(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第5引張サイクルにおける前記繊維のモジュラスは、100%と200%との間の伸び率の負荷サイクルにおいて、400%を超えて増加しないモジュラスを有する、請求項1に記載の繊維。
優れた破裂穿孔強度を有する前記繊維から調製されるジャージー編み布であって、ここで優れた破裂穿孔強度とは、該繊維が平均約70デニールである場合に、破断時負荷/厚さがASTM D751によって測定される場合に少なくとも710lbf/in(124N/mm)であるように、破裂穿孔強度を該布の該繊維が有することを意味する、請求項1〜2のいずれかに記載の繊維。
前記繊維から調製されるジャージー編み布は、優れた破裂穿孔強度を有し、ここで優れた破裂穿孔強度とは、該繊維が平均約70デニールである場合に、破断エネルギーがASTM D751によって測定される場合に少なくとも25lbf−in.(2.8N−m)であるように、破裂穿孔強度を該布の該繊維が有することを意味する、請求項1〜7のいずれかに記載の繊維。
前記繊維から調製されるジャージー編み布は、優れた破裂穿孔強度を有し、ここで優れた破裂穿孔強度とは、該繊維が平均が約70デニールである場合に、破断時負荷がASTM
D751によって測定される場合に少なくとも6ポンド(2.7kg)であるように、破裂穿孔強度を該布の該繊維が有することを意味する、請求項1〜8のいずれかに記載の繊維。
少なくとも400%の限界伸び率を有し、1つの弾性繊維あたり100%と200%との間の伸び率の負荷および除荷サイクルにおいて比較的均一なモジュラスを有する溶融紡糸繊維を製造するためのプロセスであって、該プロセスは、
(a)紡糸口金を通して熱可塑性エラストマーポリマーを溶融紡糸するステップと、
(b)該紡糸口金から出る該ポリマーの溶融物速度の50%を超えない巻き取りスピードで該弾性繊維を糸巻に巻き取るステップと
を含み、
該繊維はポリエーテル架橋剤で架橋されたポリエステル熱可塑性ポリウレタンであって、かつ、該繊維は少なくとも500,000の重量平均分子量を有する、
プロセス。
【発明を実施するための形態】
【0017】
種々の好ましい特徴および実施形態は、非限定的な例示として下に記載される。
【0018】
繊維および布
本発明の繊維は、100%と200%との間の伸び率の負荷および除荷サイクルにおいて、室温にて比較的一定のモジュラスを有する。いくつかの実施形態において、本発明の繊維は、少なくとも400%、または約450%〜約500%の破断時伸び率を有する。本発明の最高繊維は、体温においてほぼ完璧な一定のモジュラスを有する。この室温/体温定圧縮率は、本明細書中に提供される実施例によって証明される。
【0019】
本明細書に記載される値を得るために使用される標準の試験手順は、DuPontによって弾性ヤーン用に開発されたものである。この試験は、繊維を一連の5つのサイクルに付す。各サイクルにおいて、繊維は300%伸び率まで延伸され、一定の伸長速度を用いて緩和(元のゲージ長さと300%伸び率との間で)される。第5サイクルの後でひずみ%(% set)が測定される。次に、第6サイクルを通して繊維試料が採取され、破断するまで延伸される。装置は、1デニールあたりグラム重の単位で各伸長率における負荷、破断前最高負荷、および破断負荷、ならびに破断伸び率および最大負荷における伸び率を記録する。この試験は、通常は室温(23℃±2℃、および50%±5%の湿度)において行われる。
【0020】
いくつかの実施形態において、本発明の繊維は、丸い断面を有する。
図2を参照すると、本発明に従う70デニール繊維が断面形状において実質的に丸いことが分かり得る。
図1は、異なるより大きな断面幅を有する、代表的および工業的に標準の70デニールのリボンのような非常に高い伸び率のSEFを示す。
図3は、室温における本発明の薄ゲージの定圧縮率高強度繊維と比較して、代表的および工業的に標準の70デニールのリボンのような非常に高い伸び率のSEFを示す。可変のデニール/断面積(d/平方ミクロン)は、比較するために使用される。本発明の繊維は、小さい一定の勾配を有するのに対し、乾式紡糸繊維は、大きいだけではなく指数関数的に増加する勾配を有する。結果は、本発明の繊維で作られた布が、
図3によって実証されるように総合的により薄いゲージ布において、同等の強度(測定による証明として)をもたらし得るだけではなく、衣類(または他の応用)中の単一の布が、繊維の比較的一定の圧縮率特性の結果として、快適さを断念することなく、またはきつすぎるか、もしくは固すぎる感覚を発現させることなく異なる寸法に適合し得ることである。
【0021】
本発明の繊維から作られる布の別の特徴は、そのような繊維が同様の延伸およびゲージの布と比較して優れた破裂強度を有することである。そして本発明の布の例外的な感触および手触りは、代表的および工業的に標準のリボンのような高い伸び率のSEFに基づく同様の布に一般的であるゴムのようであることとは対照的に、質の良いテキスタイル(fine textile)の感覚を使用者に与える。
【0022】
これらの特徴は、1インチの直径の球を用いてBall Burst Puncture Strength Test(ASTM D751)によって示される。いくつかの実施形態において、本発明の布は、代表的および工業的に標準のリボンのような高い伸び率のSEFに基づく布と比較して、破裂強度における約50%〜約75%の改善を示す。
【0023】
本発明の布はまた、より効率的な乾燥および冷却能力を有する。このことは、本発明の布の改善された有孔性に起因すると考えられる。生成された熱および水分の、結果として生じる改善された排出は、快適さおよび信頼性の感覚を使用者に与える。
【0024】
本発明の繊維を利用する布は、編むかもしくは織ることによって、または織らないプロセス(例えば、メルトブローまたはスパンボンド)によって作られ得る。いくつかの実施形態において、本発明の布は、本発明の繊維と組み合わせて、1つ以上の異なる(従来の)繊維を用いて作られる。硬繊維(例えば、ナイロンおよび/またはポリエステル)が使用され得るが、他のもの(例えば、レーヨン、絹、ウール、および改変されたアクリル(modified acrylic)など)も、本発明の布を作るために利用され得る。
【0025】
いくつかの実施形態において、本発明の布は、交互する繊維を用いて編まれたもの(例えば、交互する糸において使用される70デニールのナイロンと組み合わせた本発明に従う140デニールのTPU繊維を用いて編まれたもの(1−1布と呼ばれる)、または70デニールナイロンと組み合わせた本発明に従う140デニールのTPU繊維(その後2:1の交互する糸の比で使用される)を用いて編まれたもの(1−2布と呼ばれる))である。
【0026】
種々の衣類は、本発明の布で作られ得る。いくつかの実施形態において、本発明の布は、上記繊維によって提供される快適さに起因して良好に適するので、上記布は、下着またはぴったりフィットする衣類を作ることにおいて使用される。下着(例えば、ブラジャー)、およびTシャツ、ならびに活動(例えば、ランニング、スキー、サイクリング、または他のスポーツ)に使用されるスポーツ衣類は、これらの繊維の特性から利益を得ることができる。身体と接して着用される衣類は、一旦繊維が体温に達するとモジュラスがさらに低くなるので、これらの繊維の均一なモジュラスから利益を得る。ぴったりに感じられる衣類は、上記繊維が体温に達した約30秒〜約5分後に快適さが増す。任意の衣類が本発明の布および繊維から作られ得ることが当業者によって理解される。例示的な実施形態は、織られた布から作られるブラジャーの肩吊り紐、および編まれた布から作られるブラジャーのウイング部(wing)であり、織られた布と編まれた布との両方が本発明の溶融紡糸TPU繊維を含む。上記布が弾性であるため、ブラジャーの吊り紐は調節可能な締め具を必要としない。
【0027】
