【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 刊行物:株式会社ビバリッジ ジャパン社、ビバリッジ ジャパン(Beverage Japan)第37巻、第11号、通巻第395号、59頁−63頁、平成26年11月28日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記内部空気供給手段は、前記区間の所定箇所に搬送方向に関して距離を隔てて設けられた複数の内部空気導入部を通じて前記閉空間に前記内部空気を供給する、請求項1又は2に記載のブロー成形システム。
前記プリフォームコンベアの前記区間には、姿勢が不揃いの前記プリフォームを搬送する上流区間と、前記上流区間よりも搬送下流側に位置し、整列装置にて姿勢が揃えられた前記プリフォームを搬送する下流区間とが含まれており、
前記複数の内部空気導入部の少なくとも一つは、前記下流区間に設けられている請求項3に記載のブロー成形システム。
前記プリフォームコンベアの前記区間には、姿勢が不揃いの前記プリフォームを搬送する上流区間と、前記上流区間よりも搬送下流側に位置し、整列装置にて姿勢が揃えられた前記プリフォームを搬送する下流区間とが含まれており、
前記プリフォームコンベアの前記上流区間を前記外部から区画するコンベアブースを更に備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載のブロー成形システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記製造ラインの場合、製造ラインが設けられる工場の建屋内部がブロー成形室によって区画されオペレータの出入りが極力制限される。そのため、ブロー成形機のオペレーションを担当するオペレータを、製造ライン上の他の装置のオペレーションと兼任させることが難しく、ブロー成形機のオペレーションに対して専任のオペレータを用意せざるを得ない。
【0007】
そこで、本発明は、ブロー成形室が不要なブロー成形システム及びこれを含む製造ライン並びにこれらで使用されるプリフォームコンベアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のブロー成形システム(Bs)は、内部(Si)と外部(So)とが区画されていて前記内部が温度調整された保管庫(Sr2)に保管されたプリフォーム(PF)を、前記外部に搬送するプリフォームコンベア(2)と、前記外部に設置され、前記プリフォームコンベアにて前記外部に搬送された前記プリフォームを素材としてブロー成形にて容器を製造するブロー成形機(3)と、前記プリフォームコンベアの前記保管庫と前記外部との境界(B1)から前記外部と前記ブロー成形機との境界(B2)までの区間(Sco)を覆い、前記外部との空気の出入りを制限するコンベアカバー(20)と、前記保管庫の前記内部に存在する内部空気(Ia)を、前記コンベアカバーにて区画された閉空間(CS)に供給する内部空気供給手段(53、67、71〜73)と、を備えるものである。
【0009】
このブロー成形システムによれば、保管庫からプリフォームを外部に搬送するプリフォームコンベアが保管庫と外部との境界から外部とブロー成形機との境界までがコンベアカバーに覆われていて外部との空気の出入りが制限される。そして、コンベアカバーにて区画された閉空間に保管庫の内部空気が供給される。したがって、プリフォームコンベアで搬送されるプリフォームは保管庫の外部の温度の影響を受け難くなるので、例えばブロー成形室等でプリフォームコンベアを又はプリフォームコンベア及びブロー成形機の両者を区画する必要がなく、保管庫の外部に搬送したプリフォームの温度条件と保管庫で保管されているプリフォームの温度条件との差異を低減できる。
【0010】
本発明のブロー成形システムの一態様において、前記ブロー成形機には、前記外部との空気の出入りを制限する成形機カバー(32)が設けられてもよい。この態様によれば、成形機カバーによって成形機内部の温度条件が不安定になり難いので製造容器の品質が安定する。
【0011】
本発明のブロー成形システムの一態様において、前記内部空気供給手段は、前記区間の所定箇所に搬送方向に関して距離を隔てて設けられた複数の内部空気導入部(71〜73)を通じて前記閉空間に前記内部空気を供給してもよい。プリフォームコンベアによるプリフォームの搬送距離が長い場合には保管庫に近い箇所と遠い箇所との間で温度差が生じる可能性がある。この態様によれば、プリフォームコンベアの閉空間に内部空気を供給するための複数の内部空気導入部が距離を隔てて設けられているので、上記のような温度差が生じることを抑えることができる。
