特許第5753710号(P5753710)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5753710静電型液体塗布装置及び静電型液体塗布方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5753710
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】静電型液体塗布装置及び静電型液体塗布方法
(51)【国際特許分類】
   B05B 5/025 20060101AFI20150702BHJP
   B05D 1/04 20060101ALI20150702BHJP
   B05D 7/20 20060101ALI20150702BHJP
   B05B 5/08 20060101ALI20150702BHJP
   B05B 5/14 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
   B05B5/025 A
   B05D1/04 K
   B05D7/20
   B05B5/08 B
   B05B5/14
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-54040(P2011-54040)
(22)【出願日】2011年3月11日
(65)【公開番号】特開2012-187531(P2012-187531A)
(43)【公開日】2012年10月4日
【審査請求日】2014年2月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】504208474
【氏名又は名称】LUI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】大和田 弘
【審査官】 大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−106129(JP,A)
【文献】 特表2005−518278(JP,A)
【文献】 実開昭62−059164(JP,U)
【文献】 実開昭59−123564(JP,U)
【文献】 実開昭52−128665(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B5/00−5/16,15/00−15/12
B05D1/00−7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル内に設けた導電性部材に被塗布材となる線状部材とは逆極性の電圧を印加し、前記ノズルの本体部分と前記導電性部材と間の液体流路に供給した塗布液を、前記導電性部材と同極性に帯電させつつ前記ノズルの吐出口から吐出して前記線状部材に付着させ塗布する静電型液体塗布装置であって、
前記線状部材を間に挟んで前記ノズルと反対側に、前記帯電した塗布液と逆極性に帯電している塗布液誘導を配置し
前記ノズルの吐出口は、前記線状部材の延長方向に沿って、当該延長方向に対して直交する方向よりも長く形成されていて、この長く形成されたノズルの吐出口の前方に前記線状部材が配置されていることを特徴とする静電型液体塗布装置。
【請求項2】
前記ノズルから吐出されて前記線状部材に付着しなかった余剰の塗布液を回収する塗布液回収部と、この塗布液回収部に回収した塗布液を前記ノズルに供給する塗布液供給部とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の静電型液体塗布装置。
【請求項3】
ノズル内に設けた導電性部材に被塗布材となる線状部材とは逆極性の電圧を印加し、前記ノズルの本体部分と前記導電性部材と間の液体流路に供給した塗布液を、前記導電性部材と同極性に帯電させつつ前記ノズルの吐出口から吐出して前記線状部材に付着させ塗布する静電型液体塗布方法であって、
