【実施例1】
【0010】
図1は第1の実施例の構成を示す上面図で、図に示すように本実施例の硬貨入出金機1には前部側(正面側)に金種混合の硬貨15(
図2参照)を非整列状態で受け入れ可能な硬貨入金口2が設けられ、この硬貨入金口2から後部側に向かって入金搬送路3がL字状をなすように配設されている。
【0011】
この入金搬送路3上には硬貨15を入金搬送路3に押し付けて搬送する第1の搬送ベルト5が所定の長さに渡って設けられており、この第1の搬送ベルト5の始端と硬貨入金口2の硬貨繰り出し部との間に受け渡しローラ4が設けられている。また、第1の搬送ベルト5による硬貨15の搬送経路の途中には硬貨15の金種等の鑑別及び金種が確定した硬貨15の金種ごとの計数を行う鑑別部6と、リジェクトゲート7が、硬貨搬送方向において鑑別部6が上流側、リジェクトゲート7が下流側となるように設けられている。
【0012】
第2の搬送ベルト8は第1の搬送ベルト5の終端から入金搬送路3に沿ってその終端まで延びるように入金搬送路3上に設けられている。この第2の搬送ベルト8には所定の間隔で硬貨搬送用の突起8aが所定の間隔で設けられており、この突起8aが入金搬送路3の幅方向中央部を移動するように第2の搬送ベルト8は入金搬送路3上に沿って複数設けられたプーリに巻きかけられている。
【0013】
また、入金搬送路3の下流部つまりL字の下側に当たる直線部分には、硬貨15を金種毎に選別して取り込む5つの開閉ゲート9が設けられ、また終端部分にはエンドゲート10が配設されていて、この開閉ゲート9とエンドゲート10の側方には硬貨収納部11、12が設けられている。
【0014】
ここで、開閉ゲート9と硬貨収納部11は「5円」、「10円」、「50円」、「100円」、「500円」の5つの金種の硬貨15に対応して設けられた取り込み穴にそれぞれ配設され、各開閉ゲート9は各硬貨収納部11を閉塞して入金搬送路3の搬送面の一部を構成する閉塞位置と、各取り込み穴を開放すると共に搬送面上に突出して入金搬送路3を通る硬貨15を金種別に硬貨収納部11に導く開放位置に図示しないアクチュエータ(駆動手段)により移動可能となっている。また、エンドゲート10と硬貨収納部12は「1円」硬貨に対応し、エンドゲート10は通常時は1円硬貨を取り込む取り込み穴を常に開放するよう開いた状態に保持されるものとなっている。
【0015】
尚、各硬貨収納部11、12は一体に形成されていて、
図2及び
図3に示す隔壁部16により区切られている。また、各硬貨収納部11、12には硬貨15の落下を検知する図示しないセンサが設けられ、これらのセンサが各硬貨収納部11、12への硬貨15の落下を検知することで、鑑別部6での計数が確定されるようになっている。
【0016】
硬貨リジェクト口13はリジェクトゲート7により入金搬送路3から排除されたリジェクト硬貨を集積するために硬貨入金口2の一側に設けられ、硬貨出金口14は硬貨収納部11、12から出金される硬貨15を集積するために硬貨入金口2の他側に設けられており、集積された硬貨15を手で取り出せるようになっている。
【0017】
図2は第1の実施例における入金搬送路3の下流部を示す上面図、
図3はその側面図で、この
図2及び
図3に示すようにエンドゲート10の1つ手前の開閉ゲート9上には、最小径の1円硬貨以外の硬貨15の通過を阻止することが可能な形状を有する幅寄せガイド9aが設けられている。また、エンドゲート10は軸10aに支持されていて、該軸10aを中心に回転可能になっており、更にエンドゲート10には軸10aの後方に突出するレバー部10bが形成されている。
【0018】
また、開閉ゲート9及びエンドゲート10の上方には、入金搬送路3の下流部を覆って搬送中に硬貨15が入金搬送路3外へ飛び出すことを防止する搬送路カバー17が配設されている。この搬送路カバー17は一端に設けられた軸17aを中心に回動することにより開閉可能になっており、閉じたとき内面側に設けた突起部17bがエンドゲート10のレバー部10bを押し下げることで、エンドゲート10は軸10aを中心に上方に回転して開くものとなっている。
【0019】
