【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、本発明は飲料調製マシン用のポンプに関する。ポンプは、ポンプ流入口と、ポンプ流出口と、液体を加圧し、ポンプ流入口からポンプ流出口まで
流通させるための液体駆動部と、液体駆動部をポンプ流出口に流体連通で連結する下流側ポンプ導管とを有する。
【0013】
通常、液体駆動部は、ポンプ流入口とポンプ流出口とに流体連通したポンプチャンバを備える。例えば、液体駆動部は往復動ポンプピストンを備える。往復動ポンプピストンは、ポンプチャンバ内に収容され、液体を加圧し、ポンプ流入口からポンプチャンバを通してポンプ流出口に
流通させ、そこから出す。任意選択で、力をピストンに作用させるためのピストンばねがポンプチャンバに設けられる。ピストンを駆動するための電磁ソレノイドをポンプチャンバの周辺に、例えばポンプハウジング内に設けることができる。ソレノイドによる作動によって、ポンプチャンバ内におけるピストンの軸方向の往復運動が可能となる。振動は、通常、ポンプ内の往復動ピストンの動作によって発生する。往復動ピストンを含むポンプチャンバを備えたポンプ駆動部を有するポンプの説明が、参照によって本明細書中に組み込まれる国際公開第2009/150030号パンフレットに開示されている。その代わりに、ポンプチャンバ内において特定の周波数で回転し、一致する周波数の振動を発生させる駆動要素を備えた回転式ポンプを有することも可能である。
【0014】
ポンプの動作によって発生した振動は、特に、ポンプの構造部品、例えば、ポンプ流入口と流出口とを含むポンプハウジングに伝達される。ポンプの振動の伝播を低減または抑制するため、ポンプは、機械的な連結部構成を減衰することによってマシン、例えば、飲料調製マシン内に取り付けてもよい。これについては、例えば、国際公開第2009/150030号パンフレットおよび国際出願PCT/EP10/050099号明細書において教示され、これらは参照によって本明細書中に組み込まれる。
【0015】
本発明によれば、下流側ポンプ導管は、液体駆動部によって発生したこの液体の振動をポンプ流出口の上流側において減衰するための液体ダンパを備える。これは、減衰され、加圧された液体を、液体駆動部からポンプ流出口を通して
流通させるためである。そのような振動は、通常、ポンプの動作中に発生する。
【0016】
したがって、ポンプの振動抑制装置がポンプ内部流体路に、例えば導管、例えばダクトに沿って直に取り付けられている。ポンプ内部流体路はポンプ駆動部からポンプ流出口まで延びている。ポンプの振動抑制装置は、ポンプ駆動部、例えば、特定の周波数で往復動するピストン、または液体に対して特定の周波数で回転し、その中に一致する振動を発生させる回転式駆動要素の動作によって送られる液体に直に発生した振動を低減するために取り付けられる。したがって、ポンプ流出口によって送達される液体に振動がない、またはポンプ駆動部によって液体に付与された振動の規模と比較して小さい規模で振動するように、液体の振動を減衰するための、ポンプと一体化した振動抑制装置が配置される。通常、液体はポンプ駆動部の振動周波数に一致する周波数で振動する。
【0017】
ポンプによって
流通される液体によるポンプ下流側の液体路ならびにそのような流体路に機械的に連結された部品に振動が伝達されることによって発生した不快要素および特に騒音は、ポンプ自体の内部にある流体路の構成によって抑制される、すなわち阻止される、または少なくとも低減されることになる。流体路に機械的に連結された部品には、例えば、インライン式のヒータなどのヒータおよび/または淹出ユニットおよび/またはポンプを含む飲料調製マシンなどのマシンのハウジングがある。
【0018】
さらに、一体型の流体振動抑制装置をポンプに設けることによって、外部流体ダンパは必要なくなる。これによって、そのようなポンプを含む流体回路が、大きさ、構成要素の数および組み立て工程の点において簡略化される。特に、コストと流体が漏れるリスクが増す追加の流体コネクタは必要ない。さらに、ポンプによって送達される液体の振動エネルギを減衰するための、ポンプの流出口に連結された減衰路、特に、ループおよび/または変形路は必要ない。ポンプの流出口は、剛性液体案内部、例えばダクトに連結してもよい。案内部は、短い場合であっても、ポンプによって送達される液体を介して振動が大きく伝播することはない、または振動の伝播を少なくとも大幅に低減する。
【0019】
