(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5753952
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】ハイドレートペレットの貯蔵、運送及び解離用容器並びにこれを用いたハイドレートペレットの貯蔵、運送及び解離方法
(51)【国際特許分類】
F17C 11/00 20060101AFI20150702BHJP
F17C 13/00 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
F17C11/00 B
F17C13/00 302A
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-542219(P2014-542219)
(86)(22)【出願日】2012年9月6日
(65)【公表番号】特表2015-503067(P2015-503067A)
(43)【公表日】2015年1月29日
(86)【国際出願番号】KR2012007145
(87)【国際公開番号】WO2014038734
(87)【国際公開日】20140313
【審査請求日】2014年5月16日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0097461
(32)【優先日】2012年9月4日
(33)【優先権主張国】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513107735
【氏名又は名称】コリア インスティチュート オブ オーシャン サイエンス アンド テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン、ヒ ジン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ドン コン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ジン
【審査官】
白川 敬寛
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−343798(JP,A)
【文献】
韓国登録特許第10−0941485(KR,B1)
【文献】
特開2003−065496(JP,A)
【文献】
特開2001−279281(JP,A)
【文献】
特開2005−029163(JP,A)
【文献】
特表2008−546971(JP,A)
【文献】
水林博,ほか9名,"天然ガスハイドレート(NGH)陸上輸送実証試験",三井造船技報,日本,2011年 7月,第203号,p.1−9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/00−13/12
C10L 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフレームからなる第1容器;
前記第1容器の内部で回転可能に設置され、内部にハイドレートペレットが貯蔵され、内面に断熱部材が付着された第2容器;及び
前記第1容器の内部に設置され、前記第2容器を冷却させる冷凍機;を含み、
前記第2容器は、電源供給によって加熱されて前記ハイドレートペレットを解離させる熱線が内面に設けられるとか、あるいは温水が流動して前記ハイドレートペレットを解離させる温水流動管が内部に設けられ、内部で発生するボイルオフガス(boil off gas、BOG)を外部に排出させるBOGノズルが連結され、
前記BOGノズルは、
前記第2容器に連結され、前記第2容器の内部のBOGを前記第2容器の外部に排出させる第1BOGノズル;
前記第1BOGノズルに連結され、前記第1BOGノズルを開閉するBOGバルブ;及び
両端が前記BOGバルブとBOG収集装置に連結され、前記BOGバルブの開放によって前記BOGを前記BOG収集装置に排出させる第2BOGノズル;を含むことを特徴とする、ハイドレートペレットの貯蔵、運送及び解離用容器。
【請求項2】
前記第1容器は、
前記第2容器が内部中央に貫通する複数の支持板;及び
前記第2容器と前記支持板との間にそれぞれ設置される複数のボールベアリング;を含み、
