(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について例示的に詳しく説明する。本実施形態では、被検者に装着されて使用される測定装置(測定システム)を中心に説明する。
【0035】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態における測定装置(測定システム)1の概略構成図を示す図である。測定装置1は、間質液中のグルコース濃度を連続的に自動で測定可能なグルコース連続測定装置であり、例えば人体(被検者)の腹部や腕部などの皮膚に装着して使用される。この測定装置1は、筐体(ハウジング)2、制御コンピュータ3および電気化学センサ4を備えている。なお、ここでは測定装置1によって間質液中のグルコース濃度を測定する例を説明するが、血液中のグルコース濃度を測定しても勿論構わない。また、以下の図面において、先に述べた図面中に記載された部品と同様の部品には同じ番号を付す。また、以下に説明する本発明に係る測定装置の各実施形態の説明は、本発明に係る測定システム、電力供給装置、電力供給方法の各実施形態の説明を兼ねる。特に、本発明を測定システムとして捉える場合、下記説明中における「測定装置」を「測定システム」として読み替えても良く、その場合には各図の参照符号1を「測定システム」を指すものとする。
【0036】
この電気化学センサ4は、電気化学的反応を利用して特定の被検物質を検出するセンサである。本実施形態における電気化学センサ4はいわゆるバイオセンサを採用している。バイオセンサは、生物もしくは生物由来の材料を、被検物質を認識する素子として用いて、被検物質を連続的に測定、検出するためのセンサである。本実施形態における電気化学センサ4は、体液中のグルコース濃度を連続的に測定するために用いられ、以下、「グルコースセンサ」と称する。また、本実施形態においては、体液中のグルコースが本発明における被検物質に該当し、且つ、グルコース濃度が本発明における被検物質に関する数値情報の一例として挙げることができる。
【0037】
筐体2は、測定装置1の外形をなすものであり、カバー20および基板21を含んでいる。カバー20および基板21は相互に固定されており、これらによって画定される制御コンピュータ3が収容されている。筐体2は、防水性あるいは耐水性を有しているのが好ましい。このような筐体2は、たとえば少なくともカバー20(必要に応じて基板21)を金属やポリプロピレン樹脂などの透水性の極めて低い材料により形成される。
【0038】
基板21は、グルコースセンサ4が挿通される部分であり、グルコースセンサ4の基端側の端部(以下、「基端部」という)40を固定している。基板21には、接着フィルム5が固定されている。この接着フィルム5は、測定装置1を皮膚に固定するときに利用されるものである。接着フィルム5としては、両面に粘着性を有するテープを使用することができる。
【0039】
制御コンピュータ3は、測定装置1の所定の動作(たとえば電圧の印加、グルコース濃度の演算など)に必要な電子部品を搭載したものである。この制御コンピュータ3はさらに、後述するグルコースセンサ4の電極42(
図2参照)に接触させるための端子30を備えている。この端子30は、グルコースセンサ4に電圧を印加して、グルコースセンサ4から応答電流値を得るために利用されるものである。
【0040】
グルコースセンサ4は、間質液中のグルコース濃度に応じた応答を得るためのものである。詳しくは後述するが、このグルコースセンサ4の先端部には、間質液中のグルコースを検出するためのセンサ部としての固定化酵素部43が形成されており、この固定化酵素部43が少なくとも皮下に植え込まれて使用される。ここでは、グルコースセンサ4は、端部40が皮膚6から突出して制御コンピュータ3の端子30に接触しているとともに、その他の大部分(固定化酵素部43も含む)が皮膚6に挿入されている。
【0041】
図2は、グルコースセンサ4を、要部拡大図とともに示した全体斜視図である。図示のように、グルコースセンサ4は、基板41、電極42、固定化酵素部43、を有している。基板41は、電極42を支持するためのものであり、絶縁性および可撓性を有するシート状に形成されている。基板41は、端部40が筐体2の内部に存在している一方で、端部41Bが鋭利な形に形成されている。端部41Bを鋭利な構造とすれば、皮膚6へのグルコースセンサ4の挿入を容易に行うことができるようになり、使用者の痛みを低減することができる。
【0042】
基板41のための材料としては、人体への害がなく、適切な絶縁性を有するものであれば良く、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などの熱可塑性樹脂、あるいはポリイミド樹脂やエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を使用することができる。
【0043】
電極42は、固定化酵素部43に電圧を印加して、固定化酵素部43から電子を取り出すために利用されるものである。電極42は、作用極42Aおよび対極42Bを含んでいる。作用極42Aは、グルコースと電子授受を行う部分である。対極42Bは、作用極42Aとともに電圧の印加に利用されるものである。電極42は、カーボンインクを用いたスクリーン印刷により形成することができる。
【0044】
固定化酵素43は、グルコースと作用極42Aとの間の電子授受を媒体するものである。この固定化酵素部43は、基板41の一方の面に形成されている。そして、作用極42Aの端部42Aaにおいて、グルコース酸化還元酵素を固定化することにより形成されている。
【0045】
グルコース酸化還元酵素としては、グルコースオキシダーゼ(GOD)およびグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)などを使用することができる。ただし、グルコース酸化還元酵素としては、GDHを使用するのが好ましく、特にチトクロムGDHを使用するのが好ましい。グルコース酸化還元酵素としてGDHを使用すれば、過酸化水素を生成させることなくグルコースから電子を取り出せる。そのため、過酸化水素がグルコースや生体細胞に損傷を与えることを回避でき、人体により安全で、かつ酵素の劣化の少ない安定性の高いグルコースセンサ4を実現できる。グルコース酸化還元酵素の固定化方法としては、公知の種々の方法、たとえば重合性ゲル、ポリアクリルアミドやリンなどの高分子、リン脂質ポリマーにシランカップリング剤を導入したMPC重合体あるいはタンパク質膜を利用する方法を採用することができる。
【0046】
測定装置1は、グルコースセンサ4に駆動電力を供給するための電源装置である電力供給装置11を備える。電力供給装置11は、発電部110及び蓄電部(「充電部」とも言い換えることができる)111を有しており、詳しくは後述する。また、測定装置1は、表示ユニット部14を備える。この表示ユニット部14は、後述するセンサ制御部12によって演算されるグルコース濃度の演算結果を取得するとともにその演算結果を表示する。
図1に示すように、表示ユニット部14は、グルコース濃度の演算結果を表示するための表示パネル15を有する。また、表示ユニット部14の筐体17は、筐体2と同様、接着フィルム5などによって皮膚に固定されている。なお、本実施形態における測定装置1において表示ユニット部14は必須の構成ではない。
【0047】
図3は、測定装置1の主要な構成を示したブロック図である。図中、制御コンピュータ3に包含される通信部10、センサ制御部12、記憶部13は、制御コンピュータ3によって実現される機能である。制御コンピュータ3は、命令およびデータを処理することで各機能部を制御する汎用または専用のプロセッサ、各種制御プログラムが格納されるROM(Read Only Memory)、制御プログラムが展開されるRAM(Random Access Memory)、必要に応じて測定装置1によって使用される各種データが記憶されるハードディスク(Hard Disk)等を有するコンピュータである。プロセッサは、RAMに展開された制御プログラムを解釈および実行する。これらの構成は、プロセッサを含めて、各機能部に夫々個別に設けられてもよいし、各機能部によって共有されても良い。
図3に示したように、制御コンピュータ3には、通信部10、センサ制御部12、記憶部13が実現される。
【0048】
センサ制御部12は、各種の動作、たとえば電圧印加のタイミング、印加電圧値、応答電流のサンプリング、グルコース濃度の演算、あるいは外部の情報処理端末との通信を制御するものである。
【0049】
