特許第5753489号(P5753489)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5753489超音波診断装置、および、超音波診断装置の作動方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5753489
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】超音波診断装置、および、超音波診断装置の作動方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/06 20060101AFI20150702BHJP
   A61B 8/14 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
   A61B8/06
   A61B8/14
【請求項の数】17
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2011-508381(P2011-508381)
(86)(22)【出願日】2010年4月7日
(86)【国際出願番号】JP2010056329
(87)【国際公開番号】WO2010117025
(87)【国際公開日】20101014
【審査請求日】2011年9月20日
(31)【優先権主張番号】特願2009-95535(P2009-95535)
(32)【優先日】2009年4月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153498
【氏名又は名称】株式会社日立メディコ
(74)【代理人】
【識別番号】110000888
【氏名又は名称】特許業務法人 山王坂特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】東 隆
【審査官】 樋熊 政一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−000620(JP,A)
【文献】 特開2009−005755(JP,A)
【文献】 特開2001−269341(JP,A)
【文献】 特開2002−165795(JP,A)
【文献】 特開平10−305035(JP,A)
【文献】 特開平06−189956(JP,A)
【文献】 特開平08−224238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00−8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像対象に超音波を送受信する探触子と、
前記探触子に受信された信号を元に画像データを構成する画像データ構成部と、
前記画像データの画素の複数時点における各輝度値を示す曲線である時間輝度変化曲線を生成する輝度変化曲線演算部と、
前記時間輝度変化曲線から求めた所定の評価指標の値から血流動態の分布像を構成する分布像構成部と、
前記血流動態の分布像を表示する表示部と、
を有し、
前記輝度変化曲線演算部は、前記画像データの前記画素ごとの輝度の差分を算出し、前記画素ごとの前記差分の総和に基づき、前記時間輝度変化曲線の生成を開始する始点を設定する
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波診断装置であって、前記輝度変化曲線演算部は、前記時間輝度変化曲線の始点の前記輝度値である初期値を、前記時間輝度変化曲線の各時点の輝度値から差分し、初期値を0値化することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項3】
空間における前記撮像対象の位置補正ベクトルを演算する位置補正ベクトル演算部を更に有し、
前記輝度変化曲線演算部は、前記位置補正ベクトルにより前記撮像対象の空間の位置を補正し、補正された撮像対象の空間の位置での時間輝度変化曲線を生成する請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
操作者から、描画すべき評価指標の指定を受け付ける描画情報入力部と、
前記描画情報入力部が受け付けた前記評価指標の値を前記時間輝度変化曲線から算出する評価指標算出部とをさらに有する請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記評価指標は、血流動態に関係する情報である、造影剤の流入開始時間、平衡輝度到達時間、造影剤の消失開始時間、造影剤の持続時間、予め設定する閾値に到達する時間、輝度上昇率、輝度下降率、平衡状態の輝度、および、総流量のうちの少なくとも一つである請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記評価指標算出部が算出する評価指標の値は、前記撮像対象に投与された造影剤の還流に伴う輝度変化を示す時間輝度変化曲線から算出される値である請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記分布像構成部は、前記評価指標の値に応じて色分けされた二次元又は三次元のカラーマップ画像を構成する請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
操作者による表示態様の設定を受け付ける表示情報入力部を更に有し、
前記分布像構成部は、前記評価指標、取得した画像データの静止画像または動画像、関心領域の時間輝度変化曲線、および、前記評価指標の値に応じて色分けされた血流動態の分布像、のうちの少なくとも一つを、前記表示情報入力部の受け付けた前記表示態様で表示する画像を構成する請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
撮像対象から超音波を受信した探触子から出力された信号から、画像データ構成部が画像データを構成する工程と、
輝度変化曲線演算部が、前記画像データの画素の複数時点における各輝度値を示す曲線である時間輝度変化曲線を生成する工程と、
分布像構成部が、前記時間輝度変化曲線に基づく血流動態の分布像の構成のための所定の評価指標の値から血流動態の分布像を構成する工程とを含み、
前記輝度変化曲線演算部が時間輝度変化曲線を生成する工程は、前記画像データの前記画素ごとの前記輝度の差分を算出し、前記画素ごとの前記差分の総和に基づき、前記時間輝度変化曲線の生成を開始する始点を設定する
ことを特徴とする超音波診断装置の作動方法。
【請求項10】
前記輝度変化曲線演算部が時間輝度変化曲線を生成する工程は、前記時間輝度変化曲線の始点の前記輝度値である初期値を、前記時間輝度変化曲線の各時点の輝度値から差分し、初期値を0値化することを特徴とする請求項9に記載の超音波診断装置の作動方法。
【請求項11】
位置補正ベクトル演算部が、空間における前記撮像対象の位置を補正するベクトルを演算する工程をさらに有し、
前記輝度変化曲線演算部が前記時間輝度変化曲線を生成する工程は、前記位置補正ベクトルにより前記撮像対象の位置を補正し、位置が補正された前記撮像対象の画像データから前記時間輝度変化曲線を生成することを特徴とする請求項9記載の超音波診断装置の作動方法。
【請求項12】
描画情報入力部が、操作者から、描画すべき前記評価指標の指定を受け付ける工程と、
前記描画情報入力部が指定を受け付けた前記評価指標の値を、評価指標算出部が、前記時間輝度変化曲線から算出する工程とをさらに有することを特徴とする請求項9に記載の超音波診断装置の作動方法。
【請求項13】
