(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
カラー液晶表示装置は、一般に、
図1の断面説明図に示すように、カラーフィルタ基板1とアレイ基板2との間に液晶3を封入して構成されるものである。カラーフィルタ基板1は、透明基板11を構造的支持体として備え、その画面観察者側には偏光膜12が積層されている。また、その反対側(背面側)は多数の画素領域に区分され、画素領域と画素領域の境界に位置する画素間部位には遮光膜13が設けられ、画素領域のそれぞれには透明着色層14が配置されている。透明着色層14は、画素ごとに透過光を着色するもので、一般に、光の三原色に相当する赤色(R),緑色(G),青色(B)の三色の透明着色層14を画素ごとに配列している。なお、前記遮光膜13は、これら各色に着色された透過光の混色を防止するものである。
【0003】
液晶表示装置は自発光型の表示装置ではないので、その表示には他からの光を必要とする。例えば、
図1に示すように、アレイ基板2の背面にバックライト4を配置し、後方からの偏光膜22を介した光によって表示を行っている装置がある。このような液晶表示装置は透過型液晶表示装置と称され、主に屋内のような暗い環境下で用いられる。しかし、屋外のような非常に明るい環境下では、その表示が見えにくいといった欠点がある。特に、バックライト4を付けることによって消費電力が大きくなり、バッテリー駆動時の連続使用時間に制限がある。モバイル用途では電池寿命が重要であり、この点においては消費電力の大部分を占めるバックライトのない反射型が有利となる。液晶表示装置の携帯性を生かすためには、バックライトを必要としない明るい反射型液晶表示装置が求められている。
【0004】
そこで、アレイ基板または対向基板のいずれかに反射層を設け、液晶表示装置を観視する際の周囲からの外光によって表示を行っている装置がある。例えば、特許文献1には、一方のガラス基板と絶縁膜との間に反射膜を備えた反射形液晶表示素子が開示されている。これらの反射型液晶表示装置においては、直射日光下でのカラー表示視認性の悪さが課題である。外光の利用効率を高めるには液晶層の光透過率を高めると共に、反射効率の高い反射板を使用する必要がある。
【0005】
また、直射日光下での視認性等の表示品質の向上および軽量化の為、ガラス基板上に成膜されたアルミニウム(Al)などの高反射率の金属膜を反射材として、Al膜上に直接カラーフィルタを形成することが試みられている。例えば、特許文献2には、水平方向に粒状の起伏を有し、垂直方向に所定の表面粗さを有する金属反射層を、一方の基板の液晶層側に備え、パターンニングされた金属反射層の上に着色樹脂を重ね合わせ、また、この金属反射層が液晶層に電界を印加する画素電極を兼ねる反射型液晶表示装置が開示されている。また、特許文献3には、メタルマスクやフォトマスク、フォトレジスト、フォリソ処理を行わずに金属反射板をパターン形成することを目的に、RGB着色層をエッチング工程でのエッチング保護膜として用いて、RGB層形成後にアルカリ溶液で、現像保護膜と金属膜を一括抜きして金属反射板をパターン形成する技術が開示されている。
【0006】
反射板の効率を高める関連技術として、例えば、特許文献4には、球体を支持体に均一
に分散した散乱層と反射層とで構成する散乱反射層とカラーフィルタとをSTN液晶素子に内在した反射型カラー液晶表示装置が開示されている。また、特許文献5には、TFT基板におけるアルミニウム薄膜からなる反射画素電極にアルミニウムより強度の高い表面保護層を形成して、配向膜焼成時の反射電極のヒロックの発生が防止され、ヒロック付近での液晶分子の配向乱れによる光抜けや、最大反射率の低下を防止して高い反射率特性を得た反射型液晶表示素子の製造方法が開示されている。また、特許文献6には、反射率を高くして明るさを確保するため、凹凸形状の反射層を有し、その反射層の表面キズの発生や異物の付着防止をする構成の反射型液晶表示装置が開示されている。
【0007】
ところで、一枚のガラス基板に多面付けでカラーフィルタを製造する場合、従来の製造方法においては、一般に、ガラス基板上に反射材としてAl膜のスパッタリング成膜を行い、公知のフォトリソ方式により感光性透明レジスト材料にて、一枚のガラス基板に多面付けされた画面に対応する所定のエッチング保護膜パターンを形成する。次いで、Al膜をエッチング処理して、その後、エッチング保護膜を剥離することで所定のAl膜のパターン形成を行う。その後、感光性透明レジスト材を用い、公知のフォトリソ法によりAl膜を被覆する所定の保護膜パターン形成を行う。次いで、従来通りの公知のフォトリソ処理、現像、焼成方法にてRGBの着色層を形成し、共通電極としてITOを成膜することでカラーフィルタが作製されている。