【文献】
Biological Chemistry Hoppe-Seyler,1991年,Vol.372,p.845-848
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アレイのオリゴヌクレオチドにおける複数の異なる保護基を検出できるように、各反復時に異なる抗体を用いてステップ(b)〜ステップ(c)を少なくとも1回反復するステップをさらに含む請求項11に記載の方法。
前記アレイの少なくとも1つの離れた別個の位置のオリゴヌクレオチドの不十分な脱保護または不十分な伸長の存在を記録する証拠を作成するステップをさらに含む請求項11に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、本明細書の図面および以下に記載する明細書により詳細に説明されている。
【0015】
1.一般的な定義
本明細書において使用される「抗体」は、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体の両方をいい、(IgGおよびIgM抗体を含むが、これらに限定されない)任意の免疫グロブリン型の抗体をいい、高頻度可変領域または結合領域を保持する抗体断片を含む。抗体はいかなる起源のものであってもよいが、典型的には、哺乳類である(例えば、ウマ、ラット、マウス、ウサギ、ヤギ)。抗体は、既知の技法により、ニトロセルロース、アガロース、ガラス、有機ポリマー(「プラスチック」)等に結合または固定されてもよく、既知の技法により、他の検出可能な基で標識されても、または検出可能な基に接続されてもよい。
【0016】
抗体のオリゴマーへの選択的な結合に関して本明細書において使用される「結合」は当技術上通常の意味を有する。一般に、イムノアッセイまたは親和性精製技法において識別するために、抗体は、少なくとも約K
d=10
-6、10
-7または10
-8Mの親和性で保護されているオリゴマーに結合するべきであり、約K
d=10
-2、10
-3または10
-4Mを超えない親和性で保護されていないオリゴマーと結合するべきである。
【0017】
本明細書において使用される「オリゴマー」は、DNAおよびRNAなどの天然型の形態の合成オリゴマー、並びに以下に考察する修飾された骨格の化合物を含む、合成オリゴヌクレオチドおよび合成オリゴペプチドをいう。オリゴヌクレオチドは本発明を実施する際に現在好ましく、本発明は、本明細書のオリゴヌクレオチドに言及して主に説明されている。しかし、本明細書に記載されている方法および技法はまたオリゴペプチド、オリゴサッカライド等(すなわち、合成に保護基を必要とする、合成によって生成される任意のポリマー)に適用することもできる。
【0018】
本明細書において使用される「ヌクレオチド」は、ペントース、含窒素複素環塩基(典型的には、ペントースの1位に結合している)およびリン酸塩またはリン酸基(典型的には、ペントースの5’位に結合している)を含むオリゴヌクレオチドのサブユニットをいうが、オリゴヌクレオチドの5’末端ヌクレオチドの3’位が欠損しているかまたは3’位に結合していると考えられる。これらの構造は周知である。例えば、A.Lehninger,Biochemistry,309−320を参照)。「ヌクレオシド」は、典型的には、リン酸またはリン酸塩を欠損しているヌクレオチドをいう。
【0019】
本明細書において使用される「保護基」は当技術上従来の意味を持ち、(典型的には、有機合成において)その分子が関係する化学反応の前に、分子中の原子に結合、典型的には、共有結合し、その結果、保護基が結合している原子に化学反応が起きない化学的部分、基または置換基をいう。典型的には、最終生成物が生成されるために、保護基は中間体分子から化学的に除去されるが、除去技法により最終生成物の部分的な脱保護(すなわち、その分子に残存する少なくとも1つの保護基が存在する)だけが生じるわけではないことがある。保護基は、上記の抗体を作製または試験する目的のために分子に意図的に残されることがある。
【0020】
本明細書において使用される「脱保護」または「脱保護された」は、分子からの化学的なオリゴヌクレオチド合成に使用される保護基がないことをいう。このような保護基は以下に記載されている。保護基が鎖の末端である場合には、このような保護基の存在はオリゴヌクレオチドの不十分な伸長を示すことができる。化学的に合成されたオリゴヌクレオチドは、理想的には、完全に脱保護されているが、本発明は、このようなオリゴヌクレオチドの部分的または不完全な脱保護(すなわち、オリゴヌクレオチドに以下に記載する少なくとも1つの保護基が存在する)を検出するために使用される。
【0021】
オリゴヌクレオチドに関して本明細書において使用される「塩基」は、プリン(例えば、アデニン、グアニン)またはピリミジン(例えば、ウラシル、チミン、シトシン)の誘導体であるまたは含窒素複素環塩基をいう。ピリミジン塩基は、1環窒素によってペントースに結合し、プリン塩基は9環窒素によってペントースに結合する。好ましい塩基は、グアニン、アデニンおよびシトシンなどの遊離アミノ基を含有するものである(次いで、遊離アミノ基の水素の1つまたは2つの置換によって、保護基が遊離アミノ酸基に共有結合される)。しかし、保護するための遊離アミノ基または合成中に保護を必要とする他の基をオリゴヌクレオチド中に含有する、標準的または修飾/稀(rare)な任意のプリンまたはピリミジン塩基に使用することができる。標準的および修飾/稀な塩基の例は以下の表1に記載されているヌクレオシドに見られるものである。
【0023】
出願人らは、本明細書に引用されている全ての米国特許参照文献の開示内容が
全体として本明細書に参照として組み入れられていることを意図している。
【0024】
2.保護基
特定の保護基は、合成されるオリゴマーおよびそのオリゴマーが合成される方法に依存する。
【0025】
オリゴヌクレオチドの合成に好適な保護基には、N、OまたはSなどの1つ以上のヘテロ原子を含有してもよく、置換または未置換であってもよい(例えば、カルボニル基)アルキル、アリール(aryl)、アルキルアリール、アリールアルキル基が含まれる。保護基の例には、以下を含むが、これらに限定されない:アセチル、イソブチリル、2−(t−ブチルジフェニル−シリルオキシメチル)ベンゾイル、ナフタロイル、イソ−ブチリルオキシカルボニル、レブリニル(levulinyl)、フルオレニルメトキシカルボニル、2−ニトロチオフェニル、2,2,2−トリクロロ−t−ブトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、p−ニトロフェニル−エチルオキシカルボニル、N’N−ジメチルホルムアミジン、ホルミル、ベンゾイル、トルイル、2,4−6−トリメチルベンゾイル、アニソイル、2,4−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、トリフェニルチオメチル、ピボロイルオキシメチル、t−ブトキシカルボニル、p−ニトロフェニルエチル、メトキシエトキシメチル、ブチルチオカルボニル、2−メチル−ピリジン−5−イル、2−ニトロチオフェニル、2,4−ジニトロチオフェニル、2−ニトロ−4−メチルチオフェニル、p−ニトロフェニルスルホニルエチル、5−クロロ−8−ヒドロキシキノリン、チオフェニル、β−シアノエチル、フェニルエチル、p−ニトロフェニルエチル、ピリジルエチル、2−N−メチルイミダゾリルフェニル、メチル、アリル(allyl)、トリクロロエチル、ジベンゾイル、p−ニトロフェニルエトキシカルボニル、ベンゾイルおよびその置換誘導体、2(アセトキシメチル)ベンゾイル、4,4’、4’’−トリス(ベンジルオキシ)トリチル、5−メチルピリジノ(pyr
idyno)−2−イル、フェニルチオエチル、ジフェニルカルバモイル、3,4−ジメトキシベンジル、3−クロロフェニル、2−ニトロフェニル、9−フェニルキサンテン−9−イル、9−(p−メトキシフェニル)キサンテン−9−イル、9−(p−オクタデシルオキシフェニル)キサンテン−9−イル、「架橋」ビス−ジメトキシトリチル基、フタノイル、スクシニル、ベンゼンスルホニルエトキシカルボニル、4,4’、4’’−トリス(ベブリニルオキシ(bevulinyloxy))トリストリチル、p−フェニルアゾフェニルオキシカルボニル、o−置換ベンゾイル、4,4’、4’’−トリス(4,5−ジクロロファルイミジン(phalimidin)トリチル、レベリニル(levelinyl)、アルキルオキシおよびアリールオキシアセチル、1,3−ベンゾジチオール
