特許第5753498号(P5753498)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5753498
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】テープ記憶装置
(51)【国際特許分類】
   G11B 20/10 20060101AFI20150702BHJP
【FI】
   G11B20/10 311
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-308(P2012-308)
(22)【出願日】2012年1月5日
(65)【公開番号】特開2013-140653(P2013-140653A)
(43)【公開日】2013年7月18日
【審査請求日】2014年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108501
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 剛史
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100091568
【弁理士】
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】戸坂 英司
(72)【発明者】
【氏名】能田 毅
【審査官】 中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−006649(JP,A)
【文献】 特開2000−099906(JP,A)
【文献】 特開平04−286017(JP,A)
【文献】 特開昭62−049434(JP,A)
【文献】 特開2007−265476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 20/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ記憶装置であって、
読み取り後に書き込み可能なR/Wヘッドと、
前記R/Wヘッドによってテープに書き込むデータとテープから読み出されたデータとを蓄積するバッファと、
テープを走行させるためのモータを制御するモータドライバと、
前記R/Wヘッドおよび前記モータドライバを制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記テープの定速走行を前記モータドライバに指示した後に、
(i)前記テープの1トラックでの最初の書き込みに相当する1巡目の書き込みにおいて、前記バッファに蓄積されたデータを書き込み、当該蓄積されたデータが無くなった後は、続けて間隔マークを書き込み続け、前記バッファに次のデータが蓄積された場合に、当該次の蓄積データを前記間隔マークの後に続けて書き込み、
(ii)前記1トラックでの2回目の書き込みに相当する2巡目の書き込みにおいて、前記間隔マークの領域に前記バッファに蓄積されたデータを書き込み、
(iii)前記1トラックでの3回目以降の書き込みに相当する3巡目以降の書き込みにおいて、データの書き込みがされていない前記間隔マークの領域に前記バッファに蓄積されたデータを書き込むための制御をおこなう、テープ記憶装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記1トラックでのデータ充填率(=書き込みデータ量/1トラックの容量)が所定値以下の場合に前記間隔マークの領域に前記バッファに蓄積されたデータを書き込む制御をおこなう、請求項1のテープ記憶装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記1トラックでのデータ充填率が所定値よりも大きい場合に他のトラックにおいて前記バッファに蓄積されたデータを書き込む制御をおこなう、請求項2のテープ記憶装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記1トラックでのデータ充填率を当該1トラックの最後または最初に更新する、請求項2または3のテープ記憶装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記1トラックでのデータ充填率を前記テープの前記1トラックあるいは他のトラックのハウスキーピング領域および前記テープが収納されているカートリッジのカートリッジメモリのいずれか一方または双方に保管する制御をおこなう、請求項4のテープ記憶装置。
【請求項6】
前記間隔マークの領域への書き込みは、前記R/Wヘッドによる当該間隔マークの領域の最初の間隔マークの読み取りから所定時間後に当該R/Wヘッドによってデータの書き込みがおこなわれる、請求項1のテープ記憶装置。