通信部10は、表示ユニット部14との間でデータ通信を行うためのものであり、センサ制御部12によるグルコース濃度の演算結果を表示ユニット部14に送信する。この実施形態における通信部10はケーブル18を用いて有線でデータ通信を行っているが、たとえば無線通信手段(赤外線を使ったIrDAあるいは2.4GHzの周波数帯を使ったブルートゥース
(登録商標)など)を利用することができる。
【0050】
また、通信部10は、外部の情報処理端末との間でデータ通信を行う機能を実現する。外部の情報処理端末としては、例えば被検者にインスリンを投与するためのインスリン注入装置(例えば、インスリンポンプ)、簡易型血糖値測定装置、パーソナルコンピュータ、警報装置などを挙げることができる。上記警報装置は、測定装置1からのデータに基づいて、被検者が低血糖、高血糖、低血糖になりかかっている、高血糖になりかかっているなどの状態を患者に報知する装置である。
【0051】
測定装置1とインスリン注入装置とのデータ通信は、たとえば測定装置1でのグルコース濃度の測定結果を、インスリン注入装置に送信することにより行なわれる。これにより、測定装置1からの測定データに基づいて、人体に投与すべきインスリン量をコントロールすることができる。
【0052】
また、測定装置1と簡易型血糖値測定装置とのデータ通信は、たとえば簡易血糖値測定装置での血糖値測定結果を、測定装置1に送信することにより行なわれる。これにより、測定装置1の測定結果と簡易血糖値測定装置での測定結果とを比較して、これらの測定結果が一定値以上乖離している場合には、測定装置1の校正を行うようにしても良い。また、簡易型血糖値測定装置に対しては、測定装置1において測定された生データ(応答電流)を送信するようにしても良い。
【0053】
測定装置1とパーソナルコンピュータとのデータ通信は、たとえば測定装置1の血糖値測定結果や生データ(応答電流)をパーソナルコンピュータに送信することにより行なわれる。これにより、パーソナルコンピュータにおいて、グルコース濃度の変遷、推移をモニタすることができる。
【0054】
記憶部13は、各種の演算に必要なプログラムおよびデータ(たとえば検量線に関するデータ、電圧印加パターンに関するデータなど)を記憶したものである。この記憶部13はさらに、グルコースセンサ4からの応答電流値や演算されたグルコース濃度を記憶できるものであっても良い。
【0055】
ここで、電力供給装置11は、
図1に示すようにセンサ制御部12を構成する制御コンピュータ3と同様、筐体2に収容されている。電力供給装置11における蓄電部111はいわゆる二次電池(蓄電池)であり、後述する発電部110により供給されてくる電力を充電により蓄えておき(すなわち、蓄電し)、蓄えておいた電力をグルコースセンサ4に供給するように機能する。この実施形態では発電部110はリチウムイオン二次電池を含んで構成されている。リチウムイオン二次電池は周知のように、例えば+極にリチウム酸化物、−極に炭素素材を使用しており、充電(蓄電)時には+極からリチウムイオンが離れて電解液とセパレータを通り、−極側に移動する。そして、放電時には、炭素素材に蓄えられたリチウムイオンが+極側に移動してリチウム酸化物に戻る。なお、本実施形態の蓄電部111は、他の種々の二次電池、例えばニッカド二次電池、ニッケル水素二次電池などを含んで構成することもできる。また、蓄電部111は、蓄電器(コンデンサ、キャパシタなどとも称呼される)であっても良い。例えば、蓄電部111は電気二重層コンデンサ(Electric double-layer capacitor、EDLC)を含んで構成しても好適である。電気二重層コンデンサは、電気二重層という物理現象を利用することで蓄電効率が著しく高められたコンデンサである。本実施形態における蓄電部111は、いわゆる蓄電池、蓄電器を含む包括的なものである。
【0056】
また、蓄電部111は、グルコースセンサ4へと蓄電している電力を直接供給しても良いし、他の電子部品を経由して電力をグルコースセンサ4に供給しても良い。この実施形態では、蓄電部111からの電力が先ずセンサ制御部12に供給され、該センサ制御部12を経由してグルコースセンサ4に供給される。なお、発電部110はグルコースセンサ4を駆動するための駆動電力を発電するものである。更に、電力供給装置11は、非常用電源として、図示しない控え用一次電池(例えば、ボタン電池など)を有していても良い。なお、通常時は蓄電部111により賄われる電力で充分にグルコースセンサ4を駆動することができるため、控え用一次電池の電力は消費されない。
【0057】
なお、電力供給装置11は、筐体2の内部に設けられる必要はなく、筐体2の外側に設置することもできる。また、表示ユニット部14の筐体17内部に収容し、もしくは筐体17の外面に取り付けても良い。また、ケーブルなどを介して発電部110及び蓄電部111のそれぞれを、センサ制御部12側の筐体2と表示ユニット部14側の筐体17とに、それぞれ分離して配置することも可能である。
【0058】
ところで、測定装置1は、その持続(継続)測定期間が、好ましくは数日、より好ましくは1週間〜数週間程度であり、比較的に長期間に亘りグルコース濃度を一定期間ごと(例えば、数分に1回程度の頻度)に連続的に測定することを想定している。そのため、当然ながら、夜間、被検者の就寝中においてもグルコース濃度は自動的に測定され、そのモニタリングは継続されることが好ましい。なお、上記の「連続的に」とは、「間欠的に」という意味として捉えることができる。
【0059】
ここで、測定装置1の駆動電源として一次電池のみを備えている場合、持続測定期間中、特に被検者が就寝中の夜間において一次電池に蓄えられていた電気エネルギーが消費し尽くされると、グルコースセンサ4や他の電子部品に対して駆動電力の供給が途絶えてしまう。そうすると、グルコース濃度のモニタリングが中断されてしまい、極めて不都合である。例えば、糖尿病患者は就寝中に低血糖になり易いところ、そのような状況のときにモニタリングが中断されると、警報装置によってグルコース濃度が異常値を示している旨の警告ができず、また、インスリン注入装置と通信してインスリン量を調節することができないなどの事態を招いてしまう。
【0060】
そこで、本実施形態に係る電力供給装置11は、発電部110が発電した電力を充電により蓄えておく(蓄電)しておき、グルコースセンサ4への給電要求が出された場合に、蓄電部111に蓄えておいた電力を該グルコースセンサ4へと供給するようにした。言い換えると、グルコースセンサ4への電力供給方法は、グルコースセンサ4を駆動するための電力を発電する発電ステップと、この発電ステップにおいて発電された電力を充電(蓄電)する充電ステップと、グルコースセンサ4への給電要求が出された場合に、上記充電ステップにおいて蓄えておいた電力をグルコースセンサ4に供給する供給ステップとを含む。
【0061】
この給電要求は、グルコースセンサ4に駆動電力を供給すべきとの要求であり、グルコースセンサ4によりグルコース濃度を測定するタイミングごとに出される。グルコース濃度の測定タイミングは、例えば、一定間隔(例えば、数分間)に予め定められている。これに加えて、ユーザーによる所定の動作(例えば、測定開始ボタンの押下など)がなされた場合にも、グルコースセンサ4への給電要求が出されるようになっている。ユーザーからの給電要求は、たとえば不定の間隔(不定期)にて出されることになる。グルコースセンサ4への給電要求をトリガーとして、蓄電部111からセンサ制御部12へと電力が送られ、該センサ制御部12からグルコースセンサ4へと駆動電圧が印加される。以下、より具体的な実施例について説明する。
【0062】
<実施例1>
図4は、実施例1における発電部110を説明するための説明図である。この実施例では、使用環境下において作用する振動エネルギーまたは圧力を利用した圧電効果を利用してグルコースセンサ4を駆動するための電力を発電することを特徴とする。
【0063】
本実施例における発電部110は、圧電変換を行うことにより発電する圧電素子110Aを含んでいる。圧電素子110Aは、作用した振動、圧力を電力に変換する圧電体と、この圧電体に接続された電極とから構成することができる。圧電素子110Aは、外力が直接的に作用するような態様で設けられていても良いし、
図5に示すように作用する振動エネルギーによって歪むときの歪みエネルギーを電力に変換するような態様で設けられても良い。
【0064】
図5に示した例では、電極に挟まれた圧電体がカンチレバー(cantilever、片持ち梁)形式で支持されている。この図では、圧電素子110Aが変位しやすいように、該圧電素子110Aにおける圧電体の自由端側に錘が設置されている。この構成では、振動エネルギーが圧電素子110Aに伝えられると該圧電素子110Aが変形(歪む)する結果、いわゆる圧電効果によってそのエネルギーが電力へと変換される。
【0065】