前記第2容器は回転動力によって前記支持板の内部で回転することを特徴とする、請求項1に記載のハイドレートペレットの貯蔵、運送及び解離用容器。
【請求項3】
前記第2容器は、内部に圧力を検知する圧力センサー及び温度を検知する温度センサーをさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載のハイドレートペレットの貯蔵、運送及び解離用容器。
【請求項4】
前記第2容器は、前記ハイドレートペレットの解離によって発生するガスを外部に抽出するためのガスノズルが連結され、
前記ガスノズルは、
前記第2容器に連結され、前記第2容器の内部のガスを前記第2容器の外部に排出させる第1ガスノズル;
前記第1ガスノズルに連結され、前記第1ガスノズルを開閉するガスバルブ;及び
両端が前記ガスバルブとガス抽出装置に連結され、前記ガスバルブの開放によって前記ガスを前記ガス抽出装置に抽出させる第2ガスノズル;を含むことを特徴とする、請求項1に記載のハイドレートペレットの貯蔵、運送及び解離用容器。
【請求項5】
前記第2容器は、外周面に回転体と連結される羽部をさらに含み、
前記羽部は、前記回転体の回転動力を受けて前記第2容器を回転させることを特徴とする、請求項4に記載のハイドレートペレットの貯蔵、運送及び解離用容器。
【請求項6】
前記第2容器に着脱可能に連結されて前記第2容器を開閉する締結部材をさらに含み、
前記締結部材は、
前記第2容器に連結され、中央に前記BOGノズルが貫通し、周縁部に前記第1ガスノズル及びガスバルブが内蔵される円柱状の第1締結部材;
前記第1締結部材と一定間隔で隔たって配置され、中央に前記BOGノズルが貫通し、周縁部に前記第2ガスノズルが内蔵される円柱状の第2締結部材;及び
前記第1締結部材と前記第2締結部材との間に設置され、前記第2締結部材を前記第1締結部材に対して回転可能に連結するスラストベアリング;を含むことを特徴とする、請求項5に記載のハイドレートペレットの貯蔵、運送及び解離用容器。
【請求項7】
前記第2ガスノズルは前記第2締結部材の回転によって前記ガスバルブと同一直線上に配置され、前記ガスバルブの開放によって前記第1ガスノズルと連通されることを特徴とする、請求項6に記載のハイドレートペレットの貯蔵、運送及び解離用容器。
【請求項8】
前記第2締結部材は、前記ガスの漏出有無を検知するガス漏出センサーが内蔵され、周縁部に前記ガス抽出装置と結合される一対の結合板が備えられることを特徴とする、請求項7に記載のハイドレートペレットの貯蔵、運送及び解離用容器。
【請求項9】
ハイドレートペレットを第1容器の内部に設置された第2容器に貯蔵する貯蔵段階;
前記第1容器の内部に設置された冷凍機を作動させて前記第2容器の内部温度を一定に維持させ、前記ハイドレートペレットを運送する運送段階;及び
前記第2容器の内部に熱を供給して前記ハイドレートペレットを解離させる解離段階;を含み、
前記解離段階は、
前記第1容器をコンベヤーベルトで傾いた位置に移動させる容器移動工程;
前記第2容器を水平あるいは傾いた状態で回転体の回転動力によって回転させる容器回転工程;
前記第2容器の内部を加熱して前記ハイドレートペレットを解離させる熱量供給工程;及び
前記ハイドレートペレットの解離によって発生したガスを前記第2容器の外部に抽出するガス抽出工程;を含む
ことを特徴とする、ハイドレートペレットの貯蔵、運送及び解離方法。
【請求項10】
前記熱量供給工程は、前記第2容器の内面に設けられた熱線に電源を供給して前記ハイドレートペレットを解離させるとかあるいは前記第2容器の内部に設けられた温水流動管に温水を流動させて前記ハイドレートペレットを解離させることを特徴とする、請求項9に記載のハイドレートペレットの貯蔵、運送及び解離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハイドレートペレットを容易に貯蔵して運送することができ、容器を回転させながら加熱してハイドレートペレットを容易に解離させることができる容器及びこれを用いたハイドレートペレットの貯蔵、運送及び解離方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハイドレート(hydrate)は水分子と気体分子からなる氷状の固体物質で、所定の圧力及び温度の下で水及び気体分子を接触させることによって生成し、圧力または温度を変化させることによって水と気体分子に解離することができる。