前記線状部材の延長方向に沿って、当該延長方向に対して直交する方向よりも長く形成した前記吐出口から塗布液を吐出し、前記吐出された塗布液を、前記線状部材を間に挟んで前記ノズルと反対側に配置された、前記帯電した塗布液と逆極性に帯電している塗布液誘導が誘導しつつ、前記塗布液の一部を前記吐出口の前方の前記線状部材に付着させて塗布することを特徴とする静電型液体塗布方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル内に設けた導電性部材に被塗布材とは逆極性の電圧を印加し、ノズルの本体部分と導電性部材と間の液体流路に供給した塗布液を、導電性部材と同極性に帯電させつつノズルの吐出口から吐出して被塗布材となる線状部材に付着させ塗布する静電型液体塗布装置及び静電型液体塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被塗布材としてワイヤなどの線状部材に液体を塗布する装置としては、例えば下記特許文献1には記載されたものが知られている。この液体塗布装置は、潤滑油タンク内の潤滑油に一部を入り込ませたローラを回転させて潤滑油を掻き揚げ、この掻き揚げた潤滑油が付着しているローラに線状部材を接触させつつ移動させることで、線状部材に液体を塗布している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−164353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の液体塗布装置では、ローラに付着した潤滑油を転写するようにして線状部材に塗布するものであるため、塗布量が均一になりにくく、改善が望まれている。
【0005】
また、線状部材を液体内に浸漬させることにより付着させることも考えられるが、この場合には線状部材に液体が多量に付着して、塗布後に線状部材を搬送する際に余剰に付着した液体が滴下するなどして、液体の無駄が発生するとともに作業環境の悪化を招く。
【0006】
そこで本発明は、線状部材に、より均一化した状態で液体を塗布することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ノズル内に設けた導電性部材に被塗布材となる線状部材とは逆極性の電圧を印加し、前記ノズルの本体部分と前記導電性部材と間の液体流路に供給した塗布液を、前記導電性部材と同極性に帯電させつつ前記ノズルの吐出口から吐出して前記線状部材に付着させ塗布する静電型液体塗布装置であって、前記線状部材を間に挟んで前記ノズルと反対側に、前記帯電した塗布液と逆極性に帯電している塗布液誘導を配置し、前記ノズルの吐出口は、前記線状部材の延長方向に沿って、当該延長方向に対して直交する方向よりも長く形成されていて、この長く形成されたノズルの吐出口の前方に前記線状部材が配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ノズルから吐出された塗布液が、線状部材を間に挟んでノズルと反対側に配置してある塗布液誘導に誘導されつつ線状部材を通過するので、ノズルから吐出された塗布液は、線状部材により集中して移動することになって、線状部材のノズルと反対側も含めてその周囲により均一に付着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(a)は、本発明の一実施形態に係わる静電型液体塗布方法の概略を示す平面、(b)は(a)の横(図中では下方)から見た図に相当する側面図である。
図2図1の静電型液体塗布方法に使用する静電型液体塗布装置の全体構成図である。
図3図2の静電型液体塗布装置における静電型液体塗布装置本体の具体的な構成を示す平面図である。
図4図3の静電型液体塗布装置本体の横(図中では下方)から見た図に相当する側面図である。
図5図3のD−D線断面に対応するノズルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0011】
本発明の一実施形態に係わる静電型液体塗布装置は、図1に示すように、導電性の液体である潤滑油1を吐出するノズル3の前方(図1中で右方向)に、被塗布材である線状部材としてのワイヤ5を配置し、そのさらに前方に塗布液誘導部材としての塗布液誘導板7を配置している。すなわち、本実施形態では、線状部材を間に挟んでノズルと反対側に塗布液誘導部材を配置していることになる。
【0012】
