特許第5754146号(P5754146)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5754146
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】ルーフ装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 7/05 20060101AFI20150709BHJP
   B60J 7/02 20060101ALI20150709BHJP
【FI】
   B60J7/05 A
   B60J7/02 A
【請求項の数】6
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2011-16542(P2011-16542)
(22)【出願日】2011年1月28日
(65)【公開番号】特開2012-153336(P2012-153336A)
(43)【公開日】2012年8月16日
【審査請求日】2013年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】沢田 和希
(72)【発明者】
【氏名】村中 誠
(72)【発明者】
【氏名】平松 新一
【審査官】 岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−169740(JP,A)
【文献】 特開2005−153803(JP,A)
【文献】 実開平06−078038(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 7/02
B60J 7/05−7/057
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフパネルの開口部に設けられる可動パネルを開閉作動させるとともに、前記開閉作動のモードとしてチルトアップモードとスライドモードとを含むルーフ装置であって、
前記可動パネルを支持する機能ブラケットと、
前記ルーフパネルに取り付けられるとともに車両の前後方向に延びるガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って車両の前後方向に移動するように駆動される駆動シューと、
前記機能ブラケットの前部に連結されるとともに前記駆動シューの移動に連動して車両の前後方向に移動する前側リンクと、
前記機能ブラケットの前部及び前記前側リンクの前部の双方と係合してこれら前部の移動を案内する前側ガイド部と、
前記駆動シューに対して係合可能に設けられるとともに、前記駆動シューの後方への移動量が所定量よりも小さいときには同駆動シューと係合することで同駆動シューの後方への移動に連動して後方に移動する一方、前記駆動シューの後方への移動量が前記所定量以上となると同駆動シューとの係合を解除するチェック部材と、
前記チェック部材に係合されるとともに前記機能ブラケットの前部よりも後側の部位を摺動可能に支持する後側リンクと、
前記後側リンクの移動を案内する後側ガイド部と、
を備え
前記チェック部材は前記後側リンクとの係合位置を中心として回動可能に設けられ、
前記ガイドレールには前記チェック部材と係合して同チェック部材の後方への移動を制限することで同チェック部材と前記駆動シューとの係合を解除する制限部が設けられ、
前記制限部に近接する方向に前記チェック部材を付勢する付勢部材が設けられてなり、
前記チェック部材には前記付勢部材により付勢される方向の先端部位に弾性部が設けられてなるルーフ装置。
【請求項2】
請求項に記載のルーフ装置において、
前記チェック部材は前記制限部に向けて延びて前記ガイドレールのガイド面上を摺動する延設部を有し、
前記制限部は、前記ガイドレールのガイド面が部分的に欠成されて前記チェック部材の延設部が係止する係止部とされている
ことを特徴とするルーフ装置。
【請求項3】
請求項に記載のルーフ装置において、
前記駆動シューには車幅方向に突出する軸部が設けられ、
前記チェック部材には前記駆動シューの軸部が係合している状態において斜め後上方に延びる略円弧状をなす溝であってその後端部を通じて前記軸部が係合可能な係合溝が設けられている
ことを特徴とするルーフ装置。
【請求項4】
請求項又は請求項に記載のルーフ装置において、
前記延設部における前記ガイド面側の先端部位は曲面形状をなしている
ことを特徴とするルーフ装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のルーフ装置において、
前記弾性部は前記チェック部材の本体と一体形成される撓み部である
ことを特徴とするルーフ装置。
【請求項6】
請求項〜請求項のいずれか一項に記載のルーフ装置において、
前記チェック部材には凹部が形成され、
前記付勢部材は前記凹部に設けられた圧縮ばねであり、その一端側の部位が前記チェック部材に係合されるとともに他端側の部位が前記後側リンクに係合され、
前記凹部には前記圧縮ばねを介して前記チェック部材と前記後側リンクとを組み付けるに際して前記圧縮ばねの他端側の部位を仮留めする仮留部が形成されてなる
ことを特徴とするルーフ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のルーフパネルの開口部に設けられる可動パネルを開閉作動させるとともに、前記開閉作動のモードとしてチルトアップモードとスライドモードとを含むルーフ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種のルーフ装置としては、例えば特許文献1に記載の技術がある。特許文献1に記載の技術も含め従来一般のルーフ装置は、ルーフパネルの開口部に設けられる可動パネルと、可動パネルを支持する機能ブラケットと、車両の前後方向に延びるとともにルーフパネルに取り付けられるガイドレールと、ガイドレールに沿って車両の前後方向に移動するように駆動されるベルトとを備えている。そして、電動モータによってベルトを車両の前後方向に移動させることで、こうしたベルトの移動に連動して機能ブラケットを作動させて可動パネルを開閉作動させている。ここで、可動パネルの開閉作動のモードとしては、可動パネルの前端部において車幅方向に延びる軸を中心に回動させてその後部を上昇させることで可動パネルを前傾した状態(以下、チルトアップ状態)とするチルトアップモードと、チルトアップ状態から可動パネルの前端部を上昇させるとともに車両後方にスライドさせるスライドモードとがある。
【0003】
具体的には、ガイドレールには、可動パネルの全閉とされる状態において、機能ブラケットの前端部に位置するフロントシューと、機能ブラケットの後端部に位置するリアシューとが摺動可能に設けられている。これらフロントシュー及びリアシューはそれぞれベルトに連結されており、ベルトの移動に伴いガイドレールに沿って車両の前後方向に移動するようになっている。
【0004】
また、フロントシューと機能ブラケットとの間にはフロントチェックブロックが設けられ、リアシューと機能ブラケットとの間にはリアチェックブロック及び昇降ガイドが設けられている。
【0005】
フロントチェックブロックは、チルトアップモードにおいてはフロントシューと係合して機能ブラケットの後端部の上昇が完了するまでは自身の移動が規制されるとともに、該機能ブラケットの後端部の上昇が完了した後、すなわちスライドモードにおいてはフロントシューと一体的に移動することで機能ブラケットの前端部を変位させる。
【0006】
リアチェックブロックは、リアシューと一体的に移動する状態と、該リアシューと切り離されて停止した状態とに切り替えられる。
昇降ガイドは、リアチェックブロックを回動可能に支持するとともに、チェックブロックの回動に伴い機能ブラケットの後端部を昇降させる機能を有している。
【0007】
こうした構成を備える従来のルーフ装置によれば、電動モータを通じてベルトを車両の前後方向に移動させることで、フロントシュー及びリアシューが車両の前後方向に移動し、これらの移動に連動してフロントチェックブロックや、リアチェックブロック、昇降ガイドが上述した態様にて機能することでチルトアップモードやスライドモードが実現される。
【0008】
