特許第5753441号(P5753441)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5753441
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】紙製折箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 6/28 20060101AFI20150702BHJP
【FI】
   B65D6/28 A
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-123276(P2011-123276)
(22)【出願日】2011年6月1日
(65)【公開番号】特開2012-250728(P2012-250728A)
(43)【公開日】2012年12月20日
【審査請求日】2014年4月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000128898
【氏名又は名称】株式会社オリエンタル
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】吉川 吉彦
【審査官】 村山 美保
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0323867(US,A1)
【文献】 実開昭62−101718(JP,U)
【文献】 実開昭48−066924(JP,U)
【文献】 特開昭62−242501(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/062073(WO,A1)
【文献】 特開昭59−078806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 6/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
展開板材を折曲してなる紙製折箱において、表裏両面に紙と合成樹脂若しくは金属とからなるラミネート紙、若しくは合成樹脂製フィルムのいずれかからなる表面シートを貼設した前記展開板材の底板部と側板部との境界に沿って折縁となる凹条溝部を設け、前記凹条溝部は、前記底板部側の内面と前記側板部側の内面とを夫々内方に凹状となる湾曲面若しくはV字状面に形成し、前記側板部を前記底板部に対して起立方向に折曲して、この凹条溝部の前記底板部側の縁部と前記側板部側の縁部とを当接させた際に、前記凹条溝部の対向する内面間に前記底板部側の縁部と前記側板部側の縁部とが当接する前記内面の上端からこの凹条溝部の底頂部となる下端にかけて中央部ほど幅広となる形状の接着剤溜り部が形成されるように構成すると共に、前記底頂部に折代部となる平坦面を形成した構成とし、前記底板部に対して折曲立設する前記側板部は、切断上端面にシート材、転写インキ、合成樹脂被膜、若しくは含浸液のいずれかの被覆層を設けた構成とし、前記側板部を前記底板部に対して起立方向に折曲して前記展開板材を箱状に形成した際の前記凹条溝部の前記底板部側の縁部と前記側板部側の縁部とが当接した内面側接合部に、油膜、合成樹脂膜などの防水性を有する防水被膜を設けた構成としたことを特徴とする紙製折箱。
【請求項2】
前記側板部は、折曲立設した際に他の側板部と当接する切断側端面を傾斜状に形成して傾斜側端面とすると共に、この傾斜側端面を内方に凹状となる湾曲面に形成した構成として、前記側板部を前記底板部に対して起立方向に折曲して隣り合う側板部の切断側端面同士を突合せ状態にした際に、この切断側端面間に、この切断側端面の長さ方向中央部ほど幅広となる形状の接着剤溜り部が形成されるように構成したことを特徴とする請求項1記載の紙製折箱。
【請求項3】