【0003】
このようなハイドレートは高いガス内包性によってLNGの代わりをする天然ガスの新しい運送及び貯蔵手段として注目されている。
【0004】
図1は従来の天然ガスハイドレートの再ガス化装置を示す図である。
【0005】
例えば、大韓民国特許出願番号第10−2009−0077592号は、天然ガスハイドレートの再ガス化装置を紹介している。前記出願は、
図1に示したように、ハイドレートが連続的に投入されるように一つ以上設置される投入口102と、ハイドレートが加熱手段によって接触しながら再ガス化するように落下させるガイド部材104と、上端側に設置され、気化された天然ガスが排出されるガス排出口106と、下端部側に設置され、分離された水が排出される排水口とを含んでいる。
【0006】
一般に、天然ガスハイドレート(natrual gas hydrate、NGH)は大容量タンクに入れて運送するようになるが、これはハイドレートペレット(pallet)の自重によって膠着が発生する問題点がある。
【0007】
一方、ハイドレートを再気化または解離(以下では解離と言う)させるための従来の方式は、船舶のタンクで膠着したハイドレートを破砕して陸上に移した後、解離させる方式と、船舶でハイドレートが貯蔵されたタンクに直ちに温水や熱線などで熱を供給して解離させる方式とがある。
【0008】
このような方式はいずれもタンク内で積載及び移送中に膠着したハイドレートを粉砕または分離して陸上の解離設備に移すとか、あるいは熱を加えて船体タンク内のハイドレートを解離させる過程で船舶が港に長期間係留しなければならない問題点がある。
【0009】
また、ハイドレートの積荷役や解離に要求される長期間の船舶係留期間は船舶運航効率を低下させる主原因となり、ハイドレートペレットを積載するために回航する船舶は、荷物倉庫の役目をするタンクが空いたままで帰るようになる問題点がある。
【0010】
一般に、ハイドレートペレットは、積載時には各ハイドレートペレットが離れているので、船舶の復元性評価の際、粒子安定性(Grain Stability)を適用する必要があるが、時間が経つにつれて自重によって膠着することにより、タンク内の膠着形態によって船舶の挙動及び安全性に悪影響を与えることがある。
【0011】
一方、大容量タンクにハイドレートペレットを積載、移送する場合、ボイルオフガス(boil off gas、以下、BOGと言う)を燃料油として活用するためにDFエンジン(Dual Fuel Engine)を使う場合、ハイドレートペレットの組成によってメタンよりプロパンが先に蒸発するなどの特性があるため、BOGを燃料油として使用する場合、燃料間の特性差によって問題が発生することがあり、荷役の際には解離する気体の熱量及び組成が不均一になることがある。
【0012】
また、大容量タンクに貯蔵されたハイドレートペレットを溶かして解離させるためには温水などの供給が必要であるが、この場合、供給される温水はタンク内での結氷などを防ぐために界面活性剤などが添加される必要があり、このような温水は使用後の環境汚染などの理由で浄化処理が必要であるため、追加の設備及び費用が要求される問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は前述したような問題を解決するために発明されたもので、従来の大型タンクにハイドレートペレットを貯蔵することによって発生するハイドレートペレット間の膠着、これによる荷役期間の増大、解離のための温水投入時の界面活性剤の投入などによる環境汚染の脅威、処理費用などの問題を根本的に解決することができるハイドレートペレットの貯蔵、運送及び解離用容器並びにこれを用いたハイドレートペレットの貯蔵、運送及び解離方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述したような目的を達成するために、本発明によるハイドレートペレットの貯蔵、運送及び解離用容器は、複数のフレームからなる第1容器;前記第1容器の内部で回転可能に設置され、内部にハイドレートペレットが貯蔵され、内面に断熱部材が付着された第2容器;及び前記第1容器の内部に設置され、前記第2容器を冷却させる冷凍機;を含み、前記第2容器は、電源供給によって加熱されて前記ハイドレートペレットを解離させる熱線が内面に設けられるとか、あるいは温水が流動して前記ハイドレートペレットを解離させる温水流動管が内部に設けられることを特徴とする。
