(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内容物の供給口部を有する水不溶性の容器を、前記供給口部を下向きに設置し、前記供給口部へ水が噴射されて内容物を溶かしながら供給する方式の自動食器洗浄機用のカートリッジ洗浄剤であって、前記容器は、容器本体と中蓋体と外蓋体とからなり、前記内容物は、アルカリ剤を10〜60重量%、防食剤を0.05〜5重量%及びキレート剤を8〜60重量%含む洗浄剤組成物と、塩素剤とを含み、前記洗浄剤組成物は、所定形状に成形された固形体、粒状体又は粉状体からなり、前記塩素剤は、所定形状に成形された固形体、粒状体又は粉状体からなり、前記容器本体には、前記洗浄剤組成物が収容されており、前記中蓋体には、前記塩素剤が収容されており、前記容器本体と前記中蓋体との間には、前記塩素剤又は前記洗浄剤組成物の移動を防止する仕切りが設けられていることを特徴とするカートリッジ洗浄剤。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0028】
本発明の洗浄剤組成物は、アルカリ剤を10〜60重量%、防食剤を0.05〜5重量%及びキレート剤を8〜60重量%含む。
本明細書中、洗浄剤組成物の各成分の配合量は、特に断らない場合には洗浄剤組成物に対する重量%である。
上記アルカリ剤、防食剤及びキレート剤は、それぞれ1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
上記アルカリ剤としては、水溶性のアルカリ剤であればよく、例えば、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を用いることができる。アルカリ金属塩としては、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属のリン酸塩、アルカリ金属の炭酸塩及びケイ酸のアルカリ金属塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物が好ましく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;リン酸三ナトリウム等のアルカリ金属のリン酸塩;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;ケイ酸ナトリウム(メタケイ酸ナトリウム、セスキケイ酸ナトリウム、オルソケイ酸ナトリウム、ケイ酸ソーダ1号、ケイ酸ソーダ2号、ケイ酸ソーダ3号、ケイ酸ソーダ4号)、ケイ酸カリウム(メタケイ酸カリウム、セスキケイ酸カリウム、オルソケイ酸カリウム)等のケイ酸のアルカリ金属塩が好ましい。これらのアルカリ剤は、水和物となっていてもよい。中でも、ケイ酸のアルカリ金属塩がより好ましく、ケイ酸ナトリウムがさらに好ましい。なお、後記するキレート剤として例示される化合物は、本発明におけるアルカリ剤には含まれない。
【0030】
上記ケイ酸ナトリウムを構成するNa
2OとSiO
2とのモル比は、Na
2O:SiO
2=1:0.5〜1:4であることが好ましく、1:0.6〜1:4がより好ましい。Na
2OとSiO
2とのモル比がこのようなケイ酸ナトリウムを用いると、洗浄剤組成物の防食能がさらに向上する。Na
2OとSiO
2とのモル比は、さらに好ましくはNa
2O:SiO
2=1:0.7〜1:3.5である。
【0031】
本発明の洗浄剤組成物においては、上記アルカリ剤が、ケイ酸のアルカリ金属塩を含むことが好ましい。この場合に、上記アルカリ剤に含まれるSiO
2と、Na
2Oとして換算した上記アルカリ剤とのモル比が、アルカリ剤(Na
2O換算):SiO
2=1:0.6〜1:4であることが好ましい。上記アルカリ剤に含まれるSiO
2と、アルカリ剤(Na
2O換算)とのモル比が上記範囲であると、洗浄剤組成物がより防食能に優れるものとなる。上記アルカリ剤に含まれるSiO
2と、アルカリ剤(Na
2O換算)とのモル比(アルカリ剤(Na
2O換算):SiO
2)は、より好ましくは1:0.7〜1:4であり、更に好ましくは1:0.8〜1:4である。
【0032】
上記アルカリ剤の含有量は、洗浄剤組成物に対して10〜60重量%である。アルカリ剤が10重量%未満であると、洗浄剤組成物の洗浄力が不充分となる。アルカリ剤が60重量%を超えると、洗浄剤組成物の防食能が不充分となる。上記アルカリ剤の含有量は、好ましくは20〜50重量%である。
【0033】
上記防食剤としては、銅又は銅合金に対する防食剤を用いることが好ましい。このような防食剤として、例えば、ベンゾトリアゾール又はその誘導体(例えば、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5−ドデシルベンゾトリアゾール、5−オクチルベンゾトリアゾール、5−ヘキシルベンゾトリアゾール、5−ブチルベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、4−カルボキシベンゾトリアゾール、5−カルボキシベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾールメチルエステル、カルボキシベンゾトリアゾールブチルエステル、カルボキシベンゾトリアゾールヘキシルエステル、ベンゾトリアゾールオクチルエステル、ジカルボキシプロピルベンゾトリアゾール等)、ベンゾイミダゾール又はその誘導体(例えば、ベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、チアゾリルベンゾイミダゾール、チアベンダゾール等)、ベンゾチアゾール又はその誘導体(例えば、ベンゾチアゾール、2−メチルベンゾチアゾール、2−アミノベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール等)を好適に使用することができる。中でも、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾールが好ましく、ベンゾイミダゾールがより好ましい。
【0034】
上記防食剤の含有量は、洗浄剤組成物に対して0.05〜5重量%である。防食剤が0.05重量%未満であると、洗浄剤組成物の防食能が不充分となる。防食剤が5重量%を超えると、防食剤特有の臭いの影響が強くなる。上記防食剤の含有量は、好ましくは0.1〜2重量%である。
【0035】
上記キレート剤としては、アミノカルボン酸系、ヒドロキシカルボン酸系、リン酸系、エーテルカルボン酸塩、ホスホン酸系等のキレート剤が挙げられる。なお、後記する平均分子量3,000〜300,000の高分子分散剤として例示されるポリアクリル酸ナトリウム等の化合物は、本発明におけるキレート剤には含まれない。
【0036】
上記アミノカルボン酸系のキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、グルタミン酸二酢酸(GLDA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、1,3−プロパンジアミン四酢酸(PDTA)、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン六酢酸(DPTA−OH)、アスパラギン酸二酢酸(ASDA)、エチレンジアミンコハク酸(EDDS)又はこれらの塩等が挙げられる。
【0037】