【0012】
この態様においては、前記プリフォームコンベアの前記区間には、姿勢が不揃いの前記プリフォームを搬送する上流区間(Sc1)と、前記上流区間よりも搬送下流側に位置し、整列装置(Us)にて姿勢が揃えられた前記プリフォームを搬送する下流区間(Sc2)とが含まれており、前記複数の内部空気導入部の少なくとも一つは、前記下流区間に設けられてもよい。この場合には、ブロー成形機に近い下流区間のプリフォームの温度条件を保管庫内のプリフォームの温度条件に近づけ易くなる。このため、プリフォームコンベアの上流区間でプリフォームの上述した温度条件の相違が大きくなっても下流区間で保管庫内のプリフォームの温度条件に近づけることができる。
【0013】
本発明のブロー成形システムの一態様において、前記保管庫の前記内部は、温度を調整可能な空気供給源(50)が吐出した調整空気(Ta)が供給されることよって温度調整されており、前記空気供給源が吐出した前記調整空気を、前記コンベアカバーにて覆われた前記閉空間に供給する調整空気供給手段(80〜84)を更に備えてもよい。この態様によれば、保管庫と共通の空気供給源から吐出された調整空気をプリフォームコンベアの閉空間に供給できるため、上述した温度条件の相違をより低減し易くなる。
【0014】
本発明のブロー成形システムの一態様において、前記プリフォームコンベアの前記区間には、姿勢が不揃いの前記プリフォームを搬送する上流区間(Sc1)と、前記上流区間よりも搬送下流側に位置し、整列装置(Us)にて姿勢が揃えられた前記プリフォームを搬送する下流区間(Sc2)とが含まれており、前記プリフォームコンベアの前記上流区間を前記外部から区画するコンベアブース(90)を更に備えてもよい。この態様によれば、コンベアブースにて区画された上流区間までの温度環境を安定させることができる。したがって、コンベアブースにて区画された上流区間の閉空間に内部空気を供給しなくても下流区間に内部空気を供給すれば足りるのでプリフォームコンベアにて搬送されるプリフォームの温度条件の調整が容易になる。
【0015】
この態様においては、前記保管庫の前記内部の温度条件と、前記コンベアブースの内部空間の温度条件とを同等に調整する調整手段(53、67、91)を更に備えてもよい。この場合には、保管庫の外部に存在するプリフォームコンベアの長さを実質的に短くしたことに相当するので、プリフォームコンベアの搬送方向に関する各所の温度条件を調整することが容易になる。
【0016】
本発明のブロー成形システムの一態様において、前記プリフォームコンベアには、姿勢が不揃いの前記プリフォームを姿勢が揃えられた状態に整える整列装置(Us)が設けられており、前記整列装置及び前記整列装置よりも搬送方向上流の前記プリフォームコンベアは、前記保管庫の前記内部に設けられていてもよい。この態様によれば、プリフォームコンベアのうち、整列装置にて姿勢が揃えられたプリフォームを搬送する部分が保管庫の外部に存在し、その部分がコンベアカバーにて覆われる上記区間に相当する。これにより、整列装置が保管庫の外部に存在する場合と比較して、保管庫の外部に存在するプリフォームコンベアの長さが短くなる。これにより、プリフォームコンベアの搬送方向に関する各所の温度条件を調整することが容易になる。
【0017】
本発明の製造ラインは、請求項2〜6のいずれか一項に記載されたブロー成形システムを含む製造ライン(ML)であって、前記外部に設けられていて、前記ブロー成形機にて製造された前記容器に内容物を充填して密封することにより製品を製造する充填機(5)を備え、前記充填機には、前記外部との空気の出入りを制限する充填機カバー(41)が設けられ、前記ブロー成形機と前記充填機とは、前記外部との空気の出入りが制限された状態で接続されているものである。
【0018】
この製造ラインによれば、ブロー成形機及び充填機のそれぞれを区画せずに、これらを保管庫の外部の同一フロアに設置することが可能となる。これにより、ブロー成形機に対して専任のオペレータを配置せずに、ブロー成形機及び充填機の各オペレーションを共通のオペレータに兼任させることが容易となる。
【0019】
上記製造ラインにおいて、前記外部に設けられていて、前記充填機にて前記内容物が充填される前に、前記ブロー成形機にて製造された前記容器の成形状態を検査する検査機(4)を更に備え、前記検査機には、前記外部との空気の出入りを制限する検査機カバー(40)が設けられ、前記検査機は、前記外部との空気の出入りが制限された状態で前記ブロー成形機及び前記充填機のそれぞれに接続されてもよい。この場合には、ブロー成形機と充填機とともに検査機を区画せずに同一フロアに設置できるので、ブロー成形機、充填機及び検査機の各オペレーションを共通のオペレータに兼任させることが容易となる。
