特許第5753733号(P5753733)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5753733燃料電池モジュール及び燃料電池システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5753733
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】燃料電池モジュール及び燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/06 20060101AFI20150702BHJP
   H01M 8/04 20060101ALI20150702BHJP
   H01M 8/12 20060101ALN20150702BHJP
【FI】
   H01M8/06 S
   H01M8/06 W
   H01M8/04 N
   H01M8/06 G
   !H01M8/12
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-109583(P2011-109583)
(22)【出願日】2011年5月16日
(65)【公開番号】特開2012-243413(P2012-243413A)
(43)【公開日】2012年12月10日
【審査請求日】2014年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】権田 一郎
(72)【発明者】
【氏名】臼井 淑隆
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 洋介
(72)【発明者】
【氏名】柴田 昌宏
【審査官】 武市 匡紘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−179541(JP,A)
【文献】 特開2002−280053(JP,A)
【文献】 特開2009−230926(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0248799(US,A1)
【文献】 特開2006−318907(JP,A)
【文献】 特開2004−071315(JP,A)
【文献】 特開2012−216371(JP,A)
【文献】 特開2011−113934(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0054209(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0034539(US,A1)
【文献】 特開2009−272117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00−8/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池と、
前記燃料電池を加熱するバーナと、
前記燃料電池から排出される発電後の第1排ガスに含まれる燃料ガスを燃焼させる排ガス燃焼器と、
前記燃料電池及び前記バーナを内部に収容する断熱容器と、
を備えた燃料電池モジュールにおいて、
前記燃料電池から排出される発電後の前記燃料ガスを含む前記第1排ガスを、前記排ガス燃焼器を介して、前記断熱容器内に開放することなく前記燃料電池から前記断熱容器外へ導き排出する第1排ガス流路と、
前記断熱容器の内部で前記バーナの燃焼によって生じる第2排ガスを、前記第1排ガスと混合しないようにして前記断熱容器内部から前記断熱容器外に排出する第2排ガス流路と、
を備えたことを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項2】
前記排ガス燃焼器は、前記断熱容器の内部に収容されることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池モジュール。
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載の燃料電池モジュールを用いた燃料電池システムにおいて、
前記断熱容器外に、前記第1排ガス流路の排出口に接続されて前記第1排ガス流路から排出される第1排ガス中に含まれる水分を回収する水回収器を備えたことを特徴とする燃料電池システム。
【請求項4】
前記水回収器は、前記第1排ガスと冷却媒体との間で熱交換を行う熱交換器を備えたことを特徴とする請求項に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記燃料電池モジュールは、前記燃料電池の発電反応に使用される燃料ガスを生成するための改質器を備え、