【0015】
また、前記第1容器は、前記第2容器が内部中央に貫通する複数の支持板;及び前記第2容器と前記支持板との間にそれぞれ設置される複数のボールベアリング;を含み、前記第2容器は回転動力によって前記支持板の内部で回転することを特徴とする。
【0016】
また、前記第2容器は、内部に圧力を検知する圧力センサー及び温度を検知する温度センサーをさらに含むことを特徴とする。
【0017】
また、前記第2容器は、内部で発生するボイルオフガス(boil off gas、BOG)を外部に排出させるBOGノズルが連結され、前記BOGノズルは、前記第2容器に連結され、前記第2容器の内部のBOGを前記第2容器の外部に排出させる第1BOGノズル;前記第1BOGノズルに連結され、前記第1BOGノズルを開閉するBOGバルブ;及び両端が前記BOGバルブとBOG収集装置に連結され、前記BOGバルブの開放によって前記BOGを前記BOG収集装置に排出させる第2BOGノズル;を含むことを特徴とする。
【0018】
また、前記第2容器は、前記ハイドレートペレットの解離によって発生するガスを外部に抽出するためのガスノズルが連結され、前記ガスノズルは、前記第2容器に連結され、前記第2容器の内部のガスを前記第2容器の外部に排出させる第1ガスノズル;前記第1ガスノズルに連結され、前記第1ガスノズルを開閉するガスバルブ;及び両端が前記ガスバルブとガス抽出装置に連結され、前記ガスバルブの開放によって前記ガスを前記ガス抽出装置に抽出させる第2ガスノズル;を含むことを特徴とする。
【0019】
また、前記第2容器は、外周面に回転体と連結される羽部をさらに含み、前記羽部は、前記回転体の回転動力を受けて前記第2容器を回転させることを特徴とする。
【0020】
また、前記第2容器に着脱可能に連結されて前記第2容器を開閉する締結部材をさらに含み、前記締結部材は、前記第2容器連結され、中央に前記BOGノズルが貫通し、周縁部に前記第1ガスノズル及びガスバルブが内蔵される円柱状の第1締結部材;前記第1締結部材と一定間隔で隔たって配置され、中央に前記BOGノズルが貫通し、周縁部に前記第2ガスノズルが内蔵される円柱状の第2締結部材;及び前記第1締結部材と前記第2締結部材との間に設置され、前記第2締結部材を前記第1締結部材に対して回転可能に連結するスラストベアリング;を含むことを特徴とする。
【0021】
また、前記第2ガスノズルは前記第2締結部材の回転によって前記ガスバルブと同一直線上に配置され、前記ガスバルブの開放によって前記第1ガスノズルと連通されることを特徴とする。
【0022】
また、前記第2締結部材は、前記ガスの漏出有無を検知するガス漏出センサーが内蔵され、周縁部に前記ガス抽出装置と結合される一対の結合板が備えられることを特徴とする。
【0023】
また、本発明によるハイドレートペレットの貯蔵、運送及び解離方法は、ハイドレートペレットを第1容器の内部に設置された第2容器に貯蔵する貯蔵段階;前記第1容器の内部に設置された冷凍機を作動させて前記第2容器の内部温度を一定に維持させ、前記ハイドレートペレットを運送する運送段階;及び前記第2容器の内部に熱を供給して前記ハイドレートペレットを解離させる解離段階;を含むことを特徴とする。
【0024】
また、前記解離段階は、前記第1容器をコンベヤーベルトで傾いた位置に移動させる容器移動工程;前記第2容器を水平あるいは傾いた状態で回転体の回転動力によって回転させる容器回転工程;前記第2容器の内部を加熱して前記ハイドレートペレットを解離させる熱量供給工程;及び前記ハイドレートペレットの解離によって発生したガスを前記第2容器の外部に抽出するガス抽出工程;を含むことを特徴とする。
【0025】
また、前記熱量供給工程は、前記第2容器の内面に設けられた熱線に電源を供給して前記ハイドレートペレットを解離させるとかあるいは前記第2容器の内部に設けられた温水流動管に温水を流動させて前記ハイドレートペレットを解離させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
前述したように、本発明によれば、容器を回転させながら容器の内部に温水を供給するとか熱を供給することにより、容器の内部のハイドレートペレットを効果的に解離させることができる効果がある。
