特許第5754158号(P5754158)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5754158帯電装置及びこれを用いた画像形成組立体、画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5754158
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】帯電装置及びこれを用いた画像形成組立体、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/02 20060101AFI20150709BHJP
【FI】
   G03G15/02 101
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2011-29921(P2011-29921)
(22)【出願日】2011年2月15日
(65)【公開番号】特開2012-168394(P2012-168394A)
(43)【公開日】2012年9月6日
【審査請求日】2014年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(74)【代理人】
【識別番号】100082739
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 勝夫
(72)【発明者】
【氏名】保延 智
(72)【発明者】
【氏名】安藤 裕喜
(72)【発明者】
【氏名】福澤 常夫
【審査官】 三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−111999(JP,A)
【文献】 特開平09−211928(JP,A)
【文献】 特開平05−303263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被帯電体に対向して接触又は近接するように設けられる帯電部材と、
この帯電部材を保持する帯電筐体と、
この帯電筐体に設けられ、前記帯電部材の軸部が回転可能に支持され且つ少なくとも一方が導電性部材にて構成される軸受部材と、
前記帯電筐体に設けられ、前記被帯電体側に向けて前記軸受部材を押圧し且つ少なくとも導電性軸受部材を押圧する部材が導電性部材にて構成される押圧部材と、
前記帯電筐体に固定され、前記導電性軸受部材に対応して設けられる押圧部材に接触することで押圧部材及び導電性軸受部材を介して前記帯電部材の軸方向一端に対して給電する板状の給電部材と、
前記帯電筐体に対する予め決められた保持位置に前記押圧部材で押圧された軸受部材を抜け止め可能に位置決めする位置決め機構と、を備え、
前記給電部材は、前記帯電部材の軸方向と交差する方向に配置され、前記押圧部材の押圧方向に沿って導電性軸受部材に対向する部位まで延びる弾性変形可能な板状の延長部を有し、
前記帯電部材の軸方向一端の前記給電部材側に位置する位置決め機構は、前記導電性軸受部材のうち前記延長部に対向したに凹状又は凸状に設けられる位置決め部と、前記延長部のうち前記位置決め部に対応したに凸状又は凹状に設けられ、前記延長部の弾性変形に伴って前記位置決め部と引っ掛かり可能に係わり合う被位置決め部とを有することを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
請求項1記載の帯電装置において、
前記延長部は前記導電性軸受部材に対向して複数設けられ、
前記導電性軸受部材に対する位置決め機構は複数の延長部と導電性軸受部材との間にそれぞれ設けられていることを特徴とする帯電装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の帯電装置において、
前記帯電部材の給電側に位置する位置決め機構は、前記導電性軸受部材側に凹状の位置決め部を有し、前記延長部側に凸状の被位置決め部を有することを特徴とする帯電装置。
【請求項4】
請求項3記載の帯電装置において、
凸状の被位置決め部は延長部の一部を山型形状に屈曲した突片からなることを特徴とする帯電装置。
【請求項5】
請求項4記載の帯電装置において、
凸状の被位置決め部を構成する突片は、押圧部材の押圧方向側に位置する突片部分の押圧方向との間になす傾斜角度が反対側に位置する突片部分のそれに比べて小さく設定されていることを特徴とする帯電装置。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれかに記載の帯電装置において、
前記帯電部材の給電側に位置する位置決め機構は、当該帯電部材が被帯電体に接触又は近接して配置されたとき、前記位置決め部と被位置決め部とを押圧部材の押圧方向に交差する方向で接触することを特徴とする帯電装置。
【請求項7】
請求項1ないし6いずれかに記載の帯電装置において、
前記帯電部材の軸方向一端の前記給電部材の反対側に位置する位置決め機構は、前記軸受部材の一部に凸状に設けられる弾性変形可能な位置決め部と、前記帯電筐体のうち前記位置決め部に対応した部位に凹状に設けられ、前記位置決め部の弾性変形に伴って前記位置決め部と引っ掛かり可能に係わり合う被位置決め部とを有することを特徴とする帯電装置。
【請求項8】
画像を形成する上で用いられる被帯電体と、
この被帯電体を帯電する請求項1ないし7いずれかに記載の帯電装置と、
この帯電装置の帯電筐体を含み前記被帯電体を保持する筐体と、を備え、
画像形成装置筐体に対して着脱可能に装着されることを特徴とする画像形成組立体。
【請求項9】
画像を形成する上で用いられる被帯電体と、
この被帯電体を帯電する請求項1ないし7いずれかに記載の帯電装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
画像形成装置筐体に対して請求項8に記載の画像形成組立体を着脱可能に装着したことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電装置及びこれを用いた画像形成組立体、画像形成装置である。
