特許第5753510号(P5753510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5753510
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/02 20060101AFI20150702BHJP
【FI】
   F04B49/02 311
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-83864(P2012-83864)
(22)【出願日】2012年4月2日
(65)【公開番号】特開2013-213426(P2013-213426A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2014年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141174
【氏名又は名称】株式会社丸山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(72)【発明者】
【氏名】諫山 和博
【審査官】 加藤 一彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−241993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/02
F04B 49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を圧送するための電動ポンプ(1)を備え、ノズル(6a)の開閉と連動して、前記電動ポンプ(1)のモータをオン、オフさせるポンプ装置(D)であって、
前記電動ポンプ(1)と前記ノズル(6a)との間の前記液体の圧力を検知する圧力スイッチ(5)と、
前記電動ポンプ(1)の前記モータのオン、オフを制御する制御部(8)と、を備え、
前記制御部(8)は、
前記モータの電流値(A)が、前記ノズル(6a)を開放した状態で前記電動ポンプ(1)を駆動しているときの電流値(A)よりも大きい所定のカット値(A)になったときに、前記モータをオフにし、
前記圧力スイッチ(5)に検知される圧力値(P)が、所定の作動圧力値(P)を下回ったときに、前記モータをオンにする、
ポンプ装置(D)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ポンプを備えるポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電動ポンプを備えるポンプ装置が知られており、例えば、特許文献1には、電動ポンプである往復ポンプ装置を備えた装置が記載されている。この装置では、往復ポンプ装置の吐出口と、液体を噴霧するノズルを有する噴霧ホースとの間に、圧力スイッチが介されている。噴霧ホースには、当該噴霧ホースを開閉するためのバルブが設けられている。そして、この装置では、往復ポンプ装置を作動させた状態において、バルブを開にすることにより噴霧ホースを介してノズルから液体を吐出し、バルブを閉にすることによりノズルからの液体の吐出を停止する。この際、往復ポンプ装置を作動させた状態でバルブを閉にすると、吐出を停止しているにも拘らず、モータが回転を続けてしまう。そこで、この装置では、上述の圧力スイッチにより液圧の変化を検知し、当該液圧の変化に基づく圧力スイッチのオン、オフにより、モータのオン、オフを制御している。
【0003】
より具体的には、往復ポンプ装置を作動させた状態において、バルブを閉にすると、圧力スイッチ内部の液圧が上昇して吐出圧よりも高い所定の圧力となり、これにより、圧力スイッチが作動(オン又はオフ)して、モータがオフになる。この際、逆止弁等の弁部が閉となることにより、往復ポンプ装置の吐出口からバルブにおいては密閉状態となり、高い圧力(封入圧)が維持される。
【0004】
