特許第5754023号(P5754023)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5754023
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】二次電池の製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20150702BHJP
【FI】
   H01M10/04 Z
【請求項の数】16
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-510759(P2013-510759)
(86)(22)【出願日】2011年4月18日
(86)【国際出願番号】JP2011059566
(87)【国際公開番号】WO2012144007
(87)【国際公開日】20121026
【審査請求日】2013年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】507317502
【氏名又は名称】エリーパワー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】598142014
【氏名又は名称】長野オートメーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100128532
【弁理士】
【氏名又は名称】村中 克年
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 尋史
(72)【発明者】
【氏名】山浦 誠司
【審査官】 市川 篤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−158317(JP,A)
【文献】 特開2009−199835(JP,A)
【文献】 特開2009−140775(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/144008(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/139561(WO,A1)
【文献】 特開平03−230479(JP,A)
【文献】 特開2009−140772(JP,A)
【文献】 特開2004−022449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 10/058−0585
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定枚数の正極板又は負極板を正極板用又は負極板用カセット部材に載置する極板載置工程と、
前記正極板用又は前記負極板用カセット部材に載置された所定枚数の前記正極板又は前記負極板を、前記正極板又は前記負極板の縁部を押圧することにより正極板用又は負極板用極板搬送部材に一括して供給する極板供給工程と、
複数のガイド部材でセパレータを押すことにより、前記セパレータをジグザグ折りにするジグザグ折り工程と、
前記ジグザグ折りにされた前記セパレータの各谷溝内に前記正極板用極板搬送部材に載置された前記正極板と前記負極板用極板搬送部材に載置された前記負極板とを挿入することにより、前記セパレータを介して前記正極板と前記負極板とが交互に重なり合う積層体を形成する積層体形成工程と、
前記セパレータの各谷溝内から前記ガイド部材を抜去する抜去工程と、
前記積層体を前記正極板と前記負極板とが積層された方向に押圧する押圧工程と、を有することを特徴とする二次電池の製造方法。
【請求項2】
前記複数のガイド部材を鉛直方向にジグザグ状に配置し、前記ガイド部材の一方の列と他方の列との間に前記セパレータを配置するセパレータ配置工程をさらに有し、
前記ジグザグ折り工程は、前記ガイド部材を列同士間で水平方向に交差させることにより行うことを特徴とする請求項に記載の二次電池の製造方法。
【請求項3】
前記極板載置工程は、一つ前の二次電池を製造するために行われる前記極板載置工程で用いられた前記負極板用カセット部材とは異なる前記負極板用カセット部材に前記負極板を載置することを特徴とする請求項1又は2に記載の二次電池の製造方法。
【請求項4】
所定枚数の正極板を正極板用カセット部材に載置する極板載置工程と、
前記正極板用カセット部材に載置された所定枚数の前記正極板を、当該正極板の縁部を押圧することにより正極板用極板搬送部材に一括して供給する極板供給工程と、
複数のガイド部材で負極板を2枚のセパレータで挟んだ重畳体を押すことにより、前記重畳体をジグザグ折りにするジグザグ折り工程と、
前記ジグザグ折りにされた前記重畳体の各谷溝内に前記正極板用極板搬送部材に載置された前記正極板を挿入することにより、前記セパレータを介して前記正極板と前記負極板とが交互に重なり合う積層体を形成する積層体形成工程と、
前記重畳体の各谷溝内から前記ガイド部材を抜去する抜去工程と、
前記積層体を前記正極板と前記負極板とが積層された方向に押圧する押圧工程と、を有することを特徴とする二次電池の製造方法。
