり、ブルーシートを敷いたりするなどの養生を行っている。
【0003】
従来、漏洩液を受入れる容器であるオイルガードを予め組込んだり用意したりしたエンジン作業機が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。特許文献1に記載されたエンジン作業機は、定置型のものであり、オイルガードがエンジン作業機の本体の下に連結されて地面に置かれ、大型燃料タンクがオイルガード内に組込まれている。特許文献2に記載されたエンジン作業機は、移動型のものであり、オイルガードの底面に車輪が取付けられ、エンジン作業機がオイルガードの中に入れられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-257961号公報
【特許文献2】実用新案登録第3157040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来から知られているオイルガードを予め組込んだ定置型のエンジン作業機は、かなり大型のものであった。
【0006】
例えば、上記定置型のエンジン作業機では、オイルガードの内側に、エンジンの燃料タンクが配置され、燃料タンクの上に作業機本体(エンジン及び作業装置を含む)が配置されているので、燃料タンクの容量を確保するのに十分な燃料タンクの高さが必要であり、その結果として、エンジン作業機全体の高さが高くなっていた。
【0007】
また、オイルガードに収容できる漏洩液の量は、エンジン作業機に貯蔵される燃料、冷却水、エンジン潤滑油等の量よりも多くなるように一般的に設計されているが、雨水などがオイルガード内に浸入すると、漏洩液を収容する量が相対的に減り、結果として、漏洩液がオイルガードから溢れ、オイルガードから漏れた漏洩液で外部環境に影響を与えるおそれがある。漏洩液が外部に漏れるのを防ぐために、オイルガードを大きくすることにより、エンジン作業機を大型化させていた。
【0008】
また、オイルガードを組込んだ従来のエンジン作業機では、作業機本体の下にオイルガードが取付けられるため、作業機本体を冷却する冷却風の吸気口が作業機本体の側面に設けられている。しかしながら、作業機本体の側面に設けられた吸気口を通して、騒音が作業機本体の外部に漏れやすく、雨水がエンジン作業機内に浸入しやすい。かかる騒音や雨水の対策を講じると、作業機本体に設けられる吸気構造部が大きくなり、それに伴い、エンジン作業機を大型化させることになっていた。
【0009】
また、オイルガードを予め組込んだ定置型のエンジン作業機に、車輪を取付ける場合、オイルガードの底壁に取付け孔をあけると、オイルガード内の漏洩液が取付け孔を通って漏れるおそれがある。このため、オイルガードの側面又は底面にブラケットを設けて、それに車輪を支持させるようにする必要がある。例えば、オイルガードの側面にブラケットを設けた場合、車輪が、エンジン作業機の横に出っ張ってしまう。また、オイルガードの底面にブラケットを設けた場合、車輪の高さだけでなくブラケットの高さの分も、エンジン作業機の高さが高くなってしまう。このような場合も、エンジン作業機を大型化させることになる。
【0010】
また、特許文献2に記載されたエンジン作業機は、移動させることはできるが、嵩張ったものであった。
【0011】
一方、エンジン作業機(例えば、エンジン溶接機)を、コンビナートなどの工場敷設パイプライン補修に使用するとき、エンジン作業機を頻繁に移動させる要望があり、エンジン作業機に機動性が求められる。更に、エンジン作業機を狭い施設内通路を通して移動させる要望がある。しかしながら、定置型のエンジン作業機を頻繁に移動させることは困難である。
【0012】
そこで、本発明は、オイルガードを備えていてもコンパクト化を図ることができるエンジン作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明によるエンジン作業機は、エンジンによって駆動される作業装置を含むエンジン作業機であって、作業機本体と、作業機本体から漏れた漏洩液を受けるために作業機本体の下に配置されたオイルガードとを有し、作業機本体は、エンジンと、作業装置と、エンジン及び作業装置を支持するベッドとを有し、ベッドは、漏洩液をオイルガードに通過させる孔と、オイルガードに取付けられる取付け底面を有し、オイルガードは、作業機本体の取付け底面に取付けられる取付け上面と、取付け上面と平行な底壁とを有し、オイルガードは、更に、エンジン作業機を一定の移動方向に移動させることを可能にする少なくとも1対の車輪を有し、少なくとも1対の車輪全体の、移動方向に対して垂直である横方向の長さは、ベッドの上記横方向の長さよりも短く、車輪の上端は、オイルガードの底壁よりも上に位置することを特徴としている。
【0014】
このように構成された本発明によるエンジン作業機では、オイルガードにより漏洩液がエンジン作業機の外部に漏れることを防止している。更に、少なくとも1対の車輪全体の移動方向に対して垂直である横方向の長さが、ベッドの上記横方向の長さよりも短くなっているので、車輪はベッド幅からはみ出さない。また、車輪の上端は、オイルガードの底壁よりも上に位置しているので、車輪をオイルガードの底面に取付ける場合よりも、エンジン作業機の全高を低くすることができる。その結果、オイルガードを設けているにもかかわらず、コンパクト化を図ることができる。
