特許第5753821号(P5753821)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本特殊陶業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5753821-センサ取付構造 図000002
  • 特許5753821-センサ取付構造 図000003
  • 特許5753821-センサ取付構造 図000004
  • 特許5753821-センサ取付構造 図000005
  • 特許5753821-センサ取付構造 図000006
  • 特許5753821-センサ取付構造 図000007
  • 特許5753821-センサ取付構造 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5753821
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】センサ取付構造
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/409 20060101AFI20150702BHJP
   G01N 27/41 20060101ALI20150702BHJP
   G01N 27/419 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
   G01N27/58 B
   G01N27/46 325H
   G01N27/46 327H
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-128191(P2012-128191)
(22)【出願日】2012年6月5日
(65)【公開番号】特開2013-253810(P2013-253810A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2014年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】渥美 尚勝
【審査官】 黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−250682(JP,A)
【文献】 特開平10−125441(JP,A)
【文献】 特開2010−256334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/409
G01N 27/41
G01N 27/419
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関に対してセンサ素子部を取り付けるためのセンサ取付構造であって、
前記内燃機関のエンジンヘッドは、その外部から排気ポートに向けて該エンジンヘッドを貫通するとともに、外部側に向く係止面を有する貫通穴を備え、
前記センサ素子部は、長手方向の先端側に設けられ、被測定ガスに晒される検知部と、該検知部よりも後端側に設けられ、前記係止面に係合する先端向き面を有する係合部と、を備え、
前記検知部が前記排気ポート内に配置されるとともに前記貫通穴の前記係止面に前記先端向き面が係合した状態の前記センサ素子部を、前記係止面と自身とで挟持することで、前記貫通穴内に前記センサ素子部を固定する取付固定部材、を備える、
ことを特徴とするセンサ取付構造。
【請求項2】
前記センサ素子部の外面と前記貫通穴の内面との間に配置されると共に、前記係合部と前記取付固定部材との間に挟持され、前記センサ素子部と前記エンジンヘッドとの間の気密性を維持するシール部を備える、
ということを特徴とする請求項1に記載のセンサ取付構造。
【請求項3】
前記センサ素子部は、有底筒型センサ素子であり、
前記係合部は、前記有底筒型センサ素子の径方向外側に突出する鍔部である、
ということを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセンサ取付構造。
【請求項4】
前記有底筒型センサ素子は、検知信号を出力するために外面に設けられた電極部を備え、
前記電極部は、前記エンジンヘッドに電気的に接続されるように、少なくとも一部が前記鍔部に設けられている、
ということを特徴とする請求項3に記載のセンサ取付構造。
【請求項5】
前記センサ素子部は、
長手方向に延びる板型センサ素子と、
前記板型センサ素子の長手方向の中間位置で前記板型センサ素子を保持する保持部と、
を備え、
前記保持部が前記係合部として前記係止面に係合する、
ということを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセンサ取付構造。
【請求項6】
前記取付固定部材は、螺合により前記エンジンヘッドに一部が嵌め込まれて取り付けられる、
ということを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のセンサ取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関に対してセンサ素子部を取り付けるためのセンサ取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関(エンジン)の排気管等のガス流通管に取り付けられて、ガス流通管の内部を流通する排気ガス中の特定ガス成分(例えば、酸素、NOx等)を電気的に検出するセンサ素子部が知られている。
【0003】
