(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。なお、以下の説明は、N=2の場合を例に行う。
<第1の実施例>
図1に本発明の第1の実施例である情報再生装置の構成図を示す。
本実施例は、PRML(Partial Response Maximum Likelihood)方式を用いた情報再生装置において、チャネルクロックの2分の1の周波数で発振するハーフクロックでサンプリングした再生信号に対応するビタビ復号が可能な実施例である。
【0010】
本実施例の情報再生装置における再生動作の概略について説明する。
図1のように光ピックアップ102がスピンドルモータ103により回転させた光ディスク101にレーザを照射し、光ディスク101からの反射光を受光することで読み取られた再生信号を、アナログ・フロント・エンド(Analog Front End:以下、AFE)104においてアナログ処理を行い、ADコンバータ(以下、ADC)105に入力する。ADC105でデジタル化した再生信号は、Phase Locked Loop(以下、PLL)106と等化回路107に入力される。PLL106はデジタル化した再生信号のチャネルクロックの2分の1の周波数で発振するハーフクロックを生成し、ADC105、等化回路107、ビタビ復号回路108及びデコーダ113に入力する。等化回路107で波形等化された再生信号はビタビ復号回路108で復号処理が行われ、復号データとしてデコーダ113へ入力される。
図28に示すようにデコーダ113では入力された復号データに対して、復調回路2801により復調処理を行い、次に誤り訂正回路2802により誤り訂正演算処理を行い、続いてデスクランブル回路によりデスクランブル処理を行いホスト114へ出力する。
【0011】
図2に
図1のPLL106の構成の一例を示す。
ADC105でデジタル化した再生信号は、再生信号波形のエッジにおけるデータずれから位相誤差データを検出するPhase Detect(以下、PD)201に入力される。ループフィルタ(以下、LPF)202で高周波成分を除去した位相誤差データは、Voltage Controlled Oscillator(以下、VCO)203に入力される。VCO203は得られた誤差データに応じて位相差を補償するようにADC105のサンプリングクロックの周期、位相を調整し、常に再生信号に同期したチャネルクロックを出力するように動作する。1/2分周器204はVCO203から入力されるチャネルクロックに対して2分の1分周を行い、ハーフクロックを生成し出力する。本実施例ではPLL106の内部に1/2分周器204を設け、ハーフクロックに基づくタイミングでサンプリングしてデジタル化した再生信号を生成しているが、チャネルクロックに基づくタイミングでサンプリングした後にダウンサンプリングを行うなどの他の方法を用いてもかまわない。
【0012】
ここで本実施例におけるハーフクロックでサンプリングした再生信号に対応するビタビ復号の概要について詳細に説明する。
【0013】
まず従来のチャネルクロックでサンプリングした再生信号に対応するビタビ復号において、ディスク記録面の最短マーク長が2T(T:チャネルクロックのタイミングに基づく1周期分の時刻)の場合での拘束長5のPR(a,b,c,d,e)の状態遷移図とPR基準値は
図3のように示される。
図3中の破線表記部分は、ディスク記録面の最短マーク長が3Tである媒体、例えばCDまたはDVDの再生処理時に遷移しないパス及び状態を示す。
図4に
図3の状態遷移図をトレリス線図に変形した図を示す。
図4ではチャネルクロックのタイミングに基づく時刻(n−2)T(n:自然数)から時刻nTまでの3時刻に亘る状態遷移の様子を示している。また
図3と同様に破線表記部分はCDまたはDVDの再生処理時に遷移しないパス及び状態を示す。S0000〜1111は各遷移状態を表し、BM00000(n)〜BM11111(n)はブランチメトリックを表す。ブランチメトリックは以下の式で計算される。
(式1−1)BM00000(n)=(再生信号(n)−REF00000)
2
(式1−2)BM00001(n)=(再生信号(n)−REF00001)
2
(式1−3)BM00011(n)=(再生信号(n)−REF00011)
2
(式1−4)BM00110(n)=(再生信号(n)−REF00110)
2
(式1−5)BM00111(n)=(再生信号(n)−REF00111)
2
(式1−6)BM01100(n)=(再生信号(n)−REF01100)
2
(式1−7)BM01110(n)=(再生信号(n)−REF01110)
2
(式1−8)BM01111(n)=(再生信号(n)−REF01111)
2
(式1−9)BM10000(n)=(再生信号(n)−REF10000)
2
(式1−10)BM10001(n)=(再生信号(n)−REF10001)
2
(式1−11)BM10011(n)=(再生信号(n)−REF10011)
2
(式1−12)BM11000(n)=(再生信号(n)−REF11000)
2
(式1−13)BM11001(n)=(再生信号(n)−REF11001)
2
(式1−14)BM11100(n)=(再生信号(n)−REF11100)
2
(式1−15)BM11110(n)=(再生信号(n)−REF11110)
2
(式1−16)BM11111(n)=(再生信号(n)−REF11111)
2
上式の(n)は時刻nTにおける値を表す。ビタビ復号の最尤判定は、2つのパスが合流した状態において、それぞれの尤度を比較し尤度が高いパスを選択することにより実現される。最尤判定にはパスメトリックと呼ばれる尤度と上記のブランチメトリックを用いる。パスメトリックは現時刻に至るまでに遷移してきたパスに対応するブランチメトリックの総和である。パスメトリックPM0000(n)〜1111(n)は以下の式で計算される。また以下のmin{*,*,…,*}は中括弧内に示す値のうち最小のものを選択する関数を表す。
(式1−17)PM0000(n)=min{PM0000(n−1)+BM00000(n),PM1000(n−1)+BM10000(n)}
(式1−18)PM0001(n)=min{PM0000(n−1)+BM00001(n),PM1000(n−1)+BM10001(n)}