【0015】
本発明によるエンジン作業機の実施形態において、好ましくは、作業機本体は、エンジン及び作業装置を覆うカバーを有し、オイルガードは、漏洩液が貯められる容器部と、容器部の横に隣接して設けられたダクト部を有し、ダクト部は、下向き又は横向きの開口を有し、エンジン及び作業装置を冷却するために、開口及びダクト部を介して且つベッドの中を通してカバーの外部と内部とが通じている。
【0016】
このように構成されたエンジン作業機では、エンジン及び作業装置を冷却するための冷却風が、カバーの外部から、オイルガードのダクト部に設けられた下向き又は横向きの開口及びオイルガードのダクト部を介して且つベッドの中を通して、カバーの内部に導かれる。開口が下向きの場合、風が横から吹いている場合でも、雨水は開口に入りにくい。また、開口が横向きの場合、横向きの風により、雨水は開口に入ることがあるが、吸気がダクト部にぶつかってからベッドの中を通してカバーの内部に導かれるのに対し、雨水は、ダクト部内で容器部にぶつかってダクト部内に落ちる。したがって、降雨時に風が横から吹いている場合であっても、冷却風だけがダクト部及びベッドの中を通って、カバーの内部に移動し、必要風量を確保しながら、雨水がカバー内に浸入することを防止することができる。また、冷却風の通路を通って、作業機本体の内部の騒音が外部に伝わっていくが、作業機本体の側面に吸気口が設けられている従来のエンジン作業機と異なり、騒音がカバーの内部から外部に直線的に騒音が伝わらない。即ち、エンジン作業機の内部の騒音がベッドを通過してオイルガードのダクトから開口を通ってエンジン作業機の外部に出て行くまでの経路は、壁面を有し且つ直線的ではない。このため、騒音が経路の壁面等にぶつかる際の反射により、騒音が軽減される。
【0017】
このように、本発明では、雨水浸入防止や騒音軽減のための構造を、オイルガードの容器部に隣接したダクト部に組込んだ状態で配置することができ、かかる構造を作業機本体に設ける必要がないので、オイルガードを設けているにもかかわらず、コンパクト化を図ることができる。
【0018】
本発明によるエンジン作業機の実施形態において、好ましくは、開口は、車輪の上端に隣接した位置に且つ車輪の軸の上方の位置に、下向きに設けられる。
【0019】
このように構成されたエンジン作業機では、オイルガードが、車輪の上端に隣接した位置に且つ車輪の軸の上方の位置に、カバーの外部と内部とを連通させるための下向きの開口を有しているので、エンジン内部の騒音が、車輪や容器部やダクト部の壁面等にぶつかって反射するときに軽減されると共に、地面に向かって出て行き、地面に反射するときに軽減される。また、降雨時に風が横から吹いている場合であっても、開口が下向きであるので、雨水が開口からカバー内部に侵入しにくく、必要風量を確保しながら雨水侵入を防止することができる。
【0020】
本発明によるエンジン作業機の実施形態において、好ましくは、作業機本体は、更に、燃料タンクと、燃料タンクの下に配置された燃料タンクトレイと、燃料タンクトレイに接続された排出管とを有し、燃料タンク及び燃料タンクトレイは、作業装置の上方に配置され、排出管は、燃料タンクトレイによって受入れた漏洩液をオイルガードに案内する。
【0021】
上述したように、オイルガードを予め組込んだエンジン作業機では、オイルガードの内側にエンジンの燃料タンクが配置されていると共に、燃料タンクの容量を確保するために燃料タンクの高さが高くなっている。従って、燃料タンクの高さに合わせて、オイルガードの高さも高くなり、その結果、作業機本体の位置が高くなり、エンジン作業機の全高が高くなっていた。一方、作業装置(例えば、発電機又はコンプレッサー)の全高は、エンジンの全高よりも一般的に低く、作業装置の上には空間が存在していた。したがって、上記のように構成されたエンジン作業機では、燃料タンクを作業装置の上に配置することにより、空間を有効に利用することができると共に、燃料タンクが作業機本体(エンジン及び作業装置)の下にないので、作業機本体の高さ方向の位置を低くすることができる。それにより、エンジン作業機の高さを低くすることができる。また、燃料タンクに亀裂等が発生した場合であっても、漏れた燃料は、燃料タンクトレイ及び排出管を介してオイルガードに案内され、カバー内部の高温部品の火災などの万一の事故を防止することができる。その結果、コンパクト化が可能な移動式のエンジン作業機を提供することができる。
【0022】
本発明によるエンジン作業機の実施形態において、好ましくは、作業機本体は、更に、エンジンの下に配置されたオイルパンを有し、ベッドは、更に、取付け底面から下方に突出した矩形構造体を有し、オイルパンの少なくとも一部は、ベッドの孔を通って取付け底面から下方に突出し、矩形構造体の内側に位置する。
【0023】
このように構成されたエンジン作業機では、オイルパンの少なくとも一部が、矩形構造体の内側に配置され、即ち、ベッドの底面より下方に位置しているため、オイルパンがベッドの底面よりも上に配置されている従来のエンジン作業機よりも、エンジン作業機の全高を低くすることができる。また、オイルガードを作業機本体から取外す場合、作業機本体を地面に置いたときに、ベッドの底面よりも下方に位置するオイルパンの部分が地面から離れた状態で、矩形構造体が地面に接触する。それにより、ベッドの底面よりも下方に位置するオイルパンを矩形構造体によって保護することができる。このように、矩形構造体があるため、オイルパンの一部分をベッドの底面よりも下方に配置することができ、その結果、オイルガードに対する作業機本体の高さを低くすることができ、結果として、オイルパンがベッドの底面よりも上に配置されている従来のエンジン作業機よりもエンジン作業機の全高を低くすることができる。
