【実施例】
【0195】
(実施例1)
【0196】
【化18】
2−クロロ−4−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)−[1,3,5]トリアジンの合成
段階1:2−クロロ−ニコチンアミジンの製造
2−クロロ−3−シアノピリジン(5.0g、36mmol)を、0℃で脱水EtOH(100mL)に溶かした。HClを混合物に3時間吹き込み、混合物を密閉し、終夜にわたって冷蔵した(約8℃)。濃縮後、残留物を酢酸アンモニウム(5.5g)とともにIpOH(100mL)中で攪拌した。12時間後、濃NH
4OH溶液を用いてpHを(4から)9に調節し、攪拌をさらに2日間続けた。混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーによって精製した(10:1:0.1CH
2Cl
2/MeOH/NH
4OH)。熱tBuOMe/IpOH中での磨砕によって、少量の残留アミド副生成物を除去して、標題化合物を白色固体として得た。
【0197】
段階2:アミノ−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)−メチルシアナミドの製造
2−クロロ−ニコチンアミジンを、固体シアナミド500mgとともにIpOH10mLに懸濁させ、5%NaHCO
3水溶液(30mL)を加えることで、その攪拌固体を溶解させた。2日間攪拌後、水系反応混合物のEtOAc抽出と、次に95:5:0.5CH
2Cl
2/MeOH/NH
4OHを用いるフラッシュクロマトグラフィーによって、アミノ−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)−メチルシアナミドを単離した。MSm/z=181[M+H]
+。C
7H
6N
4Clの計算値:181.03。
【0198】
段階3:2−クロロ−4−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)−[1,3,5]トリアジンの製造
POCl
3(2.3mL、25mmol)およびDMF(1.9mL、25mmol)のAcCN(100mL)溶液を0℃で攪拌しながら、それにアミノ−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)−メチルシアナミド(3.5g)を固体として加えた。透明溶液を室温で1時間攪拌した。トルエン(40mL)を加え、混合物を濃縮した。残留物を直ちに200gのシリカ層で濾過した(10:1CH
2Cl
2/IpOHで乗せ、10:1から4:1ヘキサン/t−BuOMeで溶離)。濃縮によって、2−クロロ−4−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)−[1,3,5]トリアジンを白色固体として得た。MSm/z=227[M+H]
+。C
8H
4Cl
2N
4の計算値:225.98。
【0199】
(実施例2)
【0200】
【化19】
[4−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−メチル−アミンの合成
2−クロロ−4−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)−[1,3,5]トリアジン(10.0g、44.0mmol)の塩化メチレン(55mL)溶液に、メチルアミン(45mL、88.0mmol)を、2.0M THF溶液として0℃で加えた。室温で18時間攪拌後、混合物をアセトンで希釈し、シリカゲル層で濾過し、濃縮して、所望の生成物を得た。MSm/z=222[M+H]
+。C
9H
8ClN
5の計算値:221.65。
【0201】
(実施例3)
【0202】
【化20】
4−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)−ピリミジンの合成
段階1:1−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)−3−ジメチルアミノ−プロペノンの製造
1−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)−エタノン(21.7g、139mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセタール(42g、350mmol)(46mL)溶液を、乾燥管下に85℃で1.5時間加熱し、濃縮した。残留物を吸引濾過クロマトグラフィー(ブフナー漏斗でシリカ150gを使用し、10:1と次に5:1CH
2Cl
2/IpOHで溶離を行って急速に分画を回収する。)によって精製して、黄色固体生成物を得た。MSm/z=211[M+H]
+。C
10H
11ClN
2Oの計算値:210.66。
【0203】
段階2:4−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)−ピリミジンの製造
ヒート・シンクとしての室温の500mLIpOH浴を用い、N
2下に室温で脱水メタノール400mLに小さいナトリウム金属塊複数個(合計で8.3g、360mmol)を間欠的に加えることで、1.5時間かけてナトリウムメトキシドを発生させた。酢酸ホルムアミジン(42.7g、410mmol)を加え、10分後にエナミノン(30.6g、146mmol)を加えた。反応液をN
2を充填した風船下に、内部温度40℃で終夜攪拌した。20時間後、混合物を48℃で4時間攪拌した。追加の酢酸ホルムアミジン(7.0g)を加え、混合物を44℃で終夜攪拌した。混合物をロータリーエバポレータによって濃縮し、酢酸エチルに取り、飽和NaHCO
3水溶液で抽出した。水層をEtOAcで逆抽出した。合わせた有機層(1.2リットル)をNa
2SO
4で脱水し、濃縮した。残留物を、3:1から2:1ヘキサン/EtOAcでのフラッシュ真空濾過クロマトグラフィー(シリカ300g)によって精製して、固体白色生成物を得た。MSm/z=192[M+H]
+。C
9H
6ClN
3の計算値:191.62。
【0204】
(実施例4)
【0205】
【化21】
4−(2−クロロピリジン−3−イル)−N−メチルピリミジン−2−アミンの合成
段階1:1−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)−3−ジメチルアミノ−プロペノンの製造
実施例3段階1における手順に従って、標題化合物を製造した。
【0206】
段階2:4−(2−クロロピリジン−3−イル)−N−メチルピリミジン−2−アミンの製造
金属ナトリウム(3.40g、148mmol)を約10分間かけて、MeOH180mLに室温で加え、さらに30分間攪拌して、ナトリウムメトキシドを発生させた。メチルグアニジンHCl(20.0g、182mmol)を加え、得られた混合物を30分間攪拌してから、1−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)−3−ジメチルアミノ−プロペノン(12.0g、57mmol)を加えた。空気冷却管を取り付け、混合物を加熱して50℃として23時間経過させた。MeOHの一部ロータリーエバポレータによって除去し、得られた固体を濾過し、飽和重炭酸ナトリウムおよび水で洗浄した。乾燥後に、所望の生成物を綿毛状白色固体として得た。MSm/z=221[M+H]
+。C
10H
9ClN
4の計算値:220.66。
【0207】
(実施例5)
4−(2,5−ジクロロピリジン−3−イル)−N−メチルピリミジン−2−アミン
実施例4に記載の方法と同様にして、標題化合物を製造した。MSm/z=255、257[M+H]
+;C
10H
8Cl
2N
4の計算値:255.11。
【0208】
(実施例6)
4−(2−クロロピリジン−3−イル)−5−フルオロ−N−メチルピリミジン−2−アミン
実施例4に記載の方法と同様にして、標題化合物を製造した。MSm/z=238[M+H]
+。C
10H
8ClFN
4の計算値:238.65。
【0209】
(実施例7)
【0210】
【化22】
4−(2−クロロピリジン−3−イル)−2−(メチルチオ)ピリミジンの合成
5リットルのリアクターをアルゴンでパージし、それに4−クロロ−2−メチル−チオピリミジン(111mL、953mmol)および2−クロロピリジン−3−ボロン酸(100g、635mmol)を入れた。リアクターを減圧下とし、アルゴンを充填した。これをさらに2回繰り返した。エチレングリコールジメチルエーテル(500mL)を混合物に加え、次にPd(PPh
3)
4(58.7g、50.8mmol)を加えた。リアクターを減圧下とし、アルゴンを充填した。これをさらに2回繰り返し、追加のエチレングリコールジメチルエーテル(1500mL)を加えた。攪拌した反応混合物に、重炭酸ナトリウム溶液(1M溶液、1300mL)を加えた。わずかな発熱が認められた。反応混合物を2.75時間攪拌還流してから、徐々に冷却して25℃とした。混合物を酢酸エチル(1500mL)で希釈し、高攪拌した。層を分離し、水相を除去した。有機相を水(1000mL)、次にブライン(1000mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過した。溶媒を減圧下に除去して、粗生成物を明黄色固体として得た。粗生成物を、エタノールおよびジクロロメタンの混合物を用いるカラムクロマトグラフィーによって分離した。生成物を白色固体として得て、酢酸エチル中でスラリーとして、痕跡量の不純物を除去した。標題化合物を、白色綿毛状固体として得た。MSm/z=238[M+H]
+。C
10H
8ClN
3Sの計算値:237.71。
【0211】
(実施例8)
【0212】
【化23】
2−クロロ−4−(2−クロロピリジン−3−イル)ピリミジンの合成
2,4−ジクロロピリミジン(2.00g、13.4mmol)、2−クロロピリジン−3−ボロン酸(3.16g、20.1mmol)およびPd(PPh
3)
4(1.55g、1.30mmol)に、DME(30.0mL)および1M NaHCO
3(13.0mL)を加えた。得られた混合物を加熱して90℃として17時間経過させ、EtOAcで希釈し、飽和炭酸ナトリウム、水およびブラインで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮した。得られた固体をエーテルで磨砕し、乾燥させて、所望の生成物を得た。MSm/z=226[M+H]
+。C
9H
5Cl
2N
4の計算値:225.12。
【0213】
(実施例9)
【0214】
【化24】
4−(2−クロロピリジン−3−イル)−N−(3−モルホリノプロピル)ピリミジン−2−アミンの合成
2−クロロ−4−(2−クロロピリジン−3−イル)ピリミジン(100mg、0.44mmol)および炭酸カリウム(122mg、0.88mmol)に、DMSO(1.0mL)および3−モルホリノプロパン−1−アミン(77mg、0.53mmol)を加えた。得られた混合物を80℃で15時間加熱した。冷却した反応液をEtOAcで希釈し、水で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮して、所望の生成物を黄色油状物として得た。MSm/z=334[M+H]
+。C
16H
20ClN
5Oの計算値:333.84。
【0215】
(実施例10)
【0216】
【化25】
4−(2−クロロピリジン−3−イル)−1−(トリイソプロピルシリル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンの合成
段階1:4−クロロ−1−(トリイソプロピルシリル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンの製造
水素化ナトリウム(880mg、22mmol、1.1当量、鉱油中60%品)を、アルゴン雰囲気下に脱水ヘキサン15mLで洗浄した。ヘキサンを除去し、THF40mLで置き換えた。水素化ナトリウム懸濁液に、4−クロロ−7−アザインドールを少量ずつ加えた。ガス発生が停止するまで、懸濁液を攪拌した。トリイソプロピルクロロシラン(3g、20mmol、1当量)を注射器で加えた。反応液を、80℃で予め加熱した油浴に入れ、LC−MSおよびTLCによってモニタリングした。3時間後、反応液を冷却して室温とした。飽和NH
4Clでゆっくり反応停止した。生成物をヘキサンおよびEt
2Oで抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濃縮した。残留物を、ヘキサンを用いてシリカゲル層を通過させて、基底線スポットを除去した。濾液を濃縮して、4−クロロ−1−(トリイソプロピルシリル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンを粘稠無色油状物として得た。
1H NMR(バリアン、300MHz、CDCl
3)ppm:8.14(d、J=5Hz、1H)、7.32(d、J=3.6Hz、1H)、7.05(dd、J=5、0.8Hz、1H)、6.64(dd、J=3.5、0.8Hz、1H)、1.87(7重線、J=7.3Hz、3H)、1.10(d、J=7.3Hz、18H)。
【0217】
段階2:4−(2−クロロピリジン−3−イル)−1−(トリイソプロピルシリル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンの製造
4−クロロ−1−(トリイソプロピルシリル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(5.03g、16.3mmol、1当量)、2−クロロピリジン−3−ボロン酸(4.36g、27.7mmol、1.7当量)、酢酸パラジウム(183mg,0.815mmol、5mol%)、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル(571mg、1.63mmol、10mol%)および微粉砕無水K
3PO
4(10.4g、48.9mmol、3当量)を、封管に加えた。管をアルゴンで5分間パージした。陽圧アルゴン流下にてジオキサン(30mL)を注射器で加えた。管を密閉し、反応液を室温で5分間攪拌した。管を、予め110℃に加熱した油浴に入れて2時間経過させた。反応液を冷却して室温とした。内容物を、ジエチルエーテルを用いてセライト層で濾過した。濾液を減圧下に濃縮した。生成物を、95:5ヘキサン:Et
2O混合液を溶離液として用いるカラムクロマトグラフィーによって精製した。生成物である4−(2−クロロピリジン−3−イル)−1−(トリイソプロピルシリル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンを、明黄色固体として得た。
1H NMR(バリアン、300MHz、CDCl
3):8.35(d、J=4.7Hz、1H)、8.30−8.28(m、1H)、8.10−8.03(m、1H)、7.40−7.30(m、2H)、7.15(dd、J=4.3、1.7Hz、1H)、6.54(dd、J=3.6、1.9Hz、1H)、1.89(7重線、J=7.4Hz、3H)、1.15(d、J=7.4Hz、18H)。
【0218】
(実施例11)
【0219】
【化26】
2−クロロ−2′−フルオロ−[3,4′]ビピリジニルの合成
2−フルオロ−4−ヨードピリジン(9.45g、42.4mmol)、2−クロロピリジン−3−ボロン酸(10.0g、63.5mmol)、Na
2CO
3(13.5g、127mmol)、Pd(OAc)
2(480mg、2.12mmol)およびP(tBu)
3・HBF
4(1.23g、4.24mmol)に、ジオキサン(125mL)および水(45mL)を加えた。混合物を、封管中にて100℃で終夜加熱した。得られた混合物をEtOAcで希釈し、水およびブラインで抽出した。有機層をNa
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。得られた固体をn−ヘキサンで磨砕し、乾燥させて、2−クロロ−2′−フルオロ−[3,4′]ビピリジニルを得た。MSm/z=209[M+1]
+。C
10H
6ClFN
2の計算値:208.62。
【0220】
(実施例12)
【0221】
【化27】
(2−クロロ−[3,4′]ビピリジニル−2′−イル)−メチル−アミンの合成
2−クロロ−2′−フルオロ−[3,4′]ビピリジニル(5.30g、25.4mmol)、メチルアミン塩酸塩(9.00g、133mmol)およびK
2CO
3(28.1g、203mmol)に、DMSO(70mL)を加えた。混合物を、封管中にて80℃で終夜加熱した。冷却した混合物を水(300mL)で希釈し、得られた固体を濾過し、水で洗浄し、脱水して、(2−クロロ−[3,4′]ビピリジニル−2′−イル)−メチル−アミンを得た。MSm/z=220[M+1]
+。C
11H
10ClN
3の計算値:219.68。
【0222】
(実施例13)
【0223】
【化28】
4−(2−フルオロピリジン−3−イル)ピリジン−2−アミンの合成
圧力容器に、水6.35mLを入れ、窒素で0.5時間脱気した。この容器に、酢酸カリウム(2.31g、23.5mmol)、2−フルオロピリジン−3−ボロン酸(2.48g、17.6mmol)、4−クロロピリジン−2−アミン(1.51g、11.7mmol)、ジクロロ−ビス(ジ−tert−ブチルフェニルホスフィノ)Pd(II)(0.146g、0.235mmol)およびCH
3CN58.5mLを加えた。混合物を窒素下にさらに数分間パージし、圧力瓶を密閉した。反応混合物を加熱して85℃として15時間経過させた。冷却してから層を分離し、有機部分をNa
2SO
4で脱水し、濃縮した。得られた固体を酢酸エチル/ジエチルエーテルで磨砕して、4−(2−フルオロピリジン−3−イル)ピリジン−2−アミンを黄褐色固体として得た。MSm/z=190[M+H]
+。C
10H
8FN
3の計算値:189.19。
【0224】
(実施例14)
4−(2−クロロピリジン−3−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジンの合成
【0225】
【化29】
段階1:4−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジンの製造
2−フルオロ−4−ヨードニコチンアルデヒド(11.33g、45.1mmol)のTHF(200mL)溶液に、ヒドラジン(5.67mL、181mmol)を滴下した。得られた混合物を室温で窒素雰囲気下に5時間攪拌した。反応液を濃縮し、10:1アセトン/MeOHで希釈し、シリカゲル層で濾過した。ほとんどの溶媒を減圧下に除去し、少量のヘキサンで希釈し、得られた固体を濾過した。乾燥して、4−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジンをオフホワイト固体として得た。MSm/z=246[M+1]
+。C
6H
4IN
3の計算値:245.02。
【0226】
段階2:4−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの製造
4−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン(1.110g、4.53mmol)、ジ−t−ブチルジカーボネート(1.09g、4.98mmol)およびN,N−ジメチルピリジン−4−アミン(0.277g、2.27mmol)に、塩化メチレン(15mL)を加えた。得られた混合物を室温で窒素雰囲気下に15時間攪拌し、塩化メチレンで希釈し、飽和重炭酸ナトリウムで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、1:1EtOAc/CH
2Cl
2を用いてシリカゲル層で濾過し、濃縮して、4−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルを明黄色固体として得た。
1H NMR(ブルカー、400MHz、DMSO−d
6)ppm:8.42(m、2H)、7.98(m、1H)、1.72(s、9H)。
【0227】
段階3:4−(2−クロロピリジン−3−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジンの製造
4−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(1.00g、2.90mmol)、2−クロロピリジン−3−イルボロン酸(1.14g、7.24mmol)および炭酸ナトリウム(1.23g、11.6mmol)に、ジオキサン(10mL)および水(4mL)を加えた。混合物を室温で5分間攪拌し、トリ−t−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(0.084g、0.290mmol)および酢酸パラジウム(II)(0.033g、0.145mmol)を加え、混合物封管中を加熱して100℃として23時間経過させた。反応液をEtOAcで希釈し、1N重炭酸ナトリウムで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮した。粗取得物を、ISCOシリカゲルクロマトグラフィー(10−90%EtOAc/ヘキサン;80gカラム)によって精製し、生成物分画を濃縮して、4−(2−クロロピリジン−3−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジンを白色固体として得た。MSm/z=231[M+1]
+。C
11H
7ClN
4の計算値:230.66。
【0228】
(実施例15)
【0229】
【化30】
段階1:4−(2−クロロピリジン−3−イル)ピリミジン−2−アミンの合成
イソプロパノール浴に入れたアルゴンパージした500mL丸底フラスコで、金属ナトリウム(3.40g、148mmol)をメタノール(180mL)にゆっくり加えた。混合物を室温で30分間攪拌した。これに、グアニジン塩酸塩(12.0mL、182mmol)を加え、混合物を室温で30分間攪拌してから、(E)−1−(2−クロロピリジン−3−イル)−3−(ジメチルアミノ)プロプ−2−エン−1−オン(12.0g、57.0mmol)を加え、空気冷却管を取り付け、反応液を油浴に移し、それを加熱して約50℃として24時間経過させた。減圧下にメタノールの約半量を留去し、固体を減圧下に濾過し、飽和NaHCO
3およびH
2Oで洗浄し、風乾して、4−(2−クロロピリジン−3−イル)ピリミジン−2−アミンをオフホワイト固体として得た。MSm/z=207[M+1]
+。C
9H
7ClN
4の計算値:206.63。
【0230】
(実施例16)
【0231】
【化31】
4−(2−クロロピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−3−アミンの合成
段階1:(2−クロロピリジン−3−イル)メタノールの製造
2−クロロニコチン酸(8.00g、51.0mmol)のTHF(120mL)溶液を攪拌しながら、それに0℃て窒素下にて、テトラヒドロアルミン酸リチウム(51mL、51mmol)を5分間かけてゆっくり加えた。反応液を2時間かけて昇温させて室温とし、TLCによってモニタリングした。少量の氷と次に水を加えることで反応停止した。生成物をEtOAcに抽出し、H
2Oで2回、NaClで1回洗浄し、MgSO
4で脱水し、フリット漏斗で濾過し、溶液を濃縮して、(2−クロロピリジン−3−イル)メタノールを橙赤色油状物として得た。それ以上精製せずに用いた。
【0232】
段階2:3−(ブロモメチル)−2−クロロピリジンの製造
250mL丸底フラスコ中、(2−クロロピリジン−3−イル)メタノール(6.7g、47mmol)をCH
2Cl
2(100mL)に溶かした。反応液を冷却して0℃とし、それにトリブロモホスフィン(4.8mL、51mmol)をゆっくり加え、終夜で昇温させて室温とした。氷を加えることで反応停止し、CH
2Cl
2に抽出し、NaHCO
3で1回、H
2Oで2回洗浄し、MgSO
4で脱水し、フリット漏斗で濾過し、濾液を濃縮した。粗取得物を、15−45%EtOAc/ヘキサンで溶離を行うシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。生成物の分画を濃縮して、3−(ブロモメチル)−2−クロロピリジンをオフホワイト固体として得た。MSm/z=206、208[M+1]
+。C
6H
5BrClNの計算値:206.47。
【0233】
段階3:2−(2−クロロピリジン−3−イル)アセトニトリルの製造
250mL丸底フラスコ中、3−(ブロモメチル)−2−クロロピリジン(7.2g、35mmol)をMeOH(70mL)に溶かした。その溶液にシアン化ナトリウム(3.4g、70mmol)を加え、還流冷却器を取り付け、混合物を80℃で攪拌し、その間に反応をLCMSによってモニタリングした。約1.5時間後、反応液を冷却して室温とし、濃縮し、EtOAcで希釈したところ、白色固体が出現した。固体を濾過し、EtOAcでリンスした。有機濾液を濃縮して粗赤様褐色固体を得た。その固体をEtOAcに溶かし、40−70%EtOAc/ヘキサンで溶離を行うシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。生成物分画を濃縮して、2−(2−クロロピリジン−3−イル)アセトニトリルをオフホワイト固体として得た。MSm/z=153[M+1]
+。C
7H
5ClN
2の計算値:152.58。
【0234】
段階4:2−(2−クロロピリジン−3−イル)−3−オキソプロパンニトリルの製造
2−(2−クロロピリジン−3−イル)アセトニトリル(2.0g、13mmol)のTHF(5mL)溶液を、THF(10mL)中の60%鉱油中水素化ナトリウム懸濁物(1.31g、33.0mmol)に0℃でゆっくり加えた。混合物を15分間攪拌し、ギ酸エチル(1.1mL、13mmol)をゆっくり加えた。混合物を室温で攪拌し、LCMSによってモニタリングした。完了後、反応液をEtOAcに抽出し、有機層をH
2Oで2回洗浄し、MgSO
4で脱水し、フリット漏斗で濾過し、凍結乾燥して、2−(2−クロロピリジン−3−イル)−3−オキソプロパンニトリルを赤色様褐色固体として得た。粗取得物をそれ以上精製せずに用いた。MSm/z=181[M+1]
+。C
8H
5ClN
2Oの計算値:180.59。
【0235】
段階5:4−(2−クロロピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−3−アミンの製造
150mL封管中、2−(2−クロロピリジン−3−イル)−3−オキソプロパンニトリル(2.5g、14mmol)、水(2.0mL、14mmol)、酢酸(14mL、14mmol)、エタノール(28mL、14mmol)、1,4−ジオキサン(14mL)および無水ヒドラジン(0.40mL、14mmol)を加えた。混合物を70℃で20分間攪拌した。反応液を冷却して室温とし、濃縮した。濃縮物をEtOAcに抽出し、NaHCO
3で1回、H
2Oで1回洗浄し、MgSO
4で脱水し、フリット漏斗で濾過し、濃縮した。粗取得物を、逆相クロマトグラフィーを用いて精製した。生成物をCH
2Cl
2に抽出し、NaHCO
3で1回、H
2Oで1回洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、フリット漏斗で濾過し、濃縮して、4−(2−クロロピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−3−アミンを黄褐色固体として得た。MSm/z=195[M+1]
+。C
8H
7ClN
4の計算値:194.62。
【0236】
(実施例17)
【0237】
【化32】
1,4−ジクロロ−5,8−ジフルオロフタラジンの合成
段階1:5,8−ジフルオロ−2,3−ジヒドロフタラジン−1,4−ジオンの製造
4,7−ジフルオロイソベンゾフラン−1,3−ジオン(1.00g、5.43mmol)および酢酸ナトリウム(0.535g、6.52mmol)に、水(14mL)、酢酸(7.15mL、125mmol)およびヒドラジン(0.205mL、6.52mmol)(ゆっくり)を加えた。水冷却管を取り付け、混合物を20時間加熱還流した。冷却して室温とし、得られた固体を濾過した。水で洗浄し、乾燥させて、5,8−ジフルオロ−2,3−ジヒドロフタラジン−1,4−ジオンを白色固体として得た。MSm/z=199[M+1]
+。C
8H
4F
2N
2O
2の計算値:198.13。
【0238】
段階2:1,4−ジクロロ−5,8−ジフルオロフタラジンの製造
5,8−ジフルオロ−2,3−ジヒドロフタラジン−1,4−ジオン(0.860g、4.34mmol)に、オキシ塩化リン(4.05mL、43.4mmol)を加えた。水冷却管を取り付け、得られた混合物を15.5時間加熱還流した。反応液を冷却し、減圧下に濃縮した。反応液を塩化メチレンおよび氷水で希釈し、pHが塩基性となるまでの固体重炭酸ナトリウムで反応停止した。層を分離し、有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮して、1,4−ジクロロ−5,8−ジフルオロフタラジンを明黄色固体として得た。MSm/z=235、237[M+1]
+。C
8H
2Cl
2F
2N
2の計算値:235.02。
【0239】
上記実施例17に記載の方法と同様の方法によって、下記の中間体を製造した。
【0240】
実施例18:1,4−ジクロロ−6,7−ジフルオロフタラジン
MSm/z=235、237[M+1]
+。C
8H
2Cl
2F
2N
2の計算値:235.02。
【0241】
実施例19:5,8−ジクロロピリド[3,2−d]ピリダジン
MSm/z=200、202[M+1]
+。C
7H
3Cl
2N
3の計算値:200.03。
【0242】
実施例20:1,4−ジクロロ−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]ピリダジン
MSm/z=189、191[M+1]
+。C
7H
6Cl
2N
2の計算値:189.05。
【0243】
実施例21:1,4−ジクロロ−5,6,7,8−テトラヒドロフタラジン
MSm/z=203、205[M+1]
+。C
8H
8Cl
2N
2の計算値:203.07。
【0244】
実施例22:3,6−ジクロロ−4,5−ジメチルピリダジン
MSm/z=177、179[M+1]
+。C
6H
6Cl
2N
2の計算値:177.03。
【0245】
(実施例23)
【0246】
【化33】
5,8−ジクロロピラジノ[2,3−d]ピリダジンの合成
段階1:6,7−ジヒドロピラジノ[2,3−d]ピリダジン−5,8−ジオンの製造
標題化合物を、文献の手順(Paul, D. B. Aust. J. Chem., 1974, 27, 1331)に従って製造した。その文献に記載のように、2,3−ピラジンジカルボン酸無水物(5.00g、33.3mmol)、ヒドラジン水和物(2.8g、56mmol)および酢酸(40.4mL、33.3mmol)を室温で混合した。白色沈澱が析出した。反応液を還流下に約20分間加熱した。反応液を冷却して室温とし、固体を濾過し、水で洗浄し、真空乾燥した。生成物である6,7−ジヒドロピラジノ[2,3−d]ピリダジン−5,8−ジオンを、白色固体として得た。
1H NMR(ブルカー、400MHz、D
2O)ppm:8.87(s、2H)。
【0247】
段階2:5,8−ジクロロピラジノ[2,3−d]ピリダジンの製造
標題化合物を、文献の手順(Patel, N. R.; Castle, R. N. J. Heterocyclic Chem. 1966, 3, 512)に従って製造した。6,7−ジヒドロピラジノ[2,3−d]ピリダジン−5,8−ジオン(2.50g、15.2mmol)、五塩化リン(6.98g、33.5mmol)およびオキシ塩化リン(39.8mL、42.7mmol)の混合物を、磁気攪拌子を入れた丸底フラスコに加えた。乾燥管を冷却管の頂部に取り付けた。反応液を8時間加熱還流した。橙赤色懸濁液が生成した。反応液を冷却して室温とした。溶媒を減圧下に共沸(トルエン)除去して、過剰のPOCl
3を除去した。得られた黒色残留物を氷で処理し、固体Na
2CO
3でゆっくり塩基性とした。水溶液をクロロホルムで数回抽出し、合わせた抽出液をMgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮して、生成物である5,8−ジクロロピラジノ[2,3−d]ピリダジンを得た。
1H NMR(ブルカー、400MHz、CDCl
3)ppm:9.24(s、2H)。
【0248】
(実施例24)
【0249】
【化34】
3,6−ジクロロ−4,5−ビス(メトキシメチル)ピリダジンの合成
参考文献(Samaritoni, J G, Org. Prep. Proced. Int.