前記評価指標は、血流動態に関係する情報である、造影剤の流入開始時間、平衡輝度到達時間、造影剤の消失開始時間、造影剤の持続時間、予め設定する閾値に到達する時間、輝度上昇率、輝度下降率、平衡状態の輝度、および、総流量のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項12に記載の超音波診断装置の作動方法。
【請求項14】
前記評価指標算出部が前記評価指標の値を算出する工程において、算出される前記評価指標の値は、前記撮像対象に投与された造影剤の還流に伴う輝度変化を示す時間輝度変化曲線から算出されることを特徴とする請求項12に記載の超音波診断装置の作動方法。
【請求項15】
前記分布像構成部が前記血流動態の分布像を構成する工程は、前記評価指標の値に応じて色分けされた二次元又は三次元のカラーマップ画像を構成する工程であることを特徴とする請求項9に記載の超音波診断装置の作動方法。
【請求項16】
前記カラーマップ画像には、色と前記評価指標の値との対応を示すカラーバーが付属し、
前記分布像構成部が前記血流動態の分布像を構成する工程は、前記カラーマップ画像に表示する評価指標の値の範囲および色のレンジの少なくとも一方の設定の変更を、操作者による前記カラーバーに付属する矢印の位置変更操作により受け付けることを特徴とする請求項15に記載の超音波診断装置の作動方法。
【請求項17】
前記輝度変化曲線演算部が前記時間輝度変化曲線を生成する工程は、前記位置補正ベクトルにより位置補正された撮像対象の空間の画像データから、前記撮像対象の同一部位における前記時間輝度変化曲線を生成することを特徴とする請求項11に記載の超音波診断装置の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体内に向けて超音波を送信し、その受信信号により生体内部の情報を画像化する技術に関するもので、特に造影剤を用いた撮像画像から血流に関する情報を算出し、画像化して表示する超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、MRIやCTと共に医療分野で汎用的に用いられている画像装置の一つであり、小型な装置である、空間分解能と時間分解能が高い等の特徴がある。近年では超音波造影剤の普及に伴い血管造影技術や腫瘍造影技術が発達し、診断能の向上が期待されている。
【0003】
腫瘍周辺や内部の血流は、病変の有無だけでなくその組織の性状を示し、鑑別診断に重要な情報を与える。血管の画像を取得する手段として、これまではX線によるCTA(CT-Angiography)が主流であった。CTAではヨード造影剤を静注し、血管内を造影剤が通過している段階で取得した複数のX線画像を再構成することにより血管構造を立体的に可視化できる。その一方で、X線の被爆や造影剤投与により、患者に負担がかかることもある。
【0004】
これに対し、超音波による画像診断は、撮像の際に被爆等の侵襲を伴わない。また、造影剤としては、直径数μmの微小気泡が使用されるため、造影剤自体に毒性がない。微小気泡は、時間の経過と共に体の自然な代謝機能により体外に排出される。このため超音波による画像診断は、患者への負担が少ないという特徴がある。微小気泡(超音波用造影剤)は、医用分野で利用される数MHzの超音波に共振して強い非線形信号を発するため、この非線形信号を特異的に検出して画像化することで、微細な血管構造を高いコントラストで描出できる。
【0005】
超音波用造影剤は超音波照射に対する挙動の違いから高音圧型と低音圧型に大別される。高音圧型は高音圧(メカニカル・インデックス:MI1.0〜1.9)の超音波照射により気泡を圧壊させ、その際に発せられる非線形信号により画像を構成する。照射毎に造影剤(微小気泡)が消失するため、同一領域の造影を観察するには撮像面を適宜変える必要がある。一方、低音圧型は(MI0.1〜0.9)の超音波照射により気泡を圧壊させずに共振させて得られる非線形信号で画像構成を行なうため、持続的な造影効果を発揮し同一領域を継続して観察できる。また、一部の造影剤(微小気泡)は、動脈および門脈と中心静脈を結ぶ類洞に存在するクッパー細胞の貪食作用を受ける。そのため造影剤が肝臓組織に充満した状態で超音波照射を行なうとクッパー細胞が正常に機能している領域が高輝度に染影されるため、腫瘍等の病変領域を輝度の欠損(defect)で識別できる。さらに輝度の高さや染影の持続時間はクッパー細胞の機能を評価する一つの指標となるため、肝臓の機能診断にも有効と考えられている。
【0006】
このように超音波による造影画像は、微細な血管構造を観察するだけでなく、組織の機能を判断する上でも有効であり、腹部領域を中心に広く普及してきている。
【0007】
また、上述の低音圧型の造影剤は、超音波照射による共振により非線形信号を発するため造影効果が持続し、染影の経過を同一撮像面で観察できるという利点もある。
【0008】
超音波用造影剤による染影過程は組織によって異なり、例えば正常な肝臓の場合、動脈、門脈、静脈の各血管がその経路の違いにより異なる時相で染影され、その後で組織が染影される。しかし腫瘍がある場合では、血管増生や活性の程度に応じて異なる染影過程を呈するため、その染影の動態を詳細に観察することにより腫瘍の性状を知ることができる。このような組織による染影過程の違いは、心臓を起点とした血流の流路、流量、速度といった血流の変動、つまり血流動態を示している。
【0009】
染影過程の違いを定量化する上で重要な指標となるのが、造影剤の流入に伴う輝度の時間変化をプロットした輝度変化曲線(Time-Intensity Curve:TIC)である。例えば肝臓腫瘍の場合、腫瘍血管が動脈と門脈のどちらを起点にして形成されているかが鑑別上で重要であるが、動脈は門脈に沿って走行しているため、門脈の染影が始まると両者の判別は単一の造影画像では困難である。しかし各血管のTICを比較することで染影過程の違いを評価でき、腫瘍血管の起点となる血管を客観的に判断できる。
【0010】
特許文献1に記載の技術は、高低の各音圧を組み合わせた送波シーケンスで計測したTICから輝度平均値等の指標値を算出し、その値に応じて色分けされた画像を提示する技術である。TIC計測は、造影剤が充満した組織に対する高音圧の超音波照射をトリガに開始され、撮像面内に再環流する造影剤の染影過程を低音圧照射の元で計測することにより行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005-81073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上述の従来技術では、領域毎の血流動態を比較するためには動画を繰り返し再生しながら目視で観察することが必要である。このため、情報の客観性に欠ける、複数の領域を同時に観察できない、操作者の負担が大きい等の問題がある。また組織の性状を評価するには心臓を起点とする血流動態の観察が重要であり、投与した造影剤が本来の血流の環流に沿って流れ、組織に到達した時点からの染影経過を観察する必要がある。
【0013】
本発明の目的は、造影剤の投与から組織染影に至る染影の時間変化を示すTICを用いて、心臓を起点とする血流動態を示す評価指標を算出し、その値に応じてカラーマップを構成する超音波診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、以下のような超音波診断装置が提供される。すなわち、撮像対象に超音波を送受信する探触子と、探触子に受信された信号を元に画像データを構成する画像データ構成部と、画像データの輝度値から時間輝度変化曲線を生成する輝度変化曲線演算部と、時間輝度変化曲線から求めた所定のパラメータの値から血流動態の分布像を構成する分布像構成部と、血流動態の分布像を表示する表示部とを有する超音波診断装置が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、心臓を起点とする血流動態を輝度変化曲線(TIC)により評価し、血管および組織性状の違いを示す画像をカラー表示でき、これより血流動態の違いを容易に比較できる画像表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例1の超音波診断装置の構成例を示すブロック図