【0024】
また、上記目的を達成するために、本発明によるエンジン作業機は、エンジンによって駆動される作業装置を含むエンジン作業機であって、作業機本体と、作業機本体から漏れた漏洩液を受けるために作業機本体の下に配置されたオイルガードとを有し、作業機本体は、エンジンと、作業装置と、エンジン及び作業装置を支持するベッドと、作業装置の上方に配置された燃料タンクと、を有し、作業機本体は、エンジン及び作業装置を覆うカバーを有し、燃料タンクは、その上面に設けられた給油口を有し、給油口の周りにカバーの上面に設けられた内側環状壁が設けられ、内側環状壁の周りに外側環状壁が設けられ、給油口と内側環状壁の間に内側底壁が設けられ、給油口と内側環状壁の間の内側空間は、蓋によって塞がれ且つオイルガードに通じ、内側環状壁と外側環状壁の間に外側底壁が設けられ、内側環状壁と外側環状壁の間の外側空間は、溝に通じ、内側底壁は、外側底壁よりも下に位置し、オイルガードに通じる第2の排出管が、外側底壁よりも下で内側環状壁に接続され、吊り金具が、給油口の近傍に且つ外側底壁より上において溝内に配置され、外側底壁は、溝に向かって下方に傾斜し、第2の排出管は、溝から離れた位置で内側環状壁に接続される。
【0025】
このように構成されたエンジン作業機では、燃料タンクに燃料を注ぐときに燃料が給油口の周りにこぼれた場合、内側底壁から第2の排出管を介してオイルガードに排出される。一方、蓋と外側環状壁との間の隙間から侵入した雨水は、内側環状壁と外側環状壁の間の空間から外側底壁を伝って、カバーの上面の溝を通してエンジン作業機の外部に排出される。したがって、雨水がエンジン作業機の内部に入ることを防止することができる。
【0026】
更に、燃料タンクに対する吊り金具の位置を低くし、結果として、エンジン作業機1の全高を低くすることが可能になる。詳細には、仮に、外側底壁と内側底壁を同一の高さ位置に設けた場合、第2の排出管を、内側底壁から真下に向かって燃料タンクの方向に引出し、次いで、燃料タンクにぶつからないように第2の排出管を曲げてその方向を変える必要がある。このため、燃料タンク上面と内側底壁の間の距離を大きくする必要があり、その結果、エンジン作業機の全高が比較的高くなる。これに対して、本発明では、内側底壁が外側底壁よりも下に位置しているので、第2の排出管を、外側底壁よりも下で内側環状壁から横方向に引出すことができる。このため、燃料タンク上面と内側底壁の間の距離を比較的小さくすることができる。更に、吊り金具が給油口の近傍に且つ外側底壁より上においてカバーの上面の溝内に配置されているとき、外側底壁を、溝に向かって下方に傾斜させることにより、外側底壁が、溝から離れた位置に設けた第2の排出管と、外側底壁より上で溝に配置されている吊り金具の両方を避けるので、燃料タンクに対する吊り金具の位置を低くすることができる。その結果、カバーの上面と燃料タンクに挟まれた狭い空間で、第2の排出管と吊り金具の両方の取付けが可能になり、エンジン作業機の全高を、外側底壁と内側底壁を同一の高さ位置に設ける場合に比べて低くすることが可能になる。したがって、エンジン作業機のコンパクト化を図ることができる。
【発明の効果】
【0027】
上述したように、本発明により、オイルガードを備えていてもコンパクト化を図ることができるエンジン作業機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明によるエンジン作業機の斜視図である。
図2】カバーを省略した、作業機本体とオイルガードの分解斜視図である。
図3】ベッドとオイルガードの分解斜視図である。
図4】オイルガードの部分的な拡大断面図である。
図5】カバーを省略した、作業機本体とオイルガードの分解図である。
図6】燃料タンクの斜視図である。
図7】燃料タンクの断面図である。
図8】変形例のオイルガードの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明によるエンジン作業機の実施形態を説明する。
【0030】
図1に示すように、本発明の実施形態であるエンジン作業機1は、作業機本体2と、作業機本体2から漏れた漏洩液を受けるために作業機本体2の下に配置されたオイルガード4を有している。
【0031】
図2に示すように、作業機本体2は、エンジン6と、エンジン6によって駆動される作業装置8と、エンジン6及び作業装置8を支持するベッド10を有している。作業機本体2は、更に、エンジン6の下に配置されたエンジン6用のオイルパン12(図5参照)と、エンジン6及び作業装置8を覆う直方体状のカバー14(図5参照)と、燃料タンク16と、燃料タンク16の下に配置された燃料タンクトレイ18を有している。燃料タンク16及び燃料タンクトレイ18は、作業装置8の上方に配置されている。燃料タンクトレイ18には、オイルガード4に通じる排出管19が接続されている。カバー14の上面は平らであることが好ましい。
【0032】