上記ヒドロキシカルボン酸系のキレート剤としては、例えば、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、グルコン酸又はこれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等)が挙げられる。具体的には、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム等のクエン酸塩;リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸カルシウム等のリンゴ酸塩;グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カルシウム等のグルコン酸塩等が挙げられる。
【0038】
上記リン酸系のキレート剤としては、トリポリリン酸、ヘキサメタリン酸塩等が挙げられる。
上記ホスホン酸系のキレート剤としては、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)、ニトリロトリスメチレンホスホン酸(NTMP)、ホスホノブタントリカルボン酸(PBTC)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)又はこれらの塩等が挙げられる。
【0039】
本発明におけるキレート剤としては、アミノカルボン酸系、ホスホン酸系等のキレート剤が好ましく、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、メチルグリシン二酢酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ホスホノブタントリカルボン酸又はこれらの塩等がより好ましく、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸又はこれらの塩がさらに好ましい。
【0040】
上記キレート剤の含有量は、洗浄剤組成物に対して8〜60重量%である。キレート剤が8重量%未満であると、洗浄剤組成物の洗浄力が不充分となる。キレート剤が60重量%を超えると、洗浄剤組成物の防食能が不充分となる。上記キレート剤の含有量は、好ましくは30〜50重量%である。
【0041】
本発明の洗浄剤組成物は、塩素剤を含むことが好ましい。
上記塩素剤としては、例えば、塩素化イソシアヌル酸塩(塩素化イソシアヌル酸ナトリウム(ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム)、塩素化イソシアヌル酸カリウム(ジクロロイソシアヌル酸カリウム)等)、トリクロロイソシアヌル酸、次亜塩素酸塩(次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム等)等が挙げられる。これらの塩素剤は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらの塩素剤は、水和物であってもよい。中でも、塩素剤として、塩素化イソシアヌル酸塩、トリクロロイソシアヌル酸が好ましく、塩素化イソシアヌル酸ナトリウムがより好ましい。
【0042】
本発明の洗浄剤組成物が塩素剤を含む場合、塩素剤の含有量は、洗浄剤組成物に対して1〜10重量%が好ましい。上記塩素剤の含有量は、水又は結晶水を除いた純分の重量%である。塩素剤が1重量%未満であると、洗浄力と除菌効果、脱臭作用又は漂白作用とにおいて充分な効果が得られない場合がある。塩素剤が10重量%を超えると、洗浄剤組成物の防食能が低下する場合がある。塩素剤の含有量は、好ましくは2〜5重量%である。
【0043】
本発明の洗浄剤組成物は、界面活性剤及び/又は平均分子量3,000〜300,000の高分子分散剤を含有することが好ましく、界面活性剤及び平均分子量3,000〜300,000の高分子分散剤を含有することがより好ましい。これらはそれぞれ1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0044】
本発明の洗浄剤組成物に使用される界面活性剤としては、公知の陰イオン界面活性剤、公知の陽イオン界面活性剤、公知の両性界面活性剤、公知の非イオン界面活性剤等を使用することができ、好ましくは非イオン界面活性剤である。非イオン界面活性剤として、例えば、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンジアルキルエーテル、プルロニック型ブロックポリマー、リバースプルロニック型ブロックポリマー、テトロニック型ブロックポリマー、リバーステトロニック型ブロックポリマー、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、ポリオキシエチレンメチルエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン等が挙げられる。中でも、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルが好ましい。
【0045】
上記界面活性剤の含有量は、洗浄剤組成物に対して0.01〜10重量%であることが好ましい。界面活性剤の含有量が上記範囲であると、洗浄剤組成物の洗浄力がより向上するため好ましい。界面活性剤の含有量は、2〜8重量%がより好ましい。
【0046】
上記平均分子量3,000〜300,000の高分子分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリアコニット酸、ポリイタコン酸、ポリシトラコン酸、ポリフマル酸、ポリマレイン酸、ポリメタコン酸、ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸、ポリビニルホスホン酸、スルホン化ポリマレイン酸、オレフィン−マレイン酸共重合体、無水マレイン酸ジイソブチレン共重合体、無水マレイン酸スチレン共重合体、無水マレイン酸メチルビニルエーテル共重合体、無水マレイン酸エチレン共重合体、無水マレイン酸エチレンクロスリンク共重合体、無水マレイン酸アクリル酸共重合体、無水マレイン酸酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸アクリロニトリル共重合体、無水マレイン酸アクリル酸エステル共重合体、無水マレイン酸ブタジエン共重合体、無水マレイン酸イソプレン共重合体、無水マレイン酸と一酸化炭素から誘導されるポリ−β−ケトカルボン酸、イタコン酸、エチレン共重合体、イタコン酸アコニット酸共重合体、イタコン酸マレイン酸共重合体、イタコン酸アクリル酸共重合体、マロン酸メチレン共重合体、イタコン酸フマール酸共重合体、エチレングリコールエチレンテレフタレート共重合体、ビニルピロリドン酢酸ビニル共重合体、これらの金属塩等が挙げられる。
金属塩としては、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属の塩;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の塩を挙げることができる。中でも、アルカリ金属の塩が好ましく、ナトリウム塩又はカリウム塩がより好ましい。
本発明における3,000〜300,000の高分子分散剤としては、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムがより好ましい。
【0047】
上記平均分子量3,000〜300,000の高分子分散剤の含有量は、洗浄剤組成物に対して0.1〜20重量%であることが好ましい。高分子分散剤の含有量が上記範囲であると、洗浄剤組成物の洗浄力がより向上するため好ましい。上記高分子分散剤の含有量は、1〜18重量%がより好ましく、3〜15重量%がさらに好ましい。
【0048】
本発明の洗浄剤組成物は、必要に応じて溶媒、増量剤、酵素、消泡剤等の洗浄剤組成物に配合される他の成分を含有してもよい。これらは1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0049】