前記水回収器は、回収された水分を前記改質器に供給する供給流路を備えたことを特徴とする請求項又はに記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱容器内に燃料電池を備えた燃料電池モジュールと、該燃料電池モジュールに更に他の構成を備えた燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば固体酸化物形燃料電池(SOFC:以下単に燃料電池と記す)は、固体電解質層の両面に電極を配した燃料電池セルに対して、酸化剤ガス(通常空気)と燃料ガス(都市ガス等)を供給して、発電を行うようになっている。また、このような燃料電池では、一個の燃料電池セルで得られる電力量は小さいので、セルを複数個使用して燃料電池スタックを構成して大きな電力になるよう設計されている。
【0003】
この種の燃料電池については、燃料電池スタックを速やかに運転温度まで上昇させるために、燃料電池スタックを断熱容器内に収容するとともに、燃料電池スタックの下方にバーナを配置し、燃料電池の始動時に、バーナによって燃料電池スタックを加熱する手法が開示されている(特許文献1、2参照)。
【0004】
また、この従来技術では、図4に示す様に、燃料電池スタック(P1)から排出される(発電に利用された)排ガスは、断熱容器(P2)内に排出され、バーナ(P3)による排ガスとともに、単一の排気管(P4)によって外部に排出されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−238430号公報
【特許文献2】特開2010−245049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上述した従来技術では、断熱容器の内側は、断熱性能を確保するために、例えば、二酸化ケイ素、シリコンカーバイド、酸化アルミニウム等の粉体を圧縮した断熱材の様なセラミック材で構成されているが、燃料電池の運転に伴って排気管から排出される排ガスに、このセラミック材の粉末が混じることがあった。
【0007】
つまり、この種のセラミック材を構成するセラミック材料は、高温耐久性や断熱性には優れているが、水分によって劣化してその粉末が脱落することがあり、しかも、燃料電池スタックからは、特に起動昇温時及び停止降温時には、多くの水分を含むガスが排出されるので、この水分によってセラミック材料が損なわれて排ガス中に混ざることがあった。
【0008】
そして、この様に、排ガス中にセラミック材料が混入すると、各種の不具合が生じることがあった。
例えば、燃料電池スタックから排出される排ガスから水分を回収し、この水分を燃料ガスの改質(例えば都市ガスから水素リッチのガスに改質)に再利用する場合には、排ガス中にセラミック材料が含まれていると、水分の回収装置のフィルタや管路に目詰まりすることがあり、装置の機能を損なったり、資源の有効利用の支障となっていた。
【0009】
つまり、従来技術では、排ガスに含まれる水分などの有効利用に支障が生じることがあった。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、排ガスに含まれる資源を、容易に且つ有効に利用することができる燃料電池モジュール及び燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)かかる問題を解決するためになされた本発明は、第1態様として、燃料電池と、前記燃料電池を加熱するバーナと、前記燃料電池から排出される発電後の第1排ガスに含まれる燃料ガスを燃焼させる排ガス燃焼器と、前記燃料電池及び前記バーナを内部に収容する断熱容器と、を備えた燃料電池モジュールにおいて、前記燃料電池から排出される発電後の前記燃料ガスを含む前記第1排ガスを、前記排ガス燃焼器を介して、前記断熱容器内に開放することなく前記燃料電池から前記断熱容器外へ導き排出する第1排ガス流路と、前記断熱容器の内部で前記バーナの燃焼によって生じる第2排ガスを、前記第1排ガスと混合しないようにして前記断熱容器内部から前記断熱容器外に排出する第2排ガス流路と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明では、燃料電池から排出される発電後の燃料ガスを含む第1排ガスを、排ガス燃焼器を介して、断熱容器内に排出すること無く断熱容器外に排出する第1排ガス流路と、バーナの加熱によって生じる第2排ガスを断熱容器外に排出する第2排ガス流路とを分離し、断熱容器内にて第1排ガスと第2排ガスとが混ざらないようにしている。
【0012】
これにより、断熱容器が例えば水分によって劣化して脱落するセラミック材料で形成されている場合でも、第1排ガスにはセラミック材料が混入することがない。よって、例えば第1排ガスから水分を回収する場合に、水分を回収する管路や回収装置或いはその管路に配置されたフィルタが、セラミック材料によって目詰まりすることを防止できる。これにより、装置の機能を損なうことなく、容易に且つ有効に排ガスに含まれる資源を有効利用することができる。
【0013】
また、第1排ガスに水分が含まれている場合でも、その水分は、断熱容器内に排出されないので、断熱容器の材料の選択範囲が広がるという利点がある。つまり、水分に対しては弱いが、高温耐熱性や断熱性に優れた材料を使用することができる。
【0014】