−2−イル、テトラヒドロフラニル、[2−(メチルチオ)フェニル]チオメチル、1−(2−クロロエチ(ethy)オキシ)エチル、1−[(2−フルオロ−フェニル]4−メトキシピペリジン−4−イル、4−メトキシテトラヒドロピラン−4−イル、(1−メチル−1−メトキシ)エチル、テトラヒドロピラニル、3−メトキシ−1,5−ジカルボメトキシペンタム(pentam)−3−イル、2−ニトロベンジル、ベンジル、4−ニトロフェニルエチル−スルホニル、t−ブチルジメチルシリル、4−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、9−p−メトキシフェニルチオキサンテン−9−イル、式R
1R
2R
3C−(ここで、R
1、R
2およびR
3は、各々独立に、フェニル、p−モノメトキシフェニル、o−モノメトキシフェニル、ビフェニル、p−フルオロフェニル、p−クロロフェニル、p−メチルフェニル、p−ニトロフェニル等からなる群から選択される)の化合物。
【0026】
3.オリゴヌクレオチド
保護基を含有し、本発明を実施するために使用することができる合成オリゴヌクレオチドには、DNAおよびRNAなどの天然型、並びにホスホネート、ホスホールアミド、ホスホンアミド、ホスファイト、ホスフィンアミド等、などのポリ(ホスフェート誘導体)スルホン、スルホネート、スルファイト、スルホンアミド、スルフェンアミド(sulfenamides)のようなポリ(硫黄誘導体)等などの修飾された骨格の化合物が含まれる。本発明の抗体は特定の「試薬」または「ベンチマーク」オリゴヌクレオチドとの選択的な結合によって特徴づけることができるが、同じ抗体は、同じ保護基を含有する種々の他のオリゴヌクレオチド(例えば、より長いヌクレオチド)または他の化合物にも結合することができるということが注目される。
【0027】
例えば、抗体が選択的に結合するオリゴヌクレオチドは、3〜20のヌクレオチドからなってもよく、前記ヌクレオチドの1つは以下の式(I)、
【化6】
(式中、RはHまたはジメトキシトリチルなどの保護基であるが、ただし、前記保護されている塩基が前記オリゴヌクレオチドの5’末端ヌクレオチドでない場合には、Rは隣接ヌクレオチドとの共有結合であり、
R
1はHまたはβ−シアノエチルなどの保護基であるが、ただし、前記保護されている塩基が前記オリゴヌクレオチドの3’末端ヌクレオチドでない場合には、R
1は隣接ヌクレオチドとの共有結合であり、
R
2はHまたは−OR
3であり、
R
3はHまたはtert−ブチルジメチルシリルなどの保護基であり、
塩基はプリンまたはピリミジン塩基であり、
R
4は、アセチル(Ac)、ベンゾイル(Bz)、ジメチルホルムアミジン(dmf)、イソブチル(isobutyrl)(Ibu)、フェノキシアセチル(Pac)およびイソプロピル−フェノキシアセチル(ipr−Pac)からなる群から選択される保護基などの前記塩基のアミノ基に結合した保護基であるが、ただし、R、R
1、R
3およびR
4の1つが保護基である場合には、R、R
1、R
3およびR
4の残りは保護基でない)の保護されたヌクレオチドである。
【0028】
上記の1つの特定の実施態様において、抗体は、3〜20ヌクレオチドからなり、式(I)、
【化7】
(式中、Rはジメトキシトリチルなどの保護基であり、
R
1は隣接ヌクレオチドとの共有結合であり、
R
2は−Hまたは−OHであり、
塩基はプリンまたはピリミジン塩基である)の保護されたヌクレオチドである5’ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドに選択的に結合するものであってもよい。
【0029】
上記の別の特定の実施態様において、抗体は、3〜20ヌクレオチドからなり、式(I)、
【化8】
(式中、Rは隣接ヌクレオチドとの共有結合であり、
R
1はβ−シアノエチルなどの保護基であり、
R
2は−Hまたは−OHであり、
塩基はプリンまたはピリミジン塩基である)の保護されたヌクレオチドである3’ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドに選択的に結合するものであってもよい。
【0030】
上記の別の特定の実施態様において、抗体は、3〜20ヌクレオチドからなり、前記ヌクレオチドの1つは、式(I)、
【化9】
(式中、Rは隣接ヌクレオチドとの共有結合であり、
R
1は隣接ヌクレオチドとの共有結合であり、
R
2は−OR
3であり、
R
3はtert−ブチルジメチルシリルなどの保護基であり、
塩基はプリンまたはピリジン塩基である)の保護されたヌクレオチドであるオリゴヌクレオチドに選択的に結合するものであってもよい。
【0031】
上記のさらに別の特定の実施態様において、抗体は、3〜20ヌクレオチドからなり、前記ヌクレオチドの1つは、式(I)、
【化10】
(式中、Rは隣接ヌクレオチドとの共有結合であり、
R
1は隣接ヌクレオチドとの共有結合であり、
R
2は−Hまたは−OHであり、
塩基はプリンまたはピリジン塩基であり、
R
4は、アセチル、ベンゾイル、ジメチルホルムアミジン、イソブチリル、フェノキシアセチルおよびイソプロピル−フェノキシアセチルなどの、前記塩基のアミノ基に結合した保護基である)の保護されたヌクレオチドであるオリゴヌクレオチドに選択的に結合するものであってもよい。
【0032】
従って、上記に示す構造に使用することができる保護された塩基の例には、以下の、
【化11】
(式中、R
1およびR
2は保護されていない塩基ではHであり、保護されている塩基では、R
1またはR
2は、上記の保護基(例えば、Pac、Ipr−Pac、Ibu、Bz、Ac、dmf)である)のようなアデニン、グアニンおよびシトシンが含まれるが、これらに限定されない。同様に、修飾されているヌクレオチドは、化学的に反応性である修飾基に保護基を有する。
【0033】
本発明の一実施態様において、オリゴヌクレオチドはペプチド核酸であり、保護基は、米国特許第6,133,444号に記載されているものを含むが、これらに限定されないペプチド核酸の合成に使用されるような保護基である。
【0034】
上記のさらに別の特定の実施態様において、抗体は3〜20ヌクレオチドからなり、前記ヌクレオチドの1つは、米国特許第5,744,101号および同第5,489,678号(Affymaxに付与されている)に記載されているものを含むが、これらに限定されない感光性保護基で保護されているオリゴヌクレオチドに選択的に結合するものであってもよい。
【0035】
4.抗体
上記のように、本発明は、有機保護基が共有結合した合成オリゴヌクレオチドに特異的に結合し、前記有機保護基が共有結合していない場合には前記合成オリゴヌクレオチドに結合しない抗体(例えば、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体)を提供する。
【0036】
抗体は、既知の技法により固体担体に固定(または結合)された状態で提供されても、遊離の結合していない形態(例えば、凍結乾燥、凍結、水性担体中等)で提供されてもよい。抗体が固定されるかどうかは、抗体を使用する特定のイムノアッセイまたは親和性精製技法に依存し、このような技法の既知のパラメーターによって決定される。同様に、典型的には、抗体を使用するイムノアッセイ方式に応じて、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)、ビオチンまたはアビジンなどの数多くの結合対、放射性基または緑色蛍光タンパク質などの蛍光基などの好適な検出可能な基を既知の技法により抗体に結合または接合することができる。
【0037】
5.イムノアッセイ方法