【0020】
本発明のプリフォームコンベアは、内部(Si)と外部(So)とが区画されていて前記内部が温度調整された保管庫(Sr2)に保管されたプリフォーム(PF)を、前記外部に搬送するプリフォームコンベア(Bs)において、前記プリフォームコンベアの前記保管庫と前記外部との境界(B1)から、前記外部に設置され、前記プリフォームコンベアにて前記外部に搬送された前記プリフォームを素材としてブロー成形にて容器を製造するブロー成形機(3)と前記外部との境界(B2)までの区間(Sco)を覆い、前記外部との空気の出入りを制限するコンベアカバー(20)と、前記保管庫の前記内部に存在する内部空気(Ia)を、前記コンベアカバーにて区画された閉空間(CS)に供給する内部空気供給手段(53、67、71〜73)と、を備えるものである。
【0021】
このプリフォームコンベアは、上述したブロー成形システムと同様の効果を得ることができる。また、このプリフォームコンベアは、上述しブロー成形システムの各態様と同様の態様とすることも可能であり、各態様と同様の効果を得ることができる。
【0022】
なお、本発明において、空気の出入りを制限するとは空気の出入りを完全に遮断する場合の他、空気の出入りを完全に遮断しないが空気の出入りが困難になる程度の気密性が確保されることも含まれる。また、以上の説明では、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0023】
以上に説明したように、本発明のブロー成形システムによれば、プリフォームコンベアがコンベアカバーに覆われて外部との空気の出入りが制限されるとともに、保管庫の内部空気がコンベアカバーにて区画された閉空間に供給される。このため、例えばブロー成形室等でプリフォームコンベアを又はプリフォームコンベア及びブロー成形機の両者を区画する必要がなく、しかも保管庫の外部に搬送中のプリフォームの温度条件とリフォーム保管庫で保管されているプリフォームの温度条件との差異を低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に示した製造工場MFは飲料食品を製造する工場として建設されている。製造工場MFは、周囲を囲む外壁Ow及び外壁Owの上部を塞ぐ天井及び屋根(いずれも不図示)にて外界と区画された建屋BLを有する。なお、以下の説明においては、特に断らない限り各種の区画及びブースの上部は天井又は屋根等にて塞がれているものとする。
【0026】
建屋BL内には製品としての飲料食品を製造する製造ラインMLが設けられている。製造ラインMLでは、容器としてのPETボトルが製造されるとともに製造されたPETボトルに充填された状態の飲料食品が所定本数毎に箱詰めされた状態で製造される。製造ラインMLは飲料食品として茶系飲料、果汁飲料や炭酸飲料等の清涼飲料を製造する能力がある。製造ラインMLは機能毎に複数のエリアに区分される。
【0027】
建屋BLの右側に位置する原料保管エリアA1は外壁Ow及び内壁Iw1にて区画されている。その区画された空間は飲料の各種原料を保管する原料保管庫Sr1として機能し、原料保管庫Sr1には不図示の原料タンクや原料コンテナ等の貯蔵設備が設置されている。調合エリアA2は外壁Ow及び内壁Iw2で区画されている。調合エリアA2では原料保管庫Sr1の貯蔵設備から供給された各種原料を加工して飲料が製造される。調合エリアA2には飲料の製造に必要なニーダ等の各種機材や調合タンク等の調合設備(いずれも不図示)が設けられている。
【0028】
建屋BLの左側に位置する資材保管エリアA3は外壁Ow及び内壁Iw3にて区画されている。その区画された空間はPETボトルの素材となるプリフォームPFやPETボトルの口部を密封するキャップ等の各種資材を保管する資材保管庫Sr2として機能する。資材保管庫Sr2はその内部Siと外部Soとが内壁Iw3にて区画される。なお、本形態の場合の外部Soは外界ではなく内壁Iw3にて隔てられた資材保管庫Sr2の外側の建屋BLの内部を意味する。資材保管庫Sr2の内部Siは後述する空気調和設備でプリフォームPFの保管に適した温度に温度調整され、さらに湿度も保管に適したものに湿度調整されている。
【0029】
