(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5754069
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】物体をトモグラフィスキャンするための装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/25 20060101AFI20150702BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
G01B11/25 H
G01N21/17 620
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2008-262476(P2008-262476)
(22)【出願日】2008年10月9日
(65)【公開番号】特開2009-98146(P2009-98146A)
(43)【公開日】2009年5月7日
【審査請求日】2011年10月4日
(31)【優先権主張番号】01624/07
(32)【優先日】2007年10月18日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】510022473
【氏名又は名称】ネクター・イメージング・エツセ・エルレ・エツレ
(74)【代理人】
【識別番号】100103920
【弁理士】
【氏名又は名称】大崎 勝真
(74)【代理人】
【識別番号】100140523
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 千尋
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・ベルナー
【審査官】
岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−172459(JP,A)
【文献】
特開2003−337014(JP,A)
【文献】
特開平07−012536(JP,A)
【文献】
特開2004−361142(JP,A)
【文献】
特開2003−287410(JP,A)
【文献】
特開昭58−035406(JP,A)
【文献】
特開2006−322949(JP,A)
【文献】
特表2005−520142(JP,A)
【文献】
特開2004−191240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯または他の物体をトモグラフィスキャンする装置であって、
物体(14)を照射するための光ビーム(15)を生成する光源(1)と、
光源(1)によって放出された光ビーム(15)を物体(14)に入射させる光学照射アセンブリ(2、6、7、9、10)と、
光源(1)の下流側で光ビーム(15)の光軸内に配置される第1のグリッド(3)であって、該第1のグリッド(3)を通して、物体(14)を照射する前に、光ビーム(15)がガイドされ、したがって、第1のグリッド(3)の模様が物体(14)上に投射される、第1のグリッド(3)と、
物体(14)をセンサ(13)上に結像させる光学結像アセンブリ(5、6、7、9、10)と、
反射された光ビーム(16)の光軸内に設けられ、第1のグリッド(3)に整合する模様をもつ第2のグリッド(12)であって、該第2のグリッド(12)を通して、第1のグリッド(3)の模様をもつ反射された光ビーム(16)がガイドされ、したがって、センサ(13)が、第1のグリッド(3)の模様と、第2のグリッド(12)の模様とを重ね合わせることから生じるモアレ模様をもつ物体(14)によって反射された光ビーム(16)を検出する、センサ(13)の上流側またはセンサ(13)のピクセル構造によって構成される第2のグリッド(12)と、
第1のグリッド(3)および/または第2のグリッド(12)を動かすための手段(4)であって、運動周波数が、得られるモアレ模様の強度の変動をもたらす手段、ならびに強度の変動を検出するための手段と
を含み、
光学照射アセンブリ(2、6、7、9、10)が、光源(1)によって放出された光ビーム(15)を位置合わせするためのレンズ(6、7、10)と、放出された光ビーム(15)を物体(14)の方向に偏向させるためのミラー(9)とを含み、
光学結像アセンブリ(5、6、7、9、10)が、物体(14)から反射された光ビーム(16)を光源(1)の方向に偏向させるミラー(9)と、反射された光ビーム(16)を位置合わせするためのレンズ(10、7、6)と、反射された光ビーム(16)をセンサ(13)の方向に偏向させる追加のミラー(5)とを含み、
光学結像アセンブリに備わる追加のミラー(5)が、半透明ミラーであり、光学結像アセンブリ(5、6、7、9、10)が、当該追加のミラー(5)から物体(14)までの部分を光学照射アセンブリ(2、6、7、9、10)と共通に有し、