【背景技術】
【0002】
従来この種の帯電装置としては、例えば特許文献1〜3に記載のものが既に開示されている。
特許文献1には、帯電ロールが芯金と導電性ゴムで構成されており、芯金がスプリングで感光体ドラム側へ付勢されたスプリングに軸支されていると共に、芯金の一方の端面には屈曲された給電プレートの屈曲部が当接し、帯電ロールに所定の電圧を印加する技術が開示されている。
特許文献2には、プロセスカートリッジに対して帯電ローラを組み込む場合には、筐体側壁の一方に対して帯電ローラの回転軸の軸方向一端が挿入されている第2の軸受け部材を挿嵌し、次いで、第1の軸受け部材を筐体側壁間に位置する支持部に対して挿嵌する。このとき、第1の軸受け部材は支持部に有する爪部により抜け止めされており、また、第2の軸受け部材は導電性部材で構成され、この第2の軸受け部材は導電性のバネにて感光体ドラム側に向けて付勢され、このバネに対して給電用接点が接触されている技術が開示されている。
特許文献3には、帯電ローラを保持する軸受と、帯電ローラの軸端部に圧接する導電性圧接部材と、導電性圧接部材を保持する保持部材と、保持部材に電圧を印加する電源部とを備え、導電性圧接部材は、少なくとも帯電ローラの軸端部と接触する面が曲面で形成される技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−231721号公報(発明の実施の形態,図2
【特許文献2】特開2007−133121号公報(実施例,図5
【特許文献3】特開2008−281841号公報(発明を実施するための最良の形態,図2図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、帯電部材の給電側における位置決め性能を改善する帯電装置及びこれを用いた画像形成組立体、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、被帯電体に対向して接触又は近接するように設けられる帯電部材と、この帯電部材を保持する帯電筐体と、この帯電筐体に設けられ、前記帯電部材の軸部が回転可能に支持され且つ少なくとも一方が導電性部材にて構成される軸受部材と、前記帯電筐体に設けられ、前記被帯電体側に向けて前記軸受部材を押圧し且つ少なくとも導電性軸受部材を押圧する部材が導電性部材にて構成される押圧部材と、前記帯電筐体に固定され、前記導電性軸受部材に対応して設けられる押圧部材に接触することで押圧部材及び導電性軸受部材を介して前記帯電部材の軸方向一端に対して給電する板状の給電部材と、前記帯電筐体に対する予め決められた保持位置に前記押圧部材で押圧された軸受部材を抜け止め可能に位置決めする位置決め機構と、を備え、前記給電部材は、前記帯電部材の軸方向と交差する方向に配置され、前記押圧部材の押圧方向に沿って導電性軸受部材に対向する部位まで延びる弾性変形可能な板状の延長部を有し、前記帯電部材の軸方向一端の前記給電部材側に位置する位置決め機構は、前記導電性軸受部材のうち前記延長部に対向したに凹状又は凸状に設けられる位置決め部と、前記延長部のうち前記位置決め部に対応したに凸状又は凹状に設けられ、前記延長部の弾性変形に伴って前記位置決め部と引っ掛かり可能に係わり合う被位置決め部とを有することを特徴とする帯電装置である。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る帯電装置において、前記延長部は前記導電性軸受部材に対向して複数設けられ、前記導電性軸受部材に対する位置決め機構は複数の延長部と導電性軸受部材との間にそれぞれ設けられていることを特徴とする帯電装置である。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る帯電装置において、前記帯電部材の給電側に位置する位置決め機構は、前記導電性軸受部材側に凹状の位置決め部を有し、前記延長部側に凸状の被位置決め部を有することを特徴とする帯電装置である。
請求項4に係る発明は、請求項3に係る帯電装置において、凸状の被位置決め部は延長部の一部を山型形状に屈曲した突片からなることを特徴とする帯電装置である。
請求項5に係る発明は、請求項4に係る帯電装置において、凸状の被位置決め部を構成する突片は、押圧部材の押圧方向側に位置する突片部分の押圧方向との間になす傾斜角度が反対側に位置する突片部分のそれに比べて小さく設定されていることを特徴とする帯電装置である。
請求項6に係る発明は、請求項1ないし5いずれかに係る帯電装置において、前記帯電部材の給電側に位置する位置決め機構は、当該帯電部材が被帯電体に接触又は近接して配置されたとき、前記位置決め部と被位置決め部とを押圧部材の押圧方向に交差する方向で接触することを特徴とする帯電装置である。
請求項7に係る発明は、請求項1ないし6いずれかに係る帯電装置において、前記帯電部材の軸方向一端の前記給電部材の反対側に位置する位置決め機構は、前記軸受部材の一部に凸状に設けられる弾性変形可能な位置決め部と、前記帯電筐体のうち前記位置決め部に対応した部位に凹状に設けられ、前記位置決め部の弾性変形に伴って前記位置決め部と引っ掛かり可能に係わり合う被位置決め部とを有することを特徴とする帯電装置である。
【0007】
請求項8に係る発明は、画像を形成する上で用いられる被帯電体と、この被帯電体を帯電する請求項1ないし7いずれかに係る帯電装置と、この帯電装置の帯電筐体を含み前記被帯電体を保持する筐体と、を備え、画像形成装置筐体に対して着脱可能に装着されることを特徴とする画像形成組立体である。
請求項9に係る発明は、画像を形成する上で用いられる被帯電体と、この被帯電体を帯電する請求項1ないし7いずれかに係る帯電装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
請求項10に係る発明は、画像形成装置筐体に対して請求項8に係る画像形成組立体を着脱可能に装着したことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、帯電部材の給電側における位置決め性能を改善することができる。