エンジン6は、例えば、ガソリンエンジン又はディーゼルエンジンである。エンジン作業機1がエンジン発電機やエンジン溶接機の場合、作業装置8は、発電装置である。また、エンジン作業機1がエンジン圧縮機の場合、作業装置8は、コンプレッサである。
【0033】
図3に示すように、ベッド10は、漏洩液をオイルガード4に通過させる孔20と、オイルガード4にボルト(図示せず)によって取外し可能に取付けられる取付け底面22を有している。ベッド10は、本実施形態では、平面視において矩形をなし、長手方向Aに延びる2つのビーム24の間に略矩形の上記孔20が設けられ、孔20の上方に、エンジン6と、長手方向(エンジン6の出力方向、即ち、エンジン6の出力軸(図示せず)が延びる方向)Aにエンジン6に隣接して配置された作業装置8が配置されている。また、ベッド10は、長手方向Aに対して垂直な幅方向Bに延びる細長い部材26a、28aによって補強されている。細長い部材26a、28aについては、後で詳しく説明する。
【0034】
オイルガード4は、作業機本体2の取付け底面22にボルト(図示せず)によって取外し可能に取付けられる取付け上面30と、取付け上面30と平行な底壁32を有している。オイルガード4は、漏洩液が貯められる容器部34を有し、容器部34は、本実施形態では、長手方向Aに延びる2つの細長い部材である側壁34a、幅方向Bに延びる2つの細長い部材である側壁34b、及び底壁32によって形成されている。これらの壁32、34a、34bは、漏洩液が容器部34から漏れないように密封式に結合されている。容器部34は、その中に、幅方向に延びる3つのガイド壁36a、36b、36cを有し、その側面に、ドレン38を有している。尚、ガイド壁36a、36b、36cは、底壁32の補強材も兼ねている。
【0035】
オイルガード4は、更に、エンジン作業機1を一定の移動方向(本実施形態では、長手方向A)に移動させることを可能にする2対(合計4つ)の車輪40を有している。各対の車輪40は、軸42aによって支持され、軸42aは、ブラケット42bに支持されている。ブラケット42bを底壁32に取付けるナット42cは、容器部34の外側に配置されている。2対の車輪全体の幅方向(横方向)Bの長さは、ベッド10の幅方向Bの長さよりも短い。また、車輪40の上端40aは、オイルガードの底壁32よりも上に位置している。
【0036】
また、オイルガード4は、容器部34の横に隣接して設けられたダクト部35を有している。本実施形態では、容器部34の側壁34aの幅方向B外側に、外壁35aが設けられ、側壁34a、外壁35a、及びベッド10の取付け底面22の間に、ダクト部35が形成されている。ダクト部35の外壁35aは、横向きの開口35bを有している。ダクト部35は、下方に開放していてもよいし、閉鎖されていてもよい。ドレン38は、ダクト部35に隣接して、ダクト部35から幅方向Bに突出しないように設けられている。
【0037】
また、車輪40の移動方向Aの両側に仕切り壁40bが設けられている。仕切り壁40bの上端は、側壁34a及び外壁35aの上端よりも低く、車輪40の上方に位置する空間40cは、ダクト部35の一部を構成する。オイルガード4は、2つの仕切り壁40bの上端の間に且つ側壁34aと外壁35aの間に、空間40cと通じる下向きの開口44を有している。下向きの開口44は、車輪40の上端40aに隣接した位置に且つ車輪40の軸42aの上方に配置されることが好ましい。また、オイルガード4の外壁35aを、ビーム24の幅方向Bの外側の外壁24aに対して幅方向Bの内側に配置することより、雨水の水切り機能を有する段部23を設けてもよい。更に、雨水が外壁24a、35aの表面を伝わって内部に入ることを防止するために、車輪40の上方において、外壁24a、35aを下方に延長させて突出させ、延長部分で水切り機能を発揮させてもよい。
【0038】
ベッド10のビーム24は、その両端部が閉じた矩形断面の管状構造を有し、通気路46と、空間40c又はダクト部35に通じる下開口48aと、カバー14の内部に通じる開口48b(図3参照)を有している。本実施形態では、開口48bは、横向きに形成されているが、上向きでもよい。かくして、エンジン6及び作業装置8を冷却するために、横向きの開口35b、ダクト部35、下向きの開口44、車輪の上方の空間40c、ベッド10のビーム24の下開口48a、通気路46及び開口48bを介して、カバー14の外部と内部が連通している。
【0039】
図3及び図5に示すように、ベッド10は、取付け底面22から下方に突出し且つ幅方向Bに延びる細長い部材26a、28aを有している。本実施形態では、2つの細長い部材26aの両端部が、取付け底面22から下方に突出し且つ長手方向Aに延びる2つの細長い部材26bによって連結され、矩形の構造体26を形成している。2つの細長い部材26aの間の距離は、オイルガード4を作業機本体2に取付けるときに細長い部材26aがガイド壁36b、36cの一方に当接して案内され、それらの間に位置するように、2つのガイド壁36b、36cの間の距離よりも短く定められている。また、2つの細長い部材26bの間の距離は、オイルガード4を作業機本体2に取付けるときに細長い部材26bが側壁34aの一方に当接して案内され、それらの間に位置するように、2つの側壁34aの間の距離よりも短く定められている。これらの距離の差は、作業機本体2がオイルガード4に対して水平方向に約5度傾いても、矩形の構造体26が、ガイド壁36b、36cの間に入るように定められることが好ましい。