ちなみに、こうしたルーフ装置では、フロントシュー及びリアシューは共にベルトに連結されているため、可動パネルが全開とされる状態において、可動パネルの前端部の下方にフロントシューが位置するとともに、可動パネルの後端部の下方にリアシューが位置することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−153803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、こうした従来のルーフ装置にあっては、可動パネルの開閉作動を行なう上で、可動パネルの前端部に設けられるフロントシューと、可動パネルの後端部に設けられるリアシューとを必須の構成としている。そのため、車両の前後方向におけるガイドレールの体格としては、少なくとも、可動パネルが全閉とされる状態において、該可動パネルの前端部に対応する位置から、可動パネルが全開とされる状態において該可動パネルの後端部に対応する位置までのスペースを要する。その結果、車室内のスペース、特にルーフパネル直下のスペースを有効に利用する上で、尚、改善の余地を残すものとなっている。
【0011】
本発明の目的は、可動パネルによる最大開口面積を減じることなく、車両の前後方向におけるガイドレールの体格を小さくすることのできるルーフ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両のルーフパネルの開口部に設けられる可動パネルを開閉作動させるとともに、前記開閉作動のモードとしてチルトアップモードとスライドモードとを含むルーフ装置であって、前記可動パネルを支持する機能ブラケットと、前記ルーフパネルに取り付けられるとともに車両の前後方向に延びるガイドレールと、前記ガイドレールに沿って車両の前後方向に移動するように駆動される駆動シューと、前記機能ブラケットの前部に連結されるとともに前記駆動シューの移動に連動して車両の前後方向に移動する前側リンクと、前記機能ブラケットの前部及び前記前側リンクの前部の双方と係合してこれら前部の移動を案内する前側ガイド部と、前記駆動シューに対して係合可能に設けられるとともに、前記駆動シューの後方への移動量が所定量よりも小さいときには同駆動シューと係合することで同駆動シューの後方への移動に連動して後方に移動する一方、前記駆動シューの後方への移動量が前記所定量以上となると同駆動シューとの係合を解除するチェック部材と、前記チェック部材に係合されるとともに前記機能ブラケットの前部よりも後側の部位を摺動可能に支持する後側リンクと、前記後側リンクの移動を案内する後側ガイド部と、を備え、前記チェック部材は前記後側リンクとの係合位置を中心として回動可能に設けられ、前記ガイドレールには前記チェック部材と係合して同チェック部材の後方への移動を制限することで同チェック部材と前記駆動シューとの係合を解除する制限部が設けられ、前記制限部に近接する方向に前記チェック部材を付勢する付勢部材が設けられてなり、前記チェック部材には前記付勢部材により付勢される方向の先端部位に弾性部が設けられてなることをその要旨としている。
【0013】
同構成によれば、可動パネルが全閉とされている状態からチルトアップモードにて可動パネルを開くべく駆動シューを後方に移動させると、これに連動して前側リンクが後方に移動するようになる。またこれに伴い、前側リンクに連結された機能ブラケットが後方に移動するようになるが、この際、前側リンクの前部及び機能ブラケットの前部がそれぞれ前側ガイド部により案内されることとなる。また、駆動シューに係合されているチェック部材は、駆動シューの移動に連動して後方に移動するとともに、自身に係合された後側リンクを後方に移動させるようになる。ここで、後側リンクは後方に移動する際に後側ガイド部により案内されることとなる。
【0014】
一方、駆動シューの後方への移動量が所定量以上となると、チェック部材と駆動シューとの係合が解除されるため、チェック部材に係合された後側リンクは、駆動シューが後方に移動しても停止状態のまま移動することはない。またこのとき、前側リンクと機能ブラケットとは後方に移動することから、後側リンクは機能ブラケットに対して摺動しつつこれを支持することとなる。
【0015】
以上のように、上記構成では、可動パネルが全閉とされている状態からの駆動シューの移動量に応じて駆動シューとチェック部材との係合状態が変更される。そして、このことを通じて、可動パネルの開閉作動のモードとしてのチルトアップモードとスライドモードとがそれぞれ実現される。そのため、車両の前後方向におけるガイドレールの体格としては、ガイドレールの前端部から可動パネルが全開とされる状態において駆動シューが位置することとなる部位までの大きさであれば満足することとなる。従って、可動パネルによる最大開口面積を減じることなく、車両の前後方向におけるガイドレールの体格を小さくすることができるようになる。
【0017】
また、チェック部材は後側リンクとの係合位置を中心として回動可能に設けられるとともに、付勢部材によりガイドレールに設けられた制限部に近接する方向に付勢される。このため、可動パネルが全閉とされている状態からの駆動シューの後方への移動量が所定量以上となると、チェック部材と制限部とが係合するとともに、制限部によりチェック部材の後方への移動が制限されるようになる。従って、駆動シューの移動量に応じて駆動シューとの係合状態が変更されるチェック部材を簡易な構成により実現することができるようになる。
また、チェック部材には付勢部材により付勢される方向の先端部位に弾性部が設けられていることから、付勢部材による付勢力によってチェック部材がガイドレールに衝突する際に発生する異音の大きさを小さくすることができる。従って、チェック部材とガイドレールとの衝突に起因して運転者等に対して不快感を与えることを抑制することができるようになる。
【0018】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明によるように、前記チェック部材は前記制限部に向けて延びて前記ガイドレールのガイド面上を摺動する延設部を有し、前記制限部は、前記ガイドレールのガイド面が部分的に欠成されて前記チェック部材の延設部が係止する係止部とされているといった態様をもって具体化することができる。この場合、チェック部材の延設部がガイドレールのガイド面に形成された係止部上に移動すると、チェック部材が回動してその延設部が係止部に係止されることで、チェック部材の後方への移動が停止するようになる。従って、駆動シューの移動量に応じて駆動シューとの係合状態が変更されるチェック部材を簡易に実現することができるようになる。
【0019】
請求項に記載の発明は、請求項に記載のルーフ装置において、前記駆動シューには車幅方向に突出する軸部が設けられ、前記チェック部材には前記駆動シューの軸部が係合している状態において斜め後上方に延びる略円弧状をなす溝であってその後端部を通じて前記軸部が係合可能な係合溝が設けられていることをその要旨としている。
【0020】
同構成によれば、駆動シューの後方への移動に伴いチェック部材が回動してその延設部がガイドレールに形成された係止部に落ち込もうとすると、これに伴い駆動シューの軸部がチェック部材の係合溝の内部を移動してその後端部を通じて同係合溝の外部に出るようになる。これにより、駆動シューとチェック部材との係合が解除される。
【0021】
請求項に記載の発明は、請求項又は請求項に記載のルーフ装置において、前記延設部における前記ガイド面側の先端部位は曲面形状をなしていることをその要旨としている。
【0022】
同構成によれば、チェック部材の回動動作、すなわち延設部の落ち込み動作が円滑となり、係止孔に対して延設部が好適に係止されるようになる。ちなみに、チェック部材の延設部が駆動シューとの係合位置を中心とした略円弧形状をなすものとすることが好ましい。この場合、延設部の掛かり代、すなわち係止部の深さを小さくすることができる。
【0026】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明によるように、前記弾性部は、前記チェック部材の本体と一体形成される撓み部であるといった態様をもって具体化することができる。この場合、例えばチェック部材の本体とは別体として弾性部を形成する構成に比べて、ルーフ装置の組み付け工程を簡素化することができるようになる。