他の実施形態において、本明細書中に記載される繊維は、1つ以上の任意の数の衣類および物品を作るために使用され、これらの衣類および物品としては、スポーツ衣料品(例えば、ショーツ(バイクショーツ、ハイキングショーツ、ランニングショーツ、コンプレッションショーツ、トレーニングショーツ、ゴルフショーツ、野球用ショーツ、バスケットボールショーツ、チアリーディングショーツ、ダンスショーツ、サッカーショーツ、および/またはホッケーショーツが挙げられる);シャツ(ショーツについて上に列挙された特定のタイプのいずれかが挙げられる);タイツ(トレーニングタイツおよびコンプレッションタイツが挙げられる);水泳着(競技用およびリゾート用の水泳着が挙げられる);ボディースーツ(レスリング用、ランニング用、および水泳用のボディースーツが挙げられる);および履物)が挙げられるがこれらに限定されない。さらなる実施形態は、労働着(例えば、シャツおよびユニフォーム)を含む。さらなる実施形態は、肌に直接触れるもの(ブラジャー、パンティ、男性用下着類、キャミソール、ボディーシェーパー、ナイトガウン、パンティストッキング、男性用肌着、タイツ、ソックス、およびコルセットが挙げられる)を含む。さらなる実施形態は、医療用衣類および物品を含み、靴下類(例えば、コンプレッション靴下類、糖尿病用ソックス、帯電防止ソックス(static socks)、およびダイナミックソックス(dynamic socks));治療用火傷処置包帯およびフィルム;創傷ケア包帯;医療用衣類が挙げられる。さらなる利用としては、上に記載される特定の物品のうちの1つ以上を反映する軍用利用が挙げられる。さらなる実施形態は、寝具類の物品を含み、それには、シーツ、毛布、羽根布団(comforter)、マットレスパッド、マットレストップ(mattress top)、および枕カバーが挙げられる。
【0028】
本発明のさらに別の特徴は、本明細書中に記載される繊維が、より大きな強度を有することであり、例えば、それらは、同じゲージのより従来の繊維と比較してより高い破裂強度を有する布を生成し、そして/またはより大きなゲージの従来の繊維と比較して同じか、もしくはさらに、より高い強度を提供する。すなわち、本発明の繊維は、従来の繊維と比較して同じか、もしくはさらに、より低いゲージにおいて、より大きな強度を提供する。この特徴の1つの利益は、本発明の繊維が、操作上の問題なくより広い範囲の編機において使用され得ることであり、すなわち、本発明の繊維が、同じゲージまたはさらに、より大きなゲージの繊維のためにセットアップされた編機において使用され得ることである。対照的に、従来の繊維は、より大きなゲージ繊維のためにセットアップされた編機において使用され得ない。なぜなら上記従来の繊維は、その機械を適切に操作することを可能にするほど十分に強くないからである。この特徴は、本発明のかなりの利益である。いくつかの実施形態において、本発明の繊維は、使用されている本発明の繊維のゲージよりも5%、10%、またはさらに20%大きいゲージを有する繊維のためにセットアップされた編機の操作において使用される。例えば、本発明の40ゲージの繊維、または40デニールの繊維でさえ、54ゲージの編機において首尾よく使用され得る。換言すると、本発明の布は、より質のよいゲージ編機において編まれ得、依然として高い圧縮率を提供しながら、より質がよく、より滑らかな布をもたらし得る。
【0029】
上に言及されるように、本発明の繊維は、溶融紡糸であり、少なくとも400%の限界伸び率を有し、100%と200%との間の伸び率の負荷および除荷サイクルにおいて比較的均一なモジュラスを有する。比較的均一なとは、モジュラスが他の従来の繊維(例えば、ナイロンおよび/またはポリエステル)および/または市場における任意の他の熱可塑性弾性繊維(スパンデックス繊維が挙げられる)のモジュラスが変動するほど変動しないことを意味する。
【0030】
いくつかの実施形態において、第5引張サイクルにおける上記繊維のモジュラス(上に記載される方法によって測定される)は、100%と200%との間の伸び率の負荷サイクルにおいて、400%を超えて増加しないモジュラスを有する。いくつかの実施形態において、上記繊維は、4デニール、10デニール、20デニール、30デニール、40デニール、70デニール、またはさらに140デニールから8000デニール、2000デニール、1500デニール、1200デニール、600デニール、400デニール、360デニール、またはさらに140デニールまでである。そのような繊維は、100%と200%との間の伸び率の負荷サイクルにおいて、50%または60%から150%または95%まで増加するモジュラスを第1引張サイクルにおいて有し得る。そのような繊維は、100%と200%との間の伸び率の負荷サイクルにおいて、50%または75%から150%または110%まで増加するモジュラスを第5引張サイクルにおいて有し得る。
【0031】
いくつかの実施形態において、本発明の繊維は、約70デニールに作られる場合に、100%と200%との間の伸び率の負荷サイクルにおいて、70%、80%、またはさらに85%から120%、100%、またはさらに95%まで増加するモジュラスを第1引張サイクルにおいて有する繊維として記載され得る。いくつかの実施形態において、本発明の繊維は、約70デニールに作られる場合に、100%と200%との間の伸び率の負荷サイクルにおいて、80%、90%、またはさらに95%から130%、110%、またはさらに105%まで増加するモジュラスを第5引張サイクルにおいて有する繊維として記載され得る。
【0032】
いくつかの実施形態において、本発明の繊維は、約140デニールに作られる場合に、100%と200%との間の伸び率の負荷サイクルにおいて、50%、55%、またはさらに63%から100%、80%、またはさらに75%まで増加するモジュラスを第1引張サイクルにおいて有する繊維として記載され得る。いくつかの実施形態において、本発明の繊維は、約140デニールに作られる場合に、100%と200%との間の伸び率の負荷サイクルにおいて、50%、95%、またはさらに100%から150%、120%、115%、またはさらに109%まで増加するモジュラスを第5引張サイクルにおいて有する繊維として記載され得る。
【0033】
いくつかの実施形態において、本発明の繊維は、約360デニールに作られる場合に、100%と200%との間の伸び率の負荷サイクルにおいて、40%、60%、またはさらに65%から100%、80%、85%、またはさらに70%まで増加するモジュラスを第1引張サイクルにおいて有する繊維として記載され得る。いくつかの実施形態において、本発明の繊維は、約360デニールに作られる場合に、100%と200%との間の伸び率の負荷サイクルにおいて、50%、60%、またはさらに70%から120%、100%、80%、またはさらに78%まで増加するモジュラスを第5引張サイクルにおいて有する繊維として記載され得る。
【0034】
上の実施形態において、上記繊維は、結果が具体的に記述されている特定のデニールサイズに限定されないことが言及される。むしろ、上記繊維は、上記繊維が特定のデニールに作られ、試験される場合に、上記モジュラスはどのくらいであるかに言及することによって記載される。対照的に、下の実施形態は、特定のデニールの繊維を扱う。
【0035】
いくつかの実施形態において、本発明の繊維は、4デニール、10デニール、35デニール、またはさらに60デニールから130デニール、100デニール、80デニール、またはさらに70デニールまでである。これらの実施形態のうちのいずれかにおいて、上記繊維は、平均が約70デニールであり得る。そのような実施形態において、上記繊維は、100%と200%との間の伸び率の負荷サイクルにおいて、70%、80%、またはさらに85%から120%、100%、またはさらに95%までのモジュラスを第1引張において有し得;そして、100%と200%との間の伸び率の負荷サイクルにおいて、80%、90%、またはさらに95%から130%、110%、またはさらに105%までのモジュラスを第5引張において有し得る。
【0036】
いくつかの実施形態において、本発明の繊維は、80デニール、90デニール、100デニール、120デニール、またはさらに140デニールから300デニール、250デニール、200デニール、またはさらに160デニールまでである。いくつかの実施形態において、上記繊維は、平均が約140デニールである。これらの実施形態のうちのいずれかにおいて、上記繊維は、100%と200%との間の伸び率の負荷サイクルにおいて、50%、55%、またはさらに63%から100%、80%、またはさらに75%までのモジュラスを第1引張において有し得;そして、100%と200%との間の伸び率の負荷サイクルにおいて、50%、95%、またはさらに100%から150%、120%、115%、またはさらに109%までのモジュラスを第5引張において有し得る。