本発明は、イムノアッセイによって(保護基を含有する中断された(aborted)配列を含む)合成オリゴヌクレオチドの不完全な脱保護を検出する方法を提供する。一般に、このようなイムノアッセイは、(a)上記の抗体に合成オリゴヌクレオチドを接触させるステップと、(b)前記抗体と前記オリゴヌクレオチドとの結合の有無を検出するステップであって、結合の存在が前記合成オリゴヌクレオチドの不完全な脱保護を示すステップとを含む。不均一なイムノアッセイおよび均一なイムノアッセイを含む、任意の好適なアッセイ方式を使用することができる。例えば、イムノアッセイはイムノドット−ブロットアッセイであっても、またはサンドイッチアッセイであってもよい。脱保護について試験されるオリゴヌクレオチドは、溶液または固体担体に固定された形態などの任意の好適な形態であってもよい。
【0038】
好ましい実施態様において、検出方法は、抗体と試験オリゴヌクレオチドとの結合を、抗体と既知のオリゴヌクレオチドセットとの結合と比較し、全てが共通の固体担体に固定されている「ディップスティック」等を使用する。イムノアッセイにおいて合成オリゴヌクレオチドの不完全な脱保護を測定するのに有用な、
図10に例示するような物品は、(a)少なくとも2つの離れた別個の領域26および27が形成されている表面部分を有する固体担体(例えば、ニトロセルロースストリップ)25と、(b)前記離れた別個の領域の1つに結合し、保護基が(例えば、少なくとも1つの保護基)結合している第1のオリゴヌクレオチドと、(c)前記離れた別個の領域の別の1つに結合し、前記保護基が結合していない第2のオリゴヌクレオチドとを含み、前記第1および第2のオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列が同じである。好ましい実施態様において、本発明の物品は、(d)前記離れた別個の領域28の別の1つに結合し、前記第1のオリゴヌクレオチドに結合している前記保護基が結合している第3のオリゴヌクレオチドをさらに含み、前記第3のオリゴヌクレオチドが部分的に脱保護されており(すなわち、共有結合されている保護基の数が、第1のオリゴヌクレオチドと第2のオリゴヌクレオチドに結合しているものの中間であり、例えば、保護基が第1のオリゴヌクレオチドより少なくとも1、2、3または4つ以上多く、第1のオリゴヌクレオチドより少なくとも10、20以上多い)、前記第1、第2および第3のオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列が同じである。当然のことであるが、望ましい場合には、別の離れた別個の位置の基板に、異なる数の保護基を有するさらに多くのオリゴヌクレオチドを含んでもよい。別のオリゴヌクレオチドが結合する別個の領域は、ドットなどの任意の形態であってもよい。
【0039】
6.親和性精製方法
イムノアッセイ以外に、本発明はまた、完全に脱保護されたオリゴヌクレオチドを、部分的に脱保護されたオリゴヌクレオチド(完全に保護されているオリゴヌクレオチドを含む)(例えば、保護基を除去するために脱保護過程を実施したオリゴヌクレオチドと脱保護過程を実施していないオリゴヌクレオチドの両方)から分離する親和性精製技法を提供する。このような手法は、典型的には、(a)保護されている合成オリゴヌクレオチドと完全に脱保護された合成オリゴヌクレオチドの混合物を上記の抗体に接触させるステップであって、保護されている合成オリゴヌクレオチドは、抗体が選択できる有機保護基が共有結合されており、その結果、保護されている合成オリゴヌクレオチドが抗体に結合するステップと、次いで前記抗体を前記完全に脱保護されたオリゴヌクレオチドから分離する
ステップとを含む。保護されている合成オリゴヌクレオチドは部分的に保護されている合成オリゴヌクレオチドであっても、脱保護を受けていない完全に保護されている合成オリゴヌクレオチドであってもよい。アフィニティークロマトグラフィーを含むが、これに限定されない任意の分離方式を使用することができる。
【0040】
7.抗体の作製
有機保護基が共有結合している合成オリゴヌクレオチドに特異的に結合し、前記有機保護基が共有結合していない場合には、前記合成オリゴヌクレオチドに結合しない抗体を作製する方法は、(a)有機保護基が共有結合した合成オリゴヌクレオチドを(好ましくは、例えば、スクシニルリンカーで共有結合している)固体粒状担体で合成するステップと、前記固体担体からオリゴヌクレオチドまたはヌクレオチドをはずすことなく、(b)抗体を形成するのに十分な量の、固体担体に結合した合成オリゴヌクレオチドで動物を免疫するステップとを含む。また、有機保護基が結合している1つのヌクレオチドを固体粒状担体に結合してもよく、本明細書に上記するように使用することができる。
【0041】
合成ステップは、既知の技法により固体担体上で実施することができる。固体担体は合成前は粒状形態であってもよく、合成後は粒子に断片化されてもよい。一般に、固体担体は、全体が完全に固体であっても、多孔性であっても、変形可能であっても、または硬くてもよいビーズである。ビーズは、一般に、直径が少なくとも10、20または50〜250、500または2000μmであり、最も典型的には、直径50〜250μmである。セルロース、多孔性ガラス、シリカゲル、ジビニルベンゼンを架橋したポリスチレンビーズなどのポリスチレンビーズ、ポリエチレングリコール/ポリスチレンなどのグラフトコポリマービーズ、ポリアクリルアミドビーズ、ラテックスビーズ、ジメチルアクリルアミドビーズ、直鎖状ポリスチレンを接続した架橋ポリスチレンまたはフッ素化エチレンポリマーなどの疎水性ポリマーをコーティングしたガラスビーズなどの複合体等を含む、任意の便利な組成物を固体担体に使用することができる。粒子またはビーズなどの離れた別個の個体担体を使用する場合には、それらは、一般に、総反応混合物の約1〜99重量パーセントを含む。
【0042】
好ましい実施態様において、合成ステップの次で、免疫ステップの前に、固体担体を(例えば、粉砕によって)断片化するステップを実施する。ポリクローナル抗体を既知の技法により動物の血清から回収するか、または脾臓細胞を動物から回収してもよく、複数のハイブリドーマ細胞系統を脾臓細胞から作製し、次いで抗体を作製する特定のハイブリドーマ細胞系統を複数のハイブリドーマ細胞系統から単離することができる。
【0043】
核酸および他の合成に使用される保護基に対する抗血清/ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を作製する特定のプロトコールは、典型的には、以下のステップを含む。(a)保護基を含有する、または含有しないオリゴヌクレオチドおよび他を作製するステップ、(b)そのような調製物で動物を免疫するステップ、(c)保護基に対する抗体を示すものを同定するために動物をスクリーニングするステップ、(d)典型的な融合方法によってモノクローナル抗体を作製するステップと、(e)必要に応じて、抗体操作によってscFab、Fab断片および抗体分子全体を作製するステップ、および(f)保護基に対するモノクローナル抗体を評価し、特徴づけるステップ。これらのステップの各々は以下にさらに詳細に考察されている。
【0044】
保護基を含有する合成オリゴヌクレオチドは、当業者に既知の種々の方法で合成することができる。例えば、細孔性ガラス(Controlled pore glass(CPG))ビーズに接続している個々のヌクレオチドに保護基を結合することができる。例として以下が挙げられる:
CPGビーズ−dT(DMT基のみ)。
【0045】
別の方法として、CPGビーズに接続しているオリゴヌクレオチド鎖に保護基を結合することができる。例として以下が挙げられる:
Bz−dCおよびIbu−dGによるPac−dA−Pac−dA−CPG
ビーズ、
Bz−dCおよびIbu−dGによるIpr−Pac−dG−Ipr−Pa
c−dG−CPGビーズ、
Bz−dCおよびIbu−dGによるAc−dC−Ac−dC−CPGビー
ズ、
Bz−dCおよびIbu−dGによるdmf−G−dmf−G−CPGビー
ズ、および
上記の4つのオリゴヌクレオチドの混合物。
【0046】
さらに別の方法では、部分的に脱保護されているオリゴヌクレオチド鎖に保護基を結合してもよい(脱保護手法は以下に詳細に記載されている)。例として以下が挙げられる:
ポリdT20mers(DMT基のみ)、
ポリdT20mers(シアノエチル基のみ)、
ポリIbu−dG20mers(部分的に脱保護されている)、
ポリIpr−Pac−dG20mers(部分的に脱保護されている)、
ポリBz−dC20mers(部分的に脱保護されている)、
ポリPac−dA20mers(部分的に脱保護されている)、および
