(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、商品認識装置に係る実施形態を、図面を用いて説明する。なお、本実施形態は、生鮮食品等を商品として取扱う小売店の店舗会計システムを構築するスキャナ装置1とPOS(Point Of Sales)端末2とに、商品認識装置としての機能を持たせた場合である。
【0010】
図1は、店舗会計システムの外観図である。このシステムは、顧客が買い上げる商品を登録する登録部としてのスキャナ装置1と、顧客の代金支払いを処理する決済部としてのPOS(Point Of Sales)端末2とを含む。スキャナ装置1は、会計カウンタ3の上に取り付けられる。POS端末2は、レジ台4の上にドロワ5を介して設置される。スキャナ装置1とPOS端末2とは、図示しない通信ケーブルによって電気的に接続される。
【0011】
スキャナ装置1は、キーボード11、タッチパネル12及び客用ディスプレイ13を備える。これらの表示・操作デバイス(キーボード11、タッチパネル12、客用ディスプレイ13)は、スキャナ装置1の本体を構成する薄型矩形形状のハウジング1Aに取り付けられる。
【0012】
ハウジング1Aには、撮像手段としての撮像部14が内蔵される。また、矩形状の読取窓1Bが、ハウジング1Aの正面に形成される。撮像部14は、エリアイメージセンサであるCCD(Charge Coupled Device)撮像素子及びその駆動回路と、撮像領域の画像をCCD撮像素子に結像させるための撮像レンズとを備える。撮像領域とは、読取窓1Bから撮像レンズを通してCCD撮像素子のエリアに結像するフレーム画像の領域を指す。撮像部14は、撮像レンズを通ってCCD撮像素子に結像した撮像領域の画像を出力する。
【0013】
POS端末2は、決済に必要なデバイスとしてキーボード21、オペレータ用ディスプレイ22、客用ディスプレイ23及びレシートプリンタ24を備える。
【0014】
会計カウンタ3は、その奥側の顧客通路に沿って細長い形状である。レジ台4は、会計カウンタ3に沿って移動する顧客の移動方向に対して下流側の会計カウンタ3の端部手前側に、会計カウンタ3に対して略垂直に置かれる。そして、この会計カウンタ3の手前側とレジ台4の手前側が、会計担当の店員いわゆるキャッシャのスペースとなる。
【0015】
会計カウンタ3の略中央には、スキャナ装置1のハウジング1Aが、キーボード11、タッチパネル12及び読取窓1Bをそれぞれ手前側のキャッシャ側に向けて立設される。スキャナ装置1の客用ディスプレイ13は、顧客通路側を向いてハウジング1Aに取り付けられる。
【0016】
会計カウンタ3のスキャナ装置1を挟んで顧客移動方向上流側の荷受面は、買物客が購入する未登録の商品Mが入れられた買物カゴ6を置くためのスペースとなる。他方、下流側の荷受面は、スキャナ装置1により登録された商品Mを入れるための買物カゴ7を置くためのスペースとなる。
【0017】
図2は、スキャナ装置1とPOS端末2とのハードウェア構成を示すブロック図である。スキャナ装置1は、スキャナ部101と操作・表示部102とを備える。スキャナ部101は、制御部本体としてCPU(Central Processing Unit)111を搭載する。そしてこのCPU111に、アドレスバス,データバス等のバスライン112を介して、ROM(Read Only Memory)113とRAM(Random Access Memory)114とが接続される。ROM113には、CPU111によって実行されるプログラムが記憶される。
【0018】
この他、バスライン112には、入出力回路(不図示)を介して前記撮像部14が接続される。また、接続インターフェース115及び接続インターフェース116を介して、前記キーボード11、タッチパネル12及び客用ディスプレイ13が、バスライン112に接続される。タッチパネル12は、例えば液晶ディスプレイを用いたパネル表示部121と、この表示部の画面上に重ねて配置されたタッチパネルセンサ122とを備える。
【0019】
前記接続インターフェース116と、前記キーボード11、タッチパネル12及び客用ディスプレイ13とは、前記操作・表示部102を構成する。操作・表示部102を構成する各部は、スキャナ部101のCPU111のみならず、後述するPOS端末2のCPU201によってもコントロールされる。