一方、この状態でバルブを開にすると、開放状態となるノズルから圧力が抜けて圧力スイッチが作動(オフ又はオン)し、モータがオンとされるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−100675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のようなポンプ装置では、バルブが閉となっている状態において、例えば、逆止弁に異物がはさまったり摩耗や傷等が生じていたりすると、圧力が抜けて封入圧よりも低下し、圧力スイッチがそれを感知して、モータがオンとなってしまう。そうすると、バルブが閉となっているため、再び圧力スイッチ内部の液圧が上昇して圧力スイッチがそれを感知し、モータがオフとなる。このように、バルブが閉となっているにもかかわらず、モータのオンとオフとが繰り返される、いわゆるハンチングが発生してしまう。このハンチングを抑制するためには、例えば、封入圧を高めに設定したり、逆止弁等の寸法精度を高めたりすることが必要となる。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、ハンチングを好適に抑制できるポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るポンプ装置(D)は、液体を圧送するための電動ポンプ(1)を備え、ノズル(6a)の開閉と連動して、電動ポンプ(1)のモータをオン、オフさせるポンプ装置(D)であって、電動ポンプ(1)とノズル(6a)との間の前記液体の圧力を検知する圧力スイッチ(5)と、電動ポンプ(1)のモータのオン、オフを制御する制御部(8)と、を備え、制御部(8)は、モータの電流値(A)が、ノズル(6a)を開放した状態で電動ポンプ(1)を駆動しているときの電流値(A)よりも大きい所定のカット値(A)になったときに、モータをオフにし、圧力スイッチ(5)に検知される圧力値(P)が、所定の作動圧力値(P)を下回ったときに、モータをオンにする。
【0009】
本発明に係るポンプ装置(D)では、制御部(8)により、モータの電流値(A)が所定のカット値(A)になったときにモータがオフにされ、圧力スイッチ(5)の圧力値(P)が所定の作動圧力値(P)を下回ったときにモータがオンにされる。ここで、圧力スイッチの作動圧力値に基づいて、モータのオン、オフの双方が制御される従来のポンプ装置においては、作動圧力値をノズルを開放した状態で電動ポンプを駆動しているときの圧力(P)よりも高く設定する必要があった。これに対し、本発明に係るポンプ装置(1)では、上述のように、モータのオフについてはモータの電流値(A)に基づいて制御されることにより、モータのオンを制御するための圧力スイッチ(5)の作動圧力値(P)を、上記圧力(P)とは無関係に設定することが可能になる。このため、例えば、作動圧力値(P)を上記圧力(P)よりも小さく設定することにより、ノズル(6a)が閉となっている状態において圧力が多少抜けても、圧力スイッチ(5)がすぐに作動することが抑制される。従って、ハンチングを好適に抑制できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ハンチングを好適に抑制できるポンプ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るポンプ装置が設けられた薬剤噴霧装置を示す側面図である。
図2図1中の圧力スイッチを示す斜視図である。
図3図1中の圧力スイッチを示す底面図である。
図4図3中のIV-IV矢視図である。
図5図1中のポンプ装置におけるノズルの開閉のタイミングと圧力値及び電流値との関係を示すグラフである。
図6】従来のポンプ装置におけるノズルの開閉のタイミングと圧力値との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明のポンプ装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明の実施形態に係るポンプ装置が設けられた薬剤噴霧装置を示す側面図である。図1に示すように、本実施形態に係るポンプ装置Dは、ここでは、液体状の薬剤を噴霧する薬剤噴霧装置100に設けられている。薬剤噴霧装置100は、電動ポンプ1、圧力スイッチ5、コントローラ(制御部)8及びバッテリ9を備えるポンプ装置Dの他、薬剤タンク2、吸水ホース3、接続ホース4、吐出ホース6及び余水ホース7を有している。
【0014】
電動ポンプ1は、薬剤タンク2に貯留された薬剤を圧送するものであり、ポンプの駆動源としてモータを有している。吸水ホース3は、薬剤タンク2内の薬剤を、電動ポンプ1に送るホースである。接続ホース4は、電動ポンプ1と圧力スイッチ5とを接続するホースである。
【0015】