【0040】
同様に、2つの細長い部材28aの両端部が、長手方向Aに延びる2つの細長い部材28bによって連結され、矩形の構造体28を形成している。2つの細長い部材28aの間の距離は、オイルガード4を作業機本体2に取付けるときに細長い部材28aがガイド壁36aとそれに隣接した側壁34bの一方に当接して案内され、それらの間に位置するように、ガイド壁36aと上記側壁34bの間の距離よりも短く定められている。また、2つの細長い部材28bの間の距離は、オイルガード4を作業機本体2に取付けるときに細長い部材28bが側壁34aの一方に当接して案内され、それらの間に位置するように、2つの側壁34aの間の距離よりも短く定められている。これらの距離の差は、作業機本体2がオイルガード4に対して水平方向に約5度傾いても、矩形の構造体28が、ガイド壁36aと側壁34bの間に入るように定められることが好ましい。
【0041】
矩形の構造体26の底面26cは、他方の矩形の構造体28の底面28cと同一平面内にあることが好ましい。また、ベッド10の取付け底面22のうち、矩形の構造体26、28が設けられていない部分は、フォークリフトによって支持可能であることが好ましい。
【0042】
図5に示すように、オイルパン12の少なくとも一部は、孔20を通って取付け底面22から下方に突出し、2つの細長い部材26aと2つの細長い部材26bによって構成された矩形の構造体26の内側に位置している。また、ベッド10は、オイルガード4を作業機本体2に取付けたときにオイルガード4内の漏洩液レベルを検出するレベルセンサ50を有し、レベルセンサ50は、上記矩形の構造体の内側に配置され、作業機本体2の操作パネル70に接続され、詳細には、液面警告ランプ72に接続されている。
【0043】
図6及び図7に示すように、燃料タンク16は、その上面16a(図6参照)に設けられた給油口52を有している。また、カバー14は、給油口52の周りに配置された内側環状壁54と、内側環状壁54の周りに配置された外側環状壁56とを有している。給油口52と内側環状壁54の間に、内側底壁53が設けられ、給油口52と内側環状壁54の間の内側空間58は、蓋60によって塞がれ且つオイルガード4に通じている。また、内側環状壁54と外側環状壁56の間に外側底壁55が設けられ、内側環状壁54と外側環状壁56の間の外側空間62は、カバー14の上面に設けられ且つそれを幅方向Bに貫通する溝64に通じている。内側底壁53は、外側底壁55よりも下に位置し、オイルガード4に通じる第2の排出管68が、外側底壁55よりも下で内側環状壁54に接続され、横方向に引出されている。
【0044】
溝64内には、吊り金具66が設けられている。吊り金具66は、給油口52の近傍に且つ外側底壁55より上に配置され、幅方向Bの中央に1つ設けられている。本実施形態では、吊り金具66は、移動方向Aに延び且つ円柱形をなしている。吊り金具66の上縁は、カバー14及び蓋60と略同一平面内にあることが好ましい。吊り金具66は、外側底壁55より上で溝64内に配置され、外側底壁55が溝64に連結する高さ位置は、雨水の流れを妨げない程度に吊り金具66に近いことが好ましい。
【0045】
内側底壁53は、水平方向に配置され、外側底壁55は、溝64に向かって下方に傾斜している。第2の排出管68は、溝64から離れた位置で且つ外側底壁55よりも下で内側環状壁54に接続されている。それにより、外側底壁55が、溝64から離れた位置に設けた第2の排出管68と、外側底壁55より上で溝64に配置されている吊り金具66の両方を避けている。
【0046】
次に、本発明の実施形態によるエンジン作業機の作用等について説明する。
【0047】
ガソリンや軽油などの燃料、エンジンの冷却水、及びエンジン潤滑油などが漏れた場合、これらの漏洩液は、ベッド10の孔20を通ってオイルガード4の容器部34内に貯められる。容器部34を構成する側壁34a、34b及び底壁32は密封式に結合されているので、漏洩液がエンジン作業機の外部に漏れることを確実に防止することができる。
【0048】
2対の車輪40全体の幅方向Bの長さが、ベッド10の幅方向Bの長さよりも短くなっているので、車輪40はベッド10からはみ出さない。また、車輪40の上端40aは、オイルガード4の底壁よりも上に位置しているので、車輪40をオイルガード4の底面に取付ける場合よりも、エンジン作業機1の全高を低くすることができる。その結果、オイルガードを設けているにもかかわらず、コンパクトなエンジン作業機を構成することができる。
【0049】
ドレン38は、ダクト部35に隣接して、ダクト部35から幅方向Bに突出しないように設けられているので、ドレン38がエンジン作業機1から突出することはなく、また、オイルガードの容器部34にドレン38を取付けるための凹みを設ける必要がない。それにより、突出したドレン38に人や物が当たって、人がケガをしたり、ドレン38が破損したりすることを防止すると共に、ドレン38を取付けるための凹みを容器部34に設けないので、オイルガード4の溶接部が短い等の製作コストを削減することができる。
【0050】