【0027】
請求項に記載の発明は、請求項〜請求項のいずれか一項に記載のルーフ装置において、前記チェック部材には凹部が形成され、前記付勢部材は前記凹部に設けられた圧縮ばねであり、その一端側の部位が前記チェック部材に係合されるとともに他端側の部位が前記後側リンクに係合され、前記凹部には前記チェック部材と前記後側リンクとを組み付けるに際して前記圧縮ばねの他端側の部位を仮留めする仮留部が形成されてなることをその要旨としている。
【0028】
同構成によれば、チェック部材の凹部に設けられる圧縮ばねにより付勢部材を実現することができる。また、チェック部材と後側リンクとの組み付けに際しては、まず、凹部の仮留部に圧縮ばねの他端側の部位を仮留めして同圧縮ばねを凹部に組み付ける。次に、チェック部材と後側リンクとを組み付け、その後に圧縮ばねの他端側の部位を仮留部から外して後側リンクに係合させる。そして、このように組み付けられたチェック部材、後側リンク及び圧縮ばねをガイドレールに対して組み付ける。このため、チェック部材と後側リンクとを組み付けた後にこれらに圧縮ばねを係合させる構成に比べて組み付け性の向上を図ることができる。しかも、チェック部材と後側リンクとをガイドレールに組み付ける前にこれらに圧縮ばねが係合されているため、ガイドレールへの組み付け後に圧縮ばねを組み付ける構成に比べて組み付け性が格段に向上する。従って、ルーフ装置の組み付け性の向上を図ることができるようになる。
【発明の効果】
【0029】
本発明では、可動パネルによる最大開口面積を減じることなく、車両の前後方向におけるガイドレールの体格を小さくすることのできるルーフ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明に係るルーフ装置の一実施形態について、ルーフパネルの斜視構造を概略的に示す斜視図であって、(a)サンルーフ装置が閉鎖状態のときの斜視図、(b)サンルーフ装置が全開状態のときの斜視図。
図2】同実施形態における全閉状態のサンルーフ装置について、前側部分の縦断面構造を示す断面図。
図3】同実施形態における全閉状態のサンルーフ装置について、後側部分の縦断面構造を示す断面図。
図4図2に示す構成のうち前側ガイド部材、前側リンク、及び機能ブラケットのみの断面構造を選択的に示す断面図。
図5図2に示す構成のうち前側リンク、及び駆動シューのみの断面構造を選択的に示す断面図。
図6図2に示す構成のうち駆動シュー、チェック部材、後側リンク、及び後側ガイド部材のみの断面構造を選択的に示す断面図。
図7】(a)チェック部材の正面構造を示す正面図、(b)チェック部材の平面構造を示す平面図、(c)チェック部材の背面構造を上下反転して示す背面図。
図8】(a)図2のA−A線に沿った縦断面構造を示す断面図、(b)図2のB−B線に沿った縦断面構造を示す断面図、(c)図2のC−C線に沿った縦断面構造を示す断面図、(d)図2のD−D線に沿った縦断面構造を示す断面図。
図9】(a)図2のE−E線に沿った縦断面構造を示す断面図、(b)図2のF−F線に沿った縦断面構造を示す断面図、(c)図2のG−G線に沿った縦断面構造を示す断面図、(d)図3のH−H線に沿った縦断面構造を示す断面図。
図10】同実施形態におけるチルトアップ状態のサンルーフ装置について、前側部分の縦断面構造を示す断面図。
図11】同実施形態におけるチルトアップ状態のサンルーフ装置について、後側部分の縦断面構造を示す断面図。
図12】(a)図10のA−A線に沿った縦断面構造を示す断面図、(b)図10のB−B線に沿った縦断面構造を示す断面図、(c)図10のC−C線に沿った縦断面構造を示す断面図,(d)図10のD−D線に沿った縦断面構造を示す断面図。
図13】(a)図10のE−E線に沿った縦断面構造を示す断面図、(b)図10のF−F線に沿った縦断面構造を示す断面図、(c)図11のG−G線に沿った縦断面構造を示す断面図、(D)図11のH−H線に沿った縦断面構造を示す断面図。
図14】同実施形態における駆動シューとチェック部材との係合が解除された直後の状態におけるサンルーフ装置について、前側部分の縦断面構造を示す断面図。
図15】同実施形態における駆動シューとチェック部材との係合が解除された直後の状態におけるサンルーフ装置について、後側部分の縦断面構造を示す断面図。
図16】同実施形態における全開状態のサンルーフ装置について、前側部分の縦断面構造を示す断面図。
図17】同実施形態における全開状態のサンルーフ装置について、後側部分の縦断面構造を示す断面図。
図18】(a)図16のA−A線に沿った縦断面構造を示す断面図、(b)図16のB−B線に沿った縦断面構造を示す断面図、(c)図16のC−C線に沿った縦断面構造を示す断面図、(d)図16のD−D線に沿った縦断面構造を示す断面図。
図19】(a)図17のE−E線に沿った縦断面構造を示す断面図,(b)図16のF−F線に沿った縦断面構造を示す断面図、(c)図16のG−G線に沿った縦断面構造を示す断面図、(D)図17のH−H線に沿った縦断面構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図1図19を参照して、本発明に係るルーフ装置を自動車に搭載されるサンルーフ装置(以下、「サンルーフ装置10」)として具体化した一実施形態について詳細に説明する。
【0032】
尚、以降においては、車両の前後方向を単に「前後方向」と称するとともに、鉛直方向上方を単に「上方」、鉛直方向下方を単に「下方」と称する。また、車幅方向においてサンルーフ装置の中心に近接する側を「内側」と称するとともに、ルーフ装置の中心から離間する側を「外側」と称する。
【0033】
図1に、サンルーフ装置10の搭載されたルーフパネル1の斜視構造を概略的に示す。尚、図1(a)は、サンルーフ装置10の閉鎖状態を示すとともに、図1(b)は、サンルーフ装置10の全開状態を示している。
【0034】
図1に示すように、ルーフパネル1には開口部2が設けられており、この開口部2には、車両の前側から順に、ディフレクタパネル11、可動パネル12、及び固定パネル13が設けられている。これらディフレクタパネル11、可動パネル12、及び固定パネル13は、例えば採光可能なガラス板にて形成されており、図1(a)に示すように、サンルーフ装置10の閉鎖状態において開口部2を上方から閉塞するように搭載されている。
【0035】
ディフレクタパネル11は、その前端部において車幅方向に延びる軸を中心に回動可能に設けられており、その後部を上昇させることで前傾した状態となる、いわゆるチルトアップ作動可能となっている。ちなみに、ディフレクタパネル11は、可動パネル12の開作動に連動してチルトアップ作動するようになっている。
【0036】
可動パネル12は、チルトアップ作動及び前後方向へのスライド作動可能に取り付けられている。サンルーフ装置10では、可動パネル12をチルトアップ状態のままスライド作動させる、いわゆるアウタスライド方式が採用されている。
【0037】
固定パネル13は、ルーフパネル1に対して固定されており、同固定パネル13の配設位置に対応する開口部2を閉塞した状態に維持する。
次に、図2図19を参照して、可動パネル12を開閉駆動する機構について詳細に説明する。
【0038】
図2に、全閉状態におけるサンルーフ装置10の前側部分の縦断面構造を示す。また、図3に、上記状態のサンルーフ装置10の後側部分の縦断面構造を示す。尚、これら図2及び図3では、各構成部材が互いに異なる線種にて記載されている。
【0039】
また、サンルーフ装置10は基本的に左右対称の構造を有しているため、以降においては、サンルーフ装置10の右側の構造について説明することとし、左側の構造については説明を割愛する。
【0040】
図2及び図3に併せ示すように、サンルーフ装置10は、可動パネル12の他、大きくは、ガイドレール20、並びにそれぞれガイドレール20上に設けられる前側ガイド部材30、後側ガイド部材40、駆動シュー50、前側リンク60、後側リンク70、機能ブラケット80、及びチェック部材90を備えている。
【0041】