【請求項7】
前記所定時間Tは、前記R/Wヘッドにおける書き込み(W)ヘッドと読み取り(R)ヘッドとの間隔L(m)と前記テープの走行速度V(m/s)とから、T=L/V(s)として求められる、請求項6のテープ記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ記憶装置に関し、より具体的には、テープ記憶装置でのデータの書き込み制御に関する。
【背景技術】
【0002】
既存のテープ記憶装置は、ホストからのデータをテープ上に記録する際に、データトラック上に連続してデータを記録することを前提としている。単位時間当たりのホストからのデータ流入量がテープへの書き込みデータ量よりも少ない場合、テープ走行を停止して巻き戻したり(バックヒッチ)、あるいはテープの走行速度を低下させて、データトラック上に連続して密にデータを記録させている。
【0003】
公開特許公報の2004-341925号には、テープ記憶装置において、既定サイズよりも小さな書き込みデータを検出した場合、その書き込みデータ以降の書き込みデータについての書き込み位置調整を停止し、正規のデータトラックとは異なるトラックに蓄積した情報を書くことでテープの巻き戻し(バックヒッチ)回数を減らして、書き込み時間の節約をすることが開示されている。
【0004】
公開特許公報の2007-95231号には、LTO規格に準拠したテープ記憶装置において、テープが所定距離を移動する間に次の書き込みデータが準備されない場合に、その所定距離内にダミーのデータセットを書き込み、データの読み取りの際には、そのダミーのデータセットのデータ転送を無効にすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-341925号公報
【特許文献2】特開2007-95231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
データトラック上に連続してデータを記録するために、バックヒッチやテープの可変速走行を実現するには、リールモーターの細かい制御機構、言い換えれば、数段階もしくは無段階にテープ走行速度を制御する機構が必要である。
【0007】
特許文献1の方法では、複数トラック間のヘッドの移動を複雑に制御する必要がある。また蓄積した情報を正規のデータトラックに書く際にはバックヒッチが必要である。
【0008】
特許文献2の方法では、ダミーのデータセットの存在によるデータブロックの非連続性を回避するために、データブロックの一部を含むデータセットを重複して書き込む必要がある。さらに、ダミーのデータセットおよび重複するデータセットの転送を選択的に無効にする必要がある。
【0009】
したがって、本発明の目的は、テープ記憶装置でのデータの書き込みにおいて、上述した従来技術における複雑なテープ走行制御あるいはヘッド位置移動制御等を解消あるいは軽減することが可能なデータ書き込み制御を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、読み取り後に書き込み可能なR/Wヘッドと、R/Wヘッドによってテープに書き込むデータとテープから読み出されたデータとを蓄積するバッファと、テープを走行させるためのモータを制御するモータドライバと、R/Wヘッドおよびモータドライバを制御するコントローラと、を備えるテープ記憶装置を提供する。そのテープ記憶装置のコントローラは、テープの定速走行をモータドライバに指示した後に、(i)テープの1トラックでの最初の書き込みに相当する1巡目の書き込みにおいて、バッファに蓄積されたデータを書き込み、当該蓄積されたデータが無くなった後は、続けて間隔マークを書き込み続け、バッファに次のデータが蓄積された場合に、当該次の蓄積データを間隔マークの後に続けて書き込み、(ii)1トラックでの2回目の書き込みに相当する2巡目の書き込みにおいて、間隔マークの領域にバッファに蓄積されたデータを書き込み、(iii)1トラックでの3回目以降の書き込みに相当する3巡目以降の書き込みにおいて、データの書き込みがされていない間隔マークの領域にバッファに蓄積されたデータを書き込むための制御をおこなう。
【0011】
本発明によれば、テープを定速走行させながらデータの書き込みをおこなうので、バックヒッチおよび可変速走行等の複雑なテープ走行制御を回避することができる。さらに、本発明によれば、テープの同一トラックにおいて間隔マークの作成およびその利用(複数回の書き込み)により、1つのトラックでのデータ記憶量(密度)の低下を防ぐことができる。
【0012】
本発明の一態様では、コントローラは、1トラックでのデータ充填率(=書き込みデータ量/1トラックの容量)が所定値以下の場合に間隔マークの領域にバッファに蓄積されたデータを書き込む制御をおこなう。
