(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
図1は、従来における二多段式駐車装置の構成を示す概略図である。
図1において、1階と2階と3階の各々には、パレット31が配置可能なパレットスペースSpが3つ設けられており、パレット31は2つ設けられている。一方、最上階の4階には、パレット31が配置可能なパレットスペースSpが3つ設けられており、パレット31は3つ設けられている。
【0003】
1階の各パレット31には、駆動輪33が設けられている。駆動輪33がレール35上を転動することにより、1階の各パレット31は、隣接するパレットスペースSp間で水平方向に移動できる。
【0004】
2階と3階のパレット31毎に、横行フレーム37と昇降装置39が設けられている。横行フレーム37には、駆動輪38が設けられている。駆動輪38がレール42上を転動することにより、2階と3階の各パレット31は、隣接するパレットスペースSp間で水平方向に移動できる。昇降装置39は、横行フレーム37に設けられている。昇降装置39は、対応するパレット31を線状体41で吊るし、線状体41を下方へ繰り出すことによりパレット31を下降させ、線状体41を上方へ繰り上げることによりパレット31を上昇させる。
【0005】
4階のパレット31毎に昇降装置43が設けられている。昇降装置43は、二多段式駐車装置の構造体45に設けられている。昇降装置43は、対応するパレット31を線状体47で吊るし、線状体47を下方へ繰り出すことによりパレット31を下降させ、線状体47を上方へ繰り上げることによりパレット31を上昇させる。4階の各パレット31は、水平方向には移動できないようになっている。なお、
図1では、4階の中央のパレット31が1階に下降させられている。
【0006】
1階に車両1を駐車する場合には、1階の空の(即ち、車両1が積載されていない。以下同様)パレット31に自走して車両1が乗り込む。1階のパレット31に積載されている車両1を出庫させる場合には、当該パレット31から車両1が自走して乗り出す。
1階において、いずれのパレットスペースSpに位置する空のパレット31にも、車両が乗り込み可能であり、いずれのパレットスペースSpに位置するパレット31からも、車両が乗り出し可能である。
【0007】
2階に車両1を駐車する場合には、まず、空のパレット31を2階から1階へ下降させる。この時、当該パレット31の真下に他のパレット31が位置している場合には、1階の当該他のパレット31を、パレット31の下降に干渉しないように隣のパレットスペースSpへ左右方向に移動させておく。その後、1階へ下降した2階のパレット31に、車両1が自走して乗り込む。次いで、車両1が乗り込んだパレット31を2階へ上昇させる。
【0008】
2階に駐車されている車両1を出庫させる場合には、2階のパレット31を1階へ下降させる。この時、当該パレット31の真下に他のパレット31が位置している場合には、1階の当該他のパレット31を、上記と同様に、隣のパレットスペースSpへ左右方向に移動させておく。その後、1階へ下降したパレット31から、車両1が自走して乗り出す。次いで、空になった当該パレット31を2階へ上昇させる。
【0009】
3階または4階に車両1を駐車する場合、および、3階または4階に駐車されている車両1を出庫させる場合にも、2階に車両1を駐車する場合、および、2階に駐車されている車両1を出庫させる場合と同様の動作を行う。ただし、3階または4階から1階へパレット31を下降させる時に、当該パレット31の真下に、下階のパレット31が位置する場合には、これらの下階のパレット31を、パレット31の下降に干渉しないように隣のパレットスペースSpへ左右方向に移動させる。同様に、1階から3階または4階へパレット31を上昇させる時も、当該上昇に他のパレット31が干渉しないようにしておく。
【0010】
上述のような二多段式駐車装置は、例えば、下記の特許文献1に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、最下階(1階)において、パレット31両脇のスペース幅W0が狭く設定されているため、パレット31からの車両の入出庫や、パレット31に積載されている車両の脇における人の通行が、不便になることがある。