当然、そのような液体振動抑制装置を備えたポンプは、減衰用の機械的な連結部構成によって飲料調製マシンなどのマシンに取り付けてもよい。これは、ポンプ流出口によって送達される液体を介した振動の伝播を抑制することに加えて、ポンプ構造を介してマシンに振動が伝播することを抑制するためである。
【0020】
通常、下流側ポンプ導管は液体ダンパによって境界が定められた液体減衰領域を備える。液体ダンパは、液体減衰領域の境界を定め、特に減衰領域を封止する可撓性膜を備えてもよい。例えば、可撓性膜は、シリコーン、ゴム、TPEの少なくとも1つで作成される。可撓性膜は50〜90の範囲のショア硬さを有してもよい。
【0021】
例えば、5〜25バールの圧力で、30〜1000ml/分の範囲、特に50〜750ml/分、例えば60〜600ml/分の流量を有する飲料調製マシン用のポンプの場合、例えばシリコンまたはゴムの膜は押し出された液体の流れにさらされる動作領域を有してもよい。この動作領域は、5〜30mmの範囲、例えば10〜25mmの直径および0.5〜2mmの範囲の厚さを有する。
【0022】
一実施形態においては、液体ダンパは可撓性膜によって液体減衰領域から分離された気体空洞部、特に空気空洞部を備える。通常、空洞は密閉される、または空洞の内部と外部との間において交換される気体を、流量を低減させて減衰させるために外部環境と連通している小さな導管を有する。したがって、可撓性膜の振動変形は膜によって境界が定められ、かつ膜の動きによって圧縮および膨張している、密閉された、またはほぼ密閉された気体空洞部の体積によって減衰されうる。液体ダンパは、気体空洞部の境界を定めるキャップ、特に、ねじ状のキャップおよび/または取り外し可能なキャップを備えてもよい。キャップは、任意選択で、ポンプハウジング内に固定されている。キャップは、可撓性膜を液体減衰領域に固定するように配置することができる。接着、溶接、圧力ばめのような他のキャップアセンブリ手段、例えばキャップのハウジング内への圧入が考えられる。キャップは、また、下流側ポンプ導管および/またはポンプハウジングと一体的に形成してもよい。
【0023】
そのようなキャップおよび膜の構成によって、例えば、キャップをねじ止めすることおよび/または膜を流体路に押し込むことによるポンプへの組み付けが簡単になるという利点が得られる。
【0024】
キャップはガラス繊維強化ポリアミドおよび/または金属で作成してもよい。
【0025】
下流側ポンプ導管は、液体案内領域、例えばダクト部を備えてもよい。液体案内領域は、案内領域によって案内される液体が液体ダンパにより遮断され、方向を変えるように、液体を液体駆動部から直接液体減衰領域に、液体ダンパに対して案内する。液体案内領域および液体減衰領域は、30〜150度の範囲、特に60〜120度の範囲、例えば75〜105度、任意選択で85〜95度の角度を成すように、それぞれの流れの方向を画定してもよい。したがって、加圧されて
流通され、案内領域から送達される液体は、そのような液体の流れを遮断する液体ダンパによって、液体が有する振動エネルギが伝達され、放散されるように、液体ダンパにあたるように案内されうる。
【0026】
下流側ポンプ導管は、液体を液体減衰領域からポンプ流出口まで案内する液体方向転換領域、例えばダクトまたは導管部を備えてもよい。したがって、液体の流れは液体ダンパから逆戻りしてもよい。
【0027】
液体方向転換領域および液体減衰領域は、30〜150度の範囲、特に60〜120度の範囲、例えば75〜105度、任意選択で85〜95度の角度を成すように、それぞれの流れの方向を画定する。
【0028】
例えば、液体減衰領域は、液体案内領域によって液体ダンパ上に送達される液体の流れを受け、液体の流れを液体方向転換領域に送達する。案内領域と、減衰領域と、方向転換領域は、減衰領域を案内領域と方向転換領域との間に有する略U形またはV形であってもよい。
【0029】
ポンプ駆動部とポンプ流出口との間の液体路のそのような幾何学的形状によって空間要件および流体機能の組み込みが最適になる。
【0030】
一実施形態において、下流側ポンプ導管は、液体駆動部からポンプ流出口に延びている剛性部材、特に、剛性一体型部材と、剛性部材の少なくとも一部にわたって延びている液体ダンパとで作成されている。この構成においては、剛性部材と液体ダンパは共同して下流側ポンプ導管を含む。例えば、ポンプは、この剛性部材と一体であり、任意選択で、液体駆動部を含むポンプハウジングを有する。
【0031】