機能ブラケット80は、可動パネル12の内周面に沿うように前後方向に延びる形状をなすとともに可動パネル12に連結されてこれを支持する支持部82と、同支持部82の前端部から斜め前下方に延びるアーム部81とを有している。
【0042】
ガイドレール20は、前後方向に延びる形状をなしており、ルーフパネル1に固設されている。
図2に示すように、ガイドレール20の前端部には前側ガイド部材30が固設されている。
【0043】
また、駆動シュー50には電動モータによって駆動されるベルト(いずれも図示略)が連結されており、電動モータからの駆動力によりベルトを前後方向に移動させると、これに連動して駆動シュー50が前後方向に移動する。
【0044】
前側リンク60は前後方向に延びる略平板形状をなしたリンク本体61を有しており、同リンク本体61の前端部において機能ブラケット80の前端部に連結されるとともに、同リンク本体61の後端部において駆動シュー50に連結されている。
【0045】
チェック部材90は、前後方向に延びる略平板形状をなすチェック部材本体91と、チェック部材本体91の前端部から下方に延びる延設部92とを有している。
図2及び図3に併せ示すように、ガイドレール20において前側ガイド部材30よりも後方には後側ガイド部材40が固定されている。
【0046】
ここで、図4図9を参照して、可動パネル12を開閉駆動する機構について更に詳細に説明する。
尚、図4に、図2に示す構成のうち可動パネル12、機能ブラケット80の他、前側ガイド部材30、前側リンク60、及び機能ブラケット80のみを抽出して示す。また、図5に、前側リンク60、及び駆動シュー50のみを抽出して示す。また、図6に、駆動シュー50、チェック部材90、後側リンク70、及び後側ガイド部材40のみを抽出して示す。また、図7(a)〜(c)にチェック部材90の正面構造、平面構造、及び背面構造(上下反転したもの)をそれぞれ示す。
【0047】
また、図8(a),(b),(c),(d)に図2のA−A線,B−B線,C−C線,D−D線に沿った縦断面構造をそれぞれ示す。また、図9(a),(b),(c),(D)に図2のE−E線,F−F線,図3のG−G線,H−H線に沿った縦断面構造をそれぞれ示す。
【0048】
図4及び図8(a)に併せ示すように、機能ブラケット80のアーム部81の前端部には1つの孔が形成されている。また、前側リンク60のリンク本体61の前端部に形成された2つの孔のうちの上側の孔には第1ガイドピン62aが内側に突出する態様にて圧入されている。前側リンク60を機能ブラケット80の外側にしてこれらを互いに平行に重ね合わせた状態で、機能ブラケット80の孔に第1ガイドピン62aが挿通されることにより、機能ブラケット80は第1ガイドピン62aを中心に前側リンク60に対して回動可能とされている。
【0049】
リンク本体61の前端部に形成された2つの孔のうち下側の孔には第2ガイドピン62bが外側に突出する態様にて圧入されている。また、リンク本体61の中央部に形成された孔には第3ガイドピン62cが外側に突出する態様にて圧入されている(図8(c)参照)。また、前側リンク60の後端部に形成された孔には第4ガイドピン62dが内側に突出する態様にて圧入されている(図8(d)参照)。また、これら第3ガイドピン62c及び第4ガイドピン62dとの間に位置する孔には第5ガイドピン62eが内側に突出する態様にて圧入されている。
【0050】
前側ガイド部材30は、前側リンク60が後方に移動する際に、機能ブラケット80及び前側リンク60の前部が上昇するようにこれらを案内するものである。前側ガイド部材30は、それぞれ断面略コ字形状をなす内側壁部31及び外側壁部33を有しており、外側壁部33は内側壁部31の外側に位置している(内側壁部31については図8(a)参照)。内側壁部31の内壁であって外側に開口する内側ガイド溝32には、第1ガイドピン62aが挿通されている(図8(a)参照)また、外側壁部33の内壁であって内側に開口する外側ガイド溝34には、第2ガイドピン62bが挿通されている。すなわち、前側ガイド部材30は、第1ガイドピン62aと第2ガイドピン62bとの双方が各別に挿通可能に設けられている。駆動シュー50の移動に連動してこれら第1ガイドピン62aと第2ガイドピン62bとの移動が内側ガイド溝32及び内側ガイド溝32の下方に位置する外側ガイド溝34を介して案内されるようになっている。
【0051】
より詳細には、内側ガイド溝32及び外側ガイド溝34は閉塞された前側の端部から上方に延びる鉛直部32a,34aと、同鉛直部32a,34aの上端部から斜め後上方に延びるとともに略円弧状をなす円弧部32b、34bとをそれぞれ有している。これら円弧部32b、34bの後端は開放されている。また、内側ガイド溝32の円弧部32bは、その後端部のガイド幅、具体的には上下方向の幅がそれよりも前側の部位に比べて小さくされている。ちなみに、外側ガイド溝34の前側の端部はガイドレール20のガイド面22の下方に突出している。
【0052】
可動パネル12の全閉状態では、第1ガイドピン62aは第2ガイドピン62bよりも前方且つ上方に位置している。また、第3ガイドピン62c及び第5ガイドピン62eは互いに等しい高さに位置しており、それぞれ第1ガイドピン62aよりも上方に位置している。また、第4ガイドピン62dは第3ガイドピン62c及び第5ガイドピン62eよりも上方に位置している。
【0053】
図5に示すように、駆動シュー50のシュー本体51は、略平板状且つ側面視において略矩形状をなしている。シュー本体51にはガイド孔52a〜52dが車幅方向に貫通形成されている。ガイド孔52(52a〜52d)は全体としてシュー本体51の前部から後部にかけて前後方向に延びる形状をなしている。
【0054】
ガイド孔52の鉛直部52aは、シュー本体51の下端面近傍から上方に延びている。第1傾斜部52bは、鉛直部52aの上端部から斜め後上方に延びている。第2傾斜部52cは、第1傾斜部52bの後端部から斜め後上方に延びるとともにその傾きは同第1傾斜部52bよりも緩やかである。水平部52dは、第2傾斜部52cの後端部から後方に延びている。
【0055】
ガイド孔52には、前述した前側リンク60の第4ガイドピン62dが挿通されており、駆動シュー50の移動に連動して前側リンク60が車両の前後方向に移動する。
図8(b)に併せ示すように、シュー本体51の前側上端、より具体的にはガイド孔52の第1傾斜部52bの上方には、規制ピン53が外側に突出して形成されている。規制ピン53は前側リンク60のリンク本体61の上方に位置して前側リンク60の上方への移動を規制している。
【0056】
図9(a)に併せ示すように、シュー本体51の後上端、より具体的にはガイド孔52の水平部52dの後端部よりも後方には、係合ピン54が外側に突出して形成されている。係合ピン54は、後述するチェック部材90の係合溝93に係合可能とされている。
【0057】
図9(a)に併せ示すように、シュー本体51において係合ピン54の下方には、環状の環部55が外側に突出して形成されている。環部55は、ガイドレール20のガイド面22から上方に延びて前後方向に延びる第3壁部21cの凹部に挿嵌されている。
【0058】
図5及び図8(b),(d)に併せ示すように、シュー本体51の下部には車幅方向に沿って貫通孔が形成されており、その貫通孔とシュー本体51の下面との間の薄肉な部位とによって可撓性を有する撓み部56が形成されている。尚、撓み部56はシュー本体51の前端部及び後端部にそれぞれ形成されている。
【0059】
図5図8(b)〜(c)、及び図9(a)に併せ示すように、シュー本体51には、前後方向に延びるとともに内側に突出したガイド凸部57が形成されている。ガイド凸部57は、ガイドレール20のガイド面22から上方に延びて前後方向に延びる第1壁部21aの凹部に挿嵌されている。
【0060】
図6及び図7に併せ示すように、チェック部材90は、前後方向に延びる長尺状のチェック部材本体91と、チェック部材本体91の前端部から屈曲してガイドレール20のガイド面22に向けて延びる短尺状の延設部92とを有しており、全体として略L字状をなしている。
【0061】