【請求項5】
前記複数のガイド部材を鉛直方向にジグザグ状に配置し、前記ガイド部材の一方の列と他方の列との間に前記重畳体を配置するセパレータ配置工程をさらに有し、
前記ジグザグ折り工程は、前記ガイド部材を列同士間で水平方向に交差させることにより行うことを特徴とする請求項に記載の二次電池の製造方法。
【請求項6】
前記極板載置工程は、一つ前の二次電池を製造するために行われる前記極板載置工程で用いられた前記正極板用カセット部材とは異なる前記正極板用カセット部材前記正極板を載置することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の二次電池の製造方法。
【請求項7】
前記極板供給工程は、前記ジグザグ折り工程の前に行われることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の二次電池の製造方法。
【請求項8】
前記極板載置工程は、一つ前の二次電池を製造するために行われる前記押圧工程までに行われることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の二次電池の製造方法。
【請求項9】
鉛直方向にジグザグ状に配列された複数のガイド部材を有し、前記ガイド部材の一方の列と他方の列との間にセパレータが配置されると、前記ガイド部材を列同士間で水平方向に交差させて前記セパレータをジグザグ折りするジグザグ折り手段と、
所定枚数の正極板又は負極板が載置される正極板用又は負極板用極板搬送部材を備え、前記正極板用又は前記負極板用極板搬送部材を前記セパレータの各谷溝内に移動させることで各谷溝内に前記正極板と前記負極板とを挿入する極板挿入手段と、
前記セパレータを介して前記正極板と前記負極板とが交互に重なり合う積層体を各極板が積層される方向で押圧するプレス手段と、を備えると共に、
所定枚数の前記正極板又は前記負極板が載置される正極板用又は負極板用カセット部材と、前記正極板用又は前記負極板用カセット部材に載置された前記正極板又は前記負極板の縁部を押圧する押圧部材とを有し、前記正極板用又は前記負極板用カセット部材に載置されている複数枚の前記正極板又は前記負極板を前記正極板用又は前記負極板用極板搬送部材に一括して供給する供給手段を備えることを特徴とする二次電池の製造装置。
【請求項10】
前記供給手段は、前記ジグザグ折り手段によってジグザグ折りされるまでに、所定枚数の前記負極板前記負極板用カセット部材から前記負極板用極板搬送部材に一括して供給することを特徴とする請求項に記載の二次電池の製造装置。
【請求項11】
前記供給手段は、前記負極板用カセット部材を複数台備えていることを特徴とする請求項9又は10に記載の二次電池の製造装置。
【請求項12】
前記押圧部材は、前記負極板のリード部とは反対側の縁部を押圧することを特徴とする請求項9〜11の何れか一項に記載の二次電池の製造装置。
【請求項13】
鉛直方向にジグザグ状に配列された複数のガイド部材を有し、前記ガイド部材の一方の列と他方の列との間に、負極板を2枚のセパレータで挟んだ重畳体が配置されると、前記ガイド部材が列同士間で水平方向に交差して前記重畳体をジグザグ折りするジグザグ折り手段と、
所定枚数の正極板が載置される正極板用極板搬送部材を備え、前記正極板用極板搬送部材を前記重畳体の各谷溝内に移動させることで各谷溝内に前記正極板を挿入する極板挿入手段と、
前記セパレータを介して前記正極板と前記負極板とが交互に重なり合う積層体を各極板が積層される方向で押圧するプレス手段と、を備えると共に、
所定枚数の前記正極板が載置される正極板用カセット部材と、前記正極板用カセット部材に載置された前記正極板の縁部を押圧する押圧部材とを有し、前記正極板用カセット部材に載置された所定枚数の前記正極板を前記正極板用極板搬送部材に一括して供給する供給手段を備えることを特徴とする二次電池の製造装置。
【請求項14】
前記供給手段は、前記ジグザグ折り手段によってジグザグ折りされるまでに、所定枚数の前記正極板前記正極板用カセット部材から前記正極板用極板搬送部材に一括して供給することを特徴とする請求項9〜13の何れか一項に記載の二次電池の製造装置。
【請求項15】
前記供給手段は、前記正極板用カセット部材を複数台備えていることを特徴とする請求項9〜14の何れか一項に記載の二次電池の製造装置。
【請求項16】