特に、本実施形態に係る電力供給装置11は、被検者に装着された測定装置1に搭載される。これにより、被検者の通常生活における諸動作に伴う振動や圧力を、圧電素子110Aに好適に作用させることができる。すなわち、被検者が意識することなく無意識下において、グルコースセンサ4に供給すべき駆動電力が発電されることになる。
【0066】
上記のように発電部110において発電された電力は蓄電部111に充電され、蓄えられる。そして、グルコースセンサ4に給電要求が出される度に、この蓄電部111に蓄えられている電力が該グルコースセンサ4へと供給されることで、グルコースセンサ4を好適に駆動することができる。例えば、被検者の就寝中にグルコース濃度を測定する際、グルコースセンサ4への電力供給は蓄電部111に蓄えられている電力で賄われる。そして、被検者の起床後においては、発電部110における発電が再開され、蓄電部111の蓄電量を増やすことができる。
【0067】
以上のように、電力供給装置11及びこれを備えた測定装置1によれば、測定装置1によって継続して連続的にグルコース濃度を測定する持続測定期間がたとえ長期に及ぶ場合であっても、グルコースセンサ4に駆動電力を安定して供給し続けることができる。よって、持続測定期間において、グルコース濃度のモニタリングが中断されるという不具合を抑制することができる。そのため、被検者のグルコース濃度が就寝中に異常値を示した場合においても、警報装置によって確実な警告を行い、また、インスリン注入装置とのデータ通信によってインスリン量を適正な量に調節することができる。また、この構成によれば、使用環境下において作用する振動エネルギーまたは圧力を利用して発電を行い、その電力を用いてグルコースセンサ4を駆動することができるため、コスト面でも有効である。従って、グルコースセンサ4の駆動電力を一次電池のみに頼る場合に比べて、使用者の経済的負担を軽減することができる。
【0068】
<実施例2>
図6は、実施例2における発電部110を説明するための説明図である。この実施例では、使用環境下において作用する振動エネルギーを利用した電磁誘導の作用を利用してグルコースセンサ4を駆動するための電力を発電することを特徴とする。
【0069】
本実施例における発電部110は、使用環境下において作用する振動エネルギーを利用した電磁誘導の作用により発電する発電器(以下、「電磁誘導発電器」という)110Bを含んで構成されている。この電磁誘導発電器110Bは、図示のように、電磁誘導コイル110B1と、永久磁石110B2を有する。電磁誘導コイル110B1及び永久磁石110B2のそれぞれは、該電磁誘導コイル110B1内の磁束(磁界)が変化するように、振動エネルギーを駆動力として互いの相対位置関係が変更されるように設けられている。
【0070】
電磁誘導コイル110B1及び永久磁石110B2を保持する具体的な機構は公知の種々の機構を採用できる。例えば、永久磁石110B2を電磁誘導コイル110B1の軸方向に往復スライド運動させるスライド機構を採用しても良い。そして、使用環境下において作用する振動エネルギーを利用して永久磁石110B2を電磁誘導コイル110B1から挿入出を繰り返すことにより、該電磁誘導コイル110B1の磁束を変化させ、誘導起電力を生じさせても良い。
【0071】
以上のように、電磁誘導発電器110Bによれば、実施例1における圧電素子110Aと同様、被検者が意識することなく、グルコースセンサ4へ供給する駆動電力を無意識下において発電することができる。すなわち、被検者の通常生活における諸動作を利用して、グルコースセンサ4の駆動電力を蓄電部111に好適に蓄電しておくことができる。従って、グルコース濃度を連続的に測定する持続測定期間がたとえ長期化したとしても、グルコースセンサ4に駆動電力を安定して供給し続けることができ、グルコース濃度のモニタリングが意に反して中断されることを好適に回避することができる。
【0072】
<実施例3>
図7は、実施例3における発電部110を説明するための説明図である。この実施例では、使用環境下における環境温度と被検者の体温との温度差を利用した熱電効果を利用してグルコースセンサ4を駆動するための電力を発電することを特徴とする。
【0073】
本実施例における発電部110は、使用環境下における環境温度と被検者の体温との温度差を利用して熱電変換を行うことにより発電するゼーベック素子110Cを含んで構成されている。ゼーベック素子110Cは、図示のように、N型及びP型半導体をPN接合させ、その両端に温度差を設けると起電力が発生するゼーベック効果を利用して発電を行う熱電変換素子である。ゼーベック素子110Cの接合部の一端側には第1端子110C1が、他端側には第2端子110C2が設けられている。
【0074】
ゼーベック素子110Cは、例えばその第1端子110C1に被検者の体温が伝達され、第2端子110C2には外部環境温度が伝達されるような態様で設けられている。これによれば、例えば被検者の体温と外気温との温度差を利用して第1端子110C1及び第2端子110C2に温度差を設け、これに起因するゼーベック効果を利用して発電を行うことができる。また、入浴時などには、体温と、給湯される水との温度差を利用して発電することができる。具体的には、例えば第1端子110C1は、防水性及び熱伝導性の優れた保護膜などを介して、外部環境に晒される態様で設けられる。その結果、第1端子110C1には、外部環境の温度(外気温、入浴時などによる水温)などが導入される。一方、第2端子110C2は、同じく防水性及び熱伝導性の優れた保護膜などを介して皮膚と密着し、かつ、外部とは遮断された態様で設けられており、これによって第2端子110C2には体温が導入される。これによれば、被検者の日常生活において自然と発生する体温と外部環境との温度差が第1端子110C1及び第2端子110C2の間に生じる結果、ゼーベック素子110Cにおいて発電が行われる。
【0075】
以上のように、本実施例におけるゼーベック素子110Cによれば、実施例1及び2と同様に、被検者に意識させることがなく、グルコースセンサ4への駆動電力を無意識下において発電することができる。すなわち、被検者の通常生活における諸動作を利用して、グルコースセンサ4の駆動電力を蓄電部111に好適に蓄電しておくことができる。
【0076】
<実施例4>
図8は、実施例4における発電部110を説明するための説明図である。この実施例では、使用環境下において受光する光エネルギーを利用した光電効果を利用してグルコースセンサ4を駆動するための電力を発電することを特徴とする。
【0077】
本実施例における発電部110は、使用環境下において受光する光エネルギーを利用して光電変換を行うことにより発電する太陽電池110Dを含んで構成されている。太陽電池110Dは、光起電力効果を利用し、光エネルギーを直接電力に変換する電力機器である。
図8に示した太陽電池110Dはいわゆるシリコン太陽電池を概念的に表したものである。この太陽電池110Dは、N型及びP型半導体をPN接合させた構造をしており、このPN接合部に光エネルギーを作用させることにより、半導体の価電子が励起される。そして、PN接合部における正孔がP型半導体へ、電子がN型半導体側へ引き寄せられる光起電力効果が起こり、これにより光起電力が発生する。なお、本実施例の太陽電池110Dとしてはシリコン太陽電池に限定されるものではなく、他種の太陽電池、例えば色素増感太陽電池も好適に採用することができる。
【0078】
この構成によれば、被検者が通常生活のなかで受ける様々な光エネルギー、例えば日中の太陽光や、照明器具による照射光の受光を利用して光電変換を行い、発電することができる。よって、他の実施例と同様に太陽電池110Dにおいても、グルコースセンサ4の駆動電力を被検者の無意識下において発電することができる。
【0079】
<実施例5>
図9は、実施例5における発電部110を説明するための説明図である。本実施例における発電部110は、燃料電池110Eを有し、この燃料電池110Eを用いて発電する。燃料電池110Eは、電気化学反応によって電力を取り出す発電装置である。本実施例における燃料電池110Eは、燃料を酵素により分解してプロトンと電子とに分離するもので、燃料としてメタノールやエタノールのようなアルコール類、あるいは例えばグルコースのような糖類などのバイオ燃料を好適に用いることができるバイオ燃料電池である。
【0080】
図9に示すように、この燃料電池110Eは、プロトンを伝導する電解質膜110E3とその両面に接合されたアノード層110E4とカソード層110E5を有する。また、アノード層110E4にはアノード(負極、燃料極)110E1が接合され、カソード層110E5にはカソード(正極、酸化剤極)110E2が接合されている。また、アノード110E1側には燃料となる糖類の溶液が供給され、カソード110E2側には酸素または空気が供給される。カソード110E2側では酸素の還元により、水酸化物イオン(OH-)が生成し、膜中を移動してアノード110E1側に到達し、アノード110E1側では糖とOH-が反応して糖の酸化物と水が生じる。この時外部回路を電子が流れて電流を取り出すことができる。更に、燃料電池110Eは、アノード110Eに供給するための燃料を貯留する燃料タンクを備えている。この燃料タンクには、例えばアクリル樹脂などの絶縁性材料が用いられている。