このようなセンサ素子部は、先端に排気ガスに晒される検知部を備えて構成されており、検出素子部とも呼ばれる。そして、センサ素子部は、例えば、センサ素子部を保持する筒状の主体金具(ハウジング)とともに、ガスセンサを構成する(特許文献1)。
【0004】
なお、ガスセンサは、センサ素子部を加熱するためのヒータを備える構成に限られることはなく、センサ素子部を活性化可能な環境下で使用される場合には、例えば、図7に示すガスセンサ201のように、ヒータを有しない構成を採ることもできる。
【0005】
ガスセンサ201は、センサ素子部203と、主体金具205と、を備える。また、ガスセンサ201は、保護プロテクタ211、ガスケット212、出力端子213、滑石214、スリーブ215、板パッキン216、外筒218、通気フィルタ219、セパレータ220、保護外筒221、ゴムキャップ222、リード線223を備えている。
【0006】
一方、ガス流通管としては、センサ素子部の検知部を管内に突出させた状態でガスセンサを取り付けるための取付孔が穿設されるものがある。
そして、例えば、主体金具および取付孔がそれぞれ螺合溝を備えており、螺合によりガスセンサがガス流通管の取付孔に取り付けられる。これにより、主体金具およびセンサ素子部を備えるガスセンサを内燃機関に対して取り付けるためのセンサ取付構造の一例が実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−162565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、主体金具を用いてガスセンサを内燃機関に取り付けるセンサ取付構造においては、その構造が複雑になるという問題がある。
つまり、ガスセンサの構成部品としてセンサ素子部のみならず主体金具が必須となるため、主体金具を有しない構成のガスセンサに比べて部品点数が多くなり、ガスセンサの構造が複雑になる。
【0009】
また、主体金具の形状によっては、主体金具そのものの製造工程が煩雑になり、ガスセンサ全体としての製造コストも高くなる。
このため、主体金具を用いてセンサ素子部を内燃機関に取り付けるセンサ取付構造(換言すれば、ガスセンサとしてセンサ素子部を取り付けるセンサ取付構造)は、コストが高くなるという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、主体金具を用いる場合に比べて、構造が複雑ではなく、製造コストの低いセンサ取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、内燃機関に対してセンサ素子部を取り付けるためのセンサ取付構造であって、内燃機関のエンジンヘッドは、その外部から排気ポートに向けて該エンジンヘッドを貫通するとともに、外部側に向く係止面を有する貫通穴を備え、センサ素子部は、長手方向の先端側に設けられ、被測定ガスに晒される検知部と、該検知部よりも後端側に設けられ、係止面に係合する先端向き面を有する係合部と、を備え、検知部が排気ポート内に配置されるとともに貫通穴の係止面に先端向き面が係合した状態のセンサ素子部を、係止面と自身とで挟持することで、貫通穴内にセンサ素子部を固定する取付固定部材、を備える、というセンサ取付構造である。
【0012】
このようなセンサ取付構造においては、取付固定部材を用いてセンサ素子部をエンジンヘッドの貫通穴に固定することから、センサ素子部を保持する主体金具を用いることなく、センサ素子部を貫通穴に取り付けることができる。
【0013】
このため、センサ素子部は、主体金具を有するセンサに比べて部品点数が少なく、構成が簡素になる。
また、部品点数が少なくなることで、センサ素子部の製造コストを低く抑えることができ、センサ取付構造としての製造コストも低く抑えることができる。
【0014】
よって、本発明によれば、主体金具を用いる場合に比べて、構造が複雑ではなく、製造コストの低いセンサ取付構造を実現できる。
また、本発明のように、センサ素子部の取付位置を排気管ではなくエンジンヘッドにすることで、センサ素子部や取付固定部材の構成部品を安価な材料で形成することが可能となる。
【0015】
つまり、一般に、排気管は600〜650[℃]の高温になるが、エンジンヘッドは、冷却水の循環などの冷却機構によって温度上昇が抑えられるため、エンジンヘッドの温度は200[℃]程度となる。
【0016】
このため、本発明のセンサ素子部や取付固定部材は、600〜650[℃]の高温に耐えられる部品で構成する必要性は低くなり、200[℃]程度の温度に耐えられる部品で構成することが可能となる。換言すれば、センサ素子部や取付固定部材を安価な材料で構成することが可能となる。
【0017】
よって、本発明によれば、センサ素子部や取付固定部材を安価に製造でき、製造コストの低いセンサ取付構造を実現できる。
次に、上述のセンサ取付構造においては、センサ素子部の外面と貫通穴の内面との間に配置されると共に、係合部と取付固定部材との間に挟持され、センサ素子部とエンジンヘッドとの間の気密性を維持するシール部を備える、という構成を採ることができる。
【0018】
このようにシール部を備えることで、センサ素子部とエンジンヘッドとの間から排気ポートの排気ガスが漏れ出るのを抑制できる。
次に、上述のセンサ取付構造においては、センサ素子部は有底筒型センサ素子であり、係合部は、有底筒状センサ素子の径方向外側に突出する鍔部で構成しても良い。
【0019】
この有底筒型センサ素子は、鍔部の先端向き面が係止面に係合することでエンジンヘッド(詳細には、貫通穴)に対して位置決めでき、その結果、その先端側部分の検知部を排気ポート内に配置することができる。