請求項2に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、帯電部材の給電側における位置決め性能をより安定的に改善することができる。
請求項3に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、帯電部材の給電側の位置決め機構を容易に構築することができる。
請求項4に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、帯電部材の給電側の位置決め機構のうち凸状の被位置決め部を容易に構築することができる。
請求項5に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、帯電筐体に対する導電性軸受部材の組み付け作業性を良好に保ち、かつ、帯電部材の給電側における位置決め性能を改善することができる。
請求項6に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、帯電部材への給電性をより安定させることができる。
請求項7に係る発明によれば、帯電部材の非給電側に位置する位置決め性能を良好に保つことができる。
請求項8に係る発明によれば、帯電部材の給電側における位置決め性能を改善することが可能な帯電装置を用いた画像形成組立体を容易に構築することができる。
請求項9に係る発明によれば、帯電部材の給電側における位置決め性能を改善することが可能な帯電装置を用いた画像形成装置を容易に構築することができる。
請求項10に係る発明によれば、帯電部材の給電側における位置決め性能を改善することが可能な帯電装置を含む画像形成組立体を用いた画像形成装置を容易に構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(a)は本発明が適用される帯電装置及びこれを用いた画像形成組立体、画像形成装置の実施の形態の概要を示す説明図、(b)は(a)の帯電装置の給電側に位置する位置決め機構の概要を示す説明図である。
図2】実施の形態1に係る画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
図3】実施の形態1で用いられる画像形成部の全体を示す斜視図である。
図4】実施の形態1で用いられるプロセスカートリッジを図3中IV−IV方向で一部破断した斜視図である。
図5】プロセスカートリッジのうち現像カートリッジを取り除いた部分を示す説明図である。
図6】実施の形態1で用いられる図5に示すプロセスカートリッジを図5中矢印VI方向から見た矢視図である。
図7図6に示すプロセスカートリッジの帯電装置への給電構造及び支持構造を示す一部破断斜視図である。
図8】実施の形態1で用いられる帯電装置への給電構造及び支持構造の要部を示す断面説明図である。
図9】実施の形態1で用いられる帯電装置への給電構造及び支持構造の全体構成を示す斜視図である。
図10】実施の形態1で用いられる帯電装置の給電側に位置する位置決め機構の要部を示す説明図である。
図11】実施の形態1で用いられる帯電装置の非給電側に位置する支持構造の要部を示す斜視図である。
図12図11に示す軸受部材の詳細を示す説明図である。
図13図11に示す位置決め機構の要部を示す説明図である。
図14】(a)は給電側に位置する軸受部材の帯電筐体への保持構造例を示す説明図、(b)は非給電側に位置する軸受部材の帯電筐体への保持構造例を示す説明図である。
図15】実施の形態2に係る帯電装置の給電側に位置する位置決め機構の要部を示す説明図である。
図16】実施の形態3に係る帯電装置の給電側に位置する位置決め機構の要部を示す説明図である。
図17】実施の形態4に係る帯電装置の給電側に位置する位置決め機構の要部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
◎実施の形態の概要
図1は本発明が適用される帯電装置及びこれを用いた画像形成組立体、画像形成装置の実施の形態の概要を示す。
図1(a)において、画像形成装置は、画像を形成する上で用いられる被帯電体1と、この被帯電体1を帯電する帯電装置10と、を備えている。
ここで、この種の画像形成装置としては、各構成要素を個々的に備える態様もあるが、画像形成装置筐体に対して主な構成要素が組み込まれた画像形成組立体を着脱可能に装着する態様もある。この場合において、画像形成組立体としては、画像を形成する上で用いられる被帯電体1と、この被帯電体1を帯電する帯電装置10と、この帯電装置10の帯電筐体3を含み前記被帯電体1を保持する筐体9と、を備え、画像形成装置筐体に対して着脱可能に装着されるものが挙げられる。このように、画像形成組立体としては、感光体や誘電体などの被帯電体1と、これを帯電する帯電装置10とを少なくとも筐体9(帯電筐体3を含む)に保持する態様であればよく、他の要素、例えば被帯電体1を清掃する清掃装置や、被帯電体1に静電潜像を書き込むための光学部品を保持するものをも含んでもよいことは勿論である。
【0011】
また、本実施の形態で用いられる帯電装置10は、図1(a)(b)に示すように、被帯電体1に対向して接触又は近接するように設けられる帯電部材2と、この帯電部材2を保持する帯電筐体3と、この帯電筐体3に設けられ、前記帯電部材2の軸部が回転可能に支持され且つ少なくとも一方が導電性部材にて構成される軸受部材4(4a,4b)と、前記帯電筐体3に設けられ、前記被帯電体1側に向けて前記軸受部材4を押圧し且つ少なくとも導電性軸受部材4aを押圧する部材が導電性部材にて構成される押圧部材5と、前記帯電筐体3に固定され、前記導電性軸受部材4aに対応して設けられる押圧部材5に接触することで押圧部材5及び導電性軸受部材4aを介して前記帯電部材2の軸方向一端に対して給電する板状の給電部材6と、前記帯電筐体3に対する予め決められた保持位置に前記押圧部材5で押圧された軸受部材4を抜け止め可能に位置決めする位置決め機構7(7a,7b)と、を備え、前記給電部材6は、前記帯電部材2の軸方向と交差する方向に配置され、前記押圧部材5の押圧方向に沿って導電性軸受部材4aに対向する部位まで延びる弾性変形可能な板状の延長部11(例えば11a,11b)を有し、前記帯電部材2の軸方向一端の前記給電部材6側に位置する位置決め機構7aは、前記導電性軸受部材4aのうち前記延長部11に対向したに凹状又は凸状に設けられる位置決め部12と、前記延長部11のうち前記位置決め部12に対応したに凸状又は凹状に設けられ、前記延長部11の弾性変形に伴って前記位置決め部12と引っ掛かり可能に係わり合う被位置決め部13とを有するものである。
