特許第5753511号(P5753511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5753511解体機用キャブ及びこれに用いるキャブガード
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5753511
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】解体機用キャブ及びこれに用いるキャブガード
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/16 20060101AFI20150702BHJP
   E04G 23/08 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
   E02F9/16 Z
   E04G23/08 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-92300(P2012-92300)
(22)【出願日】2012年4月13日
(65)【公開番号】特開2013-221280(P2013-221280A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2014年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077816
【弁理士】
【氏名又は名称】春日 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100156524
【弁理士】
【氏名又は名称】猪野木 雄一
(72)【発明者】
【氏名】諸頭 史弥
【審査官】 鷲崎 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−037817(JP,A)
【文献】 特開2008−082113(JP,A)
【文献】 特開2000−233701(JP,A)
【文献】 特開2004−074853(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00−9/18
E02F 9/24−9/28
E04G 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャブ本体の上側前窓を飛散物から防護する上側前ガードと、前記キャブ本体の下側前窓を飛散物から防護する下側前ガードとを前記キャブ本体に固定し、前記キャブ本体の一方側の側面に乗降するためのドアを設けた解体機用キャブであって、
前記下側前ガードは、
上枠と、下枠と、前記上枠の前記ドア側の端部に一方端を接合したドア側の上側側枠と、前記下枠の前記ドア側の端部に一方端を接合したドア側の下側側枠と、前記ドア側の上側側枠と前記ドア側の下側側枠との間に設けられ、ドア側の側枠を兼ねる手摺部材と、前記上枠及び前記下枠の前記ドアの反対側の端部に両端部をそれぞれ接合した反ドア側の側枠とで構成された枠体と
前記上枠と前記下枠とを連結する縦板部材とを備えた
ことを特徴とする解体機用キャブ。
【請求項2】
請求項1に記載の解体機用キャブにおいて、
前記下側前ガードは、前記反ドア側の側枠と、前記ドア側の上側側枠と、前記ドア側の下側側枠とにそれぞれ設けたブラケットと、
前記ブラケットに設けられ、前記キャブ本体に固定するためのボルトを挿入するボルト孔とを備えた
ことを特徴とする解体機用キャブ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の解体機用キャブにおいて、
前記手摺部材は円筒体である
ことを特徴とする解体機用キャブ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の解体機用キャブにおいて、
前記上側前ガードは、
上枠と、下枠と、前記上枠の前記ドア側の端部に一方端を接合したドア側の上側側枠と、前記下枠の前記ドア側の端部に一方端を接合したドア側の下側側枠と、前記ドア側の上側側枠と前記ドア側の下側側枠との間に設けられ、ドア側の側枠を兼ねる手摺部材と、前記上枠及び前記下枠の前記ドアの反対側の端部に両端部をそれぞれ接合した反ドア側の側枠とで構成された枠体と
前記上枠と前記下枠とを連結する縦板部材とを備えた
ことを特徴とする解体機用キャブ。
【請求項5】