前記押圧部材は、前記正極板のリード部とは反対側の縁部を押圧することを特徴とする請求項9〜15の何れか一項に記載の二次電池の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両、電気機器等に用いられる二次電池の製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池等の二次電池は、正負の極板間にセパレータが介在するように、正極板と負極板を交互に重ね合わせることによって形成される極板群を有する。この極板群の製造装置の一つとして、セパレータの連続体をジグザグ折りし、その各谷溝内に正極板と負極板とを挿入し、扁平に押し潰すジグザグスタック方式の製造装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−22449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなジグザグスタック方式の製造装置では、例えば、シート状に形成したセパレータと、正極板及び負極板とを、正極板と負極板との間にセパレータが介在するように交互に積み重ねる積み重ね方式の製造装置等に比べて、正負の極板及びセパレータの位置精度を高めることができ、タクトタイムを短縮することができる。しかしながら、極板群の製造においては、正負の電極及びセパレータの位置精度のさらなる向上、またタクトタイムのさらなる短縮が望まれている。
【0005】
例えば、特許文献1に記載の製造方法では、連続状のセパレータを一対のローラで挟み、この一対のローラを水平方向に往復運動させることによりセパレータをジグザグ折りし、一対のローラが一往復する都度正負の極板を交互にセパレータ上に載せるものであり、タクトタイムを大幅に短縮することは難しい。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、正負の電極及びセパレータの位置精度を向上することができると共に、タクトタイムの短縮を図ることができる二次電池の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、所定枚数の正極板又は負極板を正極板用又は負極板用カセット部材に載置する極板載置工程と、前記正極板用又は前記負極板用カセット部材に載置された所定枚数の前記正極板又は前記負極板を、前記正極板又は前記負極板の縁部を押圧することにより正極板用又は負極板用極板搬送部材に一括して供給する極板供給工程と、複数のガイド部材でセパレータを押すことにより、前記セパレータをジグザグ折りにするジグザグ折り工程と、前記ジグザグ折りにされた前記セパレータの各谷溝内に前記正極板用極板搬送部材に載置された前記正極板と前記負極板用極板搬送部材に載置された前記負極板とを挿入することにより、前記セパレータを介して前記正極板と前記負極板とが交互に重なり合う積層体を形成する積層体形成工程と、前記セパレータの各谷溝内から前記ガイド部材を抜去する抜去工程と、前記積層体を前記正極板と前記負極板とが積層された方向に押圧する押圧工程と、を有することを特徴とする二次電池の製造方法にある。
本発明の第2の態様は、前記複数のガイド部材を鉛直方向にジグザグ状に配置し、前記ガイド部材の一方の列と他方の列との間に前記セパレータを配置するセパレータ配置工程をさらに有し、前記ジグザグ折り工程は、前記ガイド部材を列同士間で水平方向に交差させることにより行うことを特徴とする第1の態様の二次電池の製造方法にある。
本発明の第3の態様は、前記極板載置工程は、一つ前の二次電池を製造するために行われる前記極板載置工程で用いられた前記負極板用カセット部材とは異なる前記負極板用カセット部材に前記負極板を載置することを特徴とする第1又は2の態様の二次電池の製造方法にある。
【0008】
本発明の第の態様は、所定枚数の正極板を正極板用カセット部材に載置する極板載置工程と、前記正極板用カセット部材に載置された所定枚数の前記正極板を、当該正極板の縁部を押圧することにより正極板用極板搬送部材に一括して供給する極板供給工程と、複数のガイド部材で負極板を2枚のセパレータで挟んだ重畳体を押すことにより、前記重畳体をジグザグ折りにするジグザグ折り工程と、前記ジグザグ折りにされた前記重畳体の各谷溝内に前記正極板用極板搬送部材に載置された前記正極板を挿入することにより、前記セパレータを介して前記正極板と前記負極板とが交互に重なり合う積層体を形成する積層体形成工程と、前記重畳体の各谷溝内から前記ガイド部材を抜去する抜去工程と、前記積層体を前記正極板と前記負極板とが積層された方向に押圧する押圧工程と、を有することを特徴とする二次電池の製造方法にある。
【0009】
本発明の第の態様は、前記複数のガイド部材を鉛直方向にジグザグ状に配置し、前記ガイド部材の一方の列と他方の列との間に前記重畳体を配置するセパレータ配置工程をさらに有し、前記ジグザグ折り工程は、前記ガイド部材を列同士間で水平方向に交差させることにより行うことを特徴とする第の態様の二次電池の製造方法にある。
本発明の第6の態様は、前記極板載置工程は、一つ前の二次電池を製造するために行われる前記極板載置工程で用いられた前記正極板用カセット部材とは異なる前記正極板用カセット部材に前記正極板を載置することを特徴とする第1〜5の何れか一つの態様の二次電池の製造方法にある。
【0010】
本発明の第の態様は、前記極板供給工程は、前記ジグザグ折り工程の前に行われることを特徴とする第1〜6の何れか一つの態様の二次電池の製造方法にある。
【0011】
本発明の第の態様は、前記極板載置工程は、一つ前の二次電池を製造するために行われる前記押圧工程までに行われることを特徴とする第1〜7の何れか一つの態様の二次電池の製造方法にある。
【0013】