【0020】
そして、センサ素子部を有底筒型センサ素子で構成する場合には、有底筒型センサ素子は、検知信号を出力するために外面に設けられた電極部を備え、電極部はエンジンヘッドに電気的に接続されるように、少なくとも一部が鍔部に設けられている、という構成を採ることができる。
【0021】
これにより、センサ素子部としての有底筒型センサ素子は、電極部がエンジンヘッドに電気的に接続されることで、エンジンヘッドを通じて外部への検知信号の出力経路を確立できる。よって、センサ素子部から外部への検知信号の出力経路を簡素な構成で確立することができ、製造コストを低減できる。
【0022】
次に、上述のセンサ取付構造においては、センサ素子部は、長手方向に延びる板型センサ素子と、板型センサ素子の長手方向の中間位置で板型センサ素子を保持する保持部と、を備えて構成しても良い。そして、このような構成を採る場合、保持部が係合部として係止面に係合するとよい。
【0023】
このようなセンサ素子部は、保持部が係止面に係合することでエンジンヘッド(詳細には、貫通穴)に対して位置決めでき、その結果、板型センサ素子の先端側に設けられた検知部が排気ポート内に配置できる。
【0024】
次に、上述のセンサ取付構造においては、取付固定部材は螺合によりエンジンヘッドに一部が嵌め込まれて取り付けられる、という構成を採ることができる。
このような構成であれば、取付固定部材を確実にエンジンヘッドに固定できるとともに、取付固定部材によってセンサ素子部を貫通穴に対して確実に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1実施形態のセンサ取付構造を備える内燃機関の概略構成図である。
図2】第1実施形態のセンサ取付構造の断面図である。
図3】長手方向の後端側(図の上側)の一部を破断して内部構造を示したセンサ素子部の正面図である。
図4】第2実施形態の第2センサ取付構造の断面図である。
図5】第2センサ素子部の外観を表した斜視図である。
図6】センサ素子部を取り付けるための第3センサ取付構造の断面図である。
図7】従来のガスセンサの概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
なお、以下に示す実施形態では、本発明のセンサ取付構造を適用した内燃機関を例に挙げて説明する。
【0027】
[1.第1実施形態]
[1−1.全体構成]
本実施形態の内燃機関1の全体構成について、図1に基づいて説明する。図1は、センサ素子部19を取り付けるためのセンサ取付構造15を備える内燃機関1の概略構成図である。
【0028】
図1に示すように、本実施形態の内燃機関1は、エンジン本体部11の吸気管62のうち最上流部に設けられて異物の吸入を避けるためのエアクリーナ63と、このエアクリーナ63の下流側に設けられて吸入空気量を検出するエアフローメータ64と、を備える。
【0029】
また、内燃機関1は、エアフローメータ64の下流側に設けられてモータ65によって開度調節されるスロットルバルブ66と、このスロットルバルブ66の開度(スロットル開度)を検出するスロットル開度センサ67と、を備える。
【0030】
さらに、内燃機関1は、スロットルバルブ66の下流側に設けられるサージタンク68と、このサージタンク68の下流側に設けられてエンジン本体部11に空気を導入する吸気マニホールド70と、を備える。
【0031】
吸気マニホールド70の吸気ポート近傍には、それぞれ燃料を噴射する燃料噴射弁71が取り付けられている。また、エンジン本体部11のエンジンヘッドには、点火プラグ72が取り付けられ、各点火プラグ72の火花放電によって筒内の混合気に着火される。
【0032】
エンジン本体部11のエンジンヘッド13には、排気ポート17における排出ガス中の酸素濃度を検出するセンサ素子部19が設けられる。センサ素子部19は、空燃比センサや酸素センサ等として内燃機関1に備えられている。
【0033】
エンジン本体部11の排気ポート17に接続された排気管73には、排出ガスを浄化する三元触媒等の触媒74が設けられている。
さらに、内燃機関1は、各部の状態を示す信号に基づいて内燃機関の運転状態を制御する制御部75(ECU75)を備える。制御部75は、いわゆるマイクロコンピュータで構成されており、詳細は図示しないが、公知の構成を有し、演算を行うマイクロプロセッサ、プログラムやデータを一時記憶するRAM、プログラムやデータを保持するROM、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路などを含んで構成されている。なお、A/D変換回路は、AD入力端子ADCから入力されるアナログ信号を、マイクロプロセッサなどで使用可能なデジタル信号に変換する。
【0034】
[1−2.センサ取付構造]
次に、エンジン本体部11のエンジンヘッド13に対してセンサ素子部19を取り付けるためのセンサ取付構造15について説明する。
【0035】
図2に、センサ素子部19を取り付けるためのセンサ取付構造15の断面図を示す。
センサ取付構造15は、エンジン本体部11のエンジンヘッド13に設けられる貫通穴21と、センサ素子部19と、取付固定部材23と、シール部材25と、を主に備える。
【0036】
貫通穴21は、エンジン本体部11のエンジンヘッド13のうちセンサ素子部19の取付領域において、エンジンヘッド13の外側から排気ポート17に向けて貫通する穴として設けられている。貫通穴21は、その内部においてエンジンヘッド13の外側に対向する係止面27と、穴の内部のうちエンジンヘッド13の外側に近い領域に雌ネジ溝29と、を備える。
