(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記蓋部材は、前記筐体本体部の水平断面形状における実質的な中心線が位置する分割線において分割された複数の蓋片、又は該中心線から実質的に等距離に位置する分割線において分割された複数の蓋片を有し、
前記蓋片の全部又は一部は、前記分割線の位置又は前記開口部の周辺部に配置される回動軸を中心に回動することにより前記開口部を開閉する請求項1に記載のイオン交換装置。
前記蓋部材は、前記筐体本体部の水平断面形状における実質的な中心線が位置する分割線において分割された複数の蓋片、又は該中心線から実質的に等距離に位置する分割線において分割された複数の蓋片を有し、
前記蓋片の全部又は一部は、該蓋片の全部又は一部を引き込み可能な引き込み空間を有する引き込み部に対してスライドして進退することにより前記開口部を開閉する請求項1に記載のイオン交換装置。
前記蓋部材は、前記開口部の周辺部における対向する一端側及び他端側に、第1回動軸及び第2回動軸をそれぞれ備え、前記第1回動軸を中心にする回動と、前記第2回動軸を中心にする回動とを、切り換え可能に構成される請求項1に記載のイオン交換装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔第1実施形態〕
以下、本発明のイオン交換装置の第1実施形態の硬水軟化装置1について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明のイオン交換装置の第1実施形態の硬水軟化装置1を示す全体構成図である。
図2は、第1使用時正面103側から視た硬水軟化装置1を示す斜視図である。
図3は、第2使用時正面104側から視た硬水軟化装置1を示す斜視図である。
図4(a)は、硬水軟化装置1における操作パネル410の配置構造を示す部分平面図、
図4(b)は、硬水軟化装置1における操作パネル410の配置構造を示す部分断面図である。
図5は、本実施形態のプロセス制御バルブ3により実行されるプロセスを示すフローチャートである。
図6は、本実施形態の各プロセスにおけるプロセス制御バルブ3の開閉状態を示す説明図である。
【0019】
第1実施形態の硬水軟化装置1は、水道水、地下水、工業用水等の原水中に含まれる硬度成分をナトリウムイオン(又は、カリウムイオン)へ置換して軟水を生成する。硬水軟化装置1は、軟水を各種の用水として需要箇所へ供給する目的で使用される。硬水軟化装置1は、家屋やマンション等の居住建物、ホテルや大衆浴場等の集客施設、ボイラやクーリングタワー等の冷熱機器、食品加工装置や洗浄装置等の水使用機器等に接続される。
【0020】
また、本実施形態の硬水軟化装置1は、原水W1をイオン交換樹脂床211(後述)で軟水化して得られた処理水(軟水)W2を浴室等の需要箇所(図示せず)に供給する水処理プロセスST1と、排水ラインL5の内部に滞留しているエアを排出する(エア抜きする)呼び水プロセスST2と、塩水W4を供給してイオン交換樹脂床211を再生させる再生プロセスST3と、イオン交換樹脂床211に供給された塩水W4を押し出す押出プロセスST4と、イオン交換樹脂床211に残留した塩水W4を洗浄するリンス・プロセスST5と、を実行可能な構成を備える。
【0021】
まず、
図1を参照して、本実施形態の硬水軟化装置1の全体構成について説明する。以下の説明において「ライン」とは、流路、経路、管路等の総称である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態の硬水軟化装置1は、圧力タンク2と、プロセス制御バルブ3と、再生液タンクとしての塩水タンク4と、原水タンク6と、プロセス制御バルブ3等を制御する制御部5と、筐体100と、制御部5に装置の操作情報等を入力する操作パネル410と、を備える。
【0023】
圧力タンク2は、
図1に示すように、圧力タンク本体21を主体として構成される。圧力タンク本体21は、上部にタンク開口部21aを有する有底の筒状体(例えば、円筒)であり、タンク開口部21aをタンク蓋部材22で密閉している。
【0024】
タンク蓋部材22は、第1蓋流路221及び第2蓋流路222を備える。
第1蓋流路221は、タンク蓋部材22の内部を貫通して設けられる流路である。第1蓋流路221には、圧力タンク本体21の底部付近へ延びる第1集配液管231が接続されている。第1蓋流路221は、後述の原水ラインL1及び排水ラインL5として機能する。
第2蓋流路222は、タンク蓋部材22の内部を貫通して設けられ、頂部スクリーン241を介して、圧力タンク2の内部と連通する流路である。第2蓋流路222は、後述の軟水ラインL2及び塩水ラインL4として機能する。
【0025】
以上のように構成される圧力タンク本体21の内部には、陽イオン交換樹脂ビーズからなるイオン交換樹脂床211、及び濾過砂利からなる支持床212が収容されている。
イオン交換樹脂床211は、原水W1を軟水化する処理材として機能する。イオン交換樹脂床211は、圧力タンク本体21の内部において、支持床212の上部に積層されている。支持床212は、イオン交換樹脂床211に対する流体の整流部材として機能する。支持床212は、圧力タンク本体21の底部側に収容されている。
【0026】
プロセス制御バルブ3は、少なくとも、原水W1を圧力タンク2の底部スクリーン(底部配液部)242へ配液しながら、頂部スクリーン(頂部集液部)241で集液することにより原水W1の上昇流を生成して、処理水である軟水W2を製造する水処理プロセスST1の水(原水W1、軟水W2)の流れ;及び、再生液である塩水W4を頂部スクリーン(頂部配液部)241へ配液しながら、底部スクリーン(底部集液部)242で集液することにより塩水W4の下降流を生成して、イオン交換樹脂床211を再生させる再生プロセスST3の塩水W4の流れを切り換え可能なバルブである。プロセス制御バルブ3の詳細については後述する。
【0027】
塩水タンク4は、イオン交換樹脂床211を再生する再生液としての塩水W4を貯留する液タンクである。塩水W4は、陽イオン交換樹脂ビーズを用いる硬水軟化装置においては、塩化ナトリウム、塩化カリウムの各水溶液等を利用することができる。
塩水タンク4は、圧力タンク2のタンク蓋部材22よりも重力方向における上方に近接して配置されている。
【0028】
また、塩水タンク4は、重力方向と直交する方向に、原水タンク6とほぼ並列な位置に配置されている。塩水タンク4の液面(後述するタンク領域41の液面)と、排水ラインL5の開放末端部(後述)との高さ関係は、塩水タンク4の液面 > 排水ラインL5の開放末端部の関係となるように設定されている。そして、本実施形態の硬水軟化装置1は、塩水タンク4における液面と排水ラインL5の開放末端部との間の水頭圧差により、塩水タンク4から圧力タンク2へ塩水W4が流下するように構成されている。塩水タンク4の詳細については後述する。
【0029】
制御部5は、CPU及びメモリ含むマイクロプロセッサ(図示せず)により構成される。制御部5は、原水用フロースイッチ321(後述)及び排水用フロースイッチ418(後述)から入力された検出信号等に基づいて、プロセス制御バルブ3の動作を制御する。メモリには、本実施形態の硬水軟化装置1の運転を実施する制御プログラムが予め記憶されている。この制御プログラムは、例えば、硬水軟化装置1における水処理プロセスST1の流路と再生プロセスST3の流路とを切り換えるように、プロセス制御バルブ3を制御するプログラムである。CPUは、制御プログラムに従って、水処理プロセスST1〜リンス・プロセスST5を順に切り換えるように、プロセス制御バルブ3を制御する。
【0030】
原水タンク6は、原水ラインL1から第1補水ラインL7を経て供給された原水W1を貯留する液タンクである。原水W1としては、水道水、地下水、工業用水等を利用することができる。
原水タンク6は、圧力タンク2よりも重力方向における上方に配置されている。原水タンク6の液面と、排水ラインL5の開放末端部との高さ関係は、原水タンク6の液面 > 排水ラインL5の開放末端部の関係となるように設定されている。そして、本実施形態の硬水軟化装置1は、原水タンク6における液面と排水ラインL5の開放末端部との間の水頭圧差により、原水タンク6から圧力タンク2へ原水W1が流下するように構成されている。原水タンク6の詳細については後述する。
【0031】
圧力タンク2において、圧力タンク本体21の底部には、原水ラインL1の他方の端部が配置されている。圧力タンク本体21内に配置される原水ラインL1は、合成樹脂製パイプ等を用いた集配液管231となっており、この集配液管231がイオン交換樹脂床211を貫通して支持床212の下部に到達するように設けられている。
【0032】
水処理プロセスST1において、原水ラインL1を流通する原水W1は、圧力タンク本体21の底部から圧力タンク2の内部に供給される。一方、圧力タンク本体21の頂部には、軟水ラインL2の一方の端部が配置されている。すなわち、水処理プロセスST1において、圧力タンク2の内部でイオン交換樹脂床211により処理されて得られた軟水W2は、圧力タンク2の上部から軟水ラインL2を流通する。
【0033】