液体ダンパは、特に、ポンプ駆動部がほぼ一定の周波数の振動または限られた周波数範囲の振動を発生させる場合、ポンプ駆動部によって付与される液体の振動の周波数に調整することができる。例えば、液体駆動部は、ポンプ流出口に案内される液体に振動周波数を付与するように配置することができる。液体ダンパは前記振動周波数と大幅に異なる共振周波数を有する。
【0032】
通常、膜は、その変化の振幅を少なくとも20%、特に少なくとも50%、例えば少なくとも75%低減するために、振動液体の周波数およびエネルギに調整することができる。例えば、ポンプの液体駆動部によって液体を10〜20バールの範囲の平均圧力まで加圧してもよい。液体駆動部によって発生した非減衰振動の総振幅は例えば平均振幅の30〜60%に対応する。例えば、液体の10バールの平均加圧では3〜6バールの圧力振動を含みうる。すなわち、この液体の圧力は4〜16バールから7〜13バールまで振動させることができる。20バールの平均加圧では、6〜12バールの非減衰振動を含みうる。例えば、この液体の圧力は14〜26バールから8〜32バールまで振動させることができる。そのような瞬間圧力変化は液体を介して伝播するため、減衰すべきである。本発明のポンプ一体型のダンパによって、そのような圧力がポンプの流出口を通過してポンプを出る前に大幅に低下してもよい。例えば、30%〜75%またはさらには85%低下してもよい。
【0033】
本発明は、また、上述のようなポンプを備える飲料調製マシンに関する。
【0034】
例えば、飲料調製マシンは、マシンハウジングと、使用中振動し、かつハウジング内に取り付けられているポンプと、ポンプから他のマシン部品に振動が伝達されることを防止または低減するためのポンプの外部ダンパとを備える。外部ダンパは、ハウジング内においてポンプが上に取り付けられるばねまたは別の可撓性要素、例えば、弦巻減衰ばねを備えてもよい。
【0035】
飲料調製モジュールは以下の構成要素のうちの1つ以上を備えてもよい。
a)この飲料の原料、特に、カプセル内に供給された予め小分けにされた原料を受けるための、および水などの流入する液体を前記原料中から飲料流出口まで案内するための淹出ユニット、
b)サーモブロックのような、淹出ユニットに供給されるべきこの液体の流れを加熱するためのインラインヒータ、
c)インラインヒータにこの液体を押し出すための上述のポンプ、
d)この液体を液体のタンクのような液体の源から飲料流出口に案内するための1つまたは複数の流体連結部材、
e)インターフェースを介して使用者から命令を受け取るための、およびインラインヒータおよびポンプを制御するための、特にプリント回路基板(PCB)を備える電気制御ユニット、
f)淹出ユニット、インラインヒータ、ポンプ、液体リザーバ、原料収集部、この液体の流れ、この液体の圧力、この液体の温度の特性から選択される少なくとも1つの動作特性を検出するための、およびそのような特性(複数)を制御ユニットに伝達するための1つまたは複数の電気センサ。
【0036】
ヒータはサーモブロックまたはオンデマンドヒータ(ODH)、例えば、欧州特許第1 253 844号明細書、欧州特許第1 380 243号明細書および欧州特許第1 809 151号明細書に開示される種類のODHであってもよい。
【0037】
参照によって本明細書中に組み込まれる国際公開第2009/130099号パンフレットに開示されているように、構成要素は、完全に自動的に、または実質的に自動的に組み立てられてもよい。
【0038】
ポンプは、電気接続部を介して制御ユニットに電気的に接続することができる。電気接続部は、振動を伝達しない、またはそのような振動を大幅に低減する。例えば、ポンプは可撓性ケーブルまたはワイヤにより連結されている。制御ユニットはPCBを含んでもよい。電気接続部は振動を低減する可撓性ケーブルまたはワイヤを備える。可撓性ケーブルまたはワイヤはその両端がPCBに予め取り付けられ、PCBの着脱可能な部分に予め取り付けられたこれら端部の1つが、ポンプに電気的に接続し、ポンプに電力を供給するためのコネクタを形成する。着脱可能なPCB部には電気接続ストリップを設けてもよい。例えば、コネクタはプラグである。コネクタをPCBの着脱可能な部分として形成すると自動組立が容易になる。つまり、可撓性ケーブルであるにもかかわらず、その取り外し前にコネクタの位置がPCBに対して完全に定められるため、後に続くポンプへの自動連結のために、自動組立システムによって容易につかみ、取り外すことができる。