【0081】
この構成によれば、被検者が通常生活のなかで身近にある燃料、例えば、ジュース、スポーツ飲料、砂糖水、アルコール類などの飲料糖類やアルコール類を燃料として、燃料電池110Eにおいて手軽に発電が可能である。すなわち、任意の場所で、任意の燃料を補給することが可能となるといったメリットを享受できる。このようにして、燃料電池110Eにおいて発電された電力は蓄電部111に充電されることで蓄えられる。そして、グルコースセンサ4に給電要求が出された場合に、蓄電部111に蓄電されている電力が該グルコースセンサ4へと供給される。よって、測定装置1における持続測定期間がたとえ長期に及ぶ場合であっても、グルコースセンサ4に駆動電力を安定して供給し続けることができる。また、本実施例における燃料電池110Eでは、予備の燃料をバックアップ用にカートリッジとして備えておくことも可能である。
【0082】
以上のように、電力供給装置11に関する実施例を実施例1乃至5において説明したが、各実施例で説明した発電部110は可能な限り組み合わせて実施することが可能である。
【0083】
また、本実施形態における測定装置1は、体液中のグルコース濃度を測定することで被検物質を定量しているが、被検物質が電気化学センサのセンサ部の周囲一定領域に被検物質が存在するか否か、或いは、被検物質があるレベルを超えているか否か等について判別する場合のように、被検物質を定性的に評価するために本発明を適用することも可能である。
【0084】
また、本実施形態において、測定装置1における制御コンピュータ3が収容される筐体2(ここでは、「本体部」とも称する)は被検者の皮膚上に固定されているが、被検者の衣服などに取り付けられても良いし、他の方法によって携帯されるようにしても良い。もっとも、測定装置1の本体部は被検者に必ずしも装着される必要はなく、たとえばグルコースセンサ4が生成する電気信号を、被検者とは離間した場所に設置された制御コンピュータ3へと無線によって送信し、制御コンピュータ3において実現されるセンサ制御部12においてグルコース濃度を演算しても構わない。
【0085】
また、体液中の被検物質は、グルコースに限られるものではなく、例えば乳酸であっても良い。その場合、電気化学センサは乳酸のレベルを測定するための乳酸センサとして機能し、そのセンサ部(固定化酵素部)には、例えば乳酸オキシダーゼを固定化しても良い。また、その他の好適な被検物質として、例えば胆汁酸などを例示することができる。もっとも、被検物質は、体液以外の試料に含まれる特定物質を被検物質として、本発明を好適に実施することができる。また、電気化学センサのセンサ部に保持される生体材料としては、酵素のほか、微生物、抗体、細胞などを好適に適用することができる。
【0086】
また、本実施形態では、本発明に係るセンサとして電気信号を生成する電気化学センサを採用しているが、例えば反射光を連続的に検知することによって試料中の被検物質の量や濃度に相関する信号を生成するセンサを採用することもできる。また、本実施形態では、人(被検者)の体液中における被検物質に関する数値情報を測定する際に本発明を適用する例を説明したが、他の対象(例えば、人以外の動物)の体液を試料としても良いのは勿論である。これらの事項は、以下に説明する他の実施形態についても同様である。
【0087】
[第二実施形態]
次に、本発明を実施する第二実施形態について説明する。本実施形態において、第一実施形態と共通する構成については同一の参照符号を付すことでその詳しい説明は省略する。第二実施形態におけるグルコースセンサ4は第一実施形態と同様である。
図10は、第二実施形態における測定装置1の主要な構成を示したブロック図である。ここでは、第一実施形態との相違点を中心に説明する。本実施形態において、測定装置1の制御コンピュータ3は、充電量検出部31、発電制御部32を更に含んでいる。これらは、制御コンピュータ3のプロセッサが各種制御プログラムを実行することによって実現される機能である。また、測定装置1は警告音や音声情報を出力する警報部19を備える。更に、電力供給装置11は、非常用電源としての控え用一次電池(以下、「非常用電池」という)112を備えている。非常用電池112は、例えばボタン電池であるが、これに限定されない。また、本実施形態においては非常用電池112が本発明における非常用電源に対応している。本実施形態に係る測定装置1のその他の基本構成は、第一実施形態と同様である。
【0088】
各実施形態に係る測定装置1に搭載される発電部110(第一実施形態の各実施例を参照)では、被検者が日常生活を送る中で意識することなくグルコースセンサ4に供給するための駆動電力を発電することができるというメリットがある。しかしながら、発電部110の発電量が過度に少ない状態が続いてしまうと、蓄電部111における充電が少なくなり、グルコースセンサ4による測定動作が阻害される虞がある。そこで、測定装置1における測定開始後においては、蓄電池111の充電量のみならず、発電部110を構成する発電装置の発電量を把握し、その結果に応じて適切な処置を行うようにした。本実施形態におけるグルコースセンサ4への電力供給方法は、グルコースセンサ4を駆動するための電力を発電する発電ステップと、発電ステップにおいて発電される発電量を監視する監視ステップと、発電ステップにおいて発電された電力を充電(蓄電)する充電ステップと、上記充電ステップにおいて蓄えておいた電力をグルコースセンサ4に供給する供給ステップとを含む。
【0089】
制御コンピュータ3の充電量検出部31は、蓄電部111の電圧を検出する電圧検出回路であり、蓄電部111の電圧値を検出することでその充電量を検出する。言い換えると、充電量検出部31は、蓄電部111からグルコースセンサ4に供給される電力の電圧値を検出する。また、制御コンピュータ3の発電制御部32は、発電部110から蓄電部111へと供給される電力を検出することで発電部110が発電する発電量を監視する。更に、発電制御部32は、発電部110が発電する発電量の監視に際して、発電部110における単位時間当たりの発電量として定義される発電率Rgを算出する。そして、発電部110が発電する電力の発電率Rgの大小に応じて、発電部110の発電状況を制御する。また、警報部19は、発電部110が発電する電力の発電率Rgが低い場合に、所定の警報情報を出力する。なお、本ステップにおいて算出された発電率Rgは、制御コンピュータ3の記憶部13に順次、記憶されるようになっている。
【0090】
図11、
図12は、第二実施形態における制御ルーチンを示すフローチャートである。
図11は本制御ルーチンの前半部分の処理内容を示し、
図12は後半部分の処理内容を示す。ここでは、測定装置1は発電部110における発電量についてモニタリング(監視)を行い、発電量が低い場合には外部に向けての聴覚的や視覚的な警報情報を出力したり、非常用電池112からグルコースセンサ4に電力を供給する。
【0091】
本制御ルーチンは、制御コンピュータ3によってそのROMに記憶されている制御プログラムがRAMに展開され、プロセッサによって実行されることで、図示の各処理が実現される。また、本制御ルーチンは、測定装置1の電源がONの状態のときに制御コンピュータ3によって一定時間ごとに繰り返し実行される。
【0092】
本制御ルーチンが開始されると、ステップS101では、制御コンピュータ3(充電量検出部31)は、蓄電部111の電圧(以下、「充電電圧」という)Vbatを検出し、判定用基準電圧Vbとの大小関係を判定する。この判定用基準電圧Vbは、発電部110が発電する発電量の監視を開始すべきかどうかを判定するための閾値である。判定用基準電圧Vbの初期設定値は、血糖値(グルコース濃度)の測定を何ら支障無く行うために最低限必要な電圧値に対して所定のマージンを見込んだ値Vb1に設定されている。なお、判定用基準電圧Vbの初期設定値Vb1は、記憶部13の不揮発領域に記憶されており、測定装置1の電源がオフにされても記憶内容を保持することができる。
【0093】
ステップS101において、肯定判定された場合(Vbat≦Vb)にはステップS102に進み、そうでない場合(Vbat>Vb)には本ルーチンを一旦終了する。ステップS102において、発電制御部32は、発電部110が発電する発電量を監視する発電量監視処理を開始する。発電量監視処理において、発電制御部32は、充電量検出部31が検出する蓄電部111の電圧Vbatを周期的に取得し、その取得値に基づいて発電部110から蓄電部111に送られる電力、すなわち発電部110による発電量を求めることができる。