【0013】
これについて、最下階(1階)において、パレット31両脇のスペース幅W0を大きくすると、4箇所のスペース幅W0を大きくすることになるので、二多段式駐車装置全体の寸法が大きくなってしまう。
【0014】
そこで、本発明の目的は、二多段式駐車装置全体の寸法を抑えつつ、最下階において、パレット脇のスペース幅を大きくして、パレットからの車両の入出庫や、パレットに積載されている車両の脇における人の通行を便利にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の目的を達成するため、本発明によると、パレットが配置可能なパレットスペースを水平方向に複数隣接して設けた階を、上下に複数段設けた二多段式駐車装置であって、
最下階以外の各階において、隣接するパレットスペース間で水平移動可能であり、かつ、最下階との間で昇降可能な
前記パレットが設けられており、
前記最下階では、隣接する
前記パレットスペース間で水平移動可能な
前記パレットが設けられており、
前記最下階以外の各階の各パレット毎に、当該パレットを、隣接する
前記パレットスペース間で水平移動させ、
前記最下階との間で昇降させる昇降横行装置が設けられており、
前記最下階において、複数の
前記パレットスペースのうち1つの
前記パレットスペースを入出庫スペースにし
ており、
前記入出庫スペースと、これに隣接する前記パレットスペース又はこれに隣接する前記最下階の幅方向端部との間隔は、前記最下階における他の隣接する前記パレットスペース間の間隔及び前記最下階における他の隣接する前記パレットスペースと前記最下階の幅方向端部との間の間隔より大きく設定されており、各階は同じ数の前記パレットを有しており、かつ、前記最下階以外の各階の各パレットは、前記昇降横行装置により前記入出庫スペースの真上にある前記パレットスペースに移動させられた状態で、前記昇降横行装置により前記入出庫スペースとの間で昇降させられ、当該パレットが前記入出庫スペースに位置する時に、当該パレットに車両が乗り込み可能、または、当該パレットから車両が乗り出し可能になっている、ことを特徴とする二多段式駐車装置が提供される。
【0017】
また、本発明の好ましい実施形態によると、各昇降横行装置は、対応する
前記パレットを昇降させる昇降装置と、該昇降装置が設けられ隣接する
前記パレットスペース間で水平方向に移動可能な横行フレームと、を有し、
各昇降装置は、対応する
前記パレットを吊るす線状体と、該線状体を下方へ繰り出すことにより
前記パレットを下降させ、該線状体を上方へ繰り上げることにより
前記パレットを上昇させる駆動装置と、を有する。
【0018】
また、上述の目的を達成するため、本発明によると、パレットが配置可能なパレットスペースを水平方向に複数隣接して設けた階を、上下に複数段設けた二多段式駐車装置の入出庫方法であって、
最下階以外の各階において、隣接するパレットスペース間で水平移動可能であり、かつ、最下階との間で昇降可能な
前記パレットが設けられており、
前記最下階では、隣接する
前記パレットスペース間で水平移動可能な
前記パレットが設けられており、
前記最下階では
、複数の
前記パレットスペースのうち1つの
前記パレットスペースを入出庫スペースにし、
前記入出庫スペースと、これに隣接する前記パレットスペース又はこれに隣接する前記最下階の幅方向端部との間隔は、前記最下階における他の隣接する前記パレットスペース間の間隔及び前記最下階における他の隣接する前記パレットスペースと前記最下階の幅方向端部との間の間隔より大きく設定されており、各階には同じ数の前記パレットが配置されており、かつ、前記最下階以外の各階の各パレットを、
前記入出庫スペースの真上にある
前記パレットスペースに移動させた状態で、
前記入出庫スペースとの間で昇降させ、当該パレットを
前記入出庫スペースに位置させた時に、当該パレットに車両が乗り込み、または、当該パレットから車両が乗り出す、ことを特徴とする二多段式駐車装置の入出庫方法が提供される。
【発明の効果】
【0019】