【0012】
このような技術的手段において、帯電部材2は被帯電体1に接触する態様に限らず、近接する態様をも含む。ここで、近接する場合には、被帯電体1との間の相対位置関係を規制するために別途設けられた規制部材にて帯電部材の位置を規制するようにすればよい。
また、帯電筐体3は帯電部材2を保持するものであればよく、帯電部材2を収容するような箱形状であってもよいし、保持するための枠を有する枠部材であってもよい。
更に、軸受部材4については少なくとも一方が導電性部材で構成される導電性軸受部材4aであることを要する。一般に軸受部材4の構成材料としては適宜選定して差し支えないが、製造し易いという観点から、弾性を有する合成樹脂(例えばPOM:ポリアセタール(polyacetal,polyoxymethylene))が多く採用されている。そして、導電性軸受部材4aとしては、軸受部材4の構成材料に導電性を付与するようにすればよく、例えば使用合成樹脂に対してカーボンなどの導電剤を混入したものが代表的である。
更にまた、押圧部材5としては、給電側の導電性軸受部材4aに接触するものは導電性を有するバネ材、弾性部材など適宜選定して差し支えない。給電部材6との接触性を良好に保つには、両者の接触状態を確保するように、帯電筐体3に対して押圧部材5を位置決めすることが好ましい。
また、給電部材6としては、板状の給電用部材を含んでいればよく、この板状の給電用部材に対して導電線などの給電用部材を接続するものであってもよい。
そして、この給電部材6は導電性軸受部材4aに対向する部位まで延びる延長部11を備えていればよい。この延長部11は弾性変形可能な板状部材で、少なくとも1つ設けるようにすればよく、複数(11a,11b)設けるようにしてもよい。
更に、給電側に位置する位置決め機構7aとしては、導電性軸受部材4aに位置決め部12を設け、対応する延長部11に被位置決め部13を設けるようにすればよい。そして、位置決め部12としては凹状又は凸状の形状であればよく、被位置決め部13は位置決め部12に対して引っ掛かり可能に係わり合う凸状又は凹状の形状であればよい。ここで、凸状とは基準となる面から突出している状態を指し、一方、凹状とは基準となる面から凹んでいる状態を指し、凹んでいる部分は有底の態様に限られるものではなく、貫通する孔をも含む。
【0013】
次に、本実施の形態で用いられる代表的態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、延長部11及び位置決め機構7aの好ましい態様としては、延長部11は導電性軸受部材4aに対向して複数(11a,11b)設けられ、導電性軸受部材4aに対する位置決め機構7aは複数の延長部11(11a,11b)と導電性軸受部材4aとの間にそれぞれ設けられているものが挙げられる。本態様において、複数の位置決め機構7aの配置については適宜選定して差し支えないが、帯電部材2をより安定的に位置決めするという観点からすれば、導電性軸受部材4aを挟んで複数の延長部11(11a,11b)を設け、導電性軸受部材4aを挟んで位置決め機構7aを設ける態様が好ましい。
また、帯電部材2の給電側に位置する位置決め機構7aの代表的態様としては、導電性軸受部材4a側に凹状の位置決め部12を有し、延長部11側に凸状の被位置決め部13を有する態様が挙げられる。本態様では、延長部11は、給電部材6の一部を利用した弾性変形可能な板状部材であるから、この延長部11の一部に凸状の被位置決め部13を設けることは比較的容易に対処することが可能であり、一方、導電性軸受部材4aに対しても凹状の位置決め部12を設けることは既存の導電性軸受部材4aの一部を削るなどで容易に対処することが可能である。
更に、凸状の被位置決め部13の代表的態様としては、延長部11の一部を山型形状に屈曲した突片14からなるものが挙げられる。本態様は、板状の延長部11を一部屈曲形成することで得られる。
そして、この種の凸状の被位置決め部13の好ましい態様としては、凸状の被位置決め部13を構成する突片14は、押圧部材5の押圧方向側に位置する突片部分の押圧方向との間になす傾斜角度が反対側に位置する突片部分のそれに比べて小さく設定されている態様が挙げられる。本態様は、凸状の被位置決め部13を構成する突片14が山型形状に屈曲したものであるが、山型形状の一方の突片部分(傾斜角度が小さい側)では、導電性軸受部材4aの組み付け方向への挿入時の抵抗力を弱くすることで導電性軸受部材4aの組み付け作業性を確保し、他方の突片部分(傾斜角度の大きい側)では、凹状の位置決め部12との引っ掛かりを強化することで位置決め性を確保することが可能である。尚、傾斜角度の大きい側では略直角であることが好ましい。
【0014】
また、帯電部材2の給電側に位置する位置決め機構7aの別の好ましい態様としては、当該帯電部材2が被帯電体1に接触又は近接して配置されたとき、位置決め部12と被位置決め部13とを押圧部材5の押圧方向に交差する方向で接触する態様が挙げられる。本態様では、帯電部材2が被帯電体1に対して給電可能な位置に配置されているときに、給電部材6と押圧部材5との給電接点に加えて第2の給電接点を確保するものである。