物体(14)が検出される焦点面を設定するために、光学照射アセンブリ(2、6、7、9、10)のレンズ(7)を動かすための追加の手段(8)が設けられ、
追加の手段(8)によって動かされるレンズ(7)が、光学照射アセンブリ(2、6、7、9、10)と光学結像アセンブリ(5、6、7、9、10)との前記共通の部分に含まれ、
強度の変動を検出するための前記手段が帯域フィルタリングによって運動周波数の信号強度を検出し、それにより、焦点合わせされた物体が信号を発生する、装置。
【請求項2】
強度の変動が、狭帯域フィルタリングまたはフーリエ解析によって検出されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
第1のグリッド(3)および/または第2のグリッド(12)の模様が、線様または市松模様であることを特徴とする、請求項1から2のいずれかに記載の装置。
【請求項4】
第1のグリッドおよび/または第2のグリッドを動かすことが、連続的回転によって行われることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
第1のグリッドおよび/または第2のグリッドが、複数の径方向の線または複数巻きの螺旋からなることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
光源(1)が、LEDまたはLEDクラスタであることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
光源(1)が単一レーザであり、空間的コヒーレンスが少なくとも1つの動かされた拡散体によって壊されることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
光学照射アセンブリ(2、6、7、9、10)が、光源(1)によって放出された光ビーム(15)を平行にするように、光源(1)と第1のグリッド(3)との間に配置されたコリメーティングレンズ(2)をさらに含み、光学照射アセンブリ(2、6、7、9,10)のレンズが、光源(1)によって放出された光ビーム(15)を位置合わせするためのレンズ(6、7)と、ミラー(9)によって反射された光ビーム(15)を位置合わせするための追加のレンズ(10)とを含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
光学結像アセンブリ(5、6、7、9、10)のレンズが、物体(14)から反射された光ビーム(16)を位置合わせするためのレンズ(10)と、ミラー(9)によって反射された光ビーム(16)を位置合わせするためのレンズ(7、6)とを含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
円形偏光板(11)が、物体(14)の上流側で、光ビーム(15)の光軸内に挿入され、かつ、偏光ビームスプリッタが、センサ(13)の上流側で、物体(14)によって反射された光ビーム(16)の光軸内に挿入されることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
センサ(13)が、物体(14)を1方向で検知するラインセンサであることを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
物体(14)のスキャニングが、2方向で行われ、検出されるべきすべての反射が、単一の焦点面で見出されることを特徴とする、請求項1から11いずれかに記載の装置。
【請求項13】
センサ(13)が、物体(14)の複数の位置を同時に検出することができる画像センサであり、物体(14)の複数の位置を検出するのに加えて、動かされたモアレ模様によって生成された強度の変動を検出するために、前処理も実行できるピクセル画像スマートセンサであることを特徴とする、請求項1から12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
センサ(13)によって検出されたトモグラフィデータに基づいて、物体(14)の表面を計算するために、データプロセッサが提供されることを特徴とする、請求項1から13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
装置およびデータプロセッサの少なくとも部分が、口腔内の歯のスキャニング用の扱いやすい機器として設計されたスキャナユニット内に提供されることを特徴とする、請求項1から14のいずれかに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体を、好ましくは歯を、トモグラフィスキャンするための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学コヒーレンストモグラフィ(OCT)によって、物体の画像データをスキャンし、処理するための装置および方法が知られている。
【0003】