上記溶媒としては、水等が挙げられる。
上記増量剤としては、硫酸ナトリウム(芒硝)、粉末シリカ等が挙げられる。
上記酵素としては、プロテアーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、ヌクレアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ及びペクチナーゼ等が挙げられる。これらの酵素が含まれていると、酵素の機能により洗浄力が向上する。
上記消泡剤としては、エマルジョン型、オイル型、オイルコンパウンド型、溶液型、自己乳化型等の消泡剤が挙げられる。
【0050】
本発明の洗浄剤組成物の剤形は、液体、固体(粉末、顆粒(粒状)、錠剤、タブレット、フレーク又はブロック等)のいずれでもよい。好ましくは、固体であり、粉末、顆粒、ブロック等である。また、本発明の洗浄剤組成物は、カートリッジ洗浄剤等にも好適に使用される。
【0051】
本発明の洗浄剤組成物の製造方法は特に限定されず、剤形に応じて適宜選択すればよい。例えば、上述したアルカリ剤、防食剤及びキレート剤並びに所望により配合される塩素剤、非イオン界面活性剤及び高分子分散剤等を混合又は撹拌等することにより製造することができる。各成分を混合する順番、混合又は撹拌の方法等は特に限定されない。
【0052】
例えば、ブロックなどの固形体の洗浄剤組成物を製造する際には、例えば、まず、水及び水以外の洗浄剤組成物の原料を撹拌混合し、スラリー液を調製した後、上記スラリー液を所望の型又は容器等に投入し、冷却して固化させることが好ましい。
【0053】
具体的には、まず、水に水以外の洗浄剤組成物の原料を加えた後、30〜90℃に維持し、攪拌することにより、水及び洗浄剤組成物を含むスラリー液を調製する。
水以外の洗浄剤組成物の原料の投入量は、上記スラリー液の全量に対して35〜100重量%が好ましい。
次に、上記スラリー液を所望の型又は容器に投入し、その後、上記スラリー液を常温で1〜24時間放置して固化させ、型又は容器の形状に固化された固形体からなる洗浄剤組成物を製造する。
【0054】
顆粒状(粒状)の洗浄剤組成物を製造する際には、洗浄剤組成物の原料となるアルカリ剤、防食剤及びキレート剤並びに所望により添加される塩素剤、界面活性剤及び高分子分散剤等の粒状原料を混合すればよい。混合にはリボンミキサー、ナウターミキサー、ドラムミキサーが好適に用いられる。
また、粉末状の洗浄剤組成物を製造する際には、洗浄剤組成物の原料となるアルカリ剤、防食剤及びキレート剤並びに所望により添加される塩素剤、界面活性剤及び高分子分散剤等の粉状原料を混合すればよい。混合にはリボンミキサー、ナウターミキサー、ドラムミキサーが好適に用いられる。
【0055】
本発明の洗浄剤組成物は、洗浄力に優れるものであり、かつアルミ、アルミ合金、銅、銅合金等の金属に対する防食能が高いため、例えば、自動食器洗浄機用洗浄剤組成物として好適に用いられる。
【0056】
本発明の洗浄剤組成物の使用方法としては、例えば食器等を洗浄する場合であれば、洗浄剤組成物を水で希釈した液体洗浄剤組成物を洗浄液として、食器等に接触させて洗浄すればよい。液体洗浄剤組成物における洗浄剤組成物の濃度は、例えば、0.03〜0.5重量%とすることが好ましい。このような濃度で使用することにより、洗浄液が優れた洗浄力及び防食能を発揮できるため好ましい。また、洗浄に用いる液体洗浄剤組成物(洗浄液)の温度は特に限定されないが、例えば、40〜70℃とすることが好ましい。
【0057】
本発明の洗浄剤組成物が塩素剤を含まない場合には、該洗浄剤組成物と塩素剤とを洗浄の際に併用することによっても、本発明の洗浄剤組成物が奏する優れた洗浄力及び防食能に加えて、塩素剤によるさらに優れた洗浄力と高い除菌効果、高い脱臭効果又は漂白効果とを得ることができる。
【0058】
本発明の食器洗浄方法は、本発明の洗浄剤組成物を使用する食器洗浄方法であって、自動食器洗浄機中で、上記洗浄剤組成物を水で希釈した液体洗浄剤組成物と食器とを接触させる洗浄工程を含み、上記液体洗浄剤組成物中の上記洗浄剤組成物の濃度は0.03〜0.5重量%であることを特徴とする。本発明の食器洗浄方法に用いられる自動食器洗浄機は特に限定されないが、好ましくは業務用自動食器洗浄機である。
【0059】
上記液体洗浄剤組成物中の上記洗浄剤組成物の濃度が0.03〜0.5重量%であると、液体洗浄剤組成物が優れた洗浄力及び防食能を発揮することができる。上記液体洗浄剤組成物中の上記洗浄剤組成物の濃度は、好ましくは0.04〜0.3重量%である。
【0060】
本発明の食器洗浄方法においては、上記液体洗浄剤組成物が、さらに塩素剤を3〜50ppm含むことが好ましい。本明細書中、液体洗浄剤組成物中の塩素剤の濃度は、以下の方法で測定される有効塩素濃度を意味する。洗浄槽の洗浄剤組成物(洗浄液)を100gサンプリングし、ヨウ化カリウム5gと反応させ、0.01Nチオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定する。その滴定量A(mL)、求める有効塩素濃度をAvCL(ppm)とすると、AvCL(ppm)=A(mL)×3.546で求めることができる。
上記液体洗浄剤組成物が塩素剤を3〜50ppm含むと、塩素剤によるさらに優れた洗浄力と高い除菌効果、高い脱臭効果又は漂白効果とを発揮することができるため好ましい。上記液体洗浄剤組成物中の塩素剤の濃度は、好ましくは5〜45ppmである。
【0061】
上記塩素剤は、洗浄剤組成物に含まれていたものであってもよく、洗浄剤組成物とは別に添加されたものであってもよい。本発明の食器洗浄方法においては、洗浄剤組成物として、上述した塩素剤を含む洗浄剤組成物を使用してもよく、塩素剤を含まない洗浄剤組成物を使用してもよい。
【0062】
上記洗浄工程において塩素剤を含む洗浄剤組成物を用いる場合には、該洗浄剤組成物の濃度が0.03〜0.5重量%である液体洗浄剤組成物を調製した場合に、該液体洗浄剤組成物中の塩素剤の濃度が3〜50ppmとなるように、塩素剤の配合量を適宜設定することが好ましい。塩素剤及びその好ましい態様は上述したとおりであり、1種又は2種以上を使用することができる。
【0063】
上記洗浄工程に用いられる洗浄剤組成物が塩素剤を含まない場合には、液体洗浄剤組成物に塩素剤を別途添加することができる。塩素剤の添加方法は、液体洗浄剤組成物中に塩素剤が上記量含まれることになればよく、特に限定されない。例えば、洗浄剤組成物を水で希釈した水溶液に塩素剤を添加して液体洗浄剤組成物を調製してもよく、洗浄剤組成物に使用時に塩素剤を添加してもよく、水で塩素剤を希釈した塩素剤水溶液で洗浄剤組成物を希釈してもよい。
このような、塩素剤を含まない本発明の洗浄剤組成物と塩素剤とを使用する食器洗浄方法であって、自動食器洗浄機中で、上記洗浄剤組成物と塩素剤とを水で希釈した液体洗浄剤組成物と食器とを接触させる洗浄工程を含み、上記液体洗浄剤組成物中の上記洗浄剤組成物の濃度は0.03〜0.5重量%であり、上記塩素剤の濃度は3〜50ppmである食器洗浄方法は、本発明の実施態様の1つである。
【0064】
また、洗浄工程では、塩素剤を含む洗浄剤組成物を使用し、さらに別途塩素剤を添加して液体洗浄剤組成物中の塩素濃度を調整することもできる。
上記洗浄工程において、洗浄剤組成物とは別に塩素剤を添加する場合、塩素剤としては上述した化合物が挙げられ、1種又は2種以上を使用することができる。中でも、塩素化イソシアヌル酸塩、トリクロロイソシアヌル酸、次亜塩素酸塩が好ましく、塩素化イソシアヌル酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸、次亜塩素酸ナトリウムがより好ましく、塩素化イソシアヌル酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウムがさらに好ましい。