20, 117-121, 1988)に従って標題化合物を製造した。メトキシ酢酸(3.6mL、47mmol)、硝酸銀(0.57g、3.4mmol)、3,6−ジクロロピリダジン(2.0g、13mmol)、濃硫酸(1.7mL、20mmol)の水(30mL)中の若干不均一な混合物に70℃で、過硫酸アンモニウム(7.7g、34mmol)の水(15mL)溶液を約10分間かけて滴下した。その不均一混合物を30分間攪拌し、その時点で氷の上に注いだ。ガム状灰色固体が存在した。水系材料を濾過し、その冷濾液を濃水酸化アンモニウムで塩基性とした。pH10で、溶液は暗黄色となった。水系材料をジクロロメタン3回抽出し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。得られた黄色油状物を、シリカゲルクロマトグラフィー(0−40%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、3,6−ジクロロ−4,5−ビス(メトキシメチル)ピリダジンを白色固体として得た。MSm/z=237[M+H]
+。C
8H
10Cl
2N
2O
2の計算値:237.1。
【0250】
(実施例25)
【0251】
【化35】
1−クロロ−4−(4−メチルチオフェン−2−イル)フタラジンの合成
1,4−ジクロロフタラジン(1.40g、7.03mmol)、4−メチルチオフェン−2−イルボロン酸(999mg、7.03mmol)およびPdCl
2(DPPF)(721mg、985μmol)を封管に入れた。管をアルゴンでパージした。次に、炭酸ナトリウム(2.0M水溶液)(7.74mL、15.5mmol)および1,4−ジオキサン(35.2mL、7.03mmol)を加えた。管を密閉し、それを5分間攪拌し、110℃に予熱した油浴に入れた。1時間後、LC−MSは、生成物および副生成物(二重カップリング)および原料のジクロロフタラジンを示していた。反応液を冷却して室温とし、EtOAcを用いてセライト層で濾過し、濃縮し、カラムに乗せた。生成物を、ヘキサンを用いるカラムクロマトグラフィーによって精製して、最も上のスポットを除去し、次に80:20ヘキサン:EtOAcによって生成物を回収した。生成物である1−クロロ−4−(4−メチルチオフェン−2−イル)フタラジンを黄色固体として得た。LC−MSは、生成物が少量の原料ジクロロフタラジンおよび二重カップリング副生成物を不純物として含むことを示していた。MSm/z=261[M+1]
+。C
13H
9ClN
2Sの計算値:260.12。
【0252】
(実施例26)
【0253】
【化36】
1−クロロ−4−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロフタラジンの合成
1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウムジクロライド(0.270g、0.369mmol)、フェニルボロン酸(0.900g、7.38mmol)および1,4−ジクロロ−5,6,7,8−テトラヒドロフタラジン(2.25g、11.1mmol)を、アルゴン下に150mL封止可能容器中で合わせた。ジオキサン15mLおよび2.0M炭酸ナトリウム水溶液(7.38mL、14.8mmol)を加えた。容器を密閉し、加熱して80℃として、均一な褐色反応液を得た。30分後、反応液を冷却して室温とし、EtOAc、水およびブラインで希釈した。層を分離し、有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、赤色固体を得た。これをジクロロメタンに取り、シリカゲルクロマトグラフィー(0−60%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、1−クロロ−4−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロフタラジンをオフホワイト固体として得た。MSm/z=245[M+H]
+。C
14H
13ClN
2の計算値:244.7。
【0254】
(実施例27)
【0255】
【化37】
4−((4−フェニルフタラジン−1−イル)メチル)フェノールの合成
段階1:2−(2−(4−メトキシフェニル)アセチル)−N−メチルベンズアミドの製造
0℃で、(4−メトキシベンジル)マグネシウムクロライド(0.25M THF溶液)(37mL、9.3mmol)を、2−メチルイソインドリン−1,3−ジオン(1.00g、6.2mmol)のTHF(3.0mL)溶液に加えた(参考文献:Synthetic Comm. 2004, 34(7), 1301-1308)。混合物を0℃で5分間攪拌し、水10mLで反応停止した。反応液を昇温させて室温とし、濃縮して、2−(2−(4−メトキシフェニル)アセチル)−N−メチルベンズアミドを白色固体として得た(粗取得物)。取得物を、それ以上精製せずに次の段階に用いた。MSm/z=284[M+1]
+。C
17H
17NO
3の計算値:283.33。
【0256】
段階2:4−(4−メトキシベンジル)フタラジン−1(2H)−オンの製造
2−(2−(4−メトキシフェニル)アセチル)−N−メチルベンズアミド(1.76g、6.20mmol)のEtOH(20mL)溶液に、ヒドラジン(3.50mL、112mmol)を加えた。水冷却管を取り付け、混合物を窒素雰囲気下に5日間加熱還流した。濃縮後、反応液をEtOAcで希釈し、水で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮した。得られた固体をジエチルエーテルで洗浄し、濾過することで、粗取得物を精製して、4−(4−メトキシベンジル)フタラジン−1(2H)−オンを白色固体として得た。MSm/z=267[M+1]
+。C
16H
14N
2O
2の計算値:266.3。
【0257】
段階3:1−(4−メトキシベンジル)−4−クロロフタラジンの製造
4−(4−メトキシベンジル)フタラジン−1(2H)−オン(1.18g、4.43mmol)に、オキシ塩化リン(4.13mL、44.3mmol)を加えた。水冷却管を取り付け、混合物を窒素雰囲気下に15時間加熱還流した。反応液を減圧下に濃縮し、塩化メチレンおよび氷水で希釈し、pHが塩基性となり、ガス発生が停止するまで固体重炭酸ナトリウムで反応停止した。層を分離し、有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、EtOAcを用いてシリカゲル層で濾過し、濃縮して、1−(4−メトキシベンジル)−4−クロロフタラジンを明橙赤色固体として得た。MSm/z=285[M+1]
+。C
16H
13ClN
2Oの計算値:284.75。
【0258】
段階4:1−(4−メトキシベンジル)−4−フェニルフタラジンの製造
1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウムジクロライド(0.046g、0.063mmol)、1−(4−メトキシベンジル)−4−クロロフタラジン(0.360g、1.3mmol)およびフェニルボロン酸(0.39g、3.2mmol)に、ジオキサン(4.0mL)および炭酸ナトリウム(2.0M、水溶液)(1.9mL、3.8mmol)を加えた。得られた混合物を、封管中加熱して100℃として1時間経過させた。反応液をEtOAcで希釈し、水およびブラインで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮し、粗取得物をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(10−100%EtOAc/ヘキサン、40gカラム)によって精製した。生成物分画を濃縮して、1−(4−メトキシベンジル)−4−フェニルフタラジンを明黄色固体として得た。MSm/e=327[M+1]
+。C
22H
18N
2Oの計算値:326.40。
【0259】
段階5:4−((4−フェニルフタラジン−1−イル)メチル)フェノールの製造
1−(4−メトキシベンジル)−4−フェニルフタラジン(0.240g、0.735mmol)に、酢酸(1.5mL)と次に臭化水素酸48%(1.50mL、27.6mmol)を加え。水冷却管を取り付け、混合物を3時間加熱還流した。反応液を水で希釈し、6N NaOHでpH約6まで中和した。得られた固体を濾過し、水で洗浄し、乾燥させて、4−((4−フェニルフタラジン−1−イル)メチル)フェノールをオフホワイト固体として得た。MSm/z=313[M+1]
+。C
21H
16N
2Oの計算値:312.37。
【0260】
(実施例28)
【0261】
【化38】
7−クロロ−4−フェニルチエノ[3,2−d]ピリダジンの合成
段階1:4−フェニルチエノ[2,3−d]ピリダジン−7(6H)−オンの製造
3−ベンゾイルチオフェン−2−カルボン酸(1.00g、4.31mmol)およびEtOH(15mL)に、ヒドラジン(1.35mL、43.1mmol)を加えた。水冷却管を反応フラスコに取り付け、混合物を窒素下に3.5時間加熱還流した。反応液を冷却して室温とし、得られた固体を濾過し、水で洗浄し、乾燥させて、4−フェニルチエノ[2,3−d]ピリダジン−7(6H)−オンを白色固体として得た。MSm/z=229[M+1]
+。C
12H
8N
2OSの計算値:228.27。
【0262】
段階2:7−クロロ−4−フェニルチエノ[3,2−d]ピリダジンの製造
4−フェニルチエノ[2,3−d]ピリダジン−7(6H)−オン(0.714g、3.13mmol)に、POCl
3(2.92mL、31.3mmol)を加えた。水冷却管を反応フラスコに取り付け、混合物を15.5時間加熱還流した。反応液を濃縮し、CH
2Cl
2および氷水で希釈した。混合物を固体重炭酸ナトリウムで塩基性とした。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで脱水した。濃縮後の残留粗取得物に、50%EtOAcを加え、溶液をシリカゲル層で濾過した。生成物の分画を濃縮して、7−クロロ−4−フェニルチエノ[3,2−d]ピリダジンを明黄色固体として得た。MSm/z=247[M+1]
+。C
12H
7N
2Sの計算値:246.71。
【0263】
(実施例29)
【0264】
【化39】
1−クロロ−4−フェニルフタラジンの合成
三塩化リン(28.4mL、310mmol)および4−フェニルフタラジン−1(2H)−オン(13.8g、62.0mmol)の混合物を、還流冷却器および乾燥管を用いて130℃浴で終夜加熱した。明橙赤色の均一溶液を冷却して室温とし、数日間放置した。反応液を攪拌した氷に注意深く投入した。氷を加えながら温度を制御しつつ、6N NaOHを注意深く加えることで、得られた混合物をpH8とした。得られたオフホワイト固体を濾過によって回収し、風乾し、真空乾燥して、1−クロロ−4−フェニルフタラジンを明黄色固体として得た。MSm/z=241[M+H]
+。C
14H
9ClN
2の計算値:240.7。
【0265】
(実施例30)
【0266】
【化40】
4−(2−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−アミンの合成
再封止可能な管に、4−アミノフェノール(1.3g、12mmol)、炭酸セシウム(7.8g、24mmol)およびDMSO(16mL、0.75M)を加えた。混合物を加熱して100℃として5分間経過させ、4−(2−クロロピリジン−3−イル)ピリミジン−2−アミン(2.5g、12mmol)を加え、反応混合物を終夜130℃で加熱した。LCMSによって判断して完了した時点で、反応混合物を放冷して室温とし、水で希釈した。得られた沈澱を濾過し、固体を水およびジエチルエーテルで洗浄した。固体を9:1CH
2Cl
2:MeOHに取り、9:1CH
2Cl
2:MeOHを溶離液として用いてシリカゲル層を通過させた。溶媒を減圧下に濃縮して、所望の生成物である4−(2−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−アミンを得た。MSm/z=280[M+1]
+。C
15H
13N
5Oの計算値:279.30。
【0267】
(実施例31)
【0268】
【化41】
4−(2−((4−アミノフェニルスルファニル)−3−ピリジニル)−N−メチル−2−ピリミジンアミンの合成
4−アミノチオフェノール(1.70g、13.6mmol)およびCs
2CO
3(8.90g、27.2mmol)に、DMSO(18mL)を加えた。混合物を5分間100℃で攪拌してから、4−(2−クロロピリジン−3−イル)−N−メチルピリミジン−2−アミン(3.00g、13.6mmol)を加えた。得られた混合物を130℃で16時間攪拌し、水で希釈し、得られた固体を濾過した。固体を水およびEt
2Oで洗浄した後、それを真空乾燥して、所望の生成物を黄褐色固体として得た。MSm/z=310[M+1]
+。C
16H
15N
3Sの計算値:309.40。
【0269】
(実施例32)
【0270】
【化42】
4−(3−(1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)ベンゼンアミンの合成
段階1:4−ブロモ−1−トリチル−1H−ピラゾールの製造
75mL封管中、4−ブロモピラゾール(1.0g、6.8mmol)、ピリジン(21.0mL、258mmol)、トリフェニルメチルクロライド(2.1g、7.5mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(0.17g、1.4mmol)を加えた。混合物を80℃で24時間攪拌した。混合物を水で希釈し、析出した固体を濾過し、水で洗い、風乾して、4−ブロモ−1−トリチル−1H−ピラゾールを白色固体として得た。
【0271】
段階2:2−クロロ−3−(1−トリチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジンの製造
アルゴンパージした48mL密閉圧力容器に、1,4−ジオキサン(2.6mL)、4−ブロモ−1−トリチル−1H−ピラゾール(1.00g、2.60mmol)、フッ化カリウム(0.492g、8.48mmol)、2−クロロピリジン−3−ボロン酸(0.808g、5.14mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.176g、0.193mmol)およびトリ−t−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(0.168g、0.578mmol)を加えた。容器をアルゴンでパージし、加熱して100℃として5時間経過させた。混合物を冷却して室温とし、EtOAcを用いてシリカゲル層で濾過し、濃縮した。粗取得物を、15−70%EtOAc/ヘキサンで溶離を行う順相シリカゲルクロマトグラフィーを用いて精製した。生成物分画を濃縮して、2−クロロ−3−(1−トリチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジンをオフホワイト固体として得た。MSm/z=422[M+1]
+。C
27H
20ClN
3の計算値:421.92。
【0272】
段階3:4−(3−(1−トリチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)ベンゼンアミンの製造
4個の別個のマイクロ波容器中、等量ずつの下記の物質(4個の合計)を加え、4−アミノフェノール(0.054g、0.498mmol)の1−メチル−2−ピロリジノン(4.7mL)溶液に溶かし、炭酸セシウム(0.309g、0.948mmol)を加えた。各混合物を20℃で5分間攪拌し、その後に2−クロロ−3−(1−トリチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン(0.200g、0.474mmol)を加え、マイクロ波中にて200℃で6分間加熱した。溶液を合わせ、EtOAcに抽出し、H
2Oで1回、NaClで1回洗浄し、Mg
2SO
4で脱水し、フリット漏斗で濾過し、濃縮した。粗残留物を、25−70%EtOAc/ヘキサンを用いるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。生成物の分画を濃縮して、4−(3−(1−トリチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)ベンゼンアミンを褐色油状物として得た。MSm/z=495[M+1]
+。C
33H
26N
4Oの計算値:494.59
段階4:4−(3−(1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)ベンゼンアミンの製造
25mL封管中、4−(3−(1−トリチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)ベンゼンアミン(0.150g、0.303mmol)、トリフルオロ酢酸(0.23mL、3.0mmol)およびメタノール(1.0mL)を加えた。混合物を80℃で36時間攪拌した。混合物を濃縮した。残留物をEtOAcに抽出し、NaHCO
3で1回、NaClで1回洗浄し、有機層を合わせ、MgSO
4で脱水し、フリット漏斗で濾過し、濃縮して、4−(3−(1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)ベンゼンアミンを暗褐色ロウ状固体として得た。MSm/z=253[M+1]
+。C
14H
12N
4O:252.27の計算値。
【0273】
(実施例33)
【0274】
【化43】
4−(2−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−3−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの合成
段階1:4−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの製造
4−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(3.00g、19.7mmol)、N,N−ジメチルピリジン−4−アミン(1.20g、9.83mmol)、ジクロロメタン(67.8mL)の溶液に、ジ−tert−ブチルジカーボネート(4.72g、21.6mmol)を加えた。得られた混合物を窒素下に室温で攪拌した。18時間後、LC−MSは生成物のみを示した(m/z=527、[M+Na]
+)。反応混合物をCH
2Cl
2で希釈し、飽和重炭酸ナトリウムで洗浄し、ブラインで洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、濃縮した。粗取得物を、90:10ヘキサン:EtOAcで溶離を行うシリカゲルでのISCOカラムクロマトグラフィーを用いて精製した。生成物分画を回収し、濃縮し、油状物を終夜真空乾燥機に入れて、EtOAcを除去した。減圧下に、白色固体の4−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルがゆっくり生成した。MSm/z=527[二量体+Na]
+。C
12H
13ClN
2O
2の計算値:252.07。
【0275】
段階2:4−(3−ブロモピリジン−2−イルオキシ)ベンゼンアミンの製造
3−ブロモ−2−クロロピリジン(10.3g、53.4mmol)、4−アミノフェノール(7.00g、64.1mmol)、炭酸セシウム(34.8g、107mmol)およびDMSO(53mL、53.4mmol)を封管に入れた。管にキャップを施し、130℃で予熱しておいた油浴に入れた。16時間後、LC−MSでは主として生成物が示された。反応混合物を攪拌しつつ氷水で冷却しながら、水を加えて生成物の溶液からの沈澱を誘発した。灰色固体が得られ、水で洗浄し、室温で真空乾燥した。MSm/z=265[M+1]
+。C
11H
9BrN
2Oの計算値:263.99。
【0276】
段階3:4−(3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−イルオキシ)ベンゼンアミンの製造
封管に、4−(3−ブロモピリジン−2−イルオキシ)ベンゼンアミン(5.38g、20.0mmol)、1,4−ジオキサン(101mL、20.0mmol)および酢酸カリウム(6.00g、61.0mmol)を入れた。管をアルゴンでパージした。次に、PdCl
2(DPPF)(0.700g、1.00mmol)および4,4,5,5−テトラメチル−2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,3,2−ジオキサボロラン(13.0g、53.0mmol)を加えた。反応混合物を深褐色溶液が生成するまで室温で0.5時間攪拌した。反応管を85℃に予熱しておいた油浴に入れた。18時間後、LC−MSによって、反応が完結していることが確認された。反応液を冷却して室温とし、EtOAcで溶離を行うセライト層を通過させて、黒色不純物を除去した。濾液を濃縮して褐色油状物を得て、それを週末にかけて減圧下に置いた。油状物は固体生成物4−(3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−イルオキシ)ベンゼンアミンとなった。MSm/z=313[M+1]
+。C
17H
21BN
2O
3の計算値:312.16。
【0277】
段階4:4−(2−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−3−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの製造
アルゴンパージした封管中、4−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(2.77g、11.0mmol)、4−(3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3、2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−イルオキシ)ベンゼンアミン(5.14g、16.5mmol)、炭酸ナトリウム(3.49g、32.9mmol)、1,4−ジオキサン(32.3mL)、水(31.7mL)を加えた。反応液を室温で5分間攪拌した。次に、酢酸パラジウム(0.246g、1.10mmol)およびトリ−t−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(0.637g、2.19mmol)を加えた。管を密閉し、加熱して100℃とした。1時間45分後、反応をモニタリングしたところ、完了していることが認められた。反応混合物を冷却して室温とし、セライト層を通過させ、EtOAcで洗浄した。濾液をMgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。粗生成物を、DCMおよび95:05DCM:(90:10:1DCM/MeOH/NH
4OH)を用いる120gシリカゲルカラムでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、非極性のスポットを流し出し、次に80:20DCM:(90:10:1DCM:MeOH:NH
4OH)によってBoc−生成物を回収した。粘稠褐色油状物を得た。油状物を室温で数時間置いた後、少量の結晶性コロニーが生成した。油状物を冷却して0℃とし、少量のヘキサンおよびごく少量のエーテルを加えてさらにスパーテルでフラスコ壁を擦ると、明黄色固体が析出した。明黄色固体を濾過し、冷ヘキサンで洗浄し、真空乾燥した。この固体、4−(2−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−3−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルを得た。MSm/z=403[M+1]
+。C
23H
22N
4O
3の計算値:402.17。
【0278】
(実施例34)
【0279】
【化44】
4−(2−(5−アミノピリジン−2−イルオキシ)ピリジン−3−イル)−N−メチルピリジン−2−アミンの合成
マイクロ波バイアル中、5−アミノピリジン−2−オール(125mg、1.14mmol)をDMSO(0.910mL、0.228mmol)に溶かし、炭酸セシウム(445mg、1.37mmol)を加えた。バイアルにセプタムでキャップを施し、反応液をペーストが形成されるまで室温で25分間攪拌した。次に、4−(2−クロロピリジン−3−イル)−N−メチルピリジン−2−アミン(50mg、0.23mmol)を加え、バイアルを密閉し、パーソナル・ケミストリー(Personal Chemistry)マイクロ波装置中180℃で15分間加熱した。混合物をEtOAcで抽出し、有機層をで洗浄しブライン、MgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。生成物を、60:40DCM:(90:10:1DCM=MeOH=NH
4OHを用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、一番上のスポットを流し出し、次に50:50DCM:(90:10:1DCM:MeOH:NH
4OH)で生成物を回収した。緑色固体である4−(2−(5−アミノピリジン−2−イルオキシ)ピリジン−3−イル)−N−メチルピリジン−2−アミンを得た。MSm/z=294[M+1]
+。C
16H
15N
5Oの計算値:293.13。
【0280】
(実施例35)
【0281】
【化45】
tert−ブチル4−(2−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−3−イル)ピコリニル(メチル)カーバメートの合成
段階1:tert−ブチル4−クロロピコリニル(メチル)カーバメートの製造
文献[(a)Marino, J. P.; Rubio, M. B.; Cao, G.; de Dios, A. J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 13398;(b)Diaz, D. D.; Finn, M. G. Og. Lett. 2004, 6, 43;(c)Padwa, A.; Brodney, M. A.; Lynch, S. M.; Rashatasakhon, P.; Wang, Q.; Zhang, H. J. Og. Chem. 2004, 69, 3735]に開示の手順に従って、標題化合物を製造した。記載の方法により、4−クロロ−N−メチルピコリンアミド(1.00g、5.86mmol)のTHF(11.7mL、5.86mmol)溶液を冷却して−78℃とした。次に、n−BuLi(2.36mL、5.86mmol)のTHF溶液を−78℃で滴下した。得られた粘稠黄色懸濁液を−78℃で30分間攪拌し、昇温させて0℃とし、この温度で10分間攪拌し、再度冷却して−78℃とした。ジ−tert−ブチルジカーボネート(2.30mg、10.6mmol)のTHF(5mL)溶液を滴下した。反応液を−78℃で0.5時間、0℃で20分間攪拌し、昇温させて室温として10分間経過させた。2日後、LC−MSで、1:1生成物:原料が示された。反応液をEtOAcで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。生成物を、80:20ヘキサン:EtOAcで溶離を行うシリカゲルを用いるカラムクロマトグラフィーによって精製した。tert−ブチル4−クロロピコリニル(メチル)カーバメートを明黄色固体として回収した。MSm/z=563[二量体+Na]
+。C
12H
15ClN
2O
3の計算値:270.08。
【0282】
段階2:tert−ブチル4−(2−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−3−イル)ピコリノイル(メチル)カーバメートの製造
アルゴンパージした封管中、tert−ブチル4−クロロピコリニル(メチル)カーバメート(50mg、0.19mmol)、4−(3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−イルオキシ)ベンゼンアミン(173mg、0.554mmol)、炭酸ナトリウム(59mg、0.55mmol)、酢酸パラジウム(4.0mg、0.018mmol)およびトリ−t−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(11mg、0.037mmol)を加え、次に1,4−ジオキサン(0.543mL、0.185mmol)および水(0.196mL、0.185mmol)を加えた。混合物をそれで5分間攪拌し、管を密閉し、100℃に予熱しておいた油浴に入れた。2.5時間後、生成物をEtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濃縮した。粗生成物を、80:20DCM:(90:10:1DCM:MeOH:NH
4OH)で溶離を行うISCOカラムでのシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。褐色油状物を得たが、それは主として生成物であるtert−ブチル4−(2−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−3−イル)ピコリニル(メチル)カーバメートであった。MSm/z=421[M+1]
