(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施例を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0013】
本実施例では、電力変換装置のパラメータデータである周波数設定値データを変更する際に、操作部を連続的に操作し、操作桁が0となるような区切りの良い周波数設定値データ、例えば小数点以下の桁が0となるような値を設定する例を説明する。
【0014】
図1は、本実施例にかかる交流電動機102を駆動する電力変換装置101に制御装置103が取り付けられた電力変換装置101のブロック図の一例である。本実施例にかかる電流変換装置101では、制御装置103、表示部110、表示器111、操作部120、上操作器121、下操作器122、処理部130、記憶部140、を有する。
【0015】
制御装置103は、例えば表示部110と操作部120を備えて構成される。制御装置103は、電力変換装置101に直接組み込まれていても、電力変換装置101と制御装置103とを通信を介して接続してもよい。表示部110は、処理部130で処理された周波数設定データを入力とし、表示用データに変換して、表示器111に出力する。
【0016】
表示器111は、例えば
図1に示されるような8セグメントの表示器であり、表示部110からの表示データを入力とし、8セグメントの表示を行う。表示器111は、データが表示されるならば、液晶ディスプレイのようなデジタルディスプレイでも構わない。
【0017】
操作部120は、上操作器121または下操作器122から入力されたユーザの操作情報を入力とし、上操作器121が操作された場合には上操作指令を、下操作器122が操作された場合には下操作指令を、それぞれ処理部130に出力する。上操作器121および下操作器122は、接点で構成されていることを想定しているが、上下操作が可能なデバイスで構成されていても本内容の意図は変わらない。
【0018】
処理部130は、操作部120からの操作指令と記憶部140の周波数設定データを入力とし、操作指令に従って周波数設定データを操作し、操作された周波数設定データを表示部110または記憶部140に出力する。操作指令は例えば、上操作指令ならば周波数設定データを1加算し、下操作指令ならば周波数設定データを1減算する。
【0019】
記憶部140は、例えば揮発性メモリで構成され、処理部130で操作された周波数設定データを入力として記憶する。また、記憶部140は、処理部130が周波数設定データを参照した場合に、参照された周波数設定データを出力する。
【0020】
処理部130は、操作指令が連続的に入力されている場合、周波数設定データの更新待機を行う。その具体的な方法について、
図2の処理部が行うフローチャートを用いて説明する。
【0021】
まず、処理部130は、記憶部140から取得した周波数設定データと、操作部120からの操作指令を取得する(S201)。処理部130は、周波数設定データの現在の操作桁が0かを判定し(S202)、0でないならば周波数設定データの増減を行う(S206)。処理部130は、現在の操作桁が0ならば、待機状態として更新待機状態のカウンタを更新する。処理部130は、例えば待機する規定値として、待機時間を1秒とし、1秒を1000カウンタとした場合、待機カウンタが1000未満であれば(S203)、待機カウンタの加算を行う(S204)。処理部が待機カウンタの加算を行っている間は、現在の操作桁は0のままとなるため、待機状態が継続する。
【0022】
処理部130は、待機カウンタが1000以上であれば、待機カウンタを0にクリアし(S205)、周波数設定データの増減を行う(S206)。処理部130が、周波数設定データの増減を行えば、現在の操作桁は0ではなくなり待機状態から解除される。処理部130は、操作指令が入っていれば、周波数設定データの更新を行い、操作桁が0になれば、再び待機状態とする。操作桁が0になる場合に待機させるのは、周波数設定データとして設定する場合、操作桁を0にした区切りの良い周波数を用いるためである。
【0023】
処理部130は、操作指令が入っていなければ、ただちに周波数設定データの更新を停止する。処理部130はデータ更新を待機させることによって、ユーザが操作する操作指令を把握し、操作が止まった値で更新を止めることができる。
【0024】
図3は、処理部130が
図2で示されたフローチャートの動作を行っている時の表示器111に表示される様子を示している。
【0025】
表示器111は、表示部110からの指令によって数値を表示する。上操作器121が連続的に押されている場合、処理部130はデータを更新し(S206)、表示部110にデータを送る。
図3に示すように例えば、表示部110は表示器111の表示を[6.9](301)から[7.0](302)に更新する。表示器111の表示が[7.0]、すなわちデータが[7.0]となった場合、操作桁が0となったので待機時間分待機させる(S203、S204)。
図3の例のように例えば、表示部110は表示器111の表示を[7.0](302)から更新せず、[7.0](303)のままとする。この時、操作入力がなくなれば[7.0]の値が確定される。操作入力が続いていれば、処理部130がデータを更新し(S205,S206)、待機状態から解除されれば再び表示は更新される。
図3に示すように例えば、表示部110は表示器111の表示を[7.0](303)から[7.1](304)に更新する。
【0026】