更に、帯電部材2の軸方向一端の給電部材6の反対側(以下非給電側と略す)に位置する位置決め機構7bの代表的態様としては、軸受部材4bの一部に凸状に設けられる弾性変形可能な位置決め部(図示せず)と、帯電筐体3のうち前記位置決め部に対応した部位に凹状に設けられ、前記位置決め部の弾性変形に伴って前記位置決め部と引っ掛かり可能に係わり合う被位置決め部(図示せず)とを有するものが挙げられる。ここで、帯電部材2の非給電側に位置する位置決め機構7bとしては、従前の方式のものと同様でよいが、軸受部材4bとして耐久性の高い弾性を有する合成樹脂材料を用いるようにすれば、本構成のように、軸受部材4b側に凸状の位置決め部を設ける態様が軸受部材4bの材料の耐久性を生かしつつ、弾性を有効に利用した位置決めを実現し易い点で好ましい。尚、帯電筐体3側に凸状の位置決め部を設ける態様であると、帯電筐体3側に十分な弾性を確保しにくい場合には、位置決め機構7bによる位置決めを実現しにくい懸念がある。
【0015】
◎実施の形態1
−画像形成装置全体の構成−
図2は実施の形態1に係る画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
同図において、画像形成装置20は、画像形成装置筐体(以下装置筐体という)21内に四つの色(本実施の形態ではイエロ、マゼンタ、シアン、ブラック)の画像形成部22(具体的には22a〜22d)を水平方向に対し斜め上方に向かって僅かに傾斜した位置関係にて配列し、その上方に各画像形成部22の配列方向に沿って循環搬送される中間転写ベルト23を配設する一方、装置筐体21の下方には記録材が供給可能に収容される記録材供給装置24を配設すると共に、装置筐体21の上部には画像形成済みの記録材が排出収容される記録材排出受け26を設け、前記記録材供給装置24からの記録材を鉛直方向に沿って延びる記録材搬送路25を介して前記記録材排出受け26に排出するようにしたものである。
【0016】
本実施の形態において、各画像形成部22(22a〜22d)は、中間転写ベルト23の循環方向上流側から順に、例えばイエロ用、マゼンタ用、シアン用、ブラック用(配列は必ずしもこの順番とは限らない)のトナー像を形成するものであり、例えばドラム状に形成された感光体31と、この感光体31を予め帯電する帯電装置32と、この帯電装置32にて帯電された感光体31に静電潜像を書き込む露光装置33と、感光体31上の静電潜像を各色トナーにて可視像化する現像装置34と、感光体31上の残留トナーを清掃する清掃装置35とを備えている。
ここで、露光装置33は、各画像形成部22に対して共通するものであり、露光容器331内に各色成分の半導体レーザ(図示せず)などの光源からの光を偏向ミラー332で偏向走査し、図示外の結像レンズ、ミラーを介して対応する感光体31上の露光位置に光像を導くようにしたものである。
【0017】
また、中間転写ベルト23は張架ロール41〜44に掛け渡されており、例えば張架ロール41を駆動ロールとして循環移動するようになっている。そして、各感光体31に対応した中間転写ベルト23の裏面には一次転写装置51(例えば一次転写ロール)が配設され、この一次転写装置51にトナーの帯電極性と逆極性の電圧を印加することで、感光体31上のトナー像を中間転写ベルト23側に静電的に転写するようになっている。
更に、中間転写ベルト23の移動方向最下流に位置する画像形成部22dの下流側の張架ロール42に対応した部位には二次転写装置52(例えば二次転写ロール)が配設されており、中間転写ベルト23上の一次転写像を記録材に二次転写(一括転写)するようになっている。
更に、中間転写ベルト23の二次転写部位の下流側の張架ロール41に対応した部位には中間転写ベルト23上の残留トナーを清掃する中間清掃装置53が設けられている。
ここで、中間転写ベルト23はポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン等の樹脂または各種ゴムにカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたものを用い、その体積抵抗率が10〜1014Ω・cmとなるように形成されている。
更に、本実施の形態では、記録材供給装置24のフィーダ61で送出された記録材は、記録材搬送路25中の適宜数の搬送ロール(図示せず)にて搬送され、位置合せロール62にて位置合せされた後に二次転写装置52の二次転写部位を通過し、定着装置66にて未定着トナー像を例えば加熱加圧定着した後、排出ロール67を介して記録材排出受け26に排出収容されるようになっている。
尚、図2中、符号38(38a〜38d)は各画像形成部22(22a〜22d)の現像装置34に新しい現像剤(本実施の形態ではトナー)を補給する現像剤収容容器である。
【0018】
−画像形成部−
本実施の形態では、各画像形成部22(22a〜22d)は、図3ないし図7に示すように、複数の機能要素が一体化された画像形成組立体としてのプロセスカートリッジ30として構成されており、このプロセスカートリッジ30が装置筐体21のカートリッジ受部27に対して着脱可能に装着されている。
本例では、プロセスカートリッジ30は、図5に示すように、感光体31、この感光体31を帯電する帯電装置32及び感光体31を清掃する清掃装置35が共通の筐体36に組み込まれる感光体カートリッジ30aと、この感光体カートリッジ30aに対して位置決め保持され、感光体31上の静電潜像を現像するための現像装置34が組み込まれる現像カートリッジ30bとを備えている。
ここで、感光体カートリッジ30aの要素として、帯電装置32は、図4に示すように、感光体31に対向した部位が開口し且つ前記筐体36で一体的に形成された帯電筐体71を有し、この帯電筐体71内に感光体31の表面に接触若しくは近接する帯電ロール72を配設すると共に、この帯電ロール72を清掃するための清掃ロール73を配設したものである。
また、清掃装置35は、図4に示すように、感光体31に対向する部位が開口し且つ前記筐体36で一体的に形成された清掃容器81を有し、この清掃容器81の長手方向に沿う開口一縁部には前記感光体31に接触する弾性掻き取り板からなる清掃部材82を設けると共に、前記清掃容器81の長手方向に沿う開口他縁部には前記感光体31に接触する弾性シール材83を設け、前記清掃容器81内には清掃部材82で掻き取ったトナー等の残留物を長手方向に沿って当該清掃容器81の外部に排出する搬送部材84を配設したものである。