【0037】
いくつかの実施形態において、本発明の繊維は、150デニール、200デニール、またはさらに300デニールから1500デニール、500デニール、450デニール、またはさらに200デニールまでである。いくつかの実施形態において、上記繊維は、平均が約360デニールである。これらの実施形態のうちのいずれかにおいて、上記繊維は、100%と200%との間の伸び率の負荷サイクルにおいて、40%、60%、またはさらに65%から100%、80%、85%、またはさらに75%までのモジュラスを第1引張において有し得;そして、100%と200%との間の伸び率の負荷サイクルにおいて、50%、60%、またはさらに70%から120%、100%、80%、またはさらに78%までのモジュラスを第5引張において有し得る。
【0038】
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書に記載される繊維から作られるジャージー編み布の特性に目を向けることによって記載され得る。いくつかの実施形態において、本発明の繊維は、ジャージー布へと編まれる場合、破断時負荷/厚さがASTM D751によって測定される場合に少なくとも710lbf/in、800lbf/in、900lbf/in、1000lbf/in、1100lbf/in、1200lbf/in、1250lbf/inであるように、または他の実施形態において、少なくとも124N/mm、140N/mm、158N/mm、175N/mm、193N/mm、210N/mm、またはさらに219N/mmであるように、破裂穿孔強度を有する布を提供する。これらの実施形態のうちのいずれかにおいて、上記破裂強度は、1600lbf/in以下、もしくは1500lbf/in以下の最大値を有し得るか、または他の実施形態において、280N/mm以下、または263N/mm以下の最大値を有し得る。
【0039】
いくつかの実施形態において、本発明は、上に記載される実施形態のいずれかに従う繊維であり、ここで上記繊維は、70デニールに作られ、次にジャージー編み布へと作られる場合、少なくとも710lbf/in、800lbf/in、900lbf/in、1000lbf/in、1200lbf/in、またはさらに1250lbf/inから1400lbf/inまで、そして他の実施形態において、少なくとも124N/mm、140N/mm、158N/mm、175N/mm、210N/mm、またはさらに219N/mmから245N/mmまでの破裂穿孔強度(破断時負荷/厚さ)をジャージー編み布に提供する。これらの実施形態のうちのいずれかにおいて、上記繊維はまた、破断エネルギーが少なくとも25lbf−in、30lbf−in、35lbf−in、40lbf−in、または40.5lbf−inから200lbf−in、100lbf−in、または75lbf−inまでであるように、そして他の実施形態において、少なくとも2.8N−m、3.4N−m、4.0N−m、4.5N−m、または4.6N−mから22.6N−m、11.3N−m、または8.5N−mまでであるように、ジャージー編み布に破裂穿孔強度を提供し得る。これらの実施形態のうちのいずれかにおいて、依然として上記繊維はまた、破断時負荷が少なくとも6lb、7lb、8lb、または9lbから50lb、40lb、または20lbまでであるように、そして他の実施形態において、少なくとも2.7kg、3.2kg、3.6kg、またはさらに4.1kgから22.7kg、18.1kg、または9.1kgまでであるように、ジャージー編み布に破裂穿孔強度を提供し得る。
【0040】
いくつかの実施形態において、本発明は、上に記載される実施形態のいずれかに従う繊維であり、ここで上記繊維は、140デニールに作られ、次にジャージー編み布へと作られる場合、少なくとも1200lbf/in、1300lbf/in、1500lbf/in、1700lbf/in、またはさらに1750lbf/inから1900lbf/inまで、そして他の実施形態において、少なくとも210N/mm、228N/mm、263N/mm、298N/mm、またはさらに306N/mmから333N/mmまでの破裂穿孔強度(破断時負荷/厚さ)をジャージー編み布に提供する。これらの実施形態のうちのいずれかにおいて、上記繊維はまた、破断エネルギーが少なくとも60lbf−in、70lbf−in、75lbf−in、80lbf−in、またはさらに83.5lbf−inから800lbf−in、200lbf−in、または150lbf−inまでであるように、そして他の実施形態において、少なくとも6.8N−m、7.9N−m、8.5N−m、9.0N−m、または9.4N−mから90.3N−m、22.6N−m、または16.9N−mまでであるように、ジャージー編み布に破裂穿孔強度を提供し得る。これらの実施形態のうちのいずれかにおいて、依然として上記繊維はまた、破断時負荷が少なくとも10lb、15lb、17lb、またはさらに17.5lbから100lb、75lb、50lb、または25lbまでであるように、そして他の実施形態において、少なくとも4.5kg、6.8kg、7.7kg、またはさらに7.9kgから45.4kg、34.0kg、22.7kg、または11.3kgまでであるように、ジャージー編み布に破裂穿孔強度を提供し得る。
【0041】
いくつかの実施形態において、本発明は、上に記載される実施形態のいずれかに従う繊維であり、ここで上記繊維は、40デニールに作られ、次にジャージー編み布へと作られる場合、少なくとも500lbf/in、750lbf/in、1000lbf/in、1400lbf/in、またはさらに1450lbf/inから1600lbf/in、または1500lbf/inまで、そして他の実施形態において、少なくとも88N/mm、131N/mm、175N/mm、245N/mm、またはさらに254N/mmから280N/mm、または263N/mmまでの破裂穿孔強度(破断時負荷/厚さ)をジャージー編み布に提供する。これらの実施形態のうちのいずれかにおいて、上記繊維はまた、破断エネルギーが少なくとも10lbf−in、15lbf−in、20lbf−in、またはさらに20.5lbf−inから100lbf−in、75lbf−in、または50lbf−inまでであるように、そして他の実施形態において、少なくとも1.1N−m、1.7N−m、または2.3N−mから11.3N−m、8.5N−m、または5.6N−mまでであるように、ジャージー編み布に破裂穿孔強度を提供し得る。これらの実施形態のうちのいずれかにおいて、依然として上記繊維はまた、破断時負荷が少なくとも3lb、4lb、4.5lb、またはさらに5lbから40lb、20lb、または10lbまでであるように、そして他の実施形態において、少なくとも1.4kg、1.8kg、2.0kg、またはさらに2.3kgから18.1kg、9.1kg、または4.5kgまでであるように、ジャージー編み布に破裂穿孔強度を提供し得る。
【0042】
上の実施形態において、上記繊維は、結果が具体的に記述されている特定のデニールサイズに限定されないことが言及される。むしろ、上記繊維は、上記繊維が特定のデニールに作られ、試験される場合に、上記繊維から作られるジャージー編み布の破裂強度はどのくらいであるかに言及することによって記載される。対照的に、下の実施形態は、特定のデニールの繊維を扱う。
【0043】
いくつかの実施形態において、本発明の繊維は、4デニール、10デニール、35デニール、またはさらに60デニールから130デニール、100デニール、またはさらに80デニールまでであり、いくつかの実施形態において、平均が約70デニールである。これらの実施形態のうちのいずれかにおいて、上記繊維は、少なくとも710lbf/in、800lbf/in、1000lbf/in、1200lbf/in、またはさらに1250lbf/inから1400lbf/inまで、そして他の実施形態において、少なくとも124N/mm、140N/mm、175N/mm、210N/mm、またはさらに219N/mmから245N/mmまでの破裂穿孔強度をジャージー編み布に提供し得る。これらの実施形態のうちのいずれかにおいて、上記繊維はまた、破断エネルギーが少なくとも25lbf−in、30lbf−in、35lbf−in、40lbf−in、または40.5lbf−inから200lbf−in、100lbf−in、または75lbf−inまでであるように、そして他の実施形態において、少なくとも2.8N−m、3.4N−m、4.0N−m、4.5N−m、または4.6N−mから22.6N−m、11.3N−m、または8.5N−mまでであるように、ジャージー編み布に破裂穿孔強度を提供し得る。これらの実施形態のうちのいずれかにおいて、依然として上記繊維はまた、破断時負荷が少なくとも6lb、7lb、8lb、または9lbから50lb、40lb、または20lbまでであるように、そして他の実施形態において、少なくとも2.7kg、3.2kg、3.6kg、またはさらに4.1kgから22.7kg、18.1kg、または9.1kgまでであるように、ジャージー編み布に破裂穿孔強度を提供し得る。
