【課題を解決するための手段】
【0008】
1週間もしくはそれ以上、例えば1年間までの時間間隔でのNNRTI TMC278の非経口調剤の間欠的な投与がHIVの抑制において適切である血漿レベルをもたらすことが今回見出された。これは投与回数の減少を可能にし、それにより丸剤負担および患者の薬品コンプライアンスに関して有利である。
【0009】
発明の要旨
一面において、本発明は、HIVに感染した患者(subject)の処置用薬品の製造のための、抗−ウイルス的に有効な量のTMC278またはその製薬学的に許容可能な酸−付加塩および担体を含んでなる非経口調剤の使用であって、調剤が1週間ないし1年間の範囲内である時間間隔で間欠的に投与される使用に関する。或いは、本発明は、HIVに感染した患者の処置のための抗−ウイルス的に有効な量のTMC278またはその製薬学的に許容可能な酸−付加塩および担体を含んでなる非経口調剤の使用であって、調剤が1週間ないし1年間の範囲内である時間間隔で間欠的に投与される使用に関する。
【0010】
別の面において、抗−ウイルス的に有効な量のTMC278またはその製薬学的に許容可能な酸−付加塩および担体を含んでなる非経口調剤の投与を含んでなるHIVに感染した患者の処置方法であって、調剤が1週間ないし1年間の範囲内である時間間隔で間欠的に投与される方法が提供される。
【0011】
1つの態様では、本発明は、非経口調剤が1週間ないし1ヶ月間の範囲内、または1ヶ月間ないし3ヶ月間の範囲内、または3ヶ月間ないし6ヶ月間の範囲内、または6ヶ月間ないし12ヶ月間の範囲内である時間間隔で投与されるかまたは投与される予定であるここで特定された使用または方法に関する。
【0012】
別の態様では、本発明は、非経口調剤が2週間毎に1回、または1ヶ月間毎に1回、または3ヶ月間毎に1回投与されるかまたは投与される予定であるここで特定された使用または方法に関する。
【0013】
発明の詳細な記述
本発明において使用される化合物は、TMC278(または以前はR278474と称された)としても知られる一般名リルピビリン(rilpivirine)を有する4−[[4−[[4−(2−シアノエテニル)−2,6−ジメチルフェニル]アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリルである。TMC278はNNRTI類の種類に属するHIV阻害剤として臨床開発中である。
【0014】
TMC278は塩基形態でまたは製薬学的に許容可能な塩形態として、特に酸付加塩形態として使用することができる。製薬学的に許容可能な付加塩類は治療的に活性な無毒の塩形態を含んでなることを意味する。酸付加塩形態は、塩基形態を適当な酸、例えば無機
酸、例えば、ハロゲン化水素酸、例えば塩酸、臭化水素酸など;硫酸;硝酸;燐酸など;または有機酸、例えば、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、2−ヒドロキシプロパン酸、2−オキシプロパン酸、シュウ酸、マロン酸、琥珀酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、2−ヒドロキシ安息香酸、4−アミノ−2−ヒドロキシ安息香酸などの酸で処理することにより得ることができる。
【0015】
付加塩の用語は、化合物TMC278から誘導されうる水和物および溶媒付加形態も含んでなる。そのような形態の例は例えば水和物、アルコレートなどである。
【0016】
TMC278は立体異性体形態で、より特にE−およびZ−異性体形態で生ずる。両方の異性体とも本発明において使用することができる。ここでTMC278と称する場合にはいつでも、E−またはZ−形態並びに両方の形態の混合物が包含されることが意味される。本発明における使用に好ましいTMC278の形態は、E−異性体、すなわちE−TMC278と称しうる(E)−4−[[4−[[4−(2−シアノエテニル)−2,6−ジメチルフェニル]−アミノ]−2−ピリミジニル]−アミノ]−ベンゾニトリルである。TMC278のZ−異性体、すなわちZ−TMC278と称しうる(Z)−4−[[4−[[4−(2−シアノエテニル)−2,6−ジメチルフェニル]−アミノ]−2−ピリミジニル]−アミノ]−ベンゾニトリルも使用することができる。
