(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記チャンバの外面と、前記内層の前記表面および前記外層の前記表面の少なくとも一方との間の静摩擦係数が、少なくとも0.70である、請求項1に記載の衣類システム。
前記内層の前記表面、前記外層の前記表面および前記チャンバの外面の少なくとも1つに、ゴムおよびシリコーン材料の少なくとも一方が組み込まれている、請求項5に記載の衣類システム。
前記内層の前記表面、前記外層の前記表面および前記挿入素子の前記外面の少なくとも1つに、ゴムおよびシリコーン材料の一方が組み込まれている、請求項10に記載の衣類システム。
【発明を実施するための形態】
【0007】
上記の要旨および下記の詳細な説明を添付図面と併せて読むと、よりよい理解が得られるであろう。
以下の説明および添付図面により、様々な衣類および挿入素子に関連する概念が開示されている。
衣類システムの形態
図1に、衣類システム100が、衣類110と複数の挿入素子121〜126とを有するものとして描かれている。一般的に、衣類110は、着用者の胴体および腕を覆うシャツ型衣服の形態を有し、挿入素子121〜126は、様々な部位で衣類110と結合されている。挿入素子121〜126は、例えば、(a)挿入素子を配置した着用者の各部位に衝撃保護を提供するために、圧縮力を減衰する(すなわち、パッド/クッション性を付与する)発泡部材、気体充填チャンバまたは板状部材、(b)挿入素子を配置した着用者の各部位を加熱または冷却する液体充填チャンバ、または、(c)携帯電話や携帯音楽プレーヤー、計時装置、心拍モニタ、ロケータビーコン、全地球測位システム、モバイルコンピュータ装置など、着用者に情報や楽しみを与える電子装置とすることができる。着用者が、圧縮力減衰、加熱/冷却または電子装置を身体の様々な部位に配置することを望むとすれば、
図2に示すように、各挿入素子121〜126を衣類110から取り外したり、
図3に示すように、身体の様々な部位に配置したりすることができる。したがって、各挿入素子121〜126は、各挿入素子121〜126の特別な機能および着用者の要望、必要性または嗜好に応じて、再配置することができる。例示目的のために、6つの挿入素子121〜126が描かれているが、衣類110と共に使用する挿入素子の数は、1〜30以上の範囲とすることができる。
【0008】
衣類110は、胴体領域111と、胴体領域111から外側に延びている一対の腕領域112、113とを含む。胴体領域111は、着用者の胴体に対応し、着用時には胴体の少なくとも一部を覆う。胴体領域111の上部には、首開口部114が形成され、衣類110の着用時には、そこから着用者の首および頭が突出する。同様に、胴体領域111の下部には、ウエスト開口部115が形成され、衣類110の着用時には、そこから着用者のウエストまたは骨盤部分が突出する。腕領域112は、着用者の右腕に対応し、右腕の少なくとも一部を覆い、腕領域113は、着用者の左腕に対応し、左腕の少なくとも一部を覆う。各腕領域112、113には、手首開口部116が形成され、衣類110の着用時には、そこから着用者の手および手首が突出する。
【0009】
衣類110は、各領域111〜113に及ぶ外層117および隣接する内層118を含む2層構造を示す。外層117は、衣類110の外側を形成し、衣類110の外面の大部分を構成する。内層118は、衣類110の内側を形成し、衣類110の着用時に着用者に接触する可能性のある衣類110の内面の大部分を構成する。外層117および内層118は、(例えば、縫製により)様々な箇所で結合されるが、層117、118の大部分は、互いに結合されておらず、互いに近接し、これにより、挿入素子121〜126を受け入れる部分を形成する。すなわち、
図4に示すように、層117、118の非結合部分の間に挿入素子121〜126を配置することができる。具体的には、挿入素子121〜126は、層117、118の間に配置されると、衣類110に固定される。挿入素子121〜126は、胴体領域111および各腕領域112、113のいずれに配置されてもよい。
【0010】