圧力タンク2に配置された、原水ラインL1(集配液管231)の他方の端部には、樹脂ビーズの流出を防止する底部スクリーン242が設けられている。底部スクリーン242は、樹脂ビーズよりも小さな多数の開孔を有する(後述する頂部スクリーン241も同様)。底部スクリーン242は、原水ラインL1の他方の端部と連通する。底部スクリーン242による配液位置及び集液位置は、支持床212の下部に設定される。底部スクリーン242は、水処理プロセスST1において、イオン交換樹脂床211の底部から原水W1を配液する底部配液部、及び再生プロセスST3において、イオン交換樹脂床211の底部から塩水W4を集液する底部集液部として機能する。
【0034】
また、圧力タンク2に配置された、軟水ラインL2の一方の端部には、樹脂ビーズの流出を防止する頂部スクリーン241が設けられている。頂部スクリーン241は、軟水ラインL2の一方の端部と連通する。頂部スクリーン241による配液位置及び集液位置は、イオン交換樹脂床211の頂部付近に設定される。頂部スクリーン241は、再生プロセスST3において、イオン交換樹脂床211の頂部から塩水W4を配液する頂部配液部、及び水処理プロセスST1において、イオン交換樹脂床211の頂部から軟水W2を集液する頂部集液部として機能する。
【0035】
次に、プロセス制御バルブ3について説明する。プロセス制御バルブ3は、その内部に、各種のライン、弁等を備える。具体的には、プロセス制御バルブ3は、ラインとして、原水ラインL1と、軟水ラインL2と、希釈水ラインL3と、塩水ラインL4と、排水ラインL5と、バイパスラインL6と、を備える。後述するように、原水ラインL1の一部は、排水ラインL5としても機能する。軟水ラインL2の一部は、塩水ラインL4としても機能する。
【0036】
また、プロセス制御バルブ3は、弁(バルブ)として、原水通水弁311と、バイパス弁312と、軟水通水弁313と、塩水弁314と、再生排水弁315と、を備える。
プロセス制御バルブ3において、これらの弁311〜315は、種々の作動機構及び弁構造を採用することができる。具体的には、カム機構により作動されるリフト式又はダイアフラム式の流路開閉弁や、リンク機構により作動されるスライドピストン式の流路開閉弁等が好適である。
【0037】
本実施形態の硬水軟化装置1は、プロセス制御バルブ3の外部に、原水ラインL1や軟水ラインL2等の各種のラインを備える。
具体的には、原水ラインL1は、プロセス制御バルブ3の外部(原水供給源)から内部に導入され、再度外部に向けて延びている。軟水ラインL2は、プロセス制御バルブ3の外部(圧力タンク2)から内部に導入され、再度外部に向けて延びている。希釈水ラインL3は、プロセス制御バルブ3の外部(原水タンク6)から内部に導入されるように延びている。塩水ラインL4は、プロセス制御バルブ3の外部(塩水タンク4)から内部に導入され、再度外部(圧力タンク2)へ向けて延びている。排水ラインL5は、プロセス制御バルブ3の外部(圧力タンク2)から内部に導入され、再度外部に向けて延びている。第1補水ラインL7は、原水ラインL1の接続部J11(後述)と原水タンク6に設けられた第1フロート弁74(後述)とを接続する。第2補水ラインL8は、原水ラインL1の接続部J14(後述)と塩水タンク4内に配置された第2フロート弁75(後述)とを接続する。
【0038】
原水ラインL1は、上流側において、外部の原水供給源(図示せず)に接続され、下流側において、圧力タンク2の底部と連通している。原水ラインL1は、原水W1を圧力タンク本体21及び原水タンク6に供給する供給路を構成する。原水ラインL1には、原水供給源から原水W1が圧送される(例えば、原水W1が水道水であれば、水道圧により圧送される)。原水ラインL1には、原水供給源から圧力タンク2に向けて順に、接続部J11、第1原水導入部110、減圧弁73、原水用フロースイッチ321、接続部J12、原水通水弁311、接続部J13、及び接続部J14が設けられている。
【0039】
原水ラインL1の接続部J11には、第1補水ラインL7の上流側が接続されている。第1原水導入部110については、後述する。減圧弁73は、原水W1を所定の水圧まで減圧する弁である。減圧弁73は、原水W1の流れを一方向に規制する逆止弁を有している。なお、原水ラインL1には、安全弁(図示せず)が接続されている。安全弁は、原水W1の水圧や装置二次側からの背圧が所定値以上になった場合に、過剰な圧力を原水ラインL1からオーバーフロー管(図示せず)を介して系外に逃がすことにより、圧力タンク2やプロセス制御バルブ3を保護したり、水の逆流を防止したりする弁である。
【0040】
原水ラインL1の接続部J12には、バイパスラインL6の上流側の端部が接続されている。原水ラインL1の接続部J13には、排水ラインL5の上流側の端部が接続されている。後述するように、原水ラインL1において、接続部J13よりも下流側は、排水ラインL5としても機能する。原水ラインL1の接続部J14には、第2補水ラインL8の上流側の端部が接続されている。
【0041】
原水用フロースイッチ321は、原水ラインL1における減圧弁73と接続部J12との間に設けられている。原水用フロースイッチ321は、制御部5と電気的に接続されている。原水用フロースイッチ321は、原水ラインL1において所定の水流を検知すると、検出信号を制御部5に出力する。すなわち、原水用フロースイッチ321は、原水ラインL1を所定流量の原水W1が流通したことを検知すると、検出信号を制御部5に出力する。
【0042】
原水通水弁311は、原水ラインL1において、接続部J12と接続部J13との間に設けられている。原水通水弁311は、原水ラインL1における原水W1の流通を制御する。原水通水弁311は、弁体の駆動部が制御部5と電気的に接続されている。原水通水弁311における弁の開閉は、制御部5により制御される。
【0043】
第1補水ラインL7は、上流側において、原水ラインL1の接続部J11に接続され、下流側において原水タンク6に接続されている。第1補水ラインL7は、原水ラインL1を流通する原水W1の一部を原水タンク6に供給する供給路を構成する。後述の筐体100の内部に位置する第1補水ラインL7と、筐体100の外部に位置する第1補水ラインL7とは、第2原水導入部111において接続される。第2原水導入部111については、後述する。
【0044】
軟水ラインL2は、一方の端部において、圧力タンク2のタンク蓋部材22の第2蓋流路222と連通し、他方の端部において、需要箇所(図示せず)に接続されている。軟水ラインL2は、イオン交換樹脂床211により処理されて得られた軟水W2を需要箇所に供給するための供給路を主として構成する。軟水ラインL2には、圧力タンク2から需要箇所に向けて順に、接続部J21、軟水通水弁313、接続部J22及び軟水導出部112が設けられている。軟水ラインL2の接続部J21には、塩水ラインL4の下流側の端部が接続されている。軟水ラインL2において、接続部J21よりも圧力タンク2側は、塩水ラインL4としても機能する。また、軟水ラインL2の接続部J22には、バイパスラインL6の下流側の端部が接続されている。軟水導出部112については、後述する。
【0045】
軟水通水弁313は、軟水ラインL2において、接続部J21と接続部J22との間に設けられている。軟水通水弁313は、軟水ラインL2における軟水W2の流通を制御する。軟水通水弁313は、弁体の駆動部が制御部5と電気的に接続されている。軟水通水弁313における弁の開閉は、制御部5により制御される。
【0046】
塩水ラインL4は、上流側において、塩水タンク4のタンク領域41(後述)に接続され、下流側において軟水ラインL2の接続部J21に接続されている。塩水ラインL4は、イオン交換樹脂床211を再生させるための塩水W4を圧力タンク2に供給するための供給路を構成する。
【0047】
塩水ラインL4には、塩水タンク4から軟水ラインL2の接続部J21に向けて順に、第2逆止弁72、塩水弁314と、接続部J4と、が設けられている。第2逆止弁72は、塩水W4の流れを、塩水タンク4から圧力タンク本体21へ流下させる方向へのみ規制する。塩水弁314は、塩水ラインL4における塩水W4の流通を制御する。塩水弁314は、弁体の駆動部が制御部5と電気的に接続されている。塩水弁314における弁の開閉は、制御部5により制御される。
【0048】
希釈水ラインL3は、上流側において、原水タンク6の底部に接続され、下流側において、塩水ラインL4の接続部J4に接続されている。希釈水ラインL3は、主として、再生プロセスST3において塩水W4を希釈するための原水Wを塩水ラインL4に供給するため、及び、押出プロセスST4においてイオン交換樹脂床211内の塩水W4を押し出す原水W1を、圧力タンク2に供給するための供給路を構成する。希釈水ラインL3には、第1逆止弁71が設けられている。第1逆止弁71は、原水W1の流れを、原水タンク6から圧力タンク本体21へ流下させる方向へのみ規制する。第1逆止弁71は、第2逆止弁72と共に逆止弁ボックス425に収納されている。
【0049】