光学コヒーレンストモグラフィ(OCT)によって、歯科分野において物体の画像データをスキャンし処理するための装置は、例えば、国際公開第2004/100068号パンフレットに記載されている。
【0004】
米国特許第4837732号明細書は、三角測量技術を使用する3次元の歯の記録および表示用の方法および機器に関し、三角測量技術では、線が投射され、それから別の角度から観察され、線のずれが3次元の形状を示す。解像度を上げるために、線が動かされる。米国特許第4837732号明細書から知られているような方法は、不透明の試料でのみ機能する。これが、スキャニングの前に、歯に粉を塗らなければならない理由である。これに加えて、物体を1つの角度で照射し、別の角度で観察しなければならず、急な勾配の側面をスキャンすることができない結果になる。
【0005】
モアレ模様を使用した物体の3次元測定を提供する装置がさらに知られており、そこでは、第1のグリッドの模様が光源からの光のビームによって物体上に投射され、物体によって反射された光ビームは、その光軸内に提供され、かつセンサで検出するためにグリッドと同じ模様をもつ第2のグリッドを通ってガイドされ、したがって、センサは、第1のグリッドの模様と第2のグリッドの模様とを重ね合わせることからもたらされるモアレ模様をもつ物体によって反射された光ビームを検出する。
【0006】
そのような装置では、物体を測定することは、得られるモアレ模様の形状から、表面の形状を結論づけることによって行われる。
【0007】
米国特許第5714832号明細書は、回折格子を正確に位置決めする装置に関し、3次元形状は複数のモアレ線の形状から示される。複数の線は動かされ、信号の品質を改善するために、狭帯域フィルタリングが、スキャンされた領域の勾配に関する情報を得るために使用される。
【0008】
独国特許第41 36 002号明細書は、LED照射を備える上記文献、米国特許第5714832号明細書で開示されたものと同様な、スキャニングを含むモアレ輪郭結像装置に関する。
【0009】
米国特許出願第2006/0132802号明細書は、上記の文献、米国特許第4837732A号の中ですでに開示されたものに類似したスキャニングを使用する物体表面の表面原理の3次元の再構成のためのシステムに関する。偏光板(90度、回転された2つの線形偏光板)が、表面反射を抑えるために使用される。
【0010】
レーザ共焦点顕微鏡(米国特許出願第2007/0109559号明細書)の原理で動作する装置も知られている。
【0011】
拡散したまたは半透明の表面の応用例では、物体によって反射された他の光と比較して、結像された物体のモアレ模様の強度が非常に弱いという問題がある。
【特許文献1】国際公開第2004/100068号パンフレット
【特許文献2】米国特許第5714832号明細書
【特許文献3】米国特許第4837732号明細書
【特許文献4】米国特許第5714832号明細書
【特許文献5】独国特許第41 36 002号明細書
【特許文献6】米国特許出願第2006/0132802号明細書
【特許文献7】米国特許出願第2007/0109559号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、このことから生じる本発明の目的は、物体、例えば歯などのよい結像を保証する、物体をトモグラフィスキャンするための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、本発明により、請求項1に記載される装置によって達成される。従属請求項2から18は、請求項1に記載された装置の特定の実施形態を説明する。
【0014】
本発明により、物体を、特に好ましくは歯をトモグラフィスキャンする装置であって、
物体を照射するための光ビームを生成する光源と、
光源の下流側で光ビームの光軸内に配置される第1のグリッドであって、該第1のグリッドを通して、物体を照射する前に、光ビームがガイドされ、したがって、第1のグリッドの模様が物体上に投射される、第1のグリッドと、
物体をセンサ上に結像させる光学結像アセンブリと、
反射された光ビームの光軸内に提供され、第1のグリッドに整合する模様をもつ第2のグリッドであって、前記第2のグリッドを通して、第1のグリッドの模様をもつ反射された光ビームがガイドされ、したがって、センサが、第1のグリッドの模様と、第2のグリッドの模様とを重ね合わせることから生じるモアレ模様をもつ物体によって反射された光ビームを検出する、第2のグリッドとを含み、
装置がさらに、第1のグリッドおよび/または第2のグリッドを動かすための手段であって、運動周波数が得られるモアレ模様の強度の変動をもたらす手段と、強度の変動を検出するための手段とを含む装置が利用できる。
【0015】
モアレ模様は、物体が焦点合わせされたときにのみ明らかである。高い解像度を得るために、したがって、好ましくは大きな開口数をもち、それゆえ小さい焦点深度をもつ光学アセンブリが使用される。