【0020】
POS端末2も、制御部本体としてCPU201を搭載する。そしてこのCPU201に、バスライン202を介して、ROM203、RAM204、HDD(Hard Disk Drive)装置205、通信インターフェース206及び接続インターフェース207が接続される。また、バスライン202には、前記キーボード21、オペレータ用ディスプレイ22、客用ディスプレイ23、プリンタ24及びドロワ5の各部も、それぞれ入出力回路(不図示)を介して接続される。
【0021】
通信インターフェース206は、LAN(Local Area Network)等のネットワークを介して、店舗の中枢を担う店舗サーバ8と接続される。この接続により、POS端末2は、店舗サーバ8とデータの送受信が可能となる。かくしてPOS端末2は、店舗サーバ8が有する認識辞書ファイル9や商品データファイル(不図示)等にアクセスして、各ファイルに保存されているデータレコードを読み込んだり、データレコードを更新(追加、変更、削除)したりする。
【0022】
接続インターフェース207は、通信ケーブルを介して、スキャナ装置1の両接続インターフェース115,116と接続される。この接続により、POS端末2は、スキャナ装置1のスキャナ部101で読み取られた情報を受信する。また、POS端末2は、スキャナ装置1の操作・表示部102を構成するキーボード11、タッチパネル12、客用ディスプレイ13との間でデータ信号を送受信する。
【0023】
図3は、認識辞書ファイル9に保存される辞書データの構造を示す模式図である。
図3に示すように、認識辞書ファイル9には、認識対象である商品毎に、その商品を識別する商品ID及び商品名と関連付けて、複数の特徴量データが保存される。特徴量データは、対応する商品IDで識別される商品の表面情報(外観形状、色合い、模様、凹凸等)である外観上の特徴量をパラメータで表わしたもので、1つの商品に対し、その商品を様々な方向から見たときの特徴量データ0〜Nがそれぞれ保存される。なお、1つの商品に対する特徴量データの数(N+1)は、固定ではない。また、特徴量データの数(N+1)は商品によって異なる。
【0024】
店舗で販売される各商品には、固有の商品IDが割当てられている。商品データファイルには、各商品の商品IDと関連付けて、商品名、単価、プリセット画像等の商品情報が保存されている。
【0025】
図4は、前記スキャナ装置1とPOS端末2とによって構成される商品認識装置としての機能を説明するためのブロック図である。この機能は、特徴量抽出手段41、商品候補抽出手段42、商品選択受付手段43、追加宣言受付手段44及び追加手段45を含む。
【0026】
特徴量抽出手段41は、撮像部14により撮像された画像からその画像に含まれる商品の形状、表面の色合い、模様、凹凸状況等の外観上の特徴量(外観特徴量)を抽出する。商品候補抽出手段42は、特徴量抽出手段41により抽出された外観特徴量のデータを、前記認識辞書ファイル9に保存されている各商品の特徴量データと順次照合して、商品毎にデータの類似度を算出する。類似度の算出方法は、特に限定されるものではなく、例えば等しい文字数を持つ特徴量データどうしの対応する位置にある文字が異なっている数を計数するハミング距離の手法を用いて類似度を算出してもよい。商品候補抽出手段42は、類似度が基準より高い商品を、画像に含まれる商品の候補として抽出する。なお、類似度は、例えば、一致する度合いを示す一致度(一致率)や、どの程度相関するかを示す相関値等であってもよい。すなわち類似度は、撮像部14により撮像された画像の特徴量と認識辞書ファイル9に記憶されている特徴量とを基に得られる値であればよい。
【0027】
商品候補抽出手段42により複数の商品が画像に含まれる商品の候補として認識されると、商品選択受付手段43は、この複数の商品の中から画像に含まれる商品の選択入力を受け付ける。商品選択受付手段43により複数の商品の中からいずれか1商品の選択入力を受け付けると、追加宣言受付手段44は、この選択された商品に対して認識辞書ファイル9に保存されている特徴量データの追加を実行するか否かの宣言入力を受け付ける。追加宣言受付手段44により追加を実行する旨の宣言入力を受け付けると、追加手段45は、特徴量抽出手段41により抽出された外観特徴量のデータを、商品選択受付手段43により選択を受け付けた商品に対する特徴量データとして認識辞書ファイル9に追加する。つまり商品認識装置(スキャナ装置1、POS端末2)は、認識処理の結果を基に認識辞書ファイル9に特徴量のデータを追加する認識辞書追加機能を有している。