排水ラインL5には、上流から下流に向けて順に、接続部J13、再生排水弁315、排水用フロースイッチ418及び排水部113が設けられている。排水ラインL5の一方の端部(下流側の端部)は、大気に開放されており、開放末端部を構成する。また、排水ラインL5の他方の端部(上流側の端部)は、原水ラインL1の接続部J13に接続されている。排水ラインL5は、各種の排水W5を系外に排水するための排水路を構成する。
【0050】
排水用フロースイッチ418は、排水ラインL5におけるプロセス制御バルブ3と排水部113との間に設けられている。排水用フロースイッチ418は、制御部5と電気的に接続されている。排水用フロースイッチ418は、排水ラインL5において所定の水流を検知すると、検出信号を制御部5に出力する。すなわち、排水用フロースイッチ418は、排水ラインL5を所定流量の排水W5が流通したことを検知すると、検出信号を制御部5に出力する。
排水部113については、後述する。
【0051】
原水ラインL1の下流側は、圧力タンク2のタンク蓋部材22の第1蓋流路221及び集配液管231を介して圧力タンク2の底部と連通している。前述したように、原水ラインL1において、接続部J13よりも下流側は、排水ラインL5としても機能する。従って、排水ラインL5の他方の端部は、原水ラインL1を介して圧力タンク2に接続されており、接続端部を構成する。
【0052】
再生排水弁315は、排水ラインL5における接続部J13よりも下流側に設けられている。再生排水弁315は、排水ラインL5における排水W5又は塩水W4の流通を制御する。再生排水弁315は、弁体の駆動部が制御部5と電気的に接続されている。再生排水弁315における弁の開閉は、制御部5により制御される。
【0053】
バイパスラインL6は、上流側において、原水ラインL1の接続部J12に接続され、下流側において、軟水ラインL2の接続部J22に接続されている。バイパスラインL6は、再生プロセスST3等において、圧力タンク2を介さずに需要箇所に原水W1を供給するための供給路を構成する。
【0054】
バイパス弁312は、バイパスラインL6に設けられている。バイパス弁312は、バイパスラインL6における原水W1の流通を制御する。バイパス弁312は、弁体の駆動部が制御部5と電気的に接続されている。バイパス弁312における弁の開閉は、制御部5により制御される。
【0055】
第2補水ラインL8は、一方の端部において、原水ラインL1の接続部J14に接続され、他方の端部において、塩水タンク4と連通している。第2補水ラインL8は、リンス・プロセスST5において、原水ラインL1の接続部J14から流通する原水W1を、塩水タンク4に供給する供給路を構成する。
【0056】
次に、塩水タンク4について説明する。塩水タンク4は、
図1に示すように、タンク領域41と、塩載置部42と、ネット43と、を備える。タンク領域41は、塩水タンク4における塩水W4の貯留部を構成する。塩載置部42は、タンク領域41の内部に配置されている。塩載置部42の上部には、塩投入口109が配置される。この塩投入口109を介して、原水W1に溶解させる塩(塩化ナトリウム、塩化カリウム等)が塩載置部42に投入される。塩載置部42の底部には、透水性を有するネット43が設けられている。塩載置部42には、原水W1に溶解させる塩が載置されている。
【0057】
第2補水ラインL8の他方の端部は、塩載置部42の上部に配置され、塩載置部42に向けて開放されている。第2補水ラインL8から供給された原水W1は、第2補水ラインL8の他方の端部から塩載置部42に向けて流下する。塩載置部42に載置された塩は、タンク領域41に貯留された原水W1により溶解され、塩水W4が生成される。
【0058】
塩水タンク4の底部には、塩水ラインL4の上流側の端部が接続されている。再生プロセスST3において、タンク領域41の内部に貯留された塩水W4は、塩水タンク4における液面と排水ラインL5の開放末端部との間の水頭圧差により、塩水ラインL4を流下する。この塩水W4は、塩水ラインL4の接続部J4において、希釈水ラインL3を流下した原水W1と混合して希釈される。希釈された塩水W4は、軟水ラインL2の一部を流下して圧力タンク2に供給され、頂部スクリーン241からイオン交換樹脂床211の頂部に配液される。
【0059】
更に、塩水タンク4は、液面制御手段としての第2フロート弁75を備える。第2フロート弁75は、第2補水ラインL8の他方の端部に設けられている。ここで、第2フロート弁75の構成と動作について簡単に説明する。第2フロート弁75は、図示しないフロートと、弁体と、原水パイプと、を備える。
【0060】
フロートは、円筒状の浮力体であり、中心部に原水パイプが貫通している。フロートは、原水パイプに沿って上下方向に移動自在に支持されている。フロートの上部には、磁石が取り付けられている。フロートは、タンク領域41に貯留された塩水W4の液面に浮いており、塩水W4の水位に追従して上下方向に移動する。
【0061】
弁体は、円柱状の部材であり、原水パイプの内部に形成された擦動空間に収容されている。この擦動空間は、下端部が原水W1の流入口となる一方で、上端部が原水W1の流出口となっている。弁体は、擦動空間を上下方向に移動することができ、弁体が流出口に当接することにより、原水W1の流通が遮断されるようになっている。すなわち、原水W1の流出口は、弁体に対して弁座として機能する。また、弁体の内部には、磁性体が組み込まれている。
【0062】
原水パイプは、第2補水ラインL8と連通した管路である。原水パイプは、塩水タンク4(タンク領域41)の内部にほぼ垂直に配置されている。上述したように、原水パイプは、フロートの中心部を貫通している。原水パイプの上部には、逆U字形の出口管が接続されている。また、出口管の端部は、塩水タンク4の塩載置部42に向けて開放されている。原水パイプを流通する原水W1は、塩水タンク4に貯留された塩水W4と混合せずに、出口管の端部へ導かれる。
【0063】
上記構成において、塩水タンク4における塩水W4の液面が所定の水位に達していない場合、第2補水ラインL8から供給された原水W1は、原水パイプから出口管を流通し、塩水タンク4の塩載置部42に供給される。これにより、塩水タンク4における塩水W4の液面が上昇する。塩水W4の液面が上昇すると、液面と共にフロートが上昇する。このとき、フロートの磁石は、弁体の磁性体を吸引するため、原水パイプの擦動空間に収容された弁体も、フロートと共に上昇する。そして、液面が所定の水位まで上昇すると、上昇した弁体が擦動空間の流出口に当接して、管路を閉鎖する。これにより、管路からの原水W1の供給が停止する。
【0064】
一方、塩水タンク4における塩水W4の液面が所定の水位より低くなると、液面と共にフロートが下降する。このとき、フロートの磁石は、弁体の磁性体を吸引するため、原水パイプの擦動空間に収容された弁体も、フロートと共に下降する。そして、液面が所定の水位まで降下すると、下降した弁体が擦動空間の流出口から離反して、管路を開放する。これにより、管路からの原水W1の供給が開始される。
【0065】
本実施形態において、塩水タンク4のタンク領域41に貯留された塩水W4の液面は、第2フロート弁75により所定範囲に維持される。このため、塩水タンク4における液面と排水ラインL5の開放末端部との間の水頭圧差がほぼ一定となる。
また、塩水タンク4の上部には、オーバーフロー管(図示せず)が取り付けられている。このオーバーフロー管は、第2フロート弁75の故障等により流路の遮断不良が発生した場合に、溢れた塩水W4を系外に排出するための設備である。
【0066】
次に、原水タンク6について説明する。原水タンク6は、液面制御手段としての第1フロート弁74を備える。第1フロート弁74は、第1補水ラインL7の下流側の端部に連結されている。第1フロート弁74は、原水タンク6の内部に貯留された原水W1の液面が所定範囲に維持されるように、原水タンク6の貯水量を制御する。
【0067】
第1フロート弁74は、原水タンク6の液面の上下変動に追従した浮玉61の変位に応じて流路を開閉する弁であり、ボールタップと呼ばれるものである。本実施形態において、原水タンク6の内部に貯留された原水W1の液面は、第1フロート弁74により所定範囲に維持される。このため、原水タンク6における液面と排水ラインL5の開放末端部との間の水頭圧差がほぼ一定となる。従って、後述する再生プロセスST3及び押出プロセスST4において、イオン交換樹脂床211を流通する原水W1又は塩水W4の線速度を一定に維持することができる。ここで、原水W1又は塩水W4の線速度とは、原水W1又は塩水W4の流量をイオン交換樹脂床211の横断面積で除したものである。
【0068】
なお、上述した第1フロート弁74の構成及び動作は、一般的なボールタップに基づくが、一例を示したものであり、この例に限定されない。また、原水タンク6の上部には、オーバーフロー管(図示せず)が取り付けられている。このオーバーフロー管は、第1フロート弁74の故障等により流路の遮断不良が発生した場合に、溢れた原水W1を系外に排出するための設備である。
【0069】
次に、硬水軟化装置1の筐体100について
図2及び
図3を参照しながら説明する。
図2及び
図3に示すように、筐体100は、筐体本体部としてのベース部101及び胴部102と、胴部102の上部に設けられる蓋部材105と、を備える。
