(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記運転制御手段は、少なくとも系統独立運転中は、前記小型インバータの出力電圧が矩形波もしくは矩形状のAC波を形成するように制御することを特徴とする請求項3に記載の燃料電池発電システム。
前記切替手段は、系統連系運転中は前記系統もしくは前記インバータから前記ヒータへ電力を供給する第1の電路を形成し、一方、系統独立運転中は前記第1の電路を遮断し、前記インバータから前記ヒータへ電力を供給する第2の電路を形成する切替器を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の燃料電池発電システム。
前記切替手段は、系統停電時に、前記インバータと前記系統とを結ぶ電路を複数箇所にて遮断する複数のリレーを含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の燃料電池発電システム。
前記切替手段は、系統連系運転中は前記系統もしくは前記インバータから前記接続口へ電力を供給する第3の電路を形成し、一方、系統独立運転中は前記第3の電路を遮断し、前記インバータから前記接続口へ電力を供給する第4の電路を形成する切替器を含むことを特徴とする請求項7に記載の燃料電池発電システム。
前記接続口と共通する電路に接続され、当該燃料電池発電システムの起動に使用する外部発電機を接続するための外部発電機接続用端子を更に具備することを特徴とする請求項10に記載の燃料電池発電システム。
前記運転制御手段は、系統連系運転中は、前記インバータの出力電圧が第1の電圧値となるように制御し、一方、系統独立運転中は、前記インバータの出力電圧が前記第1の電圧値よりも小さい第2の電圧値となるように制御し、
系統独立運転中は、前記インバータから前記第2の電圧値を有する電圧が前記接続口へ供給されることを特徴とする請求項7乃至9に記載の燃料電池発電システム。
当該燃料電池発電システムの起動に使用する外部発電機を接続するための外部発電機接続用端子を更に具備することを特徴とする請求項12に記載の燃料電池発電システム。
水素と酸素とから電力を発生する燃料電池本体と、前記燃料電池本体から発生する電力を直流から交流に変換するインバータと、外部の系統もしくは前記インバータからの電力を用いてシステム内の一部を加熱するヒータと、系統と連系する系統連系運転のほか、系統から独立した系統独立運転を行うことが可能な運転制御手段とを備えた燃料電池発電システムに適用される燃料電池発電システムの運転方法であって、
系統停電時に、前記運転制御手段が、切替手段を操作して前記インバータと系統とを結ぶ電路を遮断するとともに、前記インバータからヒータ電力調節手段を経由して前記ヒータへ電力を供給する電路を形成し、前記ヒータ電力調節手段を操作して前記ヒータへ供給される電力を位相制御または分周制御により調節することによって、系統独立運転を実施し、
運転状態に応じて、位相制御と分周制御との間で制御方式を切り替えることを特徴とする燃料電池発電システムの運転方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施の形態について説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1〜
図4を参照して、第1の実施形態について説明する。
【0011】
図1は、第1の実施形態に係る燃料電池発電システムの構成の一例を示すブロック図である。
【0012】
燃料電池発電システムは、例えば、燃料電池発電ユニットパッケージ(以下、「燃料電池発電ユニット11」と称す。)の形態で家庭に設置される。燃料電池発電ユニット11は、外部の商用系統12に接続されており、燃料電池発電ユニット11と商用系統12とを結ぶ電路には、家庭用電気機器等の電力負荷13が接続されている。また、燃料電池発電ユニット11には、貯湯ユニット(EHU)14が接続されている。
【0013】
燃料電池発電ユニット11は、主な構成要素として、制御部100、ディップスイッチ101、燃料電池本体(CSA)21、昇圧器22、インバータ(INV)23、リレー24、EMIフィルタ25、ブレーカ26、リレー27、補機用電力供給部(D/D)31、整流器32、負荷切替リレー33、FPSヒータ41、FPSヒータリレー42、余剰電力ヒータ43、余剰電力ヒータ制御用トライアック(双方向サイリスタ)44、切替器45、貯湯ユニット用コンセント51、系統独立運転用コンセント52、切替器53、EMIフィルタ54等を備えている。
【0014】