このようにして得られたカラーフィルタ基板を対向基板としてアレイ基板であるTFT基板とを貼り合わせ、液晶注入して、各画面ごとに切断し駆動装置等と組み合わせることで反射型液晶表示装置(LCD)が構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記したように、反射材に用いる金属膜はAlの様な高い反射率を有する材質である。この為、金属膜成膜後の次工程にて感光性レジストを用いて保護膜を形成する際、レジスト塗布、溶剤乾燥工程、基板裏面洗浄、ホットプレート工程、露光工程に起因するムラ等が顕著に出現してしまう問題がある。通常、カラーフィルタ基板製造にて使用する材料の塗布ムラ評価を行う際は、クロム(Cr)ブランクス材など反射率の高い金属膜のベタ材を用いて評価を行うことが一般的である。そこで、通常の製品において支障のない軽微なレベルのムラであっても反射率の高い金属膜上では顕著に観察することができ、色ムラなどの表示品質の低下につながることになる。
【0010】
この対策として、感光性レジスト材料を塗布することの代替として、均一な皮膜形成が得られやすいCVD方式による窒化珪素(SiN)膜の成膜がある。しかし、既存の製造方法では、枚葉方式にて1枚のガラス基板上に多面付けの金属膜パターンを形成するにあ
たり、Al成膜後に感光性レジストを塗布し、フォトリソ法により所定形状のエッチング保護層を形成し、Al膜のエッチング処理を行い、その後エッチンク゛保護層を剥離し、所定形状のAl金属反射板の多面付けパターン形成を行い、最後にSiN等の保護膜の形成を行っていた。この為、Al膜のパターニング工程におけるエッチンク゛保護層の剥離時の薬液の暴露や、工程条件の少しのゆらぎなどで発生する腐食等により、Al膜の品質(反射率・表面荒れ・ムラ等)を確保することができない問題があった。
【0011】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、反射材である金属膜上における保護膜の塗布等によるムラを回避し、かつ、エッチング保護膜剥離工程における剥離液等の薬液による暴露を回避することで、安定した金属膜層の品質を確保し、枚葉方式の多面付け生産での金属膜の安定した品質を維持できる反射型液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法と、それによって得られるムラの発生しないカラーフィルタ基板を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1に係る発明は、基板上に複数の画面パターンが面付けされ
た反射型液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法であって
、その製造方法の順番が、(1)基板上全面に金属膜を成膜する、金属膜形成工程と、(2)前記金属膜上に無機保護膜を成膜する、無機保護膜形成工程と、(3)ドライエッチング耐性を有する感光性レジストを用いて、前記無機保護膜上に前記ドライエッチング耐性膜を前記複数の画面にパターン形成する、ドライエッチング耐性膜形成工程と、(4)前記無機保護膜の前記ドライエッチング耐性膜に被覆されていない部位をドライエッチング処理
にて除去することで、前記無機保護
膜にパターン形成を行う無機保護膜ドライエッチング工程と、(5)前記無機保護膜上の前記ドライエッチング耐性膜を剥離する、ドライエッチング耐性膜剥離工程と、(6)前記基板上の、前記無機保護膜の非被覆部である露出された前記金属膜をエッチング処理にて除去して前記複数の画面にパターン形成する、金属膜エッチング工程と(7)
前記(6)でパターン形成された前記基板上の全面に、感光性着色樹脂組成物を塗布・乾燥し、所定のマスクを介して露光し、現像し、焼成する着色画素のパターンニング形成を、所望する色数に従って繰り返す、着色層形成工程と、
であることを特徴とする反射型液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法である。
【0013】
また、本発
明は、前記ドライエッチング耐性膜形成工程(3)において、アレイ基板との貼り合せ用のアライメントマークおよびアクセサリーマーク等の形状で前記無機保護膜上に前記ドライエッチング耐性膜を同時にパターン形成し、その後、前記無機保護膜ドライエッチング工程(4)、前記ドライエッチング耐性膜剥離工程(5)、前記金属膜エッチング工程(6)を経由することで、前記無機保護膜と同寸同形の金属膜による前記アライメントマークおよび前記アクセサリーマーク等が形成され
る。
【0015】
次に、本発明の請求項
2に係る発明は請求項