【0028】
図5は、上記認識辞書追加機能を実現するために必要なメモリエリアを示す模式図である。メモリエリア51は、追加実行フラグFの記憶エリアである。商品認識装置は、追加実行フラグFがオンのとき認識辞書追加機能を有効とし、オフのとき同機能を無効とする。メモリエリア52は、認識辞書ファイル9の追加を実行するか否かの確認をとる条件(確認条件)をステータス(1or0)によって設定したテーブルエリアである。確認条件としては、「類似度差」と「候補順位」とがある。ステータスが“1”のとき、対応する確認条件が有効となる。追加実行フラグFがオンのとき、確認条件「類似度差」または「候補順位」のいずれか一方のステータスが“1”になる。
【0029】
前記追加宣言受付手段44は、前記商品選択受付手段43により選択入力を受け付けた商品の認識辞書ファイル9に保存される特徴量データと特徴量抽出手段41により抽出された外観特徴量のデータとの類似度が、商品候補抽出手段42により候補として抽出された他の商品の認識辞書ファイル9に保存される特徴量データと特徴量抽出手段41により抽出された外観特徴量のデータとの類似度と比較して低いとき、追加を実行するか否かの宣言入力を受け付ける。
【0030】
具体的には、選択入力を受け付けた商品の前記類似度と、候補として認識された他の商品の前記類似度のうち最も高い類似度との差が所定値以上であるとき、追加を実行するか否かの宣言入力を受け付ける。若しくは、選択入力を受け付けた商品の前記類似度が、候補として認識された全商品の前記類似度を高い順に並べた順位において1位以外の所定の順位以下に相当するとき、追加を実行するか否かの宣言入力を受け付ける。前者の追加宣言受付手段は、前記確認条件「類似度差」に対するステータスが“1”であるとき実行される。後者の追加宣言受付手段は、前記確認条件「候補順位」に対するステータスが“1”であるとき実行される。
【0031】
メモリエリア51,52は、POS端末2のRAM204に形成される。スキャナ装置1のRAM114にメモリエリア51,52が形成されていてもよい。メモリエリア51の追加実行フラグFをオンするか否かは、POS端末2の設定業務の中で自動若しくは手動により実行される。同様に、メモリエリア51の確認条件別のステータスのうち、どちらのステータスを“1”にするかという設定も、POS端末2の設定業務の中で自動若しくは手動により実行される。
【0032】
図6は、商品認識プログラム及び認識辞書追加プログラムに従って商品認識装置(スキャナ装置1、POS端末2)のCPU(CPU111、CPU201)が実行する情報処理手順の要部を示す流れ図である。同図において、ステップST1からステップST7までの処理は商品認識プログラムに従った処理であり、ステップST8からステップST14までの処理は認識辞書追加プログラムに従った処理である。
【0033】
商品認識プログラムと認識辞書追加プログラムは、各々独立したプログラムであってもよいし、1本のプログラムであってもよい。商品認識プログラムと認識辞書追加プログラムは、POS端末2のROM203に格納される。上記プログラムの少なくとも一部がスキャナ装置1のROM113に格納されていてもよい。
【0034】
図6の処理が開始すると、CPU(CPU111またはCPU201:以下同)は、撮像部14に対して撮像オン信号を出力する(ST1)。例えば、CPU201がCPU111に対して撮像オンを指令し、この指令を受けたCPU111が、撮像部14に対して撮像オン信号を出力する。この撮像オン信号により、撮像部14が撮像領域の撮像を開始する。撮像部14で撮像された撮像領域のフレーム画像は、RAM114に順次保存される。
【0035】
CPUは、RAM114に保存されたフレーム画像のデータを取り込む(ST2)。そしてCPUは、このフレーム画像から商品が検出されるか否かを確認する(ST3)。具体的には、CPUは、フレーム画像を二値化した画像から輪郭線等を抽出する。そしてCPUは、フレーム画像に映し出されている物体の輪郭抽出を試みる。物体の輪郭が抽出されると、CPUは、その輪郭内の画像を商品とみなす。