(式1−19)PM0011(n)=min{PM0001(n−1)+BM00011(n),PM1001(n−1)+BM10011(n)}
(式1−20)PM0110(n)=PM0011(n−1)+BM00110(n)
(式1−21)PM0111(n)=PM0011(n−1)+BM00111(n)
(式1−22)PM1000(n)=PM1100(n−1)+BM11000(n)
(式1−23)PM1001(n)=PM1100(n−1)+BM11001(n)
(式1−24)PM1100(n)=min{PM0110(n−1)+BM01100(n),PM1110(n−1)+BM11100(n)}
(式1−25)PM1110(n)=min{PM0111(n−1)+BM01110(n),PM1111(n−1)+BM11110(n)}
(式1−26)PM1111(n)=min{PM0111(n−1)+BM01111(n),PM1111(n−1)+BM11111(n)}
上式の(n)は時刻nTにおける値を表し、同様に(n−1)は時刻(n−1)Tにおける値を表す。(式1−17)〜(式1−26)が示す内容は、1時刻前の旧パスメトリックと現時刻でのブランチメトリックを加算した結果を新パスメトリックとして更新することである。また2つのパスが合流する状態では、2つの加算結果を比較して値の小さいほうを尤度が高いパスとして選択する。これらのパスメトリックによる最尤判定を、再生信号が入力されるごとに繰り返すことにより尤度の高いパスが選択されていき、最終的に生き残ったパスをたどったものが復号結果となる。
【0014】
本実施例のハーフクロックでサンプリングした再生信号に対応するビタビ復号においてディスク記録面の最短マーク長が2Tの場合での拘束長5のPR(a,b,c,d,e)のトレリス線図は
図5のように示される。
図5中の破線表記部分は
図4と同様に、ディスク記録面の最短マーク長が3Tである媒体、例えばCDまたはDVDの再生処理時に遷移しないパスを示す。
図5では、ハーフクロックでサンプリングした再生信号が入力されるため、チャネルクロックに基づく時刻で表記すると時刻(n−1)が間引きされて、時刻(n−2)から時刻nTまでの2時刻に亘る状態遷移となる。
図5においてS000〜S111は各遷移状態を表しており、
図4と比較して状態遷移数が減少していることが分かる。これは、ハーフクロックでサンプリングを行うことにより
図4における異なる遷移状態を縮退させることができるからである。例えば、
図4におけるS0000→S0001→S0011と遷移するパス(以下、パスA
ch)と、S1000→S0001→S0011と遷移するパス(以下、パスB
ch)に着目する。ハーフクロックでサンプリングを行った場合では、時刻(n−1)Tでの状態遷移が無くなるため、パスA
chはS0000から直接S0011へと遷移するパス(以下、パスA
half)となり、パスB
chはS1000から直接S0011へと遷移するパス(以下、パスB
half)となる。このとき、パスA
halfの遷移で参照するPR基準値はREF00011となり、一方パスB
halfの遷移で参照するPR基準値もREF00011となる。よって上記2つのパスのブランチメトリックはBM00011となって等しくなる。これにより、状態を表すS****のうち左1ビットは状態遷移に影響しないため省略することができ、パスA
halfとパスB
halfはS000→S011と遷移するパスとして新たにまとめて表現することが可能となる。上記の操作を各状態で行うことにより
図5に示すトレリス線図に変形される。
図5のトレリス線図を状態遷移図として表現すると
図6に示す通りとなる。
図6中の破線表記部分は
図3と同様に、ディスク記録面の最短マーク長が3Tである媒体、例えばCDまたはDVDの再生処理時に遷移しないパスを示す。
図6に示すようにハーフクロックでサンプリングした再生信号に対応するビタビ復号では、1回の状態遷移につき2ビットの復号を行う。ブランチメトリックBM00000(n)〜BM11111(n)は(式1−1)〜(式1−16)により計算され、パスメトリックは以下の式で計算される。
(式1−27)PM000(n)=min{PM000(n−2)+BM00000(n),PM100(n−2)+BM10000(n),PM110(n−2)+BM11000(n)}
(式1−28)PM001(n)=min{PM000(n−2)+BM00001(n),PM100(n−2)+BM10001(n),PM110(n−2)+BM11001(n)}
(式1−29)PM011(n)=min{PM000(n−2)+BM00011(n),PM100(n−2)+BM10011(n)}
(式1−30)PM100(n)=min{PM011(n−2)+BM01100(n),PM111(n−2)+BM11100(n)}
(式1−31)PM110(n)=min{PM001(n−2)+BM00110(n),PM011(n−2)+BM01110(n),PM111(n−2)+BM11110(n)}
(式1−32)PM111(n)=min{PM001(n−2)+BM00111(n),PM011(n−2)+BM01111(n),PM111(n−2)+BM11111(n)}
上式の(n)は時刻nTにおける値を表し、同様に(n−2)は時刻(n−2)Tにおける値を表す。(式1−27)〜(式1−32)が示す内容は、2時刻前の旧パスメトリックと現時刻でのブランチメトリックを加算した結果を新パスメトリックとして更新することである。また複数のパスが合流する状態では、各加算結果を比較して最も値の小さいものを尤度が高いパスとして選択する。これらのパスメトリックによる最尤判定を、再生信号が入力されるごとに繰り返すことにより尤度の高いパスが選択されていき、最終的に生き残ったパスをたどったものが復号結果となる。
【0015】
ここで本実施例の情報再生装置におけるビタビ復号回路108の動作内容について詳しく述べる。