【0013】
本発明の一態様によれば、1トラックでのデータ書き込み量のオーバーフローを回避し、同時に各トラックにおいてほぼ同様なデータ書き込み量を確保することができる。
【0014】
本発明の一態様では、コントローラは、1トラックでのデータ充填率が所定値よりも大きい場合に次の新しいトラックにおいてバッファに蓄積されたデータを書き込む制御をおこなう。
【0015】
本発明の一態様によれば、複雑なヘッド位置移動制御を回避することができる。
【0016】
本発明の一態様では、コントローラは、1トラックでのデータ充填率を当該1トラックの最後または最初に更新する。
【0017】
本発明の一態様によれば、各巡回での書き込みの前にそのトラックでの最新のデータ充填率を把握しながら、適切な書き込みトラックの選択をおこなうことが可能となる。
【0018】
本発明の一態様では、コントローラは、1トラックでのデータ充填率をテープの1トラックあるいは他のトラックのハウスキーピング領域およびテープが収納されているカートリッジのカートリッジメモリのいずれか一方または双方に保管する制御をおこなう。
【0019】
本発明の一態様によれば、テープまたはカートリッジ自体に1トラックでのデータ充填率を記憶させることにより、異なる(他の)テープ記憶装置においてもそのデータ充填率を利用した書き込み制御が可能となる。
【0020】
本発明の一態様では、間隔マークの領域への書き込みは、R/Wヘッドによる間隔マークの領域の最初の間隔マークの読み取りから所定時間後にR/Wヘッドによってデータの書き込みがおこなわれる。
【0021】
本発明の一態様によれば、間隔マークの検出(読み取り)のみによって、自動的にその間隔マークの領域へのデータの書き込み(上書き)をおこなうことができる。
【0022】
本発明の一態様では、所定時間Tは、R/Wヘッドにおける書き込み(W)ヘッドと読み取り(R)ヘッドとの間隔L(m)とテープの走行速度V(m/s)とから、T=L/V(s)として求められる。
【0023】
本発明の一態様によれば、間隔マークの検出(読み取り)からデータの書き込み開始時間(位置)を適切かつ精度良く設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明のテープ記憶装置を用いたファイルシステムの構成例を示す図である。
図2】本発明のテープ記憶装置の構成例を示す図である。
図3】本発明のR/Wヘッドおよびその周辺の回路構成例を示す図である。
図4】本発明のテープの一部分での書き込み状態を示す図である。
図5】本発明のR/Wヘッドとテープとの位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明のテープ記憶装置を利用可能なファイルシステムの構成例を示す図である。ファイルシステム100は、ネットワーク36で相互に通信可能に接続されたテープ記憶装置10、ホスト(サーバー)30、PC(端末)32、34からなる。図1では、テープ記憶装置10とホスト(サーバー)30は、それぞれ1つしか描かれていないが、これはあくまで例示であって、2以上のテープ記憶装置10やホスト(サーバー)30を含むことができることは言うまでもない。また、本発明のテープ記憶装置は、ファイルシステム100の一部としての利用に限られず、ホスト(サーバー)30やPC(端末)32、34に接続可能な環境であれば基本的にどのような形態においても利用することができる。
【0026】
図2は、本発明のテープ記憶装置の構成例を示す図である。テープ記憶装置10は、ホストインターフェイス(以下、「ホストI/F」という)11と、バッファ12と、チャネル13と、R/Wヘッド14と、モータ15とを含む。また、コントローラ16と、ヘッド位置制御システム17と、モータドライバ18とを含む。更に、テープ記憶装置10には、テープカートリッジ20が挿入されることにより装填可能となっているので、ここでは、テープカートリッジ20も図示している。このテープカートリッジ20は、リール21、22に巻かれたテープ23を含む。テープ23は、リール21、22の回転に伴い、リール21からリール22の方向へ、又は、リール22からリール21の方向へ、長手方向に移動する。尚、テープ23としては、磁気テープが例示されるが、磁気テープ以外のテープ媒体でもよい。
【0027】