【0044】
いくつかの実施形態において、本発明の繊維は、80デニール、90デニール、100デニール、120デニール、もしくはさらに140デニールから300デニール、250デニール、200デニール、もしくはさらに160デニールまでであるか、またはいくつかの実施形態において、平均が約140デニールである。これらの実施形態のうちのいずれかにおいて、上記繊維は、少なくとも1200lbf/in、1300lbf/in、1500lbf/in、1700lbf/in、またはさらに1750lbf/inから1900lbf/inまでであるように、そして他の実施形態において、少なくとも210N/mm、228N/mm、263N/mm、298N/mm、またはさらに306N/mmから333N/mmまでであるように、ジャージー編み布に破裂穿孔強度(破断時負荷/厚さ)を提供し得る。これらの実施形態のうちのいずれかにおいて、上記繊維は、破断エネルギーが少なくとも60lbf−in、70lbf−in、75lbf−in、80lbf−in、またはさらに83.5lbf−inから800lbf−in、200lbf−in、または150lbf−inまでであるように、そして他の実施形態において、少なくとも6.8N−m、7.9N−m、8.5N−m、9.0N−m、または9.4N−mから90.3N−m、22.6N−m、または16.9N−mまでであるように、ジャージー編み布に破裂穿孔強度を提供し得る。これらの実施形態のうちのいずれかにおいて、依然として上記繊維はまた、破断時負荷が少なくとも10lb、15lb、17lb、またはさらに17.5lbから100lb、75lb、50lb、または25lbまでであるように、そして他の実施形態において、少なくとも4.5kg、6.8kg、7.7kg、またはさらに7.9kgから45.4kg、34.0kg、22.7kg、または11.3kgまでであるように、ジャージー編み布に破裂穿孔強度を提供し得る。
【0045】
いくつかの実施形態において、本発明の繊維は、20デニール、30デニール、35デニール、またはさらに40デニールから100デニール、75デニール、60デニール、またはさらに50デニールまでであるか、またはいくつかの実施形態において、平均が約40デニールである。これらの実施形態のうちのいずれかにおいて、上記繊維は、少なくとも500lbf/in、750lbf/in、1000lbf/in、1400lbf/in、またはさらに1450lbf/inから1600lbf/in、または1500lbf/inまでであるように、そして他の実施形態において、少なくとも88N/mm、131N/mm、175N/mm、245N/mm、またはさらに254N/mmから280N/mm、または263N/mmまでであるように、ジャージー編み布に破裂穿孔強度(破断時負荷/厚さ)を提供し得る。これらの実施形態のうちのいずれかにおいて、上記繊維は、破断エネルギーが少なくとも10lbf−in、15lbf−in、20lbf−in、またはさらに20.5lbf−inから100lbf−in、75lbf−in、または50lbf−inまでであるように、そして他の実施形態において、少なくとも1.1N−m、1.7N−m、または2.3N−mから11.3N−m、8.5N−m、または5.6N−mまでであるように、ジャージー編み布に破裂穿孔強度を提供し得る。これらの実施形態のうちのいずれかにおいて、依然として上記繊維はまた、破断時負荷が少なくとも3lb、4lb、4.5lb、またはさらに5lbから40lb、20lb、または10lbまでであるように、そして他の実施形態において、少なくとも1.4kg、1.8kg、2.0kg、またはさらに2.3kgから18.1kg、9.1kg、または4.5kgまでであるように、ジャージー編み布に破裂穿孔強度を提供し得る。
【0046】
本発明の繊維は、モノフィラメント繊維であり得る。いくつかの実施形態において、上記繊維は、10ミクロン、30ミクロン、40ミクロン、またはさらに45ミクロンから500ミクロン、400ミクロン、300ミクロン、またはさらに200ミクロンまでの直径を有する。
【0047】
いくつかの実施形態において、本発明の繊維は、20デニールに作られる場合、20ミクロンまたは30ミクロンから55ミクロンまたは50ミクロンまでの直径を有し、40デニールに作られる場合、40ミクロンまたは60ミクロンから85ミクロンまたは80ミクロンまでの直径を有し、70デニールに作られる場合、75ミクロンまたは80ミクロンから130ミクロンまたは100ミクロンまでの直径を有し、140デニールに作られる場合、80ミクロンまたは100ミクロンから300ミクロンまたは150ミクロンまでの直径を有し、360デニールに作られる場合、175ミクロンまたは190ミクロンから225ミクロンまたは210ミクロンまでの直径を有し、あるいはそれらの組み合わせである。
【0048】
上の実施形態において、上記繊維は、提供される特定のデニールサイズまたは直径に限定されないことが言及される。むしろ、上記繊維は、上記繊維が特定のデニールに作られる場合に、上記繊維はどのくらいの直径を有するかに言及することによって記載される。対照的に、下の実施形態は、特定のデニールの繊維を扱う。
【0049】
いくつかの実施形態において、本発明の繊維は、10デニール〜30デニール、または平均約20デニールであり、そのような実施形態において、上記繊維は、10ミクロン、20ミクロン、またはさらに30ミクロンから65ミクロン、60ミクロン、55ミクロン、またはさらに50ミクロンまでの直径を有し、いくつかの実施形態において、48ミクロンの平均直径を有する。
【0050】
いくつかの実施形態において、本発明の繊維は、30デニール〜40デニール、または平均約30デニールであり、そのような実施形態において、上記繊維は、20ミクロン、30ミクロン、40ミクロン、またはさらに60ミクロンから115ミクロン、100ミクロン、85ミクロン、またはさらに80ミクロンまでの直径を有し、いくつかの実施形態において、73ミクロンの平均直径を有する。
【0051】
いくつかの実施形態において、本発明の繊維は、4デニール、10デニール、35デニール、またはさらに60デニールから130デニール、100デニール、または80デニールまで、または平均約70デニールを有する。そのような実施形態において、上記繊維は、50ミクロン、60ミクロン、70ミクロン、75ミクロン、またはさらに80ミクロンから220ミクロン、200ミクロン、150ミクロン、130ミクロン、またはさらに100ミクロンまでの直径を有し、いくつかの実施形態において、89ミクロンの平均直径を有する。
【0052】
いくつかの実施形態において、本発明の繊維は、80デニール、90デニール、100デニール、120デニール、または140デニールから300デニール、250デニール、200デニール、または160デニールまでである。いくつかの実施形態において、上記繊維は、平均が約140デニールである。そのような実施形態において、上記繊維は、50ミクロン、70ミクロン、80ミクロン、またはさらに100ミクロンから300ミクロン、250ミクロン、200ミクロン、またはさらに150ミクロンまでの直径を有し、いくつかの実施形態において、128ミクロンの平均直径を有する。
【0053】