図2】実施例1の造影剤投与からカラーマップの表示に至る処理工程を示すフローチャート
図3】実施例1の画像データの保存トリガを説明する図
図4】(a)実施例1の工程102における画像データの同じ画素の輝度値を取得する処理を示す説明図、(b)工程102において生成されたTICを示すグラフ、(c)工程102において生成したTICを平滑化処理したTICを示すグラフ
図5】実施例1の装置構成に位置補正ベクトル演算部を備えた構成例を示すブロック図
図6】(a)実施例1において位置補正処理のために画像データに基準領域を設定することを説明する図、(b)画像データに探索領域を設定し、位置補正ベクトルを生成することを説明する図
図7】(a)実施例1において位置補正処理なしでTICを生成をする場合の、構造物211の座標とTIC取得位置(画素)212の座標を説明する図、(b)位置補正処理を行ってTICを生成を説明する場合の、構造物211の座標とTIC取得位置212の座標を説明する図、(c)位置補正処理を行う場合と行わない場合についてTIC取得位置(画素)の座標を説明する図
図8】実施例1のTICの平滑化による位置補正手法を説明する図
図9】実施例1の表示形態(画面)の一例を示す説明図
図10】実施例1の描画情報の選択用のナビゲーション画面の一例を示す説明図
図11】実施例1のTICの簡略化処理を説明する図
図12】実施例1のカラーマップの表示形態(画面)の一例を示す説明図
図13】実施例1のカラーマップを並列表示させた場合の表示形態(画面)の一例を示す説明図
図14】実施例1のカラーレンジの変更を説明する図
図15】実施例1のカラーマップ上の関心領域の範囲で色を再配分することによりカラーレンジを変更することを説明する図
図16】実施例1のカラーマップ上の基準領域を基準として色を再配分することによりカラーレンジを変更することを説明する図
図17】実施例1のカラーレンジから外れる情報を重畳表示させた画像を示す説明図
図18】実施例1のカラーマップに背景画像を重畳させた画像を示す説明図
図19】実施例2の超音波診断装置の構成例を示すブロック図
図20】実施例2の異なる撮像面の位置関係を示す説明図
図21】実施例2の各撮像面の画像データによる3Dカラーマップの構成を示す説明図
図22】実施例2の装置構成に位置補正ベクトル演算部を備えた構成例を示すブロック図
図23】実施例2の位置補正処理を説明する図
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0017】
以下、本発明の実施例について図を用いて説明する。
【0018】
実施例1の超音波診断装置(画像表示装置)のブロック図を図1に示す。
【0019】
本装置は、撮像対象1に対して超音波信号を送受信する探触子2と、探触子2を構成する圧電素子に所望の送受信ビームを形成する所定の時間遅延を与える送信ビームフォーマ3および受信ビームフォーマ7と、送信信号をデジタル・アナログ変換するD/A変換器4と、受信信号をアナログ・デジタル変換するA/D変換器6と、超音波信号が生体内部を伝播する過程で生じる振幅減衰を補正するTGC(時間ゲイン制御器)5と、受信したRF(radio frequency)信号を検波し画像信号に変換する包絡線検波部8と、画像信号から二次元の画像データを構成するSC(スキャンコンバータ)9と、SC9で構成された所定のサンプリング間隔で画像データを保存する画像メモリ10と、画像データのサンプリング間隔や時間輝度変化曲線(以下、TICと称す)生成を行なう関心領域の設定等、TICの生成に関係する制御を行うTIC演算制御部11と、TIC演算制御部11で設定される制御内容に基づいてTICを生成するTIC演算部12と、TICから算出する評価指標(パラメータ)を指定するための描画情報入力部13と、TIC演算部12で生成したTICから、描画情報入力部13で指定されたパラメータの値を算出するパラメータ算出部14と、算出されたパラメータの値に基づいてカラーマップを構成する分布像構成部16と、分布像構成部16が構成した画像を表示する表示部17と、表示部17に表示されるカラーマップやTICの表示態様の変更を受け付ける表示情報入力部15とを有する。
【0020】
図1に示すように、探触子2により受信した信号から画像データを構成するまでのシステムを画像データ構成部と称する。画像データ構成部で構成される画像は、汎用的に使用されている超音波診断機の白黒画像(Bモード)や造影剤画像(送受信のシーケンスやフィルタ処理等により造影剤からの信号を強調した画像)であり、画像構成手法は一般的に既知であるため、ここでは簡単に説明する。探触子2の超音波照射面は、複数の圧電素子が一列に配列した1次元アレイの構成になっており、各素子が超音波の送受信を担う。送信ビームフォーマ3からの電圧パルスがD/A変換器4を介して各圧電素子に入力され、素子の圧電振動によって撮像対象1に向けて超音波が照射される。この時、各圧電素子には所定の時間遅延が電子的に与えられており、各圧電素子から送信された超音波は撮像対象1の内部の所定の位置で焦点を結ぶ。撮像対象1からの反射エコーは各圧電素子で受信され、伝播過程で生じた信号の減衰分を補正するためにTGC5で伝播距離に応じた振幅補正がなされる。続いて、受信信号はA/D変換器6を介して受信ビームフォーマ7に送られ、焦点位置から各圧電素子までの距離に応じた遅延時間を掛けて加算結果が出力される(整相加算)。
【0021】
造影剤からの信号を強調して画像化する手法としては、例えば互いの位相が反転した2つの信号を送信し、その受信信号を加算する方法が良く知られている。受波信号の加算により組織成分が主な基本周波数成分が抑圧される一方で、造影剤からの信号が主となる高調波成分は増強される。
【0022】
超音波送受信を、圧電素子列に沿った全ての走査線で行なうことで、撮像対象1の2次元的な反射エコー分布が得られる。受信ビームフォーマ7からは実部と虚部に分けられたRF信号が出力され、包絡線検波部8に送られる。包絡線検波部8に送られた信号は、ビデオ信号に変換された後、SC9で走査線間の画素補間が加えられ、二次元の画像データに再構成された後、表示部17に表示される。
【0023】
次に、SC9で構成した画像データを用いたTICの生成、および、血流動態を反映したカラーマップの作成の処理工程を図2に示すフローチャートに従って説明する。
【0024】