【0065】
上記洗浄工程における液体洗浄剤組成物の温度は特に限定されないが、例えば、40〜70℃とすることが好ましく、50〜65℃がより好ましい。洗浄時間は特に限定されないが、通常1サイクル0.5〜2分であり、1サイクル1〜1.5分が好ましい。
【0066】
本発明の食器洗浄方法に用いられる洗浄剤組成物及びその好ましい態様等は、上述したとおりである。好ましくは、固体の洗浄剤組成物を用いる。
また、洗浄工程において塩素剤を洗浄剤組成物とは別に添加する場合、塩素剤は、固体であることが好ましい。上記塩素剤は、有効成分である塩素剤単独でもよく、塩素剤に結合補助剤等を加え、造粒、固形化等したものであってもよい。
【0067】
上記洗浄剤組成物及び所望により使用される塩素剤の供給方法等は特に限定されず、例えば、自動供給装置を利用してもよく、手動により投入してもよい。また、本発明の洗浄方法に使用される洗浄剤組成物及び塩素剤として、後述する液体洗浄剤組成物用キット又はカートリッジ洗浄剤等を用いることもできる。
【0068】
本発明の液体洗浄剤組成物用キットは、上記洗浄剤組成物と塩素剤とを含んで構成され、上記洗浄剤組成物と上記塩素剤とを混合して液体洗浄剤組成物を調製するためのキットであって、上記洗浄剤組成物は、上記塩素剤と分離された状態であることを特徴とする。
本発明の液体洗浄剤組成物用キットに含まれる洗浄剤組成物及びその好ましい態様等は上述したとおりであるが、塩素剤を含まないことが好ましい。
【0069】
上記塩素剤としては上述した化合物が挙げられ、1種又は2種以上を使用することができる。中でも、塩素化イソシアヌル酸塩、トリクロロイソシアヌル酸、次亜塩素酸塩が好ましく、塩素化イソシアヌル酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸、次亜塩素酸ナトリウムがより好ましく、塩素化イソシアヌル酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸がさらに好ましい。上記塩素剤は、有効成分である塩素剤単独でもよく、塩素剤に結合補助剤等を加え、造粒、固形化等したものであってもよい。
本発明のキットにおける上記洗浄剤組成物と上記塩素剤との合計量に対する上記塩素剤の割合は、1〜10重量%が好ましく、より好ましくは2〜5重量%である。また、例えば本発明の液体洗浄剤組成物用キットを上記食器洗浄方法に用いる場合には、洗浄剤組成物の濃度が0.03〜0.5重量%である液体洗浄剤組成物を調製した場合に、該液体洗浄剤組成物中の塩素剤の濃度が3〜50ppmとなるように、塩素剤の配合量を適宜設定することが好ましい。
【0070】
本発明の液体洗浄剤組成物用キットは、上記洗浄剤組成物と上記塩素剤とを分離された状態で含むものであればよく、その形態等は特に限定されない。例えば、後述するカートリッジ洗浄剤等も本発明のキットの好ましい実施態様の一つである。
【0071】
本発明のカートリッジ洗浄剤は、内容物の供給口部を有する水不溶性の容器を、上記供給口部を下向きに設置し、上記供給口部へ水が噴射されて内容物を溶かしながら供給する方式の自動食器洗浄機用のカートリッジ洗浄剤であって、
上記容器は、容器本体と中蓋体と外蓋体とからなり、
上記内容物は、本発明の洗浄剤組成物と、塩素剤とを含み、
上記洗浄剤組成物は、所定形状に成形された固形体、粒状体又は粉状体からなり、上記塩素剤は、所定形状に成形された固形体、粒状体又は粉状体からなり、
上記容器本体には、上記洗浄剤組成物が収容されており、
上記中蓋体には、上記塩素剤が収容されており、上記容器本体と上記中蓋体との間には、上記塩素剤又は上記洗浄剤組成物の移動を防止する仕切りが設けられていることを特徴とする。
【0072】
なお、本発明における固形体とは、洗浄剤組成物においては、直径5cm以上(好ましくは直径5〜30cm)の球状、直径5cm以上(好ましくは直径5〜25cm)で高さが5cm以上(好ましくは高さが5〜25cm)の円柱状又はそれと同等の体積のものを80重量%以上含むものをいい、塩素剤においては直径5mm以上(好ましくは直径5〜50mm)の球状又はそれと同等の体積のものを80重量%以上含むものをいう。また、粒状体とは、上記した固形体の条件に該当せず、直径0.1mm以上(好ましくは直径0.1〜10mm)の球状又はそれと同等の体積のものを80重量%以上含むものをいい、粉状体とは、直径0.1mm以上の球状又はそれと同等の体積のものが80重量%未満であるものをいう。
【0073】
本発明のカートリッジ洗浄剤では、上記中蓋体は、噴射水を通過させるための貫通孔が形成されるとともに、上記塩素剤を載置するための載置部を備え、上記戴置部には、洗浄液を容器外へ排水する開口部が形成されるとともに、上記塩素剤を上記中蓋体の内部に保持するための上記載置部を覆うカバー部を備えており、上記外蓋体は、使用時まで容器内外の空間を遮断し、使用時に取り外すように構成され、フィルム状部材又は硬質部材からなることが望ましい。
【0074】
本発明のカートリッジ洗浄剤では、内容物を空間的に遮断する部材が必要であるとともに、噴射水を通過させ、洗浄剤組成物及び塩素剤と接触した洗浄液を容器外に排出するための部材も必要となる。そのため、本発明のカートリッジ洗浄剤では、噴射水を通過させるための貫通孔及び洗浄液を容器外へ排水する開口部が形成された中蓋体と使用時まで容器内外の空間を遮断する外蓋体とが設けられている。
上記中蓋体は、容器本体に固定されていても良いし、脱着可能でも良い。また、上記貫通孔は、大きい1つの貫通孔であってもよく、小さい複数の貫通孔が形成されていてもよい。必要であれば内容物がこぼれないよう、取り付けの際に水溶性のフィルムを貼りつけてもよい。
【0075】
上記構成のカートリッジ洗浄剤では、洗浄剤組成物と塩素剤とを分離して収容するために、塩素剤を収容する中蓋体が設けられているが、この戴置部には、塩素剤を保持するカバー部を備えており、これにより、塩素剤を洗浄剤組成物と好適な条件で分離することができる。これにより、上述した効果を得ることができる。
【0076】
本発明のカートリッジ洗浄剤において、上記中蓋体には、上記塩素剤の移動を規制するための区画部材が設けられていることが望ましい。
区画部材により塩素剤の移動を規制することにより、各塩素剤を均一に溶解させることができる。
【0077】
本発明のカートリッジ洗浄剤に使用される洗浄剤組成物に含まれる成分等やその好ましい態様等は上述したとおりであるが、塩素剤を含まないことが好ましい。
【0078】
本発明のカートリッジ洗浄剤に用いられる塩素剤としては上述した本発明の洗浄剤組成物に使用できる化合物が挙げられ、1種又は2種以上を使用することができる。中でも、塩素化イソシアヌル酸塩、トリクロロイソシアヌル酸、次亜塩素酸塩が好ましく、塩素化イソシアヌル酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸、次亜塩素酸ナトリウムがより好ましく、塩素化イソシアヌル酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸がさらに好ましい。上記塩素剤は、有効成分である塩素剤単独でもよく、塩素剤に結合補助剤等を加え、造粒、固形化したものであってもよい。
【0079】
本発明のカートリッジ洗浄剤では、上記洗浄剤組成物は、所定形状に成形された固形体からなり、上記塩素剤は、所定形状に成形された固形体又は粒状体からなることが望ましい。