1に記載した反射型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法によって得られることを特徴とする反射型液晶表示装置用カラーフィルタ基板である。
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、上記したように金属膜の成膜後、金属膜エッチング工程以前の工程にて無機保護膜が形成されている為、金属膜エッチング保護膜の形成、エッチング処理およびエッチング保護膜の剥離処理において、金属膜が剥離液等の薬液および周囲環境雰囲気に暴露されることがない。それに対して従来方法では、保護膜としての窒化珪素(SiN)膜の前工程にて、金属膜のエッチング処理およびエッチング保護膜の剥離処理を行っていた為、金属膜が剥離液等の薬液に暴露されることが回避できなかった。その結果、本発明により、従来問題となっていた、金属膜のパターニング工程におけるエッチンク゛保護層の剥離時の薬液の暴露や、工程条件の少しのゆらぎによる、金属膜の腐食による反射率の低下、表面荒れ・ムラ等に起因する明るさの低下や表示ムラの発生を解消することが可能となった。
【0017】
また、多面付け基板に必須のアライメントマークおよびアクセサリーマーク等といった精細なパーン形成が同時に形成可能であり、枚葉方式の多面付け量産対応において、安定した品質を確保することが可能となった。さらに、従来方法に比べ、金属膜上の無機保護膜が金属膜エッチング工程でのエッチング保護膜を兼ねる為、金属膜のエッチング工程において通常必要とされるエッチング保護膜工程(塗布・パターニング・剥離等)が削減できる利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明による反射型液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法を、その一実施形態に基づいて図を用いて説明する。以下の説明で使用する符号は背景技術で既に説明した透過型液晶表示装置用カラーフィルタ基板の従来技術と共通する部分については新たな番号を付与させることなく同一の番号を用いる。
【0020】
図2は、本発明による反射型液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法によって得られた反射型液晶表示装置用カラーフィルタ基板の一実施形態での構成を部分断面で示した模式図である。
図2に示すように、この反射型液晶表示装置用カラーフィルタ基板1は、基板11上に、金属膜18、無機保護膜17、透明着色層14、透明導電膜15が形成されたものである。このカラーフィルタ基板1を、
図3に示すように、対向基板として、アレイ基板であるTFT基板2とを一定の間隙で貼り合わせ、液晶3をその間隙注入することで、TFT基板2側から視認する反射型液晶表示装置が得られる。
【0021】
上記した本発明の反射型液晶表示装置用カラーフィルタ基板は、少なくとも以下の工程を経ることで得られる。
図4は、本発明の、反射型液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造法の一実施形態を部分断面で説明する模式図である。
【0022】
まず、
図4(a)に示すように、無アルカリガラス等の基板11上全面に反射率の高い金属膜18を成膜する。反射率の高い金属にはアルミニウム、銀、白金、ロジウム等があるが、安価で合金とすることで安定性にも優れたアルミニウムとその合金が好ましく使用できる。Al膜はDCマグネトロンスパッタリング法や抵抗加熱の真空蒸着により基板11上全面に成膜する。膜厚としては、少なくとも100nm程度以上必要であり、100nm〜200nmが適当である。500nm以上とすることも可能であるが、反射率への寄与は少なく、経済的・生産性の点で不利である。
【0023】
基板11としては、石英ガラスや無アルカリガラスなどのガラス基板があり、一般的に無アルカリガラス基板が好適に使用できる。さらに、本発明に係る反射型液晶表示装置が透過型との併用をしない完全反射型液晶表示装置として適用する場合には、光反射層を基板の液晶層側に設けるために、使用する基板が透明であったり、光学的等方性を持つ必要が無く、従来液晶表示装置用の基板として使用できなかった耐熱性に優れたエンジニアリングプラスチック等も使用可能である。
【0024】
次に、
図4(b)に示すように、この金属膜18上に無機保護膜17を成膜する。無機保護膜17としては、カラーフィルタ層を形成するためのカラーレジストの現像液でエッチングされない保護膜として、CVD(Chemical Vapor Deposition)方式を用いた窒化珪素(SiN)が、製膜の安定性・均一性および保護膜としての物性の点で好ましく使用できる。無機保護膜17としては、窒化珪素以外にもSiO