本発明の第の態様は、鉛直方向にジグザグ状に配列された複数のガイド部材を有し、前記ガイド部材の一方の列と他方の列との間にセパレータが配置されると、前記ガイド部材を列同士間で水平方向に交差させて前記セパレータをジグザグ折りするジグザグ折り手段と、所定枚数の正極板又は負極板が載置される正極板用又は負極板用極板搬送部材を備え、前記正極板用又は前記負極板用極板搬送部材を前記セパレータの各谷溝内に移動させることで各谷溝内に前記正極板と前記負極板とを挿入する極板挿入手段と、前記セパレータを介して前記正極板と前記負極板とが交互に重なり合う積層体を各極板が積層される方向で押圧するプレス手段と、を備えると共に、所定枚数の前記正極板又は前記負極板が載置される正極板用又は負極板用カセット部材と、前記正極板用又は前記負極板用カセット部材に載置された前記正極板又は前記負極板の縁部を押圧する押圧部材とを有し、前記正極板用又は前記負極板用カセット部材に載置されている複数枚の前記正極板又は前記負極板を前記正極板用又は前記負極板用極板搬送部材に一括して供給する供給手段を備えることを特徴とする二次電池の製造装置にある。
本発明の第10の態様は、前記供給手段は、前記ジグザグ折り手段によってジグザグ折りされるまでに、所定枚数の前記負極板を前記負極板用カセット部材から前記負極板用極板搬送部材に一括して供給することを特徴とする請求項9に記載の二次電池の製造装置にある。
本発明の第11の態様は、前記供給手段は、前記負極板用カセット部材を複数台備えていることを特徴とする第9又は10の態様の二次電池の製造装置にある。
本発明の第12の態様は、前記押圧部材は、前記負極板のリード部とは反対側の縁部を押圧することを特徴とする第9〜11の何れか一つの態様の二次電池の製造装置にある。
【0014】
本発明の第13の態様は、鉛直方向にジグザグ状に配列された複数のガイド部材を有し、前記ガイド部材の一方の列と他方の列との間に、負極板を2枚のセパレータで挟んだ重畳体が配置されると、前記ガイド部材が列同士間で水平方向に交差して前記重畳体をジグザグ折りするジグザグ折り手段と、所定枚数の正極板が載置される正極板用極板搬送部材を備え、前記正極板用極板搬送部材を前記重畳体の各谷溝内に移動させることで各谷溝内に前記正極板を挿入する極板挿入手段と、前記セパレータを介して前記正極板と前記負極板とが交互に重なり合う積層体を各極板が積層される方向で押圧するプレス手段と、を備えると共に、所定枚数の前記正極板が載置される正極板用カセット部材と、前記正極板用カセット部材に載置された前記正極板の縁部を押圧する押圧部材とを有し、前記正極板用カセット部材に載置された所定枚数の前記正極板を前記正極板用極板搬送部材に一括して供給する供給手段を備えることを特徴とする二次電池の製造装置にある。
【0015】
本発明の第14の態様は、前記供給手段は、前記ジグザグ折り手段によってジグザグ折りされるまでに、所定枚数の前記正極板又は前記負極板を前記正極板用又は前記負極板用カセット部材から前記正極板用又は前記負極板用極板搬送部材に一括して供給することを特徴とする第9〜13の何れか一つの態様の二次電池の製造装置にある。
【0016】
本発明の第15の態様は、前記供給手段は、前記正極板用カセット部材を複数台備えていることを特徴とする第9〜14の何れか一つの態様の二次電池の製造装置にある。
【0018】
本発明の第16の態様は、前記押圧部材は、前記正極板のリード部とは反対側の縁部を押圧することを特徴とする第9〜15の何れか一つの態様の二次電池の製造装置にある。
【発明の効果】
【0019】
かかる本発明では、極板搬送部材に極板を極めて短時間で供給することができ、タクトタイムを大幅に短縮することができる。
【0020】
また極板を各極板搬送部材に高精度に位置決めした状態で載置することができる。これにより、セパレータの各谷溝内に挿入される極板の位置精度が高まり、ひいては極板群の品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態1に係る極板群が収容された角形電池の概略を示す斜視図である。
図2】実施形態1に係る極板群の概略構成を示す斜視図である。
図3】実施形態1に係る極板群の製造装置を示す概略図である。
図4】実施形態1に係る供給手段の構成を示す概略斜視図である。
図5】実施形態1に係るカセット部材の概略を示す断面図である。
図6】実施形態1に係る製造装置を用いた極板群の製造方法を示す概略図である。
図7】実施形態1に係る製造装置を用いた極板群の製造方法を示す概略図である。
図8】実施形態1に係る製造装置を用いた極板群の製造方法を示す概略図である。
図9】実施形態1に係る製造装置を用いた極板群の製造方法を示す概略図である。
図10】実施形態2に係る極板群を示す概略図である。
図11】実施形態2に係る極板群の製造装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【0023】
(実施の形態1)