【0094】
制御コンピュータ3は、発電量監視処理が開始されてからの経過期間である発電量監視期間Tcを、タイマーを用いて計測する。ステップS103において、制御コンピュータ3は、発電量監視期間Tcが基準期間Tc1以上であるかどうかを判定する。そして、発電量監視期間Tcが基準期間Tc1に満たない場合には、一定期間後に再びステップS103の判定を行う。そして、ステップS103において監視継続期間Tcが基準期間Tc1以上であると判定された場合には、ステップS104に進む。ステップS104において、制御コンピュータ3(発電制御部32)は、発電量監視期間Tcにおいて単位時間当たりに発電部110が発電した発電量である発電率Rgを算出する。
【0095】
ステップS105において、制御コンピュータ3(発電制御部32)は、算出した発電率Rgが第一基準発電率Rg1以下であるか否かを判定する。ステップS105において肯定判定された場合(Rg≦Rg1)には、ステップS106に進む。一方、ステップS105において否定判定された場合(Rg>Rg1)にはステップS107に進み、制御コンピュータ3(発電制御部32)は発電率Rgが第二基準発電率Rg2以下であるか否かを判定する。ステップS107において肯定判定された場合(Rg≦Rg2)にはステップS108に進み、そうでない場合(Rg>Rg2)にはそのままステップS109に進む。
【0096】
ステップS106において、制御コンピュータ3は、電力供給装置11における非常用電池112から蓄電部111に電力を供給させる。ここで、第一基準発電率Rg1は、発電部110における発電率Rgがこれ以下となる状態が継続されると、測定装置1におけるグルコース濃度(血糖値)の測定に支障が生じると判断される発電率の閾値である。第一基準発電率Rg1は、実験等の経験則に基づいて予め適正値を求めておくと良い。更に、本ステップにおいて、制御コンピュータ3は、警報部19に異常警報を出力させる。この異常警報は、何らかのトラブルや睡眠などで被検者(患者)が活動していない可能性、例えば低血糖によって昏睡状態に陥っている可能性があることを周囲に報知するための聴覚的、又は視覚的な警報情報である。被検者から離れた周囲の者にも被検者の異常を報知できるように、音声による警報が発せられるとより好適である。本ステップの処理が終了するとステップS109に進む。ステップS109の処理内容は後述する。なお、ステップS106に進んだ時点で既に非常用電池112(非常用電源)から蓄電部111への電力供給が開始されている場合には、その状態を維持してステップS109に進むと良い。
【0097】
第二基準発電率Rg2は、発電率Rgがこの値を超えていれば発電部110における発電量は十分に確保されていると判断できる発電率の閾値である。第二基準発電率Rg2は、第一基準発電率Rg1より大きな値として設定されている。発電率Rgが第一基準発電率Rg1より高く第二基準発電率Rg2以下である場合には、発電部110における発電量が十分とは言えないまでもある程度の発電量は確保されているため、被検者(患者)に昏睡状態などの異常が起こっている可能性は低い。そのような場合には、被検者に発電動作を促すことで発電部110における発電量の増大が図られる。具体的には、ステップS107において、制御コンピュータ3は、警報部19に発電要請警報を出力させることにした。この発電要請警報は、被検者(患者)に発電動作を促すための聴覚的、又は視覚的な情報である。
【0098】
電力供給装置11の発電部110は、第一実施形態における実施例1〜5で説明した何れかの発電装置、或いはこれらの複数を組み合わせによって構成されている。発電部110が、使用環境下において作用する振動エネルギーまたは圧力を利用した圧電効果によって発電する圧電素子110A(実施例1を参照)、又は、振動エネルギーを利用した電磁誘導によって発電する電磁誘導発電器110B(実施例2を参照)を含む場合には、被検者(患者)に運動など、活発に身体を動かすことを催促する内容の発電要請警報を出力すると良い。
【0099】
また、発電部110が、使用環境下における環境温度と被検者の体温との温度差を利用した熱電効果によって発電するゼーベック素子110C(実施例3を参照)を含む場合には、前述した外部環境温度と被検者の体温との温度差が大きくなるように、体温と温度の高低差が大きな場所(例えば、寒い場所や暑い場所等)に移動することを催促し、或いは入浴することを催促する内容の発電要請警報を出力すると良い。
【0100】
また、発電部110が、使用環境下において受光する光エネルギーを利用した光電効果によって発電する太陽電池110D(実施例4を参照)を含む場合には、できるだけ受光できる場所に移動することを催促する内容の発電要請警報を出力すると良い。また、発電部110が燃料電池110E(実施例5を参照)を含む場合には、燃料電池110Eに燃料として糖類やアルコール類を供給するように催促する内容の発電要請警報を出力すると良い。ステップS108の処理が終了するとステップS109に進む。
【0101】
一方、ステップS107において、発電率Rgが第二基準発電率Rg2より高いと判定された場合には、発電部110による発電量が十分に確保されていると判断される。そのようなときにまで発電動作を催促する警報を発するのは被検者にとって煩わしいとも考えられる。従って、その場合にはそのままステップS109に進むようにする。
【0102】
ステップS109においては、制御コンピュータ3(充電量検出部31)は、蓄電部111における充電電圧Vbatを検出し、充電電圧Vbatが充電完了基準電圧Vbe以上であるか否かを判定する。この充電完了基準電圧Vbeは、蓄電部111における充電量が十分であり、発電量監視処理を終了するかどうかを判定するための基準となる電圧である。充電完了基準電圧Vbeは、予め経験則等に基づいて適切な値に設定しておく。本実施形態において、充電完了基準電圧Vbeは判定用基準電圧Vbに比べて高く設定されている。
【0103】
ステップS109において、充電電圧Vbatが充電完了基準電圧Vbeよりも低いと判定された場合(Vbat<Vbe)、発電量監視期間Tcのカウントをリセットした上でステップS102に戻る。その場合、発電量監視処理が継続して行われることになる。
【0104】
一方、ステップS109において、充電電圧Vbatが充電完了基準電圧Vbe以上であると判定された場合(Vbat≧Vbe)にはステップS110に進む。なお、本制御ルーチンにおいては、以上述べたステップS101〜S109までの処理を発電量監視処理とし、ステップS110以降の処理を監視開始条件調節処理と称する。
【0105】
ステップS110において、制御コンピュータ3(発電制御部32)は、記憶部13に記憶されている過去の発電率Rgから平均発電率Rgaを算出する。この平均発電率Rgaは、記憶部13に記憶されている発電率Rgのうち、直近に記憶した値を含む過去複数回分の発電率の値を平均して求めたものである。なお、平均発電率Rgaを算出するために用いる発電率Rgのデータ数は適宜変更できる。
【0106】
本制御では、ステップS110で算出される平均発電率Rgaから、被検者の生活パターン(生活習慣)において発電部110における発電を発生させる発電動作量についての大まかな傾向、特に単位時間当たりにおける発電量の大きさの程度を把握、判別することができる。すなわち、平均発電率Rgaが高ければ、被検者(使用者)が比較的発電動作の多い生活パターンに従って生活していると判断でき、逆に平均発電率Rgaが低ければ被検者が比較的発電動作の少ない生活パターンに従って生活していると判断できる。そこで、本実施形態では、平均発電率Rgaに応じて、発電部110における発電量の監視を開始する閾値となる判定用基準電圧の値を調節する監視開始条件調節処理を行う。ステップS110の処理が終了するとステップS111に進む。
【0107】
ステップS111において、制御コンピュータ3(発電制御部32)は、平均発電率Rgaが第一基準発電率Rg1以下であるか否かを判定する。ステップS110において平均発電率Rgaが第一基準発電率Rg1以下であると判定された場合(Rga≦Rg1)、被検者(使用者)が単位時間当たりにおける発電量の少ない生活パターン(例えば、活発に身体を動かすことが殆ど無い生活パターン)に従って生活していると判断できる。この場合、ステップS112に進み、判定用基準電圧Vbを初期設定値Vb1より高い値に引き上げることで、発電量監視処理を行う頻度を高める処理が行われる。
【0108】