図9(a)に併せ示すように、チェック部材本体91の前端部にはその内側面に係合溝93が凹設されている。係合溝93は、斜め後上方に湾曲しつつ延びる略円弧状をなしており、その前端部が閉塞される一方、その後端部が開放されている。係合溝93は、その後端部を通じて駆動シュー50の係合ピン54が係合可能とされている。また、チェック部材本体91の前端部には、斜め後下方に傾斜して延びるガイド傾斜面98が形成されている。このガイド傾斜面98と上記係合溝93との間にはこれらを接続する接続面99が形成されている。
【0062】
チェック部材本体91の後端部にはその外側面に係合凹部94が凹設されている。係合凹部94は、その下端部が閉塞される一方、その上端部が開放されており、同上端部を通じて後述する後側リンク70の係合凸部72aが係合可能とされている。チェック部材90は係合凹部94を中心として後側リンク70に対して相対回動可能とされている。
【0063】
図9(b)に併せ示すように、チェック部材本体91の前後方向における中央部には、前後方向に延びる取付凹部95が形成されている。この取付凹部95には、略U字状をなすばね100が圧縮した状態にて取り付けられている。ばね100は、その屈曲部103が取付凹部95の後縁近傍に位置し、その基端部101(一端側の部位、図7(a)において左下側の端部)がチェック部材本体91に形成された取付孔91aに挿入されて取り付けられている。また、チェック部材本体91において取付凹部95よりも上側の部位には、ばね100の他端側の部位である留め部102を仮留めするための仮留部97が形成されている。
【0064】
図6及び図9(b)に示すように、ばね100の留め部102は、チェック部材90と後側リンク70とが組み付けられた状態で、後側リンク70(後述する係止突部71b)に係合される。
【0065】
図9(a)に併せ示すように、延設部92は、係合溝93と係合凹部94とを結ぶ直線に対して直交する方向であってガイドレール20のガイド面22に近接する方向に延びる形状をなしており、ガイド面22上を摺動可能に設けられている。また、延設部92の下面は、係合溝93を中心とした略円弧状をなす円弧面92aとされている。
【0066】
チェック部材本体91の下面には、前述した駆動シュー50と同様な形状をなす撓み部96が設けられている。
図6及び図(a)に併せ示すように、後側リンク70は、その前部71から中央部72までが全体として前後方向に延びる長尺形状をなすとともに左右からチェック部材90を挟持する形状をなしている。また、後側リンク70の後部73は中央部72の後端部から斜め後上方に延びる形状をなしている。
【0067】
図9(b)に併せ示すように、後側リンク70の前部71の下面には撓み部71aが形成されている。この撓み部71aは前述した駆動シュー50の撓み部56と同様な形状をなしている。また、後側リンク70の前部71には、上方に突出するとともに屈曲して内側に突出した係止突部71bが形成されている。この係止突部71bの下面にばね100が係合されている。
【0068】
後側リンク70の中央部72には、その側面から内側に向けて、すなわちチェック部材90の係合凹部94に向けて突出した係合凸部72aが設けられている。前述したように、この係合凸部72aがチェック部材90の係合凹部94に嵌挿されることで後側リンク70とチェック部材90とが係合されている。
【0069】
図9(c)に併せ示すように、後側リンク70の中央部72には係合凸部72aの後方に、側面から外側に突出した嵌挿凸部72bが形成されている。ここで、前側リンク60の後端部は後側リンク70の嵌挿凸部72bよりも前方に位置している。
【0070】
図2図6、及び図9(d)に併せ示すように、後側リンク70の後部73は、上下方向に延びる内側縦壁部73a、外側縦壁部73b、及びこれら縦壁部73a,73bの下端部を連結する連結底部73cを有しており、これら縦壁部73a,73b及び連結底部73cにより機能ブラケット80の支持部82の先端を下方から摺動可能に挟持している。尚、機能ブラケット80の支持部82の先端には樹脂製のスライダ82Aが固設されている。
【0071】
図6及び図9(c)に併せ示すように、後側ガイド部材40の前後方向に延びるガイド部材本体41の内側面にはガイド凹部42が凹設されている。ガイド凹部42はガイド部材本体41の前下部から後上部にかけて傾斜して延びる形状をなしており、前述した後側リンク70の嵌挿凸部72bが嵌挿可能とされている。
【0072】
ちなみに、後側ガイド部材40は、ガイドレール20の前後方向における略中央位置に設けられている。
ガイドレール20のガイド面22には、可動パネル12の全閉状態における駆動シュー50の位置を基準とした駆動シュー50の後方への移動量が所定量となる位置に係止孔22aが形成されている。係止孔22aは、前後方向において後側ガイド部材40に対応する位置に形成されており、チェック部材90の延設部92が係止可能とされている。尚、係止孔22aが本発明に係る制限部として機能する。
【0073】
以上説明したサンルーフ装置10では、可動パネル12の全閉状態では、図4に示すように、前側リンク60は、第1ガイドピン62aを介して内側ガイド溝32(前側ガイド部材30)の鉛直部32aの縁部により前後方向への移動が規制される。
【0074】
図8(c)に示すように、前側リンク60は、第3ガイドピン62c(前側規制部)を介してガイドレール20の第3壁部21cにより上下方向への移動が規制されている。また、図8(d)に示すように、前側リンク60は第4ガイドピン62dを介して駆動シュー50のガイド孔52の縁部により上下方向への移動が規制されている。
【0075】
図9(b)に示すように、後側リンク70は、内側突出部71cを介してガイドレール20の第3壁部21cにより上下方向への移動が規制されている。また、図9(c)に示すように、後側リンク70は、嵌挿凸部72bを介して後側ガイド部材40のガイド凹部42の縁部により上下方向への移動が規制されている。
【0076】
次に、図10図13を参照して、可動パネル12のチルトアップ作動態様について説明する。
図10に、チルトアップ作動が完了した状態におけるサンルーフ装置10について、前側部分の縦断面構造を示す。また、図11に、上記状態におけるサンルーフ装置10の後側部分の縦断面構造を示す。尚、これら図10及び図11では、先の図2及び図3と同様に、各構成部材が互いに異なる線種にて記載されている。
【0077】
また、図12(a),(b),(c),(d)に図10のA−A線,B−B線,C−C線,D−D線に沿った縦断面構造をそれぞれ示す。また、図13(a),(b),(c),(D)に図10のE−E線,F−F線,図11のG−G線,H−H線に沿った縦断面構造をそれぞれ示す。
【0078】
図10に示すように、駆動シュー50が後方に移動すると、これに伴って、前側リンク60の第4ガイドピン62dはガイド孔52(駆動シュー50)内を相対移動して第2傾斜部52cの前端部に到達する(図12(d)参照)。このとき、第4ガイドピン62dは、前後方向には移動せずに下方に移動する。このため、前側リンク60は、第3ガイドピン62cを中心として時計回りに回動し、第1ガイドピン62aに連結された機能ブラケット80の前端部を上動させる(図12(a)参照)。
【0079】
また、駆動シュー50とチェック部材90とは係合ピン54と係合溝93とを通じて連結状態とされている。また、チェック部材90と後側リンク70とは係合凹部94と係合凸部72aとを通じて連結されている(図11参照)。このため、駆動シュー50の後方への移動に連動して、チェック部材90及び後側リンク70は後方に移動する(図13(a)参照)。ここで、前述した後側リンク70の内側突出部71cは可動パネル12が全閉状態から全開状態となるまで常にガイドレール20内を前から後に移動するのに対して、嵌挿凸部72bは後側ガイド部材40のガイド凹部42に案内されることで前から後に、且つ下から上に移動する。従って、嵌挿凸部72bの上動に伴い機能ブラケット80を支持する後側リンク70の後部73が上動し、可動パネル12はその後部が上昇して前傾した状態となる。すなわち、可動パネル12はチルトアップ状態となる。
【0080】
次に、図14及び図15を参照して、駆動シュー50とチェック部材90との係合の解除態様について説明する。