ポリAc−dC20mers(部分的に脱保護されている)。
【0047】
本明細書に記載されているように生成される合成オリゴヌクレオチドは以下のように部分的に脱保護することができる:(a)合成ポリヌクレオチドに30%水酸化アンモニウム溶液を添加し、次いで室温において異なる時間インキュベーションし(5、10および30分)、(b)処理したオリゴマーのアンモニウム溶液を取り、アンモニウム対酢酸1:4比により1:1希釈し、4℃に事前に冷却した酢酸に添加し、(c)氷浴で30分試料を維持し、(d)スピード−Vacで試料を乾燥し、(e)乾燥したペレットを水に溶解し、(f)Sephadex G−25カラムで試料を脱塩し、(g)スピード−Vacで試料を乾燥し、(h)脱塩した試料を水に溶解する。
【0048】
本明細書に記載されているように生成される合成オリゴヌクレオチドは任意の好適な技法によって完全に脱保護することができる。1つの特定の技法は以下のようである:(a)合成オリゴヌクレオチドに30%水酸化アンモニウム溶液を添加し、次いで65℃において6時間インキュベーションし、(b)スピード−Vacで試料を乾燥し、(c)乾燥したペレットを水に溶解し、(d)Sephadex G−25カラムで試料を脱塩し、(e)スピード−Vacで試料を乾燥し、(f)脱塩した試料を水に溶解する。
【0049】
部分的および完全に脱保護されたオリゴヌクレオチドは、さらに使用するために、または手法を証明するために、ゲル電気泳動、尿素−アクリルアミドゲル電気泳動、T4ポリヌクレオチドキナーゼによる5’末端標識、HPLC分析、質量分析法等を含むが、これらに限定されない任意の好適な手段によって、特徴づけることができる。
【0050】
滅菌生理食塩溶液などの好適な担体にオリゴヌクレオチドを加えたものの非経口注射によって上記のオリゴヌクレオチドで好適な動物を免疫することができる。注射は、皮下、腹腔内、静脈内、動脈内、筋肉内等を含むが、これらに限定されない任意の好適な経路によってもよい。好適な動物は、典型的には、マウス、ウサギ、ラット等を含む哺乳類である。
【0051】
特定の実施態様において、モノクローナル抗体を作製するためには、若い雌のBALB/cマウスを使用し、抗原物質注射の時間経過は以下のようにする:
初日 最初の注射
14日め 最初の追加免疫投与
28日め 2回めの追加免疫投与
融合4日前 最後の追加免疫投与
望ましい場合には、追加の注射を使用してもよい。抗原量は、1回あたり各マウスについて、50μgまたは100μgの未保護(対照抗体用)または保護オリゴヌクレオチドであってもよい。好ましくは、オリゴヌクレオチド合成の担体として使用されるビーズまたは他の個体担体が動物に注射される場合には、ビーズまたは粒子は水に懸濁され、次いでマウスに注射される。ヌクレオチド溶液を使用する場合には、溶液をフロイントの完全または不完全アジュバントと混合し、マウスに注射する。
【0052】
ポリクローナル抗体は、既知の技法により上記のように免疫または接種した動物から回収することができ、または既知の技法により、脾臓細胞を動物から回収し、ハイブリドーマ細胞系統を脾臓細胞から作製し、ハイブリドーマ細胞系統を望ましい抗体の作製についてスクリーニングすることができる。
【0053】
3’または5’末端にビオチン分子を含有するまたは含有しないオリゴヌクレオチド(以下に記載するELISAアッセイ用)は標準的な技法により合成することができる。例として以下が挙げられる:
ポリIbu−dG20mers(ビオチン有または無)
ポリIbu−dA20mers(ビオチン有または無)
ポリIbu−dC20mers(ビオチン有または無)
ポリIpr−Pac−dG20mers(ビオチン有または無)
ポリBz−dC20mers(ビオチン有または無)
ポリBz−dA20mers(ビオチン有または無)
ポリdT20mers(ビオチン有または無)
ポリPac−dA20mers(ビオチン有または無)
ポリAc−dC20mers(ビオチン有または無)、および
ポリdmf−G20mers(ビオチン有または無)。
【0054】
上記のように作製される抗体は、その結合特性を測定するために、ウェスタンブロットおよびイムノドット−ブロットを含むが、これらに限定されない任意の好適な技法によって特徴づけることができる。
【0055】
ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を使用する以外に、本発明は、組み換えDNAによる抗体の作製、すなわち「抗体操作」技法を含む。例えば、ハイブリドーマ細胞から単離したmRNAをcDNAライブラリーを構築するために使用することができ、抗体全体または抗体断片(例えば、scFabまたはFab断片)をコードする配列を単離し、好適な発現ベクターに挿入し、この発現ベクターを、抗体をコードする単離したcDNAを発現する宿主細胞に挿入することができる。
【0056】
モノクローナルFab断片を、当業者に既知の組み換え技法によって大腸菌(Escherichia coli)中で作製することができる。例えば、W.Huse,Science246,1275−81(1989)参照。
【0057】
8.抗体のスクリーニング
保護基特異的抗体についての血清およびハイブリドーマ細胞培養培地のスクリーニングは以下のように実施することができる。
【0058】
A.血清
1.固体担体に(直接またはオリゴマーを介して)接続した保護基を接種する予定のマウスから免疫前(免疫する前)血清を標準的な手段によって採取する。
2.接種後血清も採取する。
3.特異的な保護基が、マイクロタイタープレートに結合されたビオチン化オリゴヌクレオチドに残存するELISAアッセイを実施する。他のマイクロタイタープレートウェルは、保護基のない対照オリゴマーまたは他の保護基のオリゴヌクレオチドを含有する。二次抗体は、抗体を可視化するためにホスファターゼがコンジュゲートされているヤギ抗マウスIgGである。
4.特異的な保護基に対して陽性の活性を有するマウスに追加抗原投与し、ハイブリドーマを作製するために犠牲にした。
【0059】
B.ハイブリドーマ細胞培養培地
1.約100の培養物を各脾臓ハイブリッド細胞生成物から作製した。
2.培養物をマイクロタイタープレートウェル、96ウェルプレートで増殖する。
3.培養培地を各ウェルから除去し、上記のように、〜1000マイクロタイタープレートウェルの各々がプレートに結合された保護されたオリゴヌクレオチドを含有するELISAアッセイに使用した。
4.陽性の活性を有する抗体を産生する培養物をより大型の培養ウェル、24ウェルマイクロタイタープレートに移した。
5.大型の培養物の培養培地を、保護基に対する活性について再度試験し、特異性についてもアッセイする;すなわち、保護基がないものおよび他の保護基の対照。
6.陽性である培養物を分離(希釈)し、再度試験し、各最終培養が1細胞の結果となる点;すなわち、モノカルチャーまで再度分離した。これらの最終培養物の培地を特異性および親和性について十分に評価する。特異性および親和性はドット−ブロットアッセイを使用して評価する。
【0060】
C.ELISAアッセイの代わりのドット−ブロットアッセイ
1.一部の保護基に対する抗体は、マイクロタイタープレートウェル環境において試験するのに扱い難く、ドット−ブロットアッセイを使用して試験する必要がある。一例は、5’−末端保護基、ジメチル−トリチル(DMT)である。
2.ニトロセルロース膜でのドット−ブロットアッセイは、ほとんどの目的のための用途において別の文献に記載されているように実施される。しかし、利用できる培地が少量しかない〜1000マイクロタイターウェル培養物により抗体産生を評価する際にはこれは不可能である。従って、新規改良法が開発された。
a)保護されているオリゴヌクレオチドを、UV−架橋を使用してニトロセルロースにドット状に結合する。DMTの場合には、膜上の5’−DMTの存在は弱酸でドットを処理することによって確認され、反転は黄色−橙色に変わる。3’−ビオチンの存在は市販のアビジン染色で確認することができる。
b)膜をブロックする(ドット−ブロットアッセイ参照)。
c)乾燥した膜のドットを慎重に印をつけ(鉛筆)、膜から「くりぬく」。
c)個々のドットを、個々のマイクロタイタープレートウェルの細胞培養培地
に加えてインキュベーションする。
d)個々のドットを取り、洗浄し、二次抗体、ホスファターゼ(phosph