前記被覆層7は、シート材、転写インキ、合成樹脂被膜、若しくは含浸液のいずれかをホットスタンプ加工で前記底板部に対して折曲立設する前記側板部の切断上端面に被着したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の紙製折箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば食品を収納する紙製折箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の折箱は、展開板材を折縁に沿って折曲する際に、スムーズに折曲することができ、更に、折曲部の外側が丸まらずにエッジの効いた綺麗な仕上がりとなるように、折縁に沿ってV字溝を形成したものが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−294342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、折曲部となるV字溝の内面に接着剤を塗って折曲部を接着固定する場合、このV字溝の内面が重合する際に、余分な接着剤を押し出し折曲部の内面側角部に押し出された接着剤がはみ出し見栄えが悪くなったり、或いは、このはみ出した接着剤を除去する工数が増え生産性を低下させる要因となり、また、接着剤がはみ出ないように接着剤の量を少なくすると、接着強度が低下し、接着部が剥がれ易くなってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点を解決し、組み立て時には折縁として設けた凹条溝部に沿ってスムーズに折曲でき、更に、折曲部の外面側角部が丸まらずにエッジの効いた綺麗な仕上がりとなり、しかも、接着剤で折曲部を接着する際も接着強度を落とすことなく、また、接着剤がはみ出ることもなく体裁がよく、実用性に優れた紙製折箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】
展開板材1を折曲してなる紙製折箱において、表裏両面に紙と合成樹脂若しくは金属とからなるラミネート紙、若しくは合成樹脂製フィルムのいずれかからなる表面シート6を貼設した前記展開板材1の底板部2と側板部3との境界に沿って折縁となる凹条溝部4を設け、前記凹条溝部4は、前記底板部2側の内面4aと前記側板部3側の内面4bとを夫々内方に凹状となる湾曲面若しくはV字状面に形成し、前記側板部3を前記底板部2に対して起立方向に折曲して、この凹条溝部4の前記底板部2側の縁部2aと前記側板部3側の縁部3aとを当接させた際に、前記凹条溝部4の対向する内面4a,4b間に前記底板部2側の縁部2aと前記側板部3側の縁部3aとが当接する前記内面4a,4bの上端からこの凹条溝部4の底頂部となる下端にかけて中央部ほど幅広となる形状の接着剤溜り部5が形成されるように構成すると共に、前記底頂部に折代部10となる平坦面を形成した構成とし、前記底板部2に対して折曲立設する前記側板部3は、切断上端面3bにシート材、転写インキ、合成樹脂被膜、若しくは含浸液のいずれかの被覆層7を設けた構成とし、前記側板部3を前記底板部2に対して起立方向に折曲して前記展開板材1を箱状に形成した際の前記凹条溝部4の前記底板部2側の縁部2aと前記側板部3側の縁部3aとが当接した内面側接合部8に、油膜、合成樹脂膜などの防水性を有する防水被膜9を設けた構成としたことを特徴とする紙製折箱に係るものである。
【0008】
また、前記側板部3は、折曲立設した際に他の側板部3と当接する切断側端面3cを傾斜状に形成して傾斜側端面とすると共に、この傾斜側端面を内方に凹状となる湾曲面に形成した構成として、前記側板部3を前記底板部2に対して起立方向に折曲して隣り合う側板部3の切断側端面3c同士を突合せ状態にした際に、この切断側端面3c間に、この切断側端面3cの長さ方向中央部ほど幅広となる形状の接着剤溜り部5が形成されるように構成したことを特徴とする請求項1記載の紙製折箱に係るものである。
【0009】
また、前記被覆層7は、シート材、転写インキ、合成樹脂被膜、若しくは含浸液のいずれかをホットスタンプ加工で前記底板部2に対して折曲立設する前記側板部3の切断上端面3bに被着したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の紙製折箱に係るものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上述のように構成したから、展開板材を折曲して折箱を組み立てる際、側板部を起立方向にスムーズに折曲でき、しかも、折曲部の外面側角部は丸まらずエッジの効いた綺麗な仕上がり状態となる。
【0011】