なお、図1(b)に示すように、本実施形態では一例として、ノズル3の吐出口3aとワイヤ5の中心との間隔Lを180mm、ワイヤ5の中心と塗布液誘導板7との間隔を30〜50mmとしている。これらの間隔L,Mは、潤滑油1の導電率や後述する高電圧発生器37が発生する電圧によって適宜変更可能である。潤滑油1の導電率は、例えば2万〜10万PS(ピコシーメンス)であり、この導電率によって上記した高電圧発生器37が発生する電圧(−50kv〜−80kv)も変更される。
【0013】
ノズル3は、図1(a)中で紙面の上下方向(図1(b)中では紙面に直交する方向)に長く形成されている。そして、この長く形成された方向に沿ってワイヤ5が、例えば800〜1200m/minの速度で搬送され、その搬送中のワイヤ5に対して潤滑油1を塗布する。その際、ワイヤ5は、図1(b)に示すようにノズル3の吐出口3aの前方に位置している。
【0014】
また、塗布液誘導板7は上記ワイヤ5の搬送方向に長い長方形状としてあり、ワイヤ5を、この長方形状の塗布液誘導板7の短辺方向(図1(b)中で上下方向)に対して中央部に配置している。さらに、塗布液誘導板7の長辺方向(図1(a)中で上下方向)の長さは、ノズル3の吐出口3aの長手方向(図1(a)中で上下方向)長さに対して同等か1.5倍程度でよく、吐出口3aの長手方向の中心と、塗布液誘導板7の長辺方向の中心とをほぼ一致させている。
【0015】
なお、ここでのノズル3の吐出口3aは、図1(a)に示すように、ノズル3の長手方向中心部に位置する中心吐出部Aと、その長手方向両側に位置する両側吐出部B,Cとを備え、これら各吐出部A,B,Cを適宜切り替え可能となっている。本実施形態では、中心吐出部Aのみから潤滑油1が吐出するように設定して吐出口3aとしている。また、各吐出部A,B,Cの切り替えは、電磁弁や手動によって開閉するバルブによって行い、3つの吐出部A,B,Cのうちすべてを使用したり、2つのみを適宜組み合わせて使用することも可能である。
【0016】
また、本実施形態では、ノズル3の吐出口3aの前方近傍の図1(b)中で上下両側、すなわち吐出した潤滑油1の両側に、一対のインダクタバー9を配置している。インダクタバー9は、配線11に接続した高抵抗12を通して接地することで微弱な正電位を有する。このためインダクタバー9を設けることで、負電位を有する潤滑油1の図1(b)中で上下方向の広がり幅を調整するとともに、霧化を促進することができ、ワイヤ5の周囲に均等に潤滑油1を塗布することができる。なお、図1(b)では、配線11及び高抵抗12を省略している。
【0017】
ここで、潤滑油1は、ノズル3内を流れる際に後述するようにして負の電荷に帯電する一方、ワイヤ5と塗布液誘導板7は接地してあって正の電荷に帯電している。したがって、ノズル3から吐出された潤滑油1の一部は、潤滑油1と逆極性のワイヤ5に引き付けられて付着するが、その際潤滑油1は、塗布液誘導板7にも引き付けられ誘導されてワイヤ5の周囲を通過する。
【0018】
このとき塗布液誘導板7は、ワイヤ5を通過する潤滑油1の霧化された粒子の広がりを抑えて密集を高めるとともに、ワイヤ5に付着しない潤滑油1の粒子が外部に飛散しないように機能する。
【0019】
塗布液誘導板7は、ノズル3とワイヤ5との間隔Lよりもワイヤ5との間隔Mを短くしてワイヤ5に比較的近い位置にあり、かつ図1(b)に示すようにワイヤ5の中心に対して上下方向の長さを比較的短くしている。このため、塗布液誘導板7により誘導される潤滑油1は、ノズル3から吐出された後、噴霧の拡散(特に図1(b)中で上下方向の拡散)が抑えられ、ワイヤ5により集中するようにして流れることになる。その結果、吐出された潤滑油1は、ワイヤ5の塗布液誘導板7に対向する側にも回りこんでその全周に効率よくかつ均一に付着して塗布されることになる。
【0020】
なお、塗布液誘導板7は、ワイヤ5に対して適宜接近離反移動させることで、図1(b)に示すような潤滑油1の噴霧の広がり形状を変化させることができ、これによりワイヤ5の周囲により均一に潤滑油1を付着させるように調整することができる。
【0021】
このような静電型液体塗布装置は、図2に示すようにノズル3を備える静電型液体塗布装置本体13と、静電型液体塗布装置本体13に潤滑油を供給する塗布液供給部としての潤滑油ポンプ15と、潤滑油ポンプ15を駆動制御する制御部となる制御装置17とを備えている。