+。C
23H
24N
4O
4の計算値:420.18。
【0283】
(実施例36)
【0284】
【化46】
4−(2−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−3−イル)ピコリノニトリルの合成
アルゴンパージした封管中、4−ブロモピコリノニトリル(500mg、2.73mmol)、4−(3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−イルオキシ)ベンゼンアミン(2.56g、8.20mmol)、炭酸ナトリウム(869mg、8.20mmol)、酢酸パラジウム(61mg、273μmol)およびトリ−t−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(159mg、546μmol)を加え、次に1,4−ジオキサン(8.04mL、2.73mmol)および水(2.90mL、2.73mmol)を加えた。反応液を室温で5分間攪拌した。管を密閉し、100℃で予熱しておいた油浴に入れた。2時間後、LC−MSは1.321分で生成物を示した。生成物をEtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濃縮した。標題化合物を、80:20DCM:(90:10:1DCM:MeOH:NH
4OH)で溶離を行うISCOカラムでのシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、オフホワイト固体を得た。MSm/z=289[M+1]
+。C
17H
12N
4Oの計算値:288.10。
【0285】
(実施例37)
【0286】
【化47】
4−(2−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−3−イル)ピコリンアミドの合成
標題化合物を、文献(Katritzky, A. R.; Pilarski, B.; Urogdi, L. Synthesis 1989, 949)に従って製造した。記載の方法に従い、4−(2−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−3−イル)ピコリノニトリル(764mg、2.65mmol)のDMSO(0.883mL、2.65mmol)溶液を冷却して0℃とした。30%過酸化水素水2.7mLを加え、次に炭酸カリウム(37mg、0.27mmol)を加えた。溶液は粘稠なミルク状白色懸濁液となった。混合物を昇温させて室温とした。10分後、H
2O
2 1mLおよびK
2CO
3 20mgを加えた。20分後、LC−MSから、反応が完結していることが示された。白色固体を濾去し、水で洗浄した。生成物を真空乾燥して、4−(2−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−3−イル)ピコリンアミドを得た。MSm/z=307[M+1]
+。C
17H
14N
4O
2の計算値:306.11
(実施例38)
【0287】
【化48】
5−(2−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−3−イル)チアゾール−2−アミンの合成
20mL封管中、ジオキサン(1.0mL)を加え、溶媒を窒素で5分間パージし、管を密閉した。4−(3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−イルオキシ)ベンゼンアミン(0.144g、0.462mmol)、5−ブロモチアゾール−2−アミン臭化水素酸塩(0.100g、0.385mmol)、2.0M炭酸ナトリウム水溶液(0.385mL)を加え、管を窒素でパージし、再度密閉した。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.026g、0.029mmol)、トリ−t−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(0.025g、0.087mmol)を加え、管を窒素でパージし、密閉し、攪拌しながら100℃で5時間加熱した。混合物を冷却して室温とし、シリカ層を通過させ、90:10:1(CH
2Cl
2:MeOH:NH
4OH)で洗浄した。溶離液を濃縮し、生成物を、0−100%CH
2Cl
2:MeOH(90:10)/CH
2Cl
2で溶離を行うシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。生成物分画を濃縮して、5−(2−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−3−イル)チアゾール−2−アミンを黄褐色固体として得た。MSm/z=285[M+1]
+。C
14H
12N
4OSの計算値:284.34。
【0288】
(実施例39)
【0289】
【化49】
4−(2−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−3−イル)−5−メチルイソオキサゾール−3−アミンの合成
20mL封管中、ジオキサン(1.0mL)を加え、それを窒素で5分間パージし、管を密閉した。これに、3−アミノ−4−ブロモ−5−メチルイソオキサゾール(0.100g、0.565mmol)、4−(3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−イルオキシ)ベンゼンアミン(0.265g、0.847mmol)、2.0M炭酸ナトリウム水溶液(0.565mL、1.13mmol)を加え、管を窒素でパージし、密閉した。その混合物に、トリ−t−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(0.037g、0.13mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.039g、0.042mmol)を加え、管を窒素でパージし、密閉し、攪拌しながら100℃で5時間加熱した。混合物を冷却して室温とし、シリカ層を通過させ、それを100%CH
2Cl
2:MeOH:NH
4OH(90:10:1)/CH
2Cl
2で洗浄した。溶離液を濃縮し、ギルソン逆相クロマトグラフィー系で精製した。生成物分画をCH
2Cl
2に抽出し、飽和NaHCO
3で1回、H
2Oで1回洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、フリット漏斗で濾過し、濃縮して、4−(2−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−3−イル)−5−メチルイソオキサゾール−3−アミンを明黄色固体として得た。MSm/z=283[M+1]
+。C
15H
14N
4O
2の計算値:282.30。
【0290】
下記の中間体および化合物を、上記の実施例に記載の方法によって製造した中間体を用いて製造した。
【0291】
(実施例40)
【0292】
【化50】
4−クロロ−5,8−ジフルオロ−N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)フタラジン−1−アミンの合成
4−(2−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−3−イル)−N−メチルピリミジン−2−アミン(0.100g、0.34mmol)および1,4−ジクロロ−5,8−ジフルオロフタラジン(0.096g、0.41mmol)に、tBuOH(1.0mL)を加えた。得られた混合物を封管中にて加熱して100℃として45分間経過させた。反応液をジエチルエーテルで希釈し、得られた固体を濾過し、EtOAcで磨砕した。固体を乾燥させて、4−クロロ−5,8−ジフルオロ−N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)フタラジン−1−アミンを暗灰色固体として得た。MSm/z=492[M+H]
+。C
24H
16ClF
2N
7Oの計算値:491.89。
【0293】
(実施例41)
【0294】
【化51】
4−クロロ−N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロフタラジン−1−アミンの合成
1,4−ジクロロ−5,6,7,8−テトラヒドロフタラジン(1.66g、8.18mmol)および4−(2−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−3−イル)−N−メチルピリミジン−2−アミン(2.00g、6.82mmol)の2−BuOH(14mL)中スラリーを、密閉圧力容器中にて加熱して110℃とした。反応液は粘稠塊となり、それは最終的に約30分間かけて攪拌懸濁液となった。4時間後、反応液を冷却して室温とし、取得物を2N NaOHとEtOAcとの間で分配した。水層をEtOAcで1回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮して、褐色固体を得た。この固体をMeOH/MCに溶かし、シリカゲル10gに吸着させ、乾燥させ、クロマトグラフィー(0−100%EtOAc/DCM)によって精製して、4−クロロ−N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロフタラジン−1−アミンをオフホワイト固体として得た。MSm/z=460[M+H]
+。C
24H
22ClN
7Oの計算値:459.9。
【0295】
(実施例41−A)
【0296】
【化52】
4−クロロ−N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロフタラジン−1−アミンの合成
再密閉可能な反応管に、1,4−ジクロロ−5,6,7,8−テトラヒドロフタラジン(0.050g、0.246mmol)、4−(2−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−3−イル)−N−メチルピリミジン−2−アミン(0.072g、0.246mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.011g、0.012mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2′,6′−ジメトキシ−1,1′−ビフェニル(0.020g、0.049mmol)およびナトリウムtert−ブトキシド(0.033g、0.345mmol)を入れた。バイアルを窒素で数分間パージし、次にトルエン0.50mLを加えた。バイアルにキャップを施し、加熱して150℃として16時間経過させた。反応混合物を放冷し、セライト層で濾過して、ジクロロメタンで洗った。濾液を濃縮し、粗取得物を逆相クロマトグラフィー、ギルソン、14分間かけて5−95%アセトニトリル/H
2O/0.1%TFAによって精製した。生成物を含む分画を合わせ、2M Na
2CO
3を加えることで塩基性pHとし、ジクロロメタンで抽出した。有機部分をMgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮して、4−クロロ−N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロフタラジン−1−アミンを明褐色固体として得た。MSm/z=460[M+H]
+。C
24H
22ClN
7Oの計算値:459.93。
【0297】
(実施例方法A1)
【0298】
【化53】
N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミンの合成
4−(2−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−3−イル)−N−メチルピリジン−2−アミン(0.070g、0.24mmol)および1−クロロ−4−フェニルフタラジン(0.048g、0.20mmol)に、tBuOH(1.0mL)を加えた。得られた混合物を、封管中にて100℃で16時間加熱した。反応液をジエチルエーテルおよび飽和炭酸ナトリウムで希釈し、激しく振盪した。得られた固体を濾過し、水、ジエチルエーテルで洗浄し、風乾して、N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミンをオフホワイト固体として得た。MSm/z=497[M+H]
+。C
31H
24N
6Oの計算値:496.58。
【0299】
(実施例方法A2)
【0300】
【化54】
N−(4−(3−(2−アミノピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]ピリダジン−1−アミンの合成
4−(2−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−アミン(0.15g、0.54mmol)、1−クロロ−4−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]ピリダジン(0.113g、0.49mmol)、2,2,2−トリフルオロ酢酸(0.11mL、1.5mmol)の2−BuOH(2mL)中スラリーを封管中にて加熱して110℃とした。反応液は粘稠橙赤色混合物となった。2−3時間後、反応液を冷却し、EtOAcと2N NaOHとの間で分配した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮した。固体を、MeOH/DCMからシリカゲルに吸着させ、乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィー(0−80%90/10[DCM/MeOH]/DCM)によって精製して、純度の低い取得物80mgを得た。これをさらに、逆相HPLC(ACN/H
2O+0.1%TFA)によって精製して、N−(4−(3−(2−アミノピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]ピリダジン−1−アミンを白色固体として得た。MSm/z=474[M+H]
+。C
28H
23N
7Oの計算値:473.5。
【0301】
(実施例方法A3)
【0302】
【化55】
N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]ピリダジン−1−アミンの合成
再密閉可能な反応管に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.012g、0.013mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2′,6′−ジメトキシ−1,1′−ビフェニル(0.021g、0.051mmol)、4−(2−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−3−イル)−N−メチルピリジン−2−アミン(0.075g、0.257mmol)、1−クロロ−4−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]ピリダジン(0.059g、0.257mmol)およびナトリウムtert−ブトキシド(0.035g、0.359mmol)を入れた。この混合物を窒素で数分間パージし、次にトルエン0.780mLを加えた。バイアルにキャップを施し、100℃で1.5時間加熱した。冷却してから、酢酸エチルを加えたところ、沈澱が生成した。濾過およびEtOAcでの洗浄後、粗取得物をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(90/10/1DCM/MeOH/NH
4OH、12gカラム)によって精製して、N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]ピリダジン−1−アミンを黄褐色固体として得た。MSm/z=487[M+H]
+。C
30H
26N
6Oの計算値:486.57。
【0303】
(実施例方法B1)
【0304】
【化56】
5,8−ジフルオロ−N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミンの合成
フェニルボロン酸(0.030g、0.24mmol)、1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウムジクロライド(0.0060g、0.0081mmol)および4−クロロ−5,8−ジフルオロ−N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)フタラジン−1−アミン(0.080g、0.16mmol)に、ジオキサン(0.35mL)および炭酸ナトリウム(2.0M、水溶液)(0.16mL、0.33mmol)を加えた。得られた混合物を封管中加熱して85℃として60分間経過させた。反応液をEtOAcおよび水で希釈し、層を分離し、有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮した。粗取得物を、ISCOシリカゲルクロマトグラフィー(20−100%EtOAc/ヘキサン;40gカラム)によって精製した。生成物分画を濃縮して、5,8−ジフルオロ−N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミンをオフホワイト固体として得た。MSm/z=534[M+H]
+。C
30H
21F
2N
7Oの計算値:533.54。
【0305】
(実施例方法B2)
【0306】
【化57】
N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−(チアゾール−2−イル)フタラジン−1−アミンの合成
アルゴンでパージした再密閉可能な圧力管に、4−クロロ−N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)フタラジン−1−アミン(150mg、0.329mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(38mg、0.033mmol)および2−(トリブチルスタンニル)チアゾール(0.207mL、0.658mmol)を入れた。この混合物をアルゴンで10分間パージし、次にトルエン(1.6mL、0.2M)を加えた。管を密閉し、混合物を終夜加熱して110℃とした。翌日、LC/MSは反応完結を示している。反応を停止し、冷却して室温とし、減圧下に濃縮して褐色残留物を得た。この残留物をギルソン逆相クロマトグラフィー(10%から90%CH
3CN/H
2O/0.1%TFA)によって精製した。生成物を含む分画を合わせ、NaHCO
3水溶液を加えることで塩基性とし、酢酸エチルで抽出した。有機部分をNa
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮して、純粋なN−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−(チアゾール−2−イル)フタラジン−1−アミンを黄色固体として得た。MSm/z=505[M+H]
+。C
27H
20N
8OSの計算値:504.57。
【0307】
(実施例方法B3)
【0308】
【化58】
4−(3,3−ジメチルブト−1−インイル)−N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)フタラジン−1−アミンの合成
アルゴンでパージした再密閉可能な圧力管に、4−クロロ−N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)フタラジン−1−アミン(150mg、0.329mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライド(14mg、0.020mmol)、ヨウ化銅(I)(3.8mg、0.020mmol)および3,3−ジメチル−1−ブチン(0.101mL、0.823mmol)を入れた。この混合物をアルゴンで10分間パージし、次にアセトニトリル(3.3mL、0.1M)を加えた。圧力管を密閉し、内部の混合物を加熱して90℃として16時間経過させた。翌日、反応を停止し、冷却して室温とし、ジクロロメタンで希釈し、セライト層で濾過した。濾液を濃縮して褐色残留物を得て、それをギルソン逆相クロマトグラフィー(10%から90%CH
3CN/H
2O/0.1%TFA)によって精製した。生成物を含む分画を合わせ、NaHCO
3水溶液を加えることで塩基性とし、酢酸エチルで抽出した。有機部分をNa
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮して、純粋な4−(3,3−ジメチルブト−1−インイル)−N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)フタラジン−1−アミンを黄色固体として得た。MSm/z=502[M+H]
+。C
30H
27N
7Oの計算値:501.58。
【0309】
(実施例方法B4)
【0310】
【化59】
N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−モルホリノフタラジン−1−アミンの合成
再封止可能な管に、4−クロロ−N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)フタラジン−1−アミン(120mg、0.263mmol)およびDMSO(0.526mL、0.5M)を加えた。この溶液に、モルホリン(0.689mL、7.89mmol)およびTEA(0.037mL、0.26mmol)を加え、反応混合物を100℃で48時間加熱した。反応液を冷却し、減圧下に濃縮した。粗残留物をジクロロメタンに溶かし、シリカゲルでのバイオテージカラムクロマトグラフィー(1%−5%MeOH/ジクロロメタン)によって精製し、それによって純粋なN−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−モルホリノフタラジン−1−アミンを黄色固体として得た。MSm/z=507[M+H]
+。C
28H
26N
8O
2の計算値:506.56。
【0311】
(実施例方法B5)
【0312】
【化60】
N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−(ピペリジン−1−イル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]ピリダジン−1−アミンの合成
4−クロロ−N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]ピリダジン−1−アミン(0.200g、0.449mmol)およびピペリジン(0.310mL、3.14mmol)の2−ブタノール(2mL)中混合物に、TFA(0.173mL、2.24mmol)を加えた。反応液は若干均一となり、次に固化した。固体を加熱して125℃として24時間経過させたところ、変換が少量であることがわかった。反応液を加熱して135℃として3日間経過させた。得られた褐色の均一反応を放冷し、2N NaOH、水およびEtOAcで希釈した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮した。得られた固体をシリカゲル2gに吸着させ、クロマトグラフィー(0−100%90/10[DCM/MeOH]/DCM)によって精製して、N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−(ピペリジン−1−イル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]ピリダジン−1−アミンオフホワイトを固体として得た。MSm/z=495[M+H]
+。C
28H
30N
8Oの計算値:494.6。
【0313】
(実施例方法B6)
【0314】
【化61】
N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−(4−メチルチアゾール−2−イル)フタラジン−1−アミンの合成
乾燥25mL丸底フラスコに窒素下にて、2.5M nBuLiヘキサン溶液(0.420mL、1.06mmol)を入れ、それをTHF(1mL)で希釈した。これを冷却して−78℃とし、THF2mLに溶かした4−メチルチアゾール(100mg、1.01mmol)を加え注射器でゆっくり加えた。これを−78℃で2時間攪拌し、ゆっくり昇温させて−10℃とし、この温度で0.5時間攪拌した。反応液を再度冷却して−78℃とし、0.5M塩化亜鉛(II)のTHF溶液を(3.03mL、1.51mmol)注射器によって加えた。反応液を−78℃で0.5時間、次に室温で1時間攪拌した。この時点で、4−クロロ−N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)フタラジン−1−アミン(115mg、0.250mmol)およびPd(PPh
3)
4(58mg、0.05mmol)を加え、反応液を窒素下に65℃で48時間攪拌した。反応を停止し、冷却して室温とし、EDTA/NaHCO
3水溶液で希釈した。これを酢酸エチルで抽出した。有機部分をNa
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮して、明褐色残留物を得た。これを、ギルソン逆相クロマトグラフィー(10%から90%CH
3CN/H
2O/0.1%TFA)によって精製した。生成物を含む分画を合わせ、NaHCO
3水溶液を加えることで塩基性とし、酢酸エチルで抽出した。有機部分をNa
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮して、純粋なN−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−(4−メチルチアゾール−2−イル)フタラジン−1−アミンを黄色固体として得た。MSm/z=519[M+H]
+。C
28H
22N
8OSの計算値:518.59。
【0315】
(実施例方法B7)
【0316】
【化62】
4−(4−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)−N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)フタラジン−1−アミンの合成
窒素下にて、乾燥した再密閉可能な圧力瓶に、4−メチルピラゾール(0.086mL、1.05mmol)を入れた。これに、THF(1.3mL、0.2M)を加え、反応混合物を冷却して0℃とした。60重量%水素化ナトリウム/鉱油(44.0mg、1.10mmol)をゆっくり加えた。反応混合物を0℃で15分間攪拌し、4−クロロ−N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)フタラジン−1−アミン(120mg、0.260mmol)をゆっくり加えた。反応液を0℃に10分間維持し、ゆっくり昇温させて室温とし、油浴に入れた。反応液を加熱して65℃とし、この温度で終夜攪拌した。反応混合物を冷却して0℃とし、水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機層を回収し、Na
2SO
4で脱水し、濃縮して橙赤色残留物を得て、それをギルソン逆相クロマトグラフィー(10%から90%CH
3CN/H
2O/0.1%TFA)によって精製した。生成物を含む分画を合わせ、NaHCO
3水溶液を加えることで塩基性とし、酢酸エチルで抽出した。有機部分をNa
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮して、純粋な4−(4−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)−N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)フタラジン−1−アミンを黄色固体として得た。MSm/z=502[M+H]
+。C
28H
23N
9Oの計算値:501.54。
【0317】
(実施例方法C)
【0318】
【化63】
N−メチル−4−(2−(4−((4−フェニルフタラジン−1−イル)メチル)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−アミンの合成