一方側の側面に乗降するためのドアを設けた解体機用のキャブに用いられる、上側前ガード及び下側前ガードを有するキャブガードにおいて、
前記下側前ガードは、
上枠と、下枠と、前記上枠の前記ドア側の端部に一方端を接合したドア側の上側側枠と、前記下枠の前記ドア側の端部に一方端を接合したドア側の下側側枠と、前記ドア側の上側側枠と前記ドア側の下側側枠との間に設けられ、ドア側の側枠を兼ねる手摺部材と、前記上枠及び前記下枠の前記ドアの反対側の端部に両端部をそれぞれ接合した反ドア側の側枠とで構成された枠体と
前記上枠と前記下枠とを連結する縦板部材とを備えた
ことを特徴とするキャブガード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、解体機用キャブ及びこれに用いるキャブガードに関し、更に詳しくは、粉塵や破砕物等が飛散する解体作業で用いられる解体機用キャブ及びこれに用いるキャブガードに関する。
【背景技術】
【0002】
粉塵や破砕物等が飛散する解体作業で用いられる解体機には、飛散物からキャブ本体の窓部を防護するためのキャブガードをキャブ本体に取り付けたものがある。そして、キャブ本体の前窓のメンテナンス性の向上やキャブ本体からのフロントガード(キャブガード)の取外しの容易化のために、フロントガードをガイドレールに沿って移動自在とし、フロントガードをガイドレールから着脱自在としたキャブが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−316429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載されたキャブにおいて、昇降用の手摺は、キャブ本体の前窓とフロントガードとの隙間に位置するようにキャブ本体の前端側部で前方外側に張り出して取り付けられている。このため、前窓を清掃する場合、キャブ本体とフロントガードの側方の隙間から手や清掃器具を挿入しづらいという問題がある。
【0005】
そこで、キャブ本体の前窓の清掃時には、フロントガードをガイドレールに沿って天窓側に移動させている。しかし、このようにフロントガードを移動させることは、非常に手間がかかるという問題がある。
【0006】
また、キャブ本体とフロントガードの隙間から手や清掃器具を挿入しやすくするために、昇降用の手摺をフロントガードより前方に張り出すように形成することが考えられるが、そうするとオペレータが搭乗する場合、手摺に手が届きにくくなってしまい、昇降性を悪くしてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、キャブへの昇降性を犠牲にせずに前窓の清掃作業を容易にできる解体機用キャブ及びこれに用いるキャブガードを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、第1の発明は、キャブ本体の上側前窓を飛散物から防護する上側前ガードと、前記キャブ本体の下側前窓を飛散物から防護する下側前ガードとを前記キャブ本体に固定し、前記キャブ本体の一方側の側面に乗降するためのドアを設けた解体機用キャブであって、前記下側前ガードは、上枠と、下枠と、前記上枠の前記ドア側の端部に一方端を接合したドア側の上側側枠と、前記下枠の前記ドア側の端部に一方端を接合したドア側の下側側枠と、前記ドア側の上側側枠と前記ドア側の下側側枠との間に設けられ、ドア側の側枠を兼ねる手摺部材と、前記上枠及び前記下枠の前記ドアの反対側の端部に両端部をそれぞれ接合した反ドア側の側枠とで構成された枠体と、前記上枠と前記下枠とを連結する縦板部材とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記下側前ガードは、前記反ドア側の側枠と、前記ドア側の上側側枠と、前記ドア側の下側側枠とにそれぞれ設けたブラケットと、前記ブラケットに設けられ、前記キャブ本体に固定するためのボルトを挿入するボルト孔とを備えたことを特徴とする。
【0010】
更に、第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記手摺部材は円筒体であることを特徴とする。
【0011】