【0017】
ここでTMC278のE−形態(すなわちE−TMC278)と称する場合にはいつでも、純粋なE−異性体或いはE−形態が優勢に存在するE−およびZ−形態の異性体混合物、すなわち50%より多いかもしくは特に80%より多いE−形態、または90%よりも多いE−形態を含有する異性体混合物を含んでなることが意味される。Z−形態を実質的に含まないE−形態が特に興味ある。この概念における実質的に含まないは、Z−形態が存在しないかまたはほとんど存在しないE−Z混合物、例えば90%、特に95%または98%または99%程度のE−形態を含有する異性体混合物をさす。同様に、ここでTMC278のZ−形態(すなわちZ−TMC278)と称する場合にはいつでも、純粋なZ−異性体或いはZ−形態が優勢に存在するZ−およびE−形態のいずれかの異性体混合物、すなわち50%より多いまたは特に80%より多いZ−形態または90%よりも多いZ−形態を含有する異性体混合物を含んでなることが意味される。E−形態を実質的に含まないZ−形態が特に興味ある。この概念における実質的に含まないは、E−形態が存在しないかまたはほとんど存在しないE−Z混合物、例えば90%、特に95%または98%または99%程度のZ−形態を含有する異性体混合物、をさす。
【0018】
TMC278の立体異性体形態の塩、特にZ−TMC278またはE−TMC278の上記の塩も本発明における使用に包含されることが意味される。
【0019】
ここで使用される場合にはいつでも、用語「TMC278」は、塩基形態ならびにその製薬学的に許容可能な酸−付加塩およびまたTMC278の立体異性体形態ならびに該立体異性体形態のいずれかの製薬学的に許容可能な酸−付加塩をさす。特に、用語「TMC278」は、TMC278のE−異性体ならびにその製薬学的に許容可能な酸−付加塩をさす。
【0020】
本発明におけるTMC278の投与はHIV感染症を処置するのに充分でありうるが、多くの場合には他のHIV阻害剤を同時投与することが推奨されうる。後者は好ましくは他の種類のHIV阻害剤、特にNRTI類、PI類および融合阻害剤から選択されるものを包括する。1つの態様では、同時投与される他のHIV阻害剤はPIである。別の態様では、同時投与される他のHIV阻害剤はNRTIである。同時投与できるHIV阻害剤
はNNRTIを含んでなるHAART組み合わせで使用されるものでありうる。例えば、2種の別のNRTI類またはNRTIおよびPIを同時投与することができる。そのような同時投与は経口投与によってもよくまたは非経口的でもありうる。
【0021】
ある種の場合には、HIV感染症の処置は、本発明の方法に従うとTMC278の非経口調剤の投与だけに、すなわち別のHIV阻害剤の同時投与のない単独療法として限定されうる。例えば、ウイルス負荷(特定容量の血清中のウイルスRNAのコピー数として表示する)が約200コピー/mlより低い、特に約100コピー/mlより低い、より特に50コピー/mlより低い、特別にはウイルスの検出限度より低い場合のようにウイルス負荷が比較的低い場合には、この選択肢が推奨されうる。1つの態様では、HIV薬品の組み合わせを用いる、特に血液血漿中のウイルス負荷が上記の低いウイルスレベルに達するまである期間にわたるHAART組み合わせのいずれかを用いる初期処置後に単一療法のこのタイプが適用される。
【0022】
それ故、別の面において本発明はHIVに感染した患者を処置するためのまたはHIVに感染した患者の処置用薬品の製造のための抗−ウイルス的に有効な量のTMC278またはその製薬学的に許容可能な酸−付加塩および担体を含んでなる非経口調剤の使用に関し、ここで調剤はHIV阻害剤の組み合わせを用いる該患者の処置後に投与されそして調剤は1週間ないし1年間の範囲内である時間間隔で間欠的に投与される。
【0023】
或いは別の面で、本発明は、(i)HIV阻害剤の組み合わせを用いる該患者の処置、およびその後の(ii)有効な量のTMC278またはその製薬学的に許容可能な酸−付加塩および担体を含んでなる非経口調剤の間欠的投与を含んでなるHIVが感染した患者の長期間処置方法を提供し、ここで調剤は1週間ないし1年間の範囲内である時間間隔で投与される。
【0024】