otase)反応を実施し、適当な試薬を用いたマイクロタイタープレートウェ
ルを使用して呈色させる。
e)陽性のドットを、少量の培養培地を得た元のマイクロタイタープレートウ
ェル培養物に戻って関連させる。
f)さらに培養および分離をBに記載するように実施する。
【0061】
9.マイクロアレイの試験
本発明は、マイクロアレイなどの固体支持体に固定したオリゴヌクレオチドを、固体担体で合成したオリゴヌクレオチドの不十分な脱保護または伸長について試験またはスクリーニングするために使用することができる。
【0062】
本発明を実施するために使用される固体担体は、典型的には、別個の固体担体である。別個の固体担体は物理的に互いに離れていても、または単一構造基板の表面部分の別個の領域であってもよい。このような「チップ型」または「ピン型」固体担体は既知である。例えば、Pirrungに付与された米国特許第5,143,854号、Ellmanに付与された米国特許第5,288,514号(ピン型担体)、Fodorらに付与された米国特許第5,510,270号(チップ型担体)を参照。本発明を実施するために使用することができるオリゴヌクレオチドアレイの別の限定するものではない例およびこれらを製造する方法は、米国特許第5,631,734号、同第5,599,695号、同第5,593,839号、同第5,578,832号、同第5,510,270号、同第5
,571,639号、同第6,056,926号、同第5,445,934号および同第5,703,223号に記載されているものを含むが、これらに限定されない。このような装置は、本発明を実施するためにそこに記載されているように使用することができる。
【0063】
アレイを形成する固体担体または基板は、ケイ素を含む任意の好適な物質を含んでもよい。オリゴヌクレオチドはマイクロアレイ上のin situでモノマー(または個々のヌクレオチド)からin situ重合または成長(grown)させてもよく(この場合には、固体担体を分析装置に通過させることができないので、保護基を検出するのに現在利用可能な技法のどれも、アレイ上のオリゴヌクレオチドの不完全な脱保護または伸長を検出するのに有用ではない)、またはオリゴヌクレオチドを別に重合し、次いで固体担体の適当な領域に接続してもよい。アレイは、異なる離れた別個の領域に任意の数の異なるオリゴヌクレオチドを含んでもよく、例として、異なる離れた別個の領域に少なくとも1,000、少なくとも2,000、少なくとも10,000または少なくとも20,000の異なる
オリゴヌクレオチドのアレイを含む。
【0064】
一般に、オリゴヌクレオチドの不十分な脱保護または不十分な伸長についてオリゴヌクレオチドアレイをスクリーニングする方法は以下のステップを含む。
(a)上記のオリゴヌクレオチドアレイを提供するステップ、
(b)上記の抗体(すなわち、有機保護基が共有結合した合成オリゴヌクレオチドに特異的に結合し、前記有機保護基が共有結合していない場合には、前記合成オリゴヌクレオチドに結合しない抗体)を提供するステップであって、好ましくは、抗体は、そのアレイが保有するオリゴヌクレオチドの有機合成過程中に保護基が使用される場合に、有機保護基を有するオリゴヌクレオチドに特異的に結合するステップ、次いで
(c)前記抗体に前記オリゴヌクレオチドアレイを接触させ、それによってオリゴヌクレオチドの不十分な脱保護または不十分な伸長の存在を検出するステップであって、定性的であっても、定量的であってもよいこのような検出は上記の任意の好適なイムノアッセイ技法によって実施することができるステップ。
【0065】
本発明の方法において、ステップ(b)〜(c)を、各反復時に異なる抗体を用いて少なくとも1回反復してもよく、その結果、アレイ中のオリゴヌクレオチドに存在することがある複数の異なる保護基を検出することができる。
【0066】
好ましくは、離れた別個の領域の1つ以上(例えば、複数)のオリゴヌクレオチドの不十分な脱保護(保護基が存在する)が一旦検出されたら、本発明の方法は、アレイの少なくとも1つの離れた別個の位置(または複数の離れた別個の位置)のオリゴヌクレオチドの不十分な脱保護または不十分な伸長の存在を記録する記録または証拠を作成するステップをさらに含む。証拠は、(不十分な伸長を含む)不十分な脱保護の定性的または定量的証拠であってもよい。
【0067】
上記の方法は、
図11に例示する補正可能なオリゴヌクレオチドアレイを提供する。アレイは、
(a)複数の異なるオリゴヌクレオチドが固定された基板30であって、前記異なるオリゴヌクレオチドが前記基板の異なる離れた別個の位置31に固定されている基板30と、
(b)前記アレイに関連する複数の証拠であって、これらの証拠は複数の異なるオリゴヌクレオチドの不十分な脱保護または不十分な伸長の存在を記録し、前記異なるオリゴヌクレオチドは前記アレイの離れた別個の位置に位置づけられている証拠とを組み合わせて含む。これらの証拠は、マイクロリソグラフィーなどの技法によってアレイ32の領域に印刷されてもよく、紙などの従来の媒体に印刷されて、アレイとともに出荷されてもよく、アレイチップ(位置32に組み込まれてもよい)に接続されたまたはアレイチップに形成されたメモリーまたは記憶装置に収納されてもよく、フロッピー(登録商標)ディスクまたはCD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な媒体に提供することができる別のデータまたはコンピュータファイルの形態で提供されてもよく、アレイのエンドユーザーによるダウンロードのためにワールドワイドウェブのウェブサイトに格納されてもよい。証拠が別のデータファイルの形態で提供される場合には、アレイは、好ましくは、アレイに形成される、またはアレイに接続されるまたはアレイに関連するコード番号などの識別子(identifier)をさらに含む(例えば、アレイを含む包装に印刷される、またはアレイと共に包装されるインフォメーションシートに印刷される、および/またはアレイに直接印刷される)。不十分な脱保護および/または伸長の記録を含む正しい証拠が、アレイの最終的なエンドユーザーによってアレイに最終的に関連づけられることを保証するために、識別子を別の証拠に関連づけることができる(例えば、データシートに印刷する、コンピュータファイルのパスワード、ファイル識別子および/またはアクセスコード等として使用する)。
【0068】
米国特許第5,925,562号、同第6,017,496号、同第5,751,629号および同第5,741,462号に記載されているように、アレイに接続したデータ装置または記憶装置を既知の技法により実施することができ、本発明を実施するためにこのような装置をそこに記載されているように使用することができる。
【0069】
アレイのエンドユーザーは、
(a)上記の基板を提供するステップ、
(b)上記の前記アレイに関連する少なくとも1つまたは複数の証拠を提供するステップ、
(c)試験化合物を提供するステップであって、試験化合物は、試験化合物ライブラリーのメンバーであっても、タンパク質、ペプチドまたはオリゴヌクレオチド(例えば、DNAまたはmRNAなどのRNA)などの任意の好適な化合物であってもよいステップ、
(d)(例えば、アレイに試験化合物を接触させることによって)前記複数の異なるオリゴヌクレオチドの少なくとも1つへの前記試験化合物の結合を検出するステップ、次いで、
(d)(i)前記検出された結合、および(ii)不十分な脱保護または不十分な伸長の存在を記録する前記証拠から、アレイの1つ以上のオリゴヌクレオチドへの試験化合物の結合の程度(単に、結合の有無を含む)を検出し、測定するステップを含む方法において、前記アレイのオリゴヌクレオチドの不十分な脱保護または不十分な伸長を補正するために上記の証拠を使用することができる。従って、アレイの1つ以上の位置のオリゴヌクレオチドの不十分な脱保護または不十分な伸長は、測定ステップ中に補正することができる。このような補正は、アレイの特定の離れた別個の領域を無視することを含む(例えば、同じオリゴヌクレオチドを含有するアレイの他の離れた別個の領域を支持する)、任意の手段によって実施することができる。別の例では、1つ以上の位置が不十分な脱保護または伸長を含有し、それによってそのような位置への結合が減少する場合には、記録されている証拠によって対照を可能にしない場合に示されるものより大きい結合を示すために、そのアレイを用いた実験から誘導される結合データをそれらの位置について上向きに調整することができる。検出または測定ステップは、結合の程度の呈色表示を形成する、結合の程度の数値表示を形成する、結合の程度のグラフまたは他の記号表示を形成する等などの任意の好適な手段によって実施することができる。結合の程度は、結合親和性、結合量、または結合親和性と結合量の両方であるが、典型的には、アレイの特定の離れた別個の領域に結合する試験化合物の量の表示である結合の表示であってもよい。