【0037】
ここで、図3に、長手方向の後端側(図の上側)の一部を破断して内部構造を示したセンサ素子部19の正面図を示す。
センサ素子部19は、ジルコニア(ZrO2)を主成分とする酸素イオン伝導性を有する固体電解質体からなり、先端部31が閉塞された有底形状であり、軸線O方向に延びる円筒状の有底筒型センサ素子である。センサ素子部19の外周には、径方向外向きに突出した鍔部26が周設されている。
【0038】
なお、センサ素子部19を構成する固体電解質体としては、例えば、Y23又はCaOを固溶させたZrO2が代表的なものであるが、それ以外のアルカリ土類金属または希土類金属の酸化物とZrO2との固溶体を使用しても良い。さらには、これにHfO2が含有されていても良い。
【0039】
このセンサ素子部19の先端部31には、外周面に外部電極35が形成されている。この外部電極35は、PtあるいはPt合金を多孔質に形成したものである。この外部電極35からは、軸線方向にPt等からなる縦リード部39が形成されており、この縦リード部39は、鍔部26の先端向き面28(図3下方)に環状に形成されたPt等からなる環状リード部41に接続されている。さらに、センサ素子部19には、電極35を覆う保護層(図示せず)が設けられている。この保護層は、アルミナ、チタニア、スピネル等を用いて形成される。なお、図3では、電極35を説明するために保護層を省略している。
【0040】
一方、センサ素子部19の内周面には、その全面を覆うように、内部電極37が形成されている。内部電極37は、PtあるいはPt合金を多孔質に形成したものである。
センサ素子部19のうち先端部31における「外部電極35,内部電極37および固体電解質体」が、測定対象物(排気ガス)に晒される検知部となる。
【0041】
図2に示すように、センサ素子部19がエンジンヘッド13の貫通穴21に取り付けられると、先端部31は、排気ポート17内に配置され、外部電極35は測定対象物(排気ガス)に晒される。また、鍔部26に備えられる環状リード部41は、内燃機関1のエンジンヘッド13(詳細には、係止面27)に電気的に接続される。つまり、外部電極35は、環状リード部41を介してエンジンヘッド13に電気的に接続される
センサ素子部19の内部空間のうち後端側には、リード線45に電気的に接続された端子金具43が配置される。
【0042】
端子金具43は、図2に示すように、例えばインコネル750(英インコネル社、商標名)からなり、センサ出力を外部に取り出すための略筒状の部材である。端子金具43は、リード線45に電気的に接続されるとともに、センサ素子部19の内部電極37に電気的に接続される。
【0043】
取付固定部材23は、後端側に設けられる六角ナット部47と、先端側に設けられるネジ部49と、先端側から後端側にかけて貫通する挿通孔51と、を備える。
また、取付固定部材23とエンジンヘッド13との間には、環状のガスケット57が配置されている。
【0044】
シール部材25は、環状のゴム材料(例えば、フッ素ゴム、EPDMなど)や滑石等で構成されており、センサ素子部19の外面と貫通穴21の内面との間に配置され、それぞれに当接する状態で配置される。
【0045】
取付固定部材23は、ネジ部49と雌ネジ溝29との螺合により貫通穴21に取り付けられることで、シール部材25を介して先端側向き(図の下向き)の付勢力をセンサ素子部19の鍔部26に対して印加する。
【0046】
これにより、センサ素子部19は、シール部材25を介して取付固定部材23からの付勢力を受けて、鍔部26の先端向き面28が係止面27に当接した状態で、取付固定部材23と係止面27とで挟持することにより、貫通穴21の内部に固定される。このとき、センサ素子部19は、検知部としての先端部31が排気ポート17内に配置される状態で、貫通穴21に固定される。
【0047】
センサ素子部19の鍔部26の先端向き面28が係止面27に当接すると共に、シール部材25が取付固定部材23と鍔部26に挟持されつつセンサ素子部19の外面と貫通穴21の内面とに当接する状態で配置されることで、センサ素子部19と貫通穴21との間に隙間が生じるのが抑制でき、気密性が向上する。これにより、センサ素子部19と貫通穴21との間の隙間を通じて、排気ポート17から排気ガスが漏洩するのを抑制できる。
【0048】
また、取付固定部材23の挿通孔51の内部には、センサ素子部19の後端部分が配置されると共に、セパレータ53が配置される。
セパレータ53は、電気絶縁性を有するゴム材料(例えば、フッ素ゴムなど)からなる円筒形状の部材であり、その軸中心には、リード線45が貫挿される貫通孔55を備える。セパレータ53の先端面は、センサ素子部19の後端側に当接しており、セパレータ53の外側面および後端面は、取付固定部材23の挿通孔51の内面に当接する。挿通孔51にセパレータ53を配置することで、挿通孔51を通じてセンサ素子部19に異物が付着するのを抑制できる。
【0049】
セパレータ53の貫通孔55は、その内径寸法がリード線45の外形寸法よりも小さく形成されている。これにより、リード線45をセパレータ53にて保持することができる。なお、外部からセンサ素子部19の内部空間への外気の導入経路としては、リード線45の内部の隙間を用いている。つまり、通常、リード線は芯線及び被覆チューブからなっており、これらの隙間を通過する外気がセンサ素子部19の内部空間に導入できるようになっている。
【0050】