上記のように、処理部130が更新を一時停止させることにより、設定すべき周波数設定データを設定することが容易となる。本実施例では小数点以下が0となった場合に一時更新を停止する例をあげているが、操作桁が一の位、十の位あるいはそれ以上となっていても、区切りの良い値となっている場合に実施すれば、本発明の意図は変わらない。また、本発明は区切りの良い値で必ず更新を止める必要はなく、例えば[1.0]、[10.0]、[100.0]というように、更新する最大桁が上昇した場合にだけ更新を止めるようにした場合でも、本発明の意図は変わらない。
【実施例2】
【0027】
本実施例では、電力変換装置のパラメータデータである周波数設定値データを変更する際に、操作部を連続的に操作し、操作桁が0となるような区切りの良い周波数設定値データ、例えば小数点以下の桁が0となるような値を設定するとともに、操作時間を短縮する例を説明する。
【0028】
本実施例は、実施例1と同様の構成をとり、同一の機能を有するので、それらの詳しい説明は省略する。本実施の電流変換装置101の例では、制御装置103、表示部110、表示器111、操作部120、上操作器121、下操作器122、処理部130、記憶部140、を有する。
【0029】
処理部130は、操作指令が連続的に入力されている場合、周波数設定データの更新および待機表示を行う。その具体的な方法について、
図4の処理部が行うフローチャートを用いて説明する。
【0030】
まず、処理部130は、記憶部140から取得した周波数設定データと、操作部120からの操作指令を取得する(S401)。処理部130は、周波数設定データの現在の操作桁が0かを判定し(S402)、0ならば待機データとして周波数設定データを記憶部140に記憶させ、待機表示指令を表示部110に与える(S403)。処理部130は、待機表示指令があるかどうかを判定する(S404)。処理部130は、例えば待機する規定値として、待機時間を1秒とし、1秒を1000カウンタとした場合、待機カウンタが1000未満であれば(S405)、待機カウンタの加算を行う(S406)。処理部が待機カウンタの加算を行っている間は、表示部110に待機データを送り、待機データを表示させる(S407)。処理部130は、待機データとは別の操作データを更新しておく(S411)。処理部130は待機カウンタが1000以上であれば、待機カウンタを0にクリアし(S408)、待機表示指令をクリアし(S409)、操作データを表示するように表示部110に指令を与える(S410)。処理部130は、操作データを操作指令に従い更新する(S411)。
【0031】
処理部130は、操作指令が入っていなければ、ただちに周波数設定データの更新を停止する。処理部130は、表示部110に待機データを表示している状態で操作指令が入らなくなれば、待機データを操作データとして記憶部140に記憶させる。処理部130は、表示を待機させておいた状態で、操作データを更新しているので、操作指令が続いている場合には、待機状態中に更新された情報を待機状態終了後に継続させることができる。操作データの更新を継続させることによって、ユーザが操作する操作指令を把握し、操作が止まった値で更新を止め、操作が継続している場合には迅速に目標値に到達させることができる。
【0032】
図5は、処理部130が
図4で示されたフローチャートの動作を行っている時の表示器111に表示される様子を示している。
【0033】
表示器111は、表示部110からの指令によって数値を表示する。上操作器121が連続的に押されている場合、処理部130はデータを更新し(S411)、表示部110にデータを送る。
図5の例のように例えば、表示部110は表示器111の表示を[6.9](501)から[7.0](502)に更新する。表示器111の表示が[7.0]、すなわちデータが[7.0]となった場合、操作桁が0となったので表示を待機時間分待機させる(S406、S407)。
図5の例のように例えば、表示部110は表示器111の表示を[7.0](502)から更新せず、[7.0](503)のままとする。この時、操作入力がなくなれば[7.0]の値が確定される。操作入力が続いていれば、処理部130は待機カウンタが規定値以上となった場合に待機表示指令をクリアし(S409)、操作データを表示する。
図5の例のように例えば、表示部110は表示器111の表示を表示データの[7.0](503)から操作データの[7.2](504)に更新する。
【0034】
上記のように、処理部130が更新を一時停止させることにより、設定すべき周波数設定データを設定することが容易となる。本実施例では小数点以下が0となった場合に一時更新を停止する例をあげているが、操作桁が一の位、十の位あるいはそれ以上となっていても、区切りの良い値となっている場合に実施すれば、本発明の意図は変わらない。また、本発明は区切りの良い値で必ず更新を止める必要はなく、例えば[1.0]、[10.0]、[100.0]というように、更新する最大桁が上昇した場合にだけ更新を止めるようにした場合でも、本発明の意図は変わらない。
【実施例3】
【0035】
本実施例では、電力変換装置101のパラメータデータである周波数設定値データを変更する際に、表示部110が表示しているデータと、操作部120の操作対象の周波数設定値データとで異なるデータの場合に、操作部120に周波数設定値データの操作指令が連続的に入っている状態で、表示部110に操作する周波数設定値データを自動的に表示させる例を説明する。例えば、表示部110が実際に交流電動機102に出力している出力周波数を表示している際、処理部130は周波数設定データを変更する場合、表示部110の表示を自動的に周波数設定に変更し表示させる。
【0036】