本発明のカートリッジ洗浄剤では、上記塩素剤や洗浄剤組成物の形状は、単一でもよいし、請求項に記載された組み合わせの範囲内で、粒状体と固形体等、又は、大きさや結合剤が異なる複数の固形体といった複数の形状の剤を併用してもよい。
【0080】
上記態様は、本発明のカートリッジ洗浄剤の一態様であり、上記洗浄剤組成物は固形体からなり、上記塩素剤は固形体又は粒状体からなり、両者は表面積が小さく、接触しにくい形状であるので、上記構成のカートリッジ洗浄剤は、塩素剤や洗浄剤組成物の一部の分解を防止することができるとともに、洗浄中に適量の塩素剤を自動食器洗浄機内に供給することができ、簡易に製造することができ、かつ、安全に製造が可能なカートリッジ洗浄剤を提供することができる。
【0081】
上記構成のカートリッジ洗浄剤では、上記塩素剤は、所定形状に成形された固形体であることが望ましい。
水を噴射して使用するカートリッジ洗浄剤においては、逐次使用する部分以上の部分にまで、噴射水により洗浄剤組成物が濡らされ、その水分を仲立ちとしてキレート剤等の洗浄剤組成物と塩素剤が反応し、それらの一部が分解する場合があるが、上記構成のカートリッジ洗浄剤では、洗浄剤組成物と塩素剤との接触機会が少ないので、上記問題は発生しにくく、特に上記のような洗浄剤組成物の形状が固形であり、塩素剤の形状も固形の場合には、最も洗浄剤組成物と塩素剤の保管時及び使用時の接触確率が少なくなるため、反応等に起因して分解する危険性が小さく、自動食器洗浄機用の洗浄剤として最も適している。
【0082】
上記のように、上記構成のカートリッジ洗浄剤では、塩素剤が特に、所定形状に成形された固形体であると、塩素剤と洗浄剤組成物の分離を完全に行うことができるので、上述した本発明の効果がより高くなる。
【0083】
本発明のカートリッジ洗浄剤では、上記洗浄剤組成物と上記塩素剤との合計量に対する上記塩素剤の割合は、1〜10重量%であることが好ましい。なお上記塩素剤の量は、水又は結晶水を除いた純分の重量%である。
上記塩素剤の割合が1〜10重量%であると、優れた防食能及び優れた洗浄力と高い除菌効果、高い脱臭効果又は漂白効果を得ることができる。上記塩素剤の割合が1重量%未満であると、塩素剤の量が少なすぎて、自動食器洗浄機内を充分に除菌できない場合や、脱臭効果又は漂白効果が不充分となる場合がある。上記塩素剤の割合が10重量%を超えると、防食能が不充分となる場合がある。また、塩素剤の量が多すぎて、コストが高くなる場合や、噴射水の温度が高い場合に塩素剤の供給量が多すぎて使用環境中に刺激臭を生じることがある。
上記洗浄剤組成物と上記塩素剤との合計量に対する上記塩素剤の割合は、好ましくは2〜5重量%である。
【0084】
本発明のカートリッジ洗浄剤は、自動食器洗浄機用のカートリッジ洗浄剤として使用することができるものである。
本発明のカートリッジ洗浄剤では、洗浄剤組成物は容器本体に収容されており、塩素剤は中蓋体に収容されており、上記容器本体と上記中蓋体との間には、上記塩素剤又は洗浄剤組成物の移動を防止する仕切りが設けられているが、その実施形態として次のものが考えられる。
【0085】
以下、本発明のカートリッジ洗浄剤の実施形態について説明する。
本発明のカートリッジ洗浄剤では、塩素剤は、所定形状に成形された固形体、粒状体又は粉体からなり、洗浄剤組成物は、所定形状に成形された固形体又は粒状体からなり、上記中蓋体に上記塩素剤が収容されるとともに、上記容器本体に上記洗浄剤組成物が収容されている。
【0086】
図1は、本発明の実施形態に係るカートリッジ洗浄剤を構成する容器の一例を模式的に示す説明図である。
図2は、
図1に示すカートリッジ洗浄剤を構成する中蓋体の一例を模式的に示す概念図である。
【0087】
図1に示したように、本実施形態に係るカートリッジ洗浄剤10を構成する容器は、容器本体11と中蓋体12と外蓋体13とからなる。
容器本体11は、円筒容器の下部が次第に縮径していく、所謂、ロート形状となっており、最下部の径の小さい筒部材11aには、中蓋体12をねじ込むためのねじ110aが形成されている。図示はしていないが、本発明では、筒部材11aは、ねじ込みでなく爪構造によるはめ込み式で中蓋体を固定するようになっていてもよい。
【0088】
中蓋体12は、有底円筒形状であり、底部12bには、噴射水を通過させるための円筒部材12dと、洗浄剤組成物20及び塩素剤21(
図3参照)が溶解した洗浄液を通過させるための開口部12aが2個設けられており、中蓋体12の円筒部分12cの内壁には、容器本体11の筒部材11aにねじ込むためのねじ120aが設けられている。
開口部12a及び底部12bを含む、塩素剤を載置するための部分が中蓋体12における載置部である。
なお、
図2には開口部12aは2個示しているが、開口部12aの数は1個ないし2個以上であってもよい。
中蓋体12は、筒部材11aに嵌め込むことにより固定されればよいので、容器本体11の筒部材11aや中蓋体12にねじ120aが設けられていなくてもよい。その場合には、中蓋体12に爪部を形成し、筒部材11aの方に爪の受け構造が形成されていれば中蓋体12を嵌め込んだ後、固定することができる。
【0089】
また、この中蓋体12は、さらに内筒12eが設けられており、内筒12eの内部に塩素剤21を収容できるように構成されており、塩素剤21を内筒12eの内部に収容した状態で保持するために円環形状のカバー部14が設けられている。
中蓋体12を構成するカバー部14は、円筒部材12dと重なる部分を除いて、水が通過することができるように網状又は板状で開口部を有する部材14aにより構成されており、縁部には、網状又は板状で開口部を有する部材14aを支持、固定するための支持部材14bが配設されている。そして、図示はしていないが、中蓋体12の内部に塩素剤21が収容された状態で、支持部材14bが内筒12eの上面周囲に接着剤を介して貼り付けられるか、爪状の構造などで固定され、中蓋体12の内部(内筒12eの内部)に塩素剤21が保持され、上部に存在する洗浄剤組成物20と分離状態とすることができる。
【0090】
なお、中蓋体は塩素剤が保持され、噴射水が通過する構造となっていれば、上記構造に限定されない。従って、カバー部14に円筒部材12dや内筒12eが結合していてもよく、円筒部材12dや内筒12eが他の部材から独立した部材であってもよく、内筒12eが無い構造でもよい。
また、塩素剤が粒状体、固形体である場合には、カバー部14は、それに対応した塩素剤が漏れない程度の粗さの網状体であればよく、塩素剤が漏れなければ、円筒部材12dや内筒12eに、スリットが形成されていてもよく、メッシュ状であってもよく、適度の間隔でフレームが形成されたものであってもよい。また、内筒12eの代わりに棒状のものが設けられていてもよい。
また、容器本体と中蓋体と外蓋体は、2つ以上の部材が一体成形されたものであってもよい。具体的には、例えば、中蓋とカバー部、中蓋と外蓋部をヒンジで結合した構造であってもよい。
【0091】
外蓋体13は、使用時まで容器内外の空間を遮断する役割を果たすものであり、使用時には、取り外すように構成されている。
図1では、外蓋体13にも、ねじ130aが設けられ、中蓋体12にねじ込むように構成されているが、中蓋体と同様に、ねじ130aは設けず、中蓋体12に爪受け構造を形成し、外蓋体13に浅い爪を形成し嵌め込むようにしてもよい。
【0092】
容器本体11と中蓋体12と外蓋体13とは、ポリエチレン、ポリプロピレン、PET等のプラスチックからなるが、特に、外蓋体13は、嵌め込む形式のものが好ましく、そのためには、硬質部材が好ましい。
なお、外蓋体13は、フィルム状部材により構成され、使用時にはがすことが可能な接着剤により中蓋体12に接着されていてもよい。
【0093】
図3は、本発明のカートリッジ洗浄剤の一例を模式的に示す概念図である。