資材保管庫Sr2に保管されたプリフォームPFはプリフォーム供給機1にてプリフォームコンベア(以下PFコンベアという。)2に供給される。PFコンベア2に供給されたプリフォームPFは資材保管庫Sr2の外部Soに搬送され、成形エリアA4に設けられたブロー成形機3に供給される。ブロー成形機3はプリフォームPFを素材としてブロー成形によって所定形状のPETボトルを製造する。ブロー成形機3にて製造されたPETボトルは空の状態で成形異常等の有無を空容器検査機4にて検査される。空容器検査機4にて検査されたPETボトルは充填エリアA5に設けられた充填機としての無菌充填機5に供給される。無菌充填機5には調合エリアA2で調合された内容物である飲料が供給される。無菌充填機5は供給された飲料をPETボトルに充填して不図示のキャップを装着して密封する。無菌充填機5は洗浄殺菌システムWsにて洗浄及び殺菌されて衛生管理された状態で飲料を充填できる。
【0030】
無菌充填機5にてPETボトルに飲料が充填されて密封された製品は製品コンベア6で包装エリアA6に設けられたラベラ7へ搬送される。ラベラ7では製品に各種の情報が表示されたラベルを装着する。ラベルが装着された製品は製品コンベア6よって外観検査機8に搬送される。外観検査機8はラベルの装着不良等の製品の外観上の欠陥の有無を検査する。欠陥のない合格品は製品コンベア6でケーサ9に搬送される。ケーサ9は合格品を所定の本数を集めた状態で段ボール箱等の包装箱に箱詰めする。これにより箱詰め製品Mとなり、この状態で市場に出荷される。
【0031】
本形態の特徴は製造ラインML及びこれに含まれるブロー成形システムBsに特徴がある。本形態のブロー成形システムBsは、資材保管庫Sr2に保管されたプリフォームPFを搬送するPFコンベア2と、PFコンベア2で搬送されたプリフォームPFを素材として容器としてのPETボトルを製造するブロー成形機3とを含む。
【0032】
図2に詳しく示したように、資材保管庫Sr2に設置されたプリフォーム供給機1は多数のプリフォームPFが収められたコンテナCを繰り入れるコンテナ導入装置15と、コンテナ導入装置15が繰り入れたコンテナCを反転させて、上方に開口する投入口17にプリフォームPFを投入するコンテナ反転装置16と、投入口17に投入されたプリフォームPFをPFコンベア2まで搬送する供給コンベア18とを備えている。コンテナ反転装置16にて反転されて空になったコンテナCeは、コンテナ排出装置19にて繰り出される。
【0033】
PFコンベア2は、プリフォーム供給装置1から供給されたプリフォームPFを矢印で示した方向及び経路に従って、資材保管庫Sr2の内部Siから外部Soを経由してブロー成形機3まで搬送する。PFコンベア2は搬送方向に所定間隔で配置された複数の支持脚SL(
図4参照)にて床FL等に支持されている。PFコンベア2には、姿勢が不揃いのプリフォームPFを搬送する上流区間Sc1と、整列装置としてのアンスクランブラUsにて姿勢が口部を上にした状態に揃えられたプリフォームPFを搬送する下流区間Sc2とが含まれている。
【0034】
上流区間Sc1には不揃いの姿勢のプリフォームPF(
図3A参照)を斜め上方に搬送する傾斜搬送部2aが設けられている。傾斜搬送部2aは建屋BLの床FLよりも数メートル高い位置に配置されたコンベアスタンドSzの高さまでプリフォームPFを搬送する。アンスクランブラUsはコンベアスタンドSzから斜め下方に傾斜していてPFコンベア2と一体的に設けられている。アンスクランブラUsは斜め下方にプリフォームPFが搬送される過程で姿勢が不揃いのプリフォームPFを姿勢が上記のように揃えられた状態に整える。下流区間Sc2には姿勢が揃えられたプリフォームPF(
図3B参照)の口部を支持しながら搬送するネック搬送部2bが含まれる。ネック搬送部2bは斜め下方に傾斜するように配置されていてその下端はブロー成形機3に接続されている。
【0035】
図3A及び
図3Bに示すように、PFコンベア2はコンベアカバー20にて覆われている。コンベアカバー20は資材保管庫Sr2の内部Siに位置するPFコンベア2の起点Spからブロー成形機3の接続位置Cpまでの全長に亘ってPFコンベア2に設けられている。そのため、PFコンベア2は資材保管庫Sr2の内部Siと外部Soとの境界B1から外部Soとブロー成形機3との境界B2までの区間Scoがコンベアカバー20にて覆われる。コンベアカバー20はある程度の気密性が確保されている。それにより、区間Scoにおいて外部Soとの空気の出入りが制限される。
【0036】