上述した本発明によると、最下階において、複数のパレットスペースのうち1つのパレットスペースを入出庫スペースにし、最下階のパレットを水平移動できるようにし、最上階を含めた、最下階以外の各階のパレットを、水平移動できるだけでなく、最下階との間で昇降できるようにしたので、常に、最下階における前記1つの入出庫スペースから車両を入出庫させることができる。
従って、入出庫スペースと、これに隣接するパレットスペースとの間隔を大きくすることにより、常に、広いスペースから車両を入出庫させることができる。その結果、パレットからの車両の入出庫や、パレットに積載されている車両の脇における人の通行が、便利になる。
しかも、上述の広いスペースは、入出庫スペースと、これに隣接するパレットスペースとの間隔のみを大きくすることで確保されるので、二多段式駐車装置全体の寸法を抑えることができる。
よって、二多段式駐車装置全体の寸法を抑えつつ、パレットからの車両の入出庫や、パレットに積載されている車両の脇における人の通行を便利にすることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0022】
図2(A)は、本発明の実施形態による二多段式駐車装置10の構成を示す概略図である。
【0023】
二多段式駐車装置10は、パレットが配置可能なパレットスペースSpを同じ水平方向にn個(nは、2、または、3以上の整数であるが、
図2(A)では、n=3である)隣接して設けた階を、同じ水平方向位置において、上下に複数段(
図2(A)では、4段)設けた構造を有する。
【0024】
最下階以外の各階において、隣接するパレットスペースSp間で水平移動可能であり、かつ、1階との間で昇降可能な(n−1)個(
図2(A)では、2つ)のパレット3aが設けられる。
【0025】
最下階では、隣接するパレットスペースSp間で水平移動可能な(n−1)個のパレット3bが設けられる。最下階では、n個のパレットスペースSpのうちいずれか1つをパレットスペースSpを入出庫スペースSeにする。この入出庫スペースSeのみから、車両1が入出庫する。なお、
図2(A)において、紙面と垂直な方向に、車両1が、入出庫スペースSeに位置するパレット3bへ乗り込み、または、入出庫スペースSeに位置するパレット3bから乗り出す。
【0026】
好ましくは、最下階には、同じ水平方向に3つ以上のパレットスペースSpが互いに隣接して設けられている。この場合、好ましくは、最下階における3つ以上のパレットスペースSpのうち、中間に位置する1つのパレットスペースSpを入出庫スペースSeにする。すなわち、入出庫スペースSeの両側において、入出庫スペースSeとパレットスペースSpが隣接するようにする。
【0027】
最下階以外の各階における各パレット3aは、次の構成により水平移動し昇降する。
【0028】
最下階以外の各階の各パレット3a毎に、昇降横行装置5が設けられている。各昇降横行装置5は、対応するパレット3aを昇降させる昇降装置7と、該昇降装置7が設けられ隣接するパレットスペースSp間で水平方向に移動可能な横行フレーム9と、を有する。各昇降装置7は、対応するパレット3aを吊るす線状体11と、該線状体11を横行フレーム9側から下方へ繰り出すことによりパレット3aを下降させ、線状体11を横行フレーム9側に上方へ繰り上げることによりパレット3aを上昇させる駆動装置13と、を有する。
【0029】
上述の構成により、最下階以外の各階の各パレット3aは、横行フレーム9により入出庫スペースSeの真上にあるパレットスペースSpに移動させられた状態で、昇降装置7により入出庫スペースSeとの間で昇降させられ、当該パレット3aが入出庫スペースSeに位置する時に、当該パレット3aに車両1が乗り込み可能、または、当該パレット3aから車両1が乗り出し可能になっている。なお、
図2(A)において、紙面と垂直な方向に、車両1が、入出庫スペースSeに位置するパレット3aへ乗り込み、または、入出庫スペースSeに位置するパレット3aから乗り出す。
【0030】
上述の二多段式駐車装置10によると、以下の効果が得られる。
【0031】
本実施形態では、最下階において、複数のパレットスペースSpのうち、中間部または端部に位置する1つのパレットスペースSpのみを入出庫スペースSe(以下、同様)にし、最下階のパレット3bを水平移動できるようにし、最上階を含めた、最下階以外の各階のパレット3aを、水平移動および昇降できるようにしたので、常に、最下階における前記1つの入出庫スペースSeのみから車両1を入出庫させることができる。この場合、