いくつかの実施形態において、本発明の繊維は、150デニール、200デニール、またはさらに300デニールから1500デニール、500デニール、450デニール、またはさらに200デニールまでである。いくつかの実施形態において、上記繊維は、平均が約360デニールである。そのような実施形態において、上記繊維は、100ミクロン、150ミクロン、175ミクロン、またはさらに190ミクロンから400ミクロン、250ミクロン、225ミクロン、またはさらに210ミクロンまでの直径を有し、いくつかの実施形態において、198ミクロンの平均直径を有する。
【0054】
いくつかの実施形態において、本発明の繊維の直径は、式によって記載され、ここで繊維の直径は、ミクロン単位で0.48乗された上記繊維のデニールの11.7倍にほぼ等しい(直径=11.7×デニール
0.48)。いくつかの実施形態において、上記繊維の直径は、記載された方程式の結果を中心とした(centered)20ミクロン、10ミクロン、またはさらに5ミクロンの範囲内にある。
【0055】
いくつかの実施形態において、本発明の繊維は、40デニール〜90デニールであり、100%と200%との間の伸び率の負荷サイクルにおいて、80%と130%との間で増加するモジュラスを第5引張サイクルにおいて有し、ジャージー編み布へと作られる場合、上記布についての破断時負荷/厚さがASTM D751によって測定される場合に710lbf/inと1600lbf/in(124N/mmと280N/mm)との間であるように、破裂穿孔強度を有し、80ミクロン〜100ミクロンの直径を有するモノフィラメントである。
【0056】
いくつかの実施形態において、本発明の繊維は、90デニール〜160デニールであり、100%と200%との間の伸び率の負荷サイクルにおいて、50%と120%との間で増加するモジュラスを第5引張サイクルにおいて有し、100ミクロン〜150ミクロンの直径を有するモノフィラメントである。
【0057】
いくつかの実施形態において、本発明の繊維は、300デニール〜400デニールであり、100%と200%との間の伸び率の負荷サイクルにおいて、50%と150%との間で増加するモジュラスを第5引張サイクルにおいて有し、180ミクロン〜220ミクロンの直径を有するモノフィラメントである。
【0058】
ポリマー
本発明の繊維は、ポリマーから作られる。いくつかの実施形態において、上記繊維は、熱可塑性ポリウレタンポリマーから作られる。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、上記ポリウレタンは、ポリエステル熱可塑性ポリウレタンである。いくつかの実施形態において、上記ポリウレタンは、レオロジー改変剤と反応させられ、例えば、それは、ポリエーテル架橋剤で架橋され得る。上記繊維は、それら自体、少なくとも500,000(500k)の重量平均分子量(Mw)を有し得る。上記繊維は、少なくとも500k、600k、またはさらに650kのMwを有し得、また、現在のあらゆる測定手段を超えるほど高い場合があるか、またはいくつかの実施形態において、120万もの高いMwであり得る。さらに、上記繊維が作られる上記ポリマーは、500k〜1500kのMwを有し得る。上記ポリマーは、500k超、600k超、またはさらに650k超のMwを有し得、1500k以下、またはさらに1000k以下のMwを有し得る。
【0059】
本発明の繊維は、熱可塑性エラストマーから作られ得る。いくつかの実施形態において、上記熱可塑性エラストマーは、熱可塑性ポリウレタン(TPU)である。本発明は、一般に、TPUを用いて本明細書中に記載されるが、これは1つの実施形態でしかなく、当業者によって他の熱可塑性エラストマーが使用され得ると理解されるべきである。
【0060】
本発明において使用されるTPUポリマーのタイプは、下に定義されるように、TPUポリマーが適当な分子量を有する限り、当分野および文献において公知である任意の従来のTPUポリマーであり得る。適切なTPUポリマーは、ポリイソシアネートを1種以上の連鎖延長剤とともに中間体(例えば、ヒドロキシル末端ポリエステル、ヒドロキシル末端ポリエーテル、ヒドロキシル末端ポリカーボネート、またはそれらの混合物)と反応させることによって調製され得る。これらのすべては当業者に周知である。
【0061】
ヒドロキシル末端ポリエステル中間体は、一般に、約500〜約10,000、または約700〜約5,000、またはさらに約700〜約4,000のMnを有し、一般に1.3未満、または0.8未満の酸価を有する直鎖ポリエステルである。分子量は、末端官能基のアッセイによって決定され、数平均分子量と関連付けられる。ポリマーは、(1)1つ以上のグリコールと1つ以上のジカルボン酸または酸無水物とのエステル化反応によって、あるいは(2)エステル交換反応、すなわち1つ以上のグリコールとジカルボン酸のエステルとの反応によって製造される。末端ヒドロキシル基が優勢である直鎖を得るためには、一般に、酸に対して1モル超のグリコールのモル比が好ましい。適当なポリエステル中間体は、さまざまなラクトン、例えば通常はε−カプロラクトンと二官能性開始剤、例えばジエチレングリコールとから作られるポリカプロラクトンも含む。所望のポリエステルのジカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香族、またはそれらの組み合わせであり得る。単独で用いられても混合物中で用いられ得る適当なジカルボン酸は、一般に、合計4個〜15個の炭素原子を有し、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、および類似物を含む。上記のジカルボン酸の無水物、例えば無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、または類似物も用いられ得る。いくつかの実施形態において、上記酸は、アジピン酸である。反応して望ましいポリエステル中間体を形成するグリコールは、脂肪族、芳香族、またはそれらの組み合わせであり得、合計2個〜12個の炭素原子を有し、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、および類似物を含む。いくつかの実施形態において、上記グリコールは、1,4−ブタンジオールを含む。
【0062】
ヒドロキシル末端ポリエーテル中間体は、2個〜6個の炭素原子を有するアルキレンオキシド、通常はエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドまたはその混合物を含むエーテルと反応させた、合計2個〜15個の炭素原子を有するジオールまたはポリオール、好ましくはアルキルジオールまたはグリコールから誘導されるポリエーテルポリオールである。例えば、ヒドロキシル官能ポリエーテルは、最初にプロピレングリコールをプロピレンオキシドと反応させ、続いてエチレンオキシドと次の反応をさせることによって製造され得る。エチレンオキシドから得られる一級ヒドロキシル基は、二級ヒドロキシル基より反応性が高く、従って好ましい。有用な市販のポリエーテルポリオールは、エチレングリコールと反応させたエチレンオキシドを含むポリ(エチレングリコール)、プロピレングリコールと反応させたプロピレンオキシドを含むポリ(プロピレングリコール)、テトラヒドロフランと反応させた水を含むポリ(テトラメチルグリコール)(PTMEG)を含む。いくつかの実施形態において、上記ポリエーテル中間体は、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)である。ポリエーテルポリオールは、アルキレンオキシドのポリアミン付加体をさらに含み、例えばエチレンジアミンとプロピレンオキシドとの反応生成物を含むエチレンジアミン付加体、ジエチレントリアミンとプロピレンオキシドとの反応生成物を含むジエチレントリアミン付加体、および同様なポリアミン型のポリエーテルポリオールを含み得る。本発明においてコポリエーテルも利用し得る。通常のコポリエーテルは、THFとエチレンオキシド、またはTHFとプロピレンオキシドとの反応生成物を含む。これらは、BASFからブロックコポリマーであるPoly THF B、およびランダムコポリマーであるポリTHF Rとして入手可能である。さまざまなポリエーテル中間体は、一般に、末端官能基のアッセイによって決定される数平均分子量(Mn)を有し、Mnは、約700より大きな、例えば約700〜約10,000、または約1000〜約5000、またはさらに約1000〜約2500の平均分子量である。特定の望ましいポリエーテル中間体は、2つ以上の異なる分子量のポリエーテルのブレンド、例えばM