図3Aに示すように、PFコンベア2の傾斜搬送部2aはベース25aと、ベース25aに設けられていて搬送方向に移動する搬送駆動部26aとを有している。コンベアカバー20はベース25aにある程度の気密性を確保しつつ取り付けられている。上面20aはアクリル等の透光性材料で構成されており内部を視認できる。また、上面20aにはPFコンベア2のほぼ全区間に亘って搬送方向に所定間隔で配置された複数の扉20bが設けられている。各扉20bは蝶番20cを介してコンベアカバー20に設けられている。各扉20bは二点鎖線で示すように開閉できるのでPFコンベア2のほぼ全区間に亘って点検、整備等が行えるようになっている。なお各扉20bにはその開閉を容易にするため把手20dが設けられている。
【0037】
図3Bに示したネック搬送部2bを覆うコンベアカバー20も
図3Aの傾斜搬送部2aと同様にベース25bに取り付けられており、コンベアカバー20はネック搬送部2bのベース25b及び駆動搬送部26bを覆っていてある程度の気密性が確保される。
【0038】
図2に示したように、PFコンベア2は、資材保管庫Sr2の内部Siと外部Soとの境界B1を横切る際にコンベアカバー20に覆われた状態で内壁Iw3を貫通している。
図4に示すように、境界B1の所定位置には貫通窓30が形成されている。PFコンベア2はコンベアカバー20にて覆われた状態で貫通窓30を貫いている。貫通窓30には、PFコンベア2及びコンベアカバー20の外周に密着する形状の貫通孔31aが形成されたシーリング板31がPFコンベア2及びコンベアカバー20が挿入された状態で嵌め込まれている。これにより、シーリング板31にて貫通窓30は塞がれて貫通窓30とPFコンベア2及びコンベアカバー20との隙間がなくなるので資材保管庫Sr2の内部Siと外部Soとの間の空気の出入りは制限される。
【0039】
図2に示した外部Soとブロー成形機3との境界B2も上述した境界B1と同様に処理されている。
図5にも示したように、ブロー成形機3は内部機構を覆うことにより外部Soとの空気の出入りを制限する成形機カバー32を備えている。その成形機カバー32に形成された貫通窓33をPFコンベア2及びコンベアカバー20が貫いた状態で、これらの外周に密着する貫通孔34aが形成されたシーリング板34が貫通窓33に嵌め込まれている。これにより、成形機カバー32とPFコンベア2及びコンベアカバー20との間には境界B2において気密性が確保されている。なお、
図2に示したように、成形機カバー32はブロー成形機3の内部機構の全体を覆うメインカバー32aとメインカバー32aの天面部の開口(不図示)を覆うトップカバー32bとを含む。ブロー成形機3は成形機カバー32で覆われていて外部Soとの空気の出入りが制限されるので、成形機カバー32によって成形機内部の温度条件が不安定になり難いので製造容器の品質が安定する。
【0040】
図2に示すように、PFコンベア2によってブロー成形機3に搬送されたプリフォームPFはプリフォームシュート35に導かれる。プリフォームシュート35はそのプリフォームPFをブロー成形機3のヒータ部36に送る。プリフォームシュート35はPFコンベア2側の起点35aからヒータ部36側の終点35bに向かって斜め下方に延びておりプリフォームシュート35に導かれたプリフォームPFは一定の姿勢で起点35aから終点35bまで導かれる。ヒータ部36の周囲はヒータブース37に区画されていて断熱性が高められている。
【0041】
ヒータ部36に導かれたプリフォームPFは矢印方向に移動しながら加熱され、その後成形部38に送られる。成形部38は加熱されたプリフォームPFに対してブロー成形を実施して所定形状のPETボトルを製造する。ブロー成形システムBsによれば、PFコンベア2、ブロー成形機3のそれぞれを区画せずに、これらを資材保管庫Sr2の外部Soの同一フロアに設置することが可能となる。ブロー成形機3で成形されたPETボトルは空容器検査機4に送られて所定の検査が行われる。検査が終了したPETボトルは無菌充填機5に送られる。
【0042】
空容器検査機4は内部機構を覆う検査機カバー40を有していて、外部Soとの空気の出入りが制限された状態でブロー成形機3と接続されている。無菌充填機5も内部機構を覆う充填機カバー41を有している。充填機カバー41は内部機構の全体を覆うメインカバー41aとメインカバー41aの天面部の開口(不図示)を覆うトップカバー41bとを含む。空容器検査機4は外部Soとの空気の出入りが制限された状態で無菌充填機5と接続されている。
【0043】