図14に、駆動シュー50とチェック部材90との係合が解除された直後の状態におけるサンルーフ装置10について、前側部分の縦断面構造を示す。また、図15に、上記状態におけるサンルーフ装置10について、後側部分の縦断面構造を示す。尚、これら図14及び図15では、先の図2及び図3と同様に、各構成部材が互いに異なる線種にて記載されている。
【0081】
図14に示すように、駆動シュー50が後方に移動すると、前側リンク60の第4ガイドピン62dは駆動シュー50のガイド孔52内を相対移動して鉛直部52aの下端部に到達する。このとき、第4ガイドピン62dは、後下方に移動する。このため、前側リンク60は、第3ガイドピン62cを中心として時計回りに回動しつつ後方に移動する。そして、第1ガイドピン62a及び第2ガイドピン62bはそれぞれ前側ガイド部材30の各円弧部32b,34bの後端部から後方に抜け出すとともに、ガイドレール20に沿って後方に移動する。
【0082】
図14及び図15に併せ示すように、全閉状態からの駆動シュー50の後方への移動量が所定量となると、チェック部材90の延設部92がガイドレール20の係止孔22aの上方に到達する。チェック部材90は、ばね100によりガイドレール20のガイド面22に近接する方向に付勢されているため、反時計回りに回動して延設部92が係止孔22aに落ち込む。これにより、係合溝93から係合ピン54が抜け出して、駆動シュー50とチェック部材90との係合が解除される。
【0083】
次に、図16図19を参照して、全開状態におけるサンルーフ装置10の構造について説明する。
図16に、全開状態におけるサンルーフ装置10の前側部分の縦断面構造を示す。また、図17に、全開状態におけるサンルーフ装置10の後側部分の縦断面構造を示す。尚、これら図16及び図17では、先の図2及び図3と同様に、各構成部材が互いに異なる線種にて記載されている。
【0084】
また、図18(a),(b),(c),(d)に図16のA−A線,B−B線,C−C線,D−D線に沿った縦断面構造をそれぞれ示す。また、図19(a),(b),(c),(D)に図17のE−E線、図16のF−F線、図16のG−G線、図17のH−H線に沿った縦断面構造をそれぞれ示す。
【0085】
図16に示すように、チェック部材90の延設部92がガイドレール20の係止孔22aに落ち込んだ後、駆動シュー50が更に後方に移動すると、第4ガイドピン62dを介して連結されている前側リンク60が後方に移動する。ここで、第1ガイドピン62aはガイドレール20の第1壁部21aに形成された凹部に沿って後方に移動する(図18(a)参照)。また、第2ガイドピン62bは第3ガイドピン62cと共にガイドレール20の第3壁部21cに形成された第3凹部23cに沿って後方に移動する(図18(c)参照)。すなわち、前側リンク60は、前後方向において互いに離間した3つのガイドピン62a,62b,62cを介してガイドレール20により鉛直方向への移動が規制されている。
【0086】
また、機能ブラケット80は第1ガイドピン62aを介して前側リンク60に連結されているため、前側リンク60の後方への移動に伴って後方に移動する。このとき、後側リンク70は、チェック部材90と共に停止しているため、前側リンク60の前端部は前後方向において後側リンク70の中央部72に対応する位置まで移動する。尚、後側リンク70の嵌挿凸部72bは、ガイドレール20の第4壁部21dに形成された第4凹部23dに沿って後方に移動するとともに、同第4凹部23dより鉛直方向への移動が規制されている(図19(c)参照)。
【0087】
図16及び図17に示すように、駆動シュー50は、後側リンク70の後部73の下方に位置している。また、上下方向において後側リンク70の後部73と駆動シュー50との間には、固定パネル13の前端部が位置している。また、前側リンク60及び後側リンク70は車幅方向において異なる位置に存在している(図18参照)。
【0088】
ここで、後側リンク70の嵌挿凸部72bと前側リンク60の第3ガイドピン62cとの距離を第1の距離Lxとし、後側リンク70の嵌挿凸部72bと前側リンク60の第4ガイドピン62dとの距離を第2の距離Lyとすると、図2に示すように、可動パネル12の全閉状態では第1の距離Lxが第2の距離Lyよりも長くなる。これに対して、図16に示すように、可動パネル12の全閉状態では第1の距離Lxが第2の距離Lyよりも短くなる。
【0089】
図16に示すように、後側リンク70の嵌挿凸部72bは前側リンク60の後端部よりも前方に位置している。
また、後側リンク70の前端部よりも前側リンク60の前端部が後方に位置している。
【0090】
以上説明した可動パネル12の全開状態では、図16に示すように、前側リンク60は、第4ガイドピン62dを介して駆動シュー50のガイド孔52の鉛直部52aの縁部により前後方向への移動が規制される。
【0091】
図18(a)に示すように、前側リンク60は、第1ガイドピン62aを介してガイドレール20の第1壁部21aにより上下方向への移動が規制されている。また、図16に示すように、前側リンク60は、第2ガイドピン62bを介してガイドレール20により上下方向への移動が規制されている。また、図18(c)に示すように、前側リンク60は、第3ガイドピン62cを介してガイドレール20の第3壁部21cにより上下方向への移動が規制されている。
【0092】
後側リンク70は、全開状態と同様にして、内側突出部71cを介して内側突出部71cを介してガイドレール20の第3壁部21cにより上下方向への移動が規制されている。また、図19(c)に示すように、後側リンク70は、嵌挿凸部(規制部)72bを介してガイドレール20の第4凹部23dの縁部により上下方向への移動が規制されている。
【0093】
次に、チェック部材90、後側リンク70、及び駆動シュー50の組み付け態様について説明する。
本実施形態では、ガイドレール20の外でチェック部材90にばね100を組み付け、更にチェック部材90に後側リンク70を組み付けた状態で、これらをガイドレール20に組み付ける。具体的には、チェック部材90の仮留部97にばね100の留め部102を仮留めすることでチェック部材90の取付凹部95にばね100を組み付ける。次に、チェック部材90の係合凹部94に後側リンク70の係合凸部72aを係合させてチェック部材90と後側リンク70とを組み付け、その後にばね100の留め部102を仮留部97から外して後側リンク70の係止突部71bに係合させる。次に、このように組み付けられたチェック部材90、後側リンク70及びばね100をガイドレール20に対して組み付ける。また、チェック部材90よりも前方に位置するように駆動シュー50をガイドレール20に対して組み付ける。
【0094】
次に、ガイドレール20上において駆動シュー50を後方に移動させると、駆動シュー50の係合ピン54がチェック部材90のガイド傾斜面98に当たるため、チェック部材90は係合凸部72aを中心に回動する。これにより、駆動シュー50の係合ピン54は接続面99に沿って移動する。そして、駆動シュー50を前方に移動させると、係合ピン54は係合溝93内に移動して同係合溝93に係合される。このようにしてチェック部材90と駆動シュー50とを組み付けることができる。
【0095】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)サンルーフ装置10は、車両のルーフパネル1の開口部2に設けられる可動パネル12を開閉作動させるとともに、開閉作動のモードとしてチルトアップモードとスライドモードとを含んで構成されている。また、可動パネル12を支持する機能ブラケット80、ルーフパネル1に取り付けられるとともに車両の前後方向に延びるガイドレール20、及びガイドレール20に沿って車両の前後方向に移動するように駆動される駆動シュー50を備えている。また、機能ブラケット80の前部に連結されるとともに駆動シュー50の移動に連動して車両の前後方向に移動する前側リンク60、及び機能ブラケット80の前部及び前側リンク60の前部の双方と係合してこれら前部の移動を案内する前側ガイド部材30を備えている。また、駆動シュー50に対して係合可能に設けられるとともに、駆動シュー50の後方への移動量が所定量よりも小さいときには同駆動シュー50と係合することで同駆動シュー50の後方への移動に連動して後方に移動する一方、駆動シュー50の後方への移動量が所定量以上となると同駆動シュー50との係合を解除するチェック部材90とを備えている。また、チェック部材90に係合されるとともに機能ブラケット80の前部よりも後側の部位を摺動可能に支持する後側リンク70と、後側リンク70の移動を案内する後側ガイド部材40と、を備えている。