4−(2−クロロピリジン−3−イル)−N−メチルピリミジン−2−アミン(0.0500g、0.23mmol)、4−((4−フェニルフタラジン−1−イル)メチル)フェノール(0.071g、0.23mmol)および炭酸セシウム(0.15g、0.45mmol)の混合物に、DMSO(0.5mL)を加えた。得られた混合物を封管中にて加熱して130℃として15時間経過させ、EtOAcで希釈し、飽和重炭酸ナトリウムで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮した。粗濃縮物をギルソン逆相HPLC(0.1%TFA/ACN/水;15−95%ACN;40mL/分)によって精製した。生成物をDCMで希釈し、飽和重炭酸ナトリウムで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮した。濃縮物を凍結乾燥して、N−メチル−4−(2−(4−((4−フェニルフタラジン−1−イル)メチル)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−アミンを白色固体として得た。MSm/z=497[M+H]
+。C
31H
24N
6Oの計算値:496.58。
【0319】
(実施例方法D)
【0320】
【化64】
N−(4−(3−(2−(3−(ジメチルアミノ)−2,2−ジメチルプロピルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミンの合成
段階1:4−(3−(2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)ベンゼンアミンの製造
再密閉可能な圧力瓶に、4−(2−クロロピリジン−3−イル)−2−(メチルチオ)ピリミジン(6.00g、25.2mmol)、4−アミノフェノール(2.89g、26.5mmol)および炭酸セシウム(16.4g、50.5mmol)を入れた。これらの試薬をDMSO(50.5mL、0.50M)に懸濁させた。容器を密閉し、加熱して130℃として48時間経過させた。反応混合物を放冷して室温とし、水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機層を回収し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮して、明褐色残留物を得て、それをシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO、10%から50%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、透明取得物を明黄色固体として得た。MSm/z=311[M+H]
+。C
16H
14N
4OSの計算値:310.37。
【0321】
段階2:N−(4−(3−(2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミンの製造
再密閉可能な圧力瓶に、4−(3−(2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)ベンゼンアミン(1.78g、5.74mmol)、1−クロロ−4−フェニルフタラジン(1.38g、5.74mmol)を入れ、窒素下にブタン−2−オール(28.7mL、0.20M)に懸濁させた。容器を密閉し、加熱して100℃として6時間経過させた。反応混合物を放冷して室温としたところ、沈澱が生成した。沈澱を濾過し、ジクロロメタンで洗浄し、回収し、高真空下に乾燥させて、N−(4−(3−(2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミンのHCl塩を明黄色固体として得た。MSm/z=515[M+H]
+。の計算値C
30H
22N
6OS:514.60。
【0322】
段階3:N−(4−(3−(2−(メチルスルホニル)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミンの製造
100mL乾燥丸底フラスコに、N−(4−(3−(2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミン塩酸塩(1.25g、2.27mmol)を入れ、メタノール(20.6mL、0.11M)中で20分間超音波処理した。これに、オキソン(4.18g、6.81mmol)を加え、混合物を室温で2日間攪拌した。混合物を冷却して0℃とし、NaHCO
3水溶液で塩基性とした。固体を濾過し、水で洗浄し、高真空下に乾燥させて、N−(4−(3−(2−(メチルスルホニル)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミンを明黄色固体として得た。MSm/z=547[M+H]
+。C
30H
22N
6O
3Sの計算値:546.60。
【0323】
段階4:N−(4−(3−(2−(3−(ジメチルアミノ)−2,2−ジメチルプロピルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミンの製造
再密閉可能な圧力バイアルに、N−(4−(3−(2−(メチルスルホニル)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミン(100mg、0.180mmol)およびN1,N1,2,2−テトラメチルプロパン−1,3−ジアミン(0.12mL、0.73mmol)およびDMSO(1.2mL、0.15M)を入れた。反応容器を密閉し、混合物を70℃で16時間攪拌した。反応液を冷却して室温とし、DMSO3mLで希釈した。溶液を、ギルソン逆相クロマトグラフィー(10%から90%CH
3CN/H
2O/0.1%TFA)によって精製した。生成物を含む分画を合わせ、NaHCO
3水溶液を加えることで塩基性とし、酢酸エチルで抽出した。有機部分をNa
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮して、純粋なN−(4−(3−(2−(3−(ジメチルアミノ)−2,2−ジメチルプロピルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミンを黄色固体として得た。MSm/z=597[M+H]
+。C
36H
36N
8Oの計算値:596.72。
【0324】
表Iの下記の化合物(実施例42−240)を、表Iに示したように、上記の方法例A1、A2、A3、B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、CまたはDのいずれかによって製造した。MSデータは、その例について認められた質量(M+H
+)を表す。
【0325】
【表1】
(実施例方法E)
【0326】
【化65】
N−(4−(3−(2−アミノピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−(4−(ピロリジン−1−イルメチル)フェニル)フタラジン−1−アミンの合成
25mLRBFに窒素下にて、4−(4−(4−(3−(2−アミノピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニルアミノ)フタラジン−1−イル)ベンズアルデヒド(90mg、0.18mmol)、ピロリジン(125mg、1.8mmol)およびMeOH(3.5mL、0.05M)を入れた。HOAcを加え(0.02mL、0.36mmol)、反応混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物を冷却して0℃とし、水素化ホウ素トリアセトキシナトリウム(186mg、0.90mmol)を少量ずつ加えた。混合物を室温で終夜攪拌し、冷却して0℃とし、重炭酸ナトリウム水溶液で塩基性とし、生成物をDCMに抽出した。有機層を回収し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮して、褐色残留物を得た。粗残留物を、ギルソン逆相液体クロマトグラフィー(5%−85%CH
3CN/H
2O+0.1%TFA)によって精製した。生成物を含む分画を合わせ、重炭酸ナトリウム水溶液で塩基性とした。これをEtOAcで抽出し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮し、高真空下に乾燥させて、N−(4−(3−(2−アミノピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−(4−(ピロリジン−1−イルメチル)フェニル)フタラジン−1−アミンを明黄色固体として得た。MSm/z=567[M+H]
+。C
34H
30N
8Oの計算値:566.7。
【0327】
(実施例方法F)
【0328】
【化66】
リン酸2水素3−(4−(2−(4−(4−フェニルフタラジン−1−イルアミノ)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロピル2塩酸塩の合成
段階1:リン酸ジ−tert−ブチル3−(4−(2−(4−(4−フェニルフタラジン−1−イルアミノ)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロピル)の製造
15mLRBFに窒素下にて、3−(4−(2−(4−(4−フェニルフタラジン−1−イルアミノ)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−1−オール(130mg、0.24mmol)のDMA(1.2mL、0.24mmol)溶液を入れた。これに、ジ−tert−ブチルジエチルホスホルアミダイト(0.14mL、0.57mmol)および1H−テトラゾール(1.1mL、0.49mmol)を加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌し、冷却して−5℃とし、過酸化水素−30重量%水溶液(0.05mL、0.51mmol)を注射器でゆっくり加えた。反応液を消音させて室温とし、2時間攪拌した。反応液を再度冷却して−5℃とし、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液で反応停止した。生成物をEtOAcに抽出し、有機層を回収し、硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮して、粗黄色残留物を得た。残留物をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(2−5%MeOH/DCM)によって精製し、精製分画をさらに、系(15%−85%CH
3CN/H
2O/0.1%TFA)でのギルソンRPLCによって精製して、リン酸ジ−tert−ブチル3−(4−(2−(4−(4−フェニルフタラジン−1−イルアミノ)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロピルを得た。MSm/z=734[M+H]
+。C
40H
44N
7O
5Pの計算値:733.8。
【0329】
段階2:リン酸2水素3−(4−(2−(4−(4−フェニルフタラジン−1−イルアミノ)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロピル2塩酸塩の製造
リン酸ジ−tert−ブチル3−(4−(2−(4−(4−フェニルフタラジン−1−イルアミノ)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロピル(95mg、0.13mmol)の1,4−ジオキサン(3.7mL、0.04M)溶液に窒素下で、4M HCl/ジオキサン(0.23mL、0.91mmol)を加えた。反応液を室温で18時間攪拌した。混合物は不均一に見え、固体を濾過し、ジオキサンおよびエーテルで洗浄し、真空乾燥して、リン酸2水素3−(4−(2−(4−(4−フェニルフタラジン−1−イルアミノ)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロピル2塩酸塩を黄色固体として得た。標題化合物塊を、遊離塩基として得た。MSm/z=622[M+H]
+。C
32H
30Cl
2N
7O
5Pの計算値:621.6
【0330】
下記の別の例示化合物は、本発明の範囲を理解する上でさらに役立つはずである。
【0331】
(実施例241)
【0332】
【化67】
4−(2−(4−(4−フェニルフタラジン−1−イルアミノ)フェノキシ)ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミドの合成
段階1:4−ブロモ−3−シアノ−1H−ピラゾール−1−カルボン酸tert−ブチルの製造
20mL封管中、4−ブロモ−1H−ピラゾール−3−カルボニトリル(1.0g、5.8mmol)をTHF(10mL)に溶かした。混合物を冷却して0℃とし、それからNaH(鉱油中60%品;0.42g、12mmol)を加え、5分間攪拌した。その混合物に、ジ−tert−ブチルジカーボネート(2.5g、12mmol)を加え、混合物を0℃で3時間攪拌し、水で反応停止し、EtOAcに抽出し、有機層をH
2Oで1回、飽和NaClで1回洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、フリット漏斗で濾過し、濃縮した。粗取得物を、10−100%EtOAc/ヘキサンを用いる順相シリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。生成物を濃縮して、4−ブロモ−3−シアノ−1H−ピラゾール−1−カルボン酸tert−ブチルを明黄色固体として得た。
【0333】
段階2:4−(2−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボニトリルの製造
20mL封管にジオキサン(2.0mL)を加えた。管を窒素で5分間パージした。これに、4−ブロモ−3−シアノ−1H−ピラゾール−1−カルボン酸tert−ブチル(0.100g、0.368mmol)、4−(3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−イルオキシ)ベンゼンアミン(0.229g、0.735mmol)および炭酸ナトリウム(2.0M水溶液)(0.667mL)を加えた。酢酸パラジウム(II)(0.008g、0.037mmol)およびトリ−t−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(0.021g、0.074mmol)を加え、管を窒素でパージし、密閉し、加熱して100℃として17時間経過させた。反応液を冷却して室温とし、濃縮し、90:10:1(CH
2Cl
2/MeOH/NH
4OH)を用いてシリカ層を通過させた。溶離液を濃縮して、4−(2−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボニトリルを明褐色固体として得た。MSm/z=278[M+1]
+。C
15H
11N
5Oの計算値:277.28。
【0334】
段階3:4−(2−(4−(4−フェニルフタラジン−1−イルアミノ)フェノキシ)ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボニトリルの製造
20mL封管中、4−(2−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボニトリル(0.120g、0.433mmol)をt−BuOH(1.0mL)に溶かした。次に、1−クロロ−4−フェニルフタラジン(0.104g、0.433mmol)を加え、混合物を100℃で3日間攪拌した。反応液を冷却して室温とし、濃縮し、ギルソン逆相クロマトグラフィー系で精製した。標題化合物をCH
2Cl
2に抽出し、飽和NaHCO
3で1回、H
2Oで1回洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、フリット漏斗で濾過し、濃縮した。標題化合物をさらに、10−100%EtOAc/ヘキサンを用いるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、4−(2−(4−(4−フェニルフタラジン−1−イルアミノ)フェノキシ)ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボニトリルを明黄色固体として得た。MSm/z=482[M+1]
+。C
29H
19N
7Oの計算値:481.51。
【0335】
段階4:4−(2−(4−(4−フェニルフタラジン−1−イルアミノ)フェノキシ)ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミドの製造
20mL封管中、4−(2−(4−(4−フェニルフタラジン−1−イルアミノ)フェノキシ)ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボニトリル(0.070g、0.145mmol)をDMSO(1.0mL)に溶かした。これに、炭酸カリウム(0.024g、0.174mmol)および過酸化水素(0.445mL、14.5mmol)を加え、混合物を20℃で3日間攪拌し、水で反応停止した。生成物をEtOAcに抽出し、飽和NaHCO
3で1回、H
2Oで1回洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、フリット漏斗で濾過し、濃縮した。標題化合物を、ギルソン逆相液体クロマトグラフィー系を用いて精製した。生成物分画をCH
2Cl
2に抽出した。有機層を飽和NaHCO
3で1回、H
2Oで1回洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、フリット漏斗で濾過し、濃縮して、4−(2−(4−(4−フェニルフタラジン−1−イルアミノ)フェノキシ)ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミドを明黄色固体として得た。MSm/z=500[M+1]
+。C
29H
21N
7O
2の計算値:499.52。
【0336】
(実施例242)
【0337】
【化68】
N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリジン−4−イル)ピリジン−4−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミンの合成
段階1:4−(4−フェニルフタラジン−1−イルアミノ)フェノールの製造
圧力瓶に、4−アミノフェノール(0.453g、0.416mmol)、1−クロロ−4−フェニルフタラジン(1.00g、0.416mmol)およびベンゼン16.8mLを入れた。瓶を密閉し、加熱して100℃としとして25時間経過させた。反応混合物を濃縮した。粗取得物をメタノールに溶かし、14分間かけて5−75%ACN/H
2O/0.1%TFAでのギルソン逆相液体クロマトグラフィーによって精製した。生成物を含む分画を合わせ、1M NaHCO
3を加えることで塩基性pHとし、ジクロロメタンで抽出した。有機部分をMgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮して、4−(4−フェニルフタラジン−1−イルアミノ)フェノールを黄色固体として得た。MSm/z=314[M+H]
+。C
20H
15N
3Oの計算値:313.35。
【0338】
段階2:N−(4−(3−ブロモピリジン−4−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミンの製造
再密閉可能な反応管に、炭酸セシウム(0.873g、0.268mmol)、3−ブロモ−4−クロロピリジン塩酸塩(0.205g、0.894mmol)および4−(4−フェニルフタラジン−1−イルアミノ)フェノール(0.280g、0.894mmol)を入れ、窒素で数分間パージした。DMSO1.8mLを加え、管を密閉し、反応混合物を加熱して130℃として3時間経過させた。冷却してから、混合物をEtOAcで希釈し、水で洗浄した。水層部分をEtOAcで抽出し、合わせた有機部分をMgSO
4で脱水し、濃縮した。N−(4−(3−ブロモピリジン−4−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミンを橙赤色固体として単離した。MSm/z=470[M+H]
+。C
25H
17BrN
4Oの計算値:469.33。
【0339】
段階3:N−(4−(3−(2−フルオロピリジン−4−イル)−ピリジン−4−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミンの製造
再密閉可能な反応管にトリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(0.024g、0.082mmol)、酢酸パラジウム(II)(0.009g、0.041mmol)、2−フルオロピリジン−4−ボロン酸(0.086g、0.614mmol)およびN−(4−(3−ブロモピリジン−4−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミン(0.192mg、0.409mmol)を入れ、窒素で数分間パージした。ジオキサン1.2mLおよび2.0M炭酸ナトリウム水溶液(0.614mL、0.123mmol)を加え、管を密閉し、反応混合物を加熱して100℃として48時間経過させた。混合物をEtOAcで希釈し、水で洗浄した。有機部分をMgSO
4で脱水し、濃縮した。ギルソン逆相液体クロマトグラフィー(14分間かけて5−70%ACN/水/0.1%TFA)による精製によって、N−(4−(3−(2−フルオロピリジン−4−イル)ピリジン−4−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミンを、N−(4−(3−ブロモピリジン−4−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミンのヒドロ脱ハロゲン化生成物との混合物として得た。
【0340】
段階4:N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリジン−4−イル)ピリジン−4−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミンの製造
高圧スチールボンベに、N−(4−(3−(2−フルオロピリジン−4−イル)ピリジン−4−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミン(0.115g、0.237mmol)、炭酸カリウム(0.049g、0.355mol)およびTHF 3.0mLを入れた。ボンベを密閉し、冷却して0℃とし、メチルアミンガスで加圧した。反応混合物を昇温させて室温とし、80℃で45時間加熱した。冷却してから、反応混合物をフリット漏斗で濾過し、MeOHで洗浄し、濃縮した。この混合物を、シリカゲルクロマトグラフィー、(ISCO、40gカラム0−10%MeOH/ジクロロメタン)によって精製して、N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリジン−4−イル)ピリジン−4−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミンを明黄色固体として得た。MSm/z=497[M+H]
+。C
31H
24N
6Oの計算値:496.56。
【0341】
(実施例243)
【0342】
【化69】
4−フェニル−N−(4−(5−(ピリジン−4−イル)ピリミジン−4−イルオキシ)フェニル)フタラジン−1−アミンの合成
段階1:5−ヨードピリミジン−4−オールの製造
標題化合物を、参考文献(Chem. Pharm. Bull. 1986, 34, 2719-2714)に従って製造した。そこに記載の方法に従って、ピリミジン−4−オール(10.0g、104mmol)の水素化ナトリウム6.0M(23.1mL、139mmol)および水(77mL)中の明黄色溶液に、ヨウ素(26.4g、104mmol)を加えた。混合物を、空冷冷却管を取り付けて加熱して80℃としたところ、5分後に非常に粘稠となった。30分後、混合物は攪拌が容易になり、赤/紫様色となった。反応液を終夜加熱し、冷却し、少量のAcOHによって中和した。沈澱を濾過によって回収し、水100mLで洗い、真空乾燥して、5−ヨードピリミジン−4−オールを黄褐色固体として得た。MSm/z=223[M+H]
+。C
4H
3IN
2Oの計算値:222.0。
【0343】
段階2:4−クロロ−5−ヨードピリミジンの製造
乾燥管を取り付けた水冷還流冷却器を用いて、5−ヨードピリミジン−4−オール(14.9g、67.1mmol)のオキシ塩化リン(25.0mL、268mmol)中混合物を135℃浴で3時間加熱還流した。紫色溶液を暖かい程度となるまで冷却し、攪拌しながら氷に投入した。氷を加えて低温を維持しながら、氷冷混合物を6N NaOHで塩基性とした。得られた褐色沈澱を濾過によって回収し、水で洗い、真空乾燥して、4−クロロ−5−ヨードピリミジンを橙赤色固体として得た。MSm/z=241[M+H]
+。C
4H
2IClN
2の計算値:240.4。
【0344】
段階3:N−(4−(5−ヨードピリミジン−4−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミンの製造
炭酸セシウム(2.79g、8.58mmol)および4−(4−フェニルフタラジン−1−イルアミノ)フェノール塩酸塩(1.00g、2.86mmol)のDMSO(10mL)中褐色混合物に、4−クロロ−5−ヨードピリミジン(0.687g、2.86mmol)を加えた。反応液を室温で1時間攪拌した。反応液を加熱し、70℃に終夜維持した。反応液を冷却し、水で希釈した。固体を濾過し、真空乾燥して、N−(4−(5−ヨードピリミジン−4−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミンを灰色固体として得た。MSm/z=518[M+H]
+。C
24H
16IN
5Oの計算値:517.3。
【0345】
段階4:4−フェニル−N−(4−(5−(ピリジン−4−イル)ピリミジン−4−イルオキシ)フェニル)フタラジン−1−アミンの製造
4−ピリジルボロン酸(0.0950g、0.773mmol)、1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウムジクロライド(0.0141g、0.0193mmol)およびN−(4−(5−ヨードピリミジン−4−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミン(.200g、0.387mmol)および2.0M炭酸ナトリウム/H
2O(0.387mL、0.773mmol)のジオキサン(1.5mL)中スラリーに窒素を流し、密閉し、加熱して80℃とした。反応液は暗くなり、1時間に固体は溶解した。3時間後、反応は完了したと判断した。反応液を冷却し、DCMおよび水で希釈した。得られた水系乳濁液をDCMで4回抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。取得物を、MeOH/DCMから1.8gシリカゲルに吸着させ、乾燥させ、シリカゲルクロマトグラフィー(0−60−100%[90/10DCM/MeOH]/DCM)によって精製して、4−フェニル−N−(4−(5−(ピリジン−4−イル)ピリミジン−4−イルオキシ)フェニル)フタラジン−1−アミンを黄褐色固体として得た。MSm/z=469[M+H]
+。C
29H
20N
6Oの計算値:468.5。
【0346】
(実施例244)
【0347】
【化70】
N−メチル−4−(2−(4−(4−フェニルフタラジン−1−イルオキシ)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−アミンの合成
段階1:N−メチル−4−(2−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−アミンの製造
1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウムジクロライド(0.0453g、0.0618mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(0.330g、1.30mmol)、4−(2−(4−ヨードフェノキシ)ピリジン−3−イル)−N−メチルピリミジン−2−アミン(0.500g、1.24mmol)および酢酸カリウム(0.243g、2.47mmol)を、封管中にて窒素下に合わせた。ジオキサン5mLを加え、橙赤色混合物を密閉し、加熱して、75℃に維持した。5時間後、痕跡量の所望の生成物がLCMSによって明らかになった。反応液を、加熱して100℃として終夜経過させた。温度を上昇させて120℃とした。16時間後、反応液をセライトで濾過し、EtOAcで洗い、減圧下に濃縮して暗油状物を得て、それをシリカゲルクロマトグラフィー(50−100%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、N−メチル−4−(2−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−アミンを得た。MSm/z405[M+H]
+。C
22H
25BN
4O
3の計算値:404.3。
【0348】
段階2:4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)−ピリジン−2−イルオキシ)フェノールの製造