一方、現像カートリッジ30bの要素として、現像装置34は、感光体31に対向した部位が開口してトナー及びキャリアが収容される現像容器91を有し、この現像容器91の開口に面した部位には現像剤が保持可能な現像ロール92を配設すると共に、現像容器91の現像ロール92の背面側には現像剤が撹拌されて循環搬送可能な撹拌搬送部材93,94を配設し、更に、現像ロール92に対向した部位には現像ロール92に保持可能な現像剤の層厚が規制される層厚規制部材95を設けたものである。尚、符号39は現像装置34に対して使用開始時に初期現像剤を投入する初期現像剤格納容器である。
【0019】
−帯電装置の支持構造、給電構造−
次に、図6ないし図14を用いて帯電装置の支持構造及び給電構造について説明する。
本実施の形態において、帯電装置32は、前述したように、帯電筐体71に対し帯電ロール72及び清掃ロール73を保持するものであるが、帯電ロール72及び清掃ロール73の両端軸部は軸受部材100,110に回転可能に支持されており、各軸受部材100,110はいずれも押圧部材120にて感光体31側に押圧されている。そして、本例では、一方の軸受部材100を介して帯電ロール72及び清掃ロール73に帯電バイアス、清掃バイアスを印加するようになっている。尚、帯電筐体71は絶縁性の合成樹脂(例えばABS樹脂)にて構成されている。
【0020】
<給電側の軸受部材>
先ず、図6ないし図10を用いて給電側の軸受部材100を説明する。
本例では、給電側の軸受部材100は導電性材料にて構成されている。この導電性材料としては合成樹脂(例えばPOM:ポリアセタール(polyacetal,polyoxymethylene))にカーボン等の導電剤を混入したものが用いられる。
この軸受部材100は、感光体31に対向した部位に帯電ロール72の一端軸部が支持される略U字溝状の第1の軸受部101を有し、この第1の軸受部101の押圧部材120側には清掃ロール73の一端軸部が挿入して支持される孔状の第2の軸受部102を有している。そして、各軸受部101,102の軸方向一端側には帯電ロール72及び清掃ロール73の一端軸部の先端をせき止める弾性変形可能なせき止め片103,104が一体的に立ち上げ形成されている。
更に、本例では、押圧部材120は例えばコイルスプリングからなる弾性バネが用いられている。このため、軸受部材100の押圧部材120側には連結ピン105が突出して設けられ、この連結ピン105に押圧部材120の一端が嵌め込まれて連結され、押圧部材120の他端は帯電筐体71から突出した拘束ピン121に嵌め込まれ、押圧部材120が予め決められた位置からずれないように拘束されている。
【0021】
<給電構造>
本実施の形態では、図6及び図7に示すように、帯電筐体71には帯電ロール72及び清掃ロール73に給電するための給電板130が設けられている。この給電板130は、例えばSUS等の金属にて当該帯電筐体71の形状に沿って適宜屈曲して形成されており、プロセスカートリッジ30がカートリッジ受部27に装着されたときに、給電板130の一部を装置筐体21(図2参照)側の電源につながる接続接点28に接続可能な給電接片131とし、この給電板130の一部を押圧部材120に接触する給電接片132としたものである。尚、本例では、接続接点28は弾性バネにて構成され、カートリッジ受部27にプロセスカートリッジ30を装着したときに、給電板130の給電接片131に弾性的に接触するものである。
そして、この給電板130は帯電筐体71の予め決められた軌跡に沿って配置される必要があるため、帯電筐体71の適宜箇所に予め形成された位置決め用の引っ掛けボス133に嵌る位置決め孔134や、図示外の止め具にて固定される取付孔135が開設されている。尚、本例では、位置決め孔134の縁部に引っ掛けボス133が挿入されたときに当該引っ掛けボス133を弾性的に保持する弾性保持片136が設けられている。
このように、本例では、給電板130からの電力が押圧部材120を介して導電性軸受部材100に供給され、帯電ロール72及び清掃ロール73へと給電されるようになっている。
特に、本例では、軸受部材100は、第1の軸受部101及びせき止め片103を介して帯電ロール72に給電し、第2の軸受部102及びせき止め片104を介して清掃ロール73に給電するようになっているため、せき止め片103,104のない態様に比べて、軸受部材100と帯電ロール72、清掃ロール73との接触度合が安定する点で好ましい。
【0022】
<給電側の位置決め機構>
本実施の形態では、プロセスカートリッジ30に帯電装置32を組み付ける場合や、プロセスカートリッジ30のメンテナンス時に、帯電ロール72と感光体31とを非接触に保つように、軸受部材100を予め決められた保持位置に位置決めする位置決め機構150を付加することが必要である。
本実施の形態では、給電板130の給電接片132のうち軸受部材100の軸方向に交差する幅方向の両側には、軸受部材100を挟んで軸受部材100の両側壁に対向する板状の延長部141,142が折り曲げられた状態で立ち上げ形成されている。この延長部141,142は弾性変形可能な板バネとして機能するようになっている。
そして、位置決め機構150は、給電板130の延長部141,142に対応した部位にそれぞれ設けられ、軸受部材100側に凹状の位置決め部151を有し、延長部141,142側には凸状の被位置決め部160を有している。
本例において、凹状の位置決め部151は断面が略台形状の凹部152からなり、この凹部152の押圧部材120側の内面が略水平な位置決め面153として形成され、一方、凹部152の感光体31側の内面が水平に対し斜め方向に傾斜する傾斜面154として形成され、凹部152の底面が略鉛直な鉛直面155として形成されている。
また、凸状の被位置決め部160は、板状の延長部141,142の一部を山型形状に屈曲して突片161からなり、この突片161は、例えば図9に示すように、押圧部材120の押圧方向側に位置する突片部分162の押圧方向との間になす傾斜角度θが反対側に位置する突片部分163の傾斜角度θに比べて小さく設定されている。本例では、θが30〜45°程度、θが略90°に設定されている。