【0070】
本発明は、限定することを意図するものではない、以下の実施例においてさらに詳細に説明されている。
【0071】
[実施例1]
オリゴヌクレオチドの合成
合成は、製造業者のプロトコールに従い、ABI DNA/RNA Synthesizer、モデル394(PE Biosystems,850 Lincoln Centre Drive,Foster City,CA 94404)で実施した。合成中、わずかに改良した1マイクロモルスケールサイクルを使用した(製造業者の取り扱い説明書参照)。主な出発物質(および供給業者/製造業者は括弧内に記載されている)は以下のようであった。
アクティベーター(0.45M テトラゾールのアセトニトリル溶液)、CAP A(無水酢酸/テトラヒドロフラン/2,6ルチジン),CAP B(N−メチルイミダゾール/テトラヒドロフラン)および酸化剤(0.02Mヨウ素/ピリジン/THF/H2O)(Prime Synthesis) Pac−dA(5’−ジメトキシトリチル−N−フェノキシアセチル−2’−デオキシアデノシン、3’−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホールアミダイト(Glen Research)
Ipr−Pac−dG(5’−ジメトキシトリチル−N−p−イソプロピル−フェノキシアセチル−2’−グアノシン、3’ −[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホールアミダイト(Glen Research)
Ac−dC(5’−ジメトキシトリチル−アセチル−2’−デオキシシチジン、3’−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホールアミダイト(Glen Research)
dmf−G(5’−ジメトキシトリチル−ジメチルホルムアミジン−グアノシン、2’−O−TBDMS−3’−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホールアミダイト(Glen Research)
Bz−dC−CPGビーズ(5’−ジメトキシトリチル−N−ベンゾイル−2’−デオキシシチジン、3’−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホールアミダイト−スクシニルリンカー−ビーズ(3000Ang)(CPG Inc.)
Ibu−dG−CPGビーズ(5’−ジメトキシトリチル−N−イソブチル−2’−デオキシシチジン、3’−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホールアミダイト−スクシニルリンカー−ビーズ(3000Ang)(CPG Inc.)
【0072】
以下の化合物を合成した。化合物は以下に示すビーズに結合した:
Pac−dA−Pac−dA−Bz−dC−スクシニルリンカー−ビーズ
Pac−dA−Pac−dA−Ibu−dG−スクシニルリンカー−ビーズ
Ipr−Pac−dG−Ipr−Pac−dG−Bz−dC−スクシニルリンカー−ビーズ
Ipr−Pac−dG−Ipr−Pac−dG−Ibu−dG−スクシニルリンカー−ビーズ
Ac−dC−Ac−dC−Bz−dC−スクシニルリンカー−ビーズ
Ac−dC−Ac−dC−Ibu−dG−スクシニルリンカー−ビーズ
dmf−G−dmf−G−Bz−dC−スクシニルリンカー−ビーズ
dmf−G−dmf−G−Ibu−dG−スクシニルリンカー−ビーズ。
【0073】
上記の化合物は、以下の実施例2にさらに記載されているように、抗体を作製するために、オリゴヌクレオチドを固体担体から分離することなく、免疫原として動物に直接投与した。
【0074】
[実施例2]
動物の接種
8〜12週齢の雌BALB/cマウスをCharles River,Raleigh,North Carolina,USAから購入した。マウスは、フィルターキャップ付きのケージで飼育した。
【0075】
オリゴヌクレオチド鎖の合成を実施例1に記載されているように実施したら、ガラス板の間にビーズを置いて、ガラス板を手で押してヌクレオチド付きビーズをやさしく粉砕した。
【0076】
上記の8つのオリゴヌクレオチドの各々5μMを4mlのPBS(150mM塩化ナトリウムを100mMリン酸緩衝液に加えたもの、pH7.2)に混合した。
【0077】
混合物を十分に撹拌して、粉砕したビーズを懸濁させた。撹拌した混合物150μLを取り、注射筒のPBS300μLに添加した。注射直前に、破壊したビーズを懸濁させるために、注射筒を振とうすることによって、ビーズを含有する溶液を再度混合した。次いで、十分に混合した溶液の150μLまたは300μLをマウスの腹腔内に注射した。この手法を最初の注射と以下の追加抗原投与に使用した。
注射時間スケジュール
注射 日数(日)
1回め 0
2回め 14日め
3回め 28日め
4回め 42日め
5回め 56日め
6回め 70日め
7回め 84日め
8回め 98日め
9回め 112日め
10回め 138日め
11回め(最後、融合の4日前) 142日め
【0078】
最後の注射の4日後、脾臓細胞を動物から採取し、ハイブリドーマ細胞系統を作製するために既知の技法により骨髄腫細胞(P3x.63.Ag8.653)と融合し、次いで特定の細胞系統を単離し、本発明の望ましい抗体を作製するために、以下に記載する特徴であるかどうかを判定するためにスクリーニングした。
【0079】
[実施例3]
抗体の特徴づけのためのイムノドット−ブロットアッセイ
イムノドット−ブロットアッセイは膜の紙へのオリゴヌクレオチドのUV架橋に関係し、生成物オリゴマーの保護基を検出、同定および定量するための試験キットに直接適用することができる。この手法は以下のように実施することができる:(a)TBS(10mM Tris,pH7.2;150mM NaCl)で膜の紙を濡らす、(b)減圧下で膜の紙に試験対象のオリゴヌクレオチドをドットする、(c)膜の紙にヌクレオチドをUV架橋する、(d)室温において2時間または4℃において終夜1%カゼイン−TBST(TBSプラスTween20,0.1容量%)で膜の紙をブロックする、(e)TBSTで各々15分ずつ3回膜を洗浄する、(f)室温においてプレートを試験対象の試料(1%カゼイン−TBSTで希釈)と共に1時間インキュベーションすることによって抗原−抗体複合体を形成する、(g)上記のように洗浄する、(h)室温において1時間第2抗体接合体(1%カゼイン−TBSTで希釈)と反応させる、(i)上記のように洗浄する、(j)膜を基板溶液と共にインキュベーションすることによって呈色反応を形成する。
【0080】
[実施例4]
モノクローナル抗体1H11のドット−ブロットアッセイ
上記の実施例2に記載するように作製したモノクローナル抗体1H11をドット−ブロットアッセイによって特徴づけた。結果は、
図1の棒グラフとして示す。
図1において、レーン(またはカラム)1および2は、それぞれ、65℃において6時間および4℃において15分間NH
4OHで処理したオリゴPac−dA20mersを示す。カラム3および4は、それぞれ、65℃において6時間および15分間NH
4OHで処理したオリゴBz−dC20mersを示す。カラム5および6は、それぞれ、65℃において6時間および15分間NH
4OHで処理したオリゴAc−dC20mersを示す。カラム7および8は、それぞれ、65℃において6時間および15分間NH
4OHで処理したオリゴIpr−Pac−dG20mersを示す。カラム9および10は、それぞれ、65℃において6時間および15分間NH
4OHで処理したオリゴIbu−dG20me
