【実施例】
【0022】
図1は、本発明に係る車両用ドアミラー装置が搭載された自動車の要部斜視図である。自動車20のフロントドア21のドア外壁面21Aには車両用ドアミラー装置10が設けられている。この車両用ドアミラー装置10は、ドア外壁面21Aに保持板22を介して固定されたベース部材11と、ベース部材11に立設されたシャフト12と、このシャフト12周りに回動自在に支持されドアミラー本体(図示省略)が取り付けられたミラーハウジング13とを有している。
【0023】
図2は本発明に係る車両用ドアミラー装置の概略構成図であり、また
図3は
図2のSC−SC線に沿った断面図である。
図2に示すように、ベース部材11に立設されたシャフト12は、ミラーハウジング13のうち保持板22に近い側に設けられている。また、シャフト12には、
図3に示すように、ミラーハウジング13の略円筒状部分13Aが回動自在に嵌合されている。シャフト12周辺の詳細な構成については後述する。
【0024】
図4は、車両用ドアミラー装置10のうち、ベース部材11、シャフト12及びミラーハウジング13が各々組み付けられた部分の要部を断面で示した斜視図である。
図4に示すように、ベース部材11の上面には凹所11A(
図6、
図7及び
図8も参照)が形成され、その凹所11Aの上面中央部にシャフト12が立設されている。
【0025】
シャフト12は中空に作られており、全体が上部よりも下部の方が大きい略テーパ状を成している。シャフト12の下部には、L字型に曲げられて拡径された段付き部23が形成され、この段付き部23よりも下方に円筒状部分12Aが設けられている。円筒状部分12Aの下部には外周面が拡径された段付き部24が形成され、この段付き部24の下方に先端部12Bが設けられている。また、シャフト12の円筒状部分12Aには、
図5に示すように、段付き部24下方の先端部12Bの外周側に下部外周壁12Cが設けられ、この下部外周壁12Cと凹所11Aの内周壁11Bとの間に隙間S1が形成されている。なお、
図5において、Lはシャフト12の中心軸であり、凹所11Aの中心はシャフト12の中心軸Lに合致している。
【0026】
一方、シャフト12の外側には、前述したように、ミラーハウジング13がシャフト12を覆うように設けられている。ミラーハウジング13はシャフト12周りに回動自在に支持され、このミラーハウジング13にはドアミラー本体(図示省略)が設けられている。ミラーハウジング13は、
図4に示すように、シャフト12の周囲においては、シャフト12のテーパ状部分の周囲に位置し略円筒形状に形成された上部円筒状部分25と、シャフト12の円筒状部分12Aの周囲に位置する略円筒状部分13Aとを有し、上部円筒状部分25と略円筒状部分13Aとは段付き部26を介して繋がっている。また、略円筒状部分13Aの下端部は、ミラーハウジング13の底板27に繋がっている。
【0027】
ミラーハウジング13の略円筒状部分13Aには、シャフト12の段付き部24に合わせて、内周面が拡径された段付き部28が設けられ、この段付き部28の下方に下部内周壁13B(
図5参照)が形成されている。そして、略円筒状部分13Aの下端面(詳細には、略円筒状部分13Aのうち段付き部28よりも下方の部分の下端面)に突条14が設けられ、この突条14の先端部は、シャフト12の下部外周壁12Cとベース部材11の凹所11Aの内周壁11Bとの間の隙間S1内に位置している。
【0028】
突条14は、シャフト12の下部外周壁12Cに沿って円状に設けられている。また、
図5に示すように、突条14の内壁面14Aは、略円筒状部分13Aの下部内周壁13Bと面一に形成され、略円筒状部分13Aの上下方向の長さが増大されており、その結果、ミラーハウジング13が傾くのが防止されている。
【0029】
また、シャフト12には、
図4に示すように、その略テーパ状を成した部分の外側にコイルスプリング29が設けられている。このコイルスプリング29は、その下端部がミラーハウジング13の上部筒状部分25上のワッシャ37に、上端部がプッシュナット30にそれぞれ当接している。プッシュナット30は、コイルスプリング29を圧縮した状態でシャフト12に固定されており、ミラーハウジング13全体は、コイルスプリング29によって矢印B方向(下方向)に付勢されている。
【0030】
図6はベース部材11の平面図、
図7は
図6のSA−SA線に沿った断面図、
図8は
図6のSB−SB線に沿った断面図である。
【0031】
ベース部材11には、
図6に示すように、その上面に円形の凹所11Aが形成されている。凹所11Aには3箇所に支持穴31が形成され、これら支持穴31には、シャフト12の底面に形成された支持ピン32(
図4参照)が各々嵌合される。これにより、シャフト12をベース部材11に強固に固定することができる。
【0032】
また、凹所11Aには、直方体形状の凸部33,34が設けられている。凸部33は凸部34よりもサイズが大きく設定されている。一方、シャフト12の底面には、凸部33,34に合致するそれぞれサイズの異なる凹部(図示省略)が形成されており、シャフト12を凹所11Aに立設する際、凸部33は大きなサイズの凹部に、凸部34は小さなサイズの凹部にそれぞれ嵌合するよう構成されている。このように構成することにより、シャフト12が左右逆向き(車幅方向逆向き)に立設されるのを防ぐことができる。
【0033】
本実施例では、ベース部材11の凹所11Aに、隙間S1に連通する溝35が形成されている。溝35は凹所11Aの直径方向に設けられ、また溝35の中央部には排出穴36が上下方向に設けられている。そして、溝35は、凹所11Aの内周壁11B側が高く、排出穴36側が低い傾斜溝となっている。
【0034】
次に、本実施例の作用について説明する。
【0035】
シャフト12の下部外周壁12Cとベース部材11の凹所11Aの内周壁11Bとの間の隙間S1内の水は溝35を介して排出穴36へ排出される。このとき、溝35は傾斜溝となっているので、水をスムーズに排出穴36へ導いて外部へ排出することができる。その結果、隙間S1内に水が溜まることがなく、水の凍結によってミラーハウジング13が回動しなくなるといった不具合の発生を防止することが可能となる。
【0036】
なお、
図6において、円形の二点鎖線はシャフト12の下部外周壁12Cを示しており、この下部外周壁12Cと凹所11Aの内周壁11Bとの間の隙間S1内の水は、矢印Cのように溝35の上流側に集まり、さらに溝35内を矢印Dのように流れて排出穴36から外部へ排出される。
【0037】
また、ミラーハウジング13を格納した状態のときも、前記隙間S1に水が溜まることがないので、
図10で説明したような、水の凍結によりミラーハウジング13が下方の定位置に戻すことができなくなるといった事態も生じない。なお、
図10の場合、ミラーハウジング13は車両前方へ傾倒した状態となっている。
【0038】
以上、本発明の実施例を図面により詳述してきたが、上記実施例は本発明の例示にしか過ぎないものであり、本発明は上記実施例の構成にのみ限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、本発明に含まれることは勿論である。