まず操作者は一般的な使用方法で探触子2を操作しながら表示部17に表示される画像データを確認し、着目する領域に撮像面を確定する。次に、造影剤を投与すると同時に画像データを画像メモリ10に保存する(工程100,101)。保存の開始及び終了を手動で行う場合は、例えば、超音波診断装置の操作パネル上に設置されているスイッチを操作者が操作し、これにより画像データの保存開始のトリガがTIC演算部12に入力される構成とする。前記トリガ信号はSC9に送られ、画像メモリ10への保存が開始される。TICスイッチを探触子2に設けるとその操作性は更に向上する。また、保存開始を自動で行う場合は、例えば、取得した画像データとその直前に取得した画像データとを比較処理し、輝度変化が大きくなった時点から自動的に保存を開始する構成とする。この場合、操作性は更に向上する。具体的には例えば、取得した画像とその直前に取得した画像とで画素毎の差分値を計算し、その総和を算出する。この値が例えば0.5秒(フレームレート20の時、10フレームに相当)に渡り増大を続けた時点から自動的に画像データが保存されるように構成する。造影剤の流入開始時の輝度上昇は数秒に及び、動脈と門脈、及びその他の血管に造影剤が流入する時間差も1秒以上を要するため、前述のように流入開始から0.5秒の時点から画像データを取得しても各血管の血流動態を反映したデータが得られる。また、取得した画像データを予め保存しておき、操作者による手動または自動による画像データの保存開始トリガが入った時点から、予め設定された秒数(1秒から数秒)だけ遡った時刻以降の画像データを残し、それ以前の画像データを廃棄するシステムを設けることにより、造影剤が流入する手前からの画像データを保存する構成にすることもできる(図3)。この場合、画像メモリ10に保存する画像データのサンプリング間隔は、操作者が予めTIC演算制御部11に設定する。TIC(時間輝度曲線)を高精度に生成するためにはSC9で構成される全ての画像データを保存するのが好ましいが、メモリの容量等に制限がある場合には、画像データを取得するフレームレートを考慮してサンプリング間隔を設定し、メモリへの負荷を低減する必要がある。造影剤の流入に伴う画像データ上の輝度上昇は数秒で平衡状態に至るため、少なくても4Hz程度のサンプリングは必要である。従って例えばフレームレート20Hzの場合、5フレーム毎に画像データを保存する。
【0025】
工程102ではTIC演算部12において、画像メモリ10に保存した画像データ(画像サイズ(xmax×ymax))を構成する単一画素(x,y)(x=1…xmax,y=1…ymax)に着目し、図4(a)に示すように取得した全ての時系列の画像データから同じ位置にある画素の輝度値(f1(x,y),f2(x,y)…fn(x,y))を取得する演算が行われる。横軸に時間、縦軸に輝度値を設定し、取得した輝度値をプロットする。これにより図4(b)に示すように画素(x,y)のTICが生成できる。TICは造影前からの輝度変化が重要になるため、各輝度値から初期値f1(x,y)を差分して輝度値0を始点とする。ただし初期値の情報は保持しているため操作者の任意で元のTICを復元して確認できる。
【0026】
TICの生成は、画像メモリ10に保存した画像データの全ての画素に対して行なってもよい。また予め画素範囲を設定し、前記画素範囲の平均輝度値のTICを生成してもよい。
【0027】
また、TICを生成する画素範囲、つまり画像構成を行う範囲は、操作者が画像データ上に設定する関心領域の範囲に限定してもよい。関心領域の設定は、画像データの保存を開始する前に、表示部17に表示される画像データ上で操作者が予め設定する構成とすることも可能であるし、画像データの保存を終了した後で、保存した画像データの中から適当な画像データを表示部17に表示して、その画像データ上で操作者が設定する構成としてもよい。画像データの保存を開始する前に関心領域を設定する場合、画像メモリ10に保存する画像データ自体を関心領域の範囲に限定することも可能であり、この場合にはメモリへの負荷を低減できる。TICを生成する画素範囲を限定する関心領域の情報は、TIC演算制御部11に操作者により入力される。
【0028】
次に生成したTIC(図4(b))に対する平滑化処理がなされる。平滑化処理は、TICの時間軸方向への平均化処理であり、画素の位置ずれやノイズの影響で生じる輝度の起伏が低減される。生成したTICのサンプリングの点数を維持するため、TICの各時間ti(i=1,2,…)に対する輝度値をItiとして5点で平均化を実行した場合、処理後の各時間における輝度値はIt1=(It1+It2+It3+It4+It5)/5、It2=(It2+It3+It4+It5+It6)/5と計算される。平滑化処理後のTICを図4(c)に示す。
【0029】
工程102のTIC生成処理は、画像メモリ10に保存した画像データに対して関心領域を設定する場合を除き、画像データの保存と同時に実行される。
【0030】
TIC演算部12におけるTIC生成処理の際に、体動や操作者の手振れが大きいと画像データ内で撮像対象の位置ずれが生じ、TICの誤生成が起こる。この位置ずれを補正するため、図5に示すように位置補正ベクトル演算部18を備えた装置構成にし、必要に応じてTIC生成処理の前段階で位置補正処理を行なう構成とすることも可能である。位置補正処理としては、一般的に知られるパタンマッチング処理を用いる。まず、図6(a)のように、取得した最初の画像データ61上に位置補正の基準となる基準領域62を設置する。次に図6(b)のように、位置補正の対象となる画像データ上に探索領域63を設定する。探索領域63の中心位置は基準領域62と同じで、その大きさは補正すべき位置ずれの大きさに応じて操作者が任意に決める。探索領域63から基準領域62と同一と見なせるマッチング領域64を探索し、マッチング領域64の中心位置と探索領域63の中心位置とを結ぶベクトルを位置補正ベクトル65として生成する(図6(b))。マッチング領域64の探索方法は、例えば探索領域63内で基準領域62を一画素ずつずらしながら差分絶対値の総和を計算し、その値が最小となる領域とする。探索の指標とする値は、前述した差分絶対値の総和の他に、最小二乗和や相互相関演算による相関値などがある。次にTIC演算部12において、保存した各画像データから輝度値を読み取る際に、生成した位置補正ベクトル65に応じて読み取る画素位置を調整することで、撮像対象の位置ずれの影響を抑制したTIC生成が実現する。図7(a)は、基準の画像データft0と、位置補正の対象となる画像(ft1、ft2、ft3、ft4、ft5)と、これらの画像における構造物211の位置、TIC取得位置(画素)212、ならびに、各画像データ上における構造物211の位置座標を示している。図7(a)のように位置補正をしない場合、構造物211の位置変化に関わらず、TIC取得位置212は固定である(図7(c))。このため、同じ画素(x0,y0)の輝度値を取得するため、位置ずれによる誤差が生じる。一方、図7(b)のように、位置補正ベクトル演算部18で生成した位置補正ベクトル65(図6(b))に基づいてTIC取得位置212を移動させた場合、構造物211の座標とTIC取得位置212の座標を一致させることができる(図7(c))。これにより、正確なTIC生成が可能となる。
【0031】
また、TICの起伏が位置ずれによって生じることを前提にし、隣接するTICから平滑化に近づく輝度を選択することにより位置ずれの影響を補正する方法もある。具体的な処理内容を図8を用いて以下に説明する。図8には補正対象の画素(x0,y0)およびそれに隣接する二つの画素(x1,y1)、(x2,y2)の、時刻t0からt8に至る輝度変化を各々丸印、三角印、四角印で示してある。画素(x0,y0)の補正前のTICは、図8に破線で示したように、時刻t3からt8にかけて起伏が大きい。この画素(x0,y0)のTICについて以下のように平滑化処理を行う。まず画素(x0,y0)の時刻t0の輝度値と時刻t2の輝度値の平均値を求め、これに最も近い輝度値を、時刻t1における各画素(x0,y0)、(x1,y1)、(x2,y2)の輝度値から選択し、これを画素(x0,y0)の時刻t1として決定し、TLCに用いる。同様にしてt2での輝度値は、時刻t1と時刻t3の輝度の平均値に最も近い値を時刻t2での各画素の輝度値から選択する。この処理を繰り返し、着目する画素のTICの起伏を周囲の画素の輝度値で補正して平滑化することにより、図8の実線に示すTICが生成される。ここでは隣接する二つの画素で補正処理を仮定したが、画素の個数に制限はなく、例えば隣接する8個全ての画素で補正してもよい。但し補正精度と処理負荷との間にはトレードオフの関係があり、補正に用いる画素は処理時間との兼ね合いで決定する。