このように、ブロー成形機3、空容器検査機4及び無菌充填機5のそれぞれは外部Soとの空気の出入りが制限された状態で接続されている。換言すれば、ブロー成形機3と無菌充填機5とは外部Soとの空気の出入りが制限された状態で空容器検査機4を介して接続されているということもできる。これにより、ブロー成形機3、空容器検査機4及び無菌充填機5のそれぞれを区画せずに、これらを資材保管庫Sr2の外部Soの同一フロアに設置することが可能となる。
【0044】
そのため、ブロー成形機3に対して専任のオペレータを配置せずに、ブロー成形機3、空容器検査機4及び無菌充填機5の各オペレーションを共通のオペレータに兼任させることが容易となる。つまり、
図1に示したオペレーションエリアA7に各機械をオペレーションする共通のオペレータを配置できるので本形態の製造ラインMLによって効率的な作業環境を実現できる。
【0045】
次に、
図6〜
図8を参照しながらブロー成形システムBsに適用される空気調和設備について説明する。
図6に示したように、建屋BLには空気供給源としてのエアハンドリングユニット(以下、AHUという。)50が設けられている。AHU50は不図示の外部熱源機から供給される冷水、温水や蒸気等の熱媒体を利用して温度調整及び湿度調整された調整空気Taを生成し、不図示の内蔵ファンによって調整空気Taを吐出する。AHU50から吐出された調整空気Taは資材保管庫Sr2の内部Siと外部Soとにそれぞれ分配される。資材保管庫Sr2の内部Siに分配された調整空気Taは、資材保管庫Sr2の不図示の天井面等の所定箇所に設置された複数の空気供給口61〜64を介して供給される。資材保管庫Sr2の外部Soに分配された調整空気Taはブロー成形機3のヒータブース37の内部37aに供給される。ヒータブース37の内部37aの空気は空気吸入口65を介して吸い込まれてAHU50に戻される。
【0046】
資材保管庫Sr2の内部Siには、調整空気Taが供給されるとともに、建屋BLに設置されたオールフレッシュ型の空気調和機51からの空気も空気供給口66を介して供給される。なお、
図6は資材保管庫Sr2の一部を図示するので、
図6に図示されていない所定箇所にもAHU50及び空気調和機51からの空気が供給され、さらにその図示されていない領域の所定箇所には循環型の空気調和機(不図示)の複数の通風口が設けられている。このような空気調和設備によって資材保管庫Sr2の内部Siの温度及び湿度がプリフォームPFの保管に適したものにそれぞれ調整されている。
【0047】
温度調整された資材保管庫Sr2の内部Siに存在する内部空気Iaはコンベアカバー20にて区画された閉空間CS(
図3B参照)に供給される。内部空気Iaは供給装置53によって資材保管庫Sr2に設けられた空気吸入口67から吸い込まれて、複数(本形態では3つ)の内部空気導入部71〜73を通じて閉空間CSに供給される。供給装置53、空気吸入口67及び内部空気導入部71〜73は本発明に係る内部空気供給手段に相当する。
【0048】
内部空気導入部71〜73は、PFコンベア2の下流区間Sc2の所定箇所に搬送方向に関して距離を隔てて設けられている。各内部空気導入部71〜73は互いにほぼ同じ構成である。
図7に示したように、内部空気導入部71は、ネック搬送部2bのベース25bに形成されて内部空間CSに通じる導入孔75に一致するようにしてPFコンベア2の下部に取り付けられた接続部76を有している。接続部76には内部空気Iaを導く通路76aが形成されており、接続部76の端部76bには内部空気Iaを導くフレキシブル管77が接続されている。フレキシブル管77は供給装置53に通じる不図示のダクトに接続されている。
【0049】
図6に示したように、PFコンベア2の上流区間Sc1及びアンスクランブラUsが設けられた区間Sc3には、AHU50が吐出した調整空気Taが供給される。これらの区間Sc1、Sc3に供給される調整空気Taは、AHU50からブロー成形機3側に分配された経路の分岐位置P1から中間ファン80によって取り出される。中間ファン80によって取り出された調整空気Taは上記区間Sc1、Sc3の所定箇所に設けられた複数(本形態では4つ)の調整空気導入部81〜84を通じてコンベアカバー20にて区画された閉空間CSに供給される。各調整空気導入部81〜84はPFコンベア2の各区間Sc1、Sc3の所定箇所に搬送方向に関して距離を隔てて設けられている。各調整空気導入部81〜84は互いにほぼ同じ構成である。
【0050】