図2(A)の模式図に示すように、入出庫スペースSeと、これに隣接するパレットスペースSpとの間隔W(
図2(A)では2箇所)を、従来の間隔W0(
図1を参照)より大きくすることより、常に、広いスペースから車両1を入出庫させることができる。
これに対し、従来の構成では、
図2(B)の模式図に示すように、1階の各パレットスペースSpが入出庫スペースになるので、
図2(A)の場合と同じように、常に、広いスペースから車両1を入出庫させるためには、4箇所のスペース幅Wを大きくする必要がある。
従って、本実施形態においては、入出庫スペースSeと、これに隣接するパレットスペースSpとの間隔のみを大きくすることにより、広いスペースを確保できるので、従来における
図2(B)の場合と比べて、広いスペースを設けても二多段式駐車装置10全体の寸法を抑えることができる。
よって、二多段式駐車装置10全体の寸法を抑えつつ、パレット3a、3bからの車両1の入出庫や、パレット3a、3bに積載されている車両1の脇における人の通行を便利にすることが可能となる。
【0032】
本発明の実施形態において、
図2(A)の例のように、入出庫スペースSeにあるパレット3a上の車両1(以下、第1対象車両1という)と、入出庫スペースSeに隣接するパレットスペースSpに位置して出庫まで待機しているパレット3b上の車両1(以下、第2対象車両1という)との間隔Wp(以下、通路幅という)が、常に50cmより大きくなるように、入出庫スペースSeと、これに隣接するパレットスペースSpとの位置関係が設定されている。すなわち、第1対象車両1と第2対象車両1との間に、人が通れる空間として、パレット3a、3bの幅方向に50cmより大きい寸法の空間が確保される。なお、通路幅Wpは、第1対象車両1と第2対象車両1の各ドアミラーを除外した第1対象車両1と第2対象車両1との間隔であるか、または、第1対象車両1における第2対象車両1側のドアミラーと、第2対象車両1における第1対象車両1側のドアミラーとの間隔であってよい。
通路幅Wpは、第1対象車両1がパレット3aに乗り込んだ幅方向位置と、第2対象車両1がパレット3bに乗り込んだ幅方向位置とに応じて変化する。この変化する通路幅Wpの数値範囲のうち最小の値を、50cmより大きくすることにより、上述のように、通路幅Wpが、常に50cmより大きくなるようにする。なお、第1対象車両1と第2対象車両1は、駐車装置10に入庫可能な車両1のうち、幅が最も大きい車両1である。ここで、入庫可能な車両1とは、駐車装置10と車両1の構造により物理的に入庫可能な車両1を意味するか、または、駐車装置10の運営者または管理者などが定めた寸法範囲内の寸法を有する車両1を意味する。
【0033】
本願において、幅方向とは、車両1がパレット3a、3bに乗り込む方向(パレット3a、3bの縦方向)と直交する水平方向(
図2(A)の左右方向)、または、車両1がパレット3a、3bから乗り出す方向(パレット3a、3bの縦方向)と直交する水平方向(
図2(A)の左右方向)を意味する。
【0034】
以下において、二多段式駐車装置10の構成をより詳しく説明する。
【0035】
図3は、本発明の実施形態による二多段式駐車装置10全体の構成例を示す。
図3において、パレット3a、3bが配置可能なパレットスペースSpが、上下に4段設けられている。
図4は、
図3のA−A矢視図であり、1階のパレット3bとこれに関連する構造を示す。
図5は、
図3のB−B矢視図、
図3のC−C矢視図、または、
図3のD−D矢視図であり、2階、3階または4階のパレット3aとこれに関連する構造を示す。なお、パレット3bは、
図5において1点鎖線で示され、車両(自動車)1は、
図4と
図5において2点鎖線で示される。
【0036】
最下階(
図3の例では1階)には、パレット3bが配置可能なパレットスペースSpが、左右に3つ設けられているが、車両1が乗り込み可能なパレット3bは、左右に2つ設けられている。従って、空いたパレットスペースSpを利用して、1階の各パレット3bは、左右方向に移動可能である。この移動は、例えば、パレット3bに設けられた駆動輪14によって行われる。すなわち、各駆動輪14は、下面が二多段式駐車装置10における静止側の構造体(例えば、レール)16の上面に接しており、当該駆動輪14が回転させられることにより、パレット3bが左右方向に移動する。