制御部100は、燃料電池発電ユニット11の状態を検知する各種センサ(図示せず)の検知結果やディップスイッチ101の設定内容などに基づいて燃料電池発電ユニット11全体の動作を制御するものであり、系統12と連系する系統連系運転(通常運転)と、系統12から独立した系統独立運転(非常時運転)とを切り替え可能に実施する運転制御機能を有する。この運転制御機能により、例えば、系統連系運転中に、系統12の停電が発生したことを検知した場合に、貯湯ユニット等の機器に対して継続して電力を供給できるように、系統独立運転へ移行するための一連の処理を行ったり、また、燃料電池発電ユニット11が停止している状態で、使用者による起動指示の操作を検知した場合に、ディップスイッチ101により設定されている動作モードで起動を実施したりする。
【0015】
ディップスイッチ101は、燃料電池発電ユニット11の起動時に実施すべき動作モードを設定するための操作手段である。起動時の動作モードとして、通常モードとGIモードとが用意されており、使用者はいずれか一方を選択して設定を行うことができる。通常モードが設定されているときは、系統12からの電力で燃料電池発電ユニット11を起動し、系統連系運転で発電を開始する。一方、GIモードが設定されているときは、外部発電機からの電力で燃料電池発電ユニット11を起動し、系統独立運転で発電を開始する。このGIモードは、例えば系統停電時に停止中の状態にある燃料電池発電ユニット11を起動させたい場合に利用される。
【0016】
燃料電池本体(CSA)21は、水素と酸素とを電気化学的に反応させて直流の電力を発生するものである。
【0017】
昇圧器22は、燃料電池本体21から発生する電力の昇圧を行うものである。
【0018】
インバータ(INV)23は、昇圧器22により昇圧された電力を直流から交流に変換して出力するものである。
【0019】
リレー24は、接点形式としてB接点を採用する切替器もしくは遮断器として機能するものであり、例えば系統連系運転中に系統停電が発生すると接点が閉となり、インバータ23と系統12とを結ぶ電路の一部を遮断する。
【0020】
EMIフィルタ25は、供給される電力から電磁ノイズを除去するものである。
【0021】
ブレーカ26は、規定値を超える電流が流れた場合に電力供給経路を遮断するものである。
【0022】
リレー27は、リレー24と同様、接点形式としてB接点を採用する切替器もしくは遮断器として機能するものであり、例えば系統連系運転中に系統停電が発生すると接点が閉となり、インバータ23と系統12とを結ぶ電路の一部を遮断する。
【0023】
補機用電力供給部(D/D)31は、ポンプやブロア等の補機類(図示せず)の駆動に必要な電力を供給するものである。
【0024】
整流器32は、系統12もしくはインバータ23から得られる交流の電力を整流し、補機用電力供給部31が使用する直流の電力を生成するものである。
【0025】
負荷切替リレー33は、補機用電力供給部31が補機類へ供給する電力の電源を、発電中と非発電中とで切り替えるものである。この負荷切替リレー33は、発電中は接点1と接点2とを接続し、非発電中は接点1と接点3とを接続する。
【0026】
FPSヒータ41は、系統12もしくはインバータ23からの電力を用いて燃料電池発電ユニット11内の一部を加熱するものである。
【0027】
FPSヒータリレー42は、FPSヒータへの電力の供給と停止とを切り替える切替器として機能するものである。
【0028】
余剰電力ヒータ43は、余剰な電力を用いて燃料電池発電ユニット11内の一部を加熱するものである。
【0029】
余剰電力ヒータ制御用トライアック44は、少なくとも系統独立運転中、余剰電力ヒータ43へ供給する電力を位相制御により調節するものである。
【0030】
なお、本実施形態では、電力調節手段の一例としてトライアックを例示しているが、低コストを実現できるものであれば、他の種類のスイッチング素子を採用してもよい。また、本実施形態では、制御方式として位相制御を採用しているが、代わりに分周制御を採用することも可能である。例えば、運転状態に応じて、位相制御と分周制御との間で制御方式を切り替えられるように構成してもよい。位相制御では、素子のゲートに印加するトリガ信号を操作し、入力される交流電力に対して素子がオンになる位相角(導通角)を変化させることにより、余剰電力ヒータ43へ供給する電力を変化させることができる。分周制御では、分周周期のうちのオンとなる期間とオフとなる期間との比率を変化させることにより、余剰電力ヒータ43へ供給する電力を変化させることができる。位相制御は、一般に分周制御に比べるとノイズが生じやすいが、制御性に優れている。
【0031】