しかも、側板部を底板部に対して起立方向に折曲した際に、凹条溝部の内面によって余分な接着剤が押し出されることなく接着剤溜り部に留まり、底板部側の縁部と側板部側の縁部との内面側接合部に接着剤がはみ出さないので、体裁の良い綺麗な仕上がりとなり、更に、接着剤がはみ出る心配がないので、接着に必要な十分な量の接着剤を塗布することができるので、接着剤の量が足りずに接着強度が低下する問題も生じない。
【0012】
また更に、表面シートを貼設したことによって、例えば、防水性、耐久性、或いは、装飾性などの紙には無い機能が付与されるので、より一層実用性に優れた画期的な紙製折箱となる。
【0013】
また、請求項2記載の発明においては、側板部同士の端面の接合においても、接着剤がはみ出ることなく仕上がりが綺麗な体裁の良い紙製折箱となる。
【0014】
また、請求項記載の発明においては、極めて簡易な方法で切断端面に露出した紙を隠蔽し体裁の良い紙製折箱とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施例の展開板材の状態を示す説明平面図である。
図2】一部展開状態の本実施例を示す説明斜視図である。
図3】本実施例を示す説明斜視図である。
図4】本実施例の凹条溝部の内面形状の別例を示す断面図である。
図5】本実施例の凹条溝部の内面形状の別例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0017】
本発明は、側板部3を底板部2に対して起立方向に折曲し折縁となる凹条溝部4の対向する内面同士を突合せた際に、この対向する内面に囲まれた空間の接着剤溜り部5が形成されるので、折曲部を接着固定するために凹条溝部4の内面に接着剤を塗布してこの内面同士を接着する際、この凹条溝部4の内面に塗布した接着剤の余分な接着剤が押し出されることなく接着剤溜り部5に留まり、接着面からはみ出さないので内面側接合部8が綺麗に仕上がり体裁の良い紙製折箱となる。
【0018】
更に、本発明の展開板材1は紙製であるので、防水性や耐久性、或いは装飾性といった実用的な機能に乏しいが、展開板材1を箱状にした際の少なくとも内側となる面に防水性、耐久性、装飾性などの機能を有する表面シート6を貼設することで紙では補えない所望の実用的な機能を容易に付与することができる。例えば、表面シート6として樹脂フィルムを貼設した場合は、防水性と耐久性が向上して水分を含んでいる食品などの収納が可能となり、例えば、表面シート6としてあたかも紙に見えない高級感のある材質やデザインを有するラミネート紙を貼設した場合は、極めて容易に高級感のある紙製折箱に見せることができる実用性、機能性に優れた画期的な紙製折箱となる。
【0019】
また、側板部3を折曲立設した際の他の側板部3と当接する側板部3の切断側端面3cを傾斜状に形成して傾斜側端面とし、この傾斜側端面を内方に凹状となる凹状面に形成した構成とした場合は、側板部3で構成される周壁の角部が丸まらずエッジの効いた綺麗な仕上がりとなり、更に、凹状面に形成した切断側端面3c同士を付き合わせた際に、凹状面の切断側端面3cで囲われた接着剤溜り部5となる空間が形成されるので、底板部2と側板部3との折曲部を接着する際と同様、余分な接着剤が接着剤溜り部5に溜まるので、切断側端面3c同士の突合せ部に接着剤がはみ出さず見栄えを損ねない体裁の良い紙製折箱となる。
【実施例】
【0020】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0021】
本実施例は、図1に示すように、展開板材1の底板部2と側板部3との境界に沿って折縁となる凹条溝部4を設け、この凹条溝部4は、側板部3を底板部2に対して起立方向に折曲してこの凹条溝部4の底板部2側の縁部2aと側板部3側の縁部3aとが当接した際に、凹条溝部4の対向する内面間に接着剤溜り部5が形成される内面形状に構成し、展開板材1を箱状に形成した際の少なくとも内側となる面に防水性、耐久性、装飾性などの機能を有する表面シート6を貼設し、底板部2に対して折曲立設する側板部3の切断上端面3bに被覆層7を設けた構成とした紙製折箱である。
【0022】
具体的には、本実施例は、厚さ1mm程度の厚紙から成り、方形状の底板部2と、この底板部2の四辺に連設する四つの側板部3とで構成される展開板材1を折曲してなる紙製折箱である。
【0023】
本実施例の展開板材1は、図2に示すように、底板部2と側板部3との境界に沿って折縁となる凹条溝部4を設けており、この凹条溝部4は、側板部3を底板部2に対して起立方向に折曲してこの凹条溝部4の底板部2側の縁部2aと側板部3側の縁部3aとが当接した際に、凹条溝部4の対向する内面間に接着剤溜り部5が形成される内面形状に構成している。