図1及び図2に示すように、リチウムイオン二次電池である角形電池(二次電池)1は、角形ケース2を備え、この角形ケース2内には極板群3が収容されている。角形ケース2の所定箇所には、図示しない正極端子と負極端子が設けられている。また角形ケース2内には、有機溶媒にリチウム塩を配合してなる電解液が充填されている。
【0024】
極板群3は、ジグザグ折りされたセパレータ4と、このセパレータ4の各谷溝4a内に交互に挿入された正極板5と負極板6とを具備する。正極板5と負極板6とは、各々の間にセパレータ4が介在するように交互に重ね合わせられ、セパレータ4が扁平に畳まれた状態になっている。正極板5と負極板6とはセパレータ4から互いに反対側に突出するリード部5a,6aを備え、各極のリード部5a,6aはそれぞれ束ねられている。そして正極板5のリード部5aは上記正極端子に接続され、負極板6のリード部6aは上記負極端子に接続される。
【0025】
このような構成の極板群3を製造する製造装置10は、以下に説明するように、ジグザグ折り手段と、極板挿入手段と、供給手段と、プレス手段とを少なくとも備えている。
【0026】
図3(a)に示すように、ジグザグ折り手段は、鉛直方向にジグザグ状に配列された複数のガイド棒(ガイド部材)11を有し、このガイド棒11の一方の列12Aと他方の列12Bとの間にセパレータ4が配置されると、図3(b)に示すようにガイド棒11を列12A,12B同士間で水平方向に交差させて、セパレータ4をジグザグ折りする。
【0027】
ガイド棒11は、セパレータ4に対して供給される正負の極板5,6の枚数と同じ本数か又はそれ以上の本数設けられている。これら複数本のガイド棒11は、図示しない基台上に垂直方向に二列12A,12Bで各々水平に配列される。またガイド棒11は、列12A,12B間でジグザクになるように、すなわち鉛直方向においてジグザグになるように配列される。これらのガイド棒11は、列12A,12Bごとに設けられた縦フレーム13,14にそれぞれ片持ち状に支持されている。
【0028】
またジグザグ折り手段は、ガイド棒11の一方の列12Aと他方の列12Bとの間にセパレータ4が配置されると、ガイド棒11を列12A,12B同士間で交差させてセパレータ4をジグザグ折りするための駆動部を備える。この駆動部は、例えば、ボールネジとボールネジを回転させるモータ等により構成される。なおこのようにボールネジ、モータ等で構成される駆動部は通常の送り手段であるから図示は省略する。
【0029】
また製造装置10の図示しない基台上には、ジグザグ折りされるセパレータ4を下方から受け止める定盤15が移動可能に設置されている。定盤15の近傍には、セパレータ4の始端を把持するクランプ16が定盤15に干渉しないように移動可能に設けられている。定盤15の上方にはセパレータ4が巻き取られたロール17が設けられている。ロール17はセパレータ4の繰り出し方向になるべく負荷がかからないように回転可能に保持されている。これにより、セパレータ4のジグザグ折りされる箇所に生じる張力が低減される。またセパレータ4の走行路には、ロール17から繰り出されたセパレータ4を所定箇所において切断するためのカッター18が設けられている。
【0030】
極板挿入手段は、所定枚数の正極板5又は負極板6が載置される複数の極板搬送トレー19を有する極板搬送部材20を備える。極板搬送部材20の各極板搬送トレー19をセパレータ4の各谷溝4a(図2参照)内に移動させることで、各谷溝4a内に正極板5と負極板6とを交互に挿入する。本実施形態では、極板挿入手段は、正極板5を搬送する第1の極板搬送部材(正極板用極板搬送部材)20Aと、負極板6を搬送する第2の極板搬送部材(負極板用極板搬送部材)20Bと、を備えている。第1の極板搬送部材20Aは、極板群3に必要な正極板5の枚数と同数個の極板搬送トレー19を備えている。第1の極板搬送部材20Aの各極板搬送トレー19は、一方の列12Aを構成するガイド棒11の後方に水平に配置され、その後端が支持フレーム21Aによって連結されている。同様に、第2の極板搬送部材20Bも、複数個の極板搬送トレー19を備える。第2の極板搬送部材20Bの極板搬送トレー19は、他方の列12Bを構成するガイド棒11の後方に水平に配置され、その後端が支持フレーム21Bによって連結されている。
【0031】
各支持フレーム21A,21Bは、正極板5又は負極板6の搬送方向に伸縮可能なピストン・シリンダ装置22のピストンロッド22aにそれぞれ連結されている。また各ピストン・シリンダ装置22は、正極板5又は負極板6の搬送方向に往復移動可能な往復台23にそれぞれ設置されている。
【0032】
各往復台23は、ボールネジ等からなる駆動部により水平方向に移動可能に構成されている。具体的には、各往復台23は、基台上に回転可能に設置された送りネジであるボールネジ24に螺合するナット25に連結されている。ボールネジ24は図示しないモータによって回転するようになっている。ボールネジ24が回転すると、第1及び第2の極板搬送部材20A,20Bがそれぞれ移動され、各極板搬送トレー19がセパレータ4の各谷溝4a内に一括して供給される。
【0033】