rsを示す。カラム11、12および13は、それぞれ、DMT基だけおよびシアノエチル基だけを有する完全に脱保護されているオリゴdT20mersを示す。抗体活性はELISAの光学密度(479nm)として示し(以下の実施例7)、ドット−ブロットアッセイの陽性または陰性の結果は、棒グラフの各カラムの上方の白丸または黒丸で示してある。モノクローナル抗体1H11の活性はカラム10ではオリゴIbu−dG20merに選択的に結合していることに注目すべきである。
【0081】
[実施例5]
モノクローナル抗体7H3のドット−ブロットアッセイ
上記の実施例2に記載するように作製したモノクローナル抗体7H3を、上記の実施例3に記載するドット−ブロットアッセイによって特徴づけた。結果は、
図1の棒グラフとして示す。
図1において、レーン(またはカラム)1および2は、それぞれ、65℃において6時間および4℃において15分間NH
4OHで処理したオリゴPac−dA20mersを示す。カラム3および4は、それぞれ、65℃において6時間および15分間NH
4OHで処理したオリゴBz−dC20mersを示す。カラム5および6は、それぞれ、65℃において6時間および15分間NH
4OHで処理したオリゴAc−dC20mersを示す。カラム7および8は、それぞれ、65℃において6時間および15分間NH
4OHで処理したオリゴIpr−Pac−dG20mersを示す。カラム9および1
0は、それぞれ、65℃において6時間および15分間NH
4OHで処理したオリゴIbu−dG20mersを示す。カラム11、12および13は、それぞれ、DMT基だけおよびシアノエチル基だけを有する完全に脱保護されているオリゴdT20mersを示す。抗体活性は上記の光学密度として示し、ドット−ブロットアッセイの陽性または陰性の結果は、棒グラフの各カラムの上方の白丸または黒丸で示してある。モノクローナル抗体1H11の活性はカラム4ではオリゴBz−dC20merに選択的に結合していることに注目すべきである。
【0082】
[実施例6]
抗体を特徴づけるためのウェスタンブロットアッセイ
ウェスタンブロットアッセイは、オリゴヌクレオチドのゲルから膜の紙への低電圧移動およびオリゴヌクレオチドの膜へのUV架橋に関係する。このアッセイは以下のように実施することができる:(a)10mMMgCl
2を含有する15%未変性ゲルを注ぐ、(b)ゲルのウェルにオリゴヌクレオチド(オリゴマー)をロードする、(c)氷浴中で200ボルトでゲルを泳動する、(d)氷浴中で25ボルトで25分間ゲルから膜の紙にオリゴヌクレオチドを移動させる、(e)膜にヌクレオチドをUV架橋する、(f)室温において2時間または4℃において終夜1%カゼイン−TBSTで膜の紙をブロックする、(g)TBSTで各々15分ずつ3回膜を洗浄する、(h)室温において試験対象の試料(1%カゼイン−TBSTで希釈)を1時間インキュベーションする、(i)上記のように洗浄する、(j)室温において1時間膜を第2抗体接合体(1%カゼイン−TBSTで希釈)と共にインキュベーションする、(k)上記のように洗浄する、(l)膜を基板溶液と共にインキュベーションすることによって呈色を形成する。
【0083】
[実施例7]
抗原としてビオチン化ポリヌクレオチドを使用した抗体の検出およびストレプトアビジン−ビオチン系に関係するELISA
抗体を検出するための酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)は以下のように実施する:(a)ストレプトアビジンを事前にコーティングしたマイクロタイタープレートを事前スクリーニングする、(b)試験対象のビオチン化オリゴヌクレオチドまたは他の物質(濃度5μg/mlのPBS溶液)(PBS:15mM NaCl,10mM リン酸緩衝液、pH7.4)の調製物でプレートをコーティングし、次いで室温において2時間インキュベーションする、(c)0.1%TweenのPBS溶液(PBST)で各々15分ずつ3回を洗浄する、(d)室温において時間または4℃において終夜1%カゼインのPBST溶液でブロックする、(e)上記のように洗浄する、(f)プレートを抗体と共に室温において1時間インキュベーションすることによって抗原−抗体複合体を形成する
、(g)上記のように洗浄する、(f)室温において1時間第2抗体−ペルオキシダーゼ接合体(1%カゼイン−PBST溶液)と反応させる、(i)上記のように洗浄する、(j)テトラメチルベンジジン(TMB)溶液(TMB溶液:42mM TMB、0.004%H
2O
2、0.1M酢酸緩衝液、pH5.6)を添加し、室温において15分間インキュベーションし、次いで2MH
2SO
4で反応を停止することによって呈色反応を形成する、(k)469nmの吸光度値を読む。
【0084】
[実施例8]
ベンゾイル、イソブチリルおよびイソプロピルフェノキシアセチルに対するモノクローナル抗体のELISAおよびドット−ブロットアッセイ
上記の実施例2に記載するように作製した、保護基ベンゾイル(Bz)、イソブチリル(ibu)およびイソプロピルフェノキシアセチル(ipr−Pac)に対するモノクローナル抗体(mAb)を、上記の実施例3に記載する、標準的なELISAアッセイおよびドット−ブロットアッセイによって特徴づけた。96−ウェルマイクロタイタープレートに各々結合した20残基のビオチン化核酸で展開したELISAアッセイは、それぞれの抗原に対する抗体の特異性を証明した。
図3A、
図4Aおよび
図5Aは、それぞれ、Bz、ibuおよびipr−Pacに対するモノクローナル抗体の結果を示す。図は、オリゴdC(Bz)と名づけられる、すなわち、最初はBzで保護されていた、完全に脱保護されている(<1%Bz残存)dC残基のホモポリマー(レーン1、白ぬきの棒)、保護されている(>97%Bz残存)オリゴBz−dC(レーン2、影つきの棒)、完全に(<1%ipr−Pac残存)脱保護されているオリゴdG(ipr−P
ac)(レーン3)、保護されている(>76%ipr−Pac)オリゴipr−PacdG(レーン4)、完全に(<1%ibu残存)脱保護されているオリゴdG(ibu)(レーン5)、保護されている(>91%ibu残存)オリゴibu−dG(レーン6)および完全に脱保護されているオリゴdT(レーン7)を示す。dTポリマーは、1つの保護基以外に、弱酸で5’−末端残基の5’OHから除去されるジメチルトリチル(DMT)を有した。最後にレーン8は、DMTが残存するオリゴdTを示す。
【0085】
20merのDNAsをニトロセルロース膜にUVで結合した、抗BzmAb、抗ibumAbおよび抗ipr−PacmAbのドット−ブロットアッセイを実施した。膜に適用した20merDNAの量を
図3B、
図4Bおよび
図5Bの右に示し、アッセイ感度のレベルを証明する。抗BzmAbを試験するために使用したDNAsは、ELISAについて記載したものプラス脱保護されているオリゴdA(Bz)、保護されているオリゴBz−dA、オリゴdC(ibu)、オリゴibu−dC、オリゴdA(ibu)およびオリゴibu−dAであった。
図3Bは、抗BzmAbはdAおよびdCの保護基を認識したことを示している。抗ibumAbを試験するために使用したDNAsは、ELISAについて記載したものプラス保護されているオリゴibu−dA、脱保護されているオリ
ゴdA(ibu)、オリゴibu−dC、オリゴdC(ibu)であり、全てドット−ブロットの上部に記載されている。
図4Bは、抗ibumAbは、保護基のうち最も一般的な用途の、dGのibuを認識したが、dAでも認識したことを示している。抗ipr−PacmAbを試験するために使用したDNAsは、ELISAについて記載したものプラス保護されているオリゴibu−dA、脱保護されているオリゴdA(ibu)、オリゴibu−dC(ibu)、オリゴBz dA(Bz)であり、全てドット−ブロットの上部に記載されている。
図5Bは、抗ipr−PacmAbは、保護基のうち最も一般的な用途の、dGのipr−Pacを認識したが、dAおよびdCでも認識したことを示している。mAbはまたibu保護基を認識した(ibu−dG、ibu−dAおよびib
u−dC)。この交差反応は、抗体は、ipr−Pacおよびibuに共通の化学、おそらくCH(CH
3)
2の識別に選択性が高いことを示している。従って、抗ibuおよび抗ipr−PacmAbsは、オリゴに残存する保護基を同定するために組み合わせて使用することができると思われる。