また、テープカートリッジ20は、カートリッジメモリ(CM)24も含む。CM24は、テープ23上にどのようにデータが書かれたかの情報を記録する。そして、例えばRFインターフェイスを用いて非接触でテープ23に書かれたデータのインデックスやテープ23の使用状況等を調べることにより、データへの高速アクセスを可能としている。CM24には、さらに、テープの各トラックでのデータ充填率(=書き込みデータ量/1トラックの容量)を記録することができる。このデータ充填率は、後述する各トラックでのデータ書き込み制御において利用される。なお、図2では、このRFインターフェイスのようなCM24へのアクセスを行うためのインターフェイスを、カートリッジメモリインターフェイス(以下、「CMI/F」という)19として示している。
【0028】
ここで、ホストI/F11は、ホスト(サーバー)30や他のPC32等との通信を行う。例えば、ホスト30のOSから、テープ23へのデータの書込みを指示するコマンド、テープ23を目的の位置に移動させるコマンド、テープ23からのデータの読出しを指示するコマンドを受け取る。上述した図1の構成例では、デスクトップOSなどから直接、テープ記憶装置内のデータを参照でき、HD内のファイルを扱うのと同様に、ダブルクリックで実行したり、ドラッグアンドドロップでコピーしたりできる。
【0029】
バッファ12は、テープ23に書き込むべきデータやテープ23から読み出されたデータを蓄積するメモリである。例えば、DRAMによって構成される。また、バッファ12は、複数のバッファセグメントからなり、各バッファセグメントが、テープ23に対する読み書きの単位であるデータセットを格納している。チャネル13は、テープ23に書き込むべきデータをR/Wヘッド14に送ったり、テープ23から読み出されたデータをR/Wヘッド14から受け取ったりするために用いられる通信経路である。
【0030】
R/Wヘッド14は、テープ23が長手方向に移動するとき、テープ23に対して情報を書き込んだり、テープ23から情報を読み出したりする。図2では、R/Wヘッド14が1つしか描かれていないが、本発明においては、テープ23の移動の順方向とその逆方向とでそれぞれ1つのR/Wヘッド14が必要となる。R/Wヘッド14の詳細については後述する。モータ15は、リール21、22を回転させる。なお、図2では、1つの矩形でモータ15を表しているが、モータ15としては、リール21、22の各々に1つずつ、合計2個設けるのが好ましい。
【0031】
一方、コントローラ16は、テープ記憶装置10の全体を制御する。例えば、ホストI/F11で受け付けたコマンドに従って、データのテープ23への書込みやテープ23からの読出しを制御する。また、ヘッド位置制御システム17やモータドライバ18の制御も行う。コントローラ16によるデータ書き込み制御については後述する。ヘッド位置制御システム17は、所望のラップを追跡するシステムである。ここで、ラップとは、テープ23上の複数のトラックのグループである。ラップを切り換える必要が生じると、ヘッド14を電気的に切り換える必要も生じるので、このような切り換えの制御を、このヘッド位置制御システム17で行う。
【0032】
モータドライバ18は、モータ15を駆動する。尚、上述したように、モータ15を2個使用する場合であれば、モータドライバ18も2個設けられる。CMI/F19は、例えば、RFリーダライタにより実現され、CM24への情報の書込みや、CM24からの情報の読出しを行う。
【0033】
図3は、本発明のR/Wヘッド14およびその周辺の回路構成例を示す図である。図3(a)は、テープ23の順方向(矢印F方向)の走行に対応したR/Wヘッド14Aであり、(b)はテープ23の逆方向(矢印B方向)の走行に対応したR/Wヘッド14Bである。(b)では、ヘッド部分のみを示し、周辺回路は(a)と同様なのでその記載を省略している。各R/Wヘッドは、1つの読み取りヘッド(R)141と1つの書き込み(W)ヘッド143を備える。(a)では読み取りヘッド(R)141が書き込み(W)ヘッド143の左側にあり、(b)では逆に読み取りヘッド(R)141が書き込み(W)ヘッド143の右側にある。このように(a)と(b)とで配置が異なる理由は、テープの順方向(矢印F方向)および逆方法(矢印B方向)のいずれの走行においても、書き込み(W)ヘッドに対して先行する読み取りヘッドによって、テープのトラック上の間隔マーク(詳細は後述)の領域の検出(読み出し)後にデータの書き込みをおこなうためである。読み取り(R)ヘッド141は、書き込み(W)ヘッド143に対して所定の間隔Lを有するように配置される。なお、テープの走行方向が反転する際に(F−>BまたはB−>F)、その反転に同調してR/Wヘッドの向きを反転させる機構を備える場合は、R/Wヘッドを(a)または(b)のいずれか1つにすることも可能である。
【0034】
図3の間隔マーク検出部145は、読み取りヘッド141で読み取られた信号(情報)から間隔マークを検出する。ここで、間隔マークとは、空を示す情報でデータセットセパレータのようにユーザーデータセットと異なるものを言う。間隔マークは、通常予め決めた所定のパターンから構成される。間隔マーク検出部145は、間隔マークを構成する所定のパターンを読み取ることにより間隔マークを検出する。