この例では、洗浄剤組成物20は、容器本体11の形状で固化した固形体であり、一方、塩素剤21は、粉状体からなり、粉状体からなる塩素剤21は、中蓋体12の内部に載置されており、カバー部14により中蓋体12の外に飛散しない構成となっている。なお、塩素剤21は、粉状体であるので、底部12bに設けられた開口部12aから飛散しないよう、開口部12aにも目の細かい網状部材が設けられている。
図3に示すカートリッジ洗浄剤10では、洗浄剤組成物20と塩素剤21とは、カバー部14で分離されており、直接接触することはないため、塩素剤21と洗浄剤組成物20とが反応することはなく、水に溶解した塩素剤21と洗浄剤組成物20とを良好に洗浄液中に供給することができる。なお、
図3では、わかりにくいが、洗浄剤組成物20は、当然、円筒部材12dの内部には、収容されていない。
図4〜
図6のカートリッジ洗浄剤でも同様である。
【0094】
図4は、本発明のカートリッジ洗浄剤の別の例を模式的に示す概念図である。
この例では、洗浄剤組成物22は、粒状体であり、一方、塩素剤23は、所定形状に成形された固形体からなり、固形体からなる塩素剤23は、中蓋体12の内部に載置されており、カバー部14によりその内部に保持されている。
図4に示すカートリッジ洗浄剤15でも、洗浄剤組成物22と塩素剤23とは、カバー部14で分離されており、直接接触することはない。
【0095】
図5は、本発明のカートリッジ洗浄剤のさらに別の例を模式的に示す概念図である。
この例では、洗浄剤組成物22及び塩素剤24は、ともに粒状体であるが、粒状体からなる塩素剤24は、中蓋体12の内部に載置されており、カバー部14によりその内部に保持されている。
図5に示すカートリッジ洗浄剤16でも、洗浄剤組成物22と塩素剤24とはカバー部14により分離されており、直接接触することはない。
【0096】
図6は、本発明のカートリッジ洗浄剤のさらに別の例を模式的に示す概念図である。
この例では、洗浄剤組成物22は、粒状体であり、一方、塩素剤21は、粉状体であり、粉状体からなる塩素剤21は、中蓋体12の内部に載置されており、カバー部14によりその内部に保持されている。
図6に示すカートリッジ洗浄剤17でも、洗浄剤組成物22と塩素剤21とはカバー部14により分離されており、直接接触することはない。
このように、塩素剤と洗浄剤組成物とは、中蓋体を構成するカバー部により分離されており、塩素剤と洗浄剤組成物とが直接接触することはなく、塩素剤や洗浄剤組成物の一部の分解を防止することができる。
【0097】
図7(a)は、本発明のカートリッジ洗浄剤を構成する中蓋体の別の例を模式的に示す概念図であり、
図7(b)は、
図7(a)に示す中蓋体に固形体の塩素剤を収容した状態を模式的に示す概念図であり、
図7(c)は、
図7(a)に示す中蓋体の裏面に外蓋体としてのフィルム部材を接着した状態を模式的に示す概念図である。
【0098】
図7(a)に示す中蓋体32は、有底円筒形状であり、底部32bには、噴射水を通過させるための円筒部材32dと、洗浄剤組成物20(
図8参照)及び塩素剤23(
図7(b)参照)が溶解した洗浄液を通過させるための開口部32aが設けられており、中蓋体32の円筒部分32cの内壁には、容器本体11の筒部材11aにねじ込むためのねじ320aが設けられている。
開口部32a及び底部32bを含む、塩素剤を載置するための部分が中蓋体32における載置部である。
底部32bは網目形状となっており、多数の開口部32aが形成されている。底部32bが網目形状であり多数の開口部32aが形成されていると、洗浄液が中蓋体の底部を通過しやすく、均一に排出されるという利点がある。
【0099】
また、この中蓋体32には、さらに内筒32eが設けられており、内筒32eの内部に塩素剤23を収容できるように構成されている(
図7(b)参照)。
この中蓋体32に収容する塩素剤としては、底部32bの網目形状の開口部32aから落下することのない大きさの固形体の塩素剤23であることが望ましい。
また、中蓋体32の内筒32e内には、固形体の塩素剤23の移動を規制するための区画部材32fが複数箇所に設けられていて、内筒32e内の空間が区画されている。区画部材32fの間隔は、区画部材32fの間に固形体の塩素剤が入るように定めることが望ましい。このように固形体の塩素剤23の移動を規制することにより、各塩素剤を均一に溶解させることができる。
【0100】
また、区画部材32fによる区画は、内筒32e内の空間を完全に区画するのではなく、緩く区画することが望ましい。「緩く」というのは、区画部材32fにより固形体の塩素剤23の移動が規制される程度に内筒32e内の空間が区画されている一方、区画部材32fと内筒32eの内壁の間、及び/又は、区画部材32fと円筒部材32dの外壁の間に空間を設けて、水や洗浄液等の液体が内筒32eの間で自由に移動できる状態のことを意味する。このような状態であると、水、洗浄液等の液体が特定の部位に噴射されたとしても、液体が内筒32eの中で偏ることがないので、特定の塩素剤23のみが溶解することが防止される。
【0101】
また、
図7(b)に示すように、塩素剤23を内筒32eの内部に収容した状態で保持するために円環形状のカバー部34が設けられている。
カバー部34の役割は
図2に示すカバー部14と同様であるが、
図7(b)にはカバー部の形態として開口部の形状が異なる部材34aを示している。また、カバー部34には
図2に示すカバー部14の支持部材に相当する部位は存在していない。
また、図示していないが、円筒部材32dの上面に段付きを設け、段付きとカバー部34の開口部34cがかみ合うようにしてカバー部34の位置ずれを防止するようにしてもよい。
また、中蓋体32に設けていた区画部材32fに代えてカバー部34の中蓋体側になる面に区画部材を設けて、カバー部34を被せた際に内筒32e内の空間を区画できるようにしてもよい。
【0102】
図7(c)には
図7(a)に示す中蓋体32の裏面に外蓋体としてのフィルム部材33を接着した状態を示している。
フィルム部材33は、カートリッジ洗浄剤の使用時に剥がすことが可能な接着剤により中蓋体32に接着されていてもよい。フィルム部材33は、接着剤が塗布されていない突出部33aを手で掴んで剥がすことができる。また、フィルム部材を水溶性フィルムとしておき、水が触れることによってフィルム部材が溶解してなくなるようにしておいてもよい。
【0103】
図8は、本発明のカートリッジ洗浄剤のさらに別の例を模式的に示す概念図である。
図8には、
図3に示すカートリッジ洗浄剤において中蓋体及びカバー部として
図7(b)に示す中蓋体32及びカバー部34を使用し、固形体の塩素剤23を中蓋体32の内部に載置している。また、中蓋体32の裏面には外蓋体としてのフィルム部材33を接着している。
この実施形態でも塩素剤と洗浄剤組成物とは、中蓋体を構成するカバー部により分離されており、塩素剤と洗浄剤組成物とが直接接触することはなく、塩素剤や洗浄剤組成物の一部の分解を防止することができる。また、外蓋体としてのフィルム部材により、使用時まで容器内外の空間が遮断されている。
【0104】
本発明のカートリッジ洗浄剤に用いる洗浄剤組成物を製造する際には、まず、水及び水以外の洗浄剤組成物の原料を撹拌混合し、スラリー液を調製した後、上記スラリー液をカートリッジ洗浄剤を構成する容器本体に投入し、冷却して固化させることが好ましい。
【0105】
具体的には、例えば、まず、水に水以外の洗浄剤組成物の原料を加えた後、30〜90℃に維持し、攪拌することにより、水及び洗浄剤組成物を含むスラリー液を調製する。
水以外の洗浄剤組成物の原料の投入量は、上記スラリー液の全量に対して50〜100重量%が望ましい。これにより、カートリッジ洗浄剤に使用した場合に洗浄力が充分に高い洗浄剤組成物が得られる。