そして、センサ素子部19が排気ガス中の酸素濃度に応じて出力する検知信号は、外部電極35からエンジンヘッド13を介してECU75に通じる信号経路と、内部電極37から端子金具43およびリード線45を介してECU75に通じる信号経路と、を経てECU75に到達する。
【0051】
[1−3.効果]
以上説明したように、本実施形態のセンサ取付構造15においては、取付固定部材23を用いてセンサ素子部19をエンジンヘッド13の貫通穴21に固定することから、センサ素子部19を保持する主体金具を用いることなく、センサ素子部19を貫通穴21に取り付けることができる。
【0052】
このため、センサ素子部19は、主体金具を有するセンサに比べて部品点数が少なく、構成が簡素になる。
また、部品点数が少なくなることで、センサ素子部19の製造コストを低く抑えることができ、センサ取付構造15としての製造コストも低く抑えることができる。
【0053】
よって、本実施形態によれば、主体金具を用いる場合に比べて、構造が複雑ではなく、製造コストの低いセンサ取付構造15を実現できる。
また、本実施形態のセンサ取付構造15においては、センサ素子部19の外面とエンジンヘッド13の内面(詳細には貫通穴21の内面)との間に配置されると共に、鍔部26と取付固定部材23との間に挟持され、センサ素子部19とエンジンヘッド13(貫通穴21)との間の気密性を維持するシール部材25が備えられる。
【0054】
このようにシール部材25を備えることで、センサ素子部19とエンジンヘッド13(貫通穴21)との間から排気ポート17の排気ガスが漏れ出るのを抑制できる。
また、本実施形態のセンサ取付構造15においては、センサ素子部19がエンジンヘッド13の貫通穴21に取り付けられると、鍔部26が係止面27に当接(係合)し、鍔部26に備えられる環状リード部41は、内燃機関1のエンジンヘッド13(詳細には、係止面27)に電気的に接続される。つまり、外部電極35は、環状リード部41を介してエンジンヘッド13に電気的に接続される。
【0055】
これにより、センサ素子部19は、鍔部26が係止面27に係合することでエンジンヘッド13(詳細には、貫通穴21)に対して位置決めされるとともに、外部電極35が環状リード部41を介してエンジンヘッド13に電気的に接続されることで、エンジンヘッド13を通じて外部への検知信号の出力経路を確立できる。
【0056】
よって、本実施形態によれば、エンジンヘッド13(詳細には、貫通穴21)に対するセンサ素子部19の位置決め作業が簡便になると共に、センサ素子部19から外部への検知信号の出力経路を簡素な構成で確立することができ、製造コストを低減できる。
【0057】
また、本実施形態のセンサ取付構造15においては、取付固定部材23は、ネジ部49と雌ネジ溝29との螺合によりエンジンヘッド13(詳細には、貫通穴21)に取り付けられる。
【0058】
このような構成であれば、取付固定部材23を確実にエンジンヘッド13に固定できるとともに、取付固定部材23によってセンサ素子部19を貫通穴21に対して確実に固定できる。
【0059】
また、本実施形態のように、センサ素子部19の取付位置を排気管73ではなくエンジンヘッド13にすることで、センサ素子部19や取付固定部材23の構成部品を安価な材料で形成することが可能となる。
【0060】
つまり、一般に、排気管は600〜650[℃]の高温になるが、エンジンヘッドは、冷却水の循環などの冷却機構によって温度上昇が抑えられるため、エンジンヘッドの温度は200[℃]程度となる。
【0061】
このため、本実施形態のセンサ素子部19や取付固定部材23は、600〜650[℃]の高温に耐えられる部品で構成する必要性は低くなり、200[℃]程度の温度に耐えられる部品で構成することが可能となる。換言すれば、センサ素子部19や取付固定部材23を安価な材料で構成することが可能となる。
【0062】
よって、本実施形態によれば、センサ素子部19や取付固定部材23を安価に製造でき、製造コストの低いセンサ取付構造15を実現できる。
[1−4.特許請求の範囲との対応関係]
ここで、特許請求の範囲と本実施形態とにおける文言の対応関係について説明する。
【0063】
センサ素子部19が有底筒型センサ素子の一例に相当し、センサ素子部19の鍔部26が係合部の一例に相当し、先端部31が検知部の一例に相当し、シール部材25がシール部の一例に相当し、外部電極35が電極部の一例に相当する。
【0064】
[2.第2実施形態]
上記実施形態(以下、第1実施形態ともいう)では、有底筒型センサ素子で構成されるセンサ素子部を取り付けるためのセンサ取付構造について説明したが、有底筒型センサ素子ではなく板型センサ素子を用いても良い。
【0065】
そこで、第2実施形態として、板型センサ素子を備えるセンサ素子部を内燃機関に取り付けるための第2センサ取付構造115について説明する。
なお、以下の説明では、第2実施形態の構成のうち第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同一を付して説明を省略し、第2実施形態の構成のうち第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0066】
図4に、第2センサ素子部119を取り付けるための第2センサ取付構造115の断面図を示す。
第2センサ取付構造115は、エンジン本体部11のエンジンヘッド13に設けられる貫通穴21と、第2センサ素子部119と、取付固定部材23と、第2シール部材133と、を備える。
【0067】
ここで、図5に、第2センサ素子部119の外観を表した斜視図を示す。