なお、前記燃料電池としては、固体電解質体(固体酸化物体)と、(例えば空気等の酸化剤ガスが供給される)空気極と、(例えば都市ガス等を改質した改質ガスが供給される)燃料ガスが供給される燃料極とを備えたものが挙げられ、第1排ガスには、空気極側から排出される排ガスと燃料極側から排出される排ガスとが含まれる。
【0015】
また、第1排ガス中に含まれる水分とは、酸化剤ガスに含まれていた酸素と燃料ガスに含まれる水素とが発電時に化合し発生する水分や、燃料ガス中に改質水として供給されるものの残余の水分などである。
【0016】
(2)本発明は、第2態様として、前記排ガス燃焼器は、前記断熱容器の内部に収容されることを特徴としている。
この第2態様では、排ガス燃焼器の位置を例示している。
)本発明は、第態様として、前記請求項1に記載の燃料電池モジュールを用いた燃料電池システムにおいて、前記断熱容器外に、前記第1排ガス流路の排出口に接続されて前記第1排ガス流路から排出される第1排ガス中に含まれる水分を回収する水回収器を備えたことを特徴とする。
【0017】
この第態様では、第1排ガス流路から排出される第1排ガス中に含まれる水分を回収する回収器を備えているが、上述の様に、第1排ガスには、断熱容器のセラミック材料等が含まれていないので、この回収器やその周囲に配置されたフィルタや管路に目詰まりが生じにくいという効果がある。
【0018】
)本発明は、第態様として、前記水回収器は、前記第1排ガスと冷却媒体との間で熱交換を行う熱交換器を備えたことを特徴とする。
この第態様は、水回収器の好適な構成を例示したものである。
【0019】
)本発明は、第態様として、前記燃料電池モジュールは、前記燃料電池の発電反応に使用される燃料ガスを生成するための改質器を備え、前記水回収器は、回収された水分を前記改質器に供給する供給流路を備えたことを特徴とする。
【0020】
この第態様では、水回収器で回収された水分を改質器に戻すので、資源の有効利用ができるという利点がある。
なお、ここで、改質器とは、燃料電池に燃料ガスを供給する場合に、より発電に好適な組成に改質(例えば都市ガス等をより水素成分の多い組成のガスに改質)する装置のことである。
【0021】
また、以下では、燃料ガスの名称は改質前後にかかわらず使用するが、特に改質後の燃料ガスを明示する場合には改質ガスの名称を使用する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施例の燃料電池システムを模式的に示す説明図である。
図2】燃料電池スタックにおける燃料電池セルの内部構成を破断して模式的に示す説明図である。
図3】(a)は実施例の燃料電池モジュール内の主要部の配置を模式的に示す正面図、(b)はバーナと流路部材の平面配置を示す平面図、(c)は流路部材を示す斜視図である。
図4】従来技術の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明が適用された固体酸化物形燃料電池モジュールを備えた固体酸化物形燃料電池システムの実施例について、図面を用いて説明する。
【実施例】
【0024】
a)まず、本実施例の燃料電池システムについて説明する。
図1に模式的に示す様に、本実施例の燃料電池システム1では、燃料ガス(例えば都市ガス)と酸化剤ガス(例えば空気)との供給を受けて発電を行う燃料電池スタック3は、例えば700℃程度の高温にて稼働されるために、断熱容器5に収納されている。なお、以下では、断熱容器5及びこの断熱容器5に収容されている構成を燃料電池モジュール7と称する。
【0025】
前記断熱容器5内には、燃料電池スタック3に加え、燃料電池スタック3から排出される排ガス(第1排ガス)を燃焼させる排ガス燃焼器9と、燃料ガスの改質を行う改質器11と、改質水を気化させる気化器13と、空気を予熱する空気予熱器15と、燃料電池システム1の始動時に加熱を行うバーナ17などを備えている。
【0026】
また、断熱容器5の外部には、空気を燃料電池スタック3に送る空気ポンプ19と、燃料ガスを(改質器11を介して)燃料電池スタック3に送る燃料ポンプ21と、改質水を気化器13側に送る改質水ポンプ23と、燃料電池スタック3からの排ガスから水分(改質水)を回収する水回収器25と、水回収器25によって回収された改質水を溜める凝縮水タンク(改質水タンク)27と、バーナ17に送る燃料ガスと空気とを混合する混合器29と、混合器29に空気を送る空気ポンプ31などを備えている。
【0027】
以下、各構成について詳細に説明する。
前記燃料電池スタック3は、図2に一部を示す様に、発電単位である板状の燃料電池セル33が複数個積層されたものであり、この燃料電池スタック3の積層方向の一方の側(図2下方)に前記改質器11が配置されるとともに、改質器11の下方に前記排ガス燃焼器9が配置されている。なお、以下では、燃料電池スタック3と改質器11と排ガス燃焼器9との積層体を、燃料電池複合体35と称する。
【0028】
このうち、前記燃料電池セル33は、いわゆる燃料極支持膜形タイプの燃料電池セルであり、周知の(燃料流路37に接する様に配置された)燃料極39と、固体電解質体41と、(空気流路43に接する様に配置された)空気極45とを備えている。
【0029】