【0106】
次に、上記スラリー液を容器本体に投入し、その後、上記スラリー液を常温で1〜24時間放置して固化させ、容器本体の形状に固化された固形体の洗浄剤組成物を製造する。上記スラリーを別の所定形状の容器に投入して固化させれば、その容器の形状の固形体となる。
粒状体の洗浄剤組成物を作製する際には、洗浄剤組成物の原料となるアルカリ剤、防食剤及びキレート剤並びに所望により添加される界面活性剤及び高分子分散剤等の粒状原料を混合すればよい。混合にはリボンミキサー、ナウターミキサー、ドラムミキサーが好適に用いられる。
また、粉状体の洗浄剤組成物を作製する際には、洗浄剤組成物の原料となるアルカリ剤、防食剤及びキレート剤並びに所望により添加される界面活性剤及び高分子分散剤等の粉状原料を混合すればよい。混合にはリボンミキサー、ナウターミキサー、ドラムミキサーが好適に用いられる。
上記のようにして作製した所定形状に成形された固形体、粒状体又は粉状体の洗浄剤組成物を容器本体に収容し、その後、所定形状に成形された固形体、粒状体又は粉状体の塩素剤を中蓋体の内部に収容し、カバー部を設けた後、容器本体と中蓋体と外蓋体とを組み合わせることにより本発明のカートリッジ洗浄剤を製造することができる。
【0107】
本発明に係るカートリッジ洗浄剤を用いて、食器等を洗浄する際には、供給口部を下向きにして自動食器洗浄機の洗浄剤固定部に固定する。洗浄剤固定部には、噴射器が中蓋体の直ぐ下に配置されており、噴射器より噴射された水が中蓋体の円筒部材内の貫通孔を通過して、容器本体に収容された洗浄剤組成物に到達し、洗浄剤組成物を少しずつ、溶かしていくように構成されている。
【0108】
洗浄剤組成物と接触し、洗浄剤組成物を溶解させた水溶液は、塩素剤と接触し、塩素剤も溶かしていく。これにより、塩素剤と洗浄剤組成物とを含む洗浄液は、中蓋体底部の開口部から下に落ちて自動食器洗浄機の洗浄タンク内へ流れ、この洗浄液により食器等を洗浄することができる。
【0109】
上記のような、上記カートリッジ洗浄剤に水を供給して洗浄剤組成物と接触させる工程、得られる洗浄剤組成物を溶解させた水溶液を、塩素剤と接触させて塩素剤を溶解させる工程、及び、得られる塩素剤と洗浄剤組成物とを含む液体洗浄剤組成物(洗浄液)を自動食器洗浄機の洗浄タンクに供給し、該液体洗浄剤組成物と食器類とを接触させる洗浄工程を含む食器洗浄方法も、本発明に包含される。液体洗浄剤組成物における洗浄剤組成物の濃度は、0.03〜0.5重量%であることが好ましく、0.04〜0.3重量%がより好ましい。上記液体洗浄剤組成物における塩素剤の濃度は、3〜50ppmであることが好ましく、5〜45ppmがより好ましい。洗浄工程における液体洗浄剤組成物の温度は特に限定されないが、例えば、50〜70℃とすることが好ましい。
【0110】
本発明のカートリッジ洗浄剤を、上記食器洗浄方法に用いる場合には、液体洗浄剤組成中の洗浄剤組成物及び塩素剤の濃度が上記範囲となるように、カートリッジ洗浄剤に収容する洗浄剤組成物及び塩素剤の量、溶解度、供給水量、供給水温度等を適宜設定すればよい。
【実施例】
【0111】
以下、本発明をより具体的に説明する実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0112】
<実施例1〜16>
アルカリ剤、防食剤、キレート剤、塩素剤、界面活性剤及び高分子分散剤、並びに、無水ボウショウ又は水を、表1〜2に示す割合となるように配合し、混合又は加温溶解することにより実施例1〜16の各洗浄剤組成物を製造した。表1〜2中の数値は、洗浄剤組成物に対する各成分の重量%である。
【0113】
<比較例1〜8>
アルカリ剤、キレート剤、塩素剤、界面活性剤及び高分子分散剤、並びに、無水ボウショウ又は水を、表3に示す割合となるように配合し、混合又は加温溶解することにより比較例1〜8の各洗浄剤組成物を製造した。表3中の数値は、洗浄剤組成物に対する各成分の重量%である。
【0114】
<評価方法>
実施例1〜16及び比較例1〜8で製造した洗浄剤組成物について、以下の方法で防食能及び洗浄力の評価を行った。
【0115】
(1)防食能評価(銅合金)
(i)評価方法
試験金属ピースとして、酸洗浄した円柱型銅合金(CAC406、直径16mm×高さ5mm ムク3.5mm穴)を自動食器洗浄機槽内に設置した攪拌機の羽に固定し、470rpmで回転させた。自動食器洗浄機として、三洋電機株式会社製ドアタイプの洗浄機(型番DW−DR62型)を使用し、洗浄工程では洗浄剤組成物濃度0.15重量%とした洗浄液(液体洗浄剤組成物)を使用し、洗浄温度60℃とした。すすぎ工程ではすすぎ温度80℃とし、洗浄1サイクルを洗浄時間45秒、すすぎ8秒とした。洗浄水には、水道水を用いた。3時間稼働後、試験金属ピースの重量変化を測定し、以下の基準で防食能を評価した。
【0116】
(ii)評価基準
洗浄剤組成物の防食能を次のように評価した。
◎:溶解量0.2mg/cm
2未満
○:溶解量0.2mg/cm
2以上、0.4mg/cm
2未満
△:溶解量0.4mg/cm
2以上、0.6mg/cm
2未満
×:溶解量0.6mg/cm
2以上
【0117】
(2)防食能評価(アルミ)
(i)評価方法
試験金属ピースとして、アルミシート(AA1050、縦150mm×横150mm×高さ0.5mm)を自動食器洗浄機槽内に設置した攪拌機の羽に固定し、470rpmで回転させた。自動食器洗浄機として、ホシザキ製ドアタイプの洗浄機(型番JW−650UF)を使用し、洗浄工程では洗浄剤組成物濃度0.15重量%とした洗浄液を使用し、洗浄温度60℃とした。すすぎ工程ではすすぎ温度80℃とし、洗浄1サイクルを洗浄時間45秒、すすぎ8秒とした。洗浄水には、水道水を用いた。3時間稼働後、試験金属ピースの重量変化を測定し、以下の基準で防食能を評価した。
【0118】
(ii)評価基準
洗浄剤組成物の防食能を次のように評価した。
◎:腐食痕跡なし、光沢あり
○:腐食痕跡なし、光沢弱い
△:腐食痕跡あり、光沢弱い
×:腐食痕跡あり、光沢なし
【0119】
(3)洗浄力評価
(i)評価方法
(被洗物の調製)
90gの精製水に小麦粉を10g、卵黄を70g、ラードを35g及び牛脂を35g、加えてよく撹拌して溶解させた。得られた混合物を汚れに供した。この複合汚れ1gを、グラスの内側に塗り広げ、室温で乾燥させたものを洗浄試験用試料とした。
【0120】
(洗浄条件)
洗浄力試験は、洗浄工程において、自動食器洗浄機内の水量に対して洗浄剤組成物の濃度が0.1重量%になるように洗浄剤組成物を投入して洗浄液とし、自動食器洗浄機を用いて洗浄試験用試料の汚れを洗浄してその外観を目視で評価することにより行った。
自動食器洗浄機として、ホシザキ製ドアタイプの洗浄機(型番JW−650UF)を用い、洗浄条件は洗浄時間40秒、洗浄温度60℃、すすぎ時間8秒、すすぎ温度80℃とした。洗浄水には、水道水を用いた。
【0121】
(ii)評価基準
洗浄剤組成物の洗浄力を次のように評価した。
◎:汚れの付着は見られない。
○:汚れの付着はほとんど見られない。
△:薄い曇り状の汚れが見られる。
×:明らかな汚れの残留が見られる。
【0122】
実施例及び比較例で製造した各洗浄剤組成物について、以下の方法で漂白力の評価を行った。
(4)漂白力評価
(i)評価方法
(被洗物の調製)
1)ポリプロピレン製コップの内側を紙やすりで全面削り、その後中性洗剤でよく洗った。
2)上記コップに、標準濃度の4倍で調整した緑茶粉末水溶液80℃を注ぎ、すぐに捨て、5分間静置した。
【0123】
(洗浄条件)