ベース部101は、平面視でほぼ長方形状となっており、筐体100の底部を構成する。ベース部101には、
図1に示す圧力タンク2、プロセス制御バルブ3及び各種ラインを形成する配管群(図示せず)等が設置される。
【0070】
胴部102は、筐体100の側部としての側面部を構成し、ベース部101から上方に延びている。胴部102は、硬水軟化装置1の各構成部材の側面を覆うように筒状に構成され、上部に筐体開口部102aを有する。詳細には、胴部102は、平面視でほぼ長方形状となっている。胴部102は、平面視で長方形の長辺側の面を形成する一対の第1使用時正面103及び第2使用時正面104を有する。第1使用時正面103及び第2使用時正面104は、装置の使用時に正面となり得る面として形成され、外観の形状及びデザイン等がほぼ同一となっている。
【0071】
また、胴部102は、
図2及び
図3に示すように、平面視で長方形の短辺側を形成する一対の側面(側部)108a,108bを有する。
図2に示すように、胴部102における一方側の側面108aの下部には、第1原水導入部110、第2原水導入部111、軟水導出部112及び排水部113が設けられている。第1原水導入部110、第2原水導入部111、軟水導出部112及び排水部113については、後述する。
【0072】
蓋部材105は、上パネル部106とトップパネル部107とから構成される。上パネル部106は、胴部102の上部に設けられ、筐体開口部102aを閉塞する部材である。上パネル部106は、平面視で胴部102の形状とほぼ同一の形状を有している。上パネル部106には、塩投入口109と、操作表示部としての操作パネル410を収納する操作パネル収納凹部106a(
図4参照)と、が設けられている。操作パネル収納凹部106aの詳細については後述する。
【0073】
塩投入口109は、上パネル部106における一端側(胴部102の側面108bに対応する側)に配置されている。塩投入口109は、胴部102の筐体開口部102aと連通する。この塩投入口109を介して、原水W1に溶解させる塩が塩載置部42(
図1参照)に投入される。
【0074】
操作パネル410は、制御部5に装置の操作情報等を入力するものであり、上パネル部106における他端側(胴部102の側面108aに対応する側)に配置されている。操作パネル410の詳細については後述する。
【0075】
トップパネル部107は、上パネル部106の上面を覆うように、上パネル部106の上部に配置される。トップパネル部107は、平面視で上パネル部106の形状とほぼ同一の形状を有している。トップパネル部107は、上パネル部106の塩投入口109(筐体開口部102a)及び操作パネル410を露出させたり、覆ったりすることができるように構成される。詳細には、トップパネル部107は、
図2及び
図3に示すように、第1蓋片107a及び第2蓋片107bを有する。
【0076】
第1蓋片107a及び第2蓋片107bは、胴部102の水平断面形状における実質的な中心線(平面視で胴部102の短手方向に平行な中心線)が位置する分割線SLにおいて、トップパネル部107を2分割して形成されたものである。つまり、第1蓋片107a及び第2蓋片107bは、ほぼ同一の長方形状となっている。ここで、胴部102の水平断面形状における「実質的な中心線」とは、胴部102の水平断面形状における中心線、及びこの中心線とほぼみなすことができる中心線のことをいう。
【0077】
第1蓋片107aは、上パネル部106の塩投入口109(筐体開口部102a)を覆うように配置される。第1蓋片107aは、その分割線SL側の一端において、ヒンジ400を介して上パネル部106に回動自在に連結される。第1蓋片107aは、
図2及び
図3において想像線で示すように、ヒンジ400を中心に回動することにより塩投入口109(筐体開口部102a)を開閉する。
【0078】
第2蓋片107bは、上パネル部106の操作パネル410を覆うように配置される。第2蓋片107bは、その分割線SL側の一端において、ヒンジ400を介して上パネル部106に回動自在に連結される。第2蓋片107bは、
図2及び
図3において想像線で示すように、ヒンジ400を中心に回動することにより上パネル部106に対して開閉する。
【0079】
次に、第1原水導入部110、第2原水導入部111、軟水導出部112及び排水部113について
図2を参照しながら説明する。
図2に示すように、第1原水導入部110は、胴部102における一方側の側面108aの下部に設けられ、かつ、筐体100の内部において原水ラインL1(
図1参照)を形成する配管(図示せず)の上流側の端部に配置される。第1原水導入部110は、筐体100の外部において原水ラインL1を形成する配管(図示せず)と接続可能に構成される。
【0080】
第2原水導入部111は、胴部102における一方側の側面108aの下部に設けられ、かつ、筐体100の内部において第1補水ラインL7(
図1参照)を形成する配管(図示せず)の上流側の端部に配置される。第2原水導入部111は、筐体100の外部において第1補水ラインL7を形成する配管(図示せず)と接続可能に構成される。
【0081】
軟水導出部112は、胴部102における一方側の側面108aの下部に設けられ、かつ、筐体100の内部において軟水ラインL2(
図1参照)を形成する配管(図示せず)の下流側の端部に配置される。軟水導出部112は、筐体100の外部において軟水ラインL2を形成する配管(図示せず)と接続可能に構成される。
【0082】
排水部113は、胴部102における一方側の側面108aの下部に設けられ、かつ、筐体100の内部において排水ラインL5(
図1参照)を形成する配管(図示せず)の下流側の端部に配置される。排水部113は、筐体100の外部において排水ラインL5を形成する配管(図示せず)と接続可能に構成される。
【0083】
このように、第1原水導入部110、第2原水導入部111、軟水導出部112及び排水部113は、
図2に示すように、胴部102における一方側の側面108aの下部に集約して配置される。
【0084】
次に、操作パネル410の詳細について
図4を参照しながら説明する。
図4(a)及び
図4(b)に示すように、操作パネル410は、上パネル部106の操作パネル収納凹部106aに配置される。操作パネル収納凹部106aは、上パネル部106の上面に円形状に開口されている。操作パネル収納凹部106aは、上パネル部106における他端側(胴部102の側面108aに対応する側)に配置されている。
【0085】
操作パネル410は、パネル本体部411と、操作ボタン部412と、表示部413と、回転軸415と、を備える。
パネル本体部411は、操作パネル410の本体をなし、円板状に構成される。パネル本体部411の裏面の中心には、回転軸415が設けられる。この回転軸415は、上パネル部106に回転自在に支持される。
【0086】
操作ボタン部412は、装置の操作情報等を制御部5に入力する部分である。ここで、「操作情報」とは、操作ボタン部412に表示されている情報(例えば、「表示」、「時」、「分」、「再生」等の文字)、及び表示部413に表示される情報(例えば、現在時刻、再生時刻、再生中の各工程、故障診断、再生日までの残り日数等の表示情報)等をいう。
表示部413は、例えば、液晶表示装置から構成され、操作ボタン部412により入力される設定項目、再生中の工程、故障診断等の情報を表示する。
【0087】
このように構成される操作パネル410は、制御部5と電気的に接続されている(
図1参照)。また、操作パネル410は、上パネル部106に対して回転自在に設けられている。そのため、操作パネル410の操作ボタン部412及び表示部413の方向を、上パネル部106(第1使用時正面103及び第2使用時正面104)に対して変更することができる。
【0088】
次に、制御部5(
図1参照)について説明する。制御部5は、水処理プロセスST1〜リンス・プロセスST5を順に切り換えるように、プロセス制御バルブ3を制御する。制御部5は、図示しないメモリと、演算部としてのCPUと、を備える。
【0089】
メモリは、後述する水処理プロセスST1、呼び水プロセスST2、再生プロセスST3、押出プロセスST4、及びリンス・プロセスST5の各プロセスの処理手順に関するデータ等を記憶する。
【0090】
CPUは、原水用フロースイッチ321から出力された検出信号(原水ラインL1を所定量の原水W1が流通したことを検知したときに出力される信号)や操作パネル410から入力された各種の情報等に基づいて、硬水軟化装置1で実行すべき処理を設定する。そして、CPUは、メモリに記憶された各プロセスの処理手順に関するデータに基づいて、所定の弁開閉信号をプロセス制御バルブ3に出力する。
【0091】
なお、プロセス制御バルブ3を構成する各弁311〜315の開閉は、弁駆動回路(図示せず)により制御される。弁駆動回路は、CPUにより出力された弁開閉信号に基づいて、原水通水弁311、軟水通水弁313、バイパス弁312、塩水弁314、及び再生排水弁315における弁の開閉を制御する。以下の説明において、弁を開くことを「開状態」といい、弁を閉じることを「閉状態」という。