すなわち、ステップS112において、制御コンピュータ3(発電制御部32)は、判定用基準電圧Vbの値を初期設定値Vb1よりも高い第二設定値Vb2に変更する。例えば、本ルーチンでは、第一基準発電率Rg1に係数C1(但し、C1>0)を乗算して得られた補正値Vb2(Vb2>0)を、初期設定値Vb1に加えることで第二設定値Vb2を算出する(Vb2=Vb1+ΔVb2,ΔVb2=C1×Rg1)。このように算出された第二設定値Vb2は、判定用基準電圧Vbにおける最新の設定値として、記憶部13の揮発領域に記憶される。すなわち、記憶部13における判定用基準電圧Vbの設定値が第二設定値Vb2に更新される。
【0109】
その結果、次回、本制御ルーチンを実行する際には、ステップS101での判定処理において、記憶部13に記憶されている最新の判定用基準電圧Vbである第二設定値Vb2が採用される。これにより、初期設状態に対して蓄電部111における充電量がより高いレベルの状態にあっても発電量監視処理が開始されるようになるため、発電量監視処理が行われる頻度が増え、発電部110における発電の機会を多く付与することができる。なお、ステップS112において、記憶部13に記憶されている判定用基準電圧Vbの最新値が第二設定値Vb2である場合には、敢えて判定用基準電圧Vbの値を更新する必要は無い。本ステップの処理が終了すると、本ルーチンを終了する。
【0110】
一方、ステップS111において、平均発電率Rgaが第一基準発電率Rg1より大きいと判定された場合(Rga>Rg1)にはステップS113に進む。ステップS113においては、平均発電率Rgaが第二基準発電率Rg2より大きいか否かが判定される。平均発電率Rgaが第二基準発電率Rg2より大きいと判定された場合(Rga>Rg2)、被検者(使用者)は単位時間当たりにおける発電量が多い生活パターン(例えば、頻繁に身体を活発に動かすことが多い生活パターン)に従って生活していると判断できる。その場合、ステップS114に進み、判定用基準電圧Vbを初期設定値Vb1より低い値に引き下げることで、発電量監視処理を行う頻度を少なくする処理が行われる。
【0111】
すなわち、ステップS114において、制御コンピュータ3(発電制御部32)は、判定用基準電圧Vbの値を初期設定値Vb1に比べて低い第三設定値Vb3に変更する。例えば、本ルーチンでは、第二基準発電率Rg2に係数C2(但し、C2>0)を乗算して得られた補正値ΔVb3を、初期設定値Vb1から減ずることで第三設定値Vb3を算出する(Vb3=Vb1−ΔVb3,ΔVb3=C2×Rg2)。このように算出された第三設定値Vb3は、判定用基準電圧Vbにおける最新の設定値として、記憶部13の揮発領域に記憶される。すなわち、記憶部13における判定用基準電圧Vbの設定値が第三設定値Vb3に更新される。
【0112】
その結果、次回、本制御ルーチンを実行する際には、ステップS101での判定処理において、記憶部13に記憶されている最新の判定用基準電圧Vbである第三設定値Vb3が採用される。これにより、初期設状態に対して蓄電部111における充電量がより低いレベルの状態になってから発電量監視処理が開始されるようになる。そのため、例えば頻繁に身体を活発に動かすことが多い生活習慣のある被検者に対しては発電量監視処理が行われる頻度を減らすことによって、発電動作を要請する頻度が少なくなるため、被検者の負担を軽減することができる。なお、ステップS114において、記憶部13に記憶されている判定用基準電圧Vbの最新値が第三設定値Vb3である場合には、敢えて判定用基準電圧Vbの値を更新する必要は無い。本ステップの処理が終了すると、本ルーチンを終了する。
【0113】
また、ステップS113において、平均発電率Rgaが第二基準発電率Rg2以下であると判定された場合(Rga≦Rg2)、被検者(使用者)は単位時間当たりにおける発電量が平均的な通常の生活パターンに従って生活していると判断できる。その場合、ステップS115に進み、判定用基準電圧Vbを初期設定値Vb1に変更する。そして、この初期設定値Vb1が記憶部13に記憶されることで、記憶部13における判定用基準電圧Vbの設定値が初期設定値Vb1に更新される。なお、ステップS115において、記憶部13に記憶されている判定用基準電圧Vbの最新値が初期設定値Vb1である場合には、敢えて判定用基準電圧Vbの値を更新する必要は無い。本ステップの処理が終了すると、本ルーチンを終了する。
【0114】
以上のように、本実施形態では、上記発電量監視処理及び監視開始条件調節処理を行うようにしたので、上述したような優れた作用効果を奏する。すなわち、発電量監視処理において、発電部110における発電量に応じて、適切な処置(警報動作や非常用電池112からの電力供給給)を行うことができる。例えば発電部110における発電率Rgが十分とは言えない程度まで下がった場合には、警報部19から発電要請警報を出力して被検者による発電動作を促すようにしたので、発電部110における発電量の増大が期待できる。また、発電部110における発電率Rgが顕著に低下した場合には、異常警報を出力するようにしたので被検者の異常を周囲の者にも報知することができる。その際、非常用電池112から蓄電部111に電力が供給されるので、グルコースセンサ4への電力供給が滞ることが無い。
【0115】
また、監視開始条件調節処理においては、被検者の生活パターン(生活習慣)において単位時間当たりにおける発電量の大きさの程度を把握、推測することができ、その結果に基づいて発電量監視処理の実行開始条件の設定を調整するようにしたので、発電量監視処理を被検者の個体差をより適切に考慮したものとすることができる。
【0116】
なお、ステップS112、S114において判定用基準電圧Vbの設定値を算出する算出式は例示的なものであり、他の算出方法を用いても構わない。また、係数C1及びC2は異なる値であっても良いし、同じ値であっても良い。また、上記制御例では、判定用基準電圧Vbを初期設定値Vb1、第二設定値Vb2、第三設定値Vb3の三段階として用意しているが、これに限定されるものではない。例えば、判定用基準電圧Vbと平均発電率Rgaとの関係を示したマップを記憶部13に記憶させておいても良い。そして、制御ルーチン毎に算出される平均発電率Rgaに対応する判定用基準電圧Vbの値を上記マップから読み出すことで、判定用基準電圧Vbの設定値をその都度更新しても良い。
【0117】
更に、ステップS105及びS111の判定処理に同じ閾値(第一基準発電率Rg1)を例示的に用いているがこれには限定されない。これは、ステップS107及びS113の判定処理においても同様である。また、本制御ルーチンの変形例として、ステップS105の処理で発電率Rgが第一基準発電率Rg1よりも高いと判定された場合(S105:No)には、ステップS107の判定処理を省略して、そのままステップS108の処理を行っても良い。また、本実施形態においては、必ずしも発電量監視処理及び監視開始条件調節処理をセットで行う必要は無く、何れかの制御を単独で行うことも可能である。
【0118】
[第三実施形態]
次に、本発明を実施する第三実施形態について説明する。本実施形態に係る測定装置1は、電力供給装置11における発電部110が、複数の発電装置を含んで構成されている点を除いて、他の基本構成は第一及び第二実施形態と同様である。本実施形態における発電量監視処理は、発電部110における発電量の監視結果に応じて、必要に応じて複数の発電装置を稼動(起動)させることを特徴とする。発電部110に含まれる複数の発電装置とは、実施例1〜5に係る発電装置(圧電素子110A、電磁誘導発電器110B、ゼーベック素子110C、太陽電池110D、燃料電池110E)を適宜、組み合わせて採用することができる。なお、発電部110には、同種の発電装置が複数含まれていても良い。
【0119】
本実施形態において、制御コンピュータ3の発電制御部32は、蓄電部111と、発電部110に含まれる各発電装置との電気的な接続関係、すなわち導通及び遮断を切り替える機能も更に備える。発電部110に含まれる発電装置のうち、発電制御部32によって蓄電部111と導通状態にされているものが「稼動状態」となり、遮断状態にされているものが「稼働停止状態」となる。
【0120】
図13、
図14は、第三実施形態における制御ルーチンを示すフローチャートである。
図13は本制御ルーチンの前半部分の処理内容を示し、
図14は後半部分の処理内容を示す。本制御ルーチンは、制御コンピュータ3によってそのROMに記憶されている制御プログラムがRAMに展開され、プロセッサによって実行されることで、図示の各処理が実現される。また、本制御ルーチンは、測定装置1の電源がONの状態のときに制御コンピュータ3によって一定時間ごとに繰り返し実行される。
図11、
図12と同じ処理を行うステップについては同じ参照符号を付すことで詳しい説明を省略する。
【0121】