N−メチル−4−(2−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−アミン(0.414g、1.02mmol)のEtOH(2mL)溶液に0℃で、過酸化水素30重量%水溶液(0.984mL、10.2mmol)を加えた。反応液を昇温させて室温とした。1時間後、反応液をDCMで希釈し、層を分離した。水層を5%MeOH/DCMで抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物を、シリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェノールを白色固体として得た。MSm/z=295[M+H]
+。C
16H
14N
4O
2の計算値:294.3。
【0349】
段階3:N−メチル−4−(2−(4−(4−フェニルフタラジン−1−イルオキシ)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−アミンの製造
1−クロロ−4−フェニルフタラジン(0.0900g、0.374mmol)、4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェノール(0.110g、0.374mmol)および炭酸カリウム(0.129g、0.934mmol)のDMSO(1mL)中混合物を、封管中1時間加熱した。冷却後に、白色沈澱が生成した。取得物を水とDCMとの間で分配した。有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して粗固体を得て、それをMeOHに懸濁させ、超音波処理し、濾過し、乾燥させて、N−メチル−4−(2−(4−(4−フェニルフタラジン−1−イルオキシ)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−アミンを白色固体として得た。MSm/z=499[M+H]
+。C
30H
22N
6O
2の計算値:498.5。
【0350】
(実施例245)
【0351】
【化71】
4−(4−クロロチオフェン−2−イル)−N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)フタラジン−1−アミンの合成
段階1:(3−クロロチオフェン−2−イル)トリメチルシランの製造
WO9412505に記載の手順に従って、標題化合物を製造した。3−クロロチオフェン(7.00g、59.0mmol)の脱水THF(60mL)溶液に窒素下で、n−ブチルリチウムの2.5Mヘキサン溶液(23.6mL、59.0mmol)を、プラスチック製注射器で15分間かけて滴下した。反応液は白色沈澱を含んで濁った。反応液を40分間攪拌し、その時点でトリメチルシリルクロライド(8.24mL、64.9mmol)を注射器で5分間かけて滴下した。混合物を10分間攪拌し、昇温させて0℃として10分間経過させ、水7mLおよびブライン35mLを加えた。混合物をEtOAcで希釈し、層を分離した。水層をEtOAcで1回抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、(3−クロロチオフェン−2−イル)トリメチルシランを黄色油状物として得た。
【0352】
段階2:4−クロロ−5−(トリメチルシリル)チオフェン−2−イルボロン酸の製造
0℃のジイソプロピルアミン(1.8mL、13mmol)の脱水THF(50mL)溶液に窒素下で、ブチルリチウムの2.5Mヘキサン溶液(4.6mL、12mmol)を加えた。溶液を5分間攪拌し、冷却して−78℃とした。(3−クロロチオフェン−2−イル)トリメチルシラン(2.0g、10mmol)のTHF(5mL)溶液を室温でカニューレを介して、約10分間かけてゆっくり滴下した。得られた溶液を30分間攪拌し、その時点でトリメチルボレート(2.4mL、21mmol)を滴下した。溶液を1時間攪拌し、昇温させて0℃とし、2N HCl 25mLを加えることで反応停止し、攪拌しながら昇温させて室温とした。混合物をDCMで3回抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、半固体を得た。シリカゲルクロマトグラフィー、(0−40%EtOAc/ヘキサン)による精製によって、4−クロロ−5−(トリメチルシリル)チオフェン−2−イルボロン酸をオフホワイト固体として得た。
【0353】
段階3:4−(4−クロロチオフェン−2−イル)−N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)−ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)フタラジン−1−アミンの製造
1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウムジクロライド(0.0401g、0.0548mmol)、4−クロロ−5−(トリメチルシリル)チオフェン−2−イルボロン酸(0.161g、0.685mmol)、4−クロロ−N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)フタラジン−1−アミン(0.250g、0.548mmol)、炭酸ナトリウムの2MH
2O溶液(0.548mL、1.10mmol)のジオキサン(3mL)溶液を、封管中で加熱して90℃とした。3時間後、0.75当量のボロン酸を加え、反応液を16時間加熱した。反応液を冷却して室温とし、EtOAcと1N NaOHとの間で分配した。水層をEtOAcで3回抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。得られた油状物を、シリカゲルクロマトグラフィー(0−100%EtOAc/DCM)によって精製して、4−(4−クロロ−5−(トリメチルシリル)チオフェン−2−イル)−N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)フタラジン−1−アミンおよび4−(4−クロロチオフェン−2−イル)−N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)フタラジン−1−アミンの混合物を黄色油状物として得た。この取得物を、THF2.5mLに取り、水(0.061mL、3.4mmol)を加え、次にテトラブチルアンモニウムフルオリドの1.0M THF溶液(0.45mL、0.45mmol)を加えた。反応液を16時間攪拌し、EtOAc/ブラインで希釈した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮して、黄色油状物を得た。MeOH4mLを加えたところ黄色溶液が得られ、これを、粘稠沈澱が生成するまで数分間超音波処理した。追加のメタノールを加え、混合物を濾過した。沈澱をMeOHで2回洗い、真空乾燥して、4−(4−クロロチオフェン−2−イル)−N−(4−(3−(2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)フタラジン−1−アミンを黄色固体として得た。MSm/z=538[M+H]
+。C
28H
20ClN
7OSの計算値:538.0。
【0354】
表IIの下記の化合物(実施例246−460)を、表IIに示したように、上記の方法例A1、A2、A3、B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、CまたはDのいずれかによって製造した。MSデータは、その例について認められた質量(M+H
+)を表す。
【0355】
【表2】
【0356】
下記の別の中間体および式I−IIIの化合物の製造は、本発明の範囲を理解する上でさらに役立つはずである。
【0357】
(実施例461)
【0358】
【化72】
4−(2−(6−アミノピリジン−3−イルオキシ)ピリジン−3−イル)−N−メチルピリミジン−2−アミンの合成
段階1:4−(2−(6−ブロモピリジン−3−イルオキシ)ピリジン−3−イル)−N−メチルピリミジン−2−アミンの合成
炭酸セシウム(8.9g、27mmol)および6−ブロモピリジン−3−オール(2.6g、15mmol)のスラリーに、4−(2−クロロピリジン−3−イル)−N−メチルピリミジン−2−アミン(3.0g、14mmol)を加えた。反応混合物を密閉し、加熱して125℃として16時間経過させた。混合物を冷却し、水で希釈し、水溶液をDCMで抽出した(75mLで3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して褐色油状物を得て、それを少量のDCMに取り、0−100%EtOAc/DCMの勾配で溶離を行うISCO120gカラムで精製して、4−(2−(6−ブロモピリジン−3−イルオキシ)ピリジン−3−イル)−N−メチルピリミジン−2−アミンをオフホワイト固体として得た。MSm/z=295[M+H]
+。C
15H
12BrN
5Oの計算値:358.2。
【0359】
段階2:4−(2−(6−アミノピリジン−3−イルオキシ)ピリジン−3−イル)−N−メチルピリミジン−2−アミン
標題化合物を、文献(Tet. Let. 2001, 42, 3251-3254)に記載の手順に従って製造した。攪拌バーを入れた25mLステンレス製圧力容器中の4−(2−(6−ブロモピリジン−3−イルオキシ)ピリジン−3−イル)−N−メチルピリミジン−2−アミン(2.42g、6.76mmol)および酸化銅(I)(0.145g、1.01mmol)の(35mL)エチレングリコール中スラリーを冷却して0℃とし、無水アンモニアを15分間吹き込んだ。得られた不均一赤色様混合物を密閉し、油浴で100℃にて終夜加熱した。反応液を冷却して室温とし、換気した。反応液を水とDCMとの間で分配した。水層をDCMで4回抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、明黄色固体2gを得た。これをさらに、MeOH/MCからシリカゲル10gに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー、ISCO、120g、40分間の操作、0−70%[90/10MC/MeOH]/MCによる精製によって精製して、4−(2−(6−アミノピリジン−3−イルオキシ)ピリジン−3−イル)−N−メチルピリミジン−2−アミンを白色固体として得た。MSm/z=295[M+H]
+。C
15H
14N
6Oの計算値:294.3。
【0360】
(実施例462)
【0361】
【化73】
4−(2−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ピリミジン−2−アミンの合成
段階1:4,4,5,5−テトラメチル−2−(2−(4−ニトロフェノキシ)フェニル)−1,3,2−ジオキサボロランの製造
2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェノール(2.00g、9.09mmol)のDMF溶液に、炭酸カリウム(2.51g、18.2mmol)および1−フルオロ−4−ニトロベンゼン(0.964mL、9.09mmol)を加えた。反応混合物に窒素を流し、密閉し、加熱して120℃とした。18時間後、水を加え、混合物をEtOAcで2回抽出した。有機層をNa
2SO
4で脱水し、濾過し、減圧下に濃縮し、粗取得物を0−15%EtOAc/ヘキサンで溶離を行うシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、4,4,5,5−テトラメチル−2−(2−(4−ニトロフェノキシ)フェニル)−1,3,2−ジオキサボロランを白色固体として得た。MSm/z=342[M+1]
+。C
18H
20BNO
5の計算値:341.17。
【0362】
段階2:4−(2−(4−ニトロフェノキシ)フェニル)ピリミジン−2−アミンの製造
段階1の化合物(0.034g、0.054mmol)、酢酸カリウム(0.26g、2.7mmol)、4,4,5,5−テトラメチル−2−(2−(4−ニトロフェノキシ)フェニル)−1,3,2−ジオキサボロラン(.460g、1.3mmol)および4−クロロピリミジン−2−アミン(0.17g、1.3mmol)を封管中で窒素下に合わせ、それにACN7mLおよび水(0.73mL、40mmol)を加えた。反応液を密閉し、85℃で終夜加熱した。反応液をDCMおよび水で希釈し、DCMで2回抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。取得物を、シリカゲルクロマトグラフィー(MeOH/DCM)によって精製して、4−(2−(4−ニトロフェノキシ)フェニル)ピリミジン−2−アミンを白色固体として得た。MSm/z=309[M+H]
+。C
16H
12N
4O
3の計算値:308.3。
【0363】
段階3:4−(2−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ピリミジン−2−アミンの製造
4−(2−(4−ニトロフェノキシ)フェニル)ピリミジン−2−アミン(0.280g、0.908mmol)およびパラジウム、10重量%(乾燥重基準)/活性炭50%含水(0.193g、0.182mmol)を窒素下に合わせ、MeOH5mLで希釈した。雰囲気を水素で置換し、混合物を終夜高攪拌した。反応液に窒素を流し、セライトで濾過し、MeOHで洗った。減圧下に濃縮することで、4−(2−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ピリミジン−2−アミンを得た。MSm/z=279[M+H]
+。C
16H
14N
4Oの計算値:278.3。
【0364】
(実施例463)
【0365】
【化74】
4−(2−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−3−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの合成
アルゴンパージした封管中、4−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(2.77g、11.0mmol)、4−(3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−イルオキシ)ベンゼンアミン(5.14g、16.5mmol)、炭酸ナトリウム(3.49g、32.9mmol)、1,4−ジオキサン(32.3mL、11.0mmol)および水(11.7mL、11.0mmol)を加えた。管を密閉し、反応液を室温で5分間攪拌した。酢酸パラジウム(0.246g、1.10mmol)およびトリ−t−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(0.637g、2.19mmol)を加え、管を密閉し、加熱して100℃とした。約105分後、加熱を停止し、反応混合物を冷却して室温とし、EtOAcを用いてセライト層を通過させた。濾液をMgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。粗生成物を、DCMおよび95:05DCM:(90:10:1DCM:MeOH:NH
4OH)を用いる120gシリカゲルカラムでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、非極性スポットを流し出し、次に80:20DCM:(90:10:1DCM:MeOH:NH
4OH)によってBoc−生成物を回収した。粘稠褐色油状物を得た。油状物を室温で数時間放置した後、結晶を生成した。油状物を冷却して0℃とし、少量のヘキサンとごく少量のエーテルを加えた後に明黄色固体を沈澱させて、スパーテルでフラスコの壁を掻いた。明黄色固体を濾過し、冷ヘキサンで洗浄し、真空乾燥した。この固体4−(2−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−3−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルは、
1H NMRによれば主として生成物であった。MSC
23H
22N
4O
3の計算値:[M]
+=402。実測値:[M+H]
+=403。
【0366】
(実施例464)
3−(4−クロロフタラジン−1−イル)−N,N−ジメチルプロプ−2−イン−1−アミンの合成
再密閉可能な圧力瓶に、ジクロロビス(トリフェニル−ホスフィン)パラジウム(II)(106mg、0.15mmol)、N,N−ジメチルプロプ−2−イン−1−アミン(0.13mL、1.5mmol)、1,4−ジクロロフタラジン(300mg、1.5mmol)、ヨウ化銅(I)(29mg、0.15mmol)、TEA(4.2mL、30.1mmol)およびACN(15.0mL、0.1M)を入れた。容器を密閉し、混合物を90℃で終夜攪拌した。翌日、反応液を冷却して室温とし、セライトで濾過し、濾液を減圧下に濃縮して、褐色残留物を得て、それをISCOシリカゲルクロマトグラフィー(5%−7%の90/10/1DCM/MeOH/NH
4OH)によって精製して、3−(4−クロロフタラジン−1−イル)−N,N−ジメチルプロプ−2−イン−1−アミンを得た。MSm/z=246[M+1]
+。C
13H
12ClN
3の計算値:245.7。
【0367】
(実施例465)
1−(4−クロロフタラジン−1−イル)ピペリジン−3−オールの合成
再密閉可能な圧力瓶に、炭酸カリウム(273mg、2.0mmol)、1,4−ジクロロフタラジン(590mg、3.0mmol)、ピペリジン−3−オール(200mg、2.0mmol)およびメチルスルフィニルメタン(10mL、0.2M)を入れた。容器を密閉し、混合物を90℃で24時間攪拌した。翌日、反応液を冷却して室温とし、DMSO5mLで希釈した。溶液を、ギルソン逆相液体クロマトグラフィー(10%から90%CH
3CN/H
2O/0.1%TFA)によって精製して、1−(4−クロロフタラジン−1−イル)ピペリジン−3−オールを得た。MSm/z=264[M+1]
+。C
13H
14ClN
3Oの計算値:263.7。
【0368】
(実施例466)
1−クロロ−4−(4−メチルチアゾール−2−イル)フタラジンの合成
段階1:2−(4−メチルチアゾール−2−カルボニル)安息香酸の製造
乾燥した250mLRBFに窒素下で、THF(35.3mL、0.4M)を入れ、ドライアイス/アセトン浴によって冷却して−78℃とした。n−ブチルリチウム(6.3mL、15.8mmol)を注射器で加えた。反応混合物を−78℃に維持しながら、4−メチルチアゾール(1.4g、15.1mmol)のTHF(40mL)溶液を滴下漏斗によって15分間かけて加えた。反応混合物を−78℃で2時間攪拌し、半時間かけて昇温させて0℃とし、再度冷却して−78℃とし、イソベンゾフラン−1,3−ジオン(3.4g、22.7mmol)のTHF(25mL)を急速に加えた。反応液を昇温させて室温とし、終夜攪拌した。反応混合物を濃縮して30mLとし、水60mLで希釈し、冷却して0℃とし、6N HClでpH4の酸性とし、DCMで抽出した(100mLで3回)。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に濃縮乾固させた。得られた残留物をDCMで磨砕して、2−(4−メチルチアゾール−2−カルボニル)安息香酸を得た。MSm/z=248[M+H]
+。C
2H
9NO
3Sの計算値:247.3。
【0369】
段階2:4−(4−メチルチアゾール−2−イル)−フタラジン−1(2H)−オンの製造
攪拌バーおよび還流冷却管を取り付けたRBFに、窒素雰囲気下に維持しながら、2−(4−メチルチアゾール−2−カルボニル)安息香酸(1.9g、7.7mmol)、ヒドラジン(1.3mL、226.9mmol)およびエタノール(40mL、0.2M)を入れた。反応混合物を還流下に終夜攪拌し、冷却して室温とした。得られた沈澱を濾過し、DCMで洗浄して、4−(4−メチルチアゾール−2−イル)フタラジン−1(2H)−オンを得た。MSm/z=244[M+H]
+。C
12H
9N
3OSの計算値:243.2。
【0370】
段階3:1−クロロ−4−(4−メチルチアゾール−2−イル)−1−フタラジンの製造
攪拌バーおよび還流冷却管を取り付けた乾燥した50mLRBFに、4−(4−メチルチアゾール−2−イル)フタラジン−1(2H)−オン(1.6g、6.6mmol)およびオキシ塩化リン(7.4mL、78.9mmol)を入れた。混合物を還流下に18時間攪拌し、高撹拌しながら氷に投入した。氷冷混合物に、pH=9となるまで6N NaOHを加えた。固体が生成するまで高攪拌を続けた。固体を濾過し、水で洗浄し、真空乾燥機で乾燥して、1−クロロ−4−(4−メチルチアゾール−2−イル)フタラジンを得た。MSm/z=262[M+H]
+。C
12H
8ClN
3Sの計算値:261.7。
【0371】
(実施例467)
【0372】
【化75】
4−(2−(4−(4−(4−メチルチアゾール−2−イル)フタラジン−1−イルアミノ)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルホスホルアミド酸・2ヨウ化水素酸塩の合成
段階1:N−(4−(3−(2−アミノピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−(4−メチルチアゾール−2−イル)フタラジン−1−アミン(.335g、0.664mmol)およびピロリン酸テトラベンジル(0.501g、0.930mmol)のTHF(6.6mL)中黄色スラリーに窒素下で0℃にて、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの1M THF溶液(2.32mL、2.32mmol)を3分間かけて滴下し、深赤色溶液を得た。飽和NaHCO
3水溶液で反応停止し、EtOAcで希釈した。有機層を、飽和NaHCO
3水溶液で3回、ブラインで1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。取得物を、シリカゲルクロマトグラフィー、ISCO、40g、50分操作、0−60%90/10[DCM/MeOH]/DCMによって精製して、ジベンジル4−(2−(4−(4−(4−メチルチアゾール−2−イル)フタラジン−1−イルアミノ)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルホスホルアミデートを黄色固体として得た。MSm/z=765[M+H]
+。C
41H
33N
8O
4PSの計算値:764.8。
【0373】
段階2:わずかに濁ったジベンジル4−(2−(4−(4−(4−メチルチアゾール−2−イル)フタラジン−1−イルアミノ)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルホスホルアミデート(.086g、0.11mmol)の5:1ACN/DCM(3mL)中混合物に、注射器で室温にて窒素下でヨードトリメチルシラン(0.16mL、1.1mmol)を滴下した。5分後、MeOH0.6mLを加え、攪拌バーを取り出した。反応液を減圧下に濃縮し、DCMに懸濁させ、濾過した。得られた橙赤色固体を回収し、真空乾燥して、4−(2−(4−(4−(4−メチルチアゾール−2−イル)フタラジン−1−イルアミノ)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルホスホルアミド酸・2ヨウ化水素酸塩を橙赤色固体として得た。MSm/z=585[M+H]
+。C
27H
21N
8O
4PSの計算値:584.6。
【0374】
(実施例468)
【0375】
【化76】
段階1:2−(2−ブロモフェノキシ)−5−ニトロピリミジン
KH(6.29g、47.0mmol、30%鉱油中)を、アルゴン雰囲気下にヘキサンで洗浄した。ヘキサンをTHF(62.7mL、18.8mmol)に置き換えた。溶液を冷却して0℃とした。2−ブロモフェノール(2.00mL、18.8mmol)を、0℃で少量ずつゆっくり加えた。反応を昇温させて室温としたところ、白色懸濁液が生成した。15分後、吹き込みを停止し、2−クロロ−5−ニトロピリミジン(3.00g、18.8mmol)を室温で少量ずつ加えたところ、褐色混合物が生成した。15分後、TLCでは、反応が完了して、新たな極性生成物が生成していることが示された。反応後処理の際には、水および/またはアルコール系溶媒は最少量で用いた。粗反応取得物をセライト層に通過させ、窒素カバー下にTHFで洗浄した。
KHが引火性であり、火災の原因となる発火を起こし得ることから、セライト層を乾燥させないように注意を払う必要がある。濡れたセライトケーキを直ちに、THFの入ったRBFに移し入れた。過剰のKHを、アルゴン雰囲気下に水でゆっくり反応停止した。濾液を濃縮して、黄色固体を得た。
1H NMRは、主として生成物である2−(2−ブロモフェノキシ)−5−ニトロピリミジンを示した。MSC
10H
6BrN
3O
3の計算値:[M]
+=295;実測値:[M+H]
+=296、[M+2H]
+=297。
【0376】
段階2:2−(2−ブロモフェノキシ)ピリミジン−5−アミン
2−(2−ブロモフェノキシ)−5−ニトロピリミジン(5.30g、17.9mmol)のDMF(35.8mL、17.9mmol)溶液に、塩化スズ(II)(17.0g、89.5mmol)および水(4.48mL、17.9mmol)を加えた。反応液を15分間超音波処理したところ、深赤色となり、発熱した。反応液を室温で攪拌した。4時間後、反応液をEtOAcで希釈し、冷却して0℃とし、10%NaOHで中和した。スズ残留物が溶液から沈澱した。反応液をEtOAcで希釈した。懸濁液を沈降させた。有機層を傾斜法で取り、フリット漏斗を通過させた。この手順をさらに2回繰り返して、生成物を有機層に抽出した。生成物を含む有機層をブラインで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。生成物を、90:10DCM:(90:10:1DCM:MeOH:NH
4OH)を用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製した。生成物分画を濃縮してから、得られた褐色固体をDCMに溶解/懸濁させ、水で洗浄してDMFを除去し、ブラインで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。黄色固体である2−(2−ブロモフェノキシ)ピリミジン−5−アミンを得た。MSC
10H
8BrN
3Oの計算値:[M]
+=265。実測値:[M+H]
+=266、[M+2H]
+=267。
【0377】
段階3:N−(2−(2−ブロモフェノキシ)ピリミジン−5−イル)−4−フェニルフタラジン−1−アミン
2−(2−ブロモフェノキシ)ピリミジン−5−アミン(3.01g、11.3mmol)、1−クロロ−4−フェニルフタラジン(2.72g、11.3mmol)およびブタン−2−オール(56.6mL、11.3mmol)を封管中に入れた。反応容器を密閉し、混合物を加熱して120℃とした。1.5時間後、LCMSでは、主として[M+H]
+=470としての生成物と少量のブロモ原料が示された。フタラジン200mgを加えた。さらに3.5時間後、反応液を冷却して室温とした。ヘキサンを加えて黄色固体を沈澱させた。黄色固体を濾過し、DCMおよびヘキサンで再結晶させた。得られた暗褐色固体を終夜真空乾燥して、生成物であるN−(2−(2−ブロモフェノキシ)ピリミジン−5−イル)−4−フェニルフタラジン−1−アミンを得た。
【0378】
濾液を濃縮し、得られた残留物を90:10DCM:(90:10:1DCM:MeOH:NH
4OH)を用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製した。生成物分画を濃縮して、第2の塊の標題化合物を褐色固体として得た。MSC
24H
16BrN
5Oの計算値:[M]
+=469;実測値:[M+H]
+=470、[M+2H]
+=471。
【0379】
段階4:4−フェニル−N−(2−(2−(ピリジン−4−イル)−フェノキシ)ピリミジン−5−イル)フタラジン−1−アミン
アルゴンパージした封管中、N−(2−(2−ブロモフェノキシ)ピリミジン−5−イル)−4−フェニルフタラジン−1−アミン(150mg、319μmol)、ピリジン−4−イルボロン酸(157mg、1.27μmol)、Pd(DPPF)Cl
2(47mg、64μmol)、炭酸ナトリウム(239μL、478μmol)および1,4−ジオキサン(1.60mL、319μmol)を加えた。反応液を室温で5分間攪拌した。管を密閉し、加熱して100℃として18時間経過させた。16時間後、反応液を冷却して室温とし、EtOAcおよび水10mLで希釈した。生成物をEtOAcに抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。生成物を、60:40DCM:(90:10:1DCM:MeOH:NH
4OH)を用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製した。得られた明褐色固体をDCM15mLに溶かし、溶媒を減圧下に除去して、標題化合物を明褐色固体として得た。MSC