第2センサ素子部119は、軸線方向(図中上下方向)に延びる板状形状をなす板型センサ素子121と、板型センサ素子121を保持する滑石リング123と、滑石リング123を覆う保護カバー124と、を備える。
【0068】
板型センサ素子121は、検知した酸素濃度に応じた検知信号を出力する板状の検知素子部と、検知素子部を加熱する板状のヒータ部と、が積層されて構成されている。このような板型センサ素子は従来公知のものであるため、その内部構造等の詳細な説明は省略するが、その概略構成は以下のようである。
【0069】
まず、板型センサ素子121の検知素子部は、固体電解質基板の両側に多孔質電極を形成した酸素濃淡電池素子と、同じく固体電解質基板の両側に多孔質電極を形成した酸素ポンプ素子と、これらの両素子の間に積層され、中空の測定ガス室を形成するためのスペーサとから構成される。この固体電解質基板は、イットリアを安定化剤として固溶させたジルコニアから形成され、多孔質電極は、Ptを主体に形成される。また、測定ガス室を形成するスペーサは、アルミナを主体に構成されており、中空の測定ガス室の内側には、酸素濃淡電池素子の一方の多孔質電極と、酸素ポンプ素子の一方の多孔質電極が露出するように配置されている。なお、測定ガス室は、検知素子部の先端側に位置するように形成されており、この測定ガス室が形成される部分が検知部125である。
【0070】
ついで、板型センサ素子121のヒータ部は、アルミナを主体とする絶縁基板の間に、Ptを主体とする発熱抵抗体パターンが挟み込まれて形成されている。
そして、検知素子部とヒータ部とは、セラミック層(例えば、ジルコニア系セラミックやアルミナ系セラミック)を介して互いに接合される。また、板型センサ素子121のうち少なくとも測定対象物(本実施形態では、排ガス)に晒される電極の表面上には、被毒防止用の多孔質状のセラミック(例えば、アルミナ系セラミックなど)からなる保護層127を備える。なお、第2実施形態では、板型センサ素子121のうち排ガスに晒される電極の表面を含む先端側全面を保護層127にて覆っている。
【0071】
このような板型センサ素子121は、表側板面の後端(図5の上側)に設けられる3個の電極端子部131(図5参照)と、裏側板面の後端に設けられる2個の電極端子部(図示省略)と、を備えている。板型センサ素子121の表側板面に設けられる3個の電極端子部131は、検知素子部の内部に備えられる多孔質電極に電気的に接続されており、板型センサ素子121の裏側板面に設けられる2個の電極端子部は、ヒータ部の内部に備えられる発熱抵抗体パターンに電気的に接続されている。
【0072】
板型センサ素子121の後端に設けられる複数の電極端子部は、端子部材を用いた接触構造やロー付けなどの接続手段等により、それぞれ異なるリード線45(図4では1本のみ図示)に電気的に接続される。つまり、複数の電極端子部は、リード線45を介して外部機器に電気的に接続される。
【0073】
滑石リング123は、タルク粉末が固められて形成されており、軸線方向に貫通する素子挿通孔126を有する環状形状に形成されている。
保護カバー124は、金属材料(例えば、ステンレス鋼等)からなり、滑石リング123を内部に収容可能な大きさの筒状形状である。保護カバー124は、先端側および後端側が開口しており、先端側に貫通穴21の係止面27に係合(当接)する先端向き面128を備える。つまり、保護カバー124は、滑石リング123の側面および先端面を覆う筒状形状に形成されている。
【0074】
滑石リング123および保護カバー124が板型センサ素子121の長手方向の中間位置で板型センサ素子121を保持することで、第2センサ素子部119が構成される。
次に、第2シール部材133は、図4に示すように、環状のゴム材料(例えば、フッ素ゴム、EPDMなど)や滑石等で構成されており、第2センサ素子部119の外面と貫通穴21の内面のとの間に配置され、それぞれに当接する状態で配置される。
【0075】
取付固定部材23は、ネジ部49と雌ネジ溝29との螺合により貫通穴21に取り付けられることで、第2シール部材133を介して先端側向き(図の下向き)の付勢力を第2センサ素子部119の滑石リング123および保護カバー124に対して印加する。
【0076】
これにより、第2センサ素子部119は、第2シール部材133を介して取付固定部材23からの付勢力を受けて、保護カバー124(詳細には、先端向き面128)が係止面27に当接した状態で、取付固定部材23と係止面27とで挟持することにより、貫通穴21の内部に固定される。このとき、第2センサ素子部119の板型センサ素子121は、検知部125が排気ポート17内に配置される状態で、貫通穴21に固定される。
【0077】
第2センサ素子部119の保護カバー124(詳細には、先端向き面128)が係止面27に当接すると共に、第2シール部材133が取付固定部材23と滑石リング123と保護カバー124に挟持されつつ第2センサ素子部119の外面と貫通穴21の内面とに当接する状態で配置されることで、第2センサ素子部119と貫通穴21との間に隙間が生じるのが抑制でき、気密性が向上する。これにより、第2センサ素子部119と貫通穴21との間の隙間を通じて、排気ポート17から排気ガスが漏洩するのを抑制できる。
【0078】
また、取付固定部材23とエンジンヘッド13との間には、環状のガスケット57が配置されている。
また、取付固定部材23の挿通孔51の内部には、第2センサ素子部119(詳細には、板型センサ素子121)の後端部分が配置されると共に、第2セパレータ135が配置される。
【0079】