衣類110の製造に、様々な素材を使用することができる。一般的に、衣類110は、例えば、レーヨンやナイロン、ポリエステル、ポリアクリル、綿、ウール、絹を含む編布や織布、不織布材料から形成することができる。衣類110は、単一(すなわち、ワンピース)の衣類として編成されていてもよいが、衣類110は、胴体領域111および腕領域112、113を形成するために縫合、接合、接着または結合される複数の布帛要素から形成されたものであってもよい。ある形態においては、布帛材料が、通気性耐水性バリアを形成するコーティングを含んでいてもよく、または、ポリマーシートを布帛材料の代わりに使用してもよい。衣類110は、布帛材料、ポリマーシート、または布帛材料とポリマーシートとの組み合わせの2層以上を含む積層体または層状材料から形成されてもよい。層117、118は、異なる布帛材料から形成されていてもよいが、層117、118は、ほぼ同一の布帛材料から形成されていてもよい。すなわち、外層117を形成する布帛材料は、内層118を形成する布帛材料と同一であってもよい。
【0011】
衣類110は、シャツ型衣服、特に長袖シャツの形態を有するものとして描かれている。ある形態においては、衣類110は、圧縮衣服としての使用を意図するものでもよい。治療用に加えて、圧縮衣服は、ジャージやその他のスポーツ衣類の下にベース層として選手が着用することも多い。一般的に、ベース層を意図した圧縮衣服やその他の衣服は、(a)着用者の肌に近接して比較的タイトフィット性を示したり、(b)着用者の外形に合わせて伸びたりする。圧縮衣服を形成する布帛材料は、引張破断前の(引張破断するまでの)一方向伸度が、例えば、10%を超えるものでもよい場合もあるし、引張破断前の二方向伸度が、例えば、少なくとも30%である場合もある。したがって、衣類110が、比較的タイトフィット性を有するように、そして、着用者の外形に合わせて伸びるように形成される場合、衣類110を形成する布帛材料の引張破断前の二方向伸度は、少なくとも30%であればよい。
【0012】
挿入素子121〜126は、様々な形態を有するものとすることができる。挿入素子121〜126が、発泡部材、気体充填チャンバまたは板状部材として形成されている場合、圧縮力を減衰(すなわち、パッド/クッション性を付与)するために、挿入素子121〜126を使用することができる。例えば、スポーツ活動中(例えば、練習中または競技中)に、着用者の各部位に衝撃保護を提供するために、挿入素子121〜126を使用してもよい。すなわち、挿入素子121〜126を使用して、他の選手、設備または地面との衝突から着用者を保護することができる。挿入素子121〜126が、液体充填チャンバとして形成されている場合、着用者の各部位を加熱または冷却することができる。例えば、着用者の中核体温を適度に調整するために、スポーツ活動をする前に冷却を利用してもよいし、スポーツ活動の後に怪我や痛みからの回復に役立てるために、加熱や冷却を利用してもよい。挿入素子121〜126が、電子装置として形成されている場合には、着用者に情報や楽しみを与えるために、挿入素子121〜126を使用することができる。
【0013】
挿入素子121〜126に使用される材料に加えて、挿入素子121〜126の形状および寸法も大幅に異なっていてもよい。例えば、挿入素子121、122は、略正方形であるが、挿入素子122は、挿入素子121よりも大きく、着用者のより広い部位を覆う。挿入素子123は、長細い長方形であり、挿入素子124は、三角形であり、挿入素子125は、円形である。挿入素子121〜125は、それぞれ、幾何学的な形状であるが、挿入素子126は、不確定な非幾何学的な形状を有している。挿入素子121〜126は、その厚さが大幅に異なるものであってもよく、挿入素子121〜126の組成や用途に応じて、略平坦形状、不均一形状、先細り形状または突出形状も含まれる。したがって、挿入素子121〜126の一般的な形状および寸法は、大幅に異なるものであってもよい。
【0014】
挿入素子121〜126は、その特定の機能および着用者の要望、必要性または嗜好を含め、様々な要因に基づいて、選択および配置が可能である。例えば、
図1に関連して、着用者の右肘を保護する発泡材料として、挿入素子121を選択してもよい。同様の形状であるが、挿入素子122は、着用者の胴体の側部を冷却する液体充填チャンバであってもよい。挿入素子123、124は、それぞれ、胴体領域に固定される電子装置(例えば、携帯電話や携帯音楽プレーヤー)であってもよい。挿入素子125は、着用者の左肘を加熱する液体充填チャンバであってもよい。さらに、挿入素子126は、着用者の胴体の上部を保護する気体充填チャンバであってもよい。したがって、各挿入素子121〜126は、様々な形態を有するように形成され、着用者の様々な部位に配置されて、これらの部位に様々な機能を付与することができる。