29H
20N
6Oの計算値:[M]
+=468。実測値:[M+H]
+=469。
【0380】
(実施例469)
N−(4−(3−(2−アミノ−5−フルオロピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミンの合成
段階1:N−(4−(3−(2−クロロ−5−フルオロピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミン
ネジキャップ式試験管中にてアルゴン雰囲気下に、2,4−ジクロロ−5−フルオロピリミジン(390mg、2.34mmol)および2−(4−(4−フェニルフタラジン−1−イルアミノ)フェノキシ)ピリジン−3−イルボロン酸(1.01g、2.34mmol)を1,2−ジメトキシエタン(15.6mL、2.34mmol)に溶かした。炭酸ナトリウム(4.67mL、9.34mmol)を加え、次にPd(PPh
3)
4(0.270g、0.234mmol)を加えた。管をアルゴンでパージし、密閉し、加熱して85℃とした。3時間後、LCMSでは、ほとんどが生成物で、少量の原料が残っていることが示された。ジクロロフルオロピリミジン100mgを加え、反応液を終夜攪拌した。22時間後、LCMSでは生成物への完全な変換が示された。水を加えた。生成物をDCMで抽出した。有機相をMgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。ヘキサンを残留物に加えた。黄褐色固体が沈澱し、それをヘキサンを用いて濾過した。生成物を、80:20DCM:(90:10:1DCM:MeOH:NH
4OH)で溶離を行うシリカゲルでのISCOカラムクロマトグラフィーを用いて生成し、黄色固体として、N−(4−(3−(2−クロロ−5−フルオロピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミン(1.13g、収率93%)を得た。MSC
29H
18ClFN
6Oの計算値:[M]
+=520。実測値:[M+1]
+=521。
【0381】
段階2:tert−ブチル5−フルオロ−4−(2−(4−(4−フェニルフタラジン−1−イルアミノ)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルカーバメート
文献(Gamier, E.; Andoux, J.; Pasquinet, E.; Suzenet, F.; Poullain, D.; Lebret, B.; Guillaumet, G. J. Org. Chem. 2004, 69, 7809)に記載の手順に従って標題化合物を製造した。キサントホス(281mg、486μmol)および1,4−ジオキサン(12151μL、2430μmol)を封管に入れた。管をアルゴンでパージし、酢酸パラジウム(II)(55.0mg、243μmol)を加えた。混合物をアルゴン下に10分間攪拌した。別の封管中、N−(4−(3−(2−クロロ−5−フルオロピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミン(1.27mg、2.43mmol)、tert−ブチルカーバメート(712mg、6.08mmol)、炭酸カリウム(10.1g、72.9mmol)および1,4−ジオキサン(12.2mL、2.43mmol)を加えた。次に、Pd(OAc)
2/キサントホス溶液を、注射器によって加えた。得られた混合物を、アルゴン下に高撹拌しながら、加熱して110℃とした。3.5時間後、LCMSでは、主として1.793分に[M+H]
+=602としての生成物と1.602分に[M+H]
+=502としての脱Boc生成物が示された。反応液を冷却して室温とし、DCMで希釈し、DCMおよび少量のMeOHを用いてセライト層およびシリカゲル(各厚さ1cm)を通過させた。濾液を濃縮して、tert−ブチル5−フルオロ−4−(2−(4−(4−フェニルフタラジン−1−イルアミノ)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルカーバメートを得て、それをそれ以上精製せずに用いた。MSC
34H
28FN
7O
3の計算値:[M]
+=601。実測値:[M+1]
+=602。
【0382】
段階3:N−(4−(3−(2−アミノ−5−フルオロピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミン
RBF中、tert−ブチル5−フルオロ−4−(2−(4−(4−フェニルフタラジン−1−イルアミノ)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルカーバメート(1.46g、2.43mmol)をDCM(4.86mL、2.43mmol)に溶かした。TFA(749μL、9.72mmol)を室温で加えた。反応液を室温で攪拌した。20分後、LCMSでは主として原料が示された。TFA1mLを加え、反応液を室温で終夜攪拌した。16時間後、反応液を濃縮し、残留物をDCMに溶かした。溶液を冷却して0℃とし、2N NaOHで中和した。pH=5−7で、生成物は白色固体として沈澱した。pH>7で、生成物はDCMに溶ける。沈澱をDCMを用いて濾過した。固体生成物をそのままにしておいて、濾液を濃縮した。残留物を少量のDCMで希釈した。水を加えた。エーテルを加え、溶液全体を磨砕して、追加の生成物を沈澱させた。固体をEt
2Oを用いて濾過した。この取得塊を第1の固体塊と合わせた。生成物を、70:30DCM:(90:10:1DCM:MeOH:NH
4OH)を用いる120gシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製した。生成物を含む分画を合わせ、濃縮してオフホワイト固体を得て、それをEt
2O中で磨砕した。得られた黄色固体を、Et
2Oを用いて濾過した、風乾した。固体を、酸性ギルソンでのRPLCでさらに精製した。生成物を含む分画のみを合わせ、DCMで希釈し、飽和NaHCO
3で洗浄した。有機層をMgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮して、N−(4−(3−(2−アミノ−5−フルオロピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−フェニルフタラジン−1−アミンを得た。MSC
29H
20FN
7Oの計算値:[M]
+=501。実測値:[M+1]
+=502。
【0383】
(実施例470)
【0384】
【化77】
3−((4−((3−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−2−ピリジニル)オキシ)フェニル)アミノ)−6−フェニル−4−ピリダジンカルボン酸メチルの合成
RBFに、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(5.4mg、44μmol)、3−(4−(3−(2−アミノピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニルアミノ)−6−フェニルピリダジン−4−カルボン酸(210mg、440μmol)、メタノール(53μL、1319μmol)およびDCM1.3mLを入れた。混合物を冷却して0℃とし、DCM(1.3mL)に溶かした1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(100mg、484μmol)を加えた。不均一混合物を昇温させて室温とし、4時間攪拌した。DMF1.3mLを加え、反応液を室温で72時間攪拌した。混合物をセライト層で濾過し、DCMで洗浄した。濾液をトルエンから2回濃縮して、過剰のDMFを除去した。粗取得物を、シリカゲルクロマトグラフィー、0−10%MeOH/dDCMによって精製した。逆相クロマトグラフィー、ギルソン、14分間かけての5−75%アセトニトリル/0.1%TFAによって、さらなる精製を行って、3−(4−(3−(2−アミノピリミジン−4−イル)ピリジン−2−イルオキシ)フェニルアミノ)−6−フェニルピリダジン−4−カルボン酸メチルを純粋に明黄色固体として得た。MSm/z=492[M+H]
+。C
27H
21N
7O
3の計算値:491.50。
【0385】
(実施例471)
3−クロロ−4−メトキシ−6−フェニルピリダジンの合成
3,4−ジクロロ−6−フェニルピリダジンを、□−オキソベンゼンブタン酸および1−(フェニルメチル)ヒドラジンから、シルカーの報告(Sircar, I. J. Hel. Chem. 1983, 20, 1473-1476)による手順に従って2段階で合成した。再封止可能な管中にて、3,4−ジクロロ−6−フェニルピリダジン(100mg50.44mmol)をナトリウムメトキシド(0.50Mメタノール溶液1.1mL、0.55mmol、1.25当量)およびメタノール(296μL、1.5M)と合わせ、加熱して65℃として1時間経過させた。メタノールを減圧下に溶媒留去し、残留物に水を加えた。混合物をDCMで抽出し、K
2CO
3で脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、3,4−ジメトキシ−6−フェニルピリダジンおよび3−メトキシ−4−クロロ−6−フェニルピリダジン(標題化合物)を固体として得た。
【0386】
(実施例472)
7−クロロ−4−フェニルフロ[3,2−d]ピリダジンの合成
段階1:N−tert−ブチルフラン−2−カルボキサミド
フラン−2−カルボン酸(10.0g、89mmol)のDCM(100mL)中スラリーに0℃で窒素下にて、DMF(0.069mL、0.89mmol)およびオキサリルクロライド(9.9mL、112mmol)を、5分間かけて少量ずつゆっくり加えた。反応液を昇温させて室温とした。3時間後、透明溶液を減圧下に濃縮し、得られた油状物をTHF75mL溶かし、冷却して0℃とした。tert−ブチルアミン(28mL、268mmol)のTHF(25mL)溶液を1時間かけて滴下した。浴の電源を切ったままとし、スラリーを週末にかけて攪拌した。反応液を減圧下に濃縮し、1N NaOHとDCMとの間で分配した。水層をDCMで2回抽出した。合わせた有機層を減圧下に濃縮して、N−tert−ブチルフラン−2−カルボキサミドを白色固体として得た。MSm/z=168[M+H]
+。C
9H
13NO
2の計算値:167.2。
【0387】
段階2:3−ベンゾイル−N−tert−ブチルフラン−2−カルボキサミド
N−tert−ブチルフラン−2−カルボキサミド(1.8mL、12mmol)のDME(100mL)溶液をアルゴン下に−78℃で攪拌しながら、それにtert−ブチルリチウム、1.7Mペンタン溶液(14mL、24mmol)を5分間かけてゆっくり滴下した。不均一反応混合物を1時間攪拌し、その時点でN−tert−ブチルフラン−2−カルボキサミド(1.8mL、12mmol)のDME(10mL)溶液を5分間かけて滴下した。15分後、浴を外し、反応液を昇温させて室温とした。飽和塩化アンモニウム水溶液、水およびEtOAcを加えることで反応停止した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。取得物を、シリカゲルクロマトグラフィー、ISCO、80g、33分かけて0−40%EtOAc/ヘキサンによって精製して半固体を得た。この取得物をヘキサンで3回磨砕して、3−ベンゾイル−N−tert−ブチルフラン−2−カルボキサミドを白色結晶として得た。MSm/z−272[M+H]
+。C
16H
17NO
3の計算値:271.3。
【0388】
段階3:3−ベンゾイルフラン−2−カルボン酸
3−ベンゾイル−N−tert−ブチルフラン−2−カルボキサミド(.863g、3.18mmol)のジオキサン(4mL)および水(3mL)中スラリーに、硫酸(1.02mL、19.1mmol)を加えた。混合物を密閉し、加熱して120℃として合計で48時間経過させた。追加の3.0当量のH
2SO
4を加え、反応液を8時間加熱した。反応液を冷却し、水とDCMとの間で分配した。水層をDCMで抽出し(4回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、3−ベンゾイルフラン−2−カルボン酸を褐色半固体として得た。この取得物をそれ以上精製せずに次に用いた。MSm/z=217[M+H]
+。C
12H
8O
4の計算値:216.2。
【0389】
段階4:4−フェニルフロ[3,2−d]ピリダジン−7−オール
3−ベンゾイルフラン−2−カルボン酸(.770g、3.56mmol)および脱水ヒドラジン(0.568mL、17.8mmol)の褐色溶液を、封管中100℃で約72時間加熱した。反応液を冷却し、飽和NH
4Cl水溶液およびEtOAcで希釈した。有機層を飽和NH
4Cl水溶液およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、4−フェニルフロ[3,2−d]ピリダジン−7−オールを得て、それをそれ以上精製せずに用いた。MSm/z=213[M+H]
+。C
12H
8N
2O
2の計算値:212.2。
【0390】
段階5:クロロ−4−フェニルフロ[3,2−d]ピリダジン
4−フェニルフロ[3,2−d]ピリダジン−7−オール(.327g、1.5mmol)およびピリジン(0.38mL、4.6mmol)のPOCl
3(5mL)中スラリーを、乾燥管を取り付けた水冷還流冷却器を用いて加熱して130℃として3時間経過させた。褐色溶液を冷却したところ、反応はLCMSによって完了したと判断された。反応液を、攪拌しながら氷に投入した。溶液を6N NaOHで中和し、氷で温度を制御した。得られた混合物をDCMに抽出した(3回)。合わせた有機抽出液を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。固体をDCM/MeOHからシリカゲル2gに吸着させ、乾燥させた。取得物を、0−20%EtOAc/DCMで溶離を行うシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、7−クロロ−4−フェニルフロ[3,2−d]ピリダジンをオフホワイト固体として得た。MSm/z=231[M+H]
+。C
12H
7ClN
2Oの計算値:230.7。
【0391】
(実施例473)
【0392】
【化78】
N1−(4−フェニルフタラジン−1−イル)ベンゼン−1,4−ジアミンの合成
ベンゼン−1,4−ジアミン(0.337g、3.12mmol)および1−クロロ−4−フェニルフタラジン(0.500g、2.08mmol)を封管中にて2−BuOH7.5mLで処理し、110℃加熱してとした。反応液は直ちに固体の黄色塊となった。数時間後、反応液を冷却し、水で希釈した。スラリーをDCMと1N NaOHとの間で分配した。水層をDCMに抽出した(2回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。取得物を、シリカゲルクロマトグラフィー、ISCO、40g、0−10%MeOH/MCによって精製して、N1−(4−フェニルフタラジン−1−イル)ベンゼン−1,4−ジアミンを橙赤色−褐色固体として得た。MSm/z=313[M+H]
+。C
20H
16N
4の計算値:312.4。
【0393】
(実施例474)
4−(3−ブロモピリジン−2−イルオキシ)ベンゼンアミンの合成
3−ブロモ−2−クロロピリジン(10.3g、53.4mmol)、4−アミノフェノール(7.00g、64.1mmol)、炭酸セシウム(34.8g、107mmol)およびDMSO(53mL、53.4mmol)を圧力管に入れた。管にキャップを施し、130℃に予熱しておいた油浴に入れた。16時間後、反応混合物を攪拌し、氷水で冷却した。水を混合物にゆっくり加えたところ、生成物が灰色固体として沈澱した。固体を水で洗浄し、室温で真空乾燥して、4−(3−ブロモピリジン−2−イルオキシ)ベンゼンアミンを得た。MSC
11H
9BrN
2Oの計算値:[M]
+=26。実測値:[M+H]
+=265。
【0394】
(実施例475)
【0395】
【化79】
4−(3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−イルオキシ)ベンゼンアミンの合成
封管に、4−(3−ブロモピリジン−2−イルオキシ)ベンゼンアミン(5.38g、20.0mmol)、1,4−ジオキサン(101mL、20.0mmol)および酢酸カリウム(6.00g、61.0mmol)を加えた。管をアルゴンでパージした。次に、PdCl
2(DPPF)(0.700g、1.00mmol)および4,4,5,5−テトラメチル−2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,3,2−ジオキサボロラン(13.0g、53.0mmol)を加えた。反応混合物を、深褐色溶液が生成するまで室温で0.5時間攪拌した。反応管を85℃に予熱しておいた油浴に入れた。18時間後、反応液を冷却して室温とし、EtOAcを用いてセライト層を通過させて、黒色不純物を除去した。濾液を濃縮して、褐色油状物を得た。油状物を週末にかけて減圧下に置いたところ、4−(3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−イルオキシ)ベンゼンアミンの固体となった。MSの計算値C
17H
21BN
2O
3:[M]
+=312。実測値:[M+H]
+=313。
【0396】
(実施例476)
【0397】
【化80】
1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンの合成
WO2003082289A1に記載の手順に従って、標題化合物を製造した。1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(10.0g、84.6mmol)のEtOAc(846mL、84.6mmol)溶液を冷却して0℃とした。その冷溶液に、mCPBA(103mmol、23.1g、77%純度)のEtOAc(53mL)溶液を1.5時間かけて加えた。追加のEtOAc100mLを加えて反応液を希釈した。追加量のEtOAc(25mL)によって、残ったmCPBAを洗浄して、反応混合物に入れた。多くの固体が溶液から析出した。得られた溶液を昇温させて室温とし、室温で3時間攪拌した。反応混合物を冷却して0℃とし、得られたスラリーを濾過して、N−オキサイドをメタ−クロロ安息香酸塩として回収した。固体を追加のEtOAcで洗浄し、真空乾燥した。生成物であるmCBAの1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン1−オキサイド塩を明黄色固体として得た。重水素化MeOH中での
1H NMRでは、N−オキサイドのmCBA塩が支配的であることが示された。
【0398】
mCBA塩を塩基水溶液で処理してN−オキサイドを遊離させた。N−オキサイドのmCBA塩(35.5g、265mmol)の脱イオン水(149mL)中スラリーを15℃で、30重量%の炭酸カリウム(11.0g、79.4mmol)を含む十分な量の水溶液で処理して、スラリーのpHを9.5から10.5に上げた。温度を15℃から室温に2時間維持ながら、追加の水(74mL)を混合物に加えた。スラリーを冷却して0℃として5時間経過させ、濾過して沈澱を回収した。沈澱を水で洗浄し、乾燥させて、白色のN−オキサイド生成物である1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン1−オキサイドを得た。
1H NMR(ブルカー、400MHz、CD
3OD)□:8.23(d、J=6.3Hz、1H)、7.94(d、J=8.1Hz、1H)、7.52(d、J=3.3Hz、1H)、7.22(m、1H)、6.71(d、J=3.3Hz、1H)。
【0399】
(実施例477)
【0400】
【化81】
4−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンの合成
WO2003082289A1に記載の手順に従って、標題化合物を製造した。アザインドールN−オキサイド(6.82g、51.0mmol)のDMF(36.0mL、470mmol)溶液を加熱して50℃とした。メタンスルホニルクロライド(11.0mL、137mmol)を、反応温度が65から75℃に維持されるような速度で加熱溶液に加えた。得られた混合物を、反応がRPLCによって完了していると判断されるまで68−77℃で加熱した。総反応時間は4時間であった。反応液を冷却して室温とし、水(10mL)で反応停止した。混合物を冷却して5℃とした。10N NaOH溶液を加えて溶液のpHを7まで上昇させた。得られたスラリーを昇温させて室温とし、1時間攪拌し、濾過して生成物を回収した。生成物を追加の水で洗浄し、真空乾燥した。赤茶色固体の4−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンを回収した。
1H NMR(ブルカー、400MHz、DMSO−d
6)12.0(brs、1H)、8.19(d、J=5.4Hz、1H)、7.60(t、J=3.0Hz、1H)、7.20(d、J=5.0Hz、1H)、6.52(d、J=3.0Hz、1H)。
【0401】
(実施例478)
【0402】
【化82】
4−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの合成
4−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(3.00g、19.7mmol)、N,N−ジメチルピリジン−4−アミン(1.20g、9.83mmol)、ジクロロメタン(67.8mL、19.7mmol)の溶液に、ジ−tert−ブチルジカーボネート(4.72g、21.6mmol)を加えた。得られた混合物を室温で窒素下に攪拌した。18時間後、反応混合物をCH
2Cl
2で希釈し、飽和重炭酸ナトリウムで洗浄し、ブラインで洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、濃縮した。90:10ヘキサン:EtOAcを用いるシリカゲルでのISCOカラムクロマトグラフィーを行って、生成物を無色油状物として得た。油状物を真空乾燥機に終夜入れて、EtOAcを除去した。白色固体の4−クロロ−1H−ピロロ[2,3−δ]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルが減圧下にゆっくり生成した。MSC
12H
13ClN
2O
2の計算値:[M]
+=252。実測値:[2M+Na]
+=527。
【0403】
(実施例479)
【0404】
【化83】
3,3−ジブロモ−4−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2(3H)−オンの合成
WO2001046196A1に記載の手順に従って、標題化合物を製造した。4−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(2.00g、13.1mmol)のt−BuOΗ(131mL、13.1mmol)懸濁液を攪拌しながら、それに三臭化ピリジニウム(14.1g、44.2mmol)を少量ずつ加えた。溶液を室温で2時間攪拌した。3時間後、LCMSでは、生成物とモノ臭素化生成物が示された。三臭化ピリジニウム5.00gを加えた。1.5時間後、LCMSでは主として生成物と過剰の三臭化ピリジニウムが示された。さらに0.5時間後、水を加え、全ての固体が溶解するまで、全体をEtOAcで希釈した。生成物をEtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。粗生成物をヘキサンで磨砕することで、橙赤色固体を得た。
1H NMRで、生成物の3,3−ジブロモ−4−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2(3H)−オン(4.07g、収率95%)が確認された。生成物はDCMおよびCHCl
3には不溶であった。MSC
7H
3Br
2ClN
2Oの計算値:[M]
+=324。実測値:[M+H]
+=325、[M+3H]
+=327。
【0405】
(実施例480)
【0406】
【化84】
4−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2(3H)−オンの合成
WO2001046196A1に記載の手順に従って、標題化合物を製造した。3,3−ジブロモ−4−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2(3H)−オン(4.07g、12.5mmol)、亜鉛末(8.15g、125mmol)、AcOH(54.2mL、12.5mmol)およびMeOH(54.2mL、12.5mmol)の混合物を室温で攪拌した。3時間後、反応混合物を、EtOAcを用いてセライト層を通過させた。濾液をブラインで希釈した。全体をEtOAcで抽出した。有機層をさらにブラインで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。生成物を、70:30DCM:(90:10:1DCM:MeOH:NH
4OH)を用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製した。生成物を含む分画を濃縮した。白色の綿状固体である4−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2(3H)−オンを得た。MSC
7H
5ClN
2Oの計算値:[M]
+=168。実測値:[M+H]
+=169。
【0407】
(実施例481)
【0408】
【化85】
6−(3−ブロモピリジン−2−イルオキシ)ピリジン−3−アミンの合成
3−ブロモ−2−クロロピリジン(7.27g、37.8mmol)、5−アミノピリジン−2−オール(4.99g、45.3mmol)、粉砕したばかりの炭酸セシウム(36.9g、113mmol)およびDMSO(37.8mL、37.8mmol)を、攪拌バーを入れたガラス製丸底圧力容器に入れた。容器を密閉し、130℃に予熱しておいた油浴に入れた。18時間後、反応液をEtOAcで希釈し(250mLで4回)、溶液全体を超音波処理した。固体を沈降させた後、上層の溶液をセライト層およびシリカゲル(各層は1cm)を通して傾斜法で取った。この手順を、フラスコに残った塩残留物について繰り返して、生成物およびDMSOを塩から取り出した。濾液を濃縮して油状物を得て、それには生成物およびDMSOが含まれていた。生成物をEtOAc(300mLで3回)およびDCM(100mLで1回)で抽出した。EtOAcおよびDCM層を別個に最小量のブラインで洗浄した。有機相を別個に最小量のMgSO
4で脱水した。MgSO
4を濾去し、濾液を合わせ、濃縮した。湿った明緑色固体を得た。固体をヘキサンで磨砕した。固体を濾過し、回収し、真空乾燥した。生成物である6−(3−ブロモピリジン−2−イルオキシ)ピリジン−3−アミンを黄褐色固体として回収した。濾液から第2のバッチを得た。濾液を濃縮して、油状物を得た。油状物を、90:10DCM:(90:10:1DCM:MeOH:NH
4OH)を用いるISCOカラムクロマトグラフィーによって精製した。明黄色固体を得て、真空乾燥し、サンプルIDを得た。濡れた緑色固体を得て、真空乾燥した。MSC
10H
8BrN
3Oの計算値:[M]
+=265。実測値[M+1]
+=266。
【0409】
(実施例482)
【0410】
【化86】
tert−ブチル4−クロロピコリニル(メチル)カーバメートの合成
文献(Marino, J. P.; Rubio, M. B.; Cao, G.; de Dios, A. J, Am. Chem. Soc. 2002, 124, 13398. (b) Diaz, D. D.; Finn, M. G. Og. Lett. 2004, 6, 43. (c) Padwa, A.; Brodney, M. A.; Lynch, S. M.; Rashatasakhon, P.; Wang, Q.; Zhang, H. J. Og. Chem. 2004, 69, 3735)に記載の手順に従って、標題化合物を製造した。4−クロロ−N−メチルピコリンアミド(1.00g、5.86mmol)のTHF(11.7mL、5.86mmol)溶液を冷却して−78℃とした。次にn−BuLi(2345μL、5862μmol)のTHF溶液を−78℃で滴下した。粘稠黄色懸濁液が5分以内に生成した。懸濁液を−78℃で30分間攪拌し、昇温させて0℃とし、この温度で10分間攪拌し、再度冷却して−78℃とした。ジ−tert−ブチルジカーボネート(2.30mg、10.6mmol)のTHF(5mL)溶液を滴下した。反応液を−78℃で0.5時間、0℃で20分間攪拌し、昇温させて室温として10分経過させた。LCMSでは、2.231分に[M]
+、[M+Na]
+、[2M+Na]