【0027】
また、本発明によれば、ハイドレートをNGHガスフィールドで製造して船舶に積載するとか荷役して陸上の解離設備に移す過程中に長期間船舶が係留することによって発生する船舶の可用度(Availability)制限の問題を改善することができる効果がある。
【0028】
また、本発明によれば、大型タンクを採用する低速肥大船形に比べて高速船形であるコンテナ船形を活用することができるので、運航期間を縮めることにより、BOGの発生量を顕著に減少させることができる効果がある。
【0029】
また、容器内のハイドレートペレットは界面活性剤などが含まれなかった純粋な温水(H
20)や熱線によって加熱されることにより、廃温水の貯蔵、浄化に必要な設備の問題を根本的に解決することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】従来の天然ガスハイドレートの再ガス化装置を示す図である。
【0031】
【
図2】本発明によるハイドレートペレットの貯蔵、運送及び解離用容器の構成図である。
【0032】
【0033】
【0034】
【
図5】本発明による第2容器を回転体の結合図である。
【0035】
【
図6】本発明による第1締結部材と第2締結部材の結合図である。
【0036】
【0037】
【0038】
【
図9】本発明による第2締結部材とガス抽出装置の結合図である。
【0039】
【
図10】本発明によるハイドレートペレットの貯蔵、運送及び解離方法のブロック図である。
【0040】
【
図11】本発明による解離段階のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施例を詳細に説明する。まず、図面において同一の構成要素または部品はできるだけ同一参照符号で示していることに留意しなければならない。本発明の説明において、関連の公知の機能や構成についての具体的な説明は本発明の要旨をあいまいにしないように省略する。
【0042】
図2は本発明によるハイドレートペレットの貯蔵、運送及び解離用容器の構成図である。
【0043】
本発明によるハイドレートペレットの貯蔵、運送及び解離用容器は、
図2に示したように、第1容器100、第2容器200、及び冷凍機300を含む。ここで、前記冷凍機300は前記第1容器100の内部に設置され、前記第2容器200を冷却させることができる。
【0044】
前記第1容器100は重量減少のために複数のフレームからなったコンテナ状に形成されることができる。
【0045】
前記第2容器200は前記第1容器100の内部で回転可能に設置され、内部にハイドレートペレットが貯蔵されることができる。
【0046】
具体的に、前記第1容器100は、前記第2容器200を回転させるために、前記第2容器200を内部中央に貫通させ、前記第2容器200を支持する複数の支持板500を含むことができる。
【0047】
図3は本発明による第2容器の設置例示図である。
【0048】
前記支持板500は前記第1容器100に一定間隔で隔たって設置されることができる。ここで、それぞれの支持板500は、
図3に示したように、内部中央に前記第2容器200を前記支持板500に結合させるためのボールベアリング600が設置されることができる。
【0049】
前記ボールベアリング600は前記第2容器200を前記支持板500の内部で回転させるための構成のもので、前記ボールベアリング600が前記第2容器200と前記支持板500との間に設置されることにより、前記第2容器200は外部から供給される回転動力によって前記支持板500の内部で容易に回転することができ、よって前記第2容器200は前記冷凍機300によって冷却されるとかあるいは後述する熱線または温水流動管によって加熱される場合、均一に冷却または加熱されることができる。
【0050】
一方、前記第2容器200は、内部空間に真空状態が形成されるとか、内面に断熱部材(図示せず)が付着された断熱容器からなることができる。
【0051】
前記第2容器200が断熱容器からなることにより、前記冷凍機300によって前記第2容器200が冷却された場合、前記第2容器200の冷却状態を維持させ、前記第2容器200に貯蔵されるハイドレートペレットの自己保存(Self Preservation)状態を維持させることができる。
【0052】