【0016】
グリッドの少なくとも1つを動かすことは、モアレ模様の輝度または強度の変動としてセンサで検出される同じ運動周波数をもつモアレ模様の運動をもたらす。したがって、センサは、モアレ模様の強度の検出された変動に関する弱い交流信号の上に重なり合う強い一定の信号を検出する。
【0017】
物体によりよい結像をもたらす交流信号の周波数は、1つまたは複数のグリッドに対する運動周波数に対応し、したがって、信号を帯域フィルタリングで、好ましくは狭帯域フィルタリングまたはフーリエ解析でフィルタリングすることができ、そうすることで、関心のある周波数だけの信号強度を測定することが可能になる。したがって、焦点深度に関する、好ましくない状況にもかかわらず、物体からの反射が起こるか、起こらないかにかかわらず、物体に対して、焦点面の任意の点を分析することができる。
【0018】
本発明によるスキャニング方法は、共焦点顕微鏡に似ており、信号を生成する焦点合わせされた物体をもたらす。グリッドの少なくとも1つを動かすことは、本発明の中で、よりよい信号対雑音比を実現することが提供される。好ましくは、半透明の試料をスキャンでき、本発明は、垂直の壁のスキャンさえも実現する。
【0019】
好ましくは、本発明によれば、第1のグリッドおよび/または第2のグリッドの模様は、線様または市松模様である。第1のグリッドおよび/または第2のグリッドを動かすことは、好ましくは、連続的回転によって行われる。第1のグリッドおよび/または第2のグリッドは、複数の径方向の線または複数巻きの螺旋からなることが好ましい。
【0020】
反射された光ビームの光軸内の第2のグリッドを、センサの上流側でまたはセンサのピクセル構造によって構成することができる。
【0021】
本発明により使用される光源はLEDまたはLEDクラスタでよい。
【0022】
しかし、単一の高出力レーザを使用することが同様に可能である。レーザ照射が使用される場合、空間的コヒーレンスは、例えば、動かされた拡散体によって、壊されなければならない。レーザの利点は、他の光源によっては達成されない、レーザ光源の極めて高い効率(最近では約50%)である。
【0023】
光源によって放出された光ビームは、照射光学アセンブリを通過し、照射光学アセンブリの部分は、好ましくは、光学結像アセンブリの部分である。
【0024】
詳細には、照射光学アセンブリは、光源によって放出された光ビームを平行にするように、光源と第1のグリッドとの間に配置されたコリメーティングレンズと、光ビームを位置合わせするためのレンズと、物体の方向に光ビームを偏向させるためのミラーと、光ビームを位置合わせするための追加のレンズとを含む。
【0025】
光学結像アセンブリは、特に、物体から反射された光ビームを位置合わせするためのレンズと、反射された光ビームを光源の方向に偏向させるミラーと、ミラーによって反射された光ビームを位置合わせするためのレンズと、反射された光ビームをセンサの方向に偏向させる追加のミラーとを含む。
【0026】
物体を照射する光ビームと、反射された光ビームとの分離を達成し、こうして干渉を抑えるために、物体の上流側で光ビームの光軸内に、または、センサの上流側で物体によって反射された光ビームの光軸内に、好ましくは、偏光ビームスプリッタがさらに挿入される。この場合、反射された光ビームの偏光方向を、物体を照射する光ビームに対して90度、回転させるために、物体の上流側に、四分の一波長遅延板も挿入される。
【0027】
センサは、物体がそれによって1方向で検出されるラインセンサでよい。
【0028】
本発明による装置は物体を特に2方向でスキャンすることが意図され、検出されるべきすべての反射は単一の面で見出される。
【0029】
センサは、物体の複数の位置を同時に検出することができる画像センサでよい。この画像センサは、好ましくは、物体の複数の位置を検出するのに加えて、動かされたモアレ模様によって生成された強度の変動を検出するために、前処理も実行できるピクセル画像スマートセンサである。
【0030】
物体が検出される焦点面を設定するために、好ましくは、照射光学アセンブリのレンズを動かすための追加の手段が本発明による装置内に含まれる。
【0031】
好ましくは、センサによって検出されたトモグラフィデータに基づいて、物体の表面を計算するためのデータプロセッサがさらに提供される。
【0032】
装置およびデータプロセッサの少なくとも部分が、特に、口腔内の歯のスキャニング用の扱いやすい機器として設計されたスキャナユニット内に提供される。
【0033】
引用された、または追加の特徴ならびに本発明の詳細が、以下の詳細な説明および本発明の特徴を一例として説明する添付された図面から、当業者にはより明らかになる。
【0034】
次に、本発明が、添付の図面を参照して、好ましい実施形態によって詳細に説明される。
【0035】