前記図1に戻り、前記断熱容器5は、例えばステンレスからなる箱体44の内部全体に、断熱のために、例えば、二酸化ケイ素、シリコンカーバイド、酸化アルミニウム等の粉体を圧縮した断熱材(例えばPorelextherm:商品名)からなるセラミック板45を配置したものである。
【0030】
前記改質器11は、燃料電池スタック3に供給される燃料ガスを水素リッチの燃料ガス(改質ガス)に改質する板状の装置である。この改質器11の上流側は、気化器13内を通って、外部から燃料ガスが供給される燃料ガス導入流路47に接続されるとともに、気化器13を通って、改質水流路51に接続されている。なお、改質水流路51には、改質水ポンプ25の下流側に、改質水から不純物を除去するフィルタ49が配置されている。
一方、改質器11の下流側は、各燃料電池セル33内の前記燃料流路37(図2参照)に接続されている。
【0031】
前記排ガス燃焼器9は、発電後に排出される燃料ガスと酸素とを反応させて燃焼させる板状の装置である。この排ガス燃焼器9の上流側は、各燃料電池セル33内の燃料流路37及び空気流路43(図2参照)に接続されている。
【0032】
一方、その下流側は、気化器13及び空気予熱器15を構成する(後述する)流路部材53内の内部排ガス流路54を通って、排ガス燃焼器9にて燃焼された排ガスを断熱容器5外に排出する第1排ガス流路55に接続されている。
【0033】
この第1排ガス流路55には、排ガスから水分を凝縮させて回収するための熱交換器である前記水回収器25が配置されており、即ち、第1排ガス流路55の排出口56は水回収器25に接続されており、この水回収器25で回収された水分(改質水)は供給流路26を介して凝縮水タンク27に蓄えられる。なお、水回収器25では、外部から供給される冷却水との熱交換によって凝縮水を発生させて回収する。また、水回収器25には、水分が回収された残余の排ガスを外部に排出するために排気流路57が接続されている。
【0034】
また、前記断熱容器5には、前記第1排ガス流路55とは別に、断熱容器5を貫通する第2排ガス流路59が設けられており、前記第1排ガス以外の断熱容器5内の他のガス(バーナ17で燃焼された排ガス:第2排ガス)等は、この第2排ガス流路59を介して外部に排出される。
【0035】
前記空気ポンプ19には、外部の空気を各燃料電池セル33内の空気流路43に供給するために、空気導入流路61が接続されている。この空気導入流路61は、断熱容器5内にて空気予熱器15内を通す様に配置されており、この空気予熱器15にて空気が予熱される。
【0036】
前記燃料ポンプ21には、外部から燃料ガスを(改質器11を介して)に各燃料電池セル33内の燃料流路37に供給するために、前記燃料ガス導入流路47が接続されている。この燃料ガス導入流路47は、断熱容器5内にて気化器13内を通す様に配置されており、この気化器13にて改質水の気化が行われるとともに、(気化した水蒸気)と燃料ガスとの混合が行われる。
【0037】
特に本実施例では、流路部材53の内部排ガス流路54及びこの内部排ガス流路54と連通する第1排ガス流路55は、バーナ17が配置されている空間でバーナ17の燃焼後の排ガス(第2排ガス)が排出される空間(即ち断熱容器5の内部空間)65とは分離されている。
【0038】
つまり、排ガス燃焼器9から排出される排ガス(第1排ガス)は、断熱容器5の内部空間65に排出されない様に、流路部材53の内部排ガス流路54のみに排出され、この内部排ガス流路54から第1排ガス流路55を介して断熱容器5外に排出される様に構成されている。
【0039】
なお、空気導入流路61や燃料ガス導入流路47や改質水流路51は、流路部材53の内部に連通するように接続されるが、それらは空気や燃料ガスや改質水と排ガス(第1排ガス)との熱交換のために配置されるものであるので、後述するように、空気導入流路61や燃料ガス導入流路47や改質水流路51(従って各流路61、47、51が接続される気化器13及び空気予熱器15の内部)と、流路部材53の内部排ガス流路54とは分離されている。
【0040】
また、前記バーナ17は、前記燃料電池複合体35の下方に配置されて、燃料電池システム1の始動時に、燃料電池スタック3を運転温度に加熱する加熱装置であり、このバーナ17には、燃料ガスと空気を混合する混合器29を介して、空気を混合器29に送る前記空気ポンプ31が接続されている。
【0041】
ここで、前記バーナ17の配置と、前記気化器13と空気予熱器15との構造について、更に詳しく説明する。
図3(a)、(b)に具体的に示す様に、前記流路部材53は、前記バーナ17の側方の周囲をコの字形に囲むように、前記燃料電池複合体35の下方に配置されている。
【0042】
また、図3(c)に示す様に、流路部材53の一方(同図左側)のL字状の部分は、空気予熱器15として構成されている。つまり、同図の上側の流路に空気を流し、下側の流路に排ガスを流すことにより、空気と排ガスとの間で熱交換を行うことにより空気を予熱している。なお、前記下方のコ字状の流路が、前記内部排ガス流路54である。
【0043】