1つの態様では、これまでの2つの節で挙げられている使用または方法において、TMC278の非経口調剤を用いる間欠的処置はウイルス負荷を約200コピー/mlより低く、特に約100コピー/mlより低く、より特に50コピー/mlより低く、またはウイルスの検出限度より低く低下させる抗−HIV薬品の組み合わせを用いる処置後に開始させるかまたは開始させる予定がある。
【0025】
TMC278の非経口調剤は間欠的に少なくとも1週間の時間間隔で、または特にここに挙げられた時間間隔で投与され、非経口調剤はTMC278のいずれかの中間的な追加投与なしに投与されることを意味する。換言すると、TMC278は少なくとも1週間の期間ほど互いに隔たった特定時点で、または特にここに挙げられた時間間隔で、投与され、その間にはTMC278は投与されない。従って、投与スケジュールは簡単であり、わずかな投与回数だけを必要とし、そしてそのために標準的なHIV投薬が直面する「丸剤負担」の問題を劇的に減ずる。これはまた処方された薬品処理に対する患者のコンプライアンスも改良するであろう。
【0026】
TMC278の非経口調剤は上記の時間間隔で投与されうる。1つの態様では、時間間隔は1〜2週間の、または2〜3週間の、または3〜4週間の範囲内である。別の態様では、時間間隔は1〜2ヶ月間の、または2〜3ヶ月間の、または3〜4ヶ月間の範囲内である。時間間隔は少なくとも1週間でありうるが、数週間、例えば2、3、4、5もしくは6週間であることも、または1ヶ月間、もしくは数ヶ月間、例えば2、3、4、5もしくは6ヶ月間またはそれ以上、例えば7、8、9もしくは12ヶ月間の時間間隔でもありうる。1つの態様では、非経口調剤は1、2もしくは3ヶ月間の時間間隔で投与される。非経口調剤の各投与間のこれらの比較的長い期間は「丸剤負担」およびコンプライアンスのさらなる改良さえも与える。プライアンスをさらに改良するために、調剤を週間スケジ
ュールで投与する場合にはその週のある日にそして月間スケジュールの場合にはその月のある日に患者に彼らの投薬を行うように指令することができる。TMC278の非経口調剤の各投与間の時間間隔は変動しうる。例えば、TMC278の血液血漿レベルがあまりに低い場合には、例えばこれらが以下で特定される最少血液血漿レベルに達する時には、間隔はより短くてもよい。TMC278の非経口調剤の血液血漿レベルが高すぎると思われる場合には、間隔はより長くてもよい。1つの態様では、TMC278の非経口調剤は同じ時間間隔で、例えば1週間毎に、もしくは2週間毎に、1ヶ月間毎に、またはここで挙げられたいずれかの時間間隔で投与される。同じ長さの時間間隔の維持は、投与が例えば週の同じ日または月の同じ日であるためそれにより治療のコンプライアンスに寄与する利点を有する。
【0027】
ここで使用される用語「HIV感染症の処置」は、HIVに感染した患者の処置の状況をさす。用語「患者」は特に人間に関する。
【0028】
好ましくは、非経口調剤は1回投与で、例えば少なくとも1週間の時間間隔後の1回の注射により、例えば1週毎に1回の注射によりまたは1ヶ月間毎に1回の注射により投与される。
【0029】
本発明における使用のための非経口調剤中のTMC278の量である投与されるTMC278の服用量は、TMC278の血液血漿濃度が長期間にわたり最少血液血漿レベルより高く保たれるように選択される。用語「最少血液血漿レベル」は、この概念では最低の有効血液血漿レベルをさし、後者はHIVの有効な処置を与える血液血漿レベル、すなわち換言すると、HIVを抑制する際に有効なTMC278の血液血漿レベルである。
【0030】
用語「HIVの有効な処置」、「ウイルス負荷を有効に抑制する」、または同様な用語は、処置がウイルス負荷が比較的低い、例えば約200コピー/mlより低い、特に約100コピー/mlより低い、より特に50コピー/mlより低い、ウイルス負荷(特定容量の血清中のウイルスRNAのコピー数として表示される)レベルへのHIVの増殖の抑制をもたらすことを意味する。「有効な量」は、投与でウイルス負荷を低下させる、特にウイルス負荷を上記のコピー数に低下させる、TMC278の量をさす。用語「有効な血液血漿レベル」は、ウイルス負荷の、特に上記のコピー数より低い低下をもたらすTMC278の血液血漿レベルをさす。
【0031】