第2セパレータ135は、電気絶縁性を有するゴム材料(例えば、フッ素ゴムなど)からなる円筒形状の部材であり、その軸中心には、リード線45が貫挿される貫通孔55を備える。第2セパレータ135の先端面は、第2シール部材133の後端側に当接しており、第2セパレータ135の外側面および後端面は、取付固定部材23の挿通孔51の内面に当接する。挿通孔51に第2セパレータ135を配置することで、挿通孔51を通じて第2センサ素子部119に異物が付着するのを抑制できる。
【0080】
さらに、取付固定部材23の挿通孔51の内部には、ゴム材料(例えば、フッ素ゴムなど)からなる円筒形状の封止部材136が備えられる。封止部材136の軸中心には、リード線45が貫挿される。封止部材136を備えることにより、水が外部から取付固定部材23の内部へ侵入することを抑制できる。
【0081】
以上説明したように、第2実施形態の第2センサ取付構造115においては、第1実施形態と同様に、取付固定部材23を用いて第2センサ素子部119をエンジンヘッド13の貫通穴21に固定することから、第2センサ素子部119を保持する主体金具を用いることなく、第2センサ素子部119を貫通穴21に取り付けることができる。
【0082】
このため、第2センサ素子部119は、主体金具を有するセンサに比べて部品点数が少なく、構成が簡素になる。また、部品点数が少なくなることで、第2センサ素子部119の製造コストを低く抑えることができ、第2センサ取付構造115としての製造コストも低く抑えることができる。
【0083】
よって、第2実施形態によれば、主体金具を用いる場合に比べて、構造が複雑ではなく、製造コストの低い第2センサ取付構造115を実現できる。
また、第2実施形態のように、第2センサ素子部119の取付位置を排気管73ではなくエンジンヘッド13にすることで、第1実施形態と同様に、第2センサ素子部119や取付固定部材23の構成部品を安価な材料で形成することが可能となる。
【0084】
つまり、第2センサ素子部119や取付固定部材23は、600〜650[℃]の高温に耐えられる部品で構成する必要性は低くなり、200[℃]程度の温度に耐えられる部品で構成することが可能となる。
【0085】
よって、第2実施形態によれば、第2センサ素子部119や取付固定部材23を安価に製造でき、製造コストの低い第2センサ取付構造115を実現できる。
また、第2センサ取付構造115においては、第2センサ素子部119は、長手方向に延びる板型センサ素子121と、板型センサ素子121の長手方向の中間位置で板型センサ素子121を保持する滑石リング123と、滑石リング123を覆う保護カバー124と、を備えて構成されている。そして、保護カバー124(詳細には、先端向き面128)は、貫通穴21の係止面27に係合する。
【0086】
このような第2センサ素子部119は、保護カバー124(詳細には、先端向き面128)が係止面27に係合することでエンジンヘッド13(詳細には、貫通穴21)に対して位置決めされることで、板型センサ素子121の先端側に設けられた検知部125を排気ポート内に配置できる。
【0087】
また、第2実施形態のセンサ取付構造15においては、第2センサ素子部119の外面とエンジンヘッド13の内面(詳細には貫通穴21の内面)との間に配置されると共に、滑石リング123及び保護カバー124と取付固定部材23との間に挟持され、第2センサ素子部119とエンジンヘッド13(貫通穴21)との間の気密性を維持する第2シール部材133が備えられる。
【0088】
このように第2シール部材133を備えることで、第2センサ素子部119とエンジンヘッド13(貫通穴21)との間から排気ポート17の排気ガスが漏れ出るのを抑制できる。
【0089】
また、第2実施形態の第2センサ取付構造115においては、取付固定部材23は、ネジ部49と雌ネジ溝29との螺合によりエンジンヘッド13(詳細には、貫通穴21)に取り付けられる。
【0090】
このような構成であれば、取付固定部材23を確実にエンジンヘッド13に固定できるとともに、取付固定部材23によって第2センサ素子部119を貫通穴21に対して確実に固定できる。
【0091】
ここで、特許請求の範囲と第2実施形態とにおける文言の対応関係について説明する。
第2センサ素子部119の板型センサ素子121が板型センサ素子の一例に相当し、第2センサ素子部119の滑石リング123および保護カバー124が保持部および係合部の一例に相当し、第2シール部材133がシール部の一例に相当する。
【0092】
[3.他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0093】
例えば、第1実施形態では、筒型センサ素子を備えるセンサ取付構造であって、ヒータを有しない実施形態について説明したが、ヒータを有する構成であっても良い。
そこで、筒型センサ素子を備えるセンサ取付構造であって、セラミックヒータ171を有する構成の第3センサ取付構造165について説明する。
【0094】
なお、以下の説明では、第3実施形態の構成のうち第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同一を付して説明を省略し、第3実施形態の構成のうち第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0095】
図6に、センサ素子部19を取り付けるための第3センサ取付構造165の断面図を示す。
第3センサ取付構造165におけるセンサ素子部19の内部空間のうち後端側には、リード線(図6では図示省略)に電気的に接続された保持用端子金具173が配置される。