図8に示したように、調整空気導入部82は、コンベアカバー20が上方に突出して閉空間CSが広がっている拡大部20eに接続された接続部86を有している。接続部86は内部空間CSに通じる導入孔85に一致するようにしてコンベアカバー20の拡大部20eに取り付けられている。接続部86には調整空気Taを導く通路86aが形成されており、接続部86の端部86bには調整空気Taを導くフレキシブル管87が接続されている。フレキシブル管87は中間ファン80に通じる不図示のダクトに接続されている。調整空気Taは接続部86を介して拡大部20e内に矢印の搬送方向に向かって斜めに導入される。このため、PFコンベア2によって搬送されるプリフォームPFに調整空気Taが強く当りすぎることを抑制できるので、調整空気Taが直接的にプリフォームPFに当ることによる温度変化を抑えることができる。本形態において、中間ファン80及び調整空気導入部81〜84は本発明に係る調整空気供給手段に相当する。
【0051】
第1の形態のブロー成形システムBsによれば、資材保管庫Sr2からプリフォームPFを外部Soに搬送するPFコンベア2が資材保管庫Sr2と外部Soとの境界B1から、外部Soとブロー成形機3との境界B2までがコンベアカバー20に覆われていて外部Soとの空気の出入りが制限される。そして、コンベアカバー20にて区画された閉空間CSに資材保管庫Sr2の内部空気Iaが供給される。したがって、PFコンベア2で搬送されるプリフォームPFは資材保管庫Sr2の外部Soの温度の影響を受け難くなるので、例えばブロー成形室等でPFコンベア2を又はPFコンベア2及びブロー成形機3の両者を区画する必要がなく、資材保管庫Sr2の外部Soに搬送したプリフォームPFの温度条件と資材保管庫Sr2で保管されているプリフォームPFの温度条件との差異を低減できる。
【0052】
第1の形態のブロー成形システムBsは、各内部空気導入部71〜73が搬送方向に関して距離を隔てて設けられているので、資材保管庫Sr2に近い箇所と遠い箇所との間で温度差が生じることを抑えることができる。しかも、各内部空気導入部71〜73は下流区間Sc2に設けられているので、ブロー成形機3に近い下流区間Sc2のプリフォームPFの温度条件を資材保管庫Sr2内のプリフォームPFの温度条件に近づけ易くなる。このため、PFコンベア2の上流区間Sc1でプリフォームPFの上述した温度条件の相違が大きくなっても下流区間Sc2で資材保管庫Sr2内のプリフォームPFの温度条件に近づけることができる。
【0053】
また、ブロー成形システムBsは、AHU50が吐出した調整空気Taを、コンベアカバー20にて区画された閉空間CSに供給するので、資材保管庫Sr2と共通のAHU50から吐出された調整空気TaをPFコンベア2の閉空間CSに供給できる。このため、資材保管庫Sr2の外部Soに搬送したプリフォームPFの温度条件と資材保管庫Sr2で保管されているプリフォームPFの温度条件との相違をより低減し易くなる。
【0054】
(第2の形態)
次に、
図9を参照しながら本発明の第2の形態を説明する。第2の形態は空気調和設備を除いて第1の形態と共通するので、第1の形態と共通の構成には同一の参照符号を図面に付して説明を省略する。また、
図9に図示のない構成については第1の形態の説明及び各図が適宜参照される。
【0055】
図9に示したように、本形態のブロー成形システムBs及び製造ラインMLには、PFコンベア2の上流区間Sc1の一部及びアンスクランブラUsが設けられた区間Sc3のそれぞれを、資材保管庫Sr2の外部Soと区画するコンベアブース90が設けられている。コンベアブース90の内部空間ISは資材保管庫Sr2の内部Siと同等の温度条件に調整されている。
【0056】
図9の形態では、供給装置53の下流経路を流れる内部空気Iaを分岐位置P2から取り出して、空気供給口91を介してブース90の内部空間ISに導入することにより、資材保管庫Sr2の内部Siとコンベアブース90の内部空間ISとを同等の温度条件としている。これにより、資材保管庫Sr2の外部Soに存在するPFコンベア2の長さを実質的に短くしたことに相当するので、PFコンベア2の搬送方向に関する各所の温度条件を調整することが容易になる。
図9の形態の供給装置53、空気吸入口67及び空気供給口91は、資材保管庫Sr2の内部Siの温度条件とコンベアブース90の内部空間ISの温度条件とを同等に調整するので、本発明に係る調整手段に相当する。
【0057】
図9の形態の代わりに、または
図9の形態に追加して、AHU50が吐出する調整空気Taを内部空間ISに供給する供給部(不図示)をコンベアブースに設けたり、コンベアブース90に対して専用の空気調和機(不図示)を設置したり、あるいは資材保管庫Sr2の内部Siとコンベアブース90の内部空間ISとを連通する連通路(不図示)を設けたりすることもできる。これらの形態で本発明を実施した場合には、上記供給部、上記空気調和機及び上記連通路の少なくともいずれか一つが本発明に係る調整手段に相当する。