図1に示すようにビタビ復号回路108は、Branch Metric Calculator(以下、BMC)109、Add Compare Select(以下、ACS)110、Path Metricメモリ(以下、PMメモリ)111、パスメモリ112から構成される。等化回路107により波形等化された再生信号をもとに、BMC109においてブランチメトリックBM00000(n)〜BM11111(n)を計算し、ACS110へ入力する。ACS110はBMC109から入力されるブランチメトリックBM00000(n)〜BM11111(n)とPMメモリ111から入力される2時刻前におけるパスメトリックPM000(n−2)〜PM111(n−2)から、現時刻におけるパス選択信号SEL000(n)〜SEL111(n)と現時刻におけるパスメトリックPM000(n)〜111(n)を計算する。計算したパス選択信号SEL000(n)〜SEL111(n)はパスメモリ112へ入力され、現時刻におけるパスメトリックPM000(n)〜111(n)はPMメモリ111に上書きされる。パスメモリ112は入力されたパス選択信号SEL000(n)〜SEL111(n)に従って内部で保持しているパスの遷移状態情報の更新を行い、パスの遷移状態情報をもとに復号データを生成してデコーダ113へ入力する。
【0016】
図7に
図1のBMC109の詳細を示す。
BMC109では、等化回路107により波形等化された再生信号とPR基準値メモリ701に記録されたPR基準値REF00000〜REF11111を用いて、自乗誤差演算器702で(式1−1)〜(式1−16)に示されるブランチメトリックBM00000(n)〜BM11111(n)を計算し出力する。
【0017】
図8に
図1のACS110の詳細を示す。
ACS110では、BMC109で計算された現時刻のブランチメトリックBM00000(n)〜11111(n)とPMメモリ111に記録されている2時刻前のパスメトリックPM000(n−2)〜111(n−2)を用いて、A型ACS801,802,805,806及びB型ACS803,804で現時刻のパス選択信号SEL000(n)〜111(n)と(式1−27)〜(式1−32)に示される現時刻のパスメトリックPM000(n)〜PM111(n)を計算する。現時刻のパスメトリックPM000(n)〜PM111(n)はPMメモリ111へ上書きされ、パス選択信号SEL000(n)〜SEL111(n)は後段のパスメモリ112へ出力される。
【0018】
図9に
図8のA型ACS801の詳細を示す。
A型ACS801では(式1−27)に示すパスメトリックPM000(n)の計算を行う回路であり、3つの合流パスのうち1つを最尤パスとして選択する。加算器901は
図5におけるS000→S000と遷移するパスのメトリックを計算する。同様に加算器902はS100→S000と遷移するパスのメトリックを計算し、加算器903はS110→S000と遷移するパスのメトリックを計算する。加算器901,902,903から入力される3つのメトリックを比較器904により比較し、メトリック値が最も小さいパスを選択するためのパス選択信号SEL000(n)を生成し、セレクタ905へ入力する。パス選択信号SEL000(n)に基づきセレクタ905は3つのメトリックのうちの1つを選択する。選択されたパスのメトリック値はパスメトリックPM000(n)としてPMメモリ111へ上書きされ、パス選択信号SEL000(n)は後段のパスメモリ112へ出力される。
【0019】
A型ACS801と同様に、A型ACS802,805,806はそれぞれ(式1―28),(式1−31),(式1−32)の計算を行い、それぞれに対応するパスメトリックPM001(n),PM110(n),PM111(n)とパス選択信号SEL001(n),SEL110(n),SEL111(n)を生成する。パスメトリックはPMメモリ111へ上書きされ、パス選択信号は後段のパスメモリ112へ出力される。
【0020】
図10に
図8のB型ACS803の詳細を示す。
B型ACS803では(式1−29)に示すパスメトリックPM011(n)の計算を行う回路であり、2つの合流パスのうち1つを最尤パスとして選択する。加算器1001は
図5におけるS000→S011と遷移するパスのメトリックを計算する。同様に加算器1002はS100→S011と遷移するパスのメトリックを計算する。加算器1001,1002から入力される2つのメトリックを比較器1003により比較し、メトリック値が小さいパスを選択するためのパス選択信号SEL011(n)を生成し、セレクタ1004へ入力する。パス選択信号SEL011(n)に基づきセレクタ1004は2つのメトリックのうち1つを選択する。選択されたパスのメトリック値はパスメトリックPM011(n)としてPMメモリ111へ上書きされ、パス選択信号SEL011(n)は後段のパスメモリ112へ出力される。
【0021】
B型ACS803と同様に、B型ACS804は(式1−30)の計算を行い、パスメトリックPM100(n)とパス選択信号SEL100(n)を生成する。パスメトリックはPMメモリ111へ上書きされ、パス選択信号は後段のパスメモリ112へ出力される。
【0022】
図11に
図1のパスメモリ112の詳細を示す。
ACS110から入力されるパス選択信号SEL000(n)〜SEL111(n)に基づいてセレクタ1101
1〜1106
1,1101
2〜1106
2,1101
k〜1106
kは複数の入力から1つを選択し、それぞれ遅延回路1107
1〜1112
1,1107
2〜1112
2,1107
k〜1112
kへ格納する。
図11においてkはパスメモリ内に記録する遷移状態情報の遷移段数を示しており、任意に設定してもかまわないがkの値が大きいほど復号精度は高く、遅延は長く、回路規模は大きくなる。ビタビ復号処理において現時刻から2(k―1)Tだけ遡った時刻での生き残りパスが1つに定まると遅延回路1107
k〜1112
kの値は全て一致し、その値はそのまま復号データとなるが、生き残りパスが複数存在する場合では遅延回路1107
k〜1112
kの値は一致せず、それらの値から復号データを判定する必要がある。判定方法の例としては多数決による判定処理が用いられる。遅延回路1107
k〜1112
kから入力されるパスメモリ最終段データを用いて多数決回路1113は多数決による判定処理を行い、復号データを出力する。なお、本実施例では復号データの判定方法として多数決による判定処理を用いたが、トレースバックによる判定処理などの他の方法を用いてもかまわない。
【0023】
図12に
図11の多数決回路1113の第1の構成例を示す。
図12(a)において、多数決回路1113
1に入力された2ビットのパスメモリ最終段データは、加算器1201により加算され2ビット復号判定回路1202へ入力される。2ビット復号判定回路1202は入力された加算結果から復号結果を判定し2ビットの復号データを出力する。