【0092】
上記構成のように構成された硬水軟化装置1において、制御部5は、プロセス制御バルブ3の流路を切り換えることにより、
図5に示す以下のプロセスST1〜ST5を順次実施する。
(ST1)原水W1をイオン交換樹脂床211に対して下から上へ通過させる水処理プロセス(水軟化プロセス)
(ST2)原水W1を排水ラインL5から強制排水して、排水ラインL5の内部に滞留しているエアを排出する(エア抜きする)と共に、排水ラインL5に溜まったゴミ等を除去することにより、再生不良を防止する呼び水プロセス
(ST3)再生液としての塩水W4をイオン交換樹脂床211に対して上から下へ通過させる再生プロセス
(ST4)押出水としての原水W1をイオン交換樹脂床211に対して上から下へ通過させる押出プロセス
(ST5)濯ぎ水としての原水W1をイオン交換樹脂床211に対して上から下へ通過させるリンス・プロセス
【0093】
プロセス制御バルブ3における各弁311〜315の開閉は、
図6に示すように、プロセスST1〜ST5毎に、制御部5により制御される。その結果、圧力タンク2の内部は、プロセスST1〜ST5毎に、流体の流れが生成される状態か、或いは、流体の流れが生成されない状態となる。
【0094】
次に、本実施形態における硬水軟化装置1の運転方法(動作)について詳細に説明する。なお、水処理プロセスST1を除く各プロセスST2〜ST5においては、バイパス弁312が開状態となっている。そのため、原水ラインL1の接続部J11よりも下流側を流通する過剰な原水W1は、接続部J12からバイパスラインL6へ流通し、接続部J22及び軟水ラインL2を介して、軟水W2の需要箇所へ一時的に供給される。
【0095】
〔水処理プロセスST1〕
制御部5からの指令信号により、プロセス制御バルブ3の各弁311〜315は、
図6のST1に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1を流れる水道水、地下水、工業用水等の原水W1は、原水ラインL1を介して、圧力タンク本体21の内部に供給され、底部スクリーン242から配水される。底部スクリーン242から配水された原水W1は、イオン交換樹脂床211を上昇流で通過する。その過程において、原水W1の硬度成分は、ナトリウムイオン(又は、カリウムイオン)へ置換され、原水W1は軟水化される。
【0096】
イオン交換樹脂床211を通過した処理水(軟水W2)は、圧力タンク2の頂部で頂部スクリーン241へ集水される。その後、軟水W2は、軟水ラインL2を介して、軟水W2の需要箇所へ供給される。そして、所定量の軟水W2を採取することにより、イオン交換樹脂床211が硬度成分を置換できなくなると、制御部5は、呼び水プロセスST2以降のプロセスを実施する。
【0097】
〔呼び水プロセスST2〕
制御部5からの指令信号により、プロセス制御バルブ3の各弁311〜315は、
図6のST2に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1を流れる原水W1は、原水ラインL1から接続部J12及びJ13を経て排水ラインL5を流通し、排水W5として排水ラインL5の開放末端部から系外に排出される。
【0098】
〔再生プロセスST3〕
制御部5からの指令信号により、プロセス制御バルブ3の各弁311〜315は、
図6のST3に示す開閉状態に設定される。その結果、塩水タンク4の内部に貯留された塩水W4は、塩水タンク4の液面と排水ラインL5の開放末端部との水頭圧差により、塩水ラインL4を介して流下する。同時に、原水タンク6の内部に貯留された原水W1は、原水タンク6の液面と排水ラインL5の開放末端部との水頭圧差により、希釈水ラインL3を介して流下する。各ラインを流下した塩水W4と原水W1とは、塩水ラインL4の接続部J4で混合され、所定濃度(約10重量%)の塩水W4となる。この塩水W4は、塩水ラインL4を介して、圧力タンク2の頂部に配置された頂部スクリーン241から配液され、圧力タンク本体21の内部を下降流で通過する。その過程において、塩水W4は、イオン交換樹脂床211を再生する。使用済みの塩水W4は、圧力タンク2の底部に配置された底部スクリーン242で集液され、排水ラインL5を介して系外に排水される。この再生プロセスST3は、所定時間実行され、所定量の塩水W4を供給することにより完了する。
【0099】
〔押出プロセスST4〕
制御部5からの指令信号により、プロセス制御バルブ3の各弁311〜315は、
図6のST4に示す開閉状態に設定される。その結果、塩水W4が塩水ラインL4を介して流下しなくなり、原水タンク6の内部に貯留された原水W1のみが希釈水ラインL3及び塩水ラインL4を介して流下する。流下した原水W1は、圧力タンク2の頂部に配置された頂部スクリーン241から配水され、圧力タンク本体21の内部を下降流で通過する。その過程において、原水W1は、先行して供給された塩水W4を押し出しながら、引き続き、イオン交換樹脂床211を再生する。使用済みの塩水W4及び原水W1は、圧力タンク2の底部に配置された底部スクリーン242で集水され、排水ラインL5を介して系外に排水される。この押出プロセスST4は、所定時間実行され、所定量の原水W1を供給して塩水W4を押し出すことにより完了する。
【0100】
〔リンス・プロセスST5〕
制御部5からの指令信号により、プロセス制御バルブ3の各弁311〜315は、
図6のST5に示す開閉状態に設定される。その結果、軟水通水弁313及びバイパス弁312が開状態になり、原水ラインL1には、原水供給源から原水W1が圧送される。この原水W1は、原水ラインL1、接続部J12、バイパスラインL6、接続部J22、軟水ラインL2を介して、圧力タンク2へ流通する。そして、原水W1は、圧力タンク2の頂部に配置された頂部スクリーン241から配水され、圧力タンク本体21の内部を下降流で通過する。その過程において、原水W1は、イオン交換樹脂床211の内部に残留する塩水W4を洗い流しながら、イオン交換樹脂床211をリンスする。使用済みの原水W1は、圧力タンク2の底部に配置された底部スクリーン242で集水され、排水ラインL5を介して系外に排水される。このリンス・プロセスST5は、原水用フロースイッチ321及び/又は排水用フロースイッチ418による水流有りの積算検知時間が所定時間に達するまで実行され、所定量の原水W1を供給することにより完了する。
【0101】
また、リンス・プロセスST5において、原水供給源から圧送された原水W1の一部は、原水ラインL1、接続部J14、及び第2補水ラインL8を介して、塩水タンク4へ供給される。これにより、次回の再生プロセスST3で使用する塩水W4が調製される。
【0102】
このように、リンス・プロセスST5においては、外部の原水供給源から圧送された原水W1が圧力タンク2へ流通する。従って、圧力タンク2への単位時間当たりの原水供給量は、押出プロセスST4の場合よりも大きくなる。このため、イオン交換樹脂床211の内部に残留する塩水W4は、速やかに洗い流される。制御部5は、リンス・プロセスST5が終了すると、プロセス制御バルブ3を水処理プロセスST1の状態に復帰させる。
【0103】
なお、呼び水プロセスST2〜リンス・プロセスST5においては、バイパス弁312が開状態となっている。このため、ユーザが軟水W2の需要箇所で蛇口等を開くと、バイパスラインL6を介して原水W1が供給される。このように、本実施形態の硬水軟化装置1では、一連の再生作動の実行時において、ユーザに原水W1を供給することができる(原水供給状態)。
【0104】
以上のように構成された硬水軟化装置1は、据付場所への設置時に、装置使用時の正面として、第1使用時正面103又は第2使用時正面104のいずれかが選択される。また、硬水軟化装置1の第1原水導入部110、軟水導出部112及び排水部113は、外部配管(図示せず)と接続される。そして、装置使用時の正面として第1使用時正面103が選択された場合には、
図2に示すように、硬水軟化装置1の操作パネル410は、その操作ボタン部412が第1使用時正面103側を向くように、回転軸415を中心に回転されて位置決めされる。一方、装置使用時の正面として第2使用時正面104が選択された場合には、
図3に示すように、硬水軟化装置1の操作パネル410は、その操作ボタン部412が第2使用時正面104側を向くように、回転軸415を中心に回転されて位置決めされる。
【0105】
上述した第1実施形態の硬水軟化装置1によれば、例えば、以下のような各効果が奏される。
本実施形態の硬水軟化装置1は、筐体開口部102aを有する胴部102と、筐体開口部102aを開閉可能な蓋部材105と、圧力タンク2と、塩水タンク4と、胴部102の外部から原水W1を導入する第1原水導入部110と、胴部102の外部へ軟水W2を導出する軟水導出部112と、胴部102の外部に、圧力タンク2及び塩水タンク4から排出される排水W5を排出する排水部113と、を備え、胴部102は、その側部に、使用時に正面となり得る第1使用時正面103及び第2使用時正面104を有する。そのため、ユーザは、外部配管(図示せず)との取り合い方向に応じて、装置使用時の正面として、第1使用時正面103又は第2使用時正面104のいずれかを選択して装置を設置することができ、設置の際の自由度を高めることができる。