なお極板搬送トレー19の左右両側(極板搬送トレー19の移動方向とは直交する方向における両側)には、セパレータ4の縁部に当接される一対の押し部材26が設けられている。押し部材26は、具体的には各極板搬送トレー19の左右両側から突出した正極板5及び負極板6の縁部に当接する一対の縦棒として構成され、各往復台23に取り付けられている。このため、ボールネジ24の回転により往復台23が移動すると、押し部材26も極板搬送部材20と共に往復移動する。そして、各極板搬送トレー19がセパレータ4の谷溝4a内へと進入した後に各ピストン・シリンダ装置22が縮動作すると、各極板搬送トレー19は谷溝4a外へと後退されるが、押し部材26は前進した位置に留まる。これにより正極板5及び負極板6は押し部材26によって移動が規制されて、セパレータ4の谷溝4a内に残留することになる。
【0034】
このように極板搬送部材20によって正極板5及び負極板6をセパレータ4の各谷溝4aに一括して挿入することで、タクトタイムを短縮することができる。
【0035】
なお極板搬送部材20は、ガイド棒11によるセパレータ4のジグザグ折りの後に移動させるようにしてもよいが、ガイド棒11が列12A,12B同士間で交差しセパレータ4をジグザグ折りするのと同時に移動させるのが望ましい。これにより、セパレータ4をジグザグ折りしつつ、正極板5及び負極板6をセパレータ4の各谷溝4a内に挿入することが可能になり、タクトタイムがより一層短縮される。
【0036】
供給手段は、図4に示すように、例えば、所定枚数の正極板5又は負極板6が載置されるカセット部材(正極板用又は負極板用カセット部材)50を有し、カセット部材50に載置された所定枚数の正極板5又は負極板6を極板搬送部材20の各極板搬送トレー19に一括して供給する。なお図4及び図5には、正極板5が搭載されたカセット部材(正極板用カセット部材)50を例示する。
【0037】
カセット部材50は、第1の極板搬送部材20A及び第2の極板搬送部材20B(図3参照)のそれぞれに対応して設けられている。各カセット部材50は、正極板5又は負極板6を保持する複数段の極板保持部51を備える。極板保持部51は、極板搬送部材20の各極板搬送トレー19に対応して複数段に設けられている。各極板保持部51は、支柱52に固定された一対の支持板53で構成されており、支持板53間には所定幅のスリット部54が設けられている。また支持板53には、図5に示すように、正極板5又は負極板6等が挿入されるガイド溝55がスリット部54に沿って形成されている。
【0038】
また供給手段は、このようなカセット部材50に載置された正極板5又は負極板6の縁部を、極板搬送部材20に向かって押圧する押圧部材56を備える。押圧部材56は、正極板5及び負極板6の縁部に当接する縦棒として構成され、一対の支持板53間のスリット部54内を移動可能に設けられている。すなわち押圧部材56は、スリット部54よりも若干狭い幅で形成されており、図示しないピストン・シリンダ装置等の駆動手段によって直線移動可能に構成されている。またカセット部材50と押圧部材56とは、図示しない移動台に搭載されており、後述するように、ロボットアーム等で正極板5及び負極板6をカセット部材50に搭載する極板搭載部と、極板搬送部材20との間を移動可能に構成されている。
【0039】
そして本発明では、このような構成の供給手段によって極板搬送部材20の各極板搬送トレー19に対して所定枚数の正極板5又は負極板6を一括して供給することで、タクトタイムのさらなる短縮を図ると共に、極板群3の品質の向上を図っている。
【0040】
プレス手段は、基台上で垂直方向に昇降可能なプッシャー27として構成され、正負の極板5,6の積層方向でセパレータ4を押圧して扁平させる。プッシャー27は、押し部材26によって正極板5及び負極板6の移動が規制された状態で、セパレータ4をこれら極板5,6の積層方向で押圧する。これにより、セパレータ4は正極板5と負極板6とを挟んだ状態で押し潰されて扁平となり、所定厚さの扁平形状の極板群3が形成される。
【0041】
以下、このような構成の製造装置10による極板群3の製造方法について、図6図10を参照して説明する。
【0042】
まずは、図6に示すように、ジグザグ状に配列されたガイド棒11の一方の列12Aと他方の列12Bとの間にセパレータ4が配置されて、セパレータ4の先端がクランプ16により把持される。セパレータ4はロール17(図3参照)から繰り出され、比較的小さい張力でガイド棒11の列12A,12B間に鉛直方向に張られる。
【0043】
この状態で、ガイド棒11の列12A,12Bがセパレータ4側に向かって水平に移動され、ガイド棒11が列同士間で交差される。これにより、図7に示すように、セパレータ4がジグザグ折りされ、一つの極板群3に必要な個数の谷溝4aがセパレータ4に同時に形成される。つまり、ガイド棒11でセパレータ4を押すことにより、セパレータ4がジグザグ折りにされている(ジグザグ折り工程)。
【0044】