特に、TMC278の血液血漿レベルは約5〜約500ng/ml、または約5ng/ml〜約200ng/ml、または約5ng/ml〜約100ng/ml、または約10ng/ml〜約50ng/mlの範囲内である最少血液血漿レベルより高いレベルに保たれる。より特に、TMC278の血液血漿レベルは、約5〜約50ng/mlの範囲内、または約10〜約50ng/mlの範囲内、または約15〜約50ng/mlの範囲内である最少血液血漿レベルより高いレベルに保たれる。ある種の態様では、TMC278の血液血漿レベルは、約10ng/ml、または約15ng/ml、または約20ng/ml、または約40ng/ml、または約100ng/ml、または約200ng/ml、または約400ng/mlの最少血液血漿レベルより高いレベルに保たれる。特別な態様では、TMC278の血液血漿レベルは、約13.5ng/ml、または約20.3ng/mlのレベルより高く保たれる。
【0032】
TMC278の血漿レベルが低くなればなるほど薬品はもはや有効でなくなることがあり、それにより突然変異の危険性が増加するため、レベルをこれらのしきい血液血漿レベルより高く保つべきである。
【0033】
投与されるTMC278の服用量はそれが投与される時間間隔にも依存する。投与がよ
り頻繁でない場合には、服用量はより高くなるであろう。
【0034】
各々の時間に投与しようとする服用量は、約0.5mg/日〜約50mg/日、または約1mg/日〜約20mg/日、または約1mg/日〜約10mg/日、または約3mg/日〜約7mg/日、例えば約5mg/日の基準で計算すべきである。これは約3.5mg〜約350mg、もしくは約7mg〜約140mg、もしくは約7mg〜約70mg、もしくは約21mg〜約49mg、例えば約35mgの週間服用量、または約15mg〜約1,500mg、もしくは約30mg〜約600mg、もしくは約30mg〜約300mg、もしくは約90mg〜約210mg、例えば約150mgの月間服用量に相当する。1日当たりに記載された服用量に、指定された時間間隔における日数を掛算すると、その時間間隔に関する服用量または服用量範囲を与える。
【0035】
投与されると、TMC278の血液血漿レベルは大体は安定性であり、すなわちそれらは限られた境界値内で変動することが見出された。血液血漿レベルは長期間にわたり定常方式に達することが見出された。「定常」とは、患者の血液血漿中に存在する薬品の量が長期間にわたり大体同じレベルに留まる状態を意味する。TMC278の血漿レベルは、薬品が有効である最少血漿レベルより低くなるいずれかの低下を一般的に示さない。用語「大体同じレベルに留まる」は、許容可能な範囲内の、例えば約30%以内の、特に約20%以内の、さらに特に約10%以内の血漿濃度の小さい変動がありうることは除外しない。
【0036】
患者の血漿中のTMC278の濃度(すなわち「C」)は、一般的に単位容量当たりの質量、典型的にはミリリットル当たりのナノグラム(ng/ml)として表示される。簡便さのために、この濃度は「血漿薬品濃度」または「血漿濃度」とここでは称することができる。
【0037】
TMC278の血漿濃度は有意な副作用を引き起こさずに比較的高いレベルに到達しうるが、TMC278が有意な副作用を引き起こす血液血漿レベルである最高血漿レベル(すなわちC
max)を越えてはならない。ここで使用される用語「有意な副作用」は、副作用が患者の正常な機能を変える程度まで当該患者集団において副作用が存在することを意味する。TMC278に関するC
maxは、細胞検定における試験データの外挿からまたは臨床試験の評価から決めることができそして好ましくは約1000ng/mlの値を越えてはならない。
【0038】
ある場合には、投与直後に小さい最初の血漿濃度ピークがあることがあり、その後に血漿レベルは上記の「定常」に達する。
【0039】
非経口TMC278調剤は静脈内投与によりまたは好ましくは皮下もしくは筋肉内投与により投与することができる。
【0040】