【0036】
フレーム画像から商品が検出されない場合(ST3にてNO)、CPUは、RAM114から次のフレーム画像を取り込む(ST2)。そしてCPUは、このフレーム画像から商品が検出されるか否かを確認する(ST3)。
【0037】
フレーム画像から商品が検出された場合には(ST3にてYES)、CPUは、その輪郭内の画像から商品の形状、表面の色合い、模様、凹凸状況等の外観上の特徴量(外観特徴量)を抽出する(ST4:特徴量抽出手段41)。抽出された外観特徴量のデータは、RAM204のワークエリアに一時的に格納される。
【0038】
特徴量を抽出し終えると、CPUは、
図7の流れ図により具体的に示される手順の認識処理を実行する(ST5:商品候補抽出手段42)。先ず、CPUは、店舗サーバ8の認識辞書ファイル9を検索する(ST21)。そしてCPUは、認識辞書ファイル9から1商品のデータレコード(商品ID、商品名、複数の特徴量データ)を読み込む(ST22)。
【0039】
データレコードを読み込めたならば、CPUは、ステップST4の処理で抽出された外観特徴量のデータが、当該レコードの特徴量データに対してどの程度類似しているかを示す類似度を算出する(ST23)。類似度は、値が大きいほど類似率が高いと言える。本実施形態では、類似度の上限を“100”として、商品毎に特徴量データの類似度が算出される。
【0040】
CPUは、類似度が所定の基準閾値より高いか否かを確認する(ST24)。基準閾値は、登録商品候補として残すべき商品の類似度の下限である。前述したように類似度の上限値を“100”とした場合、基準閾値は、例えばその1/5の“20”と設定する。類似度が基準閾値より高いレベルにある場合(ST24にてYES)、CPUは、当該データレコードの商品ID及び商品名と、ステップST4の処理で抽出された外観特徴量のデータと、ステップST23の処理で算出された類似度とを、登録商品候補としてRAM204の所定エリアに格納する(ST25)。これに対し、類似度が基準閾値を超えない場合には(ST24にてNO)、CPUは、ステップST25の処理を実行しない。
【0041】
しかる後、CPUは、認識辞書ファイル9に未処理のデータレコードが存在するか否かを確認する(ST26)。存在する場合(ST26にてYES)、CPUは、ステップST22の処理に戻る。すなわちCPUは、認識辞書ファイル9から未処理のデータレコードをさらに読み込んで、前記ステップST23〜ST26の処理を実行する。
【0042】
こうして、認識辞書ファイル9に保存されている全ての商品のデータレコードについて、前記ステップST23〜ST26の処理が実行されると(ST26にてNO)、認識処理が終了する。認識処理が終了すると、CPUは、登録商品候補の有無を確認する(ST6)。
【0043】
RAM204の所定エリアに登録商品候補となる商品データ(商品コード,商品名,外観特徴量、類似度)が1つも格納されていない場合、登録商品候補はない。この場合(ST6にてNO)、CPUは、ステップST2の処理に戻る。すなわちCPUは、RAM114から次のフレーム画像データを取り込む。そしてCPUは、この画像データについて、前記ステップST3〜ST6の処理を実行する。
【0044】
一方、RAM204の所定エリアに登録商品候補となる商品データ(商品コード,商品名,外観特徴量、類似度)が1つでも格納されていた場合には、登録商品候補がある。この場合(ST6にてYES)、CPUは、登録商品を自動的に設定できるか否かを確認する(ST7)。具体的には、CPUは、登録商品候補となる商品データのなかで類似度が所定の決定閾値を超えるデータが1つのみ存在するか否かを確認する。決定閾値は、前記基準閾値よりも充分に大きい値であり、前述したように類似度の上限値を“100”とした場合、その半分より若干多い値、たとえば“60”と設定する。
【0045】
登録商品候補の中で類似度が決定閾値を超える商品が1つのみ存在する場合、この商品が登録商品として自動的に決定される。それ以外、つまりは類似度が決定閾値を超える商品が1つも存在しないか2つ以上存在する場合には、登録商品が決定されない。登録商品が決定された場合(ST7にてYES)、CPUは、ST8以降の処理、つまりは認識辞書追加プログラムの処理ルーチンをジャンプして、次の処理、つまりは自動決定された商品の登録処理ルーチンに移行する。