【0035】
遅延処理回路146は、間隔マーク検出部145からの検出信号を受けて、所定時間の遅延を施した遅延信号をゲート回路147に送る。この所定時間は、例えば以下のように設定される。すなわち、所定時間をT(s)とした場合、R/Wヘッドにおける書き込み(W)ヘッド143と読み取り(R)ヘッド141との間隔L(m)と、テープの走行速度V(m/s)とから、

T=L/V(s) (1)

として設定される。このように所定時間を設定できるのは、本発明では、後述するように、テープの定速走行を前提としてデータの書き込み制御をおこなうからである。これにより、間隔マークの検出(読み取り)からその間隔マークの領域へのデータの書き込み開始時間(位置)を適切かつ精度良く設定することが可能となる。
【0036】
ゲート回路147は、遅延処理回路146からの遅延信号を受けて、テープの1トラックへの2巡目以降の書き込みにおいて、バッファ12に蓄積されたデータを書き込み(W)ヘッド143に送る制御をおこなう。実際には、チャネル13を介して2巡目以降の書き込みデータが書き込み(W)ヘッド143に送られる。
【0037】
次に、図4図5を参照しながら、本発明のコントローラ16(図2)による書き込み制御の一実施形態について説明する。図4は、テープの順方向(図4の矢印F方向)および逆方向(図4の矢印B方向)での書き込み状態を示す図である。図4の順(F)方向の書き込みでは、上述した図3(a)のR/Wヘッド14Aが用いられ、逆(B)方向の書き込みでは、図3(b)のR/Wヘッド14Bが用いられる。図5は、本発明のR/Wヘッドとテープとの位置関係を示す図である。図4では、コントローラ16によるモータドライバ18の制御により、テープ23は、順方向および逆方向のいずれの場合においても定速走行しているものとする。
【0038】
図4の(a)〜(d)は、順番に(a)順方向での第1のトラックに対する1巡目の書き込み、(b)逆方向での第1のトラックの隣の第2のトラックに対する1巡目の書き込み、(c)順方向での第1のトラックに対する2巡目の書き込み、および(d)逆方向での第2のトラックに対する2巡目の書き込みの例を示している。本実施形態では、テープ23の同一方向での書き込みに対して順番に1巡目、2巡目、・・・・と計数している。したがって、図4では、(a)が順方向の1巡目の書き込みに相当し、(c)が順方向の2巡目の書き込みに相当し、(b)が逆方向の1巡目の書き込みに相当し、(d)が逆方向の2巡目の書き込みに相当する。
【0039】
(a)では、第1のトラックにおいて、バッファ12(図2)からの1巡目データ1の書き込みの後に、バッファ12に蓄積されたデータが無くなった後も、続けて間隔マーク231が書き続けられる。その後、ホスト30からのデータがバッファ12に蓄積され、そのデータが1巡目データ2として、間隔マーク231の後に書き込まれる。再び、バッファ12に蓄積されたデータが無くなった後も、続けて間隔マーク232が書き続けられる。その後、同様にホスト30からのデータがバッファ12に蓄積され、そのデータが1巡目データ3として、間隔マーク232の後に書き込まれる。以上のような書き込み動作が、テープ33の最初(BOT)から最後(EOT)まで繰り返される。
【0040】
(a)の第1のトラックでの1巡目の最後(テープのEOT)まで来た時、コントローラ16は、一旦テープの走行を停止させる。コントローラ16は、第1のトラックでのデータ充填率(=書き込みデータ量/1トラックの容量)を計算して、当該トラックあるいは他のトラックのハウスキーピング領域(図示なし)およびCM24(図2)のいずれか一方または双方に保管する制御をおこなう。コントローラ16は、第1のトラックのデータ充填率が所定値以下か否かを判定する。所定値は、例えば80%、90%といった値であり、そのトラックにさらにデータを書き込むか否かの判断の基準値として適切な値に設定される。
【0041】
次に、コントローラ16は、ヘッド位置制御システム17を制御して、(b)に示すR/Wヘッド14による隣の第2のトラックでのテープ23の最後(EOT)から最初(BOT)までの逆方向走行での1巡目の書き込みを開始させる。(b)の第2のトラックでの書き込みでは、(a)の第1のトラックでの書き込みの続きとして、バッファ12(図2)からの1巡目データ4の書き込みの後に、バッファ12に蓄積されたデータが無くなった後も、続けて間隔マーク233が書き続けられる。その後、ホスト30からのデータがバッファ12に蓄積され、そのデータが1巡目データ5として、間隔マーク233の後に書き込まれる。再び、バッファ12に蓄積されたデータが無くなった後も、続けて間隔マーク234が書き続けられる。以上のような書き込み動作が、テープ23の最後(EOT)から最初(BOT)まで繰り返される。