尚、搬送路カバー17は、入金搬送路3の下流部のみを覆うものに限らず、入金搬送路3全体を覆う形状、大きさのものであっても良く、また硬貨入出金機1全体を覆うカバーであっても良い。
上述した構成の作用について説明する。尚、以下に説明する各部の動作は、図示しない記憶部に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて図示しない制御部により制御されるものとする。
【0020】
硬貨入金時において硬貨入出金機1の硬貨入金口2に各金種混合で硬貨15が投入されると、投入され
た硬貨15は硬貨入金口2の硬貨繰り出し部から1枚ずつ入金搬送路3へ送り出され、入金搬送路3へ送り出された硬貨15は受け渡しローラ4によって第1の搬送ベルト5に受け渡される。
このとき第1の搬送ベルト5は図示しないモータ等を駆動源として回転しており、受け渡しローラ4から受け渡された硬貨15は下流側に搬送される。その搬送途中で硬貨15は鑑別部6により金種等の鑑別が行われ、金種不明等でリジェクトと鑑別された硬貨15はリジェクトゲート7によりリジェクト通路に取り込まれて硬貨リジェクト口13に送られる。
【0021】
金種が確定した硬貨15はリジェクトゲート7上を通過して第2の搬送ベルト8に送り込まれる。このとき第2の搬送ベルト8は図示しないモータ等を駆動源として回転しており、硬貨15は第2の搬送ベルト8の突起8aにより入金搬送路3の終端側へ搬送され、その搬送途中で鑑別部6での鑑別結果に応じて該当金種の硬貨収納部11に対応する開閉ゲート9がアクチュエータにより開放位置に、その硬貨収納部11より上流の開閉ゲート9が閉塞位置に動作するよう制御される。これにより、硬貨15は金種毎に開閉ゲート9により取り込まれて取り込み穴に落下し、硬貨収納部11に収納される。
【0022】
また、鑑別部6で1円と鑑別された硬貨15が搬送されてきた場合は、開閉ゲート9が閉塞位置に移動する。これにより1円の硬貨15は入金搬送路3の終端までへ搬送され、
図3に示すように、搬送路カバー17の突起部17bによりレバー部10bが押し下げられることで開放状態に保持されているエンドゲート10により取り込まれて取り込み穴に落下し、硬貨収納部12に収納される。
【0023】
このようにして硬貨15の入金処理が行われるが、この入金処理中に搬送不良や誤操作により搬送が停止した場合、各開閉ゲート9は閉塞位置に移動するよう制御される。その開閉ゲート9がある入金搬送路3上に硬貨15が残り、第2の搬送ベルト8の慣性力でエンドゲート10の手前まで硬貨15が搬送されたとしても、エンドゲート10の1つ手前の開閉ゲート9上に設けられた幅寄せガイド9aにより最小径の1円以外の硬貨15の
通過が阻止され、1円以外の硬貨15が1円を収納する硬貨収納部12に落下収納されることが防止される。
【0024】
また、入金処理中に搬送不良や誤操作により搬送が停止した際に、慣性力により搬送されてきた硬貨15が1円の場合、その1円の硬貨15は、エンドゲート10により取り込まれて取り込み穴に落下し、硬貨収納部12に収納されることになるが、その場合、硬貨収納部12に設けられている図示しない硬貨検知用のセンサにより1円の硬貨15の落下を検知することで、硬貨収納部12に収納される1円の硬貨15を正確に計数することができる。
【0025】
搬送停止後、硬貨入出金機1をレジスタの筐体から引き出し、搬送路カバー17を開いて入金搬送路3を開放する。
図4は搬送路カバー17を開いた状態を示す要部側面図で、この図に示すように、搬送路カバー17を引き上げて軸17aを中心に矢印Aで示す時計方向に回動させることにより開くと、搬送路カバー17の突起部17bがエンドゲート10のレバー部10bから離れ、これによりレバー部10bの押し下げ力が解除されるので、エンドゲート10は自重により軸10aを中心に矢印Bで示す反時計方向に回動して回動閉塞位置に移動し、閉じた状態になる。
【0026】
この状態で入金搬送路3に残留している硬貨15を手で取り出して除去するが、このとき各開閉ゲート9とエンドゲート10は閉塞状態にあるので、誤って硬貨15を落としても、硬貨15が硬貨収納部11、12内に落下することはなく、確定硬貨への混入が防止される。
【0027】