本発明は活性成分TMC278の非経口調剤の使用に基づいておりそしてその結果として担体の性質は非経口投与に適合するように選択しなければならない。担体は液体でありそして油状であってもよいがほとんどの場合には水性であろう。後者の場合には、担体は殺菌水を含んでなるが、他の成分も包含されうる。担体は共−溶媒、例えばアルコール、例えばエタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、または共−溶媒として作用する重合体、例えばポリエチレングリコール(PEG)もしくはポリエトキシル化されたひまし油(Cremophor
(R))も含有しうる。
【0041】
活性化合物の溶解度を高めるために、溶解促進効果を有する追加成分、例えば溶解剤および界面活性剤、または界面活性剤および溶解剤の両者である成分を活性成分TMC27
8の非経口調剤に加えることができる。そのような追加成分の例はシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体である。適するシクロデキストリンは、α−、β−、γ−シクロデキストリン、またはシクロデキストリンのアンヒドログルコース単位のヒドロキシ基の1個もしくはそれ以上がC
1−6アルキル、特にメチル、エチルもしくはイソプロビル、例えば無作為にメチル化されたβ−CD;ヒドロキシC
1−6アルキル、特にヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルもしくはヒドロキシブチル;カルボキシC
1−6アルキル、特にカルボキシメチルもしくはカルボキシエチル;C
1−6アルキルカルボニル、特にアセチル、で置換されたそれらのエーテルおよび混合エーテルである。β−CD、無作為にメチル化されたβ−CD、2,6−ジメチル−β−CD、2−ヒドロキシエチル−β−CD、2−ヒドロキシエチル−β−CD、2−ヒドロキシプロピル−β−CDおよび(2−カルボキシメトキシ)プロピル−β−CD、そして特に2−ヒドロキシプロピル−β−CD(2−HP−β−CD)が、錯化剤および/または溶解剤として特に注目すべきである。
【0042】
界面活性剤性質を有する他のそのような成分はポロキサマーであり、それらはポリエチレン、商品名Pluronic
(R)、例えばx、yおよびzの平均値がそれぞれ128、54および128であるポロキサマー338に相当するPluronic
(R)F108、として入手可能な、一般的に式HO−[CH
2CH
2O]
x−[CH(CH
3)CH
2O]
y−[CH
2CH
2O]
z−H[式中、x、yおよびzは種々の値を有することができる]に従うポリオキシプロピレンブロック共重合体である。さらに他のそのような成分はα−トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート類、特にビタミンE TGPS;商品名Tween
(R)、例えばTween
(R)80、として入手可能なポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベートとも称する);ポリエチレングリコール(PEG)、例えばPEG400である。
【0043】
活性成分TMC278の非経口調剤は懸濁化剤および緩衝剤並びに/またはpH調節剤、並びに場合により防腐剤および等張剤をさらに含んでなりうる。特定成分はこれらの剤の2種もしくはそれ以上として同時に機能することができ、例えば防腐剤および緩衝剤のように機能するかまたは緩衝剤および等張剤のように機能しうる。
【0044】
緩衝剤およびpH調節剤は分散液を中性ないし非いつでもわずかな塩基性(pH8.5まで)に、好ましくは7〜7.5のpH範囲内にするのに充分な量で使用すべきである。加えることができる緩衝剤およびpH調節剤は、それらの混合物を包含する、酒石酸、マレイン酸、グリシン、乳酸ナトリウム/乳酸、アスコルビン酸、クエン酸ナトリウム/クエン酸、酢酸ナトリウム/酢酸、炭酸水素ナトリウム/炭酸、琥珀酸ナトリウム/琥珀酸、安息香酸ナトリウム/安息香酸、燐酸ナトリウム類、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、炭酸水素ナトリウム/炭酸ナトリウム、水酸化アンモニウム、ベンゼンスルホン酸、安息香酸ナトリウム/酸、ジエタノールアミン、グルコノ・デルタ・ラクトン、塩酸、臭化水素、リシン、メタンスルホン酸、モノエタノールアミン、水酸化ナトリウム、トロメタミン、グルコン酸、グリセリン酸、グルタル酸、グルタミン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、トリエタノールアミンから選択できる。