nが2000のPTMEGとM
nが1000のPTMEGのブレンドである。
【0063】
本発明の1つの実施形態は、アジピン酸を、1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールとの50/50のブレンドと反応させて作られるポリエステル中間体を用いる。
【0064】
本発明のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂は、ジイソシアネートを、ヒドロキシル末端ポリカーボネートと連鎖延長剤とのブレンドと反応させることによって調製される。ヒドロキシル末端ポリカーボネートは、グリコールをカーボネートと反応させることによって調製され得る。米国特許第4,131,731号が開示する、ヒドロキシル末端ポリカーボネートおよびそれらの調製法は、参照により本明細書によって組み込まれる。そのようなポリカーボネートは直鎖であり、末端ヒドロキシル基を有し、基本的に他の末端基は含まれない。必須の反応体は、グリコールおよびカーボネートである。適当なグリコールは、4個〜40個、または4個〜12個の炭素原子を含む脂環式および脂肪族ジオールから、ならびに、分子あたり2個〜20個のアルコキシ基を含み、各アルコキシ基は2個〜4個の炭素原子を含むポリオキシアルキレングリコールから選ばれる。本発明において用いるのに適しているジオールは、4個〜12個の炭素原子を含む脂肪族ジオール、例えば1,4−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、水素化ジリノレイルグリコール、水素化ジオレイルグリコール、および脂環式ジオール、例えば1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−ジメチロールシクロヘキサン、1,4−エンドメチレン−2−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチルシクロヘキサン、およびポリアルキレングリコールを含む。上記反応において用いられるジオールは、最終製品において望まれる特性に応じて単一ジオールであってもジオールの混合物であり得る。
【0065】
末端がヒドロキシルであるポリカーボネート中間体は、一般に、当分野においておよび文献において公知のものである。適当なカーボネートは、次の一般式を有する5員〜7員環から構成される炭酸アルキレンから選ばれる。
【0066】
【化1】
ここで、Rは、2個〜6個の直鎖炭素原子を含む飽和2価ラジカルである。本発明において用いるのに適しているカーボネートは、炭酸エチレン、炭酸トリメチレン、炭酸テトラメチレン、炭酸1,2−プロピレン、炭酸1,2−ブチレン、炭酸2,3−ブチレン、炭酸1,2−エチレン、炭酸1,3−ペンチレン、炭酸1,4−ペンチレン、炭酸2,3−ペンチレン、および炭酸2,4−ペンチレンを含む。
【0067】
炭酸ジアルキル、脂環式カーボネート、および炭酸ジアリールも本発明において適している。炭酸ジアルキルは、各アルキル基中に2個〜5個の炭素原子を含み得、その特定の例は、炭酸ジエチルおよび炭酸ジプロピルである。脂環式カーボネート、特に二脂環式カーボネートは、各環構造中に4個〜7個の炭素原子を含み得、1つまたは2つのそのような構造があり得る。一方の基が脂環式のとき、他方はアルキルまたはアリールのどちらでもよい。これに対して、一方の基がアリールなら、他方はアルキルまたは脂環式であり得る。各アリール基中に6個〜20個の炭素原子を含み得る適切な炭酸ジアリールの例は、炭酸ジフェニル、炭酸ジトリル、および炭酸ジナフチルである。
【0068】
反応は、エステル交換触媒の存在下または非存在下で100℃〜300℃の温度および0.1mmHg〜300mmHgの範囲の圧力において蒸留によって低沸点グリコールを除去しながら10:1〜1:10、または3:1〜1:3のモル範囲でグリコールをカーボネート、例えば、炭酸アルキレンと反応させることによって行われる。
【0069】
より詳しくは、ヒドロキシル末端ポリカーボネートは2段階で調製される。第1段階において、グリコールを炭酸アルキレンと反応させて低分子量ヒドロキシル末端ポリカーボネートを生成させる。低沸点グリコールは、10mmHg〜30mmHg、または50mmHg〜200mmHgの減圧下で100℃〜300℃、または150℃〜250℃における蒸留によって除去される。副生物のグリコールを反応混合物から分離するために分留塔が用いられる。副生物のグリコールは塔頂部から取り出され、未反応炭酸アルキレンおよびグリコール反応体は還流として反応器に戻される。不活性ガスまたは不活性溶媒の流れを用いて、副生物のグリコールが生成される場合に副生物のグリコールの除去を促進し得る。得られた副生物のグリコールの量が、ヒドロキシル末端ポリカーボネートの重合度が2〜10の範囲であることを示したとき、圧力が0.1mmHg〜10mmHgに徐々に低くされ、未反応グリコールおよび炭酸アルキレンが除去される。これは、第2の反応段階の始まりを表し、第2の反応段階においては、100℃〜300℃、またはさらに150℃〜250℃および0.1mmHg〜10mmHgの圧力において、グリコールが生成されると同時に、グリコールを蒸留して除くことによって、所望の分子量のヒドロキシル末端ポリカーボネートに達するまで低分子量ヒドロキシル末端ポリカーボネートを縮合させる。ヒドロキシル末端ポリカーボネートの分子量(M
n)は、約500から約10,000まで異なり得るが、また、500〜2500の範囲であり得る。
【0070】
本発明のTPUポリマーを作る第2の必要な成分は、ポリイソシアネートである。本発明のポリイソシアネートは、一般に、式R(NCO)
nを有し、ここで、nは一般に2〜4であるか、または組成物が熱可塑性であるので2でもある。従って、3または4個の官能基を有するポリイソシアネートは、それらが架橋を引き起こすので、非常に少量、例えば、すべてのポリイソシアネートの合計重量を基準として重量で5%未満、望ましくは2%未満の量で利用される。Rは、一般に合計2個〜約20個の炭素原子を有する芳香族、脂環式、および脂肪族、またはそれらの組み合わせであり得る。適当な芳香族ジイソシアネートの例は、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、H
12 MDI、m−キシリレンジイソシアネート(XDI)、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、フェニレン−1,4−ジイソシアネート(PPDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、およびジフェニルメタン−3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアネート(TODI)を含む。適当な脂肪族ジイソシアネートの例は、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,6−ジイソシアナト−2,2,4,4−テトラメチルヘキサン(TMDI)、1,10−デカンジイソシアネート、およびtrans−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)を含む。いくつかの実施形態において、上記ジイソシアネートは、約3重量%未満のオルト−パラ(2,4)異性体を含むMDIである。
【0071】
本発明のTPUポリマーを作る第3の必要な成分は、連鎖延長剤である。適当な連鎖延長剤は、約2個〜約10個の炭素原子を有する低級脂肪族または短鎖グリコールであり、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキシルジメチロールのcis−trans異性体、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ブタンジオール、および1,5−ペンタンジオールを含む。芳香族グリコールも連鎖延長剤として使用され得、しばしば高熱利用のための選択肢である。ベンゼングリコール(HQEE)およびキシリレングリコールは、本発明のTPUを作るのに用いられる適当な連鎖延長剤である。キシリレングリコールは、1,4−ジ(ヒドロキシメチル)ベンゼンと1,2−ジ(ヒドロキシメチル)ベンゼンとの混合物である。ベンゼングリコールは、1つの適切な芳香族連鎖延長剤であり、詳しくは、ハイドロキノン、すなわち1,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとしても知られているビス(β−ヒドロキシエチル)エーテル;レゾルシノール、すなわち1,3−ジ(2−ヒドロキシエチル)ベンゼンとしても知られているビス(β−ヒドロキシエチル)エーテル;カテコール、すなわち1,2−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとしても知られているビス(β−ヒドロキシエチル)エーテル;およびそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、上記連鎖延長剤は、1,4−ブタンジオールである。