同様に、図3(c)に示す様に、流路部材53の他方(同図右側)のL字状の部分は、気化器13として構成されている。つまり、同図の上側の流路に水と燃料ガスを流し、下側の流路に排ガスを流すことにより、水と排ガスとの間で熱交換を行うことにより水を気化している。
【0044】
b)次に、本実施例の燃料電池システム1の動作ついて説明する。
前記図1に示す様に、燃料電池システム1の始動時には、空気ポンプ31を作動させる。これにより、空気が混合器29に送られ、この混合器29にて燃料ガスと空気とが混合され、この混合ガスがバーナ17に供給される。
【0045】
バーナ17では、この混合ガスが燃焼することにより、燃料電池スタック3等の加熱が行われる。
このバーナ17で燃焼した排ガス(第2排ガス)は、断熱容器5の内部空間65に排出されるとともに、内部空間65から、第2排ガス流路59を介して断熱容器5外に排出される。
【0046】
また、空気ポンプ19を作動させることにより、空気が(燃料電池スタック3の)各燃料電池セル33の空気流路45に供給される。このとき、空気予熱器15によって、空気の予熱が行われる。
【0047】
同時に、燃料ポンプ21を作動させることにより、(例えば都市ガスである)燃料ガスが気化器13に送られるとともに、改質水ポンプ23を作動させることにより、改質水がフィルタ49を介して気化器13に送られる。
【0048】
この気化器13では、改質水が加熱されて気化して水蒸気となり、この水蒸気と燃料ガスとが混合され、この混合ガスが改質器11に送られる。
改質器11では、(吸熱反応である)水蒸気改質によって燃料ガスが改質されて水素リッチの燃料ガス(改質ガス)となり、この改質ガスが各燃料電池セル3の燃料流路37に送られる。
【0049】
従って、各燃料電池セル3では、上述の様にして供給された空気(即ち酸素)と改質ガス(即ち水素)とにより発電が行われる。
そして、発電後の空気と改質ガスとは、排ガス燃焼器9に送られて燃焼する(水蒸気となる)ことにより、隣接した改質器11や燃料電池スタック3の加熱が行われる。
【0050】
また、排ガス燃焼器9で燃焼された排ガス(第1排ガス)は、流路部材53に送られて、空気予熱器15にて空気を加熱するとともに、気化器13にて改質水を気化するため(即ち熱交換のため)に利用される。
【0051】
そして、上述した熱交換の後に、流路部材53から排出された排ガス(第1排ガス)は、断熱容器5の内部空間65に排出されることなく、第1排ガス流路55を介して、断熱容器5の外部の水回収器25に排出される。
【0052】
この水回収器25では、冷却水との熱交換によって排ガスが冷却され、排ガス中に含まれる水分が凝縮水として取り出されて、凝縮水タンク27に貯溜される。なお、凝縮水が取り出された残りの排ガスは、排気流路57を介して外部に排出される。
【0053】
また、凝縮水タンク27に貯溜された凝縮水は、上述した様に、改質水ポンプ23によって汲み上げられて、改質水として気化器13に供給され、改質器11における燃料ガスの改質に利用される。
【0054】
そして、この様な動作が繰り返されることによって、発電が継続される。
c)次に、本実施例の作用効果について説明する。
本実施例では、燃料電池スタック3から排出される発電後の第1排ガスを(断熱容器5内に排出すること無く)断熱容器5外に排出する第1排ガス流路55と、バーナ17の加熱によって生じる第2排ガスを断熱容器5外に排出する第2排ガス流路59とを分離し、断熱容器5内にて第1排ガスと第2排ガスとが混ざらないようにしている。
【0055】
これにより、断熱容器5が水分によって劣化して脱落するセラミック材料で形成されている場合でも、第1排ガスにはセラミック材料が混入することがない。よって、第1排ガスから水分を回収する場合に、セラミック材料によってフィルタ49や改質水流路51に目詰まりが生ずることが無い。これにより、燃料電池モジュール1の機能を損なうことなく、容易に且つ有効に排ガスに含まれる資源(水)を有効利用することができる。
【0056】
また、本実施例では、第1排ガスに水分が含まれていても、その水分は、断熱容器5内に排出されないので、断熱容器5の材料の選択範囲が広がるという利点がある。つまり、水分に対しては弱いが、高温耐熱性や断熱性に優れた材料を使用することができる。
【0057】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
(1)例えば改質器の上側のみ、もしくは上側及び下側の両方に排ガス燃焼器を配置してもよい。
【0058】
(2)また、例えば空気予熱器を省略することもできる。
(3)更に、フィルタの位置は、改質水ポンプの下流側のみ、上流側のみ、もしくは上流側と下流側の両方であってもよい。
【0059】
(4)改質水によって改質される燃料ガスとしては、例えば都市ガスが挙げられる。
【符号の説明】
【0060】
1…燃料電池システム
3…燃料電池スタック
5…断熱容器
7…燃料電池モジュール
9…排ガス燃焼器
11…改質器
17…バーナ
19、31…空気ポンプ
21…燃料ガスポンプ
23…改質水ポンプ
25…水回収器
27…凝縮水タンク
33…燃料電池セル
49…フィルタ
53…流路部材
55…第1排ガス流路
57…第2排ガス流路
65…内部空間
図1
図2
図4
図3