【0045】
防腐剤は、安息香酸、ベンジルアルコール、ブチル化されたヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化されたヒドロキシトルエン(BHT)、クロルブトール、没食子酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、EDTA、フェノール、クロロクレゾール、メタクレゾール、ベンズエトニウムクロリド、ミリスチル−γ−ピッコリニウムクロリド、酢酸フェニル水銀およびチメロサルよりなる群から選択できる抗微生物剤および抗−酸化剤を含んでなる。ラジカルスカベンジャーはBHA、BHT、ビタミンEおよびパルミチン酸アスコルビル、並びにそれらの混合物を包含する。酸素スカベンジャーはアスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、L−システイン、アセチルシステイン、メチオニン、チオグリセロー
ル、亜硫酸アセトンナトリウム、イソアスコルビン酸(isoacorbic acid)、ヒドロキシプロピルシクロデキストリンを包含する。キレート化剤はクエン酸ナトリウム、ナトリウムEDTAおよびリンゴ酸を包含する。
【0046】
等張剤は、例えば、塩化ナトリウム、デキストロース、スクロース、フルクトース、トレハロース、マンニトール、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、ラクトース、硫酸ナトリウムである。懸濁剤は簡便には0〜10%(w/v)、特に0〜6%、の等張剤を含んでなる。電解質はコロイド安定性に影響を与えうるため、典型的な非イオン性等張剤、特にグリセリンが好ましい。
【0047】
ある場合には、TMC278を含む非経口調剤は適当な調節放出または持続放出または遅延放出担体と共にまたはそれらの中に調合されうる。
【0048】
例えば、活性成分TMC278を活性成分を調節された速度でゆっくり分解しそして放出する小さい重合体状微球の中にカプセル化することができる。微球の1つの形態は、活性成分が例えばポリラクチド/ポリグリセリド重合体または共重合体の如き生分解可能な重合体の中にカプセル化されるものである。別の重合体をベースとした技術はマクロメド(MacroMed)からのReGel
TM技術であり、それはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)およびポリエチレングリコールの三ブロック共重合体を用いる。これらは感熱性であり且つ生分解可能な重合体であり、それらは加熱時にゲルになりそして冷却時にそれらの元の状態に戻る。これらの重合体/ヒドロゲル系を溶液として投与温度において適用しそして注射部位において不溶性ゲルになる。不溶性ゲルデポ剤は注射時に直ちに形成されそしてその部位に数週間の期間にわたり留まる。薬品放出は重合体からの拡散およびその分解の組み合わせにより調節される。持続放出注射薬用量形態の別のタイプはリポソームシステムに基づいており、それらは親油性薬品または親油的に改質されたプロ−ドラッグ類の場合に使用することができる。リポソーム粒子を、例えばポリエチレングリコールで、コーティングして免疫系統を避けることができる。持続放出注射薬用量形態のさらに別のタイプはスカイエファーマ(SkyePharma)からのDepoFoam
TMとして知られる極小微球である。性質は本質的に脂質であるこれらの粒子は、分配しようとする薬品をカプセル化する複数の小さい水性区画を含有する。
【0049】
好ましくは、薬用量形態が良好に耐性があり、副作用が最少であるかまたはないように担体は選択される。
【0050】
本発明に従い投与される時にTMC278の非経口的薬用量形態は、抑制されたウイルス複製を維持しながらウイルス負荷を低下させる点で、HIV感染症の有効な処置を提供する。限定された薬品投与回数および各投与後の望ましくない副作用のないことが、この療法に伴う患者のコンプライアンスに追加される。良好な局部的耐性および投与の容易さを示す非経口調剤を選択する時には、患者のコンプライアンスはさらに改良されうる。