また、トライアックなどのスイッチング素子を採用する代わりに、例えばインバータ23よりも小規模で安価な小型インバータを用いてもよい。小型インバータは、例えば制御部100により制御され、インバータとしての基本的な構成(コンバータ回路、平滑回路、インバータ回路)を備え、出力電圧が単純な矩形波もしくは矩形状のAC波を形成するものであることが望ましい。小型インバータでは、例えば電圧を変化させることにより、余剰電力ヒータ43へ供給する電力を変化させることができる。
【0032】
切替器45は、FPSヒータ41および余剰電力ヒータ43の駆動電源を切り替えるものであり、動作モードに応じて、接点1と接点2とを接続する状態と、接点1と接点3とを接続する状態とを切り替える。例えば、系統連系運転中は、接点1と接点2とを接続することにより、系統12もしくはインバータ23から余剰電力ヒータ43等へ電力を供給する第1の電路を形成し、一方、系統独立運転中は、接点1と接点3とを接続することにより、当該第1の電路を遮断し、インバータ23から余剰電力ヒータ43等へ電力を供給する第2の電路を形成する。
【0033】
貯湯ユニット用コンセント51は、電力供給を受ける貯湯ユニット14を接続するための接続口である。
【0034】
系統独立運転用コンセント52は、少なくとも系統12から独立した系統独立運転中に電力供給を受ける電気機器を接続するための接続口である。
【0035】
切替器53は、貯湯ユニット用コンセント51や系統独立運転用コンセント52へ供給する電力の電源を切り替えるものであり、動作モードに応じて、接点1と接点2とを接続する状態と、接点1と接点3とを接続する状態とを切り替える。例えば、系統連系運転中は、接点1と接点2とを接続することにより、系統12もしくはインバータ23から貯湯ユニット用コンセント51等へ電力を供給する第3の電路を形成し、一方、系統独立運転中は、当該第3の電路を遮断し、インバータ23から貯湯ユニット用コンセント51等へ電力を供給する第4の電路を形成する。
【0036】
EMIフィルタ54は、インバータ23から貯湯ユニット用コンセント51や系統独立運転用コンセント52へ供給される電力から電磁ノイズを除去するものである。
【0037】
なお、上記構成において、リレー24,27の接点形式にB接点を採用しているのは、通常運用である系統連系運転中の発電効率を最大とするためである。
【0038】
ここで、
図2を参照して、系統連系運転中に系統停電が発生したときの制御部100の動作の一例を説明する。
【0039】
制御部100は、センサ等を通じて、系統連系運転中に系統停電が発生したことを検知すると(ステップS1)、リレー24,27により、インバータ23と系統12とを結ぶ電路を二重に遮断する。また、切替器45により、系統12と余剰電力ヒータ43等とを結ぶ電路を遮断するとともに、インバータ23から余剰電力ヒータ43等へ電力を供給する電路を形成する。これにより、インバータ23の出力だけで余剰電力ヒータ43等を駆動し、燃料電池本体21側から発生した電力に基づく自立運転を開始する。なお、自立運転中は、コンセント等に接続される負荷への電力供給が行われないようにすることが望ましい。そして、制御部100は、余剰電力ヒータ制御用トライアック44により、系統停電による電力変動(FPSヒータ41への供給電力の変動、燃料電池本体21・インバータ23の出力変動など)を最小限に抑えるように、もしくはその変動を打ち消すように、余剰電力ヒータ43に供給されて消費される電力を位相制御により調節する。このようにして、発電出力を一定に保持しつつ系統独立運転へと移行する(ステップS2)。
【0040】
その後、制御部100は、低出力の状態であれば、余剰電力ヒータ43に余剰電力を消費させながら通常の出力変化速度で発電出力を徐々に上げていき、出力が例えば350Wに到達した時点でその出力状態を維持(ホールド)するが、もし電力負荷が無いことが検知されている場合には、出力を350Wよりも低い必要最小限の値としてもよい(ステップS3)。
【0041】
なお、本実施形態では、インバータ23の出力電圧が、通常運転である系統連系運転においては例えば200Vとなるように制御される一方で、系統独立運転においては例えば100Vとなるように制御される。
【0042】
一方で、制御部100は、切替器53により、系統12と貯湯ユニット用コンセント51等を結ぶ電路を遮断するとともに、インバータ23からEMIフィルタ54を経由して貯湯ユニット用コンセント51等へ電力を供給する電路を形成する。これにより、貯湯ユニット用コンセント51に常時接続されている貯湯ユニット14のほか、系統独立運転用コンセント52に電気機器が接続される場合にはその機器に対し、インバータ23から出力される電力を供給することが可能となる。なお、系統独立運転用コンセント52に電気機器が接続されていなくても、運転上支障はない。