また本実施形態では、このようにガイド棒11が列12A,12B毎に水平方向に移動されるのと同時に、第1及び第2の極板搬送部材20A,20B及び押し部材26もセパレータ4に向かって水平方向に移動される。これにより、第1の極板搬送部材20Aの各極板搬送トレー19に予め搭載された正極板5、及び第2の極板搬送部材20Bの各極板搬送トレー19に予め搭載された負極板6が、ジグザグ折りされたセパレータ4の各谷溝内4aに交互に挿入される(積層体形成工程)。
【0045】
次に、セパレータ4の各谷溝4a内からガイド棒11が抜き取られる(抜去工程)。その後、押し部材26を残して第1及び第2の極板搬送部材20A,20Bがセパレータ4から離れる方向に移動されるのと同時に、プッシャー27を下降させることでセパレータ4を介して正極板5と負極板6とが交互に積層された積層体が正極板5と負極板6の積層方向で定盤15に向かって強く押圧される(押圧工程)。すなわち、積層体が正極板5、負極板6の積層方向で押圧されながら、第1及び第2の極板搬送部材20A,20Bが、元の位置(図7(a)中に二点鎖線で示す)まで戻される。これにより、セパレータ4を介して正極板5と負極板6とが交互に積層された扁平形状の積層体が形成される。
【0046】
なお、セパレータ4の各谷溝4a内からガイド棒11を抜去する際に、プッシャー27でセパレータ4を軽く押圧するようにしてもよい。これにより、ガイド棒11の抜去に伴い、セパレータ4のジグザグ状に屈曲形状の崩れを抑制することができる。また、セパレータ4の各谷溝4a内からガイド棒11を抜去する工程の後に、積層体の押圧工程や第1及び第2の極板搬送部材20A、20Bを元の位置まで戻す工程を行っているが、第1及び第2の極板搬送部材20A、20Bを元の位置まで戻す工程の後に、セパレータ4の各谷溝4a内からガイド棒11を抜去する工程を行ってもよい。
【0047】
また扁平形状の積層体が形成された後は、セパレータ4の先端がクランプ16から解放され、セパレータ4の後端がカッター18によって切断されることによって極板群3が形成される。さらに、この極板群3が電池のケース2内に収納されることで角形電池1が形成される。
【0048】
ここで、第1及び第2の極板搬送部材20A,20Bの各極板搬送トレー19には、上述したようにカセット部材50の各支持板53上に搭載されている正極板5又は負極板6を押圧部材56で押圧することで、これら正極板5又は負極板6が一括して供給されるようになっている(極板供給工程)。
【0049】
カセット部材50の各極板保持部51を構成する支持板53上には、極板搬送部材20とは離れた位置に設けられた極板搭載部(図示なし)において正極板5又は負極板6がそれぞれ搭載される。そして、極板群3の製造開始時には、カセット部材50に所定枚数の正極板5又は負極板6が予め載置された状態となっている。なお極板搭載部におけるカセット部材50への正極板5又は負極板6の搭載方法は、特に限定されるものではない。例えば、極板搭載部に保管されている正極板5又は負極板6をロボットアーム等で吸着保持してカセット部材50の各支持板53上に載置すればよい。
【0050】
極板群3の製造方法が開始されると、図8に示すように、正極板5又は負極板6が載置されたカセット部材50が各極板搬送部材20に近接する位置まで移動される。この状態で、図9に示すように、棒状の押圧部材56をスリット部54に向かってスライドさせる。これにより、各カセット部材50に載置されている所定枚数の正極板5又は負極板6が、押圧部材56によって押し出されて第1又は第2の極板搬送部材20A,20Bの各極板搬送トレー19に一括して供給される。
【0051】
これにより、各極板搬送トレー19に正極板5又は負極板6を極めて短時間で供給することができ、タクトタイムを大幅に短縮することができる。また本実施形態では、カセット部材50に搭載されている複数の正極板5又は負極板6を、棒状の押圧部材56で押圧することで極板搬送部材20の各極板搬送トレー19に一括して供給している。このため、各正極板5又は負極板6を各極板搬送トレー19に対して高精度に位置決めした状態で載置することができる。これにより、セパレータ4の各谷溝4a内に挿入される正極板5及び負極板6の位置精度が高まり、ひいては極板群3の品質を向上することができる。
【0052】
また正極板5及び負極板6を各極板搬送トレー19に供給する際、押圧部材56によって正極板5及び負極板6のリード部5a,6aとは異なる縁部、特に、リード部5a,6aとは反対側の縁部を押圧することが好ましい。これにより、押圧部材56の押圧による正極板5及び負極板6の変形を抑制して、正極板5及び負極板6を各極板搬送トレー19に良好に供給することができる。
【0053】