【0072】
上記の3つの必要な成分(ヒドロキシル末端中間体、ポリイソシアネート、および連鎖延長剤)は、触媒の存在下で反応させられ得る。一般に、ジイソシアネートをヒドロキシル末端中間体または連鎖延長剤と反応させるために、任意の従来の触媒も利用し得、当分野および文献において同じことが周知である。適当な触媒の例は、ビスマスまたはスズのさまざまなアルキルエーテルまたはアルキルチオールエーテルを含み、ここで、アルキル部分は1個〜約20個の炭素原子を有し、特定の例は、ビスマスオクトエート、ビスマスラウレート、および類似物を含む。適切な触媒は、さまざまなスズ触媒、例えば第一スズオクトエート、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウレート、および類似物を含む。そのような触媒の量は、一般に少なく、例えばポリウレタン形成モノマーの合計重量を基準として約20ppm(百万分率)〜約200ppmである。
【0073】
本発明のTPUポリマーは、当分野および文献において周知の従来の重合法のいずれによって作られ得る。
【0074】
本発明の熱可塑性ポリウレタンは、「ワンショット」プロセスによって作られ得る。このプロセスにおいては、加熱されている押し出し機にすべての成分が一緒に同時に、または実質的に同時に加えられ、反応してポリウレタンを生成する。ヒドロキシル末端中間体におけるヒドロキシル基とジオール連鎖延長剤との合計当量に対するジイソシアネートに存在するイソシアネート基の当量比は、一般に、約0.95〜約1.10、または約0.97〜約1.03、またはさらに約0.97〜約1.00である。生成するTPUのショアA硬度は、完成した物品の最も望ましい特性を達成するために65A〜95A、または約75A〜約85Aであるべきである。ウレタン触媒を利用する反応温度は、一般に、約175℃〜約245℃、または約180℃〜約220℃である。熱可塑性ポリウレタンの重量平均分子量(Mw)は、GPCによりポリスチレン標準と比較して測定して、約100,000〜約800,000、または約150,000〜約400,000、またはさらに約150,000〜約350,000であり得る。これらの実施形態のうちのいずれかにおいて、上記熱可塑性ポリウレタンポリマーの重量平均分子量(Mw)は、少なくとも400,000、またはさらに少なくとも500,000である。
【0075】
本熱可塑性ポリウレタンは、プレポリマープロセスを利用して調製され得る。プレポリマー経路においては、ヒドロキシル末端中間体を一般に過剰当量の1つ以上のポリイソシアネートと反応させて、溶液中に遊離のまたは未反応のポリイソシアネートを含むプレポリマー溶液を形成させる。反応は、一般に、適当なウレタン触媒の存在下で約80℃〜約220℃、または約150℃〜約200℃の温度で行われる。続いて、上述の選択型の連鎖延長剤が、イソシアネート末端基に、および任意の遊離または未反応のジイソシアネート化合物に概ね等しい当量で加えられる。ヒドロキシル末端中間体と連鎖延長剤との両方の合計当量に対するジイソシアネート全体の全体的な当量比は、従って、約0.95〜約1.10、または約0.98〜約1.05、またはさらに約0.99〜約1.03である。連鎖延長剤に対するヒドロキシル末端中間体の当量比は、65A〜95A、または75A〜85Aのショア硬度をもたらすように調整される。鎖延長反応温度は、一般に、約180℃〜約250℃、または約200℃〜約240℃である。通常は、プレポリマー経路は、任意の従来の装置中で行われ得、押し出し機が好ましい。従って、押し出し機の第1の部分の中でヒドロキシル末端中間体を過剰当量のジイソシアネートと反応させてプレポリマー溶液を生成させ、続いて、下流の部分で連鎖延長剤を加え、プレポリマー溶液と反応させる。任意の従来の押し出し機が利用がされ得、直径に対する長さの比が少なくとも20、または少なくとも25であるバリアスクリューを備えた押し出し機が利用される。
【0076】
本発明の繊維を作るために使用されるポリマー組成物はまた、1種以上のさらなる添加剤を含み得る。有用な不透明化顔料は、二酸化チタン、酸化亜鉛、およびチタネートイエロー(titanate yellow)を含み、有用な彩色顔料は、カーボンブラック、黄色酸化物、褐色酸化物、粗および焼けたシエナ土またはアンバー、酸化クロムグリーン、カドミウム顔料、クロム顔料、および他の混合金属酸化物および有機顔料を含む。有用な充填剤は、珪藻土(スーパーフロス)粘土、シリカ、タルク、雲母、珪灰石、硫酸バリウム、および炭酸カルシウムを含む。望むなら、有用な安定剤、例えば酸化防止剤を使用し得、有用な安定剤は、フェノール系酸化防止剤を含み得、有用な光安定剤は、有機リン酸エステル、および有機スズチオラート(メルカプチド)を含む。有用な潤滑剤は、金属ステアリン酸塩、パラフィン油、およびアミドワックスを含む。有用な紫外線吸収剤は、2−(2’−ヒドロキシフェノール)ベンゾトリアゾールおよび2−ヒドロキシベンゾフェノンを含む。
【0077】
特性に影響を及ぼすことなく硬度を低下させるために可塑剤添加剤も有利に利用され得る。
【0078】
溶融紡糸プロセスの間に、上に記載されるTPUポリマーは、レオロジー改変剤(RMA)と反応させられ得、例えば、上記ポリマーは、架橋剤で軽度に架橋され得る。そのような剤は、代表的に、ヒドロキシル末端中間体のプレポリマーであり、ヒドロキシル末端中間体のプレポリマーは、ポリイソシアネートと反応したポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリカプロラクトン、またはそれらの混合物である。いくつかの実施形態において、上記剤は、ポリエステル、ポリエーテル、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、ポリエーテル剤は、ポリエステルTPUと使用される。プレポリマーである架橋剤は、約1.0個超、または約1.0個〜約3.0個、またはさらに約1.8個〜約2.2個のイソシアネート官能基を有する。いくつかの実施形態において、ヒドロキシル末端中間体の両末端がイソシアネートでキャップされ、従って2.0個のイソシアネート官能基を有する。
【0079】
RMA剤を作るために使用されるポリイソシアネートは、TPUポリマーを作るために上に記載されたものと同じである。いくつかの実施形態において、上記ポリイソシアネートは、ジイソシアネート(例えば、MDI)である。
【0080】
RMA剤プレポリマーは、約1,000〜約10,000、または約1,200〜約4,000、またはさらに約1,500〜約2,800のMwを有する。約1500超のMwを有する架橋剤は、より良好に設定された特性を与える。
【0081】
TPUポリマーと共に使用されるRMA剤の重量百分率は、約2.0%〜約20%、約8.0%〜約15%、または約10%〜約13%である。使用されるRMA剤の百分率は、TPUポリマーとRMA剤の合計重量を基準とする重量百分率である。
【0082】
プロセス