【0043】
これにより、貯湯ユニット用コンセント51に常時接続されている貯湯ユニット14は、停電時でも給湯・風呂の使用が可能となる。また、貯湯ユニット14が例えば100Wの電力を消費する場合、系統独立運転用コンセント52に接続される電気機器(電力負荷)は、250W程度までの電力の使用が可能となる。例えば100Wの電力負荷が系統独立運転用コンセント52に接続された場合には、制御部100は、余剰電力ヒータ制御用トライアック44で高速に位相制御を行い、出力を100W分低減させる。また、100Wの電力負荷が切り離された場合には、余剰電力ヒータ制御用トライアック44の出力を速やかに100W分増加させる。これにより、急激な負荷変化による電力変動を抑えることができる。
【0044】
系統12が復電した場合には、制御部100はセンサ等を通じてこれを検知し(ステップS4)、各種の切替手段等を系統停電前の状態に戻して再連系を実施し(ステップS5)、学習制御等により出力を上昇させ、一定の出力値に到達したらその出力状態を維持する(ステップS6)。
【0045】
次に、系統停電時に停止中の状態にある燃料電池発電ユニット11を起動する方法について説明する。
【0046】
本実施形態では、内部にバッテリーを保持していないため、停電時の完全自立起動は困難であるが、例えば汎用ポータブル発電機などを系統12側に接続することにより、起動が可能となる。例えば、
図3に示されるように、200Vの汎用ポータブル発電機16、あるいは100Vの汎用ポータブル発電機17および100V/200V変圧器18から生成される200Vの電力を、系統12側のブレーカ15と燃料電池発電ユニット11との間の電路を通じて、燃料電池発電ユニット11内の主要部へ供給する。
【0047】
ここで、
図4を参照して、系統連系運転中に系統停電が発生したときの制御部100の動作の一例を説明する。
【0048】
事前に使用者がディップスイッチ101を操作することにより、起動時の動作モードとして前述のGIモードが事前に設定されているものとする。
【0049】
制御部100は、使用者による起動の指示がなされたことを検知すると、発電準備のための一連の処理として、FPSヒータ41等の点火・昇温を実施し(ステップS11)、昇温の完了後(ステップS12のYes)、水素リッチガスの製造を開始させる(ステップS13)。
【0050】
発電準備が完了すると(ステップS14のYes)、制御部100は、起動時の動作モードとして通常モードとGIモードのいずれが設定されているかを判定する(ステップS15)。
【0051】
通常モードが設定されている場合(ステップS15のNo)、系統12からの電力で起動を実施し、系統連系運転で発電を開始する(ステップS16)。この後、学習制御等により出力を上昇させ、一定の出力値に到達したらその出力状態を維持する(ステップS17)。
【0052】
一方、GIモードが設定されている場合(ステップS15のYes)、制御部100は、外部発電機からの電力で起動を実施し、系統独立運転で発電を開始する(ステップS18)。本実施形態では、系統12側に接続された外部発電機から送られてくる電力を燃料電池発電ユニット11内の主要部へ供給することにより、起動を実施する。以降の処理は、前述のステップS2以降の処理と同様となる。
【0053】
なお、起動後は、外部発電機に電力が戻って外部発電機がトリップまたは破損してしまうことを防ぐため、前述のステップS2以降で説明した切替処理等と同様の処理を迅速に行って、系統独立運転を実施する。
【0054】
また、系統独立運転で発電した後、制御部100は、前述のステップS3の場合と同様に、余剰電力ヒータ43に余剰電力を消費させながら通常の出力変化速度で発電出力を徐々に上げていき(ステップS19)、出力が例えば350Wに到達したら(ステップS20のYes)、その出力状態を維持(ホールド)する。このとき、例えばLED(図示せず)等を通じて「電力負荷の接続可能」を示す表示を行うことが望ましい(ステップS21)。
【0055】
なお、出力が規定値に到達する前であっても、貯湯ユニット用コンセント51等に電力負荷を接続することは可能である。但し、信頼性を確保する観点から、起動中は電力負荷を外しておくことが望ましい。
【0056】
なお、本実施形態では、ディップスイッチ101を設けることにより、使用者が起動時の動作モードとして通常モードとGIモードのいずれかを選択できるようにしたが、例えばディップスイッチ101を設けずに、起動時は常にGIモードとなるように構成してもよい。この場合、例えば、起動時はGIモードに従って外部発電機からの電力で起動を実施し、系統独立運転で発電を開始し、発電開始後5分はそのまま系統独立運転を続行し、その間に外部電源等が外され系統異常が検知された場合は、系統独立運転のままで出力を上昇させ、一方、系統異常が検知されない場合は、通常の系統連系運転へ移行するように制御してもよい。