【0015】
衣類110および挿入素子121〜126の様々な特性を利用して、挿入素子121〜126をしっかりと配置することができる。例えば、(a)挿入素子121〜126と層117、118の表面との摩擦抵抗、(b)少なくとも外層117からの圧縮力、(c)挿入素子121〜126のうちの1つ以上の挿入素子および層117、118の表面に組み込まれた固定システムのうちの1つ以上により、挿入素子121〜126の位置を固定することができる。
【0016】
挿入素子121〜126と層117、118の表面との間の摩擦抵抗を利用して、衣類110内に挿入素子121〜126の位置を固定することができる。上記のように、挿入素子121〜126は、例えば、発泡部材や流体充填チャンバ(例えば、気体充填または液体充填)、板状部材、電子装置のいずれでもよい。したがって、挿入素子121〜126は、例えば、ポリマー発泡体やポリマーシート、ポリマー成形/鋳込み素子、金属、布帛素子を含め、様々な材料から形成することができる。上記のように、衣類110は、編布、織布または不織布材料で形成してもよいし、ポリマーシートで形成してもよい。挿入素子121〜126および各層117、118用に選択された材料に応じて、挿入素子121〜126の位置を固定するために十分な摩擦とすることができる。ある形態においては、摩擦抵抗を高めるために、挿入素子121〜126または層117、118の表面に様々なコーティング(例えば、シリコーンやゴム)を組み込むことができる。
図5Aを参照すると、挿入素子121が、各層117、118に対する摩擦抵抗を増加させるコーティング127を互いに反対側の面に組み込んだ状態で描かれている。
図5Bを参照すると、内層118が、挿入素子121の片側との摩擦抵抗を増加させるコーティング119を組み込んだ状態で描かれている。挿入素子121〜126を衣類110内にしっかりと配置するためには、各挿入素子121〜126の質量、および衣類110を着用しながら着用者が行う活動に応じて、挿入素子121〜126の外面と層117、118の少なくとも一方の表面との静摩擦係数が少なくとも0.70であれば充分である。
【0017】
また、圧縮力を利用して、挿入素子121〜126の位置を固定することもできる。上記のように、衣類110は、着用者の外形に合わせて(例えば、引張破断前に少なくとも30%)伸びる、比較的タイトフィット性を有する圧縮衣服としての使用を意図していてもよい。外層117が伸びると、外層117は、伸張した状態となり、着用者および各挿入素子121〜126に圧縮力をかける。一般的に、摩擦に打ち勝つために必要な力(すなわち、挿入素子121〜126を動かす力)は、挿入素子121〜126および層117、118が共に圧縮される程度に、少なくとも部分的に依存する。したがって、外層117からの圧縮力が増加すると、挿入素子121〜126の位置は、より安定する。したがって、少なくとも外層117からの圧縮力を利用して、衣類110内で挿入素子121〜126の位置を固定することができる。
【0018】
固定システムは、挿入素子121〜126の位置を固定するために使用する更なる構成を提供する。具体的には、挿入素子121〜126を衣類110に固定するために使用する固定システムの一部を、挿入素子121〜126または層117、118の表面に組み込んでもよい。例えば、ワンタッチテープ(フックおよびループ)固定システム(例えば、アメリカ合衆国ニューハンプシャー州マンチェスターのVELCRO USA社製造のVELCRO)、磁気固定システム、接着固定システムおよびボタン型固定システムを含め、様々な固定システムを使用することができる。ある形態において、固定システムは、挿入素子121〜126の凹部と係合する、層117、118の一方または両方に形成された突起であってもよいし、または、固定システムは、挿入素子121〜126の突起と係合する、層117、118の一方もしくは両方に形成された凹部であってもよい。例えば、挿入素子121の片面の凹部内に侵入する様々な突起が内層118に形成されている形態が、
図5Cに描かれている。
【0019】