図12(b)は2ビット復号判定回路1202の判定方法の一例を示し、加算結果が3未満のときは復号データを‘00’とし、3以上9未満のときは復号データを‘01’とし、9以上15未満のときは復号データを‘10’とし、15以上のときは復号データを‘11’として判定を行う。この判定のための閾値は任意に設定してもかまわない。閾値の設定方法の他の例としては、‘00’、‘01’、‘10’、‘11’それぞれの存在頻度を予め求めておき、頻度の高い符号列の判定範囲が広くなるよう閾値を設定する方法などが挙げられる。
【0024】
図13に
図11の多数決回路1113の第2の構成例を示す。
図13(a)において、多数決回路1113
2に入力された2ビットのパスメモリ最終段データは、上位ビットであるパスメモリ最終段データAと下位ビットであるパスメモリ最終段データBにビット分割され、それぞれ加算器1301,1302に入力される。加算器1301,1302による加算結果はそれぞれ1ビット復号判定回路1303,1304へ入力される。1ビット復号判定回路1303及び1304は入力された加算結果から復号結果を判定し,それぞれ上位ビットの復号データAと下位ビットの復号データBを出力する。ここで復号データAは復号データBに対して1時刻前の1ビット復号データを表す。復号データAと復号データBはビット結合され、2ビットの復号データとして出力される。
図13(b)は1ビット復号判定回路1303,1304の判定方法の一例を示し、復号データAまたは復号データBに対して、加算結果が3未満のときは‘0’とし、加算結果が3以上のときは‘1’として判定を行う。なお、この判定のための閾値は任意に設定してもかまわない。
【0025】
以上で説明したハーフクロックサンプリングに対応したビタビ復号を用いれば、ハーフクロックでサンプリングした再生信号に対して、ハーフクロックに従うタイミングでビタビ復号回路を動作させることができ、ビタビ復号回路の消費電力を低減することが可能となる。また、ビタビ復号回路の前段の回路、例えば波形等化回路などもハーフクロックに従うタイミングで動作させることができ、ビタビ復号回路を含むPRML信号処理回路全体の消費電力を低減することが可能となる。
【0026】
なお、上記でパーシャルレスポンスはPR(a,b,c,d,e)のように変数で記述しているがこれは適応的に変化させる値でも固定値でもどちらでもよい、またPRMLの拘束長も記述された長さに制限されるものではない。また、上記では実施例として、動作クロックをチャネルクロックの2分の1の周波数で発振するハーフクロックとしているが、これはチャネルクロックを任意の値で分周した周波数を用いても構わない。これらのことは第1の実施例の情報再生装置に限ったことでは無く、以降の実施例においても同様に読み替えることが可能である。
<第2の実施例>
本実施例は、ハーフクロックサンプリングに対応したビタビ復号において、復号精度の低下を改善することが可能な実施例である。
【0027】
図14に本発明の第2の実施例である情報再生装置の構成図を示す。第1の実施例の情報再生装置である
図1と相違するのは適応等化回路1401、PR符号器1402である。同一符号のものは
図1と同等であるため説明を省略するが第1の実施例と同様である。
図14のように適応等化回路1401で波形等化した信号はビタビ復号回路108で復号処理を行い、復号データをデコーダ113とPR符号器1402へ入力する。PR符号器1402によりPR符号化した復号データは適応等化回路1401へフィードバックされ、適応等化処理を行う際の等化目標値となる。適応等化処理で用いるアルゴリズムは、例えばLMS(Least Mean Square)アルゴリズムやMSE(Mean Square Error)アルゴリズムなどである。
【0028】
図15に
図14のPR符号器1402の詳細を示す。
ビタビ復号回路108から入力される2ビットの復号データは、上位ビットの復号データAと下位ビットの復号データBにビット分割され、それぞれ遅延回路1501,1502に入力される。ここで復号データAは復号データBに対して1時刻前の1ビット復号データを表す。遅延回路1501,1502からの出力はそれぞれ遅延回路1503,1504に入力される。ビタビ復号回路108及び遅延回路1501,1502,1503,1504からの出力は
図15のようにe倍乗算器1505,d倍乗算器1506,c倍乗算器1507,b倍乗算器1508,a倍乗算器1509に入力された後、加算器1510に入力され加算結果が出力される。ここでa,b,c,d,eは、前述のPR(a,b,c,d,e)の示す値に対応した変数である。本実施例では適応等化回路1401とPR符号器1402をハーフクロックに従うタイミングの動作に対応した構成としたが、チャネルクロックに従うタイミングの動作に対応した構成とし適応等化回路1401の出力をダウンサンプリングする方法を用いてもかまわない。
【0029】
ハーフクロックに従うタイミングでサンプリングを行う場合、最尤パス候補となる合流パスが従来の2パスから3パスに増え、選択処理に対して再生信号の振幅方向の精度が要求されるため、復号誤りが増加しやすくなり復号精度が低下する。しかし、以上で説明した適応等化処理を導入したハーフクロックサンプリングに対応したビタビ復号を用いれば、再生信号振幅をビタビ復号のPR基準値の特性に近づけるよう適応的に波形等化することができ復号精度を改善することが可能となる。
なお、以上で述べた適応等化方式を用いた回路構成は本実施例に限定されるものではなく、他の実施例においても適宜適用可能である。
<第3の実施例>
本実施例は、ハーフクロックサンプリングに対応したビタビ復号と、従来のチャネルクロックサンプリングに対応したビタビ復号を切り替え可能な実施例である。
図16に本発明の第3の実施例である情報再生装置の構成図を示す。第1の実施例の情報再生装置である
図1と相違するのはPLL1601、ビタビ復号回路1602、スイッチ1603、第1ACS1604、第1PMメモリ1605、第1パスメモリ1606、第2ACS1607、第2PMメモリ1608、第2パスメモリ1609、スイッチ1610、制御部1611である。同一符号のものは
図1と同等であるため説明を省略するが第1の実施例と同様である。また、第1ACS1604、第1PMメモリ1605、第1パスメモリ1606はそれぞれ、