2等が使用でき、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、溶液法等で適用可能である。
【0025】
無機保護膜17の厚さは、用いられる無機化合物の種類・構成により最適条件が異なるが、300〜800nmの範囲が好ましく、その値は適宜選択される。より好ましくは、400〜600nmの範囲である。
【0026】
次に、
図4(c)に示すように、ドライエッチング耐性を有する感光性レジストを用いて、公知のフォトリソ法を用いて、無機保護膜17上にドライエッチング耐性膜19を所定の形状にてパターン成膜する。
【0027】
その後、
図4(d)に示すように、公知の活性ガスのプラズマを用いたプラズマエッチング等の方式を用いてドライエッチング処理を行い、ドライエッチング保護膜19に被覆されていない部位のSiN膜等の無機保護膜17のエッチング処理を行って除去する。
【0028】
次いで、
図4(e)に示すように、無機保護膜17上のドライエッチング耐性膜19を剥離して、金属膜18上に無機保護膜17のパターン形成を行う。このドライエッチング耐性膜19の剥離は、公知の湿式剥離方式、あるいは、エッチングスピードをコントロールしたドライエッチング方式が適宜採用できる。
【0029】
次に、
図4(f)に示すように、透明基板11上の、無機保護膜17の非被覆部である露出された金属膜18をエッチング処理にて除去して複数の画面にパターン形成する。この場合も、公知の燐酸、硝酸、酢酸等の酸を混合した混酸を用いたウエットエッチング方式が適宜採用できる。これで、所定の反射層の画面パターンを有した多面付け基板が得られる。
【0030】
本発明の製造方法においては、前述したドライエッチング耐性膜形成工程において、アレイ基板との貼り合せ用のアライメントマークおよびアクセサリーマーク20の形状で、無機保護膜17上にドライエッチング耐性膜19を同時にパターン成膜し、その後、無機保護膜ドライエッチング工程、ドライエッチング耐性膜剥離工程、金属膜エッチング工程を経由することで、無機保護膜17と同寸同形の金属膜18によるアライメントマークおよびアクセサリーマーク20が形成される。そのため、枚葉方式における多面付けカラーフィルタ基板1の製造時の位置合わせ精度の確保や、この多面付け基板を用いたカラーフィルタ基板1を対向基板として、アレイ基板であるTFT基板2とを一定の間隙で貼り合わせる再に、マーク検出が容易であり、パネルを精度良く製造することが可能となる。
【0031】
図5は、本発明に係る、反射型液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造法の概略を斜視で説明する模式図である。
図5(a)に示す金属膜成膜工程、
図5(b)に示す無機保護膜の成膜工程、そして、
図5(c)に示す無機保護膜のドライエッチング処理工程、
図5(d)に示す金属膜のエッチング処理工程、
図5(e)に示す透明着色層(RGB)の形成工程、
図5(f)に示す透明電極・ITOの成膜工程を経て得られた多面付け基板にカラーフィルタを形成した。すなわち、金属膜18を介して形成された無機保護膜17を含むこの複数の画面にパターン形成された多面付け透明基板上の全面に、公知のフォトリソ法を用いて、感光性着色樹脂組成物を塗布・乾燥し、所定のマスクを介して露光し、現像し、焼成して着色画素をパターンニング形成する。この工程をRGB等所望する色数に従って繰り返すことで着色層を形成した。その後、この基板に公知の方法にてITO層の形成を行い、先に説明した、
図2に示す、反射型液晶表示装置用カラーフィルタ基板1が得られる。
【0032】
ここで、本発明のカラーフィルタ基板では、光が反射して各構成材料を2度透過することになるため、従来の透過型と同じ顔料濃度では暗くなってしまう。そこで、着色層の厚さを変更する代わりに、着色層の顔料濃度を調整し、所定の色を再現することが好ましい。また、偏光膜も表面に1枚のみ使用する。なお、特開平11−160682号公報で開示されている、液晶と高分子とが互いに分散された液晶高分子複合層からなる反射型液晶表示素子を用いた場合、偏光板が不要であるため、偏光板での光の吸収による光量減少が全く無い。
【0033】
また、従来の透過型液晶表示装置では、各色に着色された透過光の混色を防止するために、遮光膜13を設けていたが、本発明に係る反射型液晶表示装置では、光の反射・利用効率の点で必ずしも遮光膜を必要としない。
【0034】
本発明に用いられる感光性着色樹脂組成物は、その必須成分として、光重合性モノマー、樹脂バインダー、重合開始剤、着色剤及び溶剤を含有するものである。また、分散剤、光増感剤、連鎖移動剤などの添加剤を含有するものであっても良い。
【0035】