+からなる生成物と1.631分に原料が1:3の比率で示された。20分後、LCMSでは、より多くの生成物が生成していることが示された。反応液を室温で2日間攪拌した。2日後、LCMSで、1:1生成物:原料が示された。反応を停止させた。全体をEtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。生成物を、80:20ヘキサン:EtOAcを用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーを行うことで精製した。
1H NMRは主として生成物を示した。生成物であるtert−ブチル4−クロロピコリニル(メチル)カーバメート(849mg、収率54%)を、明黄色固体として回収した。MSC
12H
15ClN
2O
3の計算値:[M]
+=270。実測値:[2M+Na]
+=563。
【0411】
(実施例483)
【0412】
【化87】
3−(3−クロロプロピル)−2−フルオロ−4−ヨードピリジンの合成
2−フルオロ−3−ヨードピリジン(186mg、834μmol)のテトラヒドロフラン(4171μL、834μmol)溶液を−78℃とし、それに2M LDA(500μL、1.00mol)のヘプタン/THF溶液を−78℃で加えた。−78℃で1時間後、1−クロロ−3−ヨードプロパン(512mg、2.50mmol)のTHF(0.5mL)溶液を、前記アニオン溶液に−78℃でゆっくり加えた。−78℃で30分後、反応液を昇温させて室温とし、終夜攪拌した。反応液をDCMで希釈し、ブラインで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残留物を、95:5ヘキサン:EtOAcを用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーを行うことで精製した。生成物を含む分画を濃縮した。
1H NMRは、生成物である3−(3−クロロプロピル)−2−フルオロ−4−ヨードピリジンを示した。明黄色液体/固体混合物を回収した。MSC
8H
8ClFINの計算値:[M]
+=299。実測値:[M+H]
+=300。HRMSC
8H
8ClFINの計算値:[M]
+=298.9447。実測値:[M+H]
+=299.9752。融点=24−25℃。
【0413】
(実施例484)
【0414】
【化88】
5−ヨード−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジンの合成
3−(3−クロロプロピル)−2−フルオロ−4−ヨードピリジン(3.31g、11mmol)、水酸化アンモニウム(71mL、20mL、553mmol、28.0−30.0%)、酢酸アンモニウム(12g、155mmol)、ヨウ化カリウム(3.9g、23mmol)、炭酸カリウム(7.6g、55mmol)およびDMF(22mL、11mmol)を封管に入れた。管を密閉し、60℃の油浴に入れた。7時間後、反応液を冷却した。無色結晶が生成した。反応液をEtOAcで希釈した。有機層をEtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。生成物を、ヘキサンおよび70:30ヘキサン:EtOAcを用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製した。懸濁液を得た。この懸濁液をDCMで希釈し、水で洗浄してDMFを除去し、ブラインで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。オフホワイト固体を得た。
1H NMRでは、主として生成物である5−ヨード−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジンが示された。この取得物を次の段階で用いた。
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ7.46(d、J=5.3Hz、1H)、7.01(d、J=5.3Hz、1H)、4.90(brs、1H)、3.39。融点=117−118℃。
【0415】
(実施例485)
【0416】
【化89】
tert−ブチル2−(2−フルオロ−4−ヨードピリジン−3−イル)エチルカーバメートの合成
2−フルオロ−3−ヨードピリジン(7.61g、34.1mmol)のテトラヒドロフラン(171mL、34.1mmol)溶液を−78℃とし、それに2M LDA(20.5mL、41.0mmol)のヘプタン/THF溶液を−78℃で加えた。−78℃で1時間20分後、スルファミデート(9.90g、44.4mmol)のTHF(80mL)溶液を、前記アニオン溶液に−78℃で10分間かけてゆっくり加えた。30分後、反応液を昇温させて室温とし、反応液を終夜攪拌した。溶媒を留去し、残留物を水70mLで希釈し、pH=1となるまで6N HClで処理した。1.5時間後、少量サンプルを除去し、EtOAcで希釈し、飽和NaHCO
3で中和した。有機層のLCMSで、[M+H]
+=367として2.250分にtert−ブチル2−(2−フルオロ−4−ヨードピリジン−3−イル)エチルカーバメートが示された。2時間後、反応液を冷却して0℃とし、DCM 100mLを加え、全体を飽和NaHCO
3および固体NaHCO
3でゆっくり中和してpH=7とした。生成物をDCMで抽出した(100mLで3回)。有機層をブラインで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残留物を、80:20ヘキサン:EtOAcを用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して生成物を回収した。粘稠黄色油状物は明黄褐色固体となった。
1H NMRでは、主として生成物であるtert−ブチル2−(2−フルオロ−4−ヨードピリジン−3−イル)エチルカーバメートが示された。MSC
12H
16FIN
2O
2の計算値:[M]
+=366。実測値:[M+H]
+=367。HRMSC
12H
16FIN
2O
2の計算値:[M]
+=366.0313。実測値:[M+H]
+=367.0324。
【0417】
(実施例486)
【0418】
【化90】
2−(2−フルオロ−4−ヨードピリジン−3−イル)エタンアミンの合成
TFA(0.677mL、8.79mmol)を、tert−ブチル2−(2−フルオロ−4−ヨードピリジン−3−イル)エチルカーバメート(1.61g、4.40mmol)のDCM(6.28mL、4.40mmol)溶液に加えた。4時間後、LCMSで主として原料が示された。TFA1mLを加えた。16時間後、反応液をDCMで希釈し、飽和NaHCO
3で中和した。生成物をDCMで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濃縮してクリーム色の固体である2−(2−フルオロ−4−ヨードピリジン−3−イル)エタンアミンを得た。MSC
7H
8FIN
2の計算値:[M]
+=266。実測値:[M+H]
+=267。HRMSC
7H
8FIN
2の計算値:[M+H]
+=266.9789。実測値:[M+H]
+=266.9802。
【0419】
(実施例487)
【0420】
【化91】
4−ヨード−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンの合成
2−(2−フルオロ−4−ヨードピリジン−3−イル)エタンアミン(666mg、2503μmol)、炭酸カリウム(727mg、5.26mmol)およびDMF(5.00mL、2.50mmol)を封管に入れた。管を密閉し、60℃とした油浴に入れた。23時間後、反応液をDCMで希釈し、ブラインで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残留物をDCM50mLに溶かし、水で洗浄して(30mLで3回)、DMFを除去した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。暗橙赤色固体(半液体)を得た。
1H NMRは主として所望の環化生成物である4−ヨード−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンを示した。MSC
7H
7IN
2の計算値:[M]
+=246。実測値:[M+H]
+=247。
【0421】
(実施例488)
【0422】
【化92】
2−(4−(4−フェニルフタラジン−1−イルアミノ)フェノキシ)ピリジン−3−イルボロン酸の合成
2−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−3−イルボロン酸(478mg、2.08mmol)、1−クロロ−4−フェニルフタラジン(500mg、2.08mmol)およびブタン−2−オール(4.16mL、2.08mmol)を封管に入れた。反応容器を密閉し、混合物を加熱して100℃とした。1時間45分後、反応液を冷却して室温とした。ヘキサンを加え、沈澱した黄褐色固体をヘキサンで濾過した。固体のLCMSでは、生成物である2−(4−(4−フェニルフタラジン−1−イルアミノ)フェノキシ)ピリジン−3−イルボロン酸が示された。MSC
25H
19BN
4Oの計算値:[M]
+=434。実測値:[M+1]
+=435。
【0423】
(実施例489)
【0424】
【化93】
3−クロロ−4−エチル−6−フェニルピリダジンの合成
RBFに、窒素下にて3−クロロ−4−メチル−6−フェニルピリダジン(5.0g、24mmol)およびTHF120mLを入れ、溶液を冷却して−78℃とした。リチウムジイソプロピルアミド、2.0Mヘキサン/THF/エチルベンゼン溶液(15mL、29mmol)を加え、混合物を−78℃で5分間、次に室温で1時間攪拌した。混合物を冷却して−78℃とし、使用前に塩基性アルミナ層に通過させておいたヨウ化メチル(1.8mL、29mmol)を滴下した。−78℃で5分間攪拌後、反応液を室温で0.5時間攪拌した。水を加えて反応停止し、混合物を濃縮し、ジクロロメタンと水との間で分配した。層を分離し、水層部分を追加のDCMで抽出した。合わせた有機層をMgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。粗取得物を、シリカゲルクロマトグラフィー(100%DCMから95/5DCM/MeOH)によって精製して、3−クロロ−4−エチル−6−フェニルピリダジンを黄褐色固体として得た。MSm/z=219[M+H]
+。C
12H
11ClN
2の計算値:218.68。
【0425】
(実施例490)
【0426】
【化94】
4−エチル−N−(4−メトキシフェニル)−6−フェニルピリダジン−3−アミンの合成
圧力瓶に、3−クロロ−4−エチル−6−フェニルピリダジン(1.00g、4.57mmol)、1,4−アニシジン(0.526mL、4.57mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.105g、0.114mmol)、S−Phos(0.188g、0.457mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(0.615g、6.40mmol)およびトルエン13.8mLを入れた。瓶を密閉し、反応混合物を100℃で1時間加熱した。冷却してから、混合物をDCMで希釈し、水で洗浄した。有機部分をMgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。粗取得物を、5%MeOH/DCMを用いるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、4−エチル−N−(4−メトキシフェニル)−6−フェニルピリダジン−3−アミンを黄褐色固体として得た。MSm/z=306[M+H]
+。C
19H
19N
3Oの計算値:305.37。
【0427】
(実施例491)
【0428】
【化95】
4−(4−エチル−6−フェニルピリダジン−3−イルアミノ)フェノールの合成
RBFに、1:1AcOH:HBr 13.9mLおよび4−エチル−N−(4−メトキシフェニル)−6−フェニルピリダジン−3−アミン(1.27g、4.16mmol)を入れた。フラスコに還流冷却器を取り付け、140℃で4時間加熱した。冷却後、反応混合物を氷水に投入し、2M Na
2CO
3水溶液を注意深く加えることで中性pHとした。得られた沈澱を濾過し、水で洗浄し、真空乾燥して、4−(4−エチル−6−フェニルピリダジン−3−イルアミノ)フェノールを黄褐色固体として得た。MSm/z=292[M+H]
+。C
18H
17N
3Oの計算値:291.35。
【0429】
(実施例492)
【0430】
【化96】
3−クロロ−6−フェニルピリダジン−4−カルボン酸の合成
250mLRBFに、脱水THF56mLを入れ、冷却して−78℃とし、窒素雰囲気下に維持した。ブチルリチウム(2.5M、5770μL、14426μmol)を加え、次に2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(2656μL、15737μmol)を加えた。混合物を昇温させて0℃とし、その温度で0.5時間攪拌し、再度冷却して−78℃とした。3−クロロ−6−フェニルピリダジン(2.5g、13114μmol)を、別のポット中にて、温THF(約20mL)に溶かし、注射器で少量ずつ加えることで沈澱を回避した。添加すると、混合物は暗赤色となり、−78℃で0.5時間攪拌した。乾燥管を取り付けた別のポットに二酸化炭素を入れ、添加管を介して反応混合物に連結した。二酸化炭素(ガス)への曝露後に、反応混合物を−78℃で10分間攪拌した。25%濃HCl/THF 25mLを加えることで反応停止し、昇温させて室温とした。混合物をDCMで希釈し、水で洗浄した。有機部分を1M NaHCO
3で2回洗浄した。水層部分を濃HClで注意深く酸性としたところ、その時点で生成物が沈澱した。固体を濾過し、水で洗浄し、乾燥させて、3−クロロ−6−フェニルピリダジン−4−カルボン酸を得た。MSm/z=235[M+H]
+。C
11H
7ClN
2O
2の計算値:234.64。
【0431】
本発明はさらに、式I−IIIの化合物の製造方法を提供する。例えば、そして1実施形態において、下記式Aの化合物:
【0432】
【化97】
を下記式Bの化合物:
【0433】
【化98】
【0434】
(式Aの化合物のC
1、C
2、D、L
1、ZおよびR
3−4ならびに式Bの化合物のA
1、A
2およびR
6−8は本明細書で定義の通りであり、Xはハロゲンである。)と反応させて式Iの化合物を製造する段階を有する、式Iの化合物の製造方法が提供される。この方法を用いて、式IIおよびIIIの化合物を製造することも可能である。
【0435】
上記の実施例は式I−IIIの化合物の合成方法を提供するものであるが、そのような化合物を製造するのに他の方法を利用することも可能である。本明細書に記載の手順では、段階を別の順序で行うことができ、必要に応じて追加の保護/脱保護段階を先行させたり、後で行うことができる。
【0436】
保護基の使用が関与する方法を用いることができる。特に、例えばカルボキシ、ヒドロキシ、アミノもしくはメルカプト基などの1以上の官能基があるか、本発明の化合物を製造する上で保護する必要がある場合、それらが特定の反応もしくは化学的変換に関与しないようにするため、各種公知の従来の保護基を用いることができる。例えば、複数の反応性中心、キラル中心および反応試薬および/または条件に感受性である可能性がある他の部位を有するペプチド、核酸、それらの誘導体および糖類などの天然および合成化合物の合成で通常利用される保護基を用いることができる。
【0437】
保護基は前駆体にすでに存在することができ、アシル化、エーテル化、エステル化、酸化、溶媒分解および同様の反応などの望ましくない副反応に対して関与する官能基を保護するものでなければならない。容易に、すなわち望ましくない副反応を起こすことなく、代表的には溶媒分解、還元、光分解または生理的条件に類似の条件下での酵素活性などにによる他の脱離方法によって行われる脱離を受けることが保護基の特徴である。やはり理解すべき点として、保護基は最終生成物に存在してはならない。当業者であれば、どの保護基が本明細書に記載の反応において好適であるかは明らかであるか、容易に確認することができる。
【0438】
保護基による官能基の保護、保護基自体およびそれらの脱離反応(一般には「脱保護」と称される。)については、標準的な参考文献に記載がある(例:J. F. W. McOmie, Protective Groups in Organic Chemistry, Plenum Press, London and New York (1973), in T. W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley, New York (1981), in The Peptides, Volume 3, E. Gross and J. Meienhofer editors, Academic Press, London and New York (1981), in Methoden der organischen Chemie (Methods of organic chemistry), Houben Weyl, 4
th edition, Volume 15/1, Georg Thieme Verlag, Stuttgart (1974), in H.-D. Jakubke and H. Jescheit, Aminosauren, Peptide, Proteine (Amino Acids, Peptides, Proteins), Verlag Chemie, Weinheim, Deerfield Beach, and Basel (1982), and in Jochen Lehmann, Chemie der Kohlenhydrate: Monosaccharide und Derivate (Chemistry of Carbohydrates: Monosaccharides and Derivatives), Georg Thieme Verlag, Stuttgart (1974))。
【0439】
それらの手順ではさらに、不活性溶媒、塩基(例:LDA、DIEA、ピリジン、K
2CO
3など)、触媒および上記のものの塩型などの追加の試薬を含めた適切な反応条件を用いることができる。中間体は、単離することができるか、または精製してもしくは精製せずにインサイツで行うことができる。精製方法は当業界で公知であり、例えば、結晶化、クロマトグラフィー(液相および気相など)、抽出、蒸留、磨砕、逆相HPLCなどがあるが、それらの多くは上記実施例で利用したものである。温度、期間、圧力および雰囲気(不活性ガス、周囲)などの反応条件は、当業界では公知であり、反応に応じて適宜に調節することができる。
【0440】
本明細書に記載のいずれの合成手順も、溶媒もしくは希釈剤の非存在下または存在下(通常の場合)に行うことができる。当業者には明らかなように、溶媒は原料および使用される他の試薬に関して不活性であるべきであり、同様にそれらを溶解できるものでなければならない。溶媒は、触媒、縮合剤もしくは中和剤、例えばイオン交換剤、代表的には例えばH
+型でのカチオン交換剤の非存在下もしくは存在下に反応物を部分的もしくは完全に溶解させることができるものでなければならない。溶媒が反応の進行もしくは速度を可能としたり、ないしはそれらに影響を与える能力は、溶媒の種類および特性、温度、圧力、周囲条件(例えば、アルゴン下もしくは窒素下の不活性雰囲気など)および濃度などの反応条件、そして反応物自体の種類および特性によって決まる。
【0441】
本発明の化合物を合成する反応を実行する上で好適な溶媒には、水;低級アルカン酸低級アルキル(例:EtOAc)などのエステル類;脂肪族エーテル(例:Et
2Oおよびエチレングリコールジメチルエーテル)もしくは環状エーテル(例:THF)などのエーテル類;ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの液体芳香族炭化水素;MeOH、EtOH、1−プロパノール、IPOH、n−およびt−ブタノールなどのアルコール類;CH
3CNなどのニトリル類;CH
2Cl
2、CHCl
3およびCCl
4などのハロゲン化炭化水素;DMFなどの酸アミド類;DMSOなどのスルホキシド類;複素環窒素塩基(例:ピリジン)などの塩基類;低級アルカンカルボキシ類(例:AcOH)などのカルボキシ酸類;HCl、HBr、HF、H
2SO
4などの無機酸類;低級アルカン酸無水物(例:無水酢酸)などのカルボン酸無水物;シクロヘキサン、ヘキサン、ペンタン、イソペンタンなどの環状、直鎖もしくは分岐の炭化水素;ならびに純粋に有機の組み合わせ溶媒または水溶液などの含水組み合わせ溶媒などのこれら溶媒の混合物などがあるが、これらに限定されるものではない。これらの溶媒および溶媒混合物は、反応の「後処理」ならびに反応液の処理および/またはクロマトグラフィーでの場合のように反応生成物の単離で用いることもできる。
【0442】
本発明はさらに、式I、IIおよびIIIの化合物の塩型をも含む。塩形成性基を有する本発明の化合物の塩を、従来法または当業者に公知の方法で製造することができる。例えば、酸または好適なアニオン交換試薬で処理することで、本発明の化合物の酸付加塩を得ることができる。2個の酸分子を有する塩(例えば、ジハロゲニド)を、化合物当たり1個の酸分子を有する塩(例えば、モノハロゲニド)に変換することもできる。それは、加熱または溶融によって、または例えば高温、例えば50℃−170℃で高真空下にて固体として加熱することで行うことができ、化合物1分子当たり、酸1分子が放出される。
【0443】
通常は、例えば好適な塩基性薬剤、例えば炭酸アルカリ金属、炭酸水素アルカリ金属または水酸化アルカリ金属、代表的には炭酸カリウムまたは水酸化ナトリウムで塩を処理することで、酸塩を遊離の塩基化合物に変換することができる。好適な酸および塩基付加塩についてはさらに、本明細書の定義のセクションに記載されている。
【0444】
本発明はさらに、式I、IIおよびIIIの化合物のプロドラッグも包含する。例えば、リン酸基はアルコール基またはアミン基のプロドラッグ誘導体であることができ、エステルはカルボン酸官能基のプロドラッグであることができる。リン酸基の製造については、本明細書における実施例476を参照する。所望の式I、IIおよびIIIの化合物にリン酸基を組み込んで、その化合物のイン・ビトロでの生物学的利用能および/または他の薬物動態特性もしくは薬力学特性を改善することができる。
【0445】
本発明はさらに、最終的に所望の化合物を得る前に、単離または未単離のいずれかで、記載の合成手順から製造される構造を含む「中間体」化合物をも包含する。過渡的な原料から段階を実行することで得られる構造、いずれかの段階での記載の方法からの逸脱によって得られる構造、ならびに反応条件下で原料を形成する構造はいずれも、本発明に含まれる「中間体」である。さらに、反応性の誘導体もしくは塩の形での原料を用いることで製造される構造および本発明による方法によって得ることができる化合物によって製造される構造、ならびにインサイツで本発明の化合物を処理することで得られる構造も、本発明の範囲に包含される。
【0446】
本発明の原料は、公知であるか、市販されているか、または当業界で公知の方法と同様にして、またはその方法に従って合成することができる。多くの原料が公知の方法に従って製造可能であり、特には、実施例に記載の方法を用いて製造することができる。原料の合成においては、必要な場合には、官能基を好適な保護基で保護することができる。保護基、それらの導入および脱離については、上記で説明している。
【0447】
本発明の化合物は通常、1以上の不斉炭素原子を有する場合があることから、光学異性体の形ならびにそれらのラセミ混合物もしくは非ラセミ混合物の形で存在し得る。光学異性体は、例えばジアステレオマー塩の形成、光学活性な酸もしくは塩基による処理などの従来の方法に従ったラセミ混合物の分割によって得ることができる。適切な酸の例には、酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸およびカンファースルホン酸があり、次にジアステレオマーの混合物を結晶化によって分離し、次にその塩から光学活性塩基を遊離させる。光学異性体の異なる分離方法では、エナンチオマーの分離を最大とするよう至適に選択されるキラルクロマトグラフィーカラムを使用する。さらに別の利用可能な方法では、活性化型の光学的に純粋な酸または光学的に純粋なイソシアネートなどのキラル試薬と本発明の化合物の反応による共役ジアステレオマー異性体分子の合成を行う。合成されたジアステレオマーを、クロマトグラフィー、蒸留、結晶化または昇華などの従来の手段によって分離し、加水分解してエナンチオマー的に純粋な化合物を得ることができる。光学活性な本発明の化合物も同様に、光学活性な原料を用いて得ることができる。その異性体は、遊離酸、遊離塩基、エステルまたは塩の形であることができる。
【0448】
本発明の化合物は、複数の互変位形で表される場合もある。本発明は明らかに、本明細書に記載の化合物の全ての互変異形を包含するものである。
【0449】
これらの化合物は、シス−もしくはトランス−またはEもしくはZ−二重結合異性体で得られる場合もある。そのような化合物のそのような異性体形はいずれも、明らかに本発明に包含される。本明細書に記載の化合物の全ての結晶形が、明らかに本発明に包含される。
【0450】
環部分における置換基(例:フェニル、チエニルなど)を特定の原子に結合させることでその原子に固定することができたり、または特定の原子に結合しない形で描くことで、H(水素)以外の原子によってはまだ置換されていないいずれか利用可能な原子で結合するようにすることができる。
【0451】
上記のそして本明細書に記載の阻害薬化合物を合成する上で有用な合成化学的変換ならびに保護基手法(保護および脱保護)は当業界では公知であり、例えば多くの文献に記載のものなどがある(R. Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers (1989); T. W. Greene and P. G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3
rd edition, John Wiley and Sons (1999) ; L. Fieser and M. Fieser, Fieser and Fieser′s Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1994); A. Katritzky and A. Pozharski, Handbook of Heterocyclic Chemistry, 2
nd edition (2001); M. Bodanszky, A. Bodanszky: The practice of Peptide Synthesis Springer-Verlag, Berlin Heidelberg 1984; J. Seyden-Penne: Reductions by the Alumino-and Borohydrides in Organic Synthesis, 2
nd edition, Wiley-VCH, 1997; and L. Paquette, editor, Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1995))。
【0452】
適切な官能基を加えることで本発明の化合物を修飾して、特定の生理特性を高めることができる。そのような修飾は当業界で公知であり、所定の生体区画への生理的浸透(例:血液、リンパ系、中枢神経系)を増加させ、経口利用能を増加させ、溶解度を上昇させて注射による投与を可能とし、代謝を変え、排泄速度を変えるものなどがある。例を挙げると、細胞壁などの疎水性膜の化合物による通過を促進することを目的として、本発明の化合物を修飾して、疎水性基または「脂肪系」部分を組み込むことが可能である。
【0453】
生理的評価
本発明の化合物(式I−III)の薬理特性は構造の変化に伴って変動するが、式I−IIIの化合物が有する活性は、インビトロならびにインビボの両方で示すことができる。下記で例示する薬理アッセイを、本発明による化合物を用いて行った。すなわち、本発明の代表的化合物は、オーロラキナーゼの活性を、25μM未満の用量で選択的または非選択的に阻害することが認められた。この活性は、本明細書に記載の癌などの細胞増殖障害の予防および治療における前記化合物の有用性を示すものである。
【0454】
オーロラキナーゼHTRFアッセイ
オーロラA−TPX2−均質時間分解蛍光(HTRF)キナーゼアッセイ
オーロラ−A HTRFアッセイは、ビオチン処理ペプチドPLKをリン酸化するATPの存在下でオーロラ−Aを用いて開始する。反応液を約120分間インキュベートする。検出試薬を加えて、反応を停止する。これらの薬剤は、酵素を希釈し、EDTAが存在するために金属をキレートすることで反応を停止する。添加後、アッセイ液を終夜インキュベートして、検出試薬を平衡状態とする。
【0455】
オーロラAHTRFアッセイ液は、化合物の100%DMSO溶液1μL、ATPおよびビオチン化PLK20μL、ならびにオーロラA−TPX2KDGST20μLからなり、最終容量41μLとする。PLKの最終濃度は約1μMである。ATPの最終濃度は約1μM(Km(app)=1μM±0.1)であり、オーロラAの最終濃度は約5nMである。緩衝液条件は、60mM HEPES(pH7.5)、25mM NaCl、10mM MgCl、2mM DTT、0.05%BSAである。