摩擦抵抗、圧縮力および固定システムは、それぞれ個々に、挿入素子121〜126の位置を固定するのに充分であるが、これらの方法を組み合わせて利用してもよい。例えば、挿入素子121〜126と層117、118との間の摩擦抵抗を外層117からの圧縮力と組み合わせて利用して、挿入素子121〜126の位置を固定することもできる。同様に、ワンタッチテープ固定システムを外層117からの圧縮力と組み合わせて利用して、挿入素子121〜126の位置を固定することもできる。さらに、摩擦抵抗、圧縮力および固定システムのそれぞれを組み合わせて利用して、挿入素子121〜126の位置を固定することもできる。
【0020】
上記に基づき、衣類システム100は、衣類110と、1つ以上の挿入素子121〜126とを備えている。衣類110を形成する内層118および外層117は、互いに近接して配置され、層117、118の一部が非結合状態となっている。挿入素子121〜126は、層117、118の間に配置可能である。様々な形態において、層117、118の少なくとも一方は、引張破断前に少なくとも30%伸びる布帛で形成されている。あるいは、層117、118は、衣類110の少なくとも50%において互いに固定されていなくてもよい。ある形態において、衣類110(例えば、層117、118の対向面)と、挿入素子121〜126のうちの1以上の挿入素子との間の静摩擦係数は、少なくとも0.70である。
衣類の変形態様
衣類110は、シャツ型衣服、特に長袖シャツの形態を有している。一般的に、シャツ型衣服は、着用者の胴体の一部を覆い、着用者の腕に及んでいてもよい。更なる形態において、衣類110は、半袖シャツやタンクトップ、下着、ジャケット、コートなど、他のシャツ型衣服の形態を有していてもよい。衣類110に使用される様々なシャツ型衣服の変形態様に加えて、層117、118の相対位置も多様なものとすることができる。
図1〜
図3の形態において、外層117および内層118は、それぞれ、領域111〜113のほぼ全域に及び、これにより、挿入素子121〜126を衣類110の任意の部位に固定することができる。ある形態において、層117、118は、衣類110のほんの一部分において互いに近接していてもよい。例えば、
図6Aに、内層118を胴体領域111の上部および腕領域112、113の上部に限定した形態が描かれており、
図6Bに、内層118が腕領域112、113に存在しない形態が描かれている。これらの各形態において、層117、118は、衣類110の50%を超える領域において互いに近接している。すなわち、内層118の表面は、衣類110の少なくとも50%において、外層117の表面に接触し、これにより、挿入素子121〜126を衣類110において広く分布配置することができる。
図6Cに描かれている他の形態においては、内層118は、腕領域112、113にのみ配置され、内層118の表面は、衣類110の少なくとも30%において、外層117の表面に接触する。更なる例として、
図6Dに、(a)外層117が腕領域112、113の下部には存在しないが、内層118が各領域111〜113に及ぶ形態が描かれている。したがって、層117、118で覆われる相対的な部位は、大幅に異なっていてもよい。
図6A〜
図6Dにおける衣類システム100には、様々な挿入素子121〜126ではなく、多数の挿入素子121が組み込まれている。
【0021】
衣類110に関する上記の一般的な構成および概念を、他の種類の衣類に適用してもよい。
図7を参照すると、衣類システム200が、ズボン型衣服の形態を有する衣類210と、複数の挿入素子221とを有するものとして描かれている。様々な形状および寸法を有する様々な挿入素子121〜126が、衣類110と関連付けて描かれている一方で、複数の同様の挿入素子221が衣類210に関連付けて描かれている。例えば、挿入素子221は、(a)発泡部材、気体充填チャンバまたは板状部材、(b)液体充填チャンバ、または、(c)電子装置のいずれであってもよい。さらに、各挿入素子221を、衣類210から取り外して、異なる部位に配置してもよい。したがって、各挿入素子221は、各挿入素子221の特定の機能、および着用者の要望、必要性または嗜好に応じて、再配置可能である。
【0022】