エンジン作業機の作動中、カバー14の内部のエンジン6及び作業装置8は、高温になる。エンジン溶接機の場合、エンジン6を連続定格出力で使用するエンジン発電機に比べてエンジン最大出力付近まで負荷がかかるので、エンジンオイル及び作業装置8の温度が上昇傾向にある。従って、エンジン6のオイルパン12及び作業装置8を効率よく冷却する必要がある。本実施形態のエンジン作業機1では、オイルガード4に設けられた開口35b、ダクト部35、開口44、空間40c及びベッド10に設けられた通気路46及び開口48a、48bを通る空気流によって、エンジン6及び作業装置8を効率よく冷却する。
【0051】
また、降雨時に風がエンジン作業機1に吹き付けても、雨水は開口35b、44に入りにくい。即ち、下向きの開口44の場合、風が横から吹いている場合でも、雨水は開口44に入りにくい。また、横向きの開口35bの場合、横向きの風により、雨水は開口35bに入るが、ダクト部35内で容器部34の側壁34aにぶつかって、ダクト部35内に落ちる。したがって、降雨時に風が横から吹いている場合であっても、冷却風だけがダクト部35内を通って、カバー14の内部に移動し、必要風量を確保しながら、雨水がカバー14内に浸入することを防止することができる。その結果、降雨によりオイルガード4に貯まる雨水の量を軽減し、オイルガード4に溜めることができる容量を超えて漏洩液が外部に流出することを防止することができる。
【0052】
また、カバーの内部から外部に直線的に騒音が伝わらないので、騒音を軽減することもできる。特に、エンジン作業機1の騒音が、ビーム24の開口48b、通気路46、下向きの開口48a、及び下向きの開口44を通して下向きに放出されるとともに、車輪40の幅方向B内側の側壁34a、仕切り壁40b、車輪40等によって軽減され、更に、騒音が地面に出て行き地面に反射するときに軽減される。
【0053】
このように、本実施形態では、従来のエンジン作業機と異なり、エンジン作業機本体の側面に吸気口が設けられていないので、雨水侵入防止や騒音低減のために吸気構造部(ダクト構造など)を大きくする必要がない。その結果、オイルガードを設けているにもかかわらず、コンパクトなエンジン作業機を提供できる。
【0054】
エンジン作業機本体2において、オイルパン12の下面を、ベッド10の下面よりも下になるように配置したので、オイルパン12の下面がベッド10の下面又はそれよりも上になるように配置されていた従来のエンジン作業機本体よりも、ベッド10の下面から測定したエンジン作業機本体の高さを低くすることができる。すなわち、ベッド10に対するエンジン6及び作業装置8の位置を下げることができる。その結果、エンジン作業機1の全高を低くすることができる。この場合、オイルガード4に貯まった漏洩液がオイルパン12に接触しないように、適宜、かかる漏洩液をドレン38を通じてオイルガード4から排出することが好ましい。また、適当な期間をおいて、オイルガード4を作業機本体2から分離し、オイルガード4の清掃やメンテナンスをすることが好ましい。なお、オイルガード4を作業機本体2から分離させるために、オイルガード4の取付けボルト(図示せず)を取外し、作業機本体2を吊り金具66を介してクレーンで吊り上げたとき、オイルパン12がベッド10の下面から下方に出っ張ることになるが、オイルパン12は、矩形構造体26の内側に配置され且つ保護されているので、分離した作業機本体2を地面の上においたときや、オイルガード4を作業機本体2に取付ける際、オイルパン12を損傷させることを防止することができる。
【0055】
また、オイルガードを予め組込んだエンジン作業機では、オイルガードの内側に、エンジンの燃料タンクが配置されていると共に、燃料タンクの容量を確保するために燃料タンクの高さが高くなっている。従って、燃料タンクの高さに合わせて、オイルガードの高さも高くなり、その結果、作業機本体の位置が高くなり、エンジン作業機の全高が高くなっていた。一方、作業装置(例えば、発電機又はコンプレッサー)の全高は、エンジンの全高よりも一般的に低く、作業装置の上には空間が存在していた。したがって、上記のように構成されたエンジン作業機1では、燃料タンク16を作業装置8の上に配置することにより、空間を有効に利用することができると共に燃料タンク16が作業機本体2(エンジン6及び作業装置8)の下にないので作業機本体2の位置を低くすることができる。それにより、エンジン作業機1の高さを低くすることができる。
【0056】
また、燃料タンク16に亀裂等が発生した場合、漏れた燃料は、燃料タンクトレイ18及び排出管19を介してオイルガード4容器部34内に案内される。したがって、カバー14内部の高温部品に燃料等が達することを防止し、火災などの万一の事故が発生することを予防することができる。
【0057】
また、燃料タンク16に燃料を注ぐときに燃料が給油口52の周りにこぼれた場合、漏れた燃料は、内部空間58及び第2の排出管68を介してオイルガード4容器部34内に案内される。それにより、カバー14内部の高温部品に燃料等が達することを防止し、火災などの万一の事故が発生することを予防することができる。
【0058】
一方、カバー14と蓋60の間の隙間から外部空間62に侵入した雨水は、外側底壁55を伝って溝64から排出される。
【0059】