【0058】
上記のように資材保管庫Sr2の内部Siとコンベアブース90の内部空間ISとを同等の温度条件とする代わりに、コンベアブース90にてこれらの区間Sc1、Sc3を区画するがコンベアブース90内に内部空気Iaや調整空気Taを供給しない形態に変更することも可能である。この場合には、外部Soの空気の影響を受けない又は受け難くなるので、コンベアブース90にて区画されるPFコンテナ2の温度条件を安定させることができる。したがって、コンベアブースにて区画された箇所の閉空間CSに内部空気Ia等を供給しなくても下流区間Sc2等に内部空気Iaを供給すれば足りるのでPFコンベア2にて搬送されるプリフォームPFの温度条件の調整が容易になる。
【0059】
本発明は上記各形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内において種々の形態にて実施できる。上記各形態のブロー成形システムBsは、PETボトルを容器として製造するものであるが、ブロー成形によって製造される容器である限り、ポリエチレンテレフタレート以外のプラスチックを原料としたプラスチックボトルを成形対象としてもよい。また、ブロー成形によって製造される容器である限りその形状は問わず、成形対象がボトル形状でなくてもよく、例えば、口部が狭まっていない広口の形状を持つ容器を成形対象とすることも可能である。
【0060】
容器に充填される内容物は飲料に限定されず、例えば調味料や非食品の液体でもよい。また、内容物は液体に限定されず、粉末状の調味料や菓子等の固体、液体と固体の中間的性質を持つゲルを容器への充填対象とすることもできる。
【0061】
上記各形態では、ブロー成形された空容器の成形状態を検査する空容器検査機4が設けられているが、当該検査機の設置は任意であり、当該検査機を省いた形態で本発明を実施することもできる。また、上記各形態では、便宜上、空容器検査機4までの工程を成形エリアA4としたが、ブロー成型機3までを成形エリアA4とし、空容器検査機4以降の工程を充填エリアA5としてもよい。要するに、空容器検査機4は成形エリアA4又は充填エリアA5のいずれのエリアに設けられてもよい。
【0062】
上記各形態では、資材保管庫Sr2と外部Soとの境界B1及び外部Soとブロー成形機3との境界B2のそれぞれにおいて、PFコンベア2がコンベアカバー20とともに内壁Iw3及び成形機カバー32を貫通する結果として、コンベアカバー20によって境界B1から境界B2までの区間Scoが覆われているが、本発明は当該形態に限定されない。例えば、境界B1を起点とし、境界B2を終点としたコンベアカバーによって上記区間を覆う形態で本発明を実施してもよい。
【0063】
上記各形態のPFコンベア2には、姿勢が不揃いのプリフォームPFの姿勢を整えるアンスクランブラUsが設けられ、そのアンスクランブラUsは資材保管庫Sr2の外部Soに存在する。しかしながら、
図9に二点鎖線で示した内壁Iw3′のように、資材保管庫Sr2の広さを拡大し、その内部Siに、アンスクランブラUs及びアンスクランブラUsよりも搬送方向上流のPFコンベア2を設けた形態で本発明を実施することも可能である。この形態の場合には、PFコンベア2のうち、アンスクランブラUsにて姿勢が揃えられたプリフォームPFを搬送する部分が資材保管庫Sr2の外部Soに存在し、その部分がコンベアカバー20にて覆われる区間Scoに相当する。これにより、アンスクランブラUsが資材保管庫Sr2の外部Soに存在する上記各形態と比較して、資材保管庫Sr2の外部Soに存在するPFコンベア2の長さが短くなる。これにより、PFコンベアの搬送方向に関する各所の温度条件を調整することが容易になる。
【0064】
資材保管庫Sr2は、プリフォームPFの他、製品の製造に使用する資材が保管されているが、プリフォームPFのみを保管対象とする保管庫を使用する形態で本発明を実施してもよい。
【0065】
上記各形態の内部空気導入部71等の個数及び配置形態は任意である。例えば、PFコンベア2の搬送方向に関して等間隔で内部空気を導入する形態で実施してもよい。調整空気導入部81等の個数及び配置形態についても同様である。ただし、上記各形態の調整空気Taの閉空間CSへの供給は任意であり、調整空気Taを供給せずに内部空気Iaのみを供給する形態で本発明を実施してもよい。