【0032】
工程103では、操作者による操作パネル上、または、表示画面上の所定のスイッチの操作に対応して描画情報入力部13が起動し、血流動態を示すカラーマップの構成処理が開始される。描画情報入力部13の起動と同時に、画像メモリ10に保存した画像データが時系列順に動画像(造影画像)90として図9のように表示部17に再生される。表示部17が表示する動画像は、SC9が圧縮処理によって保持し、表示部17に直接受け渡した画像であってもよい。
【0033】
図9に示すように、再生された造影画像90上に、操作者が関心領域91を設定すると、前記関心領域のTICが表示画面41に造影画像90と並べて表示される。関心領域91は、任意の位置に複数個設定できる。複数のTICを表示する場合には、並列表示93と重畳表示92を操作者が自由に選択できる。また操作者が指定した関心領域91またはTICを重畳表示92で表示し、それ以外のTICを並列表示93で表示するなど、表示の形態は操作者が自由に編集できる。
【0034】
工程104では、操作者が、カラーマップを構成すべき描画情報を描画情報リストの中から選択する。各描画情報には、TICの特徴を表す評価指標(パラメータ)がそれぞれ対応している。描画情報の選択は、図10のように、表示部17に表示されるナビゲーション画面51で行う。ナビゲーション画面51の一例を図10に示す。ナビゲーション画面51には適当なTIC(TICの模式図または図9に示すいずれかのTIC)52と、代表的な描画情報のリスト53が示されており、各描画情報に対応する値または範囲がTIC52上に示されている。
【0035】
描画情報リスト53の各描画情報について説明する。「流入開始時間」は、静脈から投与した造影剤が着目する領域に流入して染影が開始する時間(図10のTIC52上に示した(1))、「平衡輝度到達時間」は造影剤が充分に環流して平衡状態に至った時間(図10の同(2))、「消失開始時間」は平衡状態から造影剤が消失してTICが低下し始める時間(図10の同(3))、「持続時間」は閾値とする輝度に到達してから造影剤の消失によって再度前記閾値に到達する時間(図10の同(4))、「閾値輝度到達時間」は、閾値とする輝度に到達する時間(図10の同(5))、「TIC上昇率」は、血流速を反映した指標で染影開始から平衡状態に至るまでのTICの時間変化率(図10の同(6))、「TIC下降率」は、造影剤の消失速を反映した指標で平衡状態からTICが下降する際のTICの時間変化率(図10の同(7))、「平衡輝度」は、血流量を反映した指標で造影剤が充分に環流して平衡状態に至った際の輝度値(図10の同(8))、「積分値」は、TICを取得する間の総流量を示唆する指標でTICの時間積分値(図10の同(9)の斜線領域)である。
【0036】
操作者は、表示部17に表示されるポインタを操作して所望の番号を選択することにより、描画情報リスト53から描画情報を選択する。選択している描画情報および対応するTIC52上の番号は図10に示すように下線または太字等で強調され、選択している項目を容易に識別できる。
【0037】
ナビゲーション画面51に表示される描画情報リスト53の描画情報の順番は、例えば、操作者が過去に選択した頻度や腫瘍診断における重要性などによりランク付けして、ランクの高い描画情報が上にくるように表示する構成にすることが可能である。また、描画情報の順番を操作者が自由に変更できるように構成することも可能である。
【0038】
閾値輝度到達時間や持続時間を算出する際に必要な閾値は、図10のTIC52上に設置される矢印(図10の(5)または(4)を示す矢印)を操作者が動かすことにより設定されるように構成されている。その際には、矢印で指定した位置に対応する輝度値もナビゲーション画面51に表示されるように構成されている。
【0039】
なお、図10の描画情報リスト53の描画情報は一例であり、項目の追加・削除、表示される文面の変更の他、TICに基づいて取得できる描画情報を新たに定義するなど、描画情報は操作者が自由に編集できるように構成されている。
【0040】
工程105では工程104で選択された描画情報に対応するパラメータ(評価指標)の値がパラメータ算出部14において算出される。まず、TIC演算部12が生成したTICを、予め定めておいた典型的なTICの特徴を持つ関数の形に簡略化し、簡略化したTICについてパラメータの値の算出する。図11に、TIC演算部12が生成したTIC(破線)と既定の関数で簡略化したTIC(直線)を示す。既定する関数は、輝度値0から始まり、第1時点で線形的に上昇し、第2時点で平衡状態の輝度値に達し、その後一定の時間平衡状態となった後に第3時点で線形的に下降する形とする。以下、既定関数で簡略化したTICの生成方法と、簡略化したTICについて求めるパラメータについて説明する。まず第1時点から第2時点の輝度上昇を示す傾きを算出する。時間平均化処理したTICから平均輝度値(Iavg)および平均輝度値の1/2(Iavg/2)となる時間(数1及び数2)を上昇時および下降時のそれぞれについて求め、これらを用いて、単位時間当たりの輝度変化を数3および数4より求め、これらを、描画情報の「TIC上昇率」および「TIC下降率」に対応するパラメータ値とする。
【0041】
【数1】
【0042】
【数2】
【0043】
【数3】
【0044】
【数4】
【0045】
上昇率を算出した際に用いた値から定められる2つの計測点(数5、数6)を結ぶ直線を延長し、直線が輝度値0に到達する時間を第1時点とする。この第1時点の時間が、描画情報の「流入開始時間」に対応するパラメータの値である。
【0046】
【数5】
【0047】
【数6】
【0048】
次に数7の範囲でTICの輝度平均値を再度算出する。この値を、描画情報の「平衡輝度」に対応するパラメータの値とする。
【0049】
【数7】
【0050】
第1時点を算出した時と同様に、「TIC上昇率」を算出した際の2つの計測点(数5、数6)を結ぶ直線の延長線が平衡輝度値に達する時点を求め、これを第2時点とする。この第2時点の時間が、「平衡輝度到達時間」に対応するパラメータ値である。同様にして、「TIC下降率」を算出した際に求めた値から定まる2つの計測点(数8、数9)を結ぶ直線の延長線が「平衡輝度」値に達する時点を求め、これを第3時点とする。この第3時点の時間が、「消失開始時間」に対応するパラメータ値である。
【0051】
【数8】
【0052】
【数9】
【0053】
TICの下降がIavg/2に達しない場合は、第2時点から平衡状態が持続すると仮定して第3時点の時間を計測(データ取得)の終了時間、第3時点の輝度は平衡輝度値とする。
【0054】
「持続時間」、「閾値輝度到達時間」、「積分値」は、操作者が閾値を直接入力し、上述のような特別な処理を必要とせずにTICから算出できるため、簡略化の処理は必ずしも必要ではないが、予めTICの特徴を示す値を算出することにより、描画情報の変更を即座にカラーマップに反映させることができる。
【0055】
画像メモリ10の負荷低減のため、画像データを構成する各画素において保存する情報を、TICの簡略化処理で算出したTICの初期値、第1時点、第2時点、第3時点、TIC下降率に制限してもよい。これら5つの情報があれば各画素のTICの概略は再現でき、カラーマップの構成が可能である。
【0056】
また既定する関数に関して、第1時点以降を平衡輝度A、時間t、造影剤の流入に伴う輝度変化をβとして関数y=A(1-e-βt)とし、一般的に知られるフィッティング処理でTICの特徴となる値、A、βを保持してもよい。また、造影剤の流入開始時間をパラメータt0として導入し、関数をy=A(1-e-β(t+t0))とし、0<t<t0でy=Aとすることで、造影剤が流入する前段階からのデータに対してフィッティング処理が可能である。