また、本例では、延長部141,142の先端は先端に向かって軸受部材100の両側壁から次第に離れるように拡開する拡開部143が形成され、帯電筐体71に対して軸受部材100を組み付けるときに延長部141,142の間に軸受部材100を挿入し易くするための案内として機能するようになっている。
更に、軸受部材100の両側壁には、一対の延長部141,142を挟み込むための凹溝状の案内溝145が位置決め部151の凹部152を途中に介在させた状態で設けられている。
【0023】
<非給電側の軸受部材>
次に、図11ないし図13を用いて非給電側の軸受部材110について説明する。
本例では、非給電側の軸受部材110は非導電性材料にて構成されている。この非導電性材料としては合成樹脂(例えばPOM:ポリアセタール(polyacetal,polyoxymethylene))が用いられる。この軸受部材110は、給電側の軸受部材100とベースとなる合成樹脂は同様であるが、カーボン等の導電剤が混入されていないため、給電側の軸受部材100に比べて極めて耐久性の高い構造体として得られるものである。
この軸受部材110は、給電側の軸受部材100と略同様に、感光体31に対向した部位に帯電ロール72の他端軸部が支持される略U字溝状の第1の軸受部111を有し、この第1の軸受部111の押圧部材120側には清掃ロール73の他端軸部が挿入して支持される孔状の第2の軸受部112を有している。そして、各軸受部111,112の軸方向一端側には帯電ロール72及び清掃ロール73の他端軸部の先端をせき止める弾性変形可能なせき止め片113,114が一体的に立ち上げ形成されている。
更に、本例では、押圧部材120は例えばコイルスプリングからなる弾性バネが用いられている。このため、軸受部材100の押圧部材120側には連結ピン115が突出して設けられ、この連結ピン115に押圧部材120の一端が嵌め込まれて連結され、押圧部材120の他端は帯電筐体71から突出した拘束ピン121に嵌め込まれ、押圧部材120が予め決められた位置からずれないように拘束されている。
【0024】
<非給電側の位置決め機構>
非給電側の軸受部材110についても給電側の軸受部材100と同様に位置決め機構150が必要である。
但し、非給電側の位置決め機構150は、給電板130がないため、給電側の位置決め機構150とは異なる構成が採用されている。
本例では、位置決め機構150は、軸受部材110の一側壁とこれに対向する帯電筐体71との間に設けられ、軸受部材110の一部に凸状に設けられる弾性変形可能な位置決め部180と、帯電筐体71のうち位置決め部180に対応した部位に凹状に設けられ、位置決め部180の弾性変形に伴って位置決め部180と引っ掛かり可能に係わり合う被位置決め部190とを有している。
ここで、位置決め部180は、押圧部材120の押圧方向に延び且つ押圧部材120の押圧方向に交差する軸受部材110の幅方向に対して弾性変形可能な引っ掛け片181を隙間182を介して一体的に形成したものである。この引っ掛け片181は弾性変形可能な細い弾性脚部183を有しており、この弾性脚部183の感光体31側には弾性脚部183よりも太い頭部184を形成すると共に、この頭部184の隙間182の反対側面には感光体31側に向かって次第に拡開するように傾斜する傾斜面185を形成し、この頭部184の先端に略水平方向に延びる位置決め面186を形成するようにしたものである。
一方、被位置決め部190は、位置決め部180の引っ掛け片181に対応して開設される被位置決め孔191を有しており、位置決め部180の引っ掛け片181の頭部184のうち弾性脚部183から帯電筐体71側に張り出した部分が被位置決め孔191内に入り込み、この引っ掛け片181の位置決め面186が被位置決め孔191の感光体31側縁部に突き当たるようになっている。
【0025】
<軸受部材と帯電筐体との関係>
次に、図14を用いて各軸受部材100,110と帯電筐体71との関係について説明する。
先ず、給電側の軸受部材100は、図14(a)に示すように、帯電筐体71の軸受部材100の両側壁との対向する部位に押圧部材120の押圧方向に沿って延びる案内溝200をそれぞれ設け、これらの案内溝200間に軸受部材100の両側壁を挟み込むように案内して保持されるようになっている。
一方、非給電側の軸受部材110は、図14(b)に示すように、帯電筐体71の軸受部材110の両側壁との対向する部位に押圧部材120の押圧方向に沿って延びる案内突条201をそれぞれ設ける一方、これに対向する軸受部材110には前記案内突条201が移動可能に嵌まる案内溝202を設け、これらの案内溝202に案内突条201を嵌め込むことにより案内して保持されるようになっている。
【0026】
次に、本実施の形態に係る帯電装置32の取付状態について説明する。
今、プロセスカートリッジ30に帯電装置32を組み付ける場合には、先ず、帯電筐体71に対し押圧部材120が予め組み付けられた軸受部材100,110を所定の拘束ピン121位置に組み付け、各軸受部材100,110をそれぞれの位置決め機構150にて位置決めした状態で保持するようにすればよい。
このとき、給電側の位置決め機構150では、延長部141,142間に挟み込まれた状態で軸受部材100が挿入され、軸受部材100が挿入されていくと、軸受部材100の先端部が延長部141,142側の被位置決め部160である山型形状の突片161の角度の小さい突片部分162に当たり、これに伴って、延長部141,142の弾性変形により延長部141,142が外側に押し広げられ、前記突片161が位置決め部151である凹部152に至ると、前記延長部141,142の弾性変形により突片161が凹部152内に収容される。
この状態では、軸受部材100には押圧部材120による押圧力が作用しているため、軸受部材100は押圧部材120の押圧力によって感光体31側に押圧されるが、位置決め部151が被位置決め部160と引っ掛かり可能に係わり合い、位置決め部151の凹部152の位置決め面153に被位置決め部160の突片161の傾斜角度の大きい突片部分163が突き当たり、位置決めされる。