【0096】
こうした構成によれば、可動パネル12が全閉とされている状態からの駆動シュー50の移動量に応じて駆動シュー50とチェック部材90との係合状態が変更される。そして、このことを通じて、可動パネル12の開閉作動のモードとしてのチルトアップモードとスライドモードとがそれぞれ実現される。そのため、車両の前後方向におけるガイドレール20の体格としては、ガイドレール20の前端部から可動パネル12が全開とされる状態において駆動シュー50が位置することとなる部位までの大きさであれば満足することとなる。従って、可動パネル12による最大開口面積を減じることなく、車両の前後方向におけるガイドレール20の体格を小さくすることができる。
【0097】
(2)チェック部材90は後側リンク70との係合位置である係合ピン54を中心として回動可能に設けられている。また、ガイドレール20にはチェック部材90と係合して同チェック部材90の後方への移動を制限することで同チェック部材90と駆動シュー50との係合を解除する制限部としての係止孔22aが設けられている。また、係止孔22aに近接する方向にチェック部材90を付勢するばね100が設けられている。こうした構成によれば、可動パネル12が全閉とされている状態からの駆動シュー50の後方への移動量が所定量以上となると、チェック部材90が係止孔22aに落ち込んで係止されるとともに、同係止孔22aによりチェック部材90の後方への移動が制限されるようになる。従って、駆動シュー50の移動量に応じて駆動シュー50との係合状態が変更されるチェック部材90を簡易な構成により実現することができる。
【0098】
(3)ガイドレール20にはガイド面22が部分的に欠成された係止孔22aが形成されている。チェック部材90はガイドレール20のガイド面22(係止孔22a)に向けて延びて同ガイド面22上を摺動する延設部92を有している。こうした構成によれば、チェック部材90の延設部92がガイド面22に形成された係止孔22a上に移動すると、チェック部材90が回動してその延設部92が係止孔22aに落ち込んで係止されることで、チェック部材90の後方への移動が停止するようになる。従って、駆動シュー50の移動量に応じて駆動シュー50との係合状態が変更されるチェック部材90を簡易に実現することができる。
【0099】
(4)駆動シュー50には車幅方向に突出する係合ピン54が設けられている。また、チェック部材90には駆動シュー50の係合ピン54が係合している状態において斜め後上方に延びる略円弧状をなす溝であってその後端部を通じて係合ピン54が係合可能な係合溝93が設けられている。こうした構成によれば、駆動シュー50の後方への移動に伴いチェック部材90が回動してその延設部92がガイドレール20に形成された係止孔22aに落ち込もうとすると、これに伴い駆動シュー50の係合ピン54がチェック部材90の係合溝93の内部を移動してその後端部を通じて同係合溝93の外部に出るようになる。このようにして、駆動シュー50とチェック部材90との係合が解除される。
【0100】
(5)チェック部材90の延設部92におけるガイド面22側の先端面は曲面形状をなしている。具体的には、チェック部材90の延設部92が駆動シュー50との係合位置である係合ピン54を中心とした略円弧状の円弧面92aを有している。こうした構成によれば、チェック部材90の回動動作、すなわち延設部92の落ち込み動作が円滑となり、ガイドレール20の係止孔22aに対して延設部92が好適に係止されるようになる。また、延設部92の掛かり代、すなわち係止孔22aの深さを小さくすることができる。
【0101】
(6)チェック部材本体91には、その下面、すなわちばね100により付勢される方向の先端面にチェック部材本体91と一体形成される撓み部96が設けられている。
チェック部材90が係止孔22aに落ち込んで係合する際に、ばね100による付勢力によってチェック部材90がガイドレール20に衝突することとなるが、この衝突に伴い発生する異音が運転者等に対して不快感を与えるおそれがある。
【0102】
この点、上記構成によれば、ばね100による付勢力によってチェック部材90がガイドレール20に衝突する際に発生する異音の大きさを小さくすることができる。従って、チェック部材90とガイドレール20との衝突に起因して運転者等に対して不快感を与えることを抑制することができるようになる。また、撓み部96に相当する構成をチェック部材本体91とは別体として形成する構成に比べて、サンルーフ装置10の組み付け工程を簡素化することができる。
【0103】
(7)チェック部材90には取付凹部95が形成されている。また、圧縮ばねであるばね100は取付凹部95に設けられ、その一端側の部位である基端部101がチェック部材90に係合されるとともに他端側の部位である留め部102が後側リンク70に係合されている。また、取付凹部95にはチェック部材90と後側リンク70とを組み付けるに際してばね100の留め部102を仮留めする仮留部97が形成されている。こうした構成によれば、チェック部材90と後側リンク70との組み付けに際しては、まず、取付凹部95の仮留部97にばね100の留め部102を仮留めしてばね100を取付凹部95に組み付ける。次に、チェック部材90と後側リンク70とを組み付け、その後にばね100の留め部102を仮留部97から外して後側リンク70に係合させる。そして、このように組み付けられたチェック部材90、後側リンク70及びばね100をガイドレール20に対して組み付ける。このため、チェック部材90と後側リンク70とを組み付けた後にこれらにばね100を係合させる構成に比べて組み付け性の向上を図ることができる。しかも、チェック部材90と後側リンク70とをガイドレール20に組み付ける前にこれらにばね100が係合されているため、ガイドレール20への組み付け後にばね100を組み付ける構成に比べて組み付け性が格段に向上する。
【0104】
(8)サンルーフ装置10を構成する前側リンク60には、車両の前後方向において互いに離間している2つピンであって可動パネル12の全閉状態においてガイドレール20により鉛直方向への移動が規制される第3ガイドピン62c(前側規制部)及び第4ガイドピン62d(後側規制部)が形成されている。また、後側リンク70には、車両の前後方向において互いに離間している2つの部位であって可動パネル12の全閉状態においてガイドレール20により鉛直方向への移動が規制される内側突出部71c(前側規制部)及び嵌挿凸部72b(後側規制部)が形成されている。また、可動パネル12の全閉状態において第1の距離Lxが第2の距離Lyよりも長くされるとともに(Lx>Ly)、可動パネル12の全開状態において第1の距離Lxが第2の距離Lyよりも短くされることを許容するように、車幅方向において前側リンク60と後側リンク70とが異なる位置に設けられている。尚、第1の距離Lxは、後側リンク70の嵌挿凸部72bと前側リンク60の第3ガイドピン62cとの距離であり、第2の距離Lyは、後側リンク70の嵌挿凸部72bと前側リンク60の第4ガイドピン62dとの距離である。
【0105】
すなわち、可動パネル12の全閉状態において、前側リンク60の後端部が後側リンク70の嵌挿凸部72bよりも前方に位置するとともに、可動パネル12の全開状態において、後側リンク70の嵌挿凸部72bが前側リンク60の後端部よりも前方に位置している。
【0106】
こうした構成によれば、可動パネル12の全開時には、後側リンク70に対して前側リンク60を好適に後方に位置させることができる。またこのとき、駆動シュー50は前側リンク60に連結されていることから前側リンク60の後方近傍に位置しており、前側リンク60から大きく後方に離間することはない。従って、可動パネル12による最大開口面積を減じることなく、車両の前後方向におけるガイドレール20の体格を的確に小さくすることができる。