【0106】
また、本実施形態の硬水軟化装置1においては、第1原水導入部110、軟水導出部112及び排水部113は、胴部102の一方側の側面108aにおける下部に集約して配置される。そのため、硬水軟化装置1の側面108aの下部に向けて外部配管(図示せず)を集約して配置することができ、第1原水導入部110、軟水導出部112及び排水部113装置と外部配管とを容易に接続することができる。
【0107】
また、本実施形態の硬水軟化装置1においては、蓋部材105は、胴部102の水平断面形状における実質的な中心線が位置する分割線SLにおいて分割された第1蓋片107a及び第2蓋片107bを有し、第1蓋片107aは、分割線SLの位置に配置されるヒンジ400を中心に回動することにより塩投入口109(筐体開口部102a)を開閉する。また、第2蓋片107bは、ヒンジ400を中心に回動することにより上パネル部106に対して開閉する。
【0108】
そのため、ユーザは、装置使用時の正面として、第1使用時正面103又は第2使用時正面104のいずれを選択しても、第1蓋片107a及び第2蓋片107bを上パネル部106に対して容易に開閉することができる。従って、ユーザは、装置の設置方向に関わらず、塩投入口109及び操作パネル410に対して容易にアクセスすることができる。
【0109】
また、本実施形態の硬水軟化装置1は、装置の操作情報が表示される操作パネル410を更に備え、この操作パネル410は、操作情報の表示方向を筐体100に対して回転可能に構成される。そのため、筐体100の設置方向に応じて操作パネル410を回転させることにより、操作パネル410における操作情報(操作ボタン部412の表示及び表示部413に表示される情報)の表示方向を、第1使用時正面103又は第2使用時正面104に容易に対応させることができる。
【0110】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。他の実施形態については、主として、第1実施形態とは異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。他の実施形態において特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用又は援用される。
【0111】
〔第2実施形態〕
次に、本発明のイオン交換装置の第2実施形態の硬水軟化装置1Aについて、
図7を参照しながら説明する。
図7(a)は、本発明のイオン交換装置の第2実施形態の硬水軟化装置1Aを模式的に示す平面図である。
図7(b)は、硬水軟化装置1Aを第1使用時正面103側から視た正面図である。
【0112】
第2実施形態の硬水軟化装置1Aは、第1実施形態の硬水軟化装置1に対して、蓋部材105(トップパネル部107)の構成が異なる。第2実施形態の硬水軟化装置1Aにおいては、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、蓋部材105は、蓋片としての第1蓋片107a、第2蓋片107b及び第3蓋片107cを有する。第1蓋片107a、第2蓋片107b及び第3蓋片107cは、胴部102の水平断面形状における実質的な中心線が位置する分割線SL(
図7(a)参照)から実質的に等距離に位置する分割線、すなわち第1分割線EL1及び第2分割線EL2において分割されたものである。ここで、分割線SLから「実質的に等距離に位置する分割線」とは、分割線SLから等距離に位置する分割線、及び分割線SLからほぼ等距離に位置するとみなすことができる分割線のことをいう。
【0113】
第1蓋片107aは、上パネル部106の塩投入口109(筐体開口部102a)を覆うように配置される。第1蓋片107aは、その第1分割線EL1側の一端において、第1ヒンジ401を介して第3蓋片107cに回動自在に連結される。第1蓋片107aは、
図7(b)において想像線で示すように、第1ヒンジ401(第1分割線EL1)を中心に回動することにより塩投入口109(筐体開口部102a)を開閉する。
【0114】
第2蓋片107bは、上パネル部106の操作パネル410を覆うように配置される。第2蓋片107bは、その第2分割線EL2側の一端において、第2ヒンジ402を介して第3蓋片107cに回動自在に連結される。第2蓋片107bは、
図7(b)において想像線で示すように、第2ヒンジ402(第2分割線EL2)を中心に回動することにより上パネル部106に対して開閉する。
【0115】
第3蓋片107cは、第1蓋片107aと第2蓋片107bとの間に配置され、かつ、上パネル部106に固定されている。
その他の構成及び装置の基本動作は、前記第1実施形態の場合と同様であるので、重複説明を省略する。
【0116】
上述した第2実施形態の硬水軟化装置1Aによれば、前記第1実施形態の場合と同様の効果が奏されるほか、例えば、以下の効果が奏される。
本実施形態の硬水軟化装置1Aにおいては、蓋部材105は、第1分割線EL1及び第2分割線EL2において分割された第1蓋片107a、第2蓋片107b及び第3蓋片107cを有し、第1蓋片107aは、第1ヒンジ401を中心に回動することにより塩投入口109(筐体開口部102a)を開閉する。また、第2蓋片107bは、第2ヒンジ402を中心に回動することにより上パネル部106に対して開閉する。
【0117】
そのため、第1蓋片107a及び第2蓋片107bを、第1ヒンジ401及び第2ヒンジ402を中心に回動させることによって、塩投入口109(筐体開口部102a)及び操作パネル410を容易に露出させたり、覆ったりすることができる。
【0118】
〔第3実施形態〕
次に、本発明のイオン交換装置の第3実施形態の硬水軟化装置1Bについて、
図8を参照しながら説明する。
図8(a)は、本発明のイオン交換装置の第3実施形態の硬水軟化装置1Bを模式的に示す平面図であり、第2蓋片107bが閉じた状態を示している。
図8(b)は、第2蓋片107bが開いた状態を示している。
【0119】
第3実施形態の硬水軟化装置1Bは、第1実施形態の硬水軟化装置1に対して、蓋部材105(トップパネル部107及び上パネル部106)の構成が異なる。第3実施形態の硬水軟化装置1Bにおいては、
図8(a)及び
図8(b)に示すように、蓋部材105と、上パネル部106に設けられた一対のスライドレール405,405と、を備える。また、上パネル部106において、塩投入口109及び操作パネル410は、上パネル部106における他端側(胴部102の側面108aに対応する側)に配置されている。
【0120】
蓋部材105は、分割線SLにおいて、トップパネル部107を2分割して形成された蓋片としての第1蓋片107a及び第2蓋片107bを有する。第1蓋片107aは、上パネル部106の上面における一端側(胴部102の側面108bに対応する側)に固定される。第1蓋片107aは、その裏面側(上パネル部106側)に引き込み空間404を有する。引き込み空間404は、分割線SL側に開口され、第2蓋片107bを引き込み可能に形成される。第1蓋片107aは、第2蓋片107bを引き込み可能な引き込み部として機能する。第2蓋片107bは、上パネル部106において、塩投入口109及び操作パネル410を覆うように配置される。
【0121】
一対のスライドレール405,405は、上パネル部106において、第1使用時正面103側の端部及び第2使用時正面104側の端部に設けられている。一対のスライドレール405,405は、第2蓋片107bをスライド自在に支持する。
【0122】
図8(b)に示すように、第2蓋片107bは、一対のスライドレール405,405上で分割線SL側にスライドすることにより、引き込み空間404に収納される。これにより、上パネル部106の塩投入口109及び操作パネル410が露出する。
【0123】
その他の構成及び装置の基本動作は、前記第1実施形態の場合と同様であるので、重複説明を省略する。
【0124】
上述した第3実施形態の硬水軟化装置1Bによれば、前記第1実施形態の場合と同様の効果が奏されるほか、例えば、以下のような効果が奏される。
本実施形態の硬水軟化装置1Bにおいては、蓋部材105は、分割線SLにおいて分割された第1蓋片107a及び第2蓋片107bを有する。第2蓋片107bは、引き込み空間404を有する引き込み部としての第1蓋片107aに対してスライドして進退する。そのため、第2蓋片107bを第1蓋片107aに対してスライドさせることによって、塩投入口109(筐体開口部102a)及び操作パネル410を容易に露出させたり、覆ったりすることができる。
【0125】
〔第4実施形態〕
次に、本発明のイオン交換装置の第4実施形態の硬水軟化装置1Cについて、
図9を参照しながら説明する。
図9(a)は、本発明のイオン交換装置の第4実施形態の硬水軟化装置1Cを模式的に示す平面図であり、第1蓋片107a及び第2蓋片107bが閉じた状態を示している。
図9(b)は、第1蓋片107aが開き、かつ、第2蓋片107bが閉じた状態を示している。
図9(c)は、第1蓋片107aが閉じ、かつ、第2蓋片107bが開いた状態を示している。