【0022】
潤滑油ポンプ15の3つのポンプ吐出口15a,15b,15cとノズル3とは、図1に示してある中心吐出部A及び両側吐出部B,Cにそれぞれ対応する3本の吐出管路19(19a,19b,19c)で接続している。また、静電型液体塗布装置本体13の図2中で右側の先端部付近とノズル3との間の下方には、塗布液回収部としての潤滑油トレイ21を配置し、この潤滑油トレイ21と潤滑油ポンプ15のポンプ吸引口15bとは、潤滑油回収管路23により接続している。
【0023】
ここで、ノズル3から吐出される潤滑油1の全量のうち、例えば直径0.4〜0.7mmのワイヤ5に付着する割合は5〜10%程度である。ワイヤ5に付着しなかった余剰の潤滑油1は、塗布液誘導板7にも付着するが、その他は下方に落下して上記した潤滑油トレイ21に溜まることになる。そして、この潤滑油トレイ21に溜まった潤滑油を、ポンプ15が潤滑油回収管路23を通して回収し、再度ノズル3に供給して再利用することになる。このため、ワイヤ5に付着しなかった余剰の潤滑油1は、廃棄されることなく、有効利用することができる。
【0024】
また、ワイヤ5に塗布する潤滑油1の量は、定量ポンプである潤滑油ポンプ15の送り量によって変化する。
【0025】
次に、図3図4を用いて静電型液体塗布装置本体13の具体的な構成ついて説明する。静電型液体塗布装置本体13は、ノズル3の長手方向(図3中で上下方向)に長い長方形状の端板25と、端板25の図3中で上下方向両端に一端が連結される一対の側板27とを有するフレーム29を備えている。
【0026】
ノズル3は、図3に示すように、フレーム29の端板25側に位置するノズルブラケット31に取り付けている。ノズルブラケット31は、端板25に近接する取付部31aが、側板27に向けて突出しており、この突出した端部を側板27の内面に取付ボルト32により取り付けている。側板27には、前後方向(図4中で左右方向)に長い長孔27aを形成してあり、この長孔27aに沿って取付ボルト32をノズルブラケット31とともにスライド移動させることで、ノズル3をワイヤ5に対して接近離反移動する方向である前後方向に移動調整可能となる。
【0027】
ノズルブラケット31の側板27側の端面には、インダクタバー支持板33を固定してあり、インダクタバー支持板33の端板25と反端側に突出した端部には、前記した一対のインダクタバー9を支持させて取り付けている。インダクタバー支持板33には、図4に示すように上下方向に長い長孔33aを形成してあり、一対のインダクタバー9は長孔33aに沿って互いに接近離反する方向に移動調整可能となっている。
【0028】
一対の側板27の端板25と反対の先端部には、その先端面から切り欠かれたほぼ正方形状の凹部27bを形成してあり、この凹部27bに角パイプ34の端部を挿入配置している。角パイプ34は、ノズル3と反対側の側面にワイヤ5をセットする際に通過させる開口部34aを全長にわたり形成している。
【0029】
凹部27bに挿入配置した角パイプ34は、一対の側板27の端面に固定した角パイプ押さえ部材35が押さえている。角パイプ押さえ部材35は、一対の側板27それぞれに2個ずつ設けてあり、図4に示すように一つの側板27に設けてある2個の角パイプ押さえ部材35相互間には、ワイヤ5を通過させるための隙間36を形成している。すなわち、ワイヤ5を角パイプ34内にセットする際には、この隙間36と角パイプ34の開口部34aを通して行う。
【0030】
上記した角パイプ34は、図3に示すように、一対の側板27の互いに対向する側には僅かに突出しているだけであり、この角パイプ34内のほぼ中心にワイヤ5を移動可能に挿入セットしている。
【0031】
ノズルブラケット31のノズル3と反対側には、円柱形状の高電圧発生器37を取り付けている。高電圧発生器37は、ノズルブラケット31に端部を取り付けた状態で、端板25の中心に設けた貫通孔に移動可能に挿入している。この高電圧発生器37は、負電位の直流高電圧(−60〜−80kv前後)を、ノズル3内に設けてある後述する導電性部材に印加するもので、図2に示した制御装置17によって作動する。
【0032】
なお、高電圧発生器37は、高電圧ケーブルに接続して静電型液体塗布装置本体13とは別置きしてもよい。