図1におけるACS110、PMメモリ111、パスメモリ112と同じ構成であるため説明を省略する。
【0030】
図16のようにPLL1601はデジタル化した再生信号に同期したチャネルクロックと、チャネルクロックの2分の1の周波数で発振するハーフクロックを生成し、制御部1611からの制御に基づきチャネルクロックまたはハーフクロックを選択して、ADC105、等化回路107、ビタビ復号回路1602及びデコーダ113に入力する。
図16中に明示したクロックはチャネルクロックサンプリング時にはチャネルクロックを表し、ハーフクロックサンプリング時にはハーフクロックを表す。スイッチ1603はBMC109から入力されるブランチメトリックBM00000(n)(n:自然数)〜BM11111(n)を、制御部1611からの制御に基づきハーフクロックサンプリング時には第1ACS1604へ入力し、チャネルクロックサンプリング時には第2ACS1607へ入力する。なお、BM00000(n)〜BM11111(n)は(式1−1)〜(式1−16)に示す式より計算される。第2ACS1607は入力されたブランチメトリックBM00000(n)〜BM11111(n)と第2PMメモリ1608から入力される1時刻前におけるパスメトリックPM0000(n−1)〜PM1111(n−1)から、現時刻におけるパス選択信号SEL0000(n)〜SEL1111(n)と、(式1−17)〜(式1−26)に示される現時刻におけるパスメトリックPM0000(n)〜1111(n)を計算する。計算したパス選択信号SEL0000(n)〜SEL1111(n)は第2パスメモリ1609へ入力され、現時刻におけるパスメトリックPM0000(n)〜PM1111(n)は第2PMメモリ1608に上書きされる。第2パスメモリ1609は入力されたパス選択信号SEL0000(n)〜SEL1111(n)に基づき、内部で保持しているパスの遷移状態情報の更新を行い、パスの遷移状態情報をもとに復号データを生成してスイッチ1610へ入力する。スイッチ1610は制御部1611からの制御に基づきハーフクロックサンプリング時には第1パスメモリ1606の出力を選択し、チャネルクロックサンプリング時には第2パスメモリ1609の出力を選択して、デコーダ113へ入力する。
【0031】
制御部1611は、チャネルクロックサンプリングおよびハーフクロックサンプリングの切り替え処理の制御を行う。本実施例における切り替え処理の一例について以下に説明する。
図29はリトライ動作時での切り替え処理の手順を示しており、初めにハーフクロックサンプリングによる再生動作を行う(2901)。通常はこの動作を維持するが、誤り訂正回路2802において訂正不能エラーを検出した場合以降の処理を実施する(2902)。訂正不能エラーを検出したセクタの先頭に移動した後、再度再生を実施するリトライ動作に移行する(2903)。但し、ハーフクロックサンプリングからチャネルクロックサンプリングへ切替えてリトライ動作における再生を実施する(2904)。このリトライ動作により訂正不能エラーが発生しなくなれば(2905)、再びハーフクロックサンプリングに切替えて再生終了するまで通常再生を実施する(2906)。他には倍速動作に伴い切り替えの判定を行うという方法や、判別したディスクの種類に基づいて切替えの判定を行っても良い。また、ユーザーがチャネルクロックサンプリングまたはハーフクロックサンプリングの動作を予め選択して設定しておいてもよい。
【0032】
図17に、
図16のPLL1601の構成の一例を示す。第1の実施例のPLL106の構成の一例である
図2と相違するのは、制御部1611、セレクタ1701である。同一符号のものは
図1と同等であるため説明を省略する。VCO203で生成したチャネルクロックと1/2分周器204で生成したハーフクロックはセレクタに入力され、セレクタ1701は制御部1611からの制御に基づきハーフクロックとチャネルクロックから1つを選択し出力する。
【0033】
図18に
図16の第2ACS1607の詳細を示す。
第2ACS1607では、BMC109で計算された現時刻のブランチメトリックBM00000(n)〜11111(n)と第2PMメモリ1608に記録されている1時刻前のパスメトリックPM0000(n−1)〜1111(n−1)を用いて、B型ACS1801,1802,1803,1808,1809,1810及び加算器1804,1805,1806,1807により現時刻のパス選択信号SEL0000(n)〜1111(n)と(式1−17)〜(式1−26)に示される現時刻のパスメトリックPM0000(n)〜PM1111(n)を計算する。現時刻のパスメトリックPM0000(n)〜PM1111(n)は第2PMメモリ1608へ上書きされ、パス選択信号SEL0000(n)〜SEL1111(n)は後段の第2パスメモリ1609へ出力される。
【0034】
図19に
図16の第2パスメモリ1609の詳細を示す。
第2ACS1607から入力されるパス選択信号SEL0000(n)〜SEL1111(n)に基づいてセレクタ1901
1〜1906
1,1901
2〜1906
2,1901
k〜1906
kは複数の入力から1つを選択し、それぞれ遅延回路1907
1〜1909
1,1914
1〜1916
1と遅延回路1907
2〜1909
2,1914
2〜1916
2と遅延回路1907
k〜1909
k,1914
k〜1916
kへ格納する。ここで
図19においてkはパスメモリ内に記録する遷移状態情報の遷移段数を示す。遅延回路1907
k〜1916
kから入力されるパスメモリ最終段データを用いて多数決回路1917は1ビットデータに対する多数決により判定処理を行い、復号データを出力する。
【0035】
以上で説明したハーフクロックサンプリング及びチャネルクロックサンプリング両対応ビタビ復号を用いれば、光ディスクからの再生信号に含まれる歪みや雑音が少ない場合(例えば高品質ディスク再生時など)には、ハーフクロックサンプリングに対応したビタビ復号を適用することで消費電力の低減を行い、再生信号に含まれる歪みや雑音が多い場合(例えば粗悪ディスク再生時など)には、チャネルクロックサンプリングに対応したビタビ復号へ変更することで復号精度を保障するというように再生信号の品質に応じて適切なビタビ復号を切り替えることが可能となる。また、本実施例では、チャネルクロックサンプリングに対応したビタビ復号の演算部をチャネルクロックで動作させる構成としているが、ハーフクロックで動作する演算部を2並列で構成してもかまわない。