光重合性モノマーは、露光光線の照射によって重合し、感光性着色組成物の塗布膜を現像液不溶性に変化させるものである。一般には、ラジカルにより重合が誘起されるモノマーである。このような光重合性モノマーとしては、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレートを用いることができる。光重合性モノマーの含有量は、組成物の総量100質量%に対して20質量%以下であることが好ましい。また、露光感度、得られる膜厚とパターンの解像性及び耐溶剤性の観点から、1質量%以上であることが好ましい。
【0036】
バインダー樹脂は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂であり、溶剤可溶性樹脂、または
アルカリ可溶性樹脂が好ましい。溶剤可溶性樹脂は、現像液として用いられる溶剤に対する溶解性が高い樹脂が好ましい。アルカリ可溶性樹脂は酸価を有する樹脂であり、感光性着色組成物をアルカリ現像型とするために用いられる。バインダー樹脂としては、カラーフィルタの製造工程において高温加熱の処理が行われるため、加熱処理においても耐性の良い樹脂を用いることが好ましい。さらに、カラーフィルタの製造工程において、感光性着色組成物の被膜を熱硬化した後に種々の溶剤や薬品による処理も行われるため、硬化被膜としたときに耐溶剤性や耐薬品性に優れる樹脂を用いることが好ましい。アルカリ可溶性樹脂としては、(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂としては、溶剤可溶性樹脂またはアルカリ可溶性樹脂に加え、耐熱性や密着性などの特性の付与を目的として、溶剤可溶性、アルカリ可溶性を有しない樹脂を含有させることもできる。
【0037】
着色剤は、透明着色皮膜を着色して、液晶表示装置の表示光を着色するものである。顔料や染料を利用することができるが、耐久性に優れている点で、顔料を使用することが望ましい。顔料としては、有機顔料と無機顔料のいずれであっても良いが、有機顔料が好ましく使用できる。また、その配合量は特に限定されるものではない。
【0038】
着色剤として顔料を使用する場合には、この顔料を分散させるための分散剤を含有させることが望ましい。分散剤としては、界面活性剤等が使用される。
【0039】
感光性着色樹脂組成物に好適に用いられる光重合開始剤としては、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、等のオキシムエステル系光重合開始剤、ヨードニウムボレート、スルホニウムボレート、アンモニウムボレートなどのオニウムボレート系光重合開始剤、イミダゾール系光重合開始剤等の化合物が用いられる。上記光重合開始剤は、単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。
【0040】
本発明に用いられる感光性着色樹脂組成物には、重合開始剤に加えて光重合開始剤の反応性を向上させる目的で、増感剤として下記のような光重合開始剤を併用することも好ましく、例えばα−アシロキシムエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を使用することもでき、単独あるいは2 種以上を混合して使用してもよい。
【0041】
本発明に用いられる感光性着色樹脂組成物には、重合禁止剤を添加することができる。感光性着色組成物において、重合禁止剤の質量(Q)に対する光重合開始剤の質量(I)の比I/Qは、30以上500未満であり、40以上450未満であることが好ましく、50以上400未満であることがより好ましい。前記比I/Qが30未満の場合は、紫外線照射時に光重合開始剤から発生するラジカルが重合禁止剤により失活される速度が非常に大きくなり、光反射領域が硬化不足となるため、現像工程で感光性着色組成物の被膜が透明基板からはがれやすくなり好ましくない。また、前記比I/Qが500以上の場合は
、紫外線照射時に光重合開始剤から発生するラジカルが重合禁止剤により失活される速度が小さくなるため、実効的な紫外線照射量の小さい光反射領も十分硬化し、膜厚の薄い光反射領域を形成することが困難であるため好ましくない。
【0042】
感光性着色組成物に用いられる重合禁止剤としては、カテコール、レゾルシノール、1,4−ヒドロキノン、2−メチルカテコール、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、2−エチルカテコール、3−エチルカテコール、4−エチルカテコール、2−プロピルカテコール、3−プロピルカテコール、4−プロピルカテコール、2−n−ブチルカテコール、3−n−ブチルカテコール、4−n−ブチルカテコール、2−tert−ブチルカテコール、3−tert−ブチルカテコール、4−tert−ブチルカテコール、3,5−ジ−tert−ブチルカテコール等のアルキルカテコール系化合物等が挙げられる。