圧力スイッチ5は、電動ポンプ1と後述するノズル6aとの間の薬剤の圧力を検知するためのものである。この圧力スイッチ5には、給水口5a、吐出口5b及び余水口5cが設けられており、圧力スイッチ5の内部において、三叉の流路によりそれぞれ連通されている(図4参照)。給水口5aには、接続ホース4が接続され、電動ポンプ1からの薬剤が接続ホース4及び給水口5aを介して圧力スイッチ5に供給される。吐出口5bには、吐出ホース6が接続され、圧力スイッチ5を通過した薬剤が吐出口5bを介して吐出ホース6に供給される。余水口5cには、余水ホース7が接続され、圧力スイッチ5内部の薬剤の圧力が所定以上に達した場合に、薬剤の一部が余水口5cを介して余水ホース7に逃がされ、薬剤タンク2に戻される。
【0016】
吐出ホース6は、電動ポンプ1から圧送された薬剤を噴霧するためのホースであり、その途中にバルブ6bを有すると共に、その先端にノズル6aを有している。ノズル6aは、薬剤を噴霧する部分であり、バルブ6bは、ノズル6aの開閉を行うものである。
【0017】
図2図1中の圧力スイッチを示す斜視図、図3図1中の圧力スイッチを示す底面図、図4図3中のIV-IV矢視図である。図4に示すように、圧力スイッチ5は、弁座51、逆止弁52、弁座押さえ53、ダイヤフラム54、バネ押さえ55、圧縮コイルバネ56、余水弁58、圧縮コイルバネ59及びマイクロスイッチ57(図2及び図3参照)を有している。
【0018】
弁座51は、逆止弁52及び余水弁58を受けるためのものであり、三叉の薬剤の流路において、分岐部分に設けられている。この弁座51は、逆止弁52を受ける部分に弁シート51aを有しており、余水弁58を受ける部分に弁シート51bを有している。
【0019】
逆止弁52は、吐出口5bから給水口5aに向けた薬剤の逆流を防止するための球状の部材であり、薬剤の流路において、弁座51と吐出口5bとの間に設けられている。弁座押さえ53は、逆止弁52を受けつつ薬剤の流路を確保するためのものであり、逆止弁52よりも下流側に配置されている。逆止弁52が下流側の弁座押さえ53と当接している場合には、弁座押さえ53に設けられた溝53aを介して、給水口5aから吐出口5bに向けて薬剤が流れるようにされている。一方、逆止弁52が上流側の弁座51の弁シート51aと当接している場合には、薬剤の流路が遮断され、吐出口5bから給水口5aに向けて薬剤が逆流しないようにされている。
【0020】
ダイヤフラム54は、薬剤の圧力の変化に応じて変形することにより薬剤の圧力を検知する膜状の部材であり、薬剤の流路において、弁座押さえ53と吐出口5bとの間に設けられている。このダイヤフラム54の一方側(図4において上側)の面は、薬剤の流路の途中に設けられたダイヤフラム室5dに面している。
【0021】
バネ押さえ55は、ダイヤフラム54の変形をマイクロスイッチ57に伝えるための軸状の部材であり、その一方端部がダイヤフラム54の他方側の面に当接している。圧縮コイルバネ56は、バネ押さえ55をダイヤフラム54側に付勢するためのものであり、圧力スイッチ5のケーシングの内部とバネ押さえ55に設けられた鍔部との間に挟持されている。
【0022】
マイクロスイッチ57は、バネ押さえ55から伝えられたダイヤフラム54の変形に応じて作動(オープン、クローズ)するものであり、バネ押さえ55の他方端部と当接している。マイクロスイッチ57は、コントローラ8に接続されており(図1参照)、クローズになっている際にコントローラ8に信号を送信する。
【0023】
ここで、圧縮コイルバネ56のバネ力Wは、以下の式(1)のように設定されている。
W=P×S・・・(1)
但し、
S:ダイヤフラムと薬剤との当接面積
:所定の圧力値(作動圧力値)
【0024】
式(1)から明らかなように、ダイヤフラム室5d内の薬剤の圧力値Pが所定の作動圧力値Pよりも大きい場合(P>Pの場合)、圧力値Pはバネ力Wに勝り、ダイヤフラム54がバネ押さえ55側に変形してバネ押さえ55をマイクロスイッチ57側に付勢し、これにより、マイクロスイッチ57がクローズとされ、マイクロスイッチ57からコントローラ8に信号が送信されるようになっている。一方、圧力値Pが作動圧力値Pを下回っている場合(P<Pの場合)、バネ力Wは圧力値Pに勝り、圧縮コイルバネ56によりバネ押さえ55がダイヤフラム54側に付勢されてダイヤフラム54がダイヤフラム室5d側に変形し、これにより、マイクロスイッチ57がオープンとされ、マイクロスイッチ57からコントローラ8に信号が送信されないようになっている。すなわち、圧力スイッチ5では、圧力値Pが作動圧力値Pを下回ると、マイクロスイッチ57からコントローラ8への信号が途絶えるように構成されている。