衣類210は、骨盤領域211と、骨盤領域211から外側に延びている一対の脚領域212、213とを含む。衣類110と同様に、衣類210は、各領域211〜213に及ぶ外層217および隣接する内層218を含む2層構造を示す。外層217は、衣類210の外側を形成し、内層218は、衣類210の内側を形成する。外層217および内層218は、(例えば、縫製により)様々な箇所で結合されるが、層217、218の大部分は、互いに結合されておらず、互いに近接し、これにより、挿入素子221を受け入れる部分を形成する。すなわち、衣類210全域において層217、218の非結合部分の間に、挿入素子221を配置することができる。具体的には、挿入素子221は、層217、218の間に配置されると、衣類210に結合される。挿入素子221を、骨盤領域211および各脚領域212、213のいずれに配置してもよい。衣類110と同様に、衣類210の製造に様々な材料を使用することができ、衣類210は、圧縮衣服としての使用を意図してもよい。
【0023】
衣類210は、ズボン型衣服、特に短パンの形態を有する。一般的に、ズボン型衣服は、着用者の骨盤領域の一部を覆い、着用者の脚に及んでいてもよい。更なる形態において、衣類210は、ズボンや短パン、ブリーフ、ジーンズ、下着など、他のズボン型衣服の形態を有していてもよい。衣類210に使用されている様々なズボン型衣服の変形態様に加えて、層217、218の相対位置も多様なものとすることができる。
図7の形態において、外層217および内層218は、それぞれ、領域211〜213のほぼ全域に及び、これにより、挿入素子221を衣類210の任意の部位に固定することができる。ある形態において、層217、218は、衣類210のほんの一部分において互いに近接していてもよい。例えば、
図8Aに、内層218を骨盤領域211に限定した形態が描かれている。この形態において、内層218の表面は、衣類210の少なくとも50%において、外層217の表面に接触し、これにより、挿入素子221を衣類210内において広く分布配置することができる。
図8Bに、内層218を脚領域212、213に限定した形態が描かれており、この形態においては、内層218の表面は、衣類210の少なくとも30%において、外層217の表面に接触する。
図8Cに示す他の形態においては、内層218は、各領域211〜213に及んでいるが、衣類210の側部に限定されている。更なる例として、
図8Dに、衣類210がズボンの形態を有する構成が描かれている。したがって、層217、218で覆われる相対的な部位は、大幅に異なっていてもよい。
挿入素子の変形態様
挿入素子121〜126、221は、着用者の行っている活動、および着用者の要望、必要性または嗜好に応じて、様々な形態を示すものとすることができる。上記のように、挿入素子121〜126、221は、(a)発泡部材、気体充填チャンバもしくは板状部材、(b)液体充填チャンバ、または、(c)電子装置とすることができる。さらに、例えば、挿入素子121〜126、221の形状、寸法および厚さは、大幅に異なっていてもよい。しかし、一般的に、各挿入素子121〜126、221は、層117、118または層217、218の間において、様々な位置に様々な向きで配置可能な形態を有する。
【0024】
図9〜
図11に、更なる挿入素子301の例が、複数の切り込み303によって互いに分割された複数の部分302を含むものとして描かれている。挿入素子301に様々な材料を使用することができるが、ポリマー発泡材料は、圧縮力を減衰し(すなわち、パッド/クッション性を付与し)、衝撃保護を提供することができる。切り込み303の利点は、挿入素子301の柔軟性が向上することであり、これにより、挿入素子301を着用者の体型に合わせることができる。
図12を参照して、挿入素子301が、屈曲した形態で示されており、この形態においては、切り込み303が開いて、挿入素子301の湾曲または屈曲を許容する屈曲溝を形成する。部分302のなかには、開孔304を備えたものがあってもよく、これにより、通気性が向上し、挿入素子301の総重量が減少する。切り込み303および開孔304が存在しない挿入素子301の形態が、
図13Aに描かれており、挿入素子301が先細りになっている形態が、
図13Bに描かれている。
【0025】
挿入素子301の形態は、挿入素子301を衣類110または衣類210内に配置した時に、その位置および向きを保持する方法を改善することができる。
図13Cを参照すると、コーティング305(例えば、シリコーンまたはゴム)が、挿入素子301の下面に施されている。コーティング305を使用して、挿入素子301と層117、118または層217、218の材料との間の摩擦抵抗を高めることができる。同様の形態が、