すなわち、前記第2容器100は、前記ハイドレートペレットの自己保存のために、前記第2容器200に貯蔵される前記ハイドレートペレットの組成によって適正の温度及び圧力を維持させることにより、運送の際、前記ハイドレートペレットの解離を最大に抑制することができる。
【0053】
また、前記第2容器200は、内部に設けられる熱線または温水流動管によって加熱された場合、内部加熱状態を維持させることにより、解離の際、前記ハイドレートペレットを容易に解離させることができる。
【0054】
図4は本発明による第2容器の内部構成図である。
【0055】
前記第2容器200は、前記ハイドレートペレットを解離させるために、
図4に示したように、熱線210または温水流動管220を含むことができ、前記第2容器200の内部の圧力及び温度をそれぞれ検知するための圧力センサー230及び温度センサー240を含むことができる。
【0056】
前記熱線210は前記第2容器200の内面に設けられ、前記第1容器100の外部に設置される電源供給部(図示せず)から電源を受けて前記第2容器200を加熱させることにより、前記ハイドレートペレットを容易に解離させることができる。
【0057】
前記温水流動管220は、前記第1容器100の外部に設置される温水供給部(図示せず)から温水を受けて前記第2容器200を加熱させることにより、前記ハイドレートペレットを容易に解離させることができる。
【0058】
前記圧力センサー230と温度センサー240は、前記ハイドレートペレットの運送のために前記第2容器200が冷却されるとか、あるいは前記ハイドレートペレットの解離のために前記第2容器200が加熱される場合、前記第2容器200の内圧及び内部温度をそれぞれ検知して制御部(図示せず)に検知値を出力することができる。ここで、前記制御部は、例えば冷却された第2容器200の内部温度が既設定値より高い場合、前記冷凍機300を作動させて前記第2容器200を冷却させることができ、また加熱された第2容器200の内部温度が既設定値より低い場合、前記熱線210に電源を供給するとか前記温水流動管220に温水を供給することにより、前記第2容器200を加熱させることができ、さらに前記ハイドレートペレットの運送の際、前記第2容器200で発生したBOGによって前記第2容器200の内圧が上昇して既設定値を超える場合、圧力低下のために後述するBOGノズルを通じて前記BOGを前記第2容器200の外部に排出させることができる。
【0059】
図5は本発明による第2容器を回転体の結合図である。
【0060】
一方、前記第2容器200は、
図2及び
図4に示したように、外周面に羽部400を備えることができる。前記羽部400は、
図5に示したように、回転体700と連結され、前記回転体700の回転動力を受けて前記第2容器200を回転させることができる。
【0061】
ここで、前記回転体700は電源供給部(図示せず)の電源供給ライン710または温水供給部(図示せず)の温水供給ライン720を内蔵することができる。
【0062】
図6は本発明による第1締結部材と第2締結部材の結合図である。
【0063】
一方、前記第2容器200は、前記ハイドレートペレットの解離によって発生するBOG及びガスをそれぞれ第2容器200の外部に排出するために、
図6に示したように、BOGノズル250及びガスノズル260が連結されることができる。
【0064】
具体的に、前記BOGノズル250は、前記ハイドレートペレットの運送の際、前記第2容器200の内部で発生するBOGを前記第2容器200の外部に排出させることができ、前記ガスノズル260は、前記ハイドレートペレットの解離の際、前記第2容器200の内部で発生するガスを前記第2容器200の外部に抽出することができる。
【0065】
前記BOGノズル250は、第1BOGノズル251、BOGバルブ253、及び第2BOGノズル252を含むことができる。
【0066】
具体的に、前記第1BOGノズル251は前記第2容器200に連結され、前記第2容器200の内部のBOGを前記第2容器200の外部に排出させることができる。
【0067】
前記BOGバルブ253は前記第1BOGノズル251に連結され、前記第1BOGノズル251を開閉することができる。
【0068】
すなわち、前記BOGバルブ253は、前記第2容器200の内圧が既設定値を超える場合に開放され、既設定値の範囲内にある場合に閉鎖されることができる。