一方、非給電側の位置決め機構150では、帯電筐体71間に挟み込まれた状態で軸受部材110が挿入されると、軸受部材110の位置決め部180である引っ掛け片181が帯電筐体71の壁面に当たり、引っ掛け片181の弾性変形により引っ掛け片181が隙間182側に一時的に待避したまま移動していき、前記引っ掛け片181が被位置決め部190で被位置決め孔191に至ると、引っ掛け片181の弾性変形により引っ掛け片181が被位置決め孔191内に収容される。
この状態では、軸受部材110には押圧部材120による押圧力が作用しているため、軸受部材110は押圧部材120の押圧力によって感光体31側に押圧されるが、位置決め部180が被位置決め部190と引っ掛かり可能に係わり合い、位置決め部180の位置決め面186が被位置決め部190の被位置決め孔191の縁部に突き当たり、位置決めされる。
【0027】
このとき、感光体31が帯電ロール72に接触又は近接すると、帯電ロール72は感光体31から押され、軸受部材100,110の位置決め機構150はそれぞれ位置決め位置から移動し、押圧部材120の押圧力によって感光体31に所望の圧力で押圧される。
また、給電側の軸受部材100では、給電板130から供給される電力が押圧部材120及び軸受部材100を介して帯電ロール72、清掃ロール73へと給電される。
更に、プロセスカートリッジ30のメンテナンス時には、帯電筐体71から軸受部材100,110ごと帯電ロール72、清掃ロール73を取り外すことになるが、導電性軸受部材100側の位置決め機構150では、給電板130の一部である延長部141,142の弾性作用を利用することで位置決めを容易に解除することが可能であるため、仮に、導電性軸受部材100が耐久性の低い材料であるとしても、当該導電性軸受部材100が不必要に破損することはない。
一方、軸受部材110側の位置決め機構150では、軸受部材110側に位置決め部180としての引っ掛け片181が形成されているが、軸受部材110の材料が耐久性に優れたものであることから、引っ掛け片181の弾性変形に伴って位置決めが解除されるものの、引っ掛け片181が不必要に破損することはない。
尚、本例では、帯電装置32に清掃ロール73を備えた態様が示されているが、清掃ロール73を備えていない態様にあっては、軸受部材100,110に清掃ロール73のための第2の軸受部を設ける必要はない。
【0028】
◎実施の形態2
図15は実施の形態2で用いられる給電側の位置決め機構150の要部を示す。
同図において、給電側の位置決め機構150の基本的構成は、実施の形態1と略同様に、軸受部材100側に位置決め部151としての凹部152を備えているが、延長部141,142側の被位置決め部160が実施の形態1と異なる。
この被位置決め部160は、断面台形状の突片161からなるが、位置決め部151の凹部152の位置決め面153に対向する被位置決め面166と、押圧部材120の押圧方向に対して傾斜する傾斜面167と、前記凹部152の鉛直面155に対向する略鉛直な接触面168を有している。
このため、本実施の形態では、実施の形態1と同様に、プロセスカートリッジ30を組み付ける前は給電側の軸受部材100は所望の位置に位置決めされると共に、プロセスカートリッジ30を組み付けた後にあっては、感光体31に対し帯電ロール72が押圧部材120にて所望の押圧力で押圧された状態になるが、この状態において、給電板130から供給される電力は通常の第1の接点である給電接片132,押圧部材120を介して軸受部材100に給電されるほか、位置決め機構150の位置決め部151と被位置決め部160との接触部(鉛直面155,接触面168)を第2の接点として利用することが可能である。
【0029】
◎実施の形態3
図16は実施の形態3で用いられる給電側の位置決め機構150の要部を示す。
同図において、給電側の位置決め機構150の基本的構成は、実施の形態1と異なり、軸受部材100側に位置決め部151としての凸部210を備え、延長部141,142側に被位置決め部160としての凹部220を備えたものである。尚、実施の形態1と同様な構成については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本態様では、軸受部材100を位置決めする上で、位置決め部151としての凸部210の感光体31側に位置決め面211を設けると共に、押圧部材120側に押圧方向に向かって傾斜する傾斜面212を設けるようにすればよく、一方、被位置決め部160としての凹部220の前記凸部210の位置決め面211に対応した部位に被位置決め面221を設けるようにすればよい。
【0030】
◎実施の形態4
図17は実施の形態4で用いられる給電側の位置決め機構150の要部を示す。
同図において、給電側の位置決め機構150の基本的構成は、実施の形態3と略同様であるが、実施の形態3と異なり、被位置決め部160としての凹部220の代わりに帯電筐体71に被位置決め孔230を開設したものである。
ここで、被位置決め孔230の形状は位置決め部151としての凸部210の形状に対応して適宜選定して差し支えないが、本例では、位置決め部151としての凸部210の位置決め面211が平面であることから、被位置決め孔230は押圧部材120の押圧方向に延びる矩形状の孔として構成され、この被位置決め孔230の縁部が位置決め部151の凸部210の位置決め面211が接触する被位置決め面231として働くものである。
【符号の説明】
【0031】
1…被帯電体,2…帯電部材,3…帯電筐体,4(4a,4b)…軸受部材,5…押圧部材,6…給電部材,7(7a,7b)…位置決め機構,9…筐体,10…帯電装置,11(11a,11b)…延長部,12…位置決め部,13…被位置決め部,14…突片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17