【0126】
第4実施形態の硬水軟化装置1Cは、第1実施形態の硬水軟化装置1に対して、蓋部材105(トップパネル部107)の構成が異なる。第4実施形態の硬水軟化装置1Cにおいては、
図9(a)、
図9(b)及び
図9(c)に示すように、蓋部材105と、上パネル部106に設けられた一対のスライドレール405,405と、を備える。蓋部材105は、蓋片としての第1蓋片107a、第2蓋片107b及び第3蓋片107cを有する。第1蓋片107a、第2蓋片107b及び第3蓋片107cは、分割線SLから実質的に等距離に位置する第1分割線EL1及び第2分割線EL2において分割されたものである。
【0127】
第1蓋片107aは、上パネル部106において、塩投入口109(筐体開口部102a)を覆うように配置される。第2蓋片107bは、上パネル部106において、操作パネル410を覆うように配置される。第3蓋片107cは、上パネル部106において、第1蓋片107aと第2蓋片107bとの間に配置され、かつ、上パネル部106に固定されている。第3蓋片107cは、その裏面側(上パネル部106側)に引き込み空間406を有する。
引き込み空間406は、第1分割線EL1の位置及び第2分割線EL2の位置において開口され、第1蓋片107a及び第2蓋片107bが引き込み可能に形成される。第3蓋片107cは、第1蓋片107a及び第2蓋片107bが引き込み可能な引き込み部として機能する。
【0128】
一対のスライドレール405,405は、上パネル部106における第1使用時正面103側の端部及び第2使用時正面104側の端部に設けられる。一対のスライドレール405,405は、引き込み空間406の内部にも設けられる。一対のスライドレール405,405は、第1蓋片107a及び第2蓋片107bをスライド自在に支持する。
【0129】
図9(b)に示すように、第1蓋片107aは、一対のスライドレール405,405上で第3蓋片107c側にスライドすることにより、引き込み空間406に収納される。これにより、上パネル部106の塩投入口109が露出する。
また、
図9(c)に示すように、第2蓋片107bは、一対のスライドレール405,405上で第3蓋片107c側にスライドすることにより、引き込み空間406に収納される。これにより、上パネル部106の操作パネル410が露出する。
【0130】
その他の構成及び装置の基本動作は、前記第3実施形態の場合と同様であるので、重複説明を省略する。
【0131】
上述した第4実施形態の硬水軟化装置1Cによれば、前記第3実施形態の場合と同様の効果が奏されるほか、例えば、以下のような効果が奏される。
本実施形態の硬水軟化装置1Cにおいては、蓋部材105は、分割線SLから実質的に等距離に位置する第1分割線EL1及び第2分割線EL2において分割された第1蓋片107a、第2蓋片107b及び第3蓋片107cを有し、第1蓋片107a及び第2蓋片107bは、引き込み空間406を有する第3蓋片107cに対してスライドして進退する。そのため、第1蓋片107a及び第2蓋片107bを第3蓋片107cに対してスライドさせることによって、塩投入口109(筐体開口部102a)及び操作パネル410を容易に露出させたり、覆ったりすることができる。
【0132】
〔第5実施形態〕
次に、本発明のイオン交換装置の第5実施形態の硬水軟化装置1Dについて、
図10を参照しながら説明する。
図10(a)は、本発明のイオン交換装置の第5実施形態の硬水軟化装置1Dを模式的に示す平面図である。
図10(b)は、硬水軟化装置1Dを示す側面図であり、トップパネル部107が第1回動中心CL1を中心に回動して開いた状態を想像線で示している。
図10(c)は、硬水軟化装置1Dを示す側面図であり、トップパネル部107が第2回動中心CL2を中心に回動して開いた状態を想像線で示している。
【0133】
第5実施形態の硬水軟化装置1Dは、第1実施形態の硬水軟化装置1に対して、蓋部材105(トップパネル部107及び上パネル部106)の構成が異なる。
第5実施形態の硬水軟化装置1Dにおいては、
図10(a)、
図10(b)及び
図10(c)に示すように、トップパネル部107は、筐体開口部102aの周辺部における対向する一端側(第2使用時正面104側)及び他端側(第1使用時正面103側)に、第1回動軸としての一対の第1回動軸部420,420及び第2回動軸としての一対の第2回動軸部422,422をそれぞれ備える。また、上パネル部106は、第1回動軸部420,420を回動自在に支持する一対の第1軸受け凹部421,421と、第2回動軸部422,422を回動自在に支持する一対の第2軸受け凹部423,423と、を備える。
【0134】
第1回動軸部420及び第1軸受け凹部421の回動中心は、第1回動中心CL1を形成する。第2回動軸部422及び第2軸受け凹部423の回動中心は、第2回動中心CL2を形成する。トップパネル部107は、第1回動中心CL1を中心にする回動と、第2回動中心CL2を中心にする回動と、を切り換え可能に構成される。
【0135】
トップパネル部107をこのように開閉させるための手段として、例えば、蓋体を開閉自在に支持して両開き可能とする、実開平6−31554号公報に開示された技術(両開き蓋装置)を用いることができる。
詳細な図示を省略するが、第1回動軸部420及び第2回動軸部422は、トップパネル部107の両側部から外側(
図10(a)の上パネル部106側)に向けて突出するように付勢される球状の部材である。第1回動軸部420及び第2回動軸部422は、トップパネル部107の両側部から出没自在に構成される。第1軸受け凹部421及び第2軸受け凹部423は、第1回動軸部420及び第2回動軸部422と係合可能な凹状に構成される。
【0136】
次に、トップパネル部107の開閉動作について説明する。
図10(b)に示すように、硬水軟化装置1Dの使用時正面を第1使用時正面103とする場合には、トップパネル部107は、第1回動中心CL1を中心に回動する。つまり、トップパネル部107は、一対の第1回動軸部420,420と一対の第1軸受け凹部421,421とが係合し、かつ、一対の第2回動軸部422,422と一対の第2軸受け凹部423,423との係合が解除された状態で、第1回動中心CL1を中心に回動する。これにより、トップパネル部107は、上パネル部106の塩投入口109(筐体開口部102a)及び操作パネル410を露出させたり、覆ったりすることができる。
【0137】
また、
図10(c)に示すように、硬水軟化装置1Dの使用時正面を第2使用時正面104とする場合には、トップパネル部107は、第2回動中心CL2を中心に回動する。つまり、トップパネル部107は、一対の第2回動軸部422,422と一対の第2軸受け凹部423,423とが係合し、かつ、一対の第1回動軸部420,420と一対の第1軸受け凹部421,421の係合が解除された状態で、第2回動中心CL2を中心に回動する。これにより、トップパネル部107は、上パネル部106の塩投入口109(筐体開口部102a)及び操作パネル410を露出させたり、覆ったりすることができる。
【0138】
その他の構成及び装置の基本動作は、前記第1実施形態の場合と同様であるので、重複説明を省略する。
【0139】
上述した第5実施形態の硬水軟化装置1Dによれば、前記第1実施形態の場合と同様の効果が奏されるほか、例えば、以下のような効果が奏される。
本実施形態の硬水軟化装置1Dにおいては、トップパネル部107は、筐体開口部102aの周辺部における対向する一端側(第2使用時正面104側)及び他端側(第1使用時正面103側)に、一対の第1回動軸部420,420及び一対の第2回動軸部422,422をそれぞれ備え、第1回動中心CL1を中心にする回動と、第2回動中心CL2を中心にする回動とを、切り換え可能に構成される。
【0140】
そのため、選択された第1使用時正面103又は第2使用時正面104に応じて、第1回動中心CL1又は第2回動中心CL2を回動中心として選択し、トップパネル部107を開閉することができる。従って、第5実施形態の硬水軟化装置1Dによれば、塩投入口109(筐体開口部102a)及び操作パネル410を容易に露出させたり、覆ったりすることができる。
【0141】
〔第6実施形態〕
次に、本発明のイオン交換装置の第6実施形態の硬水軟化装置1Eについて、
図11を参照しながら説明する。
図11(a)は、本発明のイオン交換装置の第6実施形態の硬水軟化装置1Eを模式的に示す平面図である。
図11(b)は、硬水軟化装置1Eを第1使用時正面103側から視た正面図であり、トップパネル部107が第1引き込み部407側に引き込まれて開いている状態を示している。
図11(c)は、硬水軟化装置1Eを第1使用時正面103側から視た正面図であり、トップパネル部107が第2引き込み部408側に引き込まれて開いている状態を示している。
【0142】
第6実施形態の硬水軟化装置1Eは、第1実施形態の硬水軟化装置1に対して、蓋部材105(トップパネル部107及び上パネル部106)及び胴部102の構成が異なる。
第6実施形態の硬水軟化装置1Eにおいては、
図11(a)、
図11(b)及び