【0456】
検出試薬160μLでアッセイを停止する。検出試薬は、50mM Tris(pH7.5)、100mM NaCl、3mM EDTA、0.05%BSA、0.1%Tween20から調製された緩衝液である。読み取り前に、この緩衝液に、アッセイでの最終濃度0.0005mg/mLでのストレプトアビジンアロフィコシアニン(SA−APC)および最終濃度0.02nMのユーロピウム標識抗ホスホPLKAb(Eu−抗−PLK)を加える。
【0457】
アッセイプレートを、ディスカバリーもしくはルビースターのいずれかで読み取る。eu−抗−PLKは320nmで励起され、615nmで放射してSA−APCを励起し、それが次に655nmで放射する。655nmでのSA−APC(ペプチドのリン酸化のためにEu−抗−PLKに近接したために励起される。)の615nmでの遊離Eu−抗−PLKに対する比率が、基質リン酸化値を与える。
【0458】
次の例示化合物42−45、48−58、60−64、67、68、70−84、87−152、155−162、164−214および216−238は、オーロラキナーゼA HTRFアッセイで10μM未満(IC
50)の平均阻害活性を示した。次の例示化合物43−45、48−52、54−58、60、61、63−64、67、68、70−84、87−90、92−108、110−120、122−123、125143、145−152、155−156、158−162、164−191、193−214、216−229、231−233および235−238は、オーロラキナーゼA HTRFアッセイにおいて500nM未満(IC
50)の平均阻害活性を示した。これら実施例の多くが、オーロラキナーゼA HTRFアッセイで100nM未満(IC
50)の平均阻害活性を示した。実施例方法F、242−244、468および469はそれぞれ、100nM以下のオーロラキナーゼA HTRFアッセイでの平均活性を示した。方法E、実施例241、245および470は、1.0μM以下のオーロラキナーゼA HTRFアッセイでの平均活性を示した。特定の実施例246−460は、オーロラキナーゼA HTRFアッセイにおいて次のような平均活性を示した。
【0459】
「+」は、2.5μM−500nMの範囲の活性(IC
50)を表す。
【0460】
「++」は、500nM−100nMの範囲の活性(IC
50)を表す。
【0461】
「+++」は、100nM以下の活性(IC
50)を表す。
【0462】
オーロラB−均質時間分解蛍光(HTRF)キナーゼアッセイ
オーロラBHTRFアッセイは、ビオチン処理ペプチドヒストンH3をリン酸化するATPの存在下でオーロラAを用いて開始する。反応液を約90分間インキュベートする。検出試薬を加えて、反応を停止し、それら試薬は、酵素を希釈し、EDTAが存在するために金属をキレートすることで反応を停止する。添加後、アッセイ液を約60分間インキュベートして、検出試薬を平衡状態とする。
【0463】
オーロラBHTRFアッセイ液は、化合物の100%DMSO溶液1μL、ATPおよびビオチン化ヒストンH3 20μL、ならびにオーロラB−FLHis20μLからなり、最終容量41μLとする。ヒストンH3の最終濃度は0.1μMである。ATPの最終濃度は23μM(Km(app)=23μM±2.6)であり、オーロラBの最終濃度は400pMである。緩衝液条件は、50mM HEPES(pH7.5)、5mM NaCl、0.5mM MgCl、0.5mM MnCl、2mM DTT、0.05%BSAである。
【0464】
検出試薬160μLでアッセイを停止する。検出試薬は、50mM Tris(pH7.5)、100mM NaCl、3mM EDTA、0.05%BSA、0.1%Tween20から調製された緩衝液である。読み取り前に、この緩衝液に、アッセイでの最終濃度0.001mg/mLでのストレプトアビジンアロフィコシアニン(SA−APC)および最終濃度0.064nMのユーロピウム標識抗ホスホヒストンH3Ab(Eu−抗−HisH3)を加える。
【0465】
アッセイプレートを、ディスカバリーもしくはルビースターのいずれかで読み取る。eu−抗−HisH3は320nmで励起され、615nmで放射してSA−APCを励起し、それが次に655nmで放射する。655nmでのSA−APC(ペプチドのリン酸化のためにEu−抗−HisH3に近接したために励起される。)の615nmでの遊離Eu−抗−HisH3に対する比率が、基質リン酸化値を与える。
【0466】
次の例示化合物42−58、60−65、67−84 87−152、155−162、164−214および216−238は、オーロラキナーゼB HTRFアッセイで10μM未満(K
i)の平均阻害活性を示した。次の例示化合物42−52、54−58、60−61、63−65、67−84、87−152、155−162、164−214、216−236および238は、オーロラキナーゼB HTRFアッセイにおいて500nM未満(IC
50)の平均阻害活性を示した。これら実施例のうちの大多数が、オーロラキナーゼB HTRFアッセイで200nM未満(IC
50)の平均阻害活性を示した。実施例方法F、242−244、468および469はそれぞれ、100nM以下のオーロラキナーゼB HTRFアッセイでの平均活性を示した。方法E、実施例241、245および470は、1.0μM以下のオーロラキナーゼB HTRFアッセイでの平均活性を示した。特定の実施例246−460は、オーロラキナーゼB HTRFアッセイにおいて次のような平均活性を示した。
【0467】
「+」は、2.5μM−500nMの範囲の活性(IC
50)を表す。
【0468】
「++」は、500nM−100nMの範囲の活性(IC
50)を表す。
【0469】
「+++」は、100nM以下の活性(IC
50)を表す。
【0470】
オーロラキナーゼ細胞に基づくアッセイ
HeLa細胞1時間ホスホ−ヒストンアッセイ
本アッセイの目的は、細胞の文脈でのヒストンH3のリン酸化に関するオーロラ化合物の阻害効果を調べることにある。HeLa細胞(9×10
4個/ウェル)を、黒色96ウェル平底組織培養プレートで平板培養し、40時間インキュベートしてから、化合物を加える。化合物をDMSOで順次希釈し、次に10mM HEPESを含むMEMで希釈する。10μL/ウェルの希釈化合物を細胞に加える(最終的に0.5%DMSO)。細胞を、5%CO
2中37℃で1時間インキュベートする。細胞を3.7%ホルムアルデヒドで10分間固定し、洗浄緩衝液(1%ヤギ血清および0.1%Tween20のPBS溶液)で洗浄し、0.5%TritonXのPBS溶液で15分間透過化処理する。洗浄緩衝液で洗浄した後、細胞を10μg/mLの一次抗体(アプステート#06−507抗−ホスフィノ−ヒストン(Ser10)抗体(pHH3))とともに1時間インキュベートする。洗浄緩衝液で2回洗浄した後、細胞を1μg/mLの2次抗体(モレキュラー・プローブス(Molecular Probes)#A11034ヤギ抗ウサギAlexa−488)+1μg/mLのヘキスト(Hoechst)33342核色素(モレキュラー・プローブス)とともに1時間インキュベートする。細胞を洗浄緩衝液で2回洗浄し、緩衝液をPBSに交換する。プレートをセロミクス・アレイ・スキャン(Cellomics Array Scan)(6視野、細胞約2000個/ウェル)で走査し、pHH3陽性の細胞をセロミクス・アルゴリズムで計算した。次の例示化合物42−45、48−52、54−58、60−65、67−76、78−84、87−108、111−120、122、123、125−137、140−143、145−148、150−156、158−162、164−168、170−214、216−233および235−238は、ホスホ−ヒストンH3アッセイで10μM未満(EC
50)の阻害活性を示した。次の例示化合物42−45、49−52、54−58、60−61、63−64、67−68、70−76、78−84、87−88、90、92、94−101、105、107、108、111−117、119、120、122、123、125−128、130−132、134−137、140−143、147−148、150−151、153−156、158−159、161−162、164−168、170−171、173−176、178−188、190−191、193−214、216−228、232−233、235−236および238は、ホスホ−ヒストンH3アッセイにおいて500nM未満(EC
50)の阻害活性を示した。これら実施例のうちの多くが、ホスホ−ヒストンH3アッセイで500nM未満(EC
50)の阻害活性を示した。特定の実施例246−460は、ホスホ−ヒストンH3アッセイにおいて次のような平均活性を示した。
【0471】
「+」は、2.5μM−500nMの範囲の活性(IC
50)を表す。
【0472】
「++」は、500nM−100nMの範囲の活性(IC
50)を表す。
【0473】
「+++」は、100nM以下の活性(IC
50)を表す。
【0474】
適応症
本発明の化合物は、概してオーロラキナーゼ 調節活性を有し、特には阻害活性を有する。本発明の1実施形態においては、有効な用量の式I−IIIの化合物を被験者に投与する段階を有する、被験者におけるオーロラキナーゼ酵素を調節する方法が提供される。従って、本発明の化合物は、未制御の細胞増殖および異常な細胞周期調節などの細胞増殖障害を治療するのに用いることができる。それら化合物は、腫瘍を持たない組織および転移組織など(これらに限定されるものではない)の正常組織における細胞の過剰増殖に関係する障害を治療する上でも有用である。例えば、一つの用途には、化学療法誘発の脱毛症から正常な毛嚢を保護することがあり得る。
【0475】
さらに、本発明の化合物は、癌および他のオーロラキナーゼが介在する疾患または障害の予防または治療(これらに限定されるものではない)にも有用である。例えば、本発明の化合物は、膀胱癌、乳癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌(小細胞肺癌など)、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、子宮頸癌、甲状腺癌、前立腺癌および皮膚癌(扁平上皮細胞癌など)など(これらに限定されるものではない)の癌;リンパ系の造血系腫瘍(白血病、急性リンパ球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛様細胞リンパ腫およびバーキットリンパ腫など);骨髄細胞系列の造血系腫瘍(急性および慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群および前骨髄球性白血病など);間葉起源の腫瘍(線維肉腫および横紋筋肉腫ならびに軟組織および骨などの他の肉腫など);中枢および末梢神経系の腫瘍(星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫およびシュワン細胞腫など);および他の腫瘍(メラノーマ、精上皮腫、奇形癌腫、骨肉腫、色素性乾皮症(xenoderoma pigmentosum)、角化棘細胞腫(keratoctanthoma)、甲状腺濾胞腺癌およびカポジ肉腫など)のような各種の固形および血液由来の腫瘍の治療においても有用であると考えられる。
【0476】
本発明の化合物は、固形腫瘍、肉腫(特には、ユーイング肉腫および骨肉腫)、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、造血器悪性腫瘍(白血病およびリンパ腫など)、腫瘍誘発の胸水または心外膜液および悪性腹水などの癌関連の適応症の治療においても有用である。
【0477】
本発明の化合物は、巨核球成熟の速度を高めることで血小板数を高めることから、化学療法誘発血小板減少症を治療するのに用いることもできる。
【0478】
前記化合物は、角膜移植片拒絶、眼球新血管新生、怪我もしくは感染後の新血管新生を含む網膜新血管新生、糖尿病網膜症、水晶体後線維増殖症および血管新生緑内障などの眼科的状態;網膜虚血;硝子体出血;胃潰瘍などの潰瘍性疾患;小児性血管腫などの血管腫、上咽頭の血管線維腫および骨の虚血壊死などの悪性ではないが病的な状態;ならびに子宮内膜症などの女性生殖器系の障害の治療においても有用であると考えられる。これら化合物は、浮腫および血管透過性増大状態の治療においても有用である。
【0479】
本発明の化合物は、単純疱疹、帯状疱疹、AIDS、カポジ肉腫、外傷、放射線照射、卒中後の原虫感染症およびトキソプラスマ症、子宮内膜症、卵巣過剰刺激症候群、全身性狼瘡、サルコイドーシス、滑膜炎、クローン病、鎌状赤血球貧血、ライム病、類天疱瘡、ページェット病、過粘稠度症候群、オスラー−ウェーバー−ランジュ病、慢性炎症、慢性閉塞性肺疾患、喘息および炎症性リウマトイドもしくはリウマチ疾患などの望ましくない血管新生、浮腫もしくは間質沈着がウィルス感染で起こる状態の治療においても有用である。これら化合物は、皮下脂肪の減少および肥満治療においても有用である。本発明の化合物は、網膜症および黄斑変性以外に眼球および黄斑浮腫、眼球新血管疾患、強膜炎、放射状角膜切除術、ブドウ膜炎、硝子体炎、近視、視窩、慢性網膜剥離、レーザー後合併症、緑内障、結膜炎、シュタルガルト病およびイールズ病などの眼球状態の治療においても有用である。
【0480】
本発明の化合物は、アテローム性動脈硬化、再狭窄、動脈硬化、血管閉塞および頸動脈閉塞疾患などの心血管状態の治療においても有用である。
【0481】
血管新生に影響を与えるキナーゼを調節する能力に基づき、本発明の化合物は、増殖性疾患の治療および療法においても有用である。特にこれら化合物は、炎症性リウマトイドもしくはリウマチ性疾患、特には各種炎症性リウマトイド疾患などの運動器官での症状、特には関節リウマチ、若年性関節炎もしくは乾癬性関節障害などの慢性多発性関節炎;腫瘍随伴症候群もしくは腫瘍誘発炎症疾患、濁り浸出液、全身エリテマトーデス、多発性筋炎、皮膚筋炎、全身性強皮症もしくは混合膠原病などの膠原病;感染後関節炎(身体の罹患部分またはその部分内では、生存する病原体が認められない。)、強直性脊椎炎などの血清反応陰性脊椎関節炎;血管炎、サルコイドーシスもしくは関節症;またはこれらの別の組み合わせの治療で用いることができる。
【0482】
本発明の化合物は、関節炎、アテローム性動脈硬化、乾癬、血管腫、心筋血管新生、冠動脈および脳側副動脈、虚血肢血管新生、創傷治癒、消化性潰瘍ヘリコバクター関連疾患、骨折、ねこひっかき熱、ルベオーシス、血管新生緑内障および糖尿病性網膜症もしくは黄斑変性に関連するものなどの網膜症のような疾患状態に対する活性薬剤として用いることもできる。さらに、これら化合物の中には、増殖および/または転移に血管細胞の増殖を必要とする疾患であることから、固形腫瘍、悪性腹水、造血器癌および甲状腺過形成(特に、グレーブス病)などの過剰増殖性障害ならびに嚢腫(多嚢胞性卵巣症候群(スタイン・レーベンタール症候群)に特徴的な卵巣支質の血管過剰増生など)に対する活性薬剤として使用できるものもある。
【0483】
本発明の化合物は、火傷、慢性肺疾患、卒中、ポリープ、アナフィラキシー、慢性およびアレルギー性炎症、卵巣過剰刺激症候群、脳腫瘍関連脳浮腫、高高度誘発、外傷誘発もしくは低酸素誘発性の脳もしくは肺浮腫、眼球および黄斑浮腫、腹水症および血管透過性亢進、浸出、浸出液、タンパク質血管外遊走もしくは浮腫が疾患の発現である他の疾患に対する活性薬剤として使用することもできる。それら化合物は、タンパク質血管外遊走によって、フィブリンおよび細胞外基質の沈着、間質増殖の促進(例:線維症、肝硬変および手根管症候群)を生じる障害を治療する上でも有用である。
【0484】
ヒトの治療において有用であるだけでなく、これらの化合物は、哺乳動物、齧歯類などのコンパニオン・アニマル、外来動物および家畜の獣医的治療において有用である。例えば、ウマ、イヌおよびネコなどの動物を、本発明によって提供される化合物で治療することができる。
【0485】
製剤
本発明には、1以上の無毒性で製薬上許容される担体および/または希釈剤および/または補助剤(本明細書では、総称して「担体」材料と称する)、そして所望に応じて他の有効成分とともに式I−IIIの活性化合物を含む医薬組成物類(医薬品とも称される)も含まれる。本発明の医薬活性化合物は、従来の製薬法に従って処理して、ヒトおよび他の哺乳動物などの患者への投与向けの医薬を製造することができる。
【0486】
本発明の化合物は、いずれか好適な経路によって、好ましくはそのような経路に適合させた医薬組成物の形態で、所期の処置に有効な用量で被験者に投与することができる。本発明の化合物および組成物は例えば、経口投与、粘膜投与、局所投与、直腸投与、肺投与(吸入噴霧などによって)または血管内投与、静脈投与、腹腔内投与、皮下投与、筋肉投与、胸骨内投与および注入法などの非経口投与によって、従来の製薬上許容される担体、補助剤および媒体を含む単位製剤で投与することができる。
【0487】
経口投与の場合、医薬組成物は例えば、錠剤、カプセル、懸濁液または液剤の形態であることができる。その医薬組成物は好ましくは、特定量の有効成分を含む単位製剤の形態で製造する。そのような単位製剤の実施例は錠剤またはカプセルである。例えばそれは、約1−2000mg、代表的には約1−500mgの量の有効成分を含むことができる。ヒトその他の哺乳動物における好適な1日用量は、患者の状態および他の要素などに応じて広く変動し得るものであるが、やはり通常の方法および実務を用いて決定することができる。
【0488】
投与される化合物の量および本発明の化合物および/または組成物を用いた疾患状態の治療のための投与方法は、被験者の年齢、体重、性別および医学的状態、疾患の種類、疾患の重度、投与の経路および回数、ならびに用いられる特定の化合物などの各種要素によって決まる。そこで、投与法は非常に大きく変動し得るものであるが、標準的な方法を用いて常法により決定することができる。約0.01−500mg/kg、有利には約0.1−約50mg/kg、より有利には約0.1−約30mg/kgの1日用量が適切であると考えられる。その1日用量は、1日1−4回で投与することができる。
【0489】
治療目的の場合に、本発明の活性化合物は通常、指定の投与経路に適した1以上の補助剤または「賦形剤」と組み合わせる。用量当たりで投与する場合、その化合物は乳糖、ショ糖、デンプン粉末、アルカン酸のセルロースエステル類、セルロースアルキルエステル類、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸および硫酸のナトリウム塩およびカルシウム塩、ゼラチン、アカシアガム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドンおよび/またはポリビニルアルコールと混合して、最終製剤を形成することができる。例えば、活性化合物および賦形剤を、公知であって簡便な投与向けに公知であって許容されている方法によって打錠もしくはカプセル封入することができる。好適な製剤にはの例、丸薬、錠剤、軟および硬鞘のゲルカプセル、トローチ、経口で溶解可能な形態ならびにこれらの遅延もしくは徐放製剤などがあるが、これらに限定されるものではない。特に、カプセルもしくは錠剤製剤は、活性化合物との分散剤として、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの1以上の徐放剤を含むことができる。
【0490】
乾癬および他の皮膚状態の場合、1日2−4回、患部領域に本発明の化合物の局所製剤を塗布することが好ましい場合がある。
【0491】
局所投与に好適な製剤には、皮膚浸透に好適な液体もしくは半液体製剤(例:擦剤、ローション、軟膏、クリーム、ペーストまたは懸濁液など)ならびに眼球、耳または鼻への投与に好適な滴剤などがある。本発明の化合物の有効成分の好適な局所用量は、1日1−4回投与で、好ましくは1日1回もしくは2回投与で0.1mg−150mgである。局所投与の場合、有効成分は製剤の0.001重量%−10重量%、例えば1重量%−2重量%含有されていることができる。ただしそれは10重量%という大きい量で含有されていても良いが、好ましくは5重量%以下であり、より好ましくは製剤の0.1%−1%である。
【0492】
軟膏で製剤する場合、パラフィン系または水混和性軟膏基剤とともに有効成分を用いることができる。別の形態として、有効成分を水中油型クリーム基剤で製剤することができる。所望に応じて、クリーム基剤の水相は例えば、プロピレングリコール、ブタン−1,3−ジオール、マニトール、ソルビトール、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物などの多価アルコールを少なくとも30重量%含むことができる。その局所製剤は望ましくは、皮膚その他の罹患領域への有効成分の吸収または浸透を促進する化合物を含むことができる。そのような皮膚浸透促進剤の例には、DMSOおよび関連類縁体などがある。
【0493】
本発明の化合物は、経皮機器によって投与することもできる。好ましくは経皮投与は、貯留部および多孔性膜型または固体基材型のいずれかの貼付剤を用いて行う。いずれの場合も活性薬剤は、貯留部またはマイクロカプセルから連続的に膜を通って、被投与者の皮膚もしくは粘膜と接触している活性薬剤透過性接着剤中に送られる。活性薬剤が皮膚を通って吸収される場合、制御された所定流量の活性薬剤が被投与者に投与される。マイクロカプセルの場合、封入剤も膜として機能し得る。
【0494】
本発明の乳濁液の油相は、公知の方法で公知の成分から構成することができる。その相は乳化剤のみを含有することができるが、少なくとも1種類の乳化剤と脂肪もしくは油または脂肪および油の両方との混合物を含むことができる。好ましくは親水性乳化剤を、安定剤として作用する親水性乳化剤とともに含有させる。油と脂肪の両方を含有させることも好ましい。そして、安定剤を含むもしくは含まない乳濁液はいわゆる乳化ロウを構成し、油および脂肪と混合されたロウはクリーム製剤の油状分散相を形成するいわゆる乳化軟膏を構成する。本発明の製剤に好適な乳化剤および乳濁液安定剤には、例えばTween60、Span80、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、ラウリル硫酸ナトリウム、ジステアリン酸グリセリル単独もしくはロウとの混合、または当業界で公知の他の材料などがある。
【0495】
医薬乳濁液製剤で使用されると考えられるほとんどの油での活性化合物の溶解度が非常に低いことから、製剤に好適な油または脂肪の選択は、所望の見た目が得られるか否かに基づいたものとする。従ってクリームは、好ましくは非グリース状で汚れがなく洗浄可能な製品であって、チューブその他の容器からの漏出を回避する上で好適な粘稠度を有するものでなければならない。ジイソアジピン酸エステル、ステアリン酸イソセチル、ココナッツ脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸2−エチルヘキシルまたは分岐エステルの混合物などの直鎖もしくは分岐の1塩基または2塩基アルキルエステルを用いることができる。これらは、必要とされる特性に応じて、単独または組み合わせて使用することができる。別法として、白色軟パラフィンおよび/または液体パラフィンその他の鉱油などの高融点液を用いることができる。
【0496】
目への局所投与に好適な製剤には、有効成分を好適な担体、特には有効成分用の水系溶媒に溶解もしくは懸濁させた点眼液などもある。有効成分は好ましくは、0.5−20重量%、有利には0.5−10重量%、特には約1.5重量%の濃度でそのような製剤に存在させる。
【0497】
非経口投与用の製剤は、水系または非水系の等張性無菌注射溶液もしくは懸濁液の形態とすることができる。その溶液および懸濁液は、経口投与用の製剤での使用について前述した1以上の担体もしくは希釈剤を用いて、または他の好適な分散剤もしくは湿展剤および懸濁剤を用いることで、無菌の粉剤もしくは粒剤から調製することができる。その化合物は、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、トウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、ベンジルアルコール、塩化ナトリウム、トラガカントガムおよび/または各種緩衝液に溶かすことができる。他の補助剤および投与形態は、製薬業界で広く公知である。有効成分は、生理食塩水、ブドウ糖もしくは水、またはシクロデキストリン(すなわち、カプチゾル(Captisol))、共溶媒可溶化(すなわち、プロピレングリコール)またはその他の可溶化(すなわち、Tween80)などの好適な担体との組成物として、注射によって投与することもできる。
【0498】
無菌注射製剤は、無毒性で非経口的に許容される希釈剤もしくは溶媒中の無菌注射溶液または懸濁液であることもでき、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液とする。使用可能な許容される媒体および溶媒には、水、リンゲル液および等張性塩化ナトリウム溶液などがある。さらに、無菌の固定油を溶媒もしくは懸濁媒体として従来のように用いることができる。それに関しては、いずれの銘柄の固定油も使用可能であり、それには合成モノもしくはジグリセリドなどがある。さらに、オレイン酸などの脂肪酸を注射製剤で用いることができる。
【0499】
肺投与の場合、医薬組成物はエアロゾルの形態で、または乾燥粉末エアロゾルのように吸入器を用いて投与することができる。
【0500】
薬剤の直腸投与用の坐剤は、常温では固体であるが直腸温度では液体であることから、直腸で融解して薬剤を放出するカカオバターおよびポリエチレングリコール類などの好適な非刺激性賦形剤と薬剤とを混合することで調製することができる。
【0501】
医薬組成物については、滅菌などの従来の製薬操作を行うことができ、ないしは保存剤、安定剤、湿展剤、乳化剤、緩衝剤などの従来の補助剤を含有させることができる。錠剤および丸薬はさらに、腸溶コーティングを行って製剤することができる。そのような組成物は、湿展剤、甘味剤、香味剤および芳香剤などの補助剤を含有することもできる。
【0502】
併用
本発明の化合物は単独の活性医薬として投与することが可能であるが、1以上の本発明の化合物と組み合わせてまたは他の薬剤との併用で使用することも可能である。併用で投与する場合、治療剤は同時に投与されるか異なる時間に順次投与される別個の組成物として製剤することができるか、あるいは治療剤を単一の組成物として提供することができる。
【0503】
本発明の化合物および別の医薬の使用を定義する際において「併用療法」(または「組み合わせ療法」)という表現は、薬剤併用の有用な効果を提供する投与法で順次にて各薬剤を投与することを包含するものであり、さらには一定比率でのそれらの活性薬剤を含む単一のカプセル中あるいは各薬剤の複数の別個のカプセルなどで、実質的に同時にそれら薬剤の併用投与を行うことをも包含するものである。
【0504】
具体的には、本発明の化合物の投与は、放射線療法または新生物剤もしくは細胞毒剤など、癌の予防または治療において当業者には公知の別の治療法と併用することができる。
【0505】
固定用量で投与する場合、そのような組み合わせ剤では、許容される用量範囲内で本発明の化合物を用いる。式I−IIIの化合物は、組み合わせ製剤が不適切である場合には、公知の抗癌剤または細胞毒剤と順次で投与することもできる。本発明は、投与順序において限定されるものではない。本発明の化合物は、公知の抗癌剤または細胞毒剤の投与の前、それと同時または投与後に投与することができる。
【0506】
併用の薬物化学療法によって腫瘍の治療に選択されると考えられる、商業的使用、臨床評価および前臨床開発で入手可能な抗腫瘍薬が非常に多くある。そのような抗腫瘍薬はいくつかの腫瘍なカテゴリーに入る。すなわちそれは、抗生物質型薬剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、ホルモン剤、免疫剤、インターフェロン型薬剤およびその他薬剤のカテゴリーである。
【0507】
別の形態として本発明の化合物は、VEGFR阻害薬、p38阻害薬およびCDK阻害薬などの血管形成剤のような他のキナーゼ阻害薬、TNF阻害薬、金属基質プロテアーゼ阻害薬(MMP)、セレコキシブ(celecoxib)、ロフェコキシブ(rofecoxib)、パレコキシブ(parecoxib)、バルデコキシブ(valdecoxib)およびエトリコキシブ(etoricoxib)のようなCOX−2阻害薬、NSAID類、SOD模倣薬またはα
vβ
3阻害薬などの他の抗腫瘍薬との併用療法で用いることもできる。
【0508】
以上の説明は単に本発明を説明するものであって、本発明を開示の化合物に限定するものではない。当業者には明白である改変および変更は、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲および性質に含まれるものである。前述の文献、特許、特許出願および刊行物はいずれも、あたかもそれらが本明細書に記載されているように、参照によって本明細書にその全内容が組み込まれるものとする。