【0037】
最下階以外の各階(
図3の例では2階と3階と4階)には、パレット3aが配置可能なパレットスペースSpが、左右に3つ設けられているが、車両1が積載可能なパレット3aは、左右に2つ設けられている。2階の各パレット3aは、1階と2階との間で昇降可能である。3階の各パレット3aは、1階と3階との間で昇降可能である。4階の各パレット3aは、1階と4階との間で昇降可能である。2階と3階と4階の各パレット3aは、1階に位置している時に、該パレット3aに車両1が乗り込み、その後、出庫までの間、2階、3階または4階へ上昇して待機している。2階、3階および4階の各パレット3aは、それぞれ、2階、3階および4階に設けられた横行フレーム9に対して昇降可能に線状体11で吊るされている。
【0038】
2階と3階と4階の各パレット3aには、
図3または
図5に示すように、パレット3aを水平移動および昇降させる昇降横行装置5が設けられる。昇降横行装置5は、上述のように昇降装置7と横行フレーム9を有する。昇降装置7は、パレット3aを吊るす線状体11と、線状体11を下方へ繰り出すことによりパレット3aを下降させ、線状体11を上方へ繰り上げることによりパレット3aを上昇させる駆動装置13と、を有する。この例では、線状体11は、チェーン11a、11b(後述の
図6を参照)である。駆動装置13は、横行フレーム9に設けられ回転駆動させられる駆動シャフト15と、駆動シャフト15の回転に伴って回転することによりチェーン11a、11bを駆動するスプロケット17a、17b、17c、17d、17eとを有する。
【0039】
図6は、横行フレーム9における左側部分(即ち、
図5の左側)に設けられたスプロケット17a、17b、17c、17d、17eおよびチェーン11a、11bを示す斜視図である。なお、2階と3階と4階に関して、
図3において、チェーン11a、11bのうちチェーン11aのみを符号11で示し、スプロケット17a、17b、17c、17d、17eのうちスプロケット17aのみを図示している。
【0040】
チェーン11aは、パレット3aにおける前側の幅方向端部に一端が連結され、パレット3aとの当該連結部から上方に延びてきてスプロケット17aに掛けられた後、水平方向後側に延びてスプロケット17bに掛けられ、その後、さらに、水平方向前側に延びてスプロケット17cに掛けられ、その後、スプロケット17aとスプロケット17bの間に延びているチェーン11aにおける連結箇所19aに他端が連結させられる。
【0041】
一方、チェーン11bは、パレット3aにおける後側の幅方向端部に一端が連結され、パレット3aとの当該連結部から上方に延びてきてスプロケット17dに掛けられた後、水平方向後側に延びてスプロケット17eに掛けられ、その後、さらに、スプロケット17bとスプロケット17cの間に延びているチェーン11aにおける連結箇所19bに他端が連結させられる。スプロケット17b、17eは、駆動シャフト15に同軸に固定されており、駆動シャフト15は、横行フレーム9に回転可能に支持されている。
【0042】
このような構成で、駆動シャフト15が回転駆動されると、スプロケット17a、17b、17c、17d、17eが回転することにより、チェーン11a、11bがスプロケット17a、17dからパレット3a側へ下方に繰り出されて、パレット3aが下降する。駆動シャフト15が逆方向に回転駆動されると、チェーン11a、11bが、パレット3a側からスプロケット17a、17d側へ上方に繰り上げられて、パレット3aが上昇する。
【0043】
横行フレーム9における右側部分に設けられたスプロケット17a、17b、17c、17d、17eおよびチェーン11a、11bの構成は、
図6と同じであるが、横行フレーム9の左側に設けられたスプロケット17a、17b、17c、17d、17eおよびチェーン11a、11bと配置が左右対称である。
【0044】