図11(c)に示すように、上パネル部106の上面を被覆可能なトップパネル部107と、胴部102の両側面108b,108aに設けられる一対の引き込み部407,408と、を更に備える。
【0143】
トップパネル部107は、屈曲性を有する矩形板状に形成される。引き込み部407は、胴部102の一方の側面108bに設けられる。引き込み部408は、胴部102の他方の側面108aに設けられる。引き込み部407,408は、トップパネル部107の全部を引き込み可能な引き込み空間407a,408aを有する。引き込み空間407a,408aは、上方が開口されている。
このように構成された引き込み空間407a,408aに対して、トップパネル部107は、スライドして進退する。
【0144】
その他の構成及び装置の基本動作は、前記第1実施形態の場合と同様であるので、重複説明を省略する。
【0145】
上述した第6実施形態の硬水軟化装置1Eによれば、前記第1実施形態の場合と同様の効果が奏されるほか、例えば、以下のような効果が奏される。
本実施形態の硬水軟化装置1Eにおいては、トップパネル部107の全部又は一部を引き込み可能な引き込み空間407a,408aを有する引き込み部407,408を更に備え、トップパネル部107は、引き込み空間407a,408aに対してスライドして進退する。そのため、トップパネル部107を引き込み空間407a,408aに対してスライドして進退することによって、上パネル部106の塩投入口109(筐体開口部102a)及び操作パネル410を露出させたり、覆ったりすることができる。
【0146】
〔第7実施形態〕
次に、本発明のイオン交換装置の第7実施形態の硬水軟化装置1Fについて、
図12を参照しながら説明する。
図12(a)は、本発明のイオン交換装置の第7実施形態の硬水軟化装置1Fの操作パネル410Aの配置構造を示す部分平面図である。
図12(b)は、硬水軟化装置1Fの操作パネル410Aの配置構造を示す部分断面図である。
【0147】
第7実施形態の硬水軟化装置1Fは、第1実施形態の硬水軟化装置1に対して、操作パネル410A及び蓋部材105(上パネル部106)の構成が異なる。第7実施形態の硬水軟化装置1Fは、装置の操作情報(操作ボタン部412の表示及び表示部413に表示される情報)が表示される操作パネル410Aと、上パネル部106における操作パネル収納凹部106aの内周面に設けられた環状溝部106bと、を備える。
【0148】
本実施形態の操作パネル410Aは、
図12(a)及び
図12(b)に示すように、第1実施形態の操作パネル410に対して、回転軸415(
図4参照)を有していない点が異なる。また、本実施形態の上パネル部106は、第1実施形態の上パネル部106に対して、操作パネル収納凹部106aの内周面に環状溝部106bを有する点が異なる。環状溝部106bは、操作パネル410Aの外径よりも大きな内径を有し、操作パネル410Aを回転自在に支持するように構成されている。
【0149】
その他の構成及び装置の基本動作は、前記第1実施形態の場合と同様であるので、重複説明を省略する。
【0150】
上述した第7実施形態の硬水軟化装置1Fによれば、前記第1実施形態の場合と同様の効果が奏されるほか、例えば、以下のような効果が奏される。
本実施形態の硬水軟化装置1Fは、装置の操作情報が表示される操作パネル410Aと、操作パネル410Aの外周縁部を摺動自在に支持する環状溝部106bを備え、この操作パネル410Aは、操作情報の表示方向を上パネル部106の上面に対して回転可能に構成される。そのため、筐体100(
図2及び
図3参照)の設置方向に応じて操作パネル410Aを回転させることにより、操作パネル410Aにおける操作情報の表示方向を、第1使用時正面103又は第2使用時正面104(
図2及び
図3参照)に容易に対応させることができる。
【0151】
〔第8実施形態〕
次に、本発明のイオン交換装置の第8実施形態の硬水軟化装置1Gについて、
図13を参照しながら説明する。
図13は、本発明のイオン交換装置の第8実施形態の硬水軟化装置1Gを示す部分平面図であり、詳細には、硬水軟化装置1Gにおける操作パネル410Bの配置構造を示す部分平面図である。
【0152】
第8実施形態の硬水軟化装置1Gは、第1実施形態の硬水軟化装置1に対して、操作パネル410Bの構成が異なる。第8実施形態の硬水軟化装置1Gは、装置の操作情報(操作ボタン部412の表示及び表示部413に表示される情報)が表示される操作パネル410Bと、ねじ430とを備える。
操作パネル410Bのパネル本体部411は、操作パネル410Bの本体をなし、矩形板状に構成される。ねじ430は、パネル本体部411の四隅に形成される貫通孔(図示せず)に挿通され、パネル本体部411を上パネル部106に固定する。つまり、操作パネル410Bは、ねじ430によって上パネル部106に着脱自在に固定される。
【0153】
その他の構成及び装置の基本動作は、前記第1実施形態の場合と同様であるので、重複説明を省略する。
【0154】
上述した第8実施形態の硬水軟化装置1Gによれば、前記第1実施形態の場合と同様の効果が奏されるほか、例えば、以下のような効果が奏される。
本実施形態の硬水軟化装置1Gは、装置の操作情報が表示される操作パネル410Bと、ねじ430とを備える。この操作パネル410Bは、ねじ430によって上パネル部106の上面に対して着脱自在に固定される。そのため、筐体100(
図2及び
図3参照)の設置方向に応じて操作パネル410Bの固定方向を変更することにより、操作パネル410Bにおける操作情報の表示方向を、第1使用時正面103又は第2使用時正面104(
図2及び
図3参照)に容易に対応させることができる。
【0155】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
前述の実施形態では、使用時に正面となり得る使用時正面として、2つの第1使用時正面103及び第2使用時正面104を有するものとして説明したが、これに制限されない。例えば、硬水軟化装置は、3つ以上の使用時正面を有してもよい。
【0156】
また、前述の実施形態では、硬水軟化装置1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1Gの筐体100は、平面視でほぼ長方形に形成されるものとして説明したが、これに制限されない。筐体100は、平面視でほぼ長方形以外の形状に形成されてもよい。長方形以外の形状としては、例えば、正方形、円形、楕円形、正六角形、正八角形、菱形、平行四辺形等を挙げることができる。
【0157】
また、前述の第1実施形態では、回動軸としてのヒンジ400を分割線SLの位置に配置するものとして説明したが(
図2参照)、これに制限されない。ヒンジ400を筐体開口部102aの周辺部(例えば、上パネル部106における側面108a,108b側)に配置してもよい。
【0158】
また、前述の第2実施形態では、回動軸としての第1ヒンジ401及び第2ヒンジ402を、第1分割線EL1及び第2分割線EL2の位置に配置するものとして説明したが(
図7参照)、これに制限されない。第1ヒンジ401及び第2ヒンジ402を筐体開口部102aの周辺部(例えば、
図2に示す上パネル部106における側面108a及び側面108b側)に配置してもよい。
【0159】
また、前述の第3実施形態では、第1蓋片107aは、第2蓋片107bが引き込み可能な引き込み部として機能するものとして説明したが(
図8参照)、これに制限されない。第2蓋片107bが、第1蓋片107aを引き込み可能な引き込み部として機能するように構成してもよい。この場合、第1蓋片107aは、上パネル部106において、塩投入口109及び操作パネル410を覆うように配置される。
【0160】
また、前述の第5実施形態では、トップパネル部107は、第2使用時正面104側及び第1使用時正面103側に、第1回動軸としての一対の第1回動軸部420,420及び第2回動軸としての一対の第2回動軸部422,422をそれぞれ備えるものとして説明したが(
図10参照)、これに制限されない。例えば、トップパネル部107は、上パネル部106における側面108a及び側面108b側に、一対の第1回動軸部420,420及び一対の第2回動軸部422,422をそれぞれ備えてもよい。
【0161】
また、前述の第6実施形態では、一対の引き込み部407,408を、胴部102の両側面108b,108aにそれぞれ備えるものとして説明したが(
図11参照)、これに制限されない。例えば、引き込み部407,408のうちのいずれか1つを、胴部102のいずれか一方の側面108b,108aに備えてもよい。
【0162】
また、前述の第6実施形態では、トップパネル部107は、屈曲性を有する矩形板状に形成されるものとして説明したが、これに制限されない。例えば、トップパネル部107は、屈曲性及び伸縮性を有する蛇腹板状に形成されてもよい。
【0163】
前述の実施形態では、本発明のイオン交換装置を硬水軟化装置に適用した例について説明したが、本発明の適用はこれに制限されない。例えば、硬水軟化装置におけるイオン交換樹脂のイオン交換樹脂を、陽イオン交換樹脂から陰イオン交換樹脂へ置換すれば、硝酸性窒素除去装置として使用することができる。