本制御ルーチンにおいて、ステップS101〜S105の処理は既に説明した通りである。なお、
図13におけるステップS104の処理が終了すると
図14におけるステップS105に進む(
図13及び
図14のBを参照)。そして、
図14に移り、ステップS105において、発電率Rgが第一基準発電率Rg1以下であると判定された場合(Rg≦Rg1)にはステップS201に進み、そうでない場合(Rg>Rg1)にはステップS107に進む。この第一基準発電率Rg1は前述の通りである。また、ステップS107、S108の処理内容は既述した通りである。ステップS107で肯定判定された場合(Rg≦Rg2)にはステップS108に進み、否定判定された場合(Rg>Rg2)にはステップS109に進む。また、ステップS108の処理が終了した場合にもステップS109に進む。
【0122】
ステップS201において、制御コンピュータ3(発電制御部32)は、発電部110に導通されることで稼動状態にある発電装置の台数である稼動発電装置数Ndを取得する。本ステップの処理が終了するとステップS202に進む。
【0123】
ステップS202において、制御コンピュータ3(発電制御部32)は、取得した稼動発電装置数Ndが最大稼動数Ndmaxであるか否かを判定する。この最大稼動数Ndmaxは、発電部110に搭載されている発電装置の台数である。稼動発電装置数Ndが最大稼動数Ndmaxである場合、発電部110に搭載されている全ての発電装置が蓄電部111と導通状態になっており、稼動状態にあることを示す。本ステップにおいて、稼動発電装置数Ndが最大稼動数Ndmaxよりも少ないと判定された場合(S202:No)にはステップS203に進む。
【0124】
ステップS203において、制御コンピュータ3(発電制御部32)は、発電部110に含まれる発電装置のうち、現在稼動していない発電装置を一台追加起動する。ここで、追加起動する発電装置の順番は予め設定しておくことができる。また、測定装置1による測定開始の初期設定において、稼動させる発電装置の種類、個数などは予め設定しておくことができる。本ステップにおいて、発電装置の稼動台数を増加させることによって、発電部110における以後の発電量の増加が期待できる。
【0125】
ステップS203の処理が終了すると、発電量監視期間Tcのカウントをリセットした上で、
図13のステップS102に戻る。ステップS102に戻ると、発電制御部32は発電部110の発電量監視処理を継続する(
図13及び
図14のCを参照)。
【0126】
一方、ステップS202において、稼動発電装置数Ndが最大稼動数Ndmaxであると判定された場合(Nd=Ndmax)、それ以上の発電装置を追加起動することはできない。この場合、ステップS106に進み、制御コンピュータ3は、非常用電池112から蓄電部111に電力を供給させ、警報部19に異常警報を出力させる。ステップS106の処理が終了すると、ステップS109に進む。
【0127】
ステップS109では、上記のように、蓄電部111における充電電圧Vbatが充電完了基準電圧Vbe以上であるかどうか判定される。充電電圧Vbatが充電完了基準電圧Vbeよりも低いと判定された場合(Vbat<Vbe)、発電量監視期間Tcのカウントをリセットした上で、
図13のステップS102に戻り、発電量監視処理が継続される(
図13及び
図14のCを参照)。そして、ステップS109で、充電電圧Vbatが充電完了基準電圧Vbe以上であると判定された場合(Vbat≧Vbe)には本ルーチンを終了する。その場合、制御コンピュータ3(発電制御部32)は、発電部110における発電装置の稼動数を初期設定の台数に戻してから本ルーチンを終了させても良い。
【0128】
更には、本ステップの終了後に、
図12に示した監視開始条件調節処理を行うようにしても良い。また、第二実施形態の制御例で尚書きした如く、本実施形態に係る制御ルーチンにおいても、ステップS105の処理で発電率Rgが第一基準発電率Rg1よりも高いと判定された場合(S105:No)に、ステップS107の判定処理を省略して、そのままステップS108に進んでも構わない。
【0129】
ここで、本実施形態における上記制御について具体例を挙げて説明する。例えば、測定装置1における発電部110が圧電素子110A、ゼーベック素子110C、及び太陽電池110Dの3つの発電装置によって構成されているとする。そして、測定装置1による測定開始時には、蓄電部111と圧電素子110Aのみが稼動状態とされ、その他の発電装置(ゼーベック素子110C、太陽電池110D)は稼動停止状態に設定されているとする。この場合、上記制御ルーチンにおけるステップS202において、稼動発電装置数Ndが最大稼動数Ndmaxではない(稼動発電装置数Ndが1又は2)と判定されると、例えばゼーベック素子110C(太陽電池110D)が追加起動される(ステップS203)。このように、発電装置の稼動数が増やされることで発電部110の発電量が増える確率が高まり、ステップS105に係る判定処理を再度行う際に否定判定されやすくなる。なお、いまだステップS105にて肯定判定された場合、圧電素子110A及びゼーベック素子110C(太陽電池110D)に加えて、太陽電池110D(ゼーベック素子110C)が追加起動されることになる。このように、すべての発電装置を稼動させてもなお、発電率Rgが第一基準発電率Rg1より高くならない場合、非常用電池112から蓄電部111に電力が供給されることになる(S106)。
【0130】
以上のように、本実施形態に係る発電量監視処理においては、現在稼動している発電装置による発電量が少ない場合には、発電装置の稼動数を増加させていくことによって発電部110における総発電量の増加を図ることができる。また、発電部110に搭載されている全ての発電装置を稼動させてもなお発電量が不足する場合には、非常用電池112から蓄電部111に電力を供給させるようにしたので、グルコースセンサ4への電力供給が不足する事態は回避できる。
【0131】
[第四実施形態]
次に、本発明を実施する第四実施形態について説明する。本実施形態に係る測定装置1は、電力供給装置11における発電部110が発電方式の異なる複数種類の発電装置を含んで構成されている。発電方式の異なる複数種類の発電装置とは、具体的には、実施例1〜5で説明した圧電素子110A、電磁誘導発電器110B、ゼーベック素子110C、太陽電池110D、燃料電池110Eなどが例示できる。本実施形態では、これらのうち少なくとも2種類以上の発電装置が発電部110に搭載されている。なお、測定装置1における他の基本構成は第一〜第三実施形態と同様である。
【0132】
制御コンピュータ3の発電制御部32は、第三実施形態と同様に、発電部110に含まれる各発電装置と蓄電部111との間の導通及び遮断状態を切り替えることによって、「稼動状態」及び「稼動停止状態」を切り替え制御する。本実施形態では、発電量監視処理において、現在稼動している発電装置による発電量が少ない場合には、稼働中の発電装置を発電方式の異なる別の発電装置と入れ替えることによって、発電部110における発電量の増加を図るようにした。
【0133】
本実施形態における制御ルーチンの前半部分は、
図13に示す処理フローと同様であり同図を転用する。
図15は、第四実施形態における制御ルーチンの後半部分の処理内容を示すフローチャートである。
図13におけるステップS104の処理が終了すると、
図15におけるステップS105に進むようになっている(
図13及び
図15のBを参照)。また、
図15に示す処理のうち、
図14と同じ処理を行うステップについては同じ参照符号を付すことで詳しい説明を省略する。
【0134】
図15のステップS202において、稼動発電装置数Ndが最大稼動数Ndmaxよりも少ないと判定された場合(S202:No)には、ステップS301に進み、そうでない場合には(S202:Yes)にはステップS106に進む。なお、ステップS106の処理内容については既に述べているため、ここでは省略する。
【0135】
ステップS301において、制御コンピュータ3(発電制御部32)は、現在の稼動発電装置数Ndになってから、まだ一度も「稼動状態」となっていない発電装置があるかどうかを判定する。本ステップにおいて肯定判定された場合には、ステップS302に進む。ステップS302では、稼動中の発電装置を他の発電方式を採用する発電装置と入れ替えることによって、発電量110における発電量の増加を図るようにする。具体的には、制御コンピュータ3(発電制御部32)は、稼働状態にある一の発電装置を蓄電部111から遮断し、稼働停止状態の発電装置から選択される一の発電装置を蓄電部111と導通させる。本ステップの処理が終了すると、発電量監視期間Tcのカウントをリセットし、
図13におけるステップS102に戻る(
図13及び