図1が、物体を、好ましくは、歯をトモグラフィスキャンするための本発明による装置の原則的な構成を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
次に、
図1を参照して、物体をトモグラフィスキャンする装置であって、物体14を照射するための光ビーム15を生成する光源1と、光源1の下流側で光ビーム15の光軸内に配置される第1のグリッド3であって、物体14を照射する前に光ビーム15が第1のグリッド3によってガイドされ、したがって、第1のグリッド3の模様が物体14上に投射される第1のグリッド3と、物体14をセンサ13上に結像させる光学結像アセンブリ5、6、7、9、10と、反射された光ビーム16の光軸内に挿入され、第1のグリッド3に整合する模様をもつ第2のグリッド12であって、第2のグリッド12を通して、第1のグリッド3の模様をもつ反射された光ビーム16がガイドされ、したがって、第1のグリッド3の模様と、第2のグリッド12の模様とを重ね合わせることから生じるモアレ模様をもつ、物体14から反射された光ビーム16をセンサ13が検出する、第2のグリッド12とをどのように含む装置であるかが説明される。
【0037】
本発明による装置の光源1は、LEDまたはLEDクラスタでよい。
【0038】
光源1から放出された光ビーム15は、物体14に衝突する前に、光学照射アセンブリ2、6、7、9、10を通過する。
図1に示されるように、この光学照射アセンブリ2、6、7、9、10は、光源1から放出された光ビーム15を平行にするように、光源1と、第1のグリッド3との間に配置されたコリメーティングレンズ2と、光ビーム15を位置合わせするためのレンズ6、7と、物体14の方向に光ビーム15を偏向させるためのミラー9と、光ビーム15を位置合わせするための追加のレンズ10とを含む。
【0039】
図1に示されるような光学結像アセンブリ5、6、7、9、10は、物体14によって反射された光ビーム16を位置合わせするためのレンズ10と、反射された光ビーム16を光源1の方向に偏向させるためのミラー9と、ミラー9によって反射された光ビーム16を位置合わせするためのレンズ7、6と、反射された光ビーム16をセンサ13の方向に偏向させるための追加のミラー5とを含む。ミラー5はこの場合、半透明ミラーである。
【0040】
したがって、光学照射アセンブリ2、6、7、9、10の部分は、同時に光学結像アセンブリ5、6、7、9、10の部分である。このことは、コンパクトで、対費用効果に優れた構成に役立ち、反射された光ビームに対して同じ光学アセンブリを使用して、物体に模様を投射するとき、ひずみを除去する利点を示す。しかし、物体の照射は、部分的に光沢として反射して戻され、干渉光としてセンサに到達する。この望まれない光によるセンサの干渉を除去するために、物体14の上流側の光ビーム15の光軸内に、および/または、センサ13の上流側の物体14で反射された光ビーム16の光軸内に、半透明ミラーとしての偏光ビームスプリッタ5ならびに円形偏光板11が、さらに挿入される。
図1に示されるような円形偏光板11は、例えば二重のパスにおいて、反射された光ビーム16の偏光方向を、物体14を照射する光ビーム15に対して、90度、回転されることを実現するための四分の一波長遅延板でよい。
【0041】
図1では、反射された光ビーム16の光軸内の第2のグリッド12は、センサ13の上流側に配置されて示されているが、それを、センサ13のピクセル構造で構成してもよい。第1のグリッド3および第2のグリッド12の模様は、線様または市松模様でよい。
【0042】
本発明によれば、
図1に示されるような装置は、第1のグリッド3を動かす可動手段4をさらに含み、運動周波数が得られるモアレ模様の強度の変動をもたらす。
【0043】
可動手段4を、それが第2のグリッド12を交互に、または追加的に動かすように設けられることもできる。
【0044】
運動は振動的または連続的でよい。
【0045】
振動運動では、第1のグリッド3および第2のグリッド12は、線状に、または市松模様に模様をつけられる。しかし、任意の他の模様も考えられ、模様の重ね合わせを移動させることによって、強度の変化をもたらす。
【0046】
連続運動では、例えば、
図1で振動して示される第1のグリッド3の代わりに、複数の径方向の線をもつディスクを回転することができる。それから、第2のグリッド12の代わりに、ディスク上の対応するセクションに対応する模様を選択することができる。
【0047】
回転ディスクが使用される場合、アルキメデスの螺旋が特に適した模様であることがわかっている。そのような螺旋では、線の間隔が一定でディスクの径方向の位置に独立であり、スキャナの解像度が画像のどこでも等しくなる結果になる。
【0048】
そのような螺旋を複数巻きで構成することもできる。螺旋の線の数を適切に選択することによって、ある線周波数に対するディスクの回転速度を、ディスクを駆動するのに好ましい範囲に微調整することができる。
【0049】