【0033】
潤滑油トレイ21は、底壁21aと、図3中で上下両側に位置する一対の側壁21bと、図4中で左右両側に位置する前壁21c及び後壁21dとを備えている。一対の側壁21bは、図4に示すように、フレーム29の側板27の下縁及び角パイプ押さえ部材35の端縁を外側から覆うような屈曲形状として、側板27の下縁の2箇所にボルト40により固定している。
【0034】
底壁21aは、ノズル3の前方側(図4中で右側)が、同後方側に対して上下方向下方となるよう傾斜している。前壁21cは、図4に示すように、上端がフレーム29の側板27の上端とほぼ一致した位置にあり、後壁21dは、ノズル3の吐出口3aより後方側(高電圧発生器37側)の位置にてインダクタバー支持板33のほぼ中央に位置している。
【0035】
なお、潤滑油トレイ21は、上方が開放しているが、この開放部を図示しないカバーで覆うようにしてもよい。
【0036】
上記した潤滑油トレイ21の前壁21cは、フレーム29の一対の側板27の先端に取り付けてある角パイプ押さえ部材35の先端面より前方(図4中で右側)に位置しており、この前壁21cの内側(ノズル3側)に前記した塗布液誘導板7を取り付けている。塗布液誘導板7は、前壁21cに固定した取付ロッド38の先端の、前壁21cから離間した位置に取り付けている。
【0037】
フレーム27の端板25は、図4に示すように上方に延長されて取付部25aを形成しており、この取付部25aを介して適宜必要な所に静電型液体塗布装置本体13を取り付ける。
【0038】
ノズル3は、図5に示すように、ノズルの本体部分となる一対のノズルブレード39,41を備えている。この一対のノズルブレード39,41相互間に形成してあるスリット43に、前述した導電性部材となるシム45を電極として配置してノズルヘッド47を構成している。ノズルブレード39,41は、電気的絶縁材料で構成してあり、シム45は、ステンレス鋼板などからなる厚さが例えば0.7mm 程度の導電性材料で構成している。
【0039】
また、一方のノズルブレード41には、潤滑油導入口49を設けてあり、シム45の表面とノズルブレード41との間には、潤滑油導入口49と吐出口3aとを連通する液体流路となる潤滑油吐出流路51を形成している。この潤滑油吐出流路51は、例えばシム45の片面に溝深さCでエッチング加工している。
【0040】
上記した潤滑油吐出流路51は、図1(a)に示してある3つのポンプ吐出口15a,15b,15cに対応して3つのブロックに分離され、該3つのブロック毎に別々に潤滑油が流れる構造となっている。
【0041】
他方のノズルブレード39から突出しているコネクタピン53は、一方のノズルブレード41側からシム45を貫通させて配置してあり、軸部53aと軸部53aより大径の頭部53bとを備えている。一方のノズルブレード41には、ねじ孔41aを形成してあり、このねじ孔41aからコネクタピン53を挿入した後、フォローセットねじ55をねじ込むことで、コネクタピン53の頭部53bをシム45に押し付け固定する。これによりコネクタピン53は、シム45に接触して電気的に導通することになる。したがって、図2に示した高電圧発生器17は、負電位の直流高電圧(−60〜−80kv前後)を、このコネクタピン53を介してシム45に印加することになる。
【0042】
シム45に負電位が印加された状態で、潤滑油導入口49から導入された潤滑油は、潤滑油吐出流路51を通過する間に、シム45によって瞬時に負電位に帯電する。負電位に帯電した潤滑油1は、同一極性の電荷が互いに反発することになり、図1(a)のようにノズル3の吐出口3aからほぼ均等の幅で糸状にリガメントとして吐出される。その後は、このリガメントをインタクタバー9により偏向させるとともに霧化させ、逆極性のワイヤ5に向けて進行させ、前述したようにしてワイヤ5に付着し塗布されることになる。
【符号の説明】
【0043】
1 潤滑油(塗布液)
3 ノズル
3a ノズルの吐出口
5 ワイヤ(線状部材、被塗布材)
7 塗布液誘導板(塗布液誘導部材)
15 潤滑油ポンプ(塗布液供給部)
21 潤滑油トレイ(塗布液回収部)
41 ノズルブレード(ノズルの本体部分)
45 シム(導電性部材)
51 潤滑油吐出流路(液体流路)
図1
図2
図3
図4
図5