本発明の繊維を作るための紡糸プロセスは、予め形成されたポリマー化合物(例えば、TPU)を押し出し機に供給してTPUを融解させることを含む。レオロジー改変剤(RMA)、例えば、架橋剤は、TPU溶融物が押し出し機から出る地点に近い下流で、またはTPU溶融物が押し出し機を出た後に連続的に加えられ得る。RMAは、上記溶融物が押し出し機から出る前に押し出し機に加えられても上記溶融物が押し出し機を出た後に押し出し機に加えられてもよい。RMAは、上記溶融物が押し出し機から出た後に加えられる場合、適切な混合を確実にするために、静的または動的ミキサーを用いてTPU溶融物と混合されるべきである。押し出し機から出た後に、上記溶融物はマニホールドに流入する。上記マニホールドは溶融物の流れを1つ以上のより小さな流れに分割し、それぞれの流れは複数の紡糸口金に供給される。上記紡糸口金は小さな孔を有し、上記溶融物は押し込まれて上記小さな孔を通り、繊維の形態で紡糸口金から出る。いくつかの実施形態において、上記繊維は、モノフィラメント繊維のままである。上記紡糸口金における孔のサイズは、上記繊維の所望のサイズに依存する。
【0083】
ポリマー溶融物は、紡糸集積アセンブリを通過し、上記紡糸集積アセンブリを繊維として出る。いくつかの実施形態において、使用される紡糸集積アセンブリは、上記アセンブリを通るポリマーの栓流をもたらすものである。いくつかの実施形態において、上記紡糸集積アセンブリは、本明細書にその全体が組み込まれるPCT特許出願WO2007/076380号に記載されているものである。
【0084】
上記繊維は、一旦紡糸口金から出ると、糸巻に巻き取られる前に冷却され得る。いくつかの実施形態において、上記繊維は、第1のゴデットの上を通過し、仕上げ油が塗布され、上記繊維は第2のゴデットに進む。上記プロセスの重要な局面は、上記繊維が糸巻に巻き取られる相対スピードである。相対スピードとは、糸巻の巻き取りスピードとの関係における紡糸口金から出る溶融物のスピード(溶融物速度)を意味する。代表的なTPU溶融紡糸プロセスについて、上記繊維は、溶融物速度のスピードの4倍〜6倍のスピードで巻き取られる。これは、上記繊維を引っ張るかまたは延伸する。本発明の固有の繊維の場合、この大きな引張りは好ましくない。上記プロセスを稼動するために、上記繊維は、少なくとも溶融物速度と等しいスピードで巻き取られなければならない。本発明の繊維の場合、上記繊維は、溶融物速度よりも50%を超えない速いスピードで、他の実施形態において、溶融物速度よりも20%を超えない速いスピード、溶融物速度よりも10%を超えない速いスピード、またはさらに溶融物速度よりも5%を超えない速いスピードで糸巻に巻き取られ得る。溶融物速度と同じである巻き取りスピードが理想的であると考えられるが、上記プロセスを効率的に稼動するためにはわずかにより高速な巻き取りスピードを有することが必要である。例えば、1分あたり300メートルのスピード、またはさらに1分あたり300メートルと315メートルとの間のスピードで紡糸口金から出る繊維。同様の例は、容易に明らかである。
【0085】
上に言及されるように、本発明の繊維は、さまざまなデニールで作られ得る。デニールは、繊維サイズを指定する当分野における用語である。デニールは、グラムで表した9000メートルの繊維長さの重量である。
【0086】
本発明のプロセスによって繊維が作られるとき、冷却後もしくは冷却中に、および/または糸巻に巻き取られる直前に、粘着防止添加剤(例えば仕上げ油(その例はシリコーンオイルである))が繊維の表面に加えられ得る。
【0087】
溶融紡糸プロセスの1つの重要な局面は、ポリマー溶融物と架橋剤との混合である。一様な繊維特性を達成し、繊維破断が起こることなく長い稼動時間を達成するために適当な一様な混合が重要である。溶融物と架橋剤との混合は、栓流、すなわち先入れ先出しを達成する方法であるべきである。適当な混合は、動的ミキサーまたは静的ミキサーで達成され得る。静的ミキサーの方が清掃し難く、従って動的ミキサーの方が好ましい。供給スクリューおよび混合ピンを有する動的ミキサーが好ましいミキサーである。参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,709,147号は、そのようなミキサーを記載し、回転し得る混合ピンを有する。混合ピンは、定位置にあり得、例えばミキサーの胴体部に取り付けられ、供給スクリューの中心線の方へ伸び得る。混合供給スクリューは、ネジによって押し出し機スクリューの末端に取り付けられ得、ミキサーのハウジングは押し出し機にボルト留めされ得る。動的ミキサーの供給スクリューは、ポリマー溶融物を漸進的に動かし、後方混合がほとんどなく、溶融物の栓流を達成する設計にするべきである。混合スクリューのL/Dは、3を超える値から30未満まで、または約7から約20まで、より好ましくは約10から約12までであるべきである。
【0088】
TPUポリマー溶融物が架橋剤と混合される混合ゾーンにおける温度は、約200℃〜約240℃、または約210℃〜約225℃であり得る。これらの温度は、一般に、上記ポリマーを劣化させないで反応させるために必要である。
【0089】
紡糸温度(紡糸口金中の上記ポリマー溶融物の温度)は、上記ポリマーの融点より高いか、または上記ポリマーの融点の約10℃〜約20℃上の温度であるべきである。使用し得る紡糸温度が高いほど、紡糸はより良好になる。しかし、紡糸温度が高すぎる場合、ポリマーは分解し得る。いくつかの実施形態において、所望の紡糸温度は、TPUポリマーの融点の10℃〜20℃上の温度である。紡糸温度が低すぎる場合、紡糸口金中でポリマーが固化し、繊維破断を引き起こし得る。
【0090】
本発明は、以下の非限定的な実施例を参照することによってより良好に理解される。
【実施例】
【0091】
実施例中で用いられるTPUポリマーは、ポリエステルヒドロキシル末端中間体(ポリオール)を1,4−ブタンジオール連鎖延長剤およびMDIと反応させることによって作られた。ポリエステルポリオールは、アジピン酸を、1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールとの50/50混合物と反応させることによって作られた。ポリオールは、2500のM
nを有していた。TPUは、ワンショットプロセスによって作られた。紡糸プロセスの間にTPUに加えられた架橋剤は、M
nが1000のPTMEGをMDIと反応させてイソシアネートでエンドキャップされたポリエーテルを作り出すことによって作られたポリエーテルプレポリマーであった。架橋剤は、TPUと架橋剤との合計重量の10重量%のレベルで用いられた。実施例において用いられる40、70、140および360デニールの繊維を作るために、繊維が溶融紡糸された。
【0092】
(実施例1)
この実施例は、既存の従来技術の溶融紡糸TPU繊維(40デニール)および市販乾式紡糸繊維(70デニール)と比較して、本発明の繊維(70デニール)の比較的平らなモジュラス曲線を示すために提示される。
【0093】
用いた試験手順は、弾性特性を試験するための上述した試験手順であった。Instron Model 5564張力計をMerlin Softwareとともに用いた。試験条件は、23℃±2℃および湿度50%±5%においてとした。試験試料の繊維長さは50.0mmとした。4つの試料が試験され、結果は試験された4つの試料の平均値である。結果は、表Iに示されている。
【0094】
【表1】
上記のデータのすべては、試験された4つの試料についての平均値である。
【0095】
上記のデータから、本発明の溶融紡糸繊維は、第5試験サイクルの間に比較的平らなモジュラス曲線を有することが分かる。第1サイクルは、繊維中の応力を解放するので、通常無視される。
【0096】
(実施例2)
この実施例は、市販の乾式紡糸繊維と比較した本発明の溶融紡糸繊維の幅を示すために提示される。幅は、SEMによって決定された。結果は、表IIに示されている。
【0097】
【表2】
分かるように、乾式紡糸繊維の方がはるかに高い幅を有し、デニールが増加するほど差が大きくなる。
【0098】
(実施例3)
本実施例は、市販乾式紡糸ポリウレタン繊維と比較した本発明の溶融紡糸TPU繊維の向上した破裂強度を示すために提示されている。70デニール繊維が用いられてそれぞれのタイプの繊維から単一のジャージー編み布が調製された。この布の破裂穿孔強度がASTM D751に従って試験された。結果は、表IIIに示されている。結果は、試験された5つの試料の平均である。
【0099】
【表3】
本発明の溶融紡糸繊維は乾式紡糸繊維より高い引張強さを有しなかったにもかかわらず、溶融紡糸繊維の破裂強度がより高かったことは非常に驚くべきことであった。
【0100】
特許法令に従って、最良のモードおよび好ましい実施形態を示してきたが、本発明の範囲はそれらに限定されず、むしろ添付の請求項の範囲によって限定される。