【0042】
(b)の第2のトラックでの1巡目の最後(テープのBOT)まで来た時、(a)の場合と同様に、コントローラ16は、一旦テープの走行を停止さ、第2のトラックでのデータ充填率の算出、保管、および所定値との比較判定をおこなう。
【0043】
第1のトラックのデータ充填率が所定値以下である場合、コントローラ16は、(c)の第1のトラックでの2巡目の書き込みを行う。第1のトラックでのデータ充填率がその所定値を超えている場合は、第1のトラックにさらにデータを書き込むことを辞めて、他の新たなトラックでの書き込みに移る。(c)の書き込みでは、間隔マークの領域231、232に、順次2巡目データ6(符号235)と2巡目データ7(符号236)が書き込まれる例が示されている。その書き込みの際、既に図3を参照しながら説明したように、間隔マーク検出部145により間隔マークを検出しながら、その検出から所定時間後にデータが順次書き込まれていく。このように、本発明では、各トラックのデータ充填率を判定しながら、さらに各トラックでの間隔マークの領域を検出しながらデータを書き込んでいくところに特徴がある。
【0044】
(c)の第1のトラックでの2巡目の最後(テープのEOT)まで来た時、(a)の場合と同様に、コントローラ16は、一旦テープの走行を停止さ、第1のトラックでのデータ充填率の算出、保管(更新)、および所定値との比較判定をおこなう。
【0045】
第2のトラックのデータ充填率が所定値以下である場合、コントローラ16は、(d)の第2のトラックでの2巡目の書き込みを行う。第2のトラックでのデータ充填率がその所定値を超えている場合は、第2のトラックにさらにデータを書き込むことを辞めて、他の新たなトラックでの書き込みに移る。(d)の書き込みでは、間隔マークの領域233、234に、順次2巡目データ8(符号237)と2巡目データ9(符号238)が書き込まれる例が示されている。
【0046】
(d)の第2のトラックでの2巡目の最後(テープのBOT)まで来た時、(a)の場合と同様に、コントローラ16は、一旦テープの走行を停止さ、第1のトラックでのデータ充填率の算出、保管(更新)、および所定値との比較判定をおこなう。第1および第2のトラックに対する3巡目以降の書き込みも(c)あるいは(d)の場合と同様な手順で行われる。以上のようなコントローラ16による書き込み制御が各トラックに対して同様に順次行われる。
【0047】
図5の(a)は、順方向(F方向)走行での間隔マーク検出時のR/Wヘッド14Aとテープ23との位置関係を示している。この順方向走行では、図に示されるように、R/Wヘッド14Aの読み取り(R)ヘッドにより、間隔マークが最初に読み出される。書き込み(W)ヘッドによって、図4(c)で例示したように、データが読み出された間隔マーク(領域)上に書き込まれていく(上書きされていく)。間隔マーク検出部145により間隔マークが検出されない箇所では、言い換えれば、読み取り(R)ヘッドにより間隔マークが読み出されない箇所では、書き込み(W)ヘッドによるデータの書き込みを停止させる。図5(a)では、図のA点が間隔マークの読み取り終了点となり、その終了点(A点)の検出を受けてデータの書き込みを停止させる。
【0048】
図5(b)は、逆方向(B方向)走行での間隔マーク検出時のR/Wヘッド14Bとテープ23との位置関係を示している。この逆方向走行では、図に示されるように、R/Wヘッド14Bの読み取り(R)ヘッドにより、間隔マークが読み出される。書き込み(W)ヘッドによって、図4(d)で例示したように、データが間隔マーク(領域)上に書き込まれていく(上書きされていく)。図5(a)の場合と同様に、読み取り(R)ヘッドにより間隔マークが読み出されない箇所では、書き込み(W)ヘッドによるデータの書き込みを停止させる。
【0049】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明をした。しかし、本発明はこれらの実施形態に限られるものではない。さらに、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変形を加えた態様で実施できるものである。
【符号の説明】
【0050】
10 テープ記憶装置
14、14A、14B R/Wヘッド
20 テープカートリッジ
23 テープ
24 カートリッジメモリ(CM)
30 サーバー(ホスト)
36 ネットワーク
141 読み取り(R)ヘッド
143 書き込み(W)ヘッド
145 間隔マーク検出部
146 遅延処理回路
147 ゲート回路
図1
図2
図3
図4
図5