以上説明したように、第1の実施例では、入金搬送路を搬送されてくる硬貨の金種に応じて開閉する開閉ゲートの列の最終端に、最小径の金種の硬貨を取り込むエンドゲートを設け、これら開閉ゲート及びエンドゲートを覆う開閉可能な搬送路カバーを閉じたときエンドゲートが開き、カバーを開いたときエンドゲートが閉じるように、エンドゲートの開閉を搬送路カバーの開閉に連動させるようにしているため、エンドゲートを開閉させるための駆動手段や動力伝達手段を省略することができ、構造の簡素化と低コスト化を図ることができるという効果が得られる。
【0028】
尚、上述した第1の実施例では、搬送路カバー17を開くと、搬送路カバー17の突起部17bがエンドゲート10のレバー部10bから離れ、これによりレバー部10bの押し下げ力が解除され、エンドゲート10が自重により閉塞位置に移動するものとしたが、コイルスプリング等によりエンドゲート10を閉塞位置に移動させることも可能である。
【0029】
図5はエンドゲートにコイルスプリングを設けた例を示す要部側面図で、この図に示したようにエンドゲート10のレバー部10bを押し上げる方向に付勢するコイルスプリング18を設け、搬送路カバー17を閉じたときはコイルスプリング18を圧縮させながら突起部17bがエンドゲート10のレバー部10bを押し下げることで、エンドゲート10は軸10aを中心に上方に回転して開き、搬送路カバー17を開くと、レバー部10bがコイルスプリング18の復旧力によりレバー部10bを押し上げてエンドゲート10を閉じるものとなっている。
【0030】
このようにすることで、自重に頼らない閉塞方向の復元力を持たせることができ、より安定した閉塞が可能となる。
尚、コイルスプリング18の代わりに、エンドゲート10の軸10aに図示しないトーションスプリング等を装着しても、同様により安定した閉塞が可能である。
【0031】
また、この他にも、搬送路カバー17を設けない場合、
図6に示すような構成とすることも可能である。
図6はエンドゲート10を開閉させる別の構成例を示す図で、エンドゲート10のレバー部10b側から見た状態を示している。この例では、図に示したように搬送路カバー17を
省略してユニット化した硬貨入出金機1をレジスタの筐体19に正面側から挿入して装着する構造において、硬貨入出金機1側に、曲折部を軸20aで回転可能に支持したくの字形のリンク20を配設して、このリンク20の一端をレバー部10bの上面に対向させると共に、他端に錘21を設け、筐体19の上部内面に図示したような逆台形あるいは円弧形のカム22を設けた構成としている。
【0032】
この構成では1つのユニットとした硬貨入出金機1を筐体19の正面から矢印Cで示した方向に挿入していくとリンク20がカム22に当たり、更に挿入するとカム22によりリンク20が押し下げられて、リンク20は軸20aを中心に矢印Dで示す反時計方向に回動する。この回動によりリンク20の一端がエンドゲート10のレバー部10bを押し下げるので、これによりエンドゲート10は軸10aを中心に上方に回動し、開放位置に移動して開いた状態に保持される。
【0033】
硬貨入出金機1を筐体19から引き抜いてゆくと、リンク20がカム22から外れ、錘21によりリンク20は軸20aを中心に時計方向に回動する。これによりリンク20の一端はエンドゲート10のレバー部10bから離れるため、レバー部10bは押し下げ力から解放され、エンドゲート10は自重により下方に回転し、閉塞位置に移動して閉じる。
このようにしても、リンク20、錘21、カム22という簡単な構成部品を用いるだけで実現できるので、エンドゲート10を駆動用のアクチュエータにより開閉させる構成に比べて、構造の簡素化と低コスト化を図ることができるという効果が得られる。
【0034】
尚、上述した第1の実施例では、取り扱う硬貨の金種を6金種として、エンドゲート10に対応する硬貨収納庫12の金種を1円としたが、特定の硬貨に対応した装置、例えば、自動販売機のように10円、50円、100円、500円のみを取り扱う装置にも適用可能であり、その場合、最小経の硬貨をエンドゲート10に対応する硬貨収納庫12の金種
に割り当てることで、同様の効果が得られる。