洗浄液の濃度は、自動食器洗浄機内の水量に対して洗浄剤組成物の濃度が0.1重量%とした。この洗浄剤組成物の濃度を初期値とした。洗浄方法は、自動食器洗浄機を用いて、上記洗浄液による洗浄工程及び水によるすすぎ工程により洗浄試験用試料の茶渋汚れを1サイクル洗浄し、その洗浄済のコップに対して上記被洗物の調整2)の通り再度汚れを付着させた。そのコップをさらに1サイクル洗浄することを繰り返し、目視で茶渋汚れの蓄積を評価し、蓄積が認められた際の洗浄回数を評価基準とした。なお、洗浄サイクルが5回終わった後、自動食器洗浄機の水を張り替え、洗浄剤組成物の濃度を初期値に戻した。自動食器洗浄機として、ホシザキ製ドアタイプの洗浄機(型番JW−650UF)を使用し、洗浄温度60℃、すすぎ温度80℃とし、洗浄1サイクルを洗浄時間45秒、すすぎ8秒とした。
【0124】
(ii)評価基準
洗浄剤組成物の漂白力を次のように評価した。
◎:洗浄サイクル30回以上
○:洗浄サイクル20回以上29回以下
△:洗浄サイクル10回以上19回以下
×:洗浄サイクル1回以上9回以下
なお実施例1〜2及び9〜10並びに比較例2の洗浄剤組成物については、漂白力の評価を行わなかった。
【0125】
実施例及び比較例で製造した各洗浄剤組成物の組成並びに防食能及び洗浄力の評価結果を表1〜3に示した。
【0126】
【表1】
【0127】
【表2】
【0128】
【表3】
【0129】
表1〜3及び後掲の表4中の記載は、以下の通りである。
EDTA:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
NTA:ニトリロ三酢酸ナトリウム
非イオン界面活性剤:ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル(C=12、エチレンオキサイド付加モル数の平均値3、プロピレンオキサイド付加モル数の平均値5)
ポリアクリル酸Na:重量平均分子量(Mw)が4,500のポリアクリル酸ナトリウム
【0130】
表1〜4中の「残」は、洗浄剤組成物100重量%から水及びは無水ボウショウ以外の成分の重量%を引いた残りが水又は無水ボウショウであることを意味する。
表1〜4中の「ケイ酸ナトリウム中のSiO
2/Na
2O(モル比)」は、アルカリ剤として使用したケイ酸ナトリウムを構成するNa
2OとSiO
2とのモル比である。
また、「洗浄剤組成物中のSiO
2/Na
2O(モル比)」は、アルカリ剤に含まれるSiO
2と、Na
2Oとして換算したアルカリ剤とのモル比(アルカリ剤中のSiO
2/アルカリ剤(Na
2O換算))である。
【0131】
表1〜3から、実施例1〜16の洗浄剤組成物は、洗浄力に優れ、かつ防食能に優れるものであった。また、塩素剤を配合した実施例3〜8及び11〜16の洗浄剤組成物は、漂白力にも優れていた。一方比較例1〜8の洗浄剤組成物は、洗浄力又は防食能が不充分であった。
【0132】
実施例17〜18
アルカリ剤、防食剤、キレート剤、界面活性剤及び高分子分散剤、並びに、水を、表4に示す割合となるように配合して混合した後、80℃に加熱して維持し、攪拌することにより、水と水以外の洗浄剤組成物の原料とを含むスラリー液を調製した。表4中の数値は、洗浄剤組成物に対する各成分の重量%である。
【0133】
次に、上記で調製したスラリー液を、ポリプロピレン製容器に充填し、上記スラリー液の温度が30℃以下に下がるまで常温で放置してスラリー液を固化させ、円柱の形状(直径15cm×高さ15cm)に固化された固形体からなる洗浄剤組成物を調製した。
【0134】
実施例19〜24
アルカリ剤、防食剤、キレート剤、界面活性剤及び高分子分散剤、並びに、水を、表4に示す割合となるように配合して混合した後、80℃に加熱して維持し、攪拌することにより、水と水以外の洗浄剤組成物の原料とを含むスラリー液を調製した。表4中の数値は、洗浄剤組成物に対する各成分の重量%である。
【0135】
次に、上記で調製したスラリー液を、
図1に示す形状の容器本体(円筒部分の直径15cm、高さ15cm)に充填し、上記スラリー液の温度が30℃以下に下がるまで常温で放置してスラリー液を固化させ、容器本体の形状に固化された固形体からなる洗浄剤組成物を調製した。
【0136】
別途、粉状体である塩素剤(トリクロロイソシアヌル酸又はジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、有効塩素濃度50%以上、平均粒径:250μm以上)を、洗浄剤組成物と塩素剤との合計重量に対して1〜10重量%となる量計量して、
図7(a)に示す中蓋体32の内部に、
図7(b)に示すような状態で収容し、カバー部を接着した後、容器本体と中蓋体を組み合わせて
図8に示すカートリッジ洗浄剤18を製造した。
【0137】
<評価方法>
実施例17〜24で製造した洗浄剤組成物又はカートリッジ洗浄剤を用いて、以下の方法で防食能及び洗浄力の評価を行った。実施例17及び18の洗浄剤組成物については、洗浄工程において液体用供給装置による滴下により塩素剤6重量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を添加した。
【0138】
(1)防食能評価(銅合金)
洗浄工程において、洗浄液中の洗浄剤組成物の濃度(重量%)及び塩素剤の濃度(ppm)が表4に示す濃度であったこと以外は、実施例1〜16と同様の方法で評価を行った。なお、塩素剤の濃度は、後記する方法で測定した有効塩素濃度である。
【0139】
(2)防食能評価(アルミ)
洗浄工程において、洗浄液中の洗浄剤組成物の濃度(重量%)及び塩素剤の濃度(ppm)が表4に示す濃度であったこと以外は、実施例1〜16と同様の方法で評価を行った。
【0140】
(3)洗浄力評価
洗浄工程において、洗浄液中の洗浄剤組成物の濃度(重量%)及び塩素剤の濃度(ppm)が表4に示す濃度であったこと以外は、実施例1〜16と同様の方法で評価を行った。
【0141】
(4)漂白力評価
洗浄条件を以下のようにした以外は、実施例1〜16と同様の方法で評価を行った。
洗浄液の濃度は、自動食器洗浄機内の水量に対して洗浄剤組成物の濃度が表4に示す濃度(重量%)となるようにした。洗浄液中の塩素剤は、有効塩素濃度が表4に示す有効塩素濃度(ppm)になるように調整した。この洗浄剤組成物の濃度及び塩素剤の濃度(有効塩素濃度)を初期値とした。洗浄方法は、自動食器洗浄機を用いて、上記洗浄液による洗浄工程及び水によるすすぎ工程により洗浄試験用試料の茶渋汚れを1サイクル洗浄し、その洗浄済のコップに対して上記被洗物の調整2)の通り再度汚れを付着させた。そのコップをさらに1サイクル洗浄することを繰り返し、目視で茶渋汚れの蓄積を評価し、蓄積が認められた際の洗浄回数を評価基準とした。なお、洗浄サイクルが5回終わった後、自動食器洗浄機の水を張り替え、洗浄剤組成物の濃度及び有効塩素濃度を初期値に戻した。自動食器洗浄機として、ホシザキ製ドアタイプの洗浄機(型番JW−650UF)を使用し、洗浄温度60℃、すすぎ温度80℃とし、洗浄1サイクルを洗浄時間45秒、すすぎ8秒とした。
【0142】
(5)洗浄工程の有効塩素濃度
自動食器用洗浄機の洗浄液100gを200mL三角フラスコに取り、ヨウ化カリウム溶液5g、氷酢酸10mLを添加し、次に0.01Nチオ硫酸ナトリウム規定液でヨウ素の黄色が消失するまで滴定し、次式から算出した。滴定量A(mL)、求める有効塩素濃度をAvCL(ppm)とすると、AvCL(ppm)=A(mL)×3.546で求めた。
【0143】
上記評価結果を、表4に示す。
【0144】
【表4】
【0145】
表4から、実施例17〜18で製造した洗浄剤組成物と塩素剤とを使用した洗浄液により食器を洗浄すると、優れた洗浄効果、防食効果及び漂白効果が得られることが分かる。実施例19〜24で製造したカートリッジ洗浄剤についても、食器の洗浄において優れた洗浄効果、防食効果及び漂白効果が得られることが分かる。