【0057】
工程106では、工程105で算出されたパラメータの値に基づき、各値の大きさに応じて画素を色分けしたカラーマップが構成される。
【0058】
カラーマップの表示形態の一例を図12に示す。表示部17の表示画面41には、保存した画像データである造影画像90、選択した関心領域に対応するTICの重畳表示92、選択した描画情報とそれに対応する値をTICの重畳表示92上で示す矢印94、および描画情報に対応する値を画素の色で表すカラーマップ95が表示される。カラーマップ95にはカラーバー96が付随しており、パラメータの値と色との対応関係を示している。パラメータの値と色の対応関係は、操作者が自由に変更できるように構成されている。例えば、色の階調や色の濃淡等と、パラメータ値の大小との対応付けを変更できる。カラーバー96には「遅い」、「速い」といった定性的な情報のほか、実際に算出したパラメータ値を表示して定量的な情報を示すように構成することも可能である。
【0059】
描画情報の選択は操作者が自由に変更できる。操作者が複数の描画情報を選択した場合、図13に示すように表示部17の表示画面41には、選択した描画情報に対応する複数のカラーマップ95が並列表示されるように構成されている。複数のカラーマップ95を並列に表示させることで、血流量や流入開始時間の違いの比較が容易にできる。
【0060】
肝臓腫瘍の場合、腫瘍血管の起点となる血管、腫瘍組織の血流量等が診断上重要な情報になるが、「流入開始時間」、「平衡輝度」または「積分値」等の描画情報によるカラーマップを並列表示して比較することで、例えば動脈を起点に増生されている血管、腫瘍組織の分布や密度等を評価できる。
【0061】
表示する情報は、TICの重畳表示92、描画情報のリスト53、造影画像90、および、カラーマップ95のうち1または2以上を操作者が自由に組合せて選択することができ、配置や大きさは操作者が自由に編集できるように構成されている。
【0062】
次に、カラーマップ95の表示形態について説明する。
【0063】
カラーマップ95の表示形態の変更は、カラーバー96またはカラーマップ95のいずれかに基づいて行うことができる。
【0064】
カラーバー96を元にカラーマップ95の表示態様の変更を行う場合、以下のように行う。工程107において、カラーバー96には図14に示すように二つの矢印97が表示される。操作者は、矢印97を表示画面41上で移動させる操作をすることによりカラーマップ上で着目する色の領域、つまりパラメータの値の範囲を限定し、その領域内で色の最適化を行うことができる。例えば、「閾値輝度到達時間」のカラーマップ95のカラーバー96に対して、表示のレンジを5秒から15秒に限定すると、限定された5秒から15秒の範囲内で色の再配分がなされる。同時に、TICの重畳表示92には限定した範囲(5秒から15秒)を示す領域が、図14のように表示される。このパラメータの値の範囲を限定する処理はTIC上の値を基準に行うことも可能であり、例えば、TICの重畳表示92上で評価する時間や輝度の範囲を操作者が指定することにより変更する構成とする。パラメータの値の範囲を適当に狭めることで、類似した血流動態を示す領域を強調して表示することも可能である。
【0065】
カラーマップ95を元に表示態様の変更を行う場合、以下のように行う。造影剤が還流しない領域では正確なパラメータが算出されず、カラーマップ上にノイズとして表示される場合がある。造影剤が環流しない領域をカラーマップから除くために、図14に示すようにTICの重畳表示92上で閾値となる輝度98を設定し、これを超えない領域をカラーマップ95上で0にするように構成する。また、必要に応じてメディアンフィルタを適宜適用し、カラーマップ95に生じるモザイクを除去し、視認性を向上させることができる。
【0066】
また、図15に示すように、カラーマップ95には関心領域81の設定が可能であり、設定された関心領域81の範囲において色が再配分される構成にすることもできる。この処理により、着目する領域の範囲の色のレンジを拡大できるため、パラメータの僅かな違いを色の違いで明瞭に区別できる。
【0067】
また、図16に示すように、カラーマップ95上に基準領域99が設定されると、その基準領域99のパラメータの値を基準にした色の再配分が行われるように構成することも可能である。例えば「流入開始時間」を示すカラーマップの場合、操作者が基準領域99として特定の血管を指定すると、カラーバー96には対応する色の位置が矢印160で表示される。ここではパラメータの値が0秒から20秒のカラーバーのレンジが表示されており、基準領域99のパラメータ値である8秒の位置に矢印160が表示されている。基準領域99を確定すると8秒以降のパラメータ値で色の再配分がなされ、カラーマップ95が再構成される。カラーバー96は基準の8秒から20秒の範囲に再設定される。カラーバー96には元のパラメータ値と共に基準領域99のパラメータ値を0秒とした時の換算値161も併記される(例えば、図16のカラーバー96aでは、括弧書きとして換算値161を併記している)。限定されるパラメータ値の範囲は図16に示すようにTICの重畳表示92上に表示される。TLCの重畳表示92上で、操作者がこの範囲を変更することにより、パラメータ値の範囲を調整可能な構成とすることもできる。この処理により基準となる血管に対する造影剤の流入開始のタイミングの違いを詳細に評価できる。
【0068】
カラーマップの領域やパラメータの範囲の変更により、カラーバーのレンジから外れる領域はカラーマップから消失するため、全体像の把握が困難になる場合がある。そこで欠落した情報を補足するために、欠落した情報を表示するための色をカラーバーに設定し、カラーマップに重畳させて補う構成にすることができる。例えば図16に示す流入開始時間のカラーマップの場合、パラメータを8秒以降に限定することで、0秒から7秒の情報は欠落する。そこで図17に示すように8秒から20秒のパラメータで構成されるレンジ内のカラーマップ95aの画像と共に、0秒から7秒のレンジ外のカラーマップ95bの画像を用意し、両者を重畳させた重畳画像171を構成することが可能である。
【0069】
上述したカラーマップの表示形態の変更は、カラーバーまたはカラーマップを元に行うが、それぞれの変更はTICの重畳表示92にも反映される。したがって、TICの重畳表示92を元にした表示形態の変更も可能で、図14または図16に示すようにTIC上にパラメータの範囲を限定する領域141を操作者が設定し、これをカラーマップ95およびカラーバー96に反映させる構成にことも可能である。
【0070】
また、図18に示すように、再生画像から特定の造影画像90を選択し、この造影画像90を背景画像181として、カラーマップ95に重畳した重畳画像182を生成し、表示させる構成にすることもできる。背景画像181は、保存した画像に対して血管強調等の画像処理を行った画像を用いることも可能である。一例としては、各画素について生成したTICから最大輝度またはTICの平均輝度を算出して血管構造を強調する処理をした最大輝度画像183や平均輝度画像184を用いることができる。また、複数のカラーマップ95同士を重ねて表示することも可能である。また、背景画像181は、造影画像に限定されるものではなく、組織弾性を示す画像やCT画像やMRI画像やPET画像などを用いることも可能である。
【0071】
上記構成により、カラーマップに加え、ドプラや造影画像等の一般的に知られる超音波画像、CT画像、MRI画像等の様々な医療画像を並列表示又は重畳表示させることができるため、操作者が必要とする情報に特化した画像表示が可能となる。