なお、以上で述べたチャネルクロックサンプリングとハーフクロックサンプリングの切り替え判定方法及び設定方法は本実施例に限定されるものではなく、以降で説明する実施例においても適用可能である。
【0036】
また、上記のビタビ復号でのパーシャルレスポンスは適応的に変化させる値でも固定値でもどちらでもよい、またPRMLの拘束長も記述された長さに制限されるものではない。上記では実施例として、動作クロックをチャネルクロックの2分の1の周波数で発振するハーフクロックとしているが、これはチャネルクロックを任意の値で分周した周波数を用いても構わない。
<第4の実施例>
本実施例は、ハーフクロックサンプリングに対応したビタビ復号と、チャネルクロックでサンプリングした再生信号に対してハーフクロックに従うタイミングで復号処理を行うビタビ復号を切替え可能な実施例である。
【0037】
図20に本発明の第4の実施例である情報再生装置の構成図を示す。第1の実施例の情報再生装置である
図1と相違するのはPLL2001、ビタビ復号回路2002、スイッチ2003、Branch Metric加算回路(以下、BM加算回路)2004、ACS2005、PMメモリ2006、パスメモリ2007、制御部2008、BMC2009、2010である。同一符号のものは
図1と同等であるため説明を省略するが第1の実施例と同様である。またBM2009、2010は
図1におけるBMC109と同じ構成であるため説明を省略する。
【0038】
ここで、再生信号に同期したチャネルクロックでサンプリングした再生波形に対してハーフクロックに従うタイミングで復号処理を行うビタビ復号の概要について詳細に説明する。
この場合、
図4のトレリス線図で示されるチャネルクロックのタイミングに基づく時刻(n−2)(n:自然数)Tから時刻nTまでの3時刻に亘る状態遷移が、時刻(n−2)Tから時刻(n−1)Tへの状態遷移と時刻(n−1)から時刻nTへの状態遷移を時間方向に結合した状態遷移となり
図21に示すトレリス線図で表現される。ここでTはチャネルクロックのタイミングに基づく1周期分の時刻を表す。また
図21のトレリス線図を状態遷移図として表現すると
図22に示す通りとなる。
図21と
図22の破線表記部分は、ディスク記録面の最短マーク長が3Tである媒体、例えばCDまたはDVDの再生処理時に遷移しないパス及び状態を示す。
図21においてブランチメトリックBM000000(n)〜BM111111(n)は以下の式で計算される。
(式4−1)BM000000(n)=BM00000(n−1)+BM00000(n)
(式4−2)BM000001(n)=BM00000(n−1)+BM00001(n)
(式4−3)BM000011(n)=BM00001(n−1)+BM00011(n)
(式4−4)BM000110(n)=BM00011(n−1)+BM00110(n)
(式4−5)BM000111(n)=BM00011(n−1)+BM00111(n)
(式4−6)BM001100(n)=BM00110(n−1)+BM01100(n)
(式4−7)BM001110(n)=BM00111(n−1)+BM01110(n)
(式4−8)BM001111(n)=BM00111(n−1)+BM01111(n)
(式4−9)BM011000(n)=BM01100(n−1)+BM11000(n)
(式4−10)BM011001(n)=BM01100(n−1)+BM11001(n)
(式4−11)BM011100(n)=BM01110(n−1)+BM11100(n)
(式4−12)BM011110(n)=BM01111(n−1)+BM11110(n)
(式4−13)BM011111(n)=BM01111(n−1)+BM11111(n)
(式4−14)BM100000(n)=BM10000(n−1)+BM00000(n)
(式4−15)BM100001(n)=BM10000(n−1)+BM00001(n)
(式4−16)BM100011(n)=BM10001(n−1)+BM00011(n)
(式4−17)BM100110(n)=BM10011(n−1)+BM00110(n)
(式4−18)BM100111(n)=BM10011(n−1)+BM00111(n)
(式4−19)BM110000(n)=BM11000(n−1)+BM10000(n)
(式4−20)BM110001(n)=BM11000(n−1)+BM10001(n)
(式4−21)BM110011(n)=BM11001(n−1)+BM10011(n)
(式4−22)BM111000(n)=BM11100(n−1)+BM11000(n)
(式4−23)BM111001(n)=BM11100(n−1)+BM11001(n)
(式4−24)BM111100(n)=BM11110(n−1)+BM11100(n)
(式4−25)BM111110(n)=BM11111(n−1)+BM11110(n)
(式4−26)BM111111(n)=BM11111(n−1)+BM11111(n)
上式の(n)は時刻nTにおける値を表し、同様に(n−1)は時刻(n−1)Tにおける値を表す。またBM00000(n−1)〜BM11111(n−1)、BM00000(n)〜BM11111(n)は(式1−1)〜(式1−16)から計算される値である。さらにパスメトリックPM0000(n)〜PM1111(n)は以下の式で計算される。なお以下のmin{*,*,…,*}は中括弧内に示す値のうち最小のものを選択する関数を表す。
(式4−27)PM0000(n)=min{PM0000(n−2)+BM000000(n),PM1000(n−2)+BM100000(n),PM1100(n−2)+BM110000(n)}
(式4−28)PM0001(n)=min{PM0000(n−2)+BM000001(n),PM1000(n−2)+BM100001(n),PM1100(n−2)+BM110001(n)}
(式4−29)PM0011(n)=min{PM0000(n−2)+BM000011(n),PM1000(n−2)+BM100011(n),PM1100(n−2)+BM110011(n)}