【0057】
第1の実施形態によれば、構成の大幅な変更やコストアップを抑えつつ、系統停電時に系統独立運転を行うことが可能となる。例えば、系統連系運転中に系統停電が発生した場合には、燃料電池発電ユニット11を従来のように単にフェールセーフ状態にさせるのではなく、電力変動を抑えながら安定した出力を保持しつつ系統独立運転へ移行させることができる。また、系統停電時に停止中の状態にある燃料電池発電ユニット11を起動する場合においても、簡易な外部発電機を用いて、系統独立運転へ移行させることができる。そのため、系統停電時であっても家電機器等の使用が可能となる。例えば貯湯ユニット用コンセント51に接続されている貯湯ユニット14により、系統停電時でも給湯・風呂の使用が可能となる。そのほか、系統独立運転用コンセント52に接続される電気機器の使用も可能となる。また、急激な負荷変化が生じても、電力変動が抑えられるため、信頼性の高い安定した電力を提供することができる。
【0058】
(第2の実施形態)
図5を参照して、第2の実施形態について説明する。なお、必要に応じて前述の
図1〜
図4も参照する。以下では、第1の実施形態と共通する部分の説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0059】
図5は、第2の実施形態に係る燃料電池発電システムの構成の一例を示すブロック図である。なお、
図1と共通する要素には同一の符号を付している。
【0060】
第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、燃料電池発電ユニット11が、更に、100V外部発電機接続用端子台55と、200V/100V変圧器56とを備えていることである。
【0061】
100V外部発電機接続用端子台55は、系統停電時に燃料電池発電ユニット11を起動する際に使用される100Vの外部発電機を接続するための端子台であり、コンセント51,52と共通する電路に接続される。このときの外部発電機としては、例えば汎用ポータブル発電機が使用される。前述の第1の実施形態では、系統停電時において200V外部発電機等を系統12に接続し、系統12側から電力を供給することにより起動を実施する場合を例示したが、この第2の実施形態では、100V外部発電機を100V外部発電機接続用端子台55に接続し、200V/100V変圧器56から生成される200Vの電力を用いて起動を実施する。
【0062】
200V/100V変圧器56は、EMIフィルタ54と切替器53との間に設けられ、100V外部発電機接続用端子台55に接続される100V外部発電機から送られてくる電力を100Vから200Vに変換して出力することができ、また、インバータ23側から送られてくる電力を200Vから100Vに変換して出力することもできる。前述の第1の実施形態では系統独立運転中のインバータ23の出力電圧を100Vとなるように制御する場合を例示したが、この第2の実施形態では200V/100V変圧器56が設けられていることから、系統独立運転中のインバータ23の出力電圧を、系統連系運転中と同じ200Vとなるようにすることができる。これにより、系統独立運転中において、最大350Wまでしか運転できなかったものが、最大700Wまで運転することができるようになる。
【0063】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られるほか、系統停電時に簡易な100V外部発電機を100V外部発電機接続用端子台55に接続することで、燃料電池発電ユニット11を簡単に起動させることができ、また、系統停電時に系統独立運転を行う場合に、本来の定格出力まで電力供給能力を向上させることが可能となる。
【0064】
(第3の実施形態)
図6を参照して、第3の実施形態について説明する。なお、必要に応じて前述の
図1〜
図5も参照する。以下では、第2の実施形態と共通する部分の説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0065】
図6は、第3の実施形態に係る燃料電池発電システムの構成の一例を示すブロック図である。なお、
図5と共通する要素には同一の符号を付している。
【0066】