【0046】
これに対し、登録商品が決定されない場合には(ST7にてNO)、CPUは、タッチパネル12に登録商品選択画面60を表示させる(ST8:商品選択受付手段43)。
【0047】
登録商品選択画面60の一例を
図8に示す。図示するように、登録商品選択画面60は、撮影画像表示領域61と、候補商品表示領域62とに区分される。また、「その他」ボタン63が登録商品選択画面60に表示される。撮影画像表示領域61には、ステップST2の処理で取り込んだフレーム画像が表示される。候補商品表示領域62は、さらに3つの領域621,622,623に細分化されており、画面の上から類似度の大きい順に登録商品候補となった商品のプリセット画像が表示される。
【0048】
因みに、初期画面では、類似度が1位から3位までの商品のプリセット画像が候補商品表示領域62(621,622,623)に画面の上から順に表示される。この状態で、「その他」ボタン63がタッチ操作されると、候補商品表示領域62は、類似度が4位から6位までの商品のプリセット画像に切り替わる。以後、「その他」ボタン63がタッチ操作される毎に、領域62の画像は、類似度がより下位の商品のプリセット画像に切り替わる。なお、「その他」ボタン63が1回タッチ操作されると、「戻る」ボタンの画像が登録商品選択画面60に表示される。そして、この「戻る」ボタンがタッチ操作されると、タッチパネル12の画面は、直前の登録商品選択画面60に戻る。
【0049】
読取窓1Bに登録商品をかざしたユーザは、候補商品表示領域62のなかから登録商品を探す。そして、登録商品を見つけたならば、ユーザは、この商品のプリセット画像が表示されている領域621,622または623にタッチする。
【0050】
CPUは、候補商品表示領域62がタッチ操作されるのを待機する。候補商品表示領域62がタッチ操作されたならば、CPUは、そのタッチ領域にプリセット画像が表示されている商品の類似度の順位を確認する(ST9)。類似度が1位の商品が選択された場合(ST9にてYES)、CPUは、ST10以降の処理をジャンプして、次の処理、つまりは類似度が1位の商品の登録処理ルーチンに移行する。
【0051】
これに対し、類似度が2位以下の商品が選択された場合には(ST9にてNO)、CPUは、追加実行フラグFをチェックする(ST10)。追加実行フラグFがオフの場合、認識辞書の追加は行われない。この場合(ST10にてNO)、CPUは、ST11以降の処理をジャンプして、次の処理、つまりは選択された商品の登録処理ルーチンに移行する。
【0052】
これに対し、追加実行フラグFがオンの場合には、CPUは、追加実行の確認が必要か否かを判定する(ST11)。すなわちCPUは、メモリエリア52をチェックして、ステータスが“1”の確認条件を認識する。確認条件が「類似度差」であった場合、CPUは、選択された商品の類似度と1位の類似度との差分を計算し、この差分値が所定の閾値を超えるか否かを確認する。そしてCPUは、差分値が所定の閾値を超える場合にはユーザに確認する必要有りと決定し、差分値が所定の閾値以下の場合にはユーザに確認する必要なしと決定する。
【0053】
一方、確認条件が「候補順位」であった場合には、CPUは、選択された商品の類似度の順位が1位より低い所定の閾値順位(例えば3位)以下であるか否かを確認する。そしてCPUは、類似度の順位が閾値順位以下の場合にはユーザに確認する必要有りと決定し、類似度の順位が閾値順位より上の場合にはユーザに確認する必要なしと決定する。
【0054】
ステップST11にて確認必要と判断された場合(ST11にてYES)、CPUは、タッチパネル12に追加可否選択画面70を表示させる(ST12:追加宣言受付手段44)。
【0055】
追加可否選択画面70の一例を
図9に示す。図示するように、追加可否選択画面70は、撮影画像表示領域71と、選択商品表示領域72とに区分される。また、「する」ボタン73と「しない」ボタン74とが追加可否選択画面70に表示される。撮影画像表示領域71には、ステップST2の処理で取り込んだフレーム画像が表示される。選択商品表示領域72には、登録商品選択画面60で選択された商品のプリセット画像が表示される。