図13Dに描かれており、この形態においては、挿入素子301の両面にコーティング305が組み込まれている。挿入素子301の位置および向きを保持する他の方法として、
図13Eおよび
図13Fに示すように、層117、118または層217、218からの突起と係合する様々な凹部306が、片面または両面に組み込まれていてもよい。更なる形態においては、
図13Gおよび
図13Hに示すように、層117、118または層217、218の凹部に入り込む様々な突起307が、片面または両面に組み込まれていてもよい。また、
図13Iに示すように、挿入素子301の位置を保持するために、層117、118、217、218のいずれかの布帛材料に侵入する様々な突起繊維308を備えたコーティングが、挿入素子301に組み込まれていてもよい。
【0026】
図14〜
図16に、別の挿入素子311の例が、気体または液体を取り囲む流体充填チャンバの形態を有するものとして描かれている。挿入素子311は、ポリマー材料で形成することができ、流体を受け入れるための内部空隙312が形成されている。空隙312が、圧縮気体などの気体を含む場合、挿入素子311を使用して、圧縮力を減衰することができる。すなわち、挿入素子311を使用して、着用者の特定の部位に衝撃保護を提供することができる。空隙312に液体が配置されている場合、この液体を使用して、挿入素子311が配置された着用者の部位を加熱または冷却することができる。具体的には、挿入素子311および挿入素子311内の液体を加熱または冷却することができる。挿入素子311および挿入素子311内の液体を、(a)層117、118の間または層217、218の間に、(b)着用者の特定部位に近接して配置すれば、着用者に対して熱を与えたり、熱を奪ったりすることができる。ある実施形態において、挿入素子311は、着用者による空隙312内への液体の配置や、空隙312からの液体の排出を可能とする開口部を備えたものであってもよい。
【0027】
挿入素子311の柔軟性を高める複数の凹部313が、挿入素子311の片面に形成されている。挿入素子301における切り込み303と同様に、凹部313は、挿入素子311の湾曲または屈曲を許容して、着用者の体型に合わせる屈曲溝を提供する。また、凹部313は、層117、118、217、218のいずれかに形成された突起を受け入れ、挿入素子311が衣類110または衣類210内に配置されたときに、その位置および向きを保持する方法を改善することができる。ある形態においては、
図17Aに示すように、挿入素子311の両面に凹部313が形成されていてもよい。
【0028】
挿入素子311を形成するポリマー材料は、挿入素子311の位置を保持するために充分な摩擦を、層117、118、217、218に対して提供するものとすることができる。挿入素子311の摩擦特性を向上させるために、様々な表面処理(例えば、プラズマ処理やテクスチャ加工)を利用することができる。さらに、
図17Bに示すように、コーティング314を挿入素子311の片面に施してもよいし、あるいは、コーティング314を挿入素子311の両面に施してもよい。また、
図17Cに示すように、挿入素子311の位置を保持するために、層117、118、217、218のいずれかの布帛材料に侵入する様々な突起繊維315を備えたコーティングが、挿入素子311に組み込まれていてもよい。
【0029】
図18および
図19に、更なる挿入素子321の例が、電子装置322とコーティング323とを含むものとしてに描かれている。電子装置322は、様々な材料で形成することができるが、層117、118、217、218に対して充分な摩擦を提供できるポリマー材料は、多くはない。電子装置322の摩擦特性を向上させるために、少なくとも片面にコーティング323を施す。また、挿入素子321の摩擦特性を向上させるために、様々な表面処理(例えば、プラズマ処理やテクスチャ加工)を利用することができる。
【0030】
本発明は、様々な形態を参照して、上記および添付図面に開示されている。しかし、本開示が果たす目的は、本発明に関する様々な特徴および概念を例示することであり、本発明の範囲を限定することではない。当業者は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、上記の形態に対して数々の変形および変更が可能であることを認識するであろう。