なお極板搬送部材20に対して正極板5又は負極板6が供給された各カセット部材50は、極板搭載部に再び移動され、次に製造される極板群3に使用される正極板5又は負極板6が載置される。これにより、次に極板群3の製造が開始される際には、カセット部材50に所定枚数の正極板5又は負極板6が予め搭載された状態となる。つまり、一つの前の極板群3を製造するために行われる、後述する正極板5と負極板6とが交互に重なり合う積層体を押圧する押圧工程までに、その次の極板群3を製造するための工程として、正極板5又は負極板6をカセット部材50に載置する極板載置工程を完了させるようにしている。例えば、極板群3が備える極板5,6の枚数が多い場合など、次の極板群3の製造開始までに、カセット部材50への正負の極板5,6の載置が間に合わないことも考えられる。このような場合には、カセット部材50を各極板搬送部材20に対して複数台備えるようにすることが好ましい。すなわち、正極板用と負極板用のカセット部材50をそれぞれ複数台準備し、一つ前の極板群3の製造工程で用いられたカセット部材50とは異なるカセット部材50に正極板5又は負極板6を載置することが好ましい。これにより、次に極板群3の製造開始までに、カセット部材50に所定枚数の正極板5又は負極板6を載置することができ、タクトタイムをより確実に短縮することができる。
【0054】
(実施形態2)
図10は実施形態2に係る極板群の概略構成を示す斜視図であり、図11は、実施形態2に係る製造装置を示す概略図である。なお同一部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0055】
図10に示すように、実施形態2に係る極板群3Aは、ジグザグ折りされた連続状の重畳体40と、この重畳体40の各谷溝40a内に挿入された正極板5とを具備する扁平形状の積層体として構成される。重畳体40は2枚のセパレータ4Aで負極板6Aを挟んでなる積層体である。このため、重畳体40の各谷溝40a内に挿入された正極板5はセパレータ4Aを介して負極板6Aと対峙することになる。
【0056】
なお、このような本実施形態の構成においても、実施形態1と同様に、正極板5と負極板6Aとには互いに逆向きにセパレータ4Aから突出するリード部5a,6aが設けられる(図2参照)。そして、各極のリード部5a,6aはそれぞれ束ねられて角形ケース2(図1参照)の図示しない正極端子及び負極端子にそれぞれ接続される。
【0057】
図11に示すように、このような極板群3Aを製造する製造装置10Aは、実施形態1におけるものと同様にジグザグ状に配列された複数本のガイド棒11、その他を有する構成であるが、ガイド棒11の一方の列12Aと他方の列12Bとの間に、重畳体40が挿入されるようになっている。また、第1及び第2の極板搬送部材20A,20Bのそれぞれが、正極板5を重畳体40の谷溝40a内に搬送するようになっている。実施形態2に係る製造装置10Aは、これらの点を除き、実施形態1に係る製造装置10と同様の構成である。
【0058】
このような実施形態2に係る製造装置10Aでは、重畳体40に正極板5のみを挿入する谷溝40aを形成すればよい。このため、実施形態1の極板群3と同様な性能の極板群3Aを製造する場合、重畳体40の谷溝40aの数は実施形態1の場合に比べ半数で足りる。したがってガイド棒11や極板搬送トレー19の個数も略半数に減らすことができ、ひいてはタクトタイムをさらに短縮することができる。
【0059】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能なものである。
【0060】
例えば、上述の実施形態では、カセット部材から各極板搬送トレーへの正負の極板の供給方法として、カセット部材に搭載された正負の極板を押圧部材で押圧する例を説明した。しかしながら、各極板搬送トレーに一括して極板を供給することができれば、その方法は特に限定されるものではない。例えば、カセット部材上の正負の極板を極板搬送トレー側から把持して、カセット部材から極板搬送トレー上に極板を引き出すようにしてもよい。
【0061】
また例えば、上述の実施形態では角形電池の一例としてリチウムイオン二次電池を例示したが、本発明はリチウムイオン二次電池以外の電池や、一次電池等にも適用可能である。さらに上述の実施形態では、ガイド棒を列同士間で交差させる際に双方の列を移動させるものとしたが、一方の列のガイド棒を停止させて他方の列のガイド棒を移動させるようにしても同様なジグザグ折りを行うことができる。そのように構成すれば、ガイド棒の列を移動させる駆動部を少なくすることができ、コストダウンが可能になる。また、ガイド棒や極板搬送トレー等の個数は増減自在であり、上記実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0062】
1 角形電池
2 角形ケース
3 極板群
4 セパレータ
4a 谷溝
5 正極板
6 負極板
5a,6a リード部
10 製造装置
11 ガイド棒
12 列
13,14 縦フレーム
15 定盤
16 クランプ
17 ロール
18 カッター
19 極板搬送トレー
20 極板搬送部材
21 支持フレーム
22 ピストン・シリンダ装置
22a ピストンロッド
23 往復台
24 ボールネジ
25 ナット
26 押し部材
27 プッシャー
40 重畳体
40a 谷溝
50 カセット部材
51 極板保持部
52 支柱
53 支持板
54 スリット部
55 ガイド溝
56 押圧部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11