【0025】
特に、本実施形態に係る圧力スイッチ5では、作動圧力値Pが噴霧圧(吐出圧)Pよりも小さくなるように、圧縮コイルバネ56のバネ力Wが比較的小さい値に設定されている。ここで、噴霧圧Pとは、ノズル6aを開放した(開にした)状態で電動ポンプを駆動しているときの圧力であって、略一定に安定したときの圧力をいう(図5参照)。つまり、圧力スイッチ5では、噴霧圧Pよりも小さい作動圧力値Pを検知した場合に、マイクロスイッチ57が作動するようになっている。
【0026】
余水弁58は、圧力スイッチ5内部の薬剤の圧力が所定値よりも大きくなった場合に、給水口5aから余水口5cに向けて薬剤を逃がすようにするための軸状の部材であり、薬剤の流路において、弁座51と余水口5cとの間に配置されている。圧縮コイルバネ59は、余水弁58を弁座51側に付勢するためのものであり、余水弁58に設けられた鍔部と圧力スイッチ5のケーシングの内部との間に挟持されている。余水弁58が上流側の弁座51の弁シート51bと当接している場合には、薬剤の流路が遮断され、余水口5cから給水口5aに向けて薬剤が流れないようにされている。一方、薬剤の圧力が所定値よりも大きくなった場合、この圧力が圧縮コイルバネ59のバネ力に勝って、余水弁58が弁シート51bから離間している場合には、給水口5aから余水口5cに向けて薬剤が逃がされるようにされている。
【0027】
コントローラ8は、電動ポンプ1のモータのオン、オフを制御するためのものであり、例えば、CPU、ROM、RAM等からなる電子制御ユニットである。このコントローラ8は、上述のように、圧力スイッチ5のマイクロスイッチ57に接続されている他、電動ポンプ1及びバッテリ9に接続されている。
【0028】
コントローラ8には、電動ポンプ1のモータがオンとなっている間は、マイクロスイッチ57からの信号を受信しない回路が組み込まれており、これにより、電動ポンプ1のモータがオフとなっている間にのみ、マイクロスイッチ57からの信号が受信されるようになっている。また、コントローラ8には、電動ポンプ1のモータがオフとなっている状態において、マイクロスイッチ57からの信号が途絶えると、電動ポンプ1のモータをオンにする回路が組み込まれている。すなわち、コントローラ8は、圧力スイッチ5の圧力値Pが作動圧力値Pを下回ったときに、電動ポンプ1のモータをオンにするようになっている。
【0029】
また、コントローラ8は、電動ポンプ1のモータの電流値を検知することが可能になっている。このコントローラ8には、電動ポンプ1のモータの電流値Aが、ノズル6aを開放した状態で電動ポンプ(1)を駆動しているときの電流値(噴霧圧Pにおいてポンプを駆動しているときの電流値)である定常電流値Aよりも大きい所定のカット値Aになると、バッテリ9から電動ポンプ1への電流を遮断する回路が組み込まれている。つまり、コントローラ8は、電動ポンプ1のモータの電流値Aがカット値Aになると、電動ポンプ1のモータをオフするようになっている。バッテリ9は、電動ポンプ1、コントローラ8及びマイクロスイッチ57の電力源となる。
【0030】
次に、ポンプ装置Dの動作について説明する。
【0031】
図5は、図1中のポンプ装置におけるノズルの開閉のタイミングと圧力値及び電流値との関係を示すグラフである。図5に示すように、まず、時刻Tにおいて、モータをオンにして電動ポンプ1を駆動し、ノズル6aを開にしてノズル6aからの薬剤の噴霧を開始すると、圧力スイッチ5の圧力値P、及び、電動ポンプ1のモータの電流値Aが上昇する。この際、圧力値Pが作動圧力値Pよりも大きくなると、マイクロスイッチ57がクローズとなってコントローラ8に信号が送信される。しかし、この間、電動ポンプ1のモータはオンとなっているため、この信号は無視される。そして、圧力値Pが噴霧圧Pに達すると共に、電流値Aが定常電流値Aに達する。
【0032】
続いて、時刻Tにおいて、ノズル6aを閉にして薬剤の噴霧を止めると、圧力値Pが上昇する。この際、圧力スイッチ5の内部では、ノズル6aが閉にされたことに伴って吐出口5bから給水口5aに向けて薬剤が流れようとし、この流れによって逆止弁52が弁座51の弁シート51aと当接して、逆流が防止される(図4参照)。これにより、弁座51からノズル6aにかけては密閉状態となり、高い圧力(封入圧)Pが維持される。
【0033】