【0096】
保持用端子金具173は、例えばインコネル750(英インコネル社、商標名)からなり、センサ出力を外部に取り出すための略筒状の部材である。保持用端子金具173は、リード線に電気的に接続されるとともに、センサ素子部19の内部電極37に電気的に接続される。
【0097】
また、保持用端子金具173は、その内側でセラミックヒータ171を保持する機能を有する。
これにより、第3センサ取付構造165におけるセンサ素子部19の内部空間には、保持用端子金具173により保持された軸状のセラミックヒータ171が配置される。
【0098】
セラミックヒータ171は、その後端側(図6の上側)にヒータ端子部175を備えており、ヒータ端子部175で外部からの電力供給を受ける。また、セラミックヒータ171は、その先端側の内部に発熱抵抗体パターンを有している。
【0099】
つまり、セラミックヒータ171は、その先端部が発熱することでセンサ素子部19を加熱し、センサ素子部19を活性化させる。
以上説明したように、第3センサ取付構造165は、センサ素子部19を加熱するセラミックヒータ171を有する構成であるが、第1実施形態と同様に、取付固定部材23を用いてセンサ素子部19をエンジンヘッド13の貫通穴21に固定する構成である。このことから、第3センサ取付構造165においては、センサ素子部19を保持する主体金具を用いることなく、センサ素子部19を貫通穴21に取り付けることができる。
【0100】
このため、センサ素子部19は、主体金具を有するセンサに比べて部品点数が少なく、構成が簡素になる。また、部品点数が少なくなることで、センサ素子部19の製造コストを低く抑えることができ、第3センサ取付構造165としての製造コストも低く抑えることができる。
【0101】
よって、この実施形態によれば、主体金具を用いる場合に比べて、構造が複雑ではなく、製造コストの低い第3センサ取付構造165を実現できる。
また、第3実施形態においても、第2実施形態と同様に、取付固定部材23の挿通孔51の内部には、ゴム材料(例えば、フッ素ゴムなど)からなる円筒形状の封止部材136が備えられる。封止部材136の軸中心には、リード線45が貫挿される、封止部材136を備える。封止部材136を備えることにより、水が外部から取付固定部材23の内部へ侵入することを抑制できる。
【0102】
次に、シール部材を構成する材料は、フッ素ゴムやEPDMに限られることはなく、シリコンゴムなど他のゴム材料でもよく、あるいは、滑石であってもよい。つまり、シール部材を構成する材料は、センサ素子部と貫通穴との間に隙間が生じるのを抑制でき気密性が向上するものであればよい。
【0103】
また、シール部材は、ゴム材料や滑石に限られることはなく、取付固定部材からセンサ素子部に向かう方向に弾性力を発生するバネで構成しても良い。つまり、バネからなるシール部材を用いることで、取付固定部材から受ける付勢力にバネの弾性力も加えることで、センサ素子部を貫通穴の係止面に押しつける力を大きくすることができる。
【0104】
このように、シール部材からセンサ素子部に対して大きな力が加えられることで、センサ素子部の係合部と貫通穴の係止面との間に隙間が生じがたくなり、センサ素子部とエンジンヘッドとの間の気密性が向上して、センサ素子部とエンジンヘッドとの間から排気ポートの排気ガスが漏れ出るのを抑制できる。
【0105】
また、シール部材は、ゴム材料,滑石,バネのいずれか1つで構成されるものに限られず、ゴム材料,滑石,バネを混合した構成であっても良い。例えば、センサ素子部に当接する側にゴム材料を備え、取付固定部材に当接する側にバネを備える、という構成を採ることもできる。
【0106】
さらに、上記実施形態では、排気ポートを通過する異物がセンサ素子部に衝突するのを避けるための保護プロテクタを備えていない構成について説明したが、保護プロテクタを備える構成としても良い。なお、保護プロテクタの一例としては、例えば、図7に示す従来のガスセンサにおける先端部分(図の下側)に備えられる保護プロテクタ211が挙げられる。保護プロテクタ211は、有底筒状に形成されると共に、通気用の複数の穴を備える。
【0107】
また、上記実施形態では、取付固定部材として、自身の外周にネジ溝を備えて螺合によりエンジンヘッドに固定される取付固定部材について説明したが、取付方法はこのような螺合に限られることはない。例えば、取付固定部材にフランジ部(鍔部)を設けて、そのフランジ部をエンジンヘッドに固定する取付方法を採ることもできる。なお、フランジ部をエンジンヘッドに固定する方法としては、例えば、フランジ部にボルト挿通穴を設けて、そのボルト挿通穴を介してボルトをエンジンヘッドに固定する方法が挙げられる。他の方法としては、エンジンヘッド側にフランジ部を把持する把持部材を設けて、その把持部材にフランジ部を把持する方法が挙げられる。
【符号の説明】
【0108】
1…内燃機関、11…エンジン本体部、13…エンジンヘッド、15…センサ取付構造、17…排気ポート、19…センサ素子部、21…貫通穴、23…取付固定部材、25…シール部材、26…鍔部、27…係止面、28…先端向き面、29…雌ネジ溝、35…外部電極、37…内部電極、41…環状リード部、115…第2センサ取付構造、119…第2センサ素子部、121…板型センサ素子、123…滑石リング、124…保護カバー、125…検知部、133…第2シール部材、165…第3センサ取付構造。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7