【0107】
また、可動パネル12の開作動を行なう際には、前側リンク60の前端部が後側リンク70の前端部の後方に位置する。ここで、前側リンク60及び後側リンク70が車幅方向において異なる位置に設けられていることから、前側リンク60及び後側リンク70のそれぞれの移動を互いに干渉することなく円滑なものとすることができる。
【0108】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態によるように、チェック部材90に仮留部97を形成することが、チェック部材90と後側リンク70との組み付け性の向上を図る上では望ましい。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、こうした仮留部を形成しないものであってもよい。
【0109】
・上記実施形態では、ばね100を組み付けるための取付凹部95をチェック部材90に形成したが、ばね100が組み付けられるものであれば、凸部等の他の構造に変更することもできる。
【0110】
・本発明に係る付勢部材は上述した略U字状をなすばね100に限定されるものではない。他に例えば、コイルばね等の他の付勢部材であってもよく、要するに、係止孔22a(係止部、制限部)に近接する方向にチェック部材を付勢するものであればよい。
【0111】
・上記実施形態によるように、チェック部材本体91の下面として撓み部96を一体形成することが、サンルーフ装置の組み付け工程を簡素化する上では望ましい。しかしながら、このような組み付け工程の簡素化を目的としないのであれば、他に例えば、撓み部96に相当する弾性部としての構成を、チェック部材本体91とは別体として形成するようにしてもよい。
【0112】
・上記実施形態によるように、チェック部材90の延設部92におけるガイドレール20(ガイド面22)側の先端部位を円弧面92aとすることが、係止孔22aにおける延設部92の掛かり代、すなわち係止孔22aの深さを小さくする上では望ましい。しかしながら、本発明はこうした円弧面92aを有するチェック部材90を備えるものに限られるものではなく、曲面と平面とを組み合わせた形状をなすものとしてもよい。
【0113】
・本発明に係るチェック部材は上述した延設部92を備えるものに限られるものではない。また、制限部としては上記ガイドレール20に設けられる係止孔22aに限られるものではない。要するに、制限部としては、ガイドレールに設けられて、チェック部材と係合して同チェック部材の後方への移動を制限することで同チェック部材と駆動シューとの係合を解除するものであればよい。
【0114】
・また、チェック部材90とガイドレール20との衝突に起因する異音がそもそも問題にならないのであれば、こうした弾性部の構成を割愛するようにしてもよい。
・上記実施形態では、前側ガイド部材30及び後側ガイド部材40をガイドレール20とは別体とした。これに代えて、前側ガイド部及び後側ガイド部の少なくとも一方をガイドレールと一体として構成することもできる。この場合、部品点数の低減を図ることができる。
【0115】
要するに、チェック部材としては、駆動シューに対して係合可能に設けられるとともに、駆動シューの後方への移動量が所定量よりも小さいときには同駆動シューと係合することで同駆動シューの後方への移動に連動して後方に移動する一方、駆動シューの後方への移動量が上記所定量以上となると同駆動シューとの係合を解除するものであればよい。
【0116】
次に、上記実施形態及び変形例から把握することのできる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記前側リンクには車両の前後方向において互いに離間している2つの部位であって前記可動パネルの全閉状態において前記ガイドレールにより鉛直方向への移動が規制される規制部が形成され、
前記後側リンクには車両の前後方向において互いに離間している2つの部位であって前記可動パネルの全閉状態において前記ガイドレールにより鉛直方向への移動が規制される規制部が形成され、
前記後側リンクの後側規制部と前記前側リンクの前側規制部との距離を第1の距離とするとともに、前記後側リンクの後側規制部と前記前側リンクの後側規制部との距離を第2の距離とするとき、
前記可動パネルの全閉状態において前記第1の距離が前記第2の距離よりも長くされるとともに、前記可動パネルの全開状態において前記第1の距離が前記第2の距離よりも短くされることを許容するように、前記ガイドレールの延びる方向に対して直交する平面上において前記前側リンクと前記後側リンクとが異なる位置に設けられてなることを特徴とする。
【0117】
同構成によれば、可動パネルの全閉時には第1の距離が第2の距離よりも長くされるとともに、可動パネルの全開状態には第1の距離が第2の距離よりも短くされる。このため、可動パネルの全開時には、後側リンクに対して前側リンクを好適に後方に位置させることができる。またこのとき、駆動シューは前側リンクに連結されていることから前側リンクの近傍に位置しており、前側リンクから大きく後方に離間することはない。従って、可動パネルによる最大開口面積を減じることなく、車両の前後方向におけるガイドレールの体格を小さくすることができる。
【0118】
(ロ)前記可動パネルの全閉状態において、前記前側リンクの後端部が前記後側リンクの後側規制部よりも前方に位置するとともに、前記可動パネルの全開状態において、前記後側リンクの後側規制部が前記前側リンクの後端部よりも前方に位置することを許容するように、前記ガイドレールの延びる方向に対して直交する平面上において前記前側リンクと前記後側リンクとが異なる位置に設けられてなることを特徴とする。
【0119】
同構成によれば、可動パネルの全閉時には前側リンクの後端部が後側リンクの後側規制部よりも前方に位置するとともに、可動パネルの全開時には後側リンクの後側規制部が前側リンクの後端部よりも前方に位置する。このため、可動パネルの全開時には、後側リンクに対して前側リンクを好適に後方に位置させることができる。またこのとき、駆動シューは前側リンクに連結されていることから前側リンクの近傍に位置しており、前側リンクから大きく後方に離間することはない。従って、上記技術思想(イ)に準じた効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0120】
1…ルーフ、2…開口部、10…サンルーフ装置(ルーフ装置)、11…ディフレクタ、12…可動パネル、13…固定パネル、20…ガイドレール、21a…第1壁部、21b…第2壁部、21c…第3壁部、21d…第4壁部、22…ガイド面、22a…係止孔(係止部、制限部)、23c…第3凹部、23d…第4凹部、30…前側ガイド部材(前側ガイド部)、31…内側壁部、32…内側ガイド溝、32a…鉛直部、32b…円弧部、33…外側壁部、34…外側ガイド溝、34a…鉛直部、34b…円弧部、40…後側ガイド部材(後側ガイド部)、41…ガイド部本体、42…ガイド凹部、50…駆動シュー、51…シュー本体、52…ガイド孔、52a…鉛直部、52b…第1傾斜部、52c…第2傾斜部、52d…水平部、53…規制ピン(リンク規制部)、54…係合ピン(軸部)、55…環部、56…撓み部、60…前側リンク、61…リンク本体、62a…第1ガイドピン(支持軸)、62b…第2ガイドピン(全開規制部)、62c…第3ガイドピン(前側規制部)、62d…第4ガイドピン(後側規制部)、62e…第5ガイドピン、70…後側リンク、71…前部、71a…撓み部、71b…係止突部、71c…内側突出部(前側規制部)、72…中央部、72a…係合凸部、72b…嵌挿凸部(後側規制部)、73…後部、80…機能ブラケット、81…アーム部、82…支持部、82A…スライダ、90…チェック部材、91…チェック部材本体、91a…取付孔、92…延設部、92a…円弧面、93…係合溝、94…係合凹部、95…取付凹部、96…撓み部、97…仮留部、98…ガイド傾斜面、99…接続面、100…ばね、101…基端部、102…留め部、103…屈曲部。
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