【0024】
具体的には、凹条溝部4の内面となる底板部2側の切削面4aと側板部3側の切削面4bとを内方に凹状となる凹状面に形成し、側板部3を底板部2に対して起立方向に折曲してこの凹条溝部4の前記底板部2側の縁部2aと側板部3側の縁部3aとが当接した際に、凹状面に形成した底板部2側の切削面4aと凹状面に形成した側板部3側の切削面4bとで囲まれた空間ができるように構成し、この底板部2側の切削面4aと側板部3側の切削面4bとで囲まれた空間を接着剤溜り部5としている。
【0025】
尚、本実施例では、凹条溝部4の内面となる底板部2側の切削面4aと側板部3側の切削面4bの形状を図1に示すような内方に凹状となる湾曲面に形成し、側板部3を底板部2に対して起立方向に折曲してこの底板部2側の切削面4aと側板部3側の切削面4bとを突合せ状態にした際にラグビーボール形状の空間を形成してこれを接着剤溜り部5とした構成としている。
【0026】
尚、凹条溝部4の内面となる底板部2側の切削面4aと側板部3側の切削面4bの形状は、上記に限らず、図3図4に示すような、階段状に形成した凹状面やV字状の凹状面にしてもよく、側板部3を底板部2に対して起立方向に折曲してこの底板部2側の切削面4aと側板部3側の切削面4bとを突合せ状態にした際に、この底板部2側の切削面4aと側板部3側の切削面4bとで囲まれ接着剤溜り部5となり得る空間を形成し得る形状であれば適宜採用するものとする。
【0027】
また、本実施例では、凹条溝部4の底部(より詳しくは底頂部)に平坦面を形成し折代部10を設けた構成としている。
【0028】
具体的には、この折代部10がないと、折曲部である凹条溝部4の底板部2と側板部3との底部側が、縁部2a,3a側に比べて早く当接して互いに押し潰しあうことで寄り皺が生じ、この寄り皺が元に戻ろうとして(皺が伸びようとして)折曲部に、この折曲部を開こうとする力が作用し、その結果、凹条溝部4の底板部2側の縁部2aと側板部3側の縁部3aとの内面側接合部8に隙間が生ずる不具合が発生する可能性がある。よって、本実施例では、側板部3を底板部2に対して折曲した際に、凹条溝部4の底板部2と側板部3とが早く当接して互いに押し潰しあわないように折曲部の厚みに応じた幅を有する平坦面に形成した折代部10を設けて折皺が生じにくい構成としている。
【0029】
より具体的には、折代部10の幅は、展開板材1に凹条溝部4を削成した際のこの凹条溝部4の底部に位置する部分の残厚によって適宜設定するものであり、本実施例では、前記残厚を約0.2mmとなるように凹条溝部4を形成しているので、折代部10の幅を約0.2mmに設定した構成としている。
【0030】
また、本実施例の凹条溝部4は、この凹条溝部4の、底頂部と底板部2側の縁部2aとを結ぶ直線と、前記底頂部と側板部3側の縁部3aとを結ぶ直線とで成す夾角が90°となるように設定し、側板部3を底板部2に対して90°折曲して側板部3が立設状態となるように構成している。
【0031】
また、側板部3を底板部2に対して外方に傾斜状態に立設した箱状に構成する場合は、この凹条溝部4の、底頂部と底板部2側の縁部2aとを結ぶ直線と、前記底頂部と側板部3側の縁部3aとを結ぶ直線とで成す夾角を90°よりも小さい鋭角に設定すればよく、例えば、前記夾角を45°に設定すれば、底板部2と側板部3とで成す角度が135°となる開口部側が末広がり形状の折箱に構成することができる。
【0032】
このように、本実施例は、凹条溝部4の、底頂部と底板部2側の縁部2aとを結ぶ直線と、前記底頂部と側板部3側の縁部3aとを結ぶ直線とで成す夾角を所望の角度に設定し、側板部3を底板部2に対して折曲して凹条溝部4の底板部2側の縁部2aと側板部3側の縁部3aとを当接させた状態で固定するだけの容易な作業で一々仕上がり角度を測らなくとも所望の折曲角度をなす形状にすることができる作業性に優れた紙製折箱となる。
【0033】
また、方形状の底板部2の四辺に連設する四つの側板部3の夫々は、折曲立設した際に隣り合う側板部3と当接する切断側端面3cを傾斜状に形成して傾斜側端面とし、この傾斜側端面を内方に凹状となる凹状面に形成した構成としている。
【0034】