本実施例は、実施例1と同様の構成をとり、同一の機能を有するので、それらの詳しい説明は省略する。本実施例の電流変換装置101は、制御装置103、表示部110、表示器111、操作部120、上操作器121、下操作器122、処理部130、記憶部140、を有する。
【0037】
処理部130は、操作部120からの操作指令が入力されていて、表示部110に周波数設定データと別のデータ、例えば電力変換装置が出力している出力周波数のデータが表示されている場合、周波数設定データを表示するように表示部に指令する。また、処理部130は操作部120からの操作指令がなくなった後、すぐさま出力周波数データの表示に戻すと、どの周波数設定データに変更したかが分からなくなるため、操作指令がなくなってから、しばらくの間は表示を周波数設定データのままにする。その具体的な方法について、
図6の処理部が行うフローチャートを用いて説明する。
【0038】
まず、処理部130は、操作部120からの操作指令を取得する(S601)。処理部130は、操作指令があるかどうかを判定し(S602)、操作する対象が表示されているかを判断し(S603)、表示されていなければ、元々の表示対象を記憶部140に記憶させ(S604)、表示部110に表示対象の変更を指令する(S605)。処理部130は、操作部120からの操作指令が入力されなくなった場合、操作する対象が表示されているかを判断し(S606)、表示されていれば、例えば表示待機する規定値として、待機時間を1秒とし、1秒を1000カウンタとした場合、表示カウンタが1000未満であれば(S607)、表示カウンタの加算を行う(S608)。処理部が表示カウンタの加算を行っている間は、表示部110に操作対象データを表示させる。処理部130は、表示カウンタが1000以上であれば、待機カウンタを0にクリアし(S609)、元々表示していた周波数設定データを表示するように表示部110に指令を与える(S610)。
【0039】
上記のように、本実施例では、処理部130が周波数設定データを変更することを判断して表示部110に指令することで、変更中のデータを表示することを示している。実施例1もしくは実施例2と組み合わせて用いることにより、目標となる周波数設定データを設定することが可能である。
【実施例4】
【0040】
本実施例では、電力変換装置101の周波数設定値データを変更する際に、操作部120の操作対象のデータを迅速に操作するため、操作部120に連続的に操作指令が入っている状態で、操作データのデータ変更桁を自動的に上位に移行させ、変更桁の下の桁を丸め操作する例を説明する。
【0041】
本実施例は、実施例1と同様の構成をとり、同一の機能を有するので、それらの詳しい説明は省略する。本実施例の電流変換装置101は、制御装置103、表示部110、表示器111、操作部120、上操作器121、下操作器122、処理部130、記憶部140、を有する。
【0042】
処理部130は、実施例1または実施例2を行うと同時に、操作指令が連続的に入力されている時間を計測し、自動的に操作桁を上げていく。その具体的な方法について、
図7の処理部が行うフローチャートを用いて説明する。
【0043】
まず、処理部130は、操作部120からの操作指令を取得する(S701)。処理部130は、操作指令があるかどうかを判定し(S702)、操作指令がない場合には、桁上げカウンタをクリアする(S703)。処理部130は、操作指令がある場合には、桁上げカウンタを増加させる(S704)。例えば桁を上げる規定値として、規定時間を1秒とし、1秒を1000カウンタとした場合、桁上げカウンタが1000未満であれば(S705)、操作桁のパラメータの増減処理を行い、桁上げカウンタが1000以上であれば、桁上げカウンタを0にクリアし(S706)、操作桁を上昇させ(S707)、上がった操作桁に対してパラメータの増減処理を行う(S708)。
【0044】
次に、処理部130は、操作桁が上昇した場合に
図7のS708において下位の桁のデータを丸める操作を行う。その具体的な方法について、
図8の処理部が行うフローチャートを用いて説明する。
【0045】
処理部130は、現在の操作桁未満の桁データが0かどうかを判定する(S801)。処理部130は、桁データが0でない場合、操作桁に丸め処理を行う(S802)。処理部130は、桁データが0の場合、操作桁のデータを操作指令に従い増減させる(S803)。丸め処理とは例えばIEEE754で定められた丸めモードを指す。例えば
図9に示されるように、処理部130は、上操作指令が入力され、一桁目が操作対象である場合、[6.5](901)から[6.6](902)のようにデータが更新される。処理部130は、桁上りが発生した場合、例えばデータである[6.6](902)の二桁目を増加させ[7.6]とした際に、[7.6]に対して負の無限大への丸めを行い、[7.0](903)と演算する。次に、処理部130は、操作桁を増加させ、データを[8.0](904)とする。
【0046】
上記のように、本実施例では一定区間入力が連続した場合に操作桁を上昇する方法を示している。実施例1もしくは実施例2と組み合わせて用いることにより、目標となる周波数設定データを迅速に設定することが可能である。
【0047】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0048】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0049】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。