(式4−30)PM0110(n)=min{PM0001(n−2)+BM000110(n),PM1001(n−2)+BM100110(n)}
(式4−31)PM0111(n)=min{PM0001(n−2)+BM000111(n),PM1001(n−2)+BM100111(n)}
(式4−32)PM1000(n)=min{PM0110(n−2)+BM011000(n),PM1110(n−2)+BM111000(n)}
(式4−33)PM1001(n)=min{PM0110(n−2)+BM011001(n),PM1110(n−2)+BM111001(n)}
(式4−34)PM1100(n)=min{PM0011(n−2)+BM001100(n),PM0111(n−2)+BM011100(n),PM1111(n−2)+BM111100(n)}
(式4−35)PM1110(n)=min{PM0011(n−2)+BM001110(n),PM0111(n−2)+BM011110(n),PM1111(n−2)+BM111110(n)}
(式4−36)PM1111(n)=min{PM0011(n−2)+BM001111(n),PM0111(n−2)+BM011111(n),PM1111(n−2)+BM111111(n)}
上式の(n)は時刻nTにおける値を表し、同様に(n−2)は時刻(n−2)Tにおける値を表す。(式4−27)〜(式4−36)が示す内容は、2時刻前の旧パスメトリックと(式4−1)〜(式4−26)に示すブランチメトリックを加算した結果を新パスメトリックとして更新することである。また複数のパスが合流する状態では、各加算結果を比較して値の小さいほうを尤度が高いパスとして選択する。これらのパスメトリックによる最尤判定を、再生信号が2時刻分入力されるごとに繰り返すことにより尤度の高いパスが選択されていき、最終的に生き残ったパスをたどったものが復号結果となる。
【0039】
また(式4−1)〜(式4−26)において各式の第一項目をゼロとすると、ハーフクロックサンプリング時のブランチメトリックBM000000(n)〜BM111111(n)が得られる。この場合では、BM000000(n)とBM100000(n)のように計算結果が等しくなる式が現れる。それらの添え字のうち最上位桁の数字を省略し、重複したものを整理すると、
図21と
図22に示されるトレリス線図と状態遷移図はそれぞれ、
図5と
図6と等しくなる。つまり、本実施例の情報再生装置がハーフクロックサンプリング動作に対応可能であることを表している。
【0040】
ここで本実施例の情報再生装置における再生動作の概略について説明する。
図20のようにPLL2001はデジタル化した再生信号に同期したチャネルクロックと、チャネルクロックの2分の1の周波数で発振するハーフクロックを生成し、ビタビ復号回路2002及びデコーダ113へ入力する。また制御部2008からの制御に基づきチャネルクロックまたはハーフクロックを選択して、ADC105と等化回路107及びスイッチ2003に入力する。
図20中に明示したクロックはチャネルクロックサンプリング時にはチャネルクロックを表し、ハーフクロックサンプリング時にはハーフクロックを表す。スイッチ2003は、チャネルクロックサンプリング時ではチャネルクロックでサンプリングされた再生信号を1時刻ずつ交互にBMC2009とBMC2010へ入力するために、制御部2008からの制御に基づき等化回路107からの入力の切り替えを行う。またハーフクロックサンプリング時ではハーフクロックでサンプリングされた再生信号をBMC2009だけに入力し続けるように、制御部2008からの制御に基づき等化回路107からの入力の切り替えを行う。BM加算回路2004は、制御部2008からの制御に基づき、チャネルクロックサンプリング時には(式4−1)〜(式4−26)に示されるブランチメトリックBM000000(n)〜BM111111(n)を計算し出力する。一方、ハーフクロックサンプリング時には図示しない方法により、(式4−1)〜(式4−26)に示される式の各第1項をゼロに置き換えた場合の計算結果となるようにブランチメトリックBM000000(n)〜BM111111(n)を生成し出力する。ACS2005は入力されたブランチメトリックBM000000(n)〜BM111111(n)とPMメモリ2006から入力される2時刻前におけるパスメトリックPM0000(n−2)〜PM1111(n−2)から、現時刻におけるパス選択信号SEL0000(n)〜SEL1111(n)と現時刻におけるパスメトリックPM0000(n)〜PM1111(n)を計算する。計算したパス選択信号SEL0000(n)〜SEL1111(n)はパスメモリ2007へ入力され、現時刻におけるパスメトリックPM0000(n)〜PM1111(n)はPMメモリ2006に上書きされる。パスメモリ2007は入力されたパス選択信号SEL0000(n)〜SEL1111(n)に基づき、内部で保持しているパスの遷移状態情報の更新を行い、パスの遷移状態情報をもとに復号データを生成してデコーダ113へ入力する。
【0041】
図23に
図20のPLL2001の構成の一例を示す。第1の実施例のPLL106の構成の一例である
図2と相違するのは、制御部2008、セレクタ2301である。同一符号のものは
図1と同等であるため説明を省略する。VCO203は常に再生信号に同期したチャネルクロックを生成し、セレクタ2301へ入力する。1/2分周器204で生成したハーフクロックは、PLL2001の出力として後段の回路に入力される一方で、セレクタ2301にも入力される。セレクタ2301は制御部2008からの制御に基づきハーフクロックとチャネルクロックから1つを選択し出力する。
【0042】
図24に
図20のACS2005の詳細を示す。
ACS2005では、BM加算回路2004で計算されたブランチメトリックBM000000(n)〜BM111111(n)とPMメモリ2006に記録されている2時刻前のパスメトリックPM0000(n−2)〜PM1111(n−2)を用いて、A型ACS2401,2402,2403,2408,2409,2410及びB型ACS2404,2405,2406,2407により現時刻のパス選択信号SEL0000(n)〜SEL1111(n)と(式4−27)〜(式4−36)に示される現時刻のパスメトリックPM0000(n)〜PM1111(n)を計算する。現時刻のパスメトリックPM0000(n)〜PM1111(n)はPMメモリ2006へ上書きされ、パス選択信号SEL0000(n)〜SEL1111(n)は後段のパスメモリ2007へ出力される。