第3の実施形態が第2の実施形態と異なる点は、前述したEMIフィルタ54、切替器53、および200V/100V変圧器56を含む回路に代えて、200V/100V変圧器56および漏電ブレーカ57を含む回路が設けられ、また、電路の接続関係も変更されていることである。すなわち、EMIフィルタ等の比較的コストのかかる要素が省かれ、かつ、漏電に対する対策が施されるとともに、より一層簡易な構成が実現されている。
【0067】
また、系統停電時にEMIフィルタ25と系統12とを結ぶ電路の一部を遮断するリレー28が追加されている。このリレー28は、リレー27等と同様、接点形式としてB接点を採用する切替器もしくは遮断器として機能するものであり、例えば系統連系運転中に系統停電が発生すると接点が閉となり、インバータ23と系統12とを結ぶ電路の一部を遮断する。
【0068】
制御部100は、自立運転時もしくは系統独立運転への移行後に、例えばリレー24の接点を閉にして、インバータ23の出力電力がEMIフィルタ25、漏電ブレーカ57、200V/100V変圧器56を経由して、貯湯ユニット用コンセント51等へ供給されるようにする。
【0069】
第3の実施形態によれば、第2の実施形態と同様の効果が得られるほか、信頼性や安全性を維持したまま、より一層簡易な構成で、より一層コストを抑えた燃料電池発電ユニット11を実現することができる。
【0070】
(第4の実施形態)
図7を参照して、第4の実施形態について説明する。なお、必要に応じて前述の
図1〜
図6も参照する。以下では、第3の実施形態と共通する部分の説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0071】
図7は、第4の実施形態に係る燃料電池発電システムの構成の一例を示すブロック図である。なお、
図6と共通する要素には同一の符号を付している。
【0072】
第4の実施形態が第3の実施形態と異なる点は、前述した200V/100V変圧器56および漏電ブレーカ57を含む回路に代えて、切替器53、漏電ブレーカ57、および自立時用片線接地回路58を含む回路が設けられ、更に、前述した100V外部発電機接続用端子台55に代えて、200V外部発電機接続用端子台59および100V受電用端子台60が設けられ、電路の接続関係も変更されていることである。
【0073】
自立時用片線接地回路58は、切替器53と漏電ブレーカ57とを結ぶ電路とグランドとの間に設けられ、自立運転中に当該電路の一部を接地させるための回路である。
【0074】
200V外部発電機接続用端子台59は、系統停電時に燃料電池発電ユニット11を起動する際に使用される200Vの外部発電機を接続するための端子台であり、切替器53と漏電ブレーカ57とを結ぶ電路に接続される。このときの外部発電機としては、例えば汎用ポータブル発電機が使用される。前述の第3の実施形態では、系統停電時において100V外部発電機を100V外部発電機接続用端子台55に接続して200V/100V変圧器56から生成される200Vの電力により起動を実施する場合を例示したが、この第4の実施形態では、200V/100V変圧器56は不要であり、200V外部発電機を200V外部発電機接続用端子台59に接続して、変圧を行うことなく200Vの電力を供給して起動を実施する。
【0075】
100V受電用端子台60は、100Vを受電する外部機器(電力負荷)を接続するための端子台であり、コンセント51,52と共通する電路に接続される。系統停電時でも、この100V受電用端子台60を通じて100Vの受電を行うことが可能である。
【0076】
制御部100は、自立運転時もしくは系統独立運転への移行後に、例えばリレー24の接点を閉にして、インバータ23の出力電力を、EMIフィルタ25、漏電ブレーカ57、切替器53を経由して、貯湯ユニット用コンセント51等へ供給させるほか、100V受電用端子台60へも供給させることができる。また、制御部100は、自立運転に際し、必要に応じて自立時用片線接地回路58を操作し、切替器53と漏電ブレーカ57とを結ぶ電路の一部を接地させる。
【0077】
第4の実施形態によれば、第3の実施形態と同様の効果が得られるほか、200V/100V変圧器を設けない構成で、系統停電時に200V外部発電機を200V外部発電機接続用端子台59に接続することにより、燃料電池発電ユニット11を直接起動させることができる。また、系統停電時に、安定した自立運転を開始することができ、100V受電用端子台60を通じて100Vの受電を行うこともできる。
【0078】
以上詳述したように、各実施形態によれば、構成の大幅な変更やコストアップを抑えつつ、系統停電時に系統独立運転を行うことができる。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。