また、第4の発明は、第1乃至第3の発明のいずれかにおいて、前記上側前ガードは、上枠と、下枠と、前記上枠の前記ドア側の端部に一方端を接合したドア側の上側側枠と、前記下枠の前記ドア側の端部に一方端を接合したドア側の下側側枠と、前記ドア側の上側側枠と前記ドア側の下側側枠との間に設けられ、ドア側の側枠を兼ねる手摺部材と、前記上枠及び前記下枠の前記ドアの反対側の端部に両端部をそれぞれ接合した反ドア側の側枠とで構成された枠体と、前記上枠と前記下枠とを連結する縦板部材とを備えたことを特徴とする。
【0012】
更に、第5の発明は、一方側の側面に乗降するためのドアを設けた解体機用のキャブに用いられる、上側前ガード及び下側前ガードを有するキャブガードにおいて、前記下側前ガードは、上枠と、下枠と、前記上枠の前記ドア側の端部に一方端を接合したドア側の上側側枠と、前記下枠の前記ドア側の端部に一方端を接合したドア側の下側側枠と、前記ドア側の上側側枠と前記ドア側の下側側枠との間に設けられ、ドア側の側枠を兼ねる手摺部材と、前記上枠及び前記下枠の前記ドアの反対側の端部に両端部をそれぞれ接合した反ドア側の側枠とで構成された枠体と、前記上枠と前記下枠とを連結する縦板部材とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、下側前ガードのドア側の側枠の一部として手摺部材を設けたので、オペレータがキャブ本体に搭乗する場合に手が手摺部材に届きやすい。また、キャブ本体の前面側と下側前ガードの間には清掃のための隙間が確保される。その結果、キャブへの昇降性を犠牲にせずにキャブの下側前窓の清掃作業を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の解体機用キャブの一実施の形態を備えた解体機の側面図である。
図2図1に示す解体機における本発明の解体機用キャブの一実施の形態を拡大して示す側面図である。
図3図2に示す本発明の解体機用キャブの一実施の形態を拡大して示す正面図である。
図4】本発明の解体機用キャブの一実施の形態を構成する上側前ガードを図3のIV−IV矢視から見た平面図である。
図5図3に示す本発明の解体機用キャブの一実施の形態を構成する下側前ガードを示す斜視図である。
図6図5に示す本発明の解体機用キャブの一実施の形態を構成する下側前ガードの一部を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の解体機用キャブ及びこれに用いるキャブガードの実施の形態を図面を用いて説明する。
【0016】
図1乃至図6は本発明の解体機用キャブ及びこれに用いるキャブガードの一実施の形態を示すもので、図1は、本発明の解体機用キャブの一実施の形態を備えた解体機の側面図である。
【0017】
図1において、解体機1は、自走可能な走行体2と、走行体2に旋回可能に設置された旋回体3と、旋回体3に俯仰可能に設けた作業用フロント4とを備えている。
【0018】
旋回体3の前部側(図1の左側)にはオペレータが操作を行うキャブ5が設けられている。旋回体3の後部側(図1の右側)には油圧パワーユニット6、カウンタウエイト7等が設けられている。旋回体3の側方前部には昇降用のサイドステップ3aが設けられている。旋回体3の前端部には清掃用のフロントステップ3bが設けられている。
【0019】
作業用フロント4は、油圧シリンダ8aにより俯仰可能に旋回体3に取り付けた第1のブーム8と、油圧シリンダ9aにより回動可能に第1のブーム8に取り付けた第2のブーム9と、油圧シリンダ10aにより回動可能に第2のブーム9に取り付けたアーム10と、アーム10の先端に設けた解体用の爪11とを備えている。
【0020】
キャブ5の前側にはキャブ5を保護するためのキャブガード12が装設されている。
【0021】
次に、本発明のキャブガード及びこのキャブガードを備えた解体機用キャブの一実施の形態を図2乃至図6を用いて更に詳しく説明する。
【0022】
図2図1に示す解体機における本発明の解体機用キャブの一実施の形態を拡大して示す側面図、図3図2に示す本発明の解体機用キャブの一実施の形態を拡大して示す正面図、図4は本発明の解体機用キャブの一実施の形態を構成する上側前ガードを図3のIV−IV矢視から見た平面図、図5図3に示す本発明の解体機用キャブの一実施の形態を構成する下側前ガードを示す斜視図、図6図5に示す本発明の解体機用キャブの一実施の形態を構成する下側前ガードの一部を拡大して示す斜視図である。図2乃至図6において、図1と同じ符号には同じ符合を付し、その部分の説明を省略する。なお、図2においては、キャブ本体のドアが開放した状態を示している。
【0023】