第1のグリッド3および第2のグリッド12の少なくとも1つを動かすことは、輝度または強度の変動としてセンサ13によって検出された同じ運動周波数で、モアレ模様を動かすことになる。したがって、センサ13は、モアレ模様の強度内に検出された変動のための弱い交流信号に重なり合う強い一定の信号を検出する。振動運動では、線が動かされる周波数は、振動周波数に等しく、一方、連続運動では、線が動かされる周波数は、線周波数、すなわち線間隔で割られた線速度に等しい。以下では、運動周波数にのみ言及する。物体14によりよい検出をもたらす交流信号の周波数は、1つまたは複数のグリッド3または12に対する運動周波数に対応し、したがって、この交流信号を帯域フィルタリングによって、好ましくは狭帯域フィルタリングまたはフーリエ解析によってフィルタリングすることができ、関心のある周波数だけの信号強度を測定することができる。したがって、本発明によれば、焦点深度に関する、好ましくない状況にもかかわらず、物体からの反射が起こるか、起こらないかに関して、物体を、焦点面の各点で分析することができる。
【0050】
図1に示されるような装置は、物体14が検出される焦点面を設定するために、光学照射アセンブリ2、6、7、9、10のレンズ7を動かすための追加の手段8を含む。
【0051】
スキャニングは高速度(例えば、毎秒10スキャン)を必要とするので、レンズ7も、早く動かす必要がある。機器は小さく使いやすいことを意図しているので、対応する加速力は、感知できており、望まれていない振動をもたらす。これらの加速力は、レンズ7と反対に動かされる釣合い錘によって補償され、すなわち、釣合い錘を適切に選択することによって、得られる反作用力はゼロにされる。
【0052】
センサ13は物体14を1方向で検知するためのラインセンサでよい。
【0053】
本発明による装置によって、物体14を検出することは、好ましくは2方向で行われ、すべての物体の検出可能な反射は単一の焦点面で見出される。
【0054】
センサ13は、物体14の複数の位置を同時に検出することができる画像センサでよい。このセンサ13は、好ましくは、物体14の複数の位置を検出するのに加えて、動かされたモアレ模様によって生成された強度の変動を検出するために、前処理も実行できるピクセル画像スマートセンサである。
【0055】
本発明によれば、装置はセンサ13によって検出されたトモグラフィデータに基づいて、物体14の表面を計算するためのデータプロセッサを含む。装置およびデータプロセッサの少なくとも部分は、特に、口腔内の歯のスキャニング用の扱いやすい機器として設計されたスキャナユニット内に提供される。
【0056】
トモグラフィスキャニング用の装置では、効率のために大きな開口を使用することが必要となるとき、センサ上の干渉模様はセンサのピクセル上で数周期をもち、強度縞が互いに打ち消し合うので、光学コヒーレンストモグラフィを使用することはできない。
【0057】
光学コヒーレンストモグラフィを使用して、大きな物体をスキャンするとき、センサ側の開口は大きく、また、歯などの半透明な物体をスキャンするとき、信号強度は比較的弱く、したがって、大きな開口が必須となる。
【0058】
平行光学焦点トモグラフィ(pOFPT)を備える本発明の装置を使用する場合、この問題は存在せず、さらに干渉計がないので、システムが頑丈である。スキャニング速度および変調周波数は互いに独立であり、より高いスキャニング速度を可能にする。最後の利点として、本発明による装置は参照アームを必要としない。
【0059】
しかし、信号の性質は、OCT機器に非常に似ており、物体が焦点合わせされている場合の点における信号の一例は交流信号である。pOFPTにおいて、OCTにおける分析器、特にピクセル画像スマートセンサにおけるものと同じエレクトロニクスを使用できるのは、信号におけるこの類似性のためである。望まれない信号を抑えることは、レーザ接触焦点顕微鏡において現れるような信号においては、交流信号がないために、さらに困難である。それに加えて、レーザ接触焦点顕微鏡は、実現するためにさらに多くの問題がある。
【0060】
したがって、本発明は、物体を、好ましくは歯をトモグラフィスキャンするための装置を提供し、次に、その装置は、これらのスライスによって物体の3次元表面を得ることにおいて、物体の水平のスライスを簡単に迅速に見出すことを可能にする。装置は、半透明物体の内部からの情報を得ることも可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1】本発明による装置の基本構成を説明する図である。
【0062】
1 光源
2、6、7、9、10 光学照射アセンブリ
2 コリメーティングレンズ
3 第1のグリッド
4 可動手段
5、6、7、9、10 光学結像アセンブリ
5、9 ミラー
6、7、10 レンズ
8 追加の手段
11 円形偏光板
12 第2のグリッド
13 センサ
14 物体
15 光ビーム
16 反射された光ビーム