【0013】
目的とするssDNAの選抜の流れを
図1に示す第1段階(1〜7round)と
図2に示す第2段階(8〜11round)に分けて実施した。
その操作ステップについて以下説明する。
1)ssDNAの増幅
1−1);PCRによるdsDNAとしての増幅
下記4)のステップで回収されたssDNAを鋳型にして、以下のプライマーとrTaq DNAポリメラーゼ(TOYOBO・TAP-201)を用いてPCR(TAKARA・PCR Thermal Cycler DiceR Gradient)によりdsDNAを複製した。
Forward primer:5'-FITC-cagctcagaagcttgatcctgtg-3'
Reverse primer:5'-Biotin-tgcagatgcacgacttcgagtc-3'
1−2);増幅したdsDNAからのssDNAの回収
上記のステップで得られたdsDNAを、
図3に示すように、アビジン修飾セファロースビーズ充填カラム(Streptavidin HP SpinTrap 16カラム,GE healthcare・28-9031-30)にアプライし、ビーズ表面にdsDNAを固定化しその後、NaOH水溶液を加えdsDNA間の水素結合を切断しビオチン修飾されていない側のssDNAを分離溶出、回収した。
2)がん細胞へのssDNAの添加・結合
上記、1)で得られたssDNA溶液(400nM、500μl)を、コラーゲンタイプ1コートdish 35mm(IWAKI・4020-010)に培養したHepG2細胞に対して添加し37℃で45min反応させた。
3)がん細胞に未結合のssDNAの洗浄・除去
上記、2)の反応後、培地を除去し、ウシ血清アルブミン(BSA)とウシ胎児血清(FBS)を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)でコラーゲンコートdishに培養したHepG2細胞を洗浄した。
4)がん細胞に結合したssDNAの分離・回収
上記、3)の洗浄後、細胞剥離剤NO−ZYME (SAFC biosciences)を用いて細胞を回収した。ここで結合したssDNAを細胞から遊離させるため、95℃で10min heat shockを行なった。
0.45 mmフィルターおよび0.25mmフィルターで細胞と遊離したssDNAを分離し、ssDNAを回収した。
以上の1)〜4)の手順を1Roundとして、11Round繰り返したが、8〜11roundについては、上記1)と2)の操作の間に、
図2に示すように、下記の操作a)およびb)を追加した作業を行なった。
a) 正常細胞へのssDNAの添加・結合
1)で得られたssDNA溶液(400nM、500μl)を、コラーゲンコートdishに培養した正常細胞に対して添加し37℃で45min 反応させる。
b) 正常細胞に未結合のssDNAの回収
a)の反応後、培地を除去し、BSAとFBSを含むPBSでコラーゲンコートdishに培養したHepG2細胞を洗浄する。
洗浄液中のssDNAをエタノール沈殿により回収した。
5)がん細胞に結合したssDNAの単離・解析
11Round終了後、得られたssDNAをMighty TA-cloning Kit(TAKARA・6028)を用いてTAクローニングし、シーケンシングを行った。
【0014】
<実験結果>
初期ssDNAライブラリーと、11RoundのCell SELEX終了後に得られたssDNAとを、それぞれHepG2細胞に添加し、洗浄後、蛍光顕微鏡観察を行なった。
図4に示すように、11RoundのCell SELEX終了後に得られたssDNAは、HepG2細胞への顕著な結合が観察された。
初期ssDNAライブラリーと、3〜11RoundのCell SELEX終了後に得られたssDNAとを、それぞれHepG2細胞に添加し、洗浄後、細胞を回収しサイトメーターで計測を行なった。
図5に示すように、round数の上昇とともにヒストグラムは蛍光強度の高い方へ移動し、11Roundで飽和していることが確認できた。
11RoundのCell SELEX終了後、得られたssDNAをTAクローニングにより単離し、45コロニーについてシーケンシングを行なった。
その結果、
図6のように、得られたDNAアプタマーの塩基配列は12種類であることが分かった。
12種類のうち9種類までは、最も出現頻度の高かった配列(
図6A−1)に対して、1もしくは2塩基の違いしかない相同性の高いものであった。
また、これらの12種類を、DNAアプタマーとしてとりうる構造でカテゴリー分けることとした。
この際、mfold(http://frontend.bioinfo.rpi.edu/applications/mfold/cgi-bin/dna-form1.cgi)というWeb上のソフトウエアにより、二次元構造を推定した。
二次元構造の推定の際には、以下17個のパラメータを入力した。
1.DNA sequence:
図6の塩基配列
2.The DNA sequence is linear or circular:linearを選んだ
3.Folding temperature:37℃と入力した
4.Ionic conditions: Na+137mM,Mg+0.5mMと入力した
5.Enter the percent suboptimality number.:5と入力した
6.Enter an upper bound on the number of computed foldings.:50と入力した
7.Enter the window parameter if you wish.:defaultを選んだ
8.Enter the maximum distance between paired bases if you wish.: no limitを選んだ
9.Choose image width for png & jpg files:Largeを選んだ
10.Choose structure format:automaticを選んだ
11.Grid lines in energy dot plot: onを選んだ
12.Choose structure draw mode: Natural anglesを選んだ
13.Choose base numbering frequency:defaultと入力した
14.Choose sequence numbering offset:0と入力した
15.Choose regularization angle(in degrees):0と入力した
16.Choose structure rotation angle(in degrees):autoと入力した
17.Choose structure annotation:p-numを選んだ
これにより、
図6の塩基配列は、
図7に示すA−Fまでの6種類の二次元構造にカテゴリー分けされることが判った。
【0015】
次に、2次元構造A〜Eにおいて、各カテゴリーから1種類のDNAアプタマーを選び、正常細胞及びHepG2細胞に対する結合試験を実施した。
ヒト肝臓由来の正常細胞に対するDNAアプタマーの結合試験結果を
図8に示し、
ヒト肝臓由来のがん細胞HepG2に対するDNAアプタマーの結合試験結果を
図9に示す。
これらの蛍光強度分布を比較すると、いずれのDNAアプタマーも、正常細胞に対しては、0Roundの初期ssDNAライブラリーと同程度の低い結合性であった。
それに比較し、HepG2細胞に対しては、11RoundのCell SELEX終了後に得られたssDNAと同程度の高い結合性を示すことが確認できた。