また、本実施形態では、燃料タンク16に対する吊り金具66の位置が低くなり、結果として、エンジン作業機1の全高を従来に比べて低くすることが可能になる。詳細には、仮に、外側底壁55と内側底壁53を同一の高さ位置に設けた場合、第2の排出管68を、内側底壁53から真下に向かって燃料タンク16の方向に引出し、次いで、燃料タンク16にぶつからないように第2の排出管68を曲げてその方向を変える必要がある。このため、燃料タンク上面14aと内側底壁53の間の距離を大きくする必要があり、その結果、エンジン作業機1の全高が比較的高くなる。これに対して、本実施形態では、内側底壁53を外側底壁55よりも下に位置しているので、第2の排出管68を外側底壁55よりも下で内側環状壁54から横方向に引出すことができる。このため、燃料タンク上面16aと内側底壁53の間の距離を比較的小さくすることができる。更に、吊り金具66が給油口52の近傍に且つ外側底壁55より上においてカバー14の上面14aの溝64内に配置されているとき、外側底壁55を、溝64に向かって下方に傾斜させることにより、外側底壁55が、溝64から離れた位置に設けた第2の排出管68と、外側底壁55より上で溝64に配置されている吊り金具66の両方を避けるので、燃料タンク16に対する吊り金具66の位置を低くすることができる。その結果、カバー14の上面14aと燃料タンク16に挟まれた狭い空間で、第2の排出管68と吊り金具66の取付けが可能になり、エンジン作業機1の全高を、外側底壁と内側底壁を同一の高さ位置に設ける場合に比べて低くすることが可能になる。したがって、エンジン作業機1のコンパクト化を図ることができる。
【0060】
また、コンパクトなエンジン作業機であるので、トラック搬送時のスペースや保管時のスペースが小さくてすみ、一定の保管場所での保管台数の増加が可能である。また、カバーの上面が平らであり、積み重ねることが可能である。
【0061】
また、オイルガード4を作業機本体2から取外したあと、オイルガード4を作業機本体2に再び取付けるとき、ベッドの取付け底面22から下方に突出する細長い部材26a、26b、28a、28bと、ガイド壁36a、36b、36cを設けたことにより、オイルガード4に対する作業機本体2の位置決めが容易になる。
【0062】
詳細には、オイルガード4の取付け上面30よりも上に出張っている部分がないので、作業機本体2をオイルガード4のすぐ上で水平方向に移動させて、作業機本体2をオイルガード4に近づけることができる。
【0063】
また、作業機本体2を吊り金具66及びロープを介してクレーンで吊り下げたとき、従来のエンジン作業機では、作業機本体2の出力方向(長手方向)Aの一方の側の縁を軽く押し下げて下がった方の縁をオイルガードの縁に合わせて位置決めしていた。しかしながら、作業機本体2が水平であるときの作業機本体2に対するクレーンの位置と、作業機本体2が傾いているときの作業機本体2に対するクレーンの位置が異なるため、作業機本体2の縁がオイルガード4の縁に接触した後、作業機本体2が水平になろうとしてオイルガード4の上を滑ったり、ロープを中心に作業機本体2が水平方向に回転しようとしたりして、作業機本体2の縁がオイルガード4の縁からずれてしまうことが多かった。そのため、縁がずれないようにもう1人の作業者が作業機本体2を押えていた。これに対して、本実施形態のエンジン作業機1では、例えば、吊り下げた作業機本体2の出力方向(長手方向)Aの一方の側の縁を少し押し下げて作業機本体2を傾斜させる。下がった方の細長い部材(突出部)26a又は28aをガイド壁(当接部)36c又は側壁(当接部)34bに当接させてから、作業機本体2を更に下げることにより、作業機本体2が水平になろうとしてオイルガード4の上を滑ろうとしても、細長い部材(突出部)26a、28aは、ガイド壁(当接部)36c又は側壁(当接部)34bに当接したままであり、ガイド壁(当接部)36c又は側壁(当接部)34bにより止められる。また、作業機本体2が回転しようとすると、細長い部材(突出部)26a、28aがガイド壁(当接部)36c又は側壁(当接部)34bによって止められ、更に好ましくは、細長い部材26b、28bが側壁34aにより止められる。かくして、オイルガード4に対する作業機本体2の出力方向Aの位置がずれることがない。また、オイルガード4に車輪40が設けられているので、作業機本体2の出力方向Aに対して横方向に延びる細長い部材と、出力方向Aに延びる細い部材が、オイルガード4のガイド壁及び側壁の内側に接触した時、作業機本体2とオイルガード4の位置が多少ずれていてもオイルガード4が作業機本体2に追従して動くか又は、作業機本体が水平方向に回転しながら、作業機本体2がオイルガード4の定位置に収まる。この一連の作業を作業者1人で行うことが可能であり、オイルガード4を作業機本体2から分離したりそれに再取付けしたりすることを更に容易にすることができる。作業機本体2が水平になろうとするときに、作業機本体2とオイルガード4が位置合わせされたまま、オイルガード4が車輪40によって移動し、作業機本体2とオイルガード4を正しい位置で取付けることができる。したがって、1人の作業者でも、オイルガード4に対する作業機本体2の位置決め、再取付けが容易になる。作業機本体2とオイルガード4とは、ボルト(図示せず)の脱着により、分離及び再取付けが可能である。
【0064】