【0043】
図25に
図20のパスメモリ2007の詳細を示す。
ACS2005から入力されるパス選択信号SEL0000(n)〜SEL1111(n)に基づいてセレクタ2501
1〜2510
1,2501
2〜2510
2,2501
k〜2510
kは複数の入力から1つを選択し、それぞれ遅延回路2511
1〜2520
1,2511
2〜2520
2,2511
k〜2520
kへ格納する。ここで
図25においてkはパスメモリ内に記録する遷移状態情報の遷移段数を示す。遅延回路2511
k〜2520
kから入力されるパスメモリ最終段データを用いて多数決回路2521は多数決による判定処理を行い、復号データを出力する。ハーフクロックサンプリング動作時にはパスメモリ最終段データのうち、遷移状態の縮退により同じ値となるペアが4組存在する。この場合には、多数決結果に重複するデータが影響しないように各ペアのうち片方のデータだけを多数決に用いるなどの方法を行えばよい。
【0044】
以上で説明したハーフクロックサンプリング及びチャネルクロックサンプリング両対応ビタビ復号を用いれば、光ディスクからの再生信号に含まれる歪みや雑音が少ない場合(例えば高品質ディスク再生時など)には、ハーフクロックサンプリングに対応したビタビ復号を適用することで消費電力の低減を行い、再生信号に含まれる歪みや雑音が多い場合(例えば粗悪ディスク再生時など)には、チャネルクロックサンプリングに対応したビタビ復号へ変更することで復号精度の改善を行うというように再生信号の品質に応じて適切なビタビ復号を切り替えることが可能となる。ハーフクロックサンプリング動作とチャネルクロックサンプリング動作の切り替え判定方法としては、前記の実施例で述べたように、リトライ動作時および倍速動作に伴い切り替えの判定を行うという方法や、判別したディスクの種類に基づいて切替えの判定を行うという方法を用いれば良い。また、ユーザーがチャネルクロックサンプリングまたはハーフクロックサンプリングの動作を予め選択して設定しておいてもよい。
【0045】
またチャネルクロックサンプリング動作とハーフクロックサンプリング動作を同一のビタビ復号回路を用いて実現できるため小さい回路規模での実現が可能である。本実施例では、ハーフクロックサンプリング時において、遷移状態の縮退が生じることにより重複する演算結果の影響を防ぐため、重複した演算結果を多数決処理の対象から除外する方法を用いたが、縮退が生じる遷移状態に対する演算器を停止させる方法を用いてもかまわない。
【0046】
また、上記のビタビ復号でのパーシャルレスポンスは適応的に変化させる値でも固定値でもどちらでもよい、またPRMLの拘束長も記述された長さに制限されるものではない。上記では実施例として、動作クロックをチャネルクロックの2分の1の周波数で発振するハーフクロックとしているが、これはチャネルクロックを任意の値で分周した周波数を用いても構わない。
<第5の実施例>
本実施例は、ハーフクロックサンプリングに対応したビタビ復号において、補間処理を用いてハーフクロックサンプリングにより間引きされた再生信号に相当する信号を生成し、チャネルクロックサンプリングを擬似的に行う擬似チャネルクロックサンプリングを用いることで、復号精度の低下を改善することが可能な実施例である。
【0047】
図26に本発明の第5の実施例である情報再生装置の構成図を示す。第4の実施例の情報再生装置である
図20と相違するのはPLL106、補間回路2601、制御部2602である。同一符号のものは
図20と同等であるため説明を省略する。また上記において既出のものについても説明を省略する。
【0048】
図26のように補間回路2601は等化回路107からの波形等化された再生信号を用いて補間処理を行い、ハーフクロックサンプリングにより間引きされた再生信号に相当する信号を生成する。そして補間により生成した信号をBMC2010へ出力し、等化回路107から入力された波形等化後の再生信号をBMC2009へ出力する。
【0049】
図27に
図26の補間回路2601の構成の一例を示す。
等化回路107からの波形等化された再生信号は遅延回路2701と0.5倍乗算器2702へ入力され、遅延回路2701に格納された信号は0.5倍乗算器2703と後段のBMC2009へ出力される。加算器2704は0.5倍乗算器2702,2703により0.5倍された信号を加算し、加算結果を後段のBMC2010へ出力する。
【0050】
以上で説明したハーフクロックサンプリング及び擬似チャネルクロックサンプリング両対応ビタビ復号を用いれば、光ディスクからの再生信号に含まれる歪みや雑音が少ない場合(例えば高品質ディスク再生時など)には、ハーフクロックサンプリングに対応したビタビ復号を適用することで消費電力の低減を行い、再生信号に含まれる歪みや雑音が多い場合(例えば粗悪ディスク再生時など)には、補間処理を施した擬似的なチャネルクロックサンプリングに対応したビタビ復号へ変更することで復号精度の改善を行うというように再生信号の品質に応じて適切なビタビ復号を切り替えることが可能となる。ハーフクロックサンプリング動作と擬似チャネルクロックサンプリング動作の切り替え判定方法としては、前記の実施例で述べたように、リトライ動作時および倍速動作に伴い切り替えの判定を行うという方法や、判別したディスクの種類に基づいて切替えの判定を行うという方法を用いれば良い。また、ユーザーがチャネルクロックサンプリングまたはハーフクロックサンプリングの動作を予め選択して設定しておいてもよい。
【0051】
また本実施例では再生信号補間の方式として2点間の線形補間を用いたが、この方式に限定することはない。
なお、以上で述べた再生信号補間方式を用いた回路構成は本実施例に限定されるものではなく、前述の実施例においても適用可能である。
また、上記のビタビ復号でのパーシャルレスポンスは適応的に変化させる値でも固定値でもどちらでもよい、またPRMLの拘束長も記述された長さに制限されるものではない。上記では実施例として、動作クロックをチャネルクロックの2分の1の周波数で発振するハーフクロックとしているが、これはチャネルクロックを任意の値で分周した周波数を用いても構わない。