具体的には、図2に示すように、内方に凹状となる湾曲面に形成し、側板部3を底板部2に対して起立方向に折曲して隣り合う側板部3の切断側端面3c同士を突合せ状態にした際にラグビーボール形状の空間を形成するように構成し、この隣り合う側板部3の切断側端面3c同士で囲まれてできた空間を接着剤溜り部5とした構成としている。
【0035】
尚、側板部3の切断側端面3cの凹状面は、上記湾曲面に限らず、前述した凹条溝部4の内面形状と同様に、階段状に形成した凹状面やV字状の凹状面にしてもよく、隣り合う側板部3の切断側端面3c同士を突合せ状態にした際に、接着剤溜り部5となり得る空間を形成し得る形状であれば適宜採用するものとする。
【0036】
また、本実施例は、展開板材1を箱状に形成した際の少なくとも内側となる面に防水性、耐久性、装飾性などの実用的機能を有する表面シート6を貼設した構成としている。
【0037】
この表面シート6は、紙と合成樹脂若しくは金属とからなるラミネート紙、若しくは合成樹脂製フィルムのいずれかからなるもので、本実施例では、木目調にデザインした合成樹脂シートと紙製の基材シートとを積層したラミネート紙を内面、外面の両方に貼設した構成としている。
【0038】
尚、この表面シート6は、折曲して箱状にする前の展開状態の展開板材1に予め貼設したり、展開板材1を折曲して箱状に形成した後で張設したりしてもよい。本実施例では、展開状態の展開板材1の表裏に予め表面シート6を貼設した構成とし、この表面シート6を貼設した展開板材1に、表面シート6と展開板材1とを一緒に切削して凹条溝部4を形成することで、表面シート6の接合面同士が隙間なく接合でき、より一層綺麗な仕上がり状態となると共に、隙間がないので防水性にも優れた実用的なものとなる。
【0039】
また更に、本実施例では、底板部2に対して折曲立設する側板部3の切断上端面3bに被覆層7を設けた構成としている。
【0040】
この被覆層7は、シート材、転写インキ、合成樹脂被膜、若しくは含浸液のいずれかをホットスタンプ加工で底板部2に対して折曲し立設状態とした側板部3の切断上端面3bに被着した構成としている。
【0041】
即ち、側板部3を底板部2に対して90°折曲した箱羽状に形成した場合、側板部3は直立状態となり切断上端面3bは水平方向に平行な状態となるので、上方からホットスタンプを押し当てるだけの極めて簡易な作業で容易に側板部3の切断上端面3bに被覆層7を被着させることができ、本実施例では、この被覆層7に防水性を有する被覆層7を被着させた構成とし、切断上端面3bに露出した展開板材1の紙部分を隠蔽し、前述した表面シート6と合わせて紙製の展開板材1を完全に被覆し紙部分の露出を完全に隠蔽し防水機能を有する紙製折箱に構成している。
【0042】
また、この紙製折箱の防水性をより一層高めるために、本実施例では、図5に示すように、側板部3を底板部2に対して起立方向に折曲して展開板材1を箱状に形成した際の凹条溝部4の底板部2側の縁部2aと前記側板部3側の縁部3aとが当接した内面側接合部8に油膜、合成樹脂膜などの防水性を有する防水被膜9を設けた構成としている。
【0043】
尚、この防水被膜9は、上記箇所に限らず、側板部3の切断側端面3cの突合せ接合部の内面にも設け、より一層防水性を高めた構成としても良い。
【0044】
このように、本実施例は、展開板材1を箱状に形成した際のコーナー部を接着固定するために塗布する接着剤の余分な接着剤が箱内面にはみ出さずに接着剤溜り部5に収納されるので、接着剤のはみ出しがない綺麗な仕上がりの体裁の良い紙製折箱となる。
【0045】
しかも、接着剤のはみ出しを気にして接着剤の量を少なくする必要もないので接着強度が低下することもなく、更に、紙製の展開板材1を防水性並びに装飾性を有する表面シート6と被覆層7とで完全に被覆し紙部分の露出を完全に隠蔽した構成としたので防水性、耐久性、装飾性の全てを兼ね備えた体裁が良く、また、実用性にも優れた画期的な紙製折箱となる。
【0046】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0047】
1 展開板材
2 底板部
2a 縁部
3 側板部
3a 縁部
3b 切断上端面
3c 切断側端面
4 凹条溝部
4a 切削面
4b 切削面
5 接着剤溜り部
6 表面シート
7 被覆層
8 内面側接合部
9 防水被膜
10 折代部
図1
図2
図3
図4
図5