【0043】
また、本発明に用いられる感光性着色樹脂組成物には、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有させることができる。多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよい。多官能チオールの使用量は、着色剤100質量部に対し、0.01〜50.0質量部が好ましく、より好ましくは0.05〜30.0質量部である。
【0044】
溶剤は、基板上への均一な塗布を可能とすると共に、着色剤を均一に分散させる機能を有するものである。溶剤としては、水溶性有機溶剤等が利用できる。水溶性有機溶剤は、着色剤及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。
【0045】
水溶性有機溶剤としては、例えば、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール、エチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールジエチルエーテル、エチルセロソルブ、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、等が挙げられる。水溶性有機溶剤は、着色剤の全質量を基準(100質量%)として、5〜1000質量%用いることが好ましく、50〜500質量%用いることが最も好ましい。
【0046】
本発明の感光性着色樹脂組成物は、公知の方法により調製することができる。例えば、光重合性モノマー又は樹脂バインダー、あるいはその両者を溶剤に溶解した溶液に、顔料と分散剤を予め混合して調製した顔料組成物を添加して分散させ、残りの成分を添加する等である。ここで、顔料や分散剤の分散は、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、ディゾルバー、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、アトライター等の各種分散装置を用いて行うことができる。
【0047】
次に、以上のようにして得られた感光性着色樹脂組成物を基板上に均一に塗布し乾燥させプリベークして塗布膜を形成する。塗布方法としては、スピンコート法、スリットアンドスピンコート法、スピンレス方式、ロールコート等が利用できる。
【0048】
露光はプロキシミティーアライナーによる近接露光方式で行うことができる。露光波長
は、通常の超高圧水銀灯より得られる紫外線が多く使用される。露光条件としては、露光量250mJ/cm
2、照度25.2mW、露光Gap100μm等が例示できる。
【0049】
本発明が対象とする反射型液晶表示装置は、カラー表示に加え低消費電力ニーズのある産業機器向けのモニターやPDAなどのモバイル使用される。
【0050】
次に、露光された塗布膜を現像する。現像液としては、アルカリ水溶液又は有機アルカリ溶液等のアルカリ現像液が使用できる。アルカリ水溶液としては、炭酸ソーダ、苛性ソーダ等が例示でき、有機アルカリ溶液としては、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等が例示できる。また、必要に応じて消泡剤や界面活性剤が添加された現像液を使用しても良い。現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。
【0051】
次に、透明電極としてのITOをスパッタリング法で成膜し、先に述べたカラーフィルタ基板を製造することができる。
【0052】
以上説明したように、本発明の製造方法では、金属膜の成膜後、金属膜エッチング工程以前の工程にて無機保護膜が形成されている為、従来問題となっていた、Al膜のパターニング工程におけるエッチンク゛保護層の剥離時の薬液の暴露や、工程条件の少しのゆらぎによる、Al膜の腐食による反射率の低下、表面荒れ・ムラ等に起因する明るさの低下や表示ムラの発生を解消することが可能となる。
【符号の説明】
【0053】
1・・・カラーフィルタ基板 2・・・アレイ基板・TFT基板 3・・・液晶
4・・・バックライト 11・・・基板、ガラス基板 12・・・偏光膜
13・・・遮光膜 14・・・透明着色層(RGB) 15・・・透明電極・ITO
16・・・配向膜 17・・・無機保護膜 18・・・金属膜
19・・・ドライエッチング耐性膜
20・・・アライメントマークおよびアクセサリーマーク
21・・・透明基板(アレイ基板用) 22・・・偏光膜 26・・・配向膜