【0069】
前記第2BOGノズル252は、両端が前記BOGバルブ253とBOG収集装置(図示せず)に連結されることができる。例えば、前記BOGバルブ253が開放される場合、前記BOGをBOG収集装置(図示せず)に排出させることができる。
【0070】
前記ガスノズル260は、第1ガスノズル261、ガスバルブ263、及び第2ガスノズル262を含むことができる。
【0071】
具体的に、前記第1ガスノズル261は前記第2容器200に連結され、前記第2容器200の内部のガスを前記第2容器200の外部に排出させることができる。
【0072】
前記ガスバルブ263は前記第1ガスノズル261に連結され、前記第1ガスノズル261を開閉することができる。
【0073】
前記第2ガスノズル262は、両端が前記ガスバルブ263とガス抽出装置にそれぞれ連結されることができる。例えば、前記ガスバルブ263が開放される場合、前記ガスを前記ガス抽出装置に抽出することができる。
【0074】
一方、本発明によるハイドレートペレットの貯蔵、運送及び解離用容器は、前記第2容器200に着脱可能に連結され、前記第2容器を開閉する締結部材270をさらに含むことができる。
【0075】
具体的に、前記締結部材270は、前記第2容器200に連結される第1締結部材275、前記第1締結部材275から一定間隔で隔たって配置される第2締結部材280、及び前記第1締結部材275と前記第2締結部材280との間に設置され、前記第2締結部材280を前記第1締結部材275に対して回転可能に連結するスラストベアリング290を含むことができる。
【0076】
図7は本発明による第1締結部材の構成図である。
【0077】
具体的に、前記第1締結部材275は円柱状に形成され、前記第2容器200に着脱可能に連結され、前記第2容器200の回転によって一緒に回転することができる。前記第1締結部材275は、
図7に示したように、中央に前記BOGノズル250が貫通するホールが形成され、周縁部に前記第1ガスノズル261及びガスバルブ263が内蔵されるホールが形成されることができる。
【0078】
図8は本発明による第2締結部材の構成図である。
【0079】
また、前記第2締結部材280は円柱状に形成され、前記スラストベアリング290によって前記第1締結部材275と回転可能に連結されることができる。前記第2締結部材280は、
図6に示したように、ガスの漏出有無を検知するガス漏出センサー281を内蔵することができ、
図8に示したように、中央に前記BOGノズル250が貫通するホールが形成されることができ、周縁部に前記第2ガスノズル262が内蔵されるホールが形成されることができる。
【0080】
ここで、前記第2ガスノズル262は、前記第2締結部材280の回転によって、
図6に示したように、前記ガスバルブ263と同一直線上に配置されることができ、前記ガスバルブ263の開放によって前記第1ガスノズル261と連通されることができる。
【0081】
図9は本発明による第2締結部材とガス抽出装置の結合図である。
【0082】
一方、前記第2締結部材280は周縁部に一対の結合板282を備えることができる。ここで、前記結合板282は、
図9に示したように、前記ガス抽出装置800に挿入固定され、前記締結部材270を前記ガス抽出装置800に結合させることができる。
【0083】
以下、本発明によるハイドレートペレットの貯蔵、運送及び解離方法を詳細に説明する。
【0084】
図10は本発明によるハイドレートペレットの貯蔵、運送及び解離方法のブロック図である。
【0085】
本発明によるハイドレートペレットの貯蔵、運送及び解離方法は、
図10に示したように、貯蔵段階(S10)、運送段階(S20)及び解離段階(S30)を含む。
【0086】
前記貯蔵段階(S10)は、ハイドレートペレットを、
図2に示したように、第1容器100の内部に設置された第2容器200に貯蔵する段階である。
【0087】
前記貯蔵段階(S10)では、まず前記第2容器200に結合された締結部材270を分離させた後、前記第2容器200の内部にハイドレートペレットを充填し、その後前記締結部材270を前記第2容器200に再び結合させることにより、ハイドレートペレットを前記第2容器200に貯蔵することができる。
【0088】