燃料タンク16が、オイルガード4ではなく、作業機本体2に設けられているので、オイルガード4を作業機本体2から分離したりそれに再取付けしたりする度に、燃料タンク16とエンジン6との間の燃料配管の分離、結合をする手間を省くことが出来る。更に、燃料タンク16の燃料残容量を検出するセンサ(図示せず)と、作業機本体2の操作パネル70に設けられた燃料残容量表示ランプ74との間の配線を、分離、結合する必要がない。その結果、作業効率が向上する。
【0065】
また、オイルガード4の容器部34内の液面レベルを検出するセンサ50を、作業機本体2に取付けながら、ベッド10の下面から下方に突出させて、オイルガード4の容器部34内に位置するようにしているので、オイルガード4を作業機本体2から分離したりそれに再取付けしたりする際、センサ50と、作業機本体2の操作パネル70に設けられた液面警告ランプ72との間の配線を、分離、結合する必要がない。その結果、作業効率が向上する。
【0066】
オイルガード4を作業機本体2から分離し、作業機本体2を地面の上に置いたとき、カバー14の一部を取外して、ベッド10の上面を水等で容易に洗浄できる。従来のエンジン洗浄機では、エンジン作業機本体の下に置かれる台の周囲が閉鎖されており、台の内部に入った洗浄水が残り、台の内部やエンジン作業機の内部が錆びやすかった。これに対して、本実施形態では、洗浄水は、ベッド10の孔20及び細長い部材26a、26b、28a、28bの間を通って、外気と通じているので、水はけがよく乾燥しやすい。
【0067】
次に、図8を参照して、オイルガードの変形例を説明する。
【0068】
オイルガード4’は、作業機本体2の取付け底面22に取付けられる取付け上面30と、取付け上面30と平行な底壁32を有している。オイルガード4’は、漏洩液が貯められる容器部34’を有し、容器部34’は、本変形例では、長手方向Aに延びる2つの側壁34a’、幅方向Bに延びる2つの側壁34b、容器部34’と車輪40を隔てるカバー壁80、及び底壁32によって形成されている。これらの壁32、34a’、34b、80は、漏洩液が容器部34’から漏れないように密封式に結合されている。容器部34’は、その中に、幅方向に延びる3つのガイド壁36a、36b、36cを有し、その角部に、ドレン38を有している。カバー壁80のうち側壁34a’と平行な部分は、作業機本体2をオイルガードの上に下降させた後、作業機本体2が水平方向に回転しようとしたとき、細長い部材26bが止められる側壁として作用する。
【0069】
オイルガード4’は、更に、エンジン作業機1を一定の移動方向(本実施形態では、長手方向A)に移動させることを可能にする2対(合計4つ)の車輪40を有している。図示していないが、オイルガード4と同様、各対の車輪40は、軸42aによって支持され、軸42aは、ブラケット42bに支持されており、ブラケット42bを底壁32に取付けるナット42cは、容器部34’の外側に配置されている。2対の車輪全体の幅方向(横方向)Bの長さは、ベッド10の幅方向Bの長さよりも短い。また、車輪40の上端40aは、オイルガードの底壁よりも上に位置している。
【0070】
オイルガード4’は、車輪40の上端40aに隣接した位置に、カバー14の外部と内部とを連通させるための下向きの開口44を有している。開口44は、ベッド10のビーム24内の開口48a、通気路46を介して、カバー14の内部に通じている。
【0071】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0072】
上記実施形態では、車輪40は、2対であったが、移動に差し支えなければ、1対であってもよいし、3対以上であってもよい。
【0073】
また、ダクト部35に設ける開口は、下向きの開口44だけであってもよいし、横向きの開口35bだけであってもよい。
【0074】
上記実施形態では、オイルガード4に設けられた開口35b、ダクト部35、開口44、空間40c及びベッド10に設けられた通気路46及び開口48a、48bを通る空気流によって、エンジン6及び作業装置8を冷却していたが、かかる空気流の経路は任意である。
【0075】
また、上記実施形態では、内側環状壁54、外側環状壁56、内側底壁53、外側底壁55は、カバー14に設けられていたけれども、燃料タンク16に設けられていてもよい。
【0076】
本発明の突出部の形態は、オイルガードに対する作業機本体の出力方向又は横方向の滑りと、水平方向の回転を阻止することができれば任意であり、例えば、本実施形態のように1つの細長い部材26a、28aであってもよいし、横方向又は出力方向に間隔を置いた2つ以上の部材であってもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 エンジン作業機
2 作業機本体
4 オイルガード
6 エンジン
8 作業装置
10 ベッド
14 カバー
16 燃料タンク
16a 上面
18 燃料タンクトレイ
19 排出管
20 孔
22 取付け底面
30 取付け上面
32 底壁
35 ダクト部
35a 外壁
35b 横向きの開口
40 車輪
40a 車輪の上端
44 下向きの開口
52 給油口
53 内側底壁
54 内側環状壁
55 外側底壁
56 外側環状壁
60 蓋
64 溝
66 吊り金具
A 長手方向(移動方向)
B 幅方向(横方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8