【0072】
肝臓腫瘍の鑑別上重要となる、主要な腫瘍血管、腫瘍組織の血流量、腫瘍組織の染影の広がる方向は、複数のカラーマップを並列表示させることで容易に比較できる。また、治療前後のカラーマップを比較することにより、治療の効果判定に有効と考えられる。また、腫瘍血管をレーザーや薬剤または高音圧超音波等により閉塞させ、下流の主要組織を壊死させる治療術があるが、この術式を実施する際には、閉塞対象とする血管の確定、閉塞状況の確認、治療結果の確認、治療効果の判定といった治療の全ての工程において、カラーマップの並列表示等の本実施例の構成は有効である。
【0073】
TIC演算制御部11、描画情報入力部13、表示情報入力部15へ入力する情報は、初期設定として操作者が予め入力する構成とすることも可能であるし、操作者の入力作業を省略して自動的に初期設定する構成とすることも可能である。その際、臨床上での用途別に初期設定の内容をパッケージにしておくことで、初期設定が簡略化できる。例えば肝臓の腫瘍診断の用途では、腫瘍血管および腫瘍組織の性状を知ることが重要となる。つまり心臓を起点にした腫瘍血管および腫瘍組織の染影開始のタイミングや肝臓のクッパー細胞が取り込む造影剤の量等が重要な指標となる。したがって、図10に示す描画情報のリスト53の中から「流入開始時間」、「持続時間」、「積分値」など最低限必要と考えられる情報を予めパッケージとして腫瘍診断用描画情報として選択可能な構成とする。これにより、操作者は細かい設定の入力を省き、腫瘍診断用描画情報の項目(パッケージ)を選択することで必要な情報を自動的に表示させることができる。
【実施例2】
【0074】
以下、本発明の実施例2について図を用いて説明する。
【0075】
実施例2の超音波診断装置(画像表示装置)は、実施例1に記載の技術を三次元に拡張したものである。その装置構成を図19に示す。探触子2は、三次元情報を撮像できるものであれば、形状や内部構成および動作形態について特に制限がなく、実施例1に記載の1次元アレイの探触子にモータ等の駆動装置を備えて機械的に動かすものや二次元アレイを持つ探触子であればよい。
【0076】
送信ビームフォーマ3には送波制御部19が備えられており、複数の異なる断面の画像データを取得する送波シーケンスを制御する。送波シーケンスは、三次元情報を取得する領域の大きさ(方位方向、深さ方向、スライス方向)と画像データのフレームレート、およびTICを生成する際の画像データのサンプリング間隔によって決まる。TIC生成の際の画像データのサンプリング間隔は、実施例1でも記載したように4Hz程度必要である。そのため画像データのフレームレートが20Hzの場合には、スライス方向の異なる位置で最大5断面の撮像が可能である。三次元情報を取得するスライス方向の領域幅を5mmに設定した場合、各撮像断面の間隔は1mmとなり、この値が探触子が撮像の際にスライス方向に移動する間隔として設定される。撮像断面の枚数やTICのサンプリング間隔を増大させるには、画像データを取得するフレームレートを上げればよく、そのためには方位方向または深さ方向の領域幅を狭めるなど、着目する領域が含まれるように操作者の用途に応じて調整する。
【0077】
取得した画像データによるTIC生成、描画情報の入力、パラメータの値の算出および表示部17に表示される各種表示形態については実施例1と同じであるため説明を省略する。次に分布像構成部16における処理について説明する。
【0078】
例として、図20に示すように1次元アレイの探触子をスライス方向に移動させ、第1撮像面から第5撮像面の5つの異なる位置で撮像する場合を仮定する。送波シーケンスは、第1撮像面から第5撮像面まで順に撮像し、これを1スキャンとして操作者が計測を終了するまで繰り返す。取得した画像データ210は、図21に示すように撮像断面毎に振り分けられ、撮像断面ごとにTIC生成とパラメータの算出が行なわれた後、二次元のカラーマップ95が撮像断面ごとに構成される。各カラーマップ95にはメディアンフィルタ等のノイズ除去フィルタが適用される。構成した二次元のカラーマップ95は撮像時の各撮像面の位置間隔で立体的に配置される。撮像断面の間に生じる空間は線形補完処理等により画素の補完がなされ、3Dカラーマップ211が構成される。カラーマップの三次元化により、組織による血流動態の違いを立体的に観察できる。
【0079】
TIC生成の際に生じる撮像対象の位置ずれの影響を低減するため、図19に示す装置構成に位置補正ベクトル演算部18を備えた構成を図22に示す。
【0080】
位置補正ベクトル演算部18による位置補正の手法は実施例1に記載の手法と同じだが、探索の範囲は三次元に拡張される。図20または図21に示す第3撮像面に着目し、探索の指標として差分絶対値を用いる場合について説明する。まず、図23に示すように、同一撮像面内、つまり第3撮像面での位置補正の対象となる画像データ61の探索領域63から基準領域62との差分絶対値が最小となる領域を探索する。続いて隣接する第2撮像面および第4撮像面の画像データから、先に探索を行った画像データと同一の時相(スキャン)で取得した画像データ66、68を選択し、探索領域67、69を設定して探索指標の最小値を算出する。各撮像面において算出した最小値を比較し、最小となる領域がマッチング領域となり、位置補正ベクトルが確定する。
【0081】
着目する画素のTICを周囲の画素のTICと比較して平滑化する手法も実施例1と同様にして適用することができる。補正に用いる画素は同一撮像面から選択してもよく、また隣接する他の撮像面から選択してもよい。時刻毎の輝度の選択方法は、実施例1に記載の方法と同様である。
【0082】
構成した三次元のカラーマップは、CT画像やMRI画像やPET画像と並列表示または重畳表示させることも可能である。
【0083】
なお上述した画像表示装置は、画像データ上の輝度変化をTICとして画素単位で取得し、前記TICから算出されるパラメータをカラーマップに変換する技術である。したがって本技術の適用範囲は超音波画像に限定されず、MRI画像、CT画像、PET画像など、デジタルの画像データ全般に及ぶ。
【0084】
本発明の画像表示装置の特徴は、以下の通りである。
【0085】
撮像対象に超音波を送受信するための探触子と、探触子により取得した信号を元に画像データを構成するための画像データ構成部と、画像データを保存するための画像メモリと、画像データ取得の制御とTICの生成を制御するTIC演算制御部と、画像データ上の輝度値からTICを生成するためのTIC演算部と、画像構成に必要な評価指標(パラメータ)の値をTICから算出するためのパラメータ算出部と、パラメータの値から血流動態を反映した二次元のカラーマップを構成するための分布像構成部と、分布像構成部で構成したカラーマップを表示するための表示部と、表示された画像の表示形態を変更するための表示情報入力部とを有する画像表示装置である。
【0086】
保存する画像データに対する関心領域の設定やサンプリング間隔の設定を行なうTIC演算制御部をさらに有し、画像データの保存およびTIC生成の処理工程に関係する制御を行なうことを特徴とする画像表示装置である。
【0087】
TIC演算部で生成したTICは、計測点(サンプリング点)の数を維持した時間方向の平均化処理により平滑化することを特徴とする画像表示装置である。
【0088】
TIC演算部におけるTIC生成処理は、保存した画像データの全画素または予め設定する領域毎に実行されることを特徴とする画像表示装置である。
【0089】
TIC演算部において、造影剤の環流による輝度変化を予め設定する既定の関数で簡略化し、TICの特徴的な計測点を算出することを特徴とする画像表示装置である。