図9は、
図8の登録商品選択画面60において、領域622にプリセット画像が表示されている商品「洋ナシ」が選択された場合の追加可否選択画面70である。なお、選択商品表示領域72の位置は、
図9に示す如く、登録商品選択画面60で選択された商品のプリセット画像が表示されている候補商品表示領域62と一致していてもよいし、異なっていてもよい。プリセット画像が表示されている候補商品表示領域62と同じ位置にて表示した場合には、選択されたことが一目でわかる。
【0056】
ユーザは、認識辞書への特徴量データの追加を実行する場合には「する」ボタン73にタッチする。これに対し、例えば商品を選択し間違えたために追加を実行しない場合には「しない」ボタンにタッチする。
【0057】
CPUは、「する」ボタン73と「しない」ボタン74のいずれかがタッチされるのを待機する(ST13)。ここで、「しない」ボタン74がタッチされた場合(ST13にてNO)、CPUは、ステップST13の処理をジャンプして次の処理に進む。ただし、選択された商品は誤りであったので、商品登録処理ルーチンには進まない。
【0058】
「する」ボタン73がタッチされた場合(ST13にてYES)、あるいは、ステップST11の処理において確認不要と判断された場合には(ST11にてNO)、CPUは、認識辞書ファイル9への特徴量データの追加を実行する(ST14:追加手段45)。すなわちCPUは、選択された商品の商品データ(商品コード,商品名,外観特徴量、類似度)のなかから商品コードと外観特徴量のデータとを読み出す。そしてCPUは、認識辞書ファイル9にアクセスして、当該商品コードを含むデータレコードに当該外観特徴量のデータを新規の特徴量データとして追加する。しかる後、CPUは、次の処理、つまりは選択された商品の登録処理ルーチンに移行する。
【0059】
このように、本実施形態の店舗会計システムにおいては、ユーザがスキャナ装置1の読取窓1Bに商品をかざすと、撮像部14によってこの商品が撮影される。そして、この商品の画像から抽出される当該商品の外観特徴量のデータと、認識辞書ファイル9に登録されている各商品の特徴量データとから、商品毎に特徴量の類似度が算出される。そして、類似度の高い順に登録商品候補が決定され、そのリストがタッチパネル12に表示される。そこでユーザは、登録商品候補の中から、該当する商品を選択する。そうすると、店舗会計システムでは、この選択された商品の販売データが登録処理される。
【0060】
ここで、選択された商品が類似度1位の商品であった場合には、認識辞書ファイル9に登録されている当該商品の特徴量データは、当該商品の外観特徴量に近似したものである。従って、認識辞書ファイル9への特徴量データの追加は必要ない。これに対して、選択された商品の類似度が選択されなかった他の商品の類似度よりも低い場合には、認識辞書ファイル9への特徴量データの追加が必要である。
【0061】
本実施形態の店舗会計システムにおいては、選択された商品が類似度1位の商品であった場合には、認識辞書ファイル9への特徴量データの追加は実行されない。選択された商品が類似度1位以外の商品であった場合には、認識辞書ファイル9への特徴量データの追加が実行される。ただし、追加実行フラグFが“0”にリセットされていた場合には、認識辞書ファイル9への特徴量データの追加が許可されていないので、たとえ類似度1位以外の商品が選択された場合でも認識辞書ファイル9への特徴量データの追加は実行されない。
【0062】
また、確認条件として「類似度差」が設定されていた場合、つまり確認条件「類似度差」に対応するステータスが“1”に設定されていた場合には、選択された商品の類似度と、登録商品候補として認識された商品の中で最も高い類似度との差分が算出される。そして、この差分が所定の閾値を超えるか否かが判定される。差分が閾値を超えない場合、つまり選択された商品の類似度が比較的高い場合には、認識辞書ファイル9への特徴量データの追加が実行される。
【0063】