前記運送段階(S20)は、前記第1容器100の内部に設置された冷凍機300を作動させて前記第2容器200の内部温度を一定に維持させて前記ハイドレートペレットを運送する段階である。
【0089】
前記運送段階(S20)では、例えばBOGが発生して前記第2容器200の内圧が上昇する場合、
図6に示したように、BOGノズル250を開放し、必要によって前記BOGを容器別に収集して燃料として活用するとか、BOGの量が微量であるとかあるいは混合気体として燃料油の活用性が低いとか経済性がない場合、大気中に揮発させることができる。
【0090】
前記解離段階(S30)は、前記第2容器200の内部に熱を供給して前記ハイドレートペレットを解離させる段階である。
【0091】
図11は本発明による解離段階のブロック図である。
【0092】
前記解離段階(S30)は、
図11に示したように、容器移動工程(S31)、容器回転工程(S32)、熱量供給工程(S33)、及びガス抽出工程(S34)を含む。
【0093】
前記容器移動工程(S31)は、前記第1容器100をコンベヤーベルトで傾いた位置に移動させる工程である。
【0094】
前記容器回転工程(S32)は、前記第2容器200が水平あるいは傾いた状態で外周面に設けられた羽部400を、
図5に示したように、回転体700と連結した後、前記回転体700の回転動力によって前記第2容器200を回転させる工程であり、前記第2容器200が回転することによってハイドレートペレットのガスがなだらかに解離することができる。
【0095】
前記熱量供給工程(S33)は、前記第2容器200の内部を加熱して前記ハイドレートペレットを解離させる工程である。
【0096】
具体的に、前記容器加熱工程(S33)では、
図4に示したように、前記第2容器200の内面に設けられた熱線210に電源を供給して前記第2容器200を加熱させるとか、前記第2容器200に設けられた温水流動管220に温水を流動させて前記第2容器200を加熱させることにより、前記ハイドレートペレットを解離させることができる。
【0097】
前記ガス抽出工程(S34)は、前記ハイドレートペレットの解離によって発生したガスを前記第2容器200の外部に抽出する工程である。
【0098】
具体的に、前記ガス抽出工程(S34)では、第2締結部材280を第1締結部材275に対して回転させて、第1ガスノズル261、ガスバルブ263及び第2ガスノズル262を同一直線上に配置した後、前記ガスバルブ263を開放して前記第1ガスノズル261と前記第2ガスノズル262を連通させることにより、前記第2容器200で発生したガスを前記第2容器200の外部に抽出することができる。
【0099】
以上のように、本発明によるハイドレートペレットの貯蔵、運送及び解離用容器並びにこれを用いたハイドレートペレットの貯蔵、運送及び解離方法を例示した図面に基づいて説明したが、本明細書に開示された実施例と図面によって本発明が限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で当業者によって多様な変形が可能であるのは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明によれば、ハイドレートペレットを容器内に容易に貯蔵して運送することができ、容器回転させながら加熱してハイドレートペレットを容易に解離させることができるので、ハイドレートペレットの貯蔵、運送、解離の分野に一層効果的に適用することができる。
【符号の説明】
【0101】
100 第1容器
200 第2容器
210 熱線
220 温水流動管
230 圧力センサー
240 温度センサー
250 BOGノズル
251 第1BOGノズル
252 第2BOGノズル
253 BOGバルブ
260 ガスノズル
261 第1ガスノズル
262 第2ガスノズル
263 ガスバルブ
270 締結部材
275 第1締結部材
280 第2締結部材
281 ガス漏出センサー
282 結合板
290 スラストベアリング
300 冷凍機
400 羽部
500 支持板
600 ボールベアリング
700 回転体
710 電源供給ライン
720 温水供給ライン
800 ガス抽出装置
S10 貯蔵段階
S20 運送段階
S30 解離段階
S31 容器移動工程
S32 容器回転工程
S33 熱量供給工程
S34 ガス抽出工程