図15のCを参照)。ステップS102に戻ると、発電制御部32は発電部110の発電量の監視を継続する。
【0136】
一方、ステップS301において否定判定された場合、すなわち、現在の稼動発電装置数Ndになってから発電部110に含まれる全ての発電装置が既に一度は稼動されていると判定された場合には、ステップS203に進む(
図14を参照)。ステップS203では、制御コンピュータ3(発電制御部32)は、発電部110に含まれる発電装置のうち、現在稼動していない発電装置を一台追加起動する。本ステップにおいて、発電装置の稼動台数を増加させることによって、発電部110における以後の発電量の増加が期待できる。
【0137】
ステップS203の処理が終了すると、発電量監視期間Tcのカウントをリセットした上で、
図13のステップS102に戻る。ステップS102に戻ると、発電制御部32は発電部110の発電量監視処理を継続する(
図13及び
図15のCを参照)。なお、ステップS107〜S109などの処理については、
図14に示すものと同一処理であるので、ここでの説明は省略する。また、本ルーチンの終了後、
図12に示した監視開始条件調節処理を行うようにしても良い。
【0138】
ここで、本実施形態における上記制御について具体例を挙げて説明する。例えば、測定装置1における発電部110が圧電素子110A、ゼーベック素子110C、及び太陽電池110Dの3つの発電装置によって構成されているとする。そして、測定装置1による測定開始時には、蓄電部111と圧電素子110Aのみが稼動状態とされ、その他の発電装置(ゼーベック素子110C、太陽電池110D)は稼動停止状態に設定されているとする。このような初期状態において、ステップS301で肯定判定されると、ステップS302において現在稼動中の圧電素子110Aの稼動が停止させられ、その代わりに、例えばゼーベック素子110Cが起動させられる。このように、圧電素子110Aからゼーベック素子110Cへと発電部110における稼動対象が入れ替えられても、いまだ発電率Rgが第一基準発電率Rg1より高くならない場合、今度は、ゼーベック素子110Cの代わりに太陽電池110Dが起動させられる(ステップS302)。この時点で、発電部110に搭載されるすべての発電装置が一度は稼動させられたことになる。
【0139】
従って、次に、ステップS301の処理がなされた場合には、否定判定されることによりS203へと進み、現在稼動中の太陽電池110Dに加えて、例えば圧電素子110Aが追加起動される。この時点で、稼動発電装置数Ndが1から2へと変更されることになる。また、このように、稼動発電装置数Ndが増えたにも関わらず、発電率Rgが第一基準発電率Rg1より高くならない場合(S105:Yes)、現在稼動中の発電装置を、稼動停止状態の発電装置と入れ替える。例えば、現在、太陽電池110D及び圧電素子110Aが稼動状態にあり、ゼーベック素子110Cが稼動停止状態にあるところ、圧電素子110Aを停止させる代わりにゼーベック素子110Cを起動させることが行われる。そうすると、この時点で、稼動発電装置数Ndが現在の値になってから、発電部110に搭載されるすべての発電装置が一度は稼動させられたことになる。
【0140】
従って、仮に次回のステップS301でもなお否定判定がなされた場合、現在稼動中の太陽電池110D及びゼーベック素子110Cに加えて、稼動停止中の圧電素子110Aが追加起動されることになる。この時点で、発電部110に搭載されるすべての発電装置が同時稼動されることになり、稼動発電装置数Ndが最大稼動数Ndmaxへと変更される。なお、このように発電部110に搭載されるすべての発電装置が稼動されている状態においてもなお発電率Rgが低い場合には、非常用電池112から蓄電部111に電力が供給される。
【0141】
以上のように、本実施形態に係る発電量監視処理においては、現在稼動している発電装置による発電量が少ない場合には、現在の状況下においてより発電効率の高い発電装置が稼動されるように、現在稼動中の発電装置と発電方式の異なる他の発電装置を入れ替えるようにしたので、発電部110における発電量の増加を図ることができる。
【0142】
[第五実施形態]
次に、本発明を実施する第五実施形態について説明する。本実施形態に係る測定装置1は、電力供給装置11における発電部110が燃料電池110Eを備えている。本実施形態における燃料電池110Eは、被検者の血液や間質液などの体液を燃料タンクに導き、それに含まれるグルコースを燃料として利用する。これらの体液は、公知の方法を採用して体内の血管中や細胞内から直接採取することができる。その他、測定装置1の基本構成は他の実施形態と同様である。なお、燃料電池110Eによる発電は、制御コンピュータ3から電力供給装置11に出される発電要求指令に従って行われる。
【0143】
図16は、第五実施形態における制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンは、制御コンピュータ3によってそのROMに記憶されている制御プログラムがRAMに展開され、プロセッサによって実行されることで、図示の各処理が実現される。また、本制御ルーチンは、測定装置1の電源がONの状態のときに制御コンピュータ3によって一定時間ごとに繰り返し実行される。
【0144】
本制御ルーチンが開始されると、ステップS401において、制御コンピュータ3のセンサ制御部12は、グルコースセンサ4によるグルコース濃度の測定を待機する測定待機期間かどうかを判定する。測定装置1は周期的にグルコース濃度の測定を行うように設定されており、グルコース濃度の連続測定開始後においては、グルコース濃度の測定を行う測定期間と測定待機期間が交互に到来する。本ステップにおいて、現在がグルコース濃度の測定期間である(S401:No)と判定された場合には本ルーチンを終了し、グルコース濃度の測定待機期間である(S401:Yes)と判定された場合にはステップS402に進む。
【0145】
ステップS402では、制御コンピュータ3は、電力供給装置11に発電要求指令を出力し、燃料電池110Eを用いて発電を実施する。ここで、燃料電池110Eによる発電動作は、実施例5において述べたように、燃料としてのグルコースが含まれる体液がアノード層110E4に供給されることで行われる。従って、燃料電池110Eによる発電時に、グルコースセンサ4を用いたグルコース濃度の測定動作がなされると、グルコース濃度の測定誤差が大きくなり、測定精度が低下することが懸念される。そこで、本実施形態では、グルコース濃度の測定が行われない測定待機期間にのみ、燃料電池110Eによる発電を行うようにする。
【0146】
その後、発電量監視処理を開始し(S102)、発電量監視期間Tcが基準期間Tc1以上であると判定された場合に(S103:Yes)、発電率Rgを算出する(S104)。そして、発電率Rgが第一基準発電率Rg1以下であると判定された場合(S105:Yes)、警報部19に異常警報を出力させ、非常用電池112から蓄電部111への電力供給を実施する(S106)。本実施形態では、体液中のグルコースを燃料として発電を行うため、発電率Rgが顕著に低いということは、被検者が低血糖となっている可能性が高いことを示唆しているものと判断できる。そこで、本実施形態では、異常警報に、被検者が低血糖になっている可能性があることを示唆する内容の情報を含ませるようにした。なお、ステップS108、S109の処理内容については
図11において既に述べているため、ここでの説明は省略する。
【0147】
本実施形態における測定装置1では、測定装置1におけるグルコース濃度の測定が行われない測定待機期間においても、燃料電池110Eによる発電量(発電率Rg)の程度に基づいて被検者が低血糖になっているかどうかを良好に判別することができる。また、燃料電池110Eによる発電動作は上記の如くグルコース濃度の測定期間内においては行われないので、グルコースセンサ4を用いた測定結果の信頼性を担保することができる。
【0148】
なお、本実施形態においては、
図16に示す制御ルーチンの終了後、
図12に示した監視開始条件調節処理を行うようにしても良い。また、本実施形態における測定装置1が燃料電池110Eに加えて、圧電素子110A、ゼーベック素子110C、及び太陽電池110Dなど他種の発電装置を備えている場合、ステップS105で発電率Rgが第一基準発電率Rg1以下であると判定された際には、第四実施形態で説明したように稼動させる発電装置の入れ替えを行ったり、稼動停止状態にある発電装置の追加起動を併せて行っても良い。
【0149】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明に係る測定装置、測定システム、電力供給装置、電力供給方法はこれらに限らず、可能な限りこれらの組み合わせを含むことができる。