これに対し、差分が閾値を超える場合、つまり選択された商品の類似度が低い場合には、ユーザが誤った商品を選択してしまった可能性がある。そこで、タッチパネル14に追加可否選択画面70が表示される。この追加可否選択画面70を確認したユーザは、商品選択に誤りがないときには「する」ボタン73にタッチし、誤りがある場合には「しない」ボタン74にタッチする。その結果、商品選択に誤りがないときには認識辞書ファイル9への特徴量データの追加が実行されるが、誤りがある場合には認識辞書ファイル9への特徴量データの追加が実行されない。
【0064】
また、確認条件として「候補順位」が設定されていた場合、つまり確認条件「候補順位」に対応するステータスが“1”に設定されていた場合には、選択された商品の類似度が、登録商品候補として認識された商品の中で高い順に並べて何番目になるかが確認される。そして、1位より下位の所定の閾値順位より上位か下位かが判定される。その結果、閾値順位より上位若しくは同位の場合、つまり選択された商品の類似度が比較的高い場合には、認識辞書ファイル9への特徴量データの追加が実行される。
【0065】
これに対し、閾値順位より下位の場合、つまり選択された商品の類似度が低い場合には、ユーザが誤った商品を選択してしまった可能性がある。そこで、タッチパネル14に追加可否選択画面70が表示される。この追加可否選択画面70を確認したユーザは、商品選択に誤りがないときには「する」ボタン73にタッチし、誤りがある場合には「しない」ボタン74にタッチする。その結果、商品選択に誤りがないときには認識辞書ファイル9への特徴量データの追加が実行されるが、誤りがある場合には認識辞書ファイル9への特徴量データの追加が実行されない。
【0066】
このように本実施形態によれば、認識辞書への特徴量データの追加を簡単な操作でしかも効率よく行うことができる。
【0067】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。
例えば前記実施形態では、認識辞書ファイル9への特徴量データの追加を実行するか否かの確認条件として「類似度差」と「候補順位」の2種類を示したが、どちらか1種類のみであってもよい。あるいは、他の条件を採用してもよい。
【0068】
また、追加宣言受付手段44は、追加を実行するか否かの宣言入力を促すボタン画像73,74をタッチパネル12に表示して、追加を実行するか否かの宣言入力を受け付けたが、これに限定されるものではない。例えばキーボード11の所定のキーの入力により追加を実行するか否かの宣言入力を受け付けてもよい。商品選択受付手段43についても同様であり、登録商品選択画面60の入力操作に限定されるものではない。要は、登録商品候補として認識された複数の商品の中からユーザが選択できればよい。
【0069】
また、前記実施形態では、スキャナ装置1とPOS端末2とに、商品認識装置としての機能を持たせたが、スキャナ装置1またはPOS端末2の単体に商品認識装置としての機能を持たせてもよい。あるいは、スキャナ装置1がPOS端末2に組み込まれて一体となった装置に、商品認識装置の機能を持たせてもよい。
【0070】
また、スキャナ装置1とPOS端末2とサーバとから商品認識装置を構成し、商品認識機能をサーバに持たせて、つまりは商品認識プログラムをサーバに持たせて、サーバにて商品候補の認識処理を実行してもよい。具体的には、スキャナにて商品の画像を撮像し、このスキャナで撮像した商品画像をサーバに送信する。サーバは、商品画像の特徴量と認識辞書に記憶されている特徴量とを照合して商品候補の認識処理を実行し、このサーバでの認識結果をPOS端末2に出力する。
【0071】
なお、前記実施形態は、装置内部のプログラム記憶部であるROMに発明の機能を実現させる制御プログラムが予め記録されているものとした。しかしこれに限らず、同様のプログラムがネットワークから装置にダウンロードされてもよい。あるいは、記録媒体に記録された同様のプログラムが、装置にインストールされてもよい。記録媒体は、CD−ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。また、プログラムのインストールやダウンロードにより得る機能は、装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0072】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。