また、ノズル6aが閉にされたことに伴って電動ポンプ1のモータに負荷がかかり、電流値Aが上昇する。この際、電流値Aがカット値Aになると、コントローラ8により電動ポンプ1のモータがオフにされ、電流値A=0となる。また、電動ポンプ1のモータがオフにされるのに伴って、マイクロスイッチ57からの信号の受信が開始される。
【0034】
ところで、ノズル6aが閉にされている状態で、逆止弁52と弁シート51aとの間に異物が挟まったり、これらに傷や摩耗が生じていたりすると、圧力が抜けて圧力値Pが封入圧Pよりも低下する。本実施形態に係る圧力スイッチ5では、作動圧力値Pが噴霧圧Pよりも小さく設定されているため、上述の要因等によって圧力が多少抜けても、圧力スイッチ5は作動せず、電動ポンプ1のモータはオンとはならない。
【0035】
続いて、時刻Tにおいて、ノズル6aを開にして薬剤の噴霧を再開すると、ノズル6aからの薬剤の噴霧に伴って圧力が抜け、圧力値Pが減少する。この際、圧力値Pが作動圧力値Pを下回ると、マイクロスイッチ57がオープンとなってコントローラ8への信号が途絶え、コントローラ8により電動ポンプ1のモータがオンにされる。これにより、電動ポンプ1が駆動し、再び圧力値P及び電流値Aが上昇して、それぞれ噴霧圧P及び定常電流値Aに達する。このようにして、電動ポンプ1では、ノズル6aの開閉と連動して、ポンプを駆動するモータがオン、オフされる。
【0036】
以上、本実施形態に係るポンプ装置Dでは、コントローラ8により、電動ポンプ1のモータの電流値Aが所定のカット値Aになったときにモータがオフにされ、圧力スイッチ5の圧力値Pが所定の作動圧力値Pを下回ったときにモータがオンにされる。
【0037】
ここで、図6は、従来のポンプ装置におけるノズルの開閉のタイミングと圧力値との関係を示すグラフである。図6に示すように、従来のポンプ装置では、まず、時刻Tにおいてノズルを開にすると共にポンプを駆動し、続いて、時刻Tにおいてノズルを閉にした際、圧力値Pが封入圧Pよりも大きくなったときに、モータをオフにするようになっている。続いて、時刻Tにおいてノズルを開にする際、圧力値Pが封入圧Pを下回ったときに、モータをオンにするようになっている。このように、圧力スイッチによりモータのオン、オフの双方を制御する従来のポンプ装置においては、圧力スイッチの作動圧力値を、噴霧圧Pより高い封入圧Pに設定する必要があった。このため、逆止弁に異物がはさまること等により圧力が抜けて封入圧Pよりも低下すると、圧力スイッチがすぐにそれを感知してしまい、ハンチングが発生しやすくなっていた。
【0038】
これに対し、本実施形態に係るポンプ装置Dでは、上述のように、モータのオフについてはモータの電流値Aに基づいて制御することにより、モータのオンを制御するための圧力スイッチ5の作動圧力値Pを、噴霧圧Pとは無関係に設定することが可能となっている。そして、本実施形態のように、作動圧力値Pを噴霧圧Pよりも小さく設定することにより、圧力が多少抜けても、圧力スイッチ5がすぐに作動することが抑制される。従って、ハンチングを好適に抑制できる。また、これにより、逆止弁52や弁シート51a等の加工精度やメンテナンス等に気を配る必要がなくなり、製造コストやメンテナンスコスト等を低減できる。
【0039】
以上、本発明に係るポンプ装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態においては、作動圧力値Pは、噴霧圧Pよりも小さく設定されているが、噴霧圧Pと封入圧Pとの間の値に設定されてもよい。要は、ノズル6aが閉にされている状態で圧力が多少抜けても、圧力スイッチ5がすぐに作動しない程度に、封入圧Pよりも小さい値に設定すればよい。
【0040】
また、上記実施形態では、圧力値Pが作動圧力値Pよりも上昇したときにマイクロスイッチ57がクローズし、圧力値Pが作動圧力値Pを下回ったときにマイクロスイッチ57がオープンするようにして、マイクロスイッチ57からコントローラ8への信号が途絶えたときに、圧力値Pが作動圧力値Pを下回ったことを検知する構成としているが、マイクロスイッチ57のオープン及びクローズが逆となる構成としてもよい。要は、圧力値Pが作動圧力値Pを下回ったことを検知し、この際に、電動ポンプ1のモータをオンにする構成とすればよい。
【符号の説明】
【0041】
1…電動ポンプ、5…圧力スイッチ、6a…ノズル、8…コントローラ(制御部)、A…電流値、P…圧力値、A…カット値、P…作動圧力値、ポンプ装置D。
図1
図2
図3
図4
図5
図6