【0090】
TIC演算部において設定する関数は、計測開始から第1時点まで一定値で、第1時点から第2時点まで線形的に上昇し、第2時点から第3時点まで一定値となり、第3時点から線形的に下降する形状であること、または計測開始から第1時点まで一定値で、第1時点以降は、平衡輝度A、時間t、造影剤の流入に伴う輝度変化をβとして一般的に知られるTICを表す関数y=A(1-e-βt)であることを特徴とする画像表示装置である。
【0091】
操作者が必要とする描画情報を入力するための描画情報入力部をさらに有し、パラメータ算出部においてTICから算出されるパラメータは描画情報を反映したものであることを特徴とする画像表示装置である。
【0092】
描画情報入力部は、表示部に表示されるナビゲーション画面に表示される描画情報および描画情報を示す情報を反映したTICをもとに操作者が入力することを特徴とする画像表示装置である。
【0093】
描画情報入力部における描画情報の入力は、予め描画情報を設定することにより省略されることを特徴とする画像表示装置である。
【0094】
画像情報制御部において表示されるナビゲーション画面または描画情報は、項目の追加、削除、文面の変更など、操作者が自由に編集できることを特徴とする画像表示装置である。
【0095】
表示部には、取得した画像データの静止画像または動画像が表示され、操作者が静止画像または動画像上に設定する関心領域のTICを並列表示または重畳表示することを特徴とし、重畳表示するTICは操作者が関心領域またはTICを指定する画像表示装置である。
【0096】
描画情報入力部に入力される情報は、造影剤の流入開始時間、平衡輝度到達時間、造影剤の消失開始時間、造影剤の持続時間、予め設定する閾値に到達する時間、輝度上昇率または下降率、平衡状態の輝度、総流用など、血流動態に関係する情報であることを特徴とする画像表示装置である。
【0097】
パラメータ算出部で算出されるパラメータは、描画情報入力部に入力された情報を反映したもので、造影剤の還流に伴う輝度変化を示すTICから算出される値であることを特徴とする画像表示装置である。
【0098】
分布像構成部で構成される画像は、パラメータ算出部で算出した値に応じて色分けされたカラーマップであることを特徴とする画像表示装置である。
【0099】
表示部におけるカラーマップの表示形態は、描画情報、取得した画像データの静止画像または動画像、操作者が指定する関心領域のTIC、カラーマップのうち、表示する情報の組み合わせや配置、大きさを操作者が自由に編集できることを特徴とする画像表示装置である。
【0100】
分布像構成部で構成されるカラーマップは、操作者がカラーマップ上に設定する関心領域の範囲内で色のレンジを最適化できることを特徴とする画像表示装置である。
【0101】
分布像構成部で構成されるカラーマップにおいて、カラーマップに付属するパラメータと色との関係を示すカラーバー上に表示される矢印で着目する色の範囲を指定することにより、カラーマップ上で指定の範囲に含まれる領域においてカラーマップを再構成し、色のレンジを最適化できることを特徴とする画像表示装置である。
【0102】
分布像構成部で構成されるカラーマップにおいて、カラーマップ上に基準領域を指定することにより、基準領域を基準にしたカラーマップが再構成されることを特徴とする画像表示装置である。
【0103】
分布像構成部で構成されるカラーマップにおいて、着目する領域のTIC上でカラーマップに表示するパラメータの範囲を限定できることを特徴とする画像表示装置である。
【0104】
表示情報入力部は、操作者が入力する表示形態全般の情報、例えば、生成したTIC、保存した画像データ、構成したカラーマップなどの情報から表示する組み合わせや表示する大きさ、背景画像や再構成した画像同士の組み合わせ等、を受け付け、分布像構成部または表示部に反映させることを特徴とする画像表示装置である。
【0105】
分布像構成部で構成されるカラーマップにおいて、着目するパラメータの範囲に含まれるカラーマップと含まれないカラーマップを構成し、着目する領域、または着目領域に含まれない領域を色の濃淡や色の配分で区別してから両画像を重畳させることを特徴とする画像表示装置である。
【0106】
分布像構成部で構成されるカラーマップにおいて、異なる描画情報で構成したカラーマップ、超音波画像、MRI画像、CT画像、PET画像、その他同一の撮像対象を映す画像を、背景画像として組み合わせて表示することを特徴とする画像表示装置である。
【0107】
分布像構成部で構成されるカラーマップにおいて、取得した画像データを用いて血管強調等の画像処理を行った画像を背景画像とし、その上にカラーマップを重ねて表示することを特徴とする画像表示装置である。
【0108】
描画情報入力部および表示情報入力部において、操作者が入力する情報は術前に予め設定することが可能であり、また設定内容を保存して次回に反映させることができることを特徴とする画像表示装置である。
【0109】
描画情報入力部においてナビゲーション画面に表示される描画情報は、過去に操作者が選択した頻度が高いものや、腫瘍診断における重要性などでランク付けが可能で、操作者が自由に並び替えて表示できることを特徴とする画像表示装置である。
【0110】
撮像対象に超音波を送受信するための探触子と、探触子により取得した信号を元に画像データを構成するための画像データ構成部と、送波シーケンスを制御するための送波制御部と、画像データを保存するための画像メモリと、TICの生成を制御するTIC演算制御部と、画像データ上の輝度値からTICを生成するためのTIC演算部と、操作者が必要とする描画情報を入力するための描画情報入力部と、描画情報に対応するパラメータをTICから算出するためのパラメータ算出部と、パラメータから血流動態を反映した三次元のカラーマップを構成するための分布像構成部と、分布像構成部で構成した3Dカラーマップを表示するための表示部と、表示された画像の表示形態を変更するための表示情報入力部とを有する画像表示装置である。
【0111】
探触子は、一次元アレイ型の探触子にモータ等の駆動部が備えられたもの、二次元アレイ型の探触子を指し、複数の異なる撮像面における画像データを取得できるものであることを特徴とする画像表示装置である。
【0112】
分布像構成部において構成される3Dカラーマップは、異なる撮像面で構成された二次元のカラーマップを立体的に組み合わせて構成したものであることを特徴とする画像表示装置である。
【0113】
TIC演算部におけるTICの生成は、位置補正ベクトル演算部により撮像対象の空間上の位置ずれを補正されることを特徴とする画像表示装置である。
【0114】
分布像構成部で構成される3Dカラーマップは、異なる描画情報で構成した3Dカラーマップ、超音波画像、MRI画像、CT画像、PET画像、その他同一の撮像対象を映す画像を、背景画像として組み合わせて表示することを特徴とする画像表示装置である。
【符号の説明】
【0115】
1…撮像対象、2…探触子、3…送信ビームフォーマ、4…D/A変換器、5…TGC(時間利得制御器)、6…A/D変換器、7…受信ビームフォーマ、8…包絡線検波部、9…SC(スキャンコンバータ)、10…画像メモリ、11…TIC(輝度変化曲線)演算制御部、12…TIC演算部、13…描画情報入力部、14…パラメータ値算出部、15…表示情報入力部、16…分布像構成部、17…表示部、18…位置補正ベクトル演算部、19…送波制御部、41…表示画面、51…ナビゲーション画面、211…構造物、212…TIC取得位置
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