【0086】
抗ibumAbのドット−ブロットアッセイには大量のDNAを試験した(
図4C)。この実験の結果は、ibu保護基は、どの核塩基が保護されているかにかかわらず、mAbによって認識されることを証明した。
【0087】
図3C、
図4Cおよび
図5Cは、部分的に脱保護されたオリゴマーを再処理して、残存する保護基を除去し、mAbで再試験することができることを証明している。
図3Cは、抗BzmAbは再度脱保護されたオリゴマーオリゴBz−dCを認識したことを示している(中央のカラム)。同様に、
図4Dは、抗ibumAbは再度脱保護されたオリゴマーオリゴibu−dG(中央のカラム)を認識することを示し、
図5Cは、抗ipr−PacmAbは再度脱保護されたオリゴマーオリゴipr−Pac−dGおよびオリゴibu−dG(それぞれ、左から2番めおよび4番めのカラム)を認識することを示している。従って、この方法は、高価な核酸試料を破棄する必要なく、品質管理に適用可能である。
【0088】
保護基Bz、ibuおよびipr−Pacを有するRNA標品を合成し、Bz(
図3D)、ibu(
図4E)およびipr−Pac(
図5D)に対するmAbを用いた保護基の同定についてアッセイした。ドット−ブロットアッセイは、モノクローナル抗体はRNAとDNAを識別しないことを明らかに示している。RNAにはDNAより高いバックグラウンドシグナルが存在したが、特に少量のRNAでは保護基のあるRNAと保護基のないRNAには有意な差があった。膜のRNAの量は試料の吸光度から推定した。
【0089】
[実施例9]
保護基のmAbドット−ブロットアッセイとHPLC
標準化した20merのオリゴdC分子に残存するBz基のドット−ブロット検出を実施例3に記載するように実施した。完全に脱保護されたdC20merと未処理のdC20merを、全く独立した異なる定量方法を使用して分析した。2つのオリゴマーを構成ヌクレオシドに加水分解し、濃縮した試料を用いた認識されている高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して同定し、定量した。感度が悪いので、HPLC検出は、mAbアッセイに使用されるBz−dCの量の50〜100倍が必要であった(
図7参照)。
図6Aは、保護されているオリゴBz−dCのnmole量のBz基に対して試験した抗BzmAbの結果(右のカラム)およびBz−dCの同じnmole量のBz−の結果(左のカラム)示す。各量のBz−dCオリゴを同じ鎖長(20mer)の完全に脱保護されているdCオリゴで希釈して、2500倍のdCが存在する場合でも(すなわち、0.04%)mAbの検出感度があることを証明した。mAbアッセイは、mAbは、2500倍過剰量のdCがDNA中に存在する場合でも、DNAのBz基を検出することができることを証明した。
【0090】
mAb応答を定量するために、
図6Aに示すドット−ブロットに濃度測定を実施した。バックグラウンドを引いた後、HPLCで測定したオリゴBz−dCのBz基の関数として残存する密度をプロットした(
図6B)。データは、抗BzmAb検出の高感度は0.1〜1.0nmolの範囲において直線状であることを示した。
【0091】
次に、mAb応答が、ドット−ブロット膜のDNA量の増加に伴って増加するかどうかを測定した。Bzの量は標準的なHPLC方法で測定した。保護されている試料と脱保護されている試料の1/2500の比の混合物中のBz保護基の検出は、膜のDNAの量を増加することによって増加するが、比は維持されることをこの実験は示した(
図6C)。
【0092】
最後に、BzのmAb検出とHPLC検出の直接比較を示すために、実験を実施した。オリゴBz−dC(20mer)のdCのBzを検出するために抗BzmAbをドット−ブロットアッセイに使用した。mAbアッセイにより検出され、濃度測定によって定量されたBz基の密度応答を、各ドットのDNAのBzの量に対してプロットした(
図7A)。DNA中のBzの量は、大量のDNAの消化並びにBz−dCモノヌクレオシドのHPLC同定および定量による分析によって較正した。HPLC実験では、3つのBz−dCオリゴ試料を加水分解し、HPLCによって組成を分析した。UV−ダイオードアレイディテクターの応答を試料中のBzの量に対してプロットした(
図7B)。試料の量は、既知量のBz−dCで「ピークを生じた(spiked)」試料と比較することによって求めた。スパイク(spike)として試料に添加したBz−dCの量は、秤量し
たBz−dCストックによるものであった。従って、HPLC応答は、既知量のBz−dCを用いて較正した。これらの実験の結果は、抗BzmAbによるBzの検出はpmole範囲内であるが、BzのHPLC検出はnmole範囲に制限されることを示している。
【0093】
[実施例10]
市販の試料中の残存保護基の検出
市販の試料中の残存保護基のmAbによる検出を証明するために盲検検討を実施した。この実験の目的は、オリゴ合成業界において通常実施されているように処理されたおそらく完全に脱保護されている試料においてmAb技術で保護基を検出および同定できるかどうかを判定することであった。選択した8社によって使用されている保護基の性質は未知であったので、実験は盲検試験であった。8社の各々製の2つの20merオリゴ(オリゴdA−dCおよびオリゴdG−dT)を合成して、脱保護するように注文し、できるだけ理想的な条件下で塩を除去した。オリゴは通常どおり速達で出荷され、ドット−ブロットによるmAb分析を実施した。1社(#6)とおそらくもう1社(#2)製のdA−dCオリゴは、抗BzmAb試験によって測定したとき、Bz保護基が残存していた(
図8
A)。2社(#2および#6)製のdG−dTオリゴは、抗ipr−PacmAbで測定したとき、ipr−Pac保護基が残存していた(
図8B)。市販の試料中の残存保護基は、試料の量を増加し、さらに脱保護して再分析することによって確認した。#2社および#6社製のオリゴdA−dC試料は、Bz保護基の存在を確認するためにより大量で試験した。また、標準的なプロトコールを使用して、残存する保護基を除去するために試料を処理した。さらに脱保護した後の再分析は、基は今度は除去されたことを示した(
図8C)。これは、高価な核酸試料を再処理して保護基を除去すると、それらを破棄する必要がないことを証明している。オリゴdG−dT試料を再処理して、残存する保護基を除去し、抗ipr−PacmAbで再分析すると、ipr−Pac基はDNAを犠牲にするこ
となく除去されうるという結果が得られた(
図8D)。
【0094】
ジメトリチルに対するポリクローナル抗体
5’末端保護基、ジメトリチル(DMT)に対するポリクローナル抗体の作製および分析は実施例2に記載されているとおりであった。4匹のマウスにDMTを接種し、数週間抗原で追加免疫投与してから、血清をマウスから採取した。DMT[DMT−OH]、デオキシヌクレオチドトリマーd(T)
3[(DMT)
3−d(T)
3]の5’−末端の3つのDMT、3’−ビオチンを有するデオキシヌクレオチド20mer[(DMT)
3−d(T)
20−ビオチン]の5’−末端の3つのDMT、3’−ビオチンを有するデオキシヌクレオチド20mer[DMT−d(T)
20−ビオチン]の5’−末端の1つのDMT、3’−ビオチンを有するdT20mer[d(T)
20−ビオチン],ビオチンを有するDMT[DMT−ビオチン]の1つのDMTおよびトリス−ボレート生理食塩液対照をニト
ロセルロース膜に適用し、次いで抗DMT抗体を評価するためのマウス血清(接種マウス#1〜4および対照血清、正常)、DMTの存在をあきらかにするための弱酸(TBS)およびビオチンの存在を明らかにするためのアビジンを用いてアッセイした(
図9)。マウス#2および#4の血清はDMT[(DMT)
3−d(T)
3として]を認識したが、#1、#3および正常なマウスは認識しなかった。弱酸は黄色としてDMTの存在を明らかにし(図には示していない)、アビジンはビオチンの存在を明らかにした。
【0095】
上記は本発明を例示するものであり、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。本発明は、以下の請求の範囲およびそこに含まれる請求の範囲の等価物によって規定される。