2階の各横行フレーム9は、左右方向の空いたパレットスペースSpを利用して、左右方向に移動できる。この移動は、例えば、2階において、横行フレーム9に設けられた駆動輪21によって行われる。すなわち、各駆動輪21は、下面が二多段式駐車装置10における静止側の構造体(例えば、レール)23の上面に接しており、当該駆動輪21が回転させられることにより、横行フレーム9を左右方向に移動させる。
3階と4階も同様である。すなわち、3階と4階の各横行フレーム9は、左右方向の空いたパレットスペースSpを利用して、左右方向に移動できる。この移動は、3階と4階において、横行フレーム9に設けられた駆動輪21によって行われる。
【0045】
2階の横行フレーム9に設けた上述のスプロケット17a、17dから延びるチェーン11a、11bで吊るされたパレット3aが2階にある時に、当該横行フレーム9が左右方向に移動することにより、当該パレット3aは、当該チェーン11a、11bで吊られた状態で、横行フレーム9と共に左右方向に移動する。
同様に、3階または4階の横行フレーム9に設けた上述のスプロケット17a、17dから延びるチェーン11a、11bで吊るされたパレット3aが当該階にある時に、当該横行フレーム9が左右方向に移動することにより、当該パレット3aは、当該チェーン11a、11bで吊られた状態で、横行フレーム9と共に左右方向に移動する。
【0046】
1階に車両1を入庫させる場合には、1階の空のパレット3bを、パレットスペースSpである入出庫スペースSeに水平移動させる。次いで、このパレット3bに、車両1が、
図3の紙面と垂直な方向に自走して乗り込む。その後、このパレット3bは、左側または右側のパレットスペースSpへ水平移動して、当該パレット3b上の車両1が出庫するまでそこで待機する。
【0047】
1階から車両1を出庫させる場合には、左側または右側のパレットスペースSpで待機しており車両1が積載されているパレット3bを、入出庫スペースSeに水平移動させる。次いで、入出庫スペースSeにあるパレット3bから、車両1が、
図3の紙面と垂直な方向に自走して乗り出す。
【0048】
2階に車両1を入庫させる場合には、2階の空のパレット3aを、入出庫スペースSeの真上にあるパレットスペースSpに水平移動させる。次いで、空のパレット3aを2階から1階へ下降させる。その後、入出庫スペースSeにある当該パレット3aに、車両1が、
図3の紙面と垂直な方向に自走して乗り込む。次に、当該パレット3aは、2階へ上昇して、左側または右側のパレットスペースSpへ水平移動し、当該パレット3a上の車両1が出庫するまでそこで待機する。
【0049】
2階から車両1を出庫させる場合には、2階の左側または右側のパレットスペースSpで待機しており車両1が積載されているパレット3aを、入出庫スペースSeの真上にあるパレットスペースSpに水平移動させる。次いで、当該パレット3aを2階から1階へ下降させる。その後、入出庫スペースSeにある当該パレット3aから、車両1が、
図3の紙面と垂直な方向に自走して乗り出す。
【0050】
3階と4階に車両1を入庫させる場合と、3階と4階から車両1を出庫させる場合は、2階の場合と同様である。
【0051】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、以下の変更例1〜3のいずれかを単独で、または、変更例1〜3を任意に組み合わせて採用してもよい。この場合、他の点は上述と同様である。
【0052】
(変更例1)
線状体11は、チェーンでなくてもよい、例えば、線状体11はワイヤーロープであってもよい。この場合、昇降装置7は、回転ドラムとこれを回転駆動する駆動装置を有していてよい。回転ドラムは、回転駆動されると、ワイヤーロープを巻き出すことによりワイヤーロープを下方に繰り下げ、逆方向に回転駆動されると、ワイヤーロープを巻き取ることによりワイヤーロープを上方に繰り上げる。
【0053】
(変更例2)
図3では、パレットスペースSpを水平方向に複数隣接して設けた階を、4段設けていたが、本発明はこれに限定されない。すなわち、パレットスペースSpを水平方向に複数隣接して設けた階を、2段、3段、または、5段以上設けてもよい。この場合、最下階以外のすべての階の各パレット3a毎に、昇降横行装置5が設けられる。
【0054】
(変更例3)
図3の二多段式駐車装置10を、左右(パレット3a,3bの幅方向)に併設してもよい。