図2において、キャブ5は、オペレータが操作をするための座席(図示せず)、操作レバー等(図示せず)を内部に設けたキャブ本体13を備えている。キャブ本体13の図示しない天窓や前窓には飛散物の衝突を防護するためのキャブガード12が設けられている。
【0024】
キャブ本体13における作業用フロント4側(図1参照)と反対側の側面には、キャブ本体13に乗降するためのドア13aが設けられ、キャブ本体13の内部におけるドア13a付近には昇降用の手摺13bが設けられている。
【0025】
キャブガード12は、図2及び図3に示すように、キャブ本体13の上面側に固定し天窓を防護する天窓ガード14と、キャブ本体13の前面上部に固定し上側前窓を防護する上側前ガード15と、上側前ガード15の下側に位置しキャブ本体13の前面下部に固定し下側前窓を防護する下側前ガード16とを備えている。
【0026】
天窓ガード14は、キャブ本体13の上面及び前面上端部を覆うように形成されている。
【0027】
上述した上側前ガード15の構成を先ず説明すると、図3に示すように、上側前ガード15は、矩形状の枠体17と、枠体17内に格子状に溶接により接合された複数の平板状の縦板部材18と、複数の平板状の横板部材19とで構成されている。
【0028】
枠体17は、横断面L形の上枠20と、横断面L形の下枠21と、上枠20及び下枠21におけるキャブ本体13のドア13aの反対側(図3の左側)の両端部にそれぞれ接合された横断面L形の反ドア側の側枠22と、上枠20及び下枠21におけるキャブ本体13のドア13a側(図3の右側)の両端部にそれぞれ接合された横断面L形のドア側の側枠23とで構成されている。図2に示すように、反ドア側の側枠22、ドア側の側枠23の上端部及び下端部にはブラケット24がそれぞれ設けられている。
【0029】
上側前ガード15は、ブラケット24をキャブ本体13の前側フレーム13cに設けた取付座13dに取り付けることによりキャブ本体13に固定されている。
【0030】
図2乃至図4に示すように、上側前ガード15のドア側の側枠23の側面には、ガード側手摺25がボルト26及びナット27により取り付けられている。ガード側手摺25の手摺部25aはこのドア側の側枠23の前方外側に張り出すように形成されている。
【0031】
このため、図2に示すように、キャブ本体13の前面と上側前ガード15との間には、清掃のための隙間S1が確保され、フロントステップ3b上の清掃作業者はこの隙間S1からキャブ本体13の上側前窓を容易に清掃することが可能となる。
【0032】
また、上側前ガード15に取り付けられたガード側手摺25とキャブ本体13の手摺13bを用いることにより、オペレータはサイドステップ3aを介してキャブ本体13から解体機1の側方に降りることが可能となる。
【0033】
次に、前述した下側前ガード16の構成を説明すると、図5及び図6に示すように、下側前ガード16は、矩形状の枠体28と、枠体28に間隔をもって並設して、後述する上枠30と下枠31とを連結する複数の平板状の縦板部材29とで構成されている。
【0034】
枠体28は、横断面L形の上枠30、横断面L形の下枠31と、上枠30及び下枠31におけるキャブ本体13のドア13aの反対側(図5の左側)の端部に両端部をそれぞれ接合した横断面L形の反ドア側の側枠32と、上枠30におけるキャブ本体13のドア13a側(図5の右側)の端部に上側の一方端を接合した横断面L形のドア側の上側側枠33と、下枠31におけるキャブ本体13のドア13a側の端部に下側の一方端を接合した横断面L形のドア側の下側側枠34と、ドア側の上側側枠33とドア側の下側側枠34との間に接合して設けられ、ドア側の側枠を兼ねる手摺部材35とで構成されている。
【0035】
反ドア側の側枠32の上下端部、ドア側の上側側枠33及びドア側の下側側枠34には、図5に示すように、ブラケット36が溶接によりそれぞれ接合されている。反ドア側の側枠32の上下端部、ドア側の上側側枠33及びドア側の下側側枠34には、挿通孔32a,33a,34aがそれぞれ形成されている。
【0036】
手摺部材35は、中空状の円筒体で、この例ではパイプである。手摺部材35は、図6に示すように、その上側の端部がドア側の上側側枠33の挿通孔33aと、その下側の端部がドア側の下側側枠34の挿通孔34aとそれぞれ干渉しない位置に配置され、ドア側の上側側枠33の内側面とドア側の下側側枠34の内側面と手摺部材35の両端部近傍の外周面とが溶接されている。
【0037】
下側前ガード16は、図2図5及び図6に示すように、反ドア側の側枠32、ドア側の上側側枠33及びドア側の下側側枠34の挿通孔32a、33a、34aを挿通させたボルト38をブラケット36に設けたボルト孔36aとキャブ本体13の前側フレーム13cに設けた取付座13dの取付孔(図示せず)に挿入して、取付座13dに溶接されているナット39に締結することによりキャブ本体13に固定される。
【0038】
上述した本発明の解体機用キャブの一実施の形態においては、図2に示すように、オペレータが解体機1に搭乗する場合、下側前ガード16の手摺部材35を、キャブ本体13のドア13aを開放状態にして現れるキャブ本体13の手摺13bと共に用いることにより、オペレータはサイドステップ3aを介して側方からキャブ5に乗り込むことができる。このとき、下側前ガード16のドア側の側枠の一部として手摺部材35を設けたので、手摺部材35が下側前ガード16に対して前方(図2の左側)に張り出した状態にはなく、手摺部材35とキャブ本体13の手摺13bとの距離が過度に広がらず、オペレータのキャブ5への昇降性が損なわれることがない。
【0039】
また、上述した本発明の解体機用キャブの一実施の形態によれば、手摺部材35が下側前ガード16のドア側の側枠を兼ねて、キャブ本体13と下側前ガード16との間には清掃のための隙間S2を確保したので、清掃作業者はこの隙間S2からキャブ本体13の下側前窓を容易に清掃することができる。
【0040】
さらに、下側前ガード16にガードを兼ねた手摺部材35を設けたので、別体で手摺を取り付ける必要がなく、部品点数を削減することができ、キャブ5の構成の簡素化及び製造コストの低減を図ることができる。
【0041】
また、手摺部材35に中空状の円筒体を用いたので、安価な構成となる。
【0042】
さらに、下側前ガード16の反ドア側の側枠32、ドア側の上側側枠33及びドア側の下側側枠34にそれぞれブラケット36を設け、ブラケット36にキャブ本体13に固定するためのボルト孔36aを設けたので、下側前ガード16をボルト38によりキャブ本体13に容易に固定することができる。
【0043】
なお、上述した実施の形態においては、解体機用キャブを主体に説明したが、これに用いるキャブガードにおいても上述と同様な効果を得ることができる。
【0044】
また、本実施の形態においては、手摺部材35を中空状の円筒体としたが、手摺部材として横断面円形の中実の棒部材を用いることができる。また、下側前ガード16のドア側の側枠を兼ねる手摺部材が飛散物からキャブ本体13を防護する強度を保持していれば、手摺部材として横断面楕円状や多角形状等の中空状の部材を用いることができる。
【0045】
また、本実施の形態においては、上側前ガード15のドア側の側枠23にガード側手摺25を取り付けた例を示したが、下側前ガード16と同様に、上側前ガード15においても、ドア側の側枠23にガード側手摺25を取り付けずに以下のように構成することもできる。
【0046】
上側前ガード15のドア側の側枠23を、下側前ガード16のドア側の側枠と同様に、上枠20のドア13a側の端部に一方端を接合したドア側の上側側枠と、下枠21のドア13a側の端部に一方端を接合したドア側の下側側枠と、ドア側の上側側枠とドア側の下側側枠との間に接合して設けた手摺部材とにより構成することができる。この場合にも、前述した本発明の解体機用キャブ及びこれに用いるキャブガードの一実施の形態と同様の効果が得ることができる。
【0047】
なお、本実施の形態においては、上側前ガード15と下側前ガード16とを互いに固定せずにそれぞれキャブ本体13に固定したが、上側前ガード15の下枠21と下側前ガード16の上枠30とをボルト締結等により結合した状態で上側前ガード15及び下側前ガード16をキャブ本体13に固定することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 解体機
5 キャブ
12 キャブガード
13 キャブ本体
13a ドア
15 上側前ガード
16 下側前ガード
18、29 縦板部材
20、30 上枠
21、31 下枠
22、32 反ドア側の側枠
33 ドア側の上側側枠
34 ドア側の下側側枠